生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_抗アレルギー剤
出願番号:2005246762
年次:2007
IPC分類:A61K 35/74,A61P 11/02,A61P 11/06,A61P 17/00,A61P 27/02,A61P 37/08


特許情報キャッシュ

内田 典芳 高橋 洋介 諏訪 桃子 福田 大介 JP 2007055986 公開特許公報(A) 20070308 2005246762 20050826 抗アレルギー剤 三共ライフテック株式会社 303020934 津国 肇 100078662 齋藤 房幸 100116919 島野 公利 100120411 内田 典芳 高橋 洋介 諏訪 桃子 福田 大介 A61K 35/74 20060101AFI20070209BHJP A61P 11/02 20060101ALI20070209BHJP A61P 11/06 20060101ALI20070209BHJP A61P 17/00 20060101ALI20070209BHJP A61P 27/02 20060101ALI20070209BHJP A61P 37/08 20060101ALI20070209BHJP JPA61K35/74 AA61P11/02A61P11/06A61P17/00A61P27/02A61P37/08 5 OL 7 4C087 4C087AA01 4C087AA02 4C087BC64 4C087CA09 4C087NA14 4C087ZA33 4C087ZA34 4C087ZA59 4C087ZA89 4C087ZB13 本発明は、有胞子乳酸菌を有効成分とする、抗アレルギー剤及びその製造方法に関する。 近年、生活環境や生活様式の変化に伴い、アレルギー疾患を有する患者が急増し、患者におけるQOLの低下や医療費負担の増大が社会問題となっている。アレルギー疾患とは、本来無害であるはずの外来抗原に対して免疫系が過剰に反応することにより生じる疾患で、反応機序の違いによりI型からIV型の4つの型に分類される。日本では、ダニ、埃などのハウスダストによる通年性アレルギー性鼻炎やスギ花粉などによる季節性アレルギー性鼻炎に代表されるI型アレルギー患者数の増加が顕著であり、スギ花粉症では、今後さらに原因となるスギ花粉が増加すると予測する報告もあり、患者の増加が懸念されている。 I型アレルギーは、主に、抗原と結合したIgEにより肥満細胞が刺激されてヒスタミンなどのケミカルメディエーターを放出することにより発症するアレルギーである。体内に侵入した花粉やハウスダストは抗原と認識され、それらに対する特異的IgE抗体が産生される。特異的IgE抗体は、マスト細胞や血中の好塩基球表面のFcεレセプターに結合して感作された状態となる。その後、抗原が再び体内に侵入すると、抗原はIgE抗体と結合し、抗原−抗体複合体が形成されて脱顆粒を引き起こし、顆粒中のヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質が放出され、これらの作用がアレルギー症状となって現れる。 こうしたアレルギー症状に使われる薬物としては、抗ヒスタミン剤、ロイコトリエン拮抗薬、トロンボキサン拮抗薬、Th2サイトカイン阻害薬、メディエーター遊離抑制剤、ステロイド薬などがある。しかしながら、例えば抗ヒスタミン剤は副作用として眠気や口渇が出ることがあり、ロイコトリエン拮抗薬の副作用としては血球減少や胃腸障害、メディエーター遊離抑制剤の副作用としては胃腸障害や膀胱炎様症状等が知られるなど、これらの薬物は必ずしも安全であるとはいえない。 こうした背景のもと、最近では、食経験が豊富で安全が確認されている食品、あるいはその原料から、抗アレルギー効果を有する素材の探索が盛んに行われており、乳酸菌やポリフェノール類、ヌクレオチドなどが抗アレルギー素材として注目されている(特許文献1及び2参照)。 抗アレルギー効果を有するといわれている食品としては、ヨーグルトや乳酸菌飲料の他、健康食品として乳酸菌の乾燥死菌体粉末等も販売されている。また、納豆菌及びバチルス属菌体の胞子組成物を用いた花粉症抑制剤も知られている(特許文献3参照)。しかしながら、食品としての日持ちの問題や調製及び取り扱いの困難性、抗アレルギー効果が不十分であるため、大量の摂取を必要とするなどの問題があった。したがって、人体に安全で副作用がなく、取扱いも容易で、摂取量についても比較的少ない量で高い抗アレルギー効果を奏する抗アレルギー剤が要望されている。 有胞子乳酸菌は、腸内細菌叢のバランスを正常化し、腸内細菌叢の回復後は速やかに体外に排出されることが知られている。また、胞子の保存安定性から製剤化が容易であり、その耐熱性、耐酸性に優れた性質により、経口投与した有胞子乳酸菌は、胃や十二指腸で死滅せず作用部位まで到達することができる。そのため、有胞子乳酸菌は既に、健康補助食品を含む食品や、便通改善効果等を有する有胞子乳酸菌製剤として整腸剤等に用いられている。しかしながら、有胞子乳酸菌を有効成分とする抗アレルギー剤はこれまで知られていない。特開2005−139160号公報。特開2005−137357号公報。特開2004−97216号公報 本発明は、副作用がなく人体に安全で、取扱いも容易な抗アレルギー剤を提供することを目的とする。 本発明の発明者は、鋭意検討した結果、有胞子乳酸菌に高い抗アレルギー効果があることを発見して本発明を完成させるに至った。すなわち本発明は、有胞子乳酸菌を有効成分とする抗アレルギー剤に関する。また、本発明はアレルギーが、花粉症、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎又はアレルギー性結膜炎である、上記抗アレルギー剤、及び、有胞子乳酸菌を、1日投与単位として1×108個以上含む、上記抗アレルギー剤に関する。本発明の抗アレルギー剤は、花粉症、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎又はアレルギー性結膜炎に対して有効であるが、対象疾患としてさらに好ましいのは、花粉症、アレルギー性鼻炎及びアレルギー性結膜炎であり、最も好ましいのは、その期間が比較的長いと考えられ、継続的な投与が必要な、花粉症である。 有胞子乳酸菌は胞子を形成する乳酸菌であり、乾燥状態、熱及び酸に非常に強く、ヒトに経口投与された場合でも胃酸や胆汁で死滅せずに腸に到達し、腸内で発芽、増殖して乳酸を産生する。有胞子乳酸菌に属する菌としては、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、及びスポロラクトバチルス(Sporolactobacillus)属に属する菌を挙げることができる。本発明に用いられる有胞子乳酸菌として好ましいのは、バチルス・コアグランスである。 本発明の抗アレルギー剤の有効成分である有胞子乳酸菌としては、市販の有胞子乳酸菌を用いることができる(例えば、三共ライフテック株式会社「ラクリス−S」、「ラクリス-S顆粒」、「有胞子性乳酸菌」、「飼料用ラクリス-10」等)。これを適当な培地において適宜培養して用いてもよい。本発明の抗アレルギー剤として用いるためには、これを胞子の状態で、あるいは胞子と栄養細胞の混合物の状態で用いることができ、粉末状、あるいは顆粒状又は液状の形態で用いることができる。また、場合により本発明の有胞子乳酸菌は、加熱乾燥した死菌体であってもよい。 本発明の抗アレルギー剤の有効成分である有胞子乳酸菌としては、上記の他、例えば、有胞子性乳酸菌バチルス・コアグランス、SANK 70258株(三共ライフテック株式会社)を用いることができる。SANK 70258株の菌学的性状を以下に示す。〔1〕形態学的性状普通寒天培地(栄研)で40℃、24時間培養後の観察では、細胞が幅1μm、長さが4−5μmの桿菌であり、運動をしない。グラム染色は、陽性である。培養72時間後には、楕円の胞子が細胞の端に形成される。〔2〕培養学的性状普通寒天培地(栄研)で40℃、24時間培養後のコロニーは扁平、周辺は波状である。コロニーの色調は白色で、鈍光を有する。〔3〕生理学的性状 1)カタラーゼ:+ 2)好気条件下での生育:+ 3)嫌気条件下での生育:+ 4)酸の生成 D−グルコース:+ D−キシロース:+ L−アラビノース:+ D−マンニトール:+ 5)ガスの生成:− 6)カゼインの分解:− 7)ゼラチンの分解:− 8)デンプンの分解:− 9)生育温度 20〜58℃の間で生育可能である。特に38〜50℃の間で好適に生育する。 10)NaCl含有培地での生育 5%:− 7%:−〔4〕遺伝学的性状 1)G+C含量:47.2% 本発明の抗アレルギー剤は、本発明による有効成分を生理学的に許容され得る担体、賦形剤、結合剤、希釈剤などと混合することにより製剤化して用いることができる。抗アレルギー剤は経口的あるいは非経口的に投与することができる。経口剤としては、顆粒剤、散剤、錠剤(糖衣錠を含む)、丸剤、カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤が挙げられる。非経口剤としては、外用剤(例えば、経鼻投与製剤、経皮製剤、軟膏剤)、坐剤(例えば、直腸坐剤、膣坐剤)が挙げられる。本発明の抗アレルギー剤は、経口剤として製剤化し、経口的に投与することが好ましい。 本発明の抗アレルギー剤は、食品又は飼料としても使用することができる。本発明の抗アレルギー剤を配合する食品としては、米飯類、菓子類、麺類、カマボコ・チクワ等の水産練り製品、ハム・ソーセージ等の畜産加工品、栄養補助食品(サプリメント)、保健機能食品、清涼飲料・果実飲料・茶飲料等の飲料類、スープ類、マヨネーズ・ドレッシング・味付け調味液等の調味料が挙げられるが、これらに限定はない。 本発明の抗アレルギー剤は、食品又は飼料等に配合して使用することができる。家畜、家禽、その他の哺乳動物又は魚類に用いる粉状、練り製品状、ペレット状、固形状、フレーク状等の飼料、栄養補助製品(サプリメント)等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの飼料には、通常の飼料に使用される任意の原材料、例えば動物性材料、植物性材料、各種添加物等を基礎飼料として使用することができる。 本発明の抗アレルギー剤は、胃腸の働きをよくするビタミンUやその他の抗アレルギー効果をもつ素材、各種栄養分を含有する抗アレルギー剤と成すことができる。詳しくは繊維、食物繊維を多く含み、しかも人体内において高い活性酸素除去作用をもつビタミン、ミネラル、クロロフィル、γ-アミノ酪酸、亜鉛、鉄、カルシウム、マグネシウム等および抗アレルギー効果をもつ乳酸菌、α-シクロデキストリン等のシクロデキストリン類、シソエキス、柿の葉エキス、甜茶エキス、バラエキス等が融合したものとなり、これらの各成分の相加効果又は相乗効果により便秘や便秘に起因する肌荒れ、生理痛、花粉症、アトピー性皮膚炎の改善により一層効果的となると共に、便秘に起因する肩こりその他の改善効果も得られる。 本発明の抗アレルギー剤の投与量は、1日投与単位としては1×107個以上が好ましく、さらに1×108個以上が好ましく、さらに好ましくは、2×108個以上、さらに好ましくは、3×108個以上であり、最も好ましくは4×108個以上である。1日投与単位量は、1日1回または数回に分けて投与することができるが、本発明の抗アレルギー剤には副作用が認められないので、症状を観察しながら適宜投与量を増減して投与してもよい。また、1日投与単位の上限は、1×109個とすることができる。 以下に、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は実施例の記載内容に制限されるものではない。季節性アレルギー性鼻炎に対する抗アレルギー作用の検討(1)被験者 対象となる被験者は、年齢20歳〜65歳の男女55名である。被験者の選択に際しては、スギ花粉症の既往歴を有し、かつ試験食の摂取開始2週間前に実施した血液検査で抗スギ特異的IgEが陽性であることを条件とし、重篤な肝障害、心血管障害、呼吸器障害、内分泌障害、代謝障害に罹患している者等、本試験に不適当であると試験責任医師が判断した者は予め除外された。(2)試験食 試験食は、1カプセルあたり有胞子性乳酸菌(SANK 70258株)を約4億個配合した乳酸菌カプセル(以下、「被験食」という。)及び乳酸菌を配合していない対照食(以下、「プラセボ」という。)の2種類を用いた。(3)試験方法 試験は無作為化二重盲検法を採用し、プラセボを対象とした並行群間比較試験とした。 試験期間は摂取前の観察期間2週間(前観察期間)、摂取期間8週間、摂取後の観察期間2週間(後観察期間)の合計12週間に設定した。摂取期間中は、被験者に、被験食またはプラセボを1日1回、1カプセルずつ、毎日午前中に摂取させた。摂取開始日及び摂取4週間後に、すべての検査終了後に試験食を摂取させ、最終摂取日は摂取8週間後の検査日の前日とした。被験者には、本試験以外で被験食と同等の作用を有する食品及び飲料を摂取することを禁止し、それまでの食生活、喫煙量及び運動などの日常生活を維持するように指示した。(4)結果 摂取4週間後において、花粉症による目のかゆみの自覚症状について、被験食群でスコアの有意な低下(p<0.05)が認められたのに対し、プラセボ群では有意な上昇(p<0.05)が認められ、被験食群ではプラセボ群と比較して低値傾向を示した(p<0.1)。また、鼻腔診断(下鼻甲介粘膜の腫脹、下鼻甲介粘膜の色調、水性分泌量、鼻汁の性状)の改善度についても、全ての項目で、摂取4週間後における改善率(消失または顕著な改善、あるいは改善を示した被験者の割合)が、被験食群ではプラセボ群より高値を示すなど、被験食群ではプラセボ群と比較して、症状が改善されたことが明らかとなった(鼻腔診断の結果を表1に示す)。 有胞子乳酸菌を有効成分とする抗アレルギー剤。 有胞子乳酸菌が、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)である、請求項1記載の抗アレルギー剤。 アレルギーが、花粉症、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎又はアレルギー性結膜炎である、請求項1又は2記載の抗アレルギー剤。 有胞子乳酸菌を、1日投与単位として1×107個以上含む、請求項1〜3いずれか1項記載の抗アレルギー剤。 請求項1〜4のいずれか1項記載の抗アレルギー剤の製造方法。 【課題】 人体に安全で副作用がなく、取扱いも容易な抗アレルギー剤を提供すること。【解決手段】 有胞子乳酸菌を有効成分とする抗アレルギー剤。【選択図】 なし


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る