生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_高分子物質の分子量分布測定方法
出願番号:2005243871
年次:2007
IPC分類:G01N 7/14,G01N 33/44,G01N 21/59


特許情報キャッシュ

中谷 英樹 JP 2007057413 公開特許公報(A) 20070308 2005243871 20050825 高分子物質の分子量分布測定方法 ダイキン工業株式会社 000002853 鮫島 睦 100100158 玄番 佐奈恵 100107180 中谷 英樹 G01N 7/14 20060101AFI20070209BHJP G01N 33/44 20060101ALI20070209BHJP G01N 21/59 20060101ALN20070209BHJP JPG01N7/14G01N33/44G01N21/59 Z 6 2 OL 10 2G059 2G059AA01 2G059BB04 2G059CC12 2G059DD15 2G059DD16 2G059EE01 2G059EE02 2G059EE04 2G059EE07 2G059FF05 2G059HH02 2G059HH03 2G059MM01 本発明は高分子物質の分子量分布を測定する方法に関する。 高分子物質、例えばポリマーの分子量分布はそのマクロ物性に影響を及ぼす主因子であり、分子量分布を知ることは非常に有用である。 従来、高分子物質の分子量分布はゲル浸透クロマトグラフ法(以下、GPC法という)により測定されている。GPC法は、孔を有するゲルが充填されたカラムに高分子物質を溶解させた溶液を導入すると分子量の大きいものほど早く溶出されるということを利用して分子量分布を求めるものである。GPC法を適用するには、高分子物質を溶媒に測定条件である常温および常圧下で完全に溶解させるため、測定対象とする高分子物質に応じて適当な溶媒を選択する必要がある。特表平9−504326号公報 フッ素含有ポリマーであるフッ素樹脂およびフッ素ゴムは一般的に有機溶媒に対して高い耐性を示し、有機溶媒に溶解し難いという特性を有する。このうち、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのビニリデン系のフッ素樹脂およびフッ素ゴムについては、これらを常温および常圧下で完全に溶解させ得る適当な溶媒が見つかっている。しかしながら、これらを除くフッ素含有ポリマーについては適当な溶媒がなく、GPC法により分子量分布を測定することはできない。 現在、GPC法を適用できないフッ素樹脂は、粘弾性測定およびMFR(メルトフローレート)測定などにより平均的な分子量を求めており、経験的または統計的に分子量分布を把握しているに過ぎない。高分子物質の分子量が流動性(粘弾性およびMFR)に与える影響は十分定量化されておらず、このような方法では高分子物質の分子量分布を高精度で知ることはできない。また、示差走査熱量分析(DSC)により分子量分布を予測することも可能ではあるが、それ程高い精度は得られず、更に、高分子物質が熱によって分解する場合には非破壊で分析できず、有毒な分解ガスを発生し得るなどの難点がある。 高分子物質の分子量分布をGPC法以外の方法によって高精度に測定する方法は知られていない。本発明の目的は、高分子物質の分子量分布を測定することが可能な新規な方法を提供することにある。 本発明の1つの要旨によれば、高分子物質の分子量分布を測定する方法であって、 高分子物質および溶媒を含む試料を入れた容器内の圧力を上昇および低下のいずれかにより変化させて種々の圧力とし、 試料の溶媒相中に存在する高分子物質を該種々の圧力下にて検出して検出強度を測定し、 圧力に対する検出強度の変化率を求め、および 圧力に対する検出強度の変化率を、分子量に対する高分子物質の量の変化率に変換することによって、高分子物質の分子量分布を求めることを含む方法が提供される。 本発明のこの測定方法において、圧力に代えて温度を用いることも可能である。 本発明の測定方法は、高分子物質の溶媒に対する溶解度が分子量により相違し、また、圧力または温度に依存して変化するという性質を利用したものである。より詳細には、高分子物質の溶媒に対する溶解度は分子量が小さいもの程高く、圧力および温度が上昇するにつれて高くなる。 高分子物質が溶媒に溶解していない状態から圧力を徐々に上昇させていくと、始め溶媒に溶解していなかった物質は分子量のより小さいものから順に溶解して、高分子物質相から溶媒相へと移動する。溶媒相中に存在する高分子物質の量と検出強度は相関関係にあるので、圧力を微少増加させた場合における検出強度の変化量は、その圧力に対応した特定の分子量を有する高分子物質の量を示すものと考えてよい。従って、圧力に対する検出強度の変化率は分子量に対する高分子物質の量の変化率に対応し、得られた検出強度の変化率を分子量に対する高分子物質の量の変化率に変換することにより、高分子物質の分子量分布を求めることが可能となる。 また逆に、高分子物質が溶媒に溶解している状態から圧力を低下させていくと、始め溶媒に溶解していた物質は分子量のより大きいものから順に溶解しきれなくなり、溶媒相から出て高分子物質相を形成する。よって、圧力を微少減少させた場合における検出強度の変化量も、その圧力に対応した特定の分子量を有する高分子物質の量を示すものと考えてよい。従って、上昇させた場合と同様に、圧力に対する検出強度の変化率を分子量に対する高分子物質の量の変化率に変換することによって、高分子物質の分子量分布を求めることが可能となる。 このことは、圧力に代えて温度を上昇および低下のいずれかにより変化させた場合も同様であり、温度に対する検出強度の変化率を分子量に対する高分子物質の量の変化率に変換することによって、高分子物質の分子量分布を求めることが可能となる。 尚、圧力または温度は上昇および低下のいずれによって変化させてもよいが、ある基準状態から上昇させることのみ、または、ある基準状態から低下させることのみによって種々の条件とすることを要する。 以上のような測定原理に基づいて、本発明により高分子物質の分子量分布を測定することが可能である。 本発明の測定方法によれば、GPC法のように高分子物質を常温および常圧下で溶媒に完全に溶解させてカラムに通過させる必要がないので、従来はGPC法を適用することができなった高分子物質、例えばPVDFおよびフッ素ゴムを除くフッ素含有ポリマーであっても、分子量分布を測定することが可能となる。また、本発明の測定方法は測定対象とする高分子物質の分子量分布を直接測定できるので、粘弾性測定、MFR測定または示差走査熱量分析により分子量分布を推定するよりも高精度である。 本発明により高分子物質の分子量分布の全体(一方の端から他方の端までの分布)を測定すれば、得られた分子量分布に基づいて代表的な分子量、例えば平均分子量およびピーク分子量などを求めることが可能であり、また、高分子物質を定量することが可能である。しかし、本発明はこれに限定されず、少なくとも一方の端を含まない分子量分布を測定してもよい。 尚、本発明において「高分子物質」とは高分子化合物(例えばポリマー)を含む物質であって、低分子化合物(例えばモノマーおよびオリゴマー)を更に含んでもよい物質を意味するものとする。高分子物質は高分子化合物として、例えばフッ素含有ポリマーなどを含んでいてよい。フッ素含有ポリマーは一般的にフッ素樹脂とフッ素ゴムとに大別され、とりわけフッ素樹脂にはGPC法を適用できないものが多いが、本発明の測定方法はこのようなフッ素樹脂に対しても適用可能である。しかし、本発明はこれに限定されず、任意の高分子化合物を含む物質に対して適用され得る。 本発明に利用可能な溶媒は、溶媒に対する高分子物質の溶解度が圧力または温度に応じて変化し、測定圧力または温度範囲内において高分子物質の大部分、好ましくは実質的に全部が溶媒相中に溶解しない状態と高分子物質の大部分、好ましくは実質的に全部が溶媒相中に溶解する状態との間で遷移するものであればよい。ここで「溶解」とは物質が溶媒相中で個々の化合物(もしくはイオン)または会合体などの形態で安定して均質に存在することを意味するものである。高分子物質の少なくとも一部が溶解しない状態では、溶媒相中に溶解しない物質は溶媒相と別の相(本明細書を通じて高分子物質相と言う)を形成し、これら溶媒相および高分子物質相は比重差などにより分離し得る。 そのような溶媒は測定対象とする高分子物質に応じて適宜選択できる。溶媒は液体、超臨界流体または亜臨界流体であり得る。溶媒には、例えば二酸化炭素、好ましくは超臨界または亜臨界二酸化炭素を用いてよい。また、溶媒にはフッ素含有化合物を用いてもよい。 試料は上記のような高分子物質および溶媒に加えて助剤、例えば水、アルコール、アセトンおよびフッ素含有ハロゲン化炭化水素からなる群から選択される少なくとも1種の助剤を含んでいてよい。このような助剤は溶解助剤として機能し得る。 試料の溶媒相中に存在する高分子物質は、一般的にクロマトグラフィー分析において利用される検出器と同様の原理により検出してその検出強度を測定することができる。どのような原理により検出するかは、高分子物質および溶媒の組合せならびに測定条件などによって適宜選択してよい。 本発明によれば高分子物質の分子量分布を測定することが可能な新規な方法が提供される。本発明の測定方法によれば、従来はGPC法を適用することができなった高分子物質であっても、分子量分布を高精度で測定することが可能となる。発明を実施するための形態1.実施形態 本発明の測定方法を説明するため、本発明の模式的な態様について図面を参照しながら説明する。 まず、高分子物質、溶媒および場合により助剤を含んで成る試料1を容器3に入れる。測定対象である高分子物質およびこれを含む試料の成分については後述する。 試料1全体に対する高分子物質の割合は、高分子物質間の相互作用を無視し得る程度に十分に小さく、例えば約100重量ppm〜1重量%の範囲内とし得る。しかし、本発明はこれに限定されず、用いる溶媒の種類、助剤の有無、測定温度および圧力条件などに応じて適宜設定してよい。 図1に示すような測定装置20において、上記試料1が入った容器3を蓋5で封止し、光源7と計測器9との間に光学的に位置するように配置する。本実施形態において容器3は透明なセルである。光源7および計測器9は紫外検出器または可視検出器などの光学的検出器を構成し、容器3、光源7および計測器9の位置関係は、光源7からの光(UV光または可視光など)11が容器(セル)3を通過し、通過した光13が計測器9にて受光される限り特に限定されない。 次に、容器3内の温度をほぼ一定に保ちながら、例えば蓋5を図中点線矢印にて示すように押下することにより、容器3内の圧力を徐々に上昇させる。 初期の低い圧力下では、試料1において高分子物質は溶媒に溶解せず、溶媒相1aと高分子物質相1bとに相分離する。そして圧力が高くなるにつれて、試料1において高分子相1bを形成していた高分子物質は分子量がより小さいものから順に溶媒相1a中に溶解および移動する。尚、図1には例示的に溶媒相1aが高分子物質相1bより小さい比重を有する場合として溶媒相1aを上相に、高分子物質相1bを下相に示しているが、これに限定されず、溶媒相1aが高分子物質相1bより大きい比重を有する場合には上下が逆転する。 分子量分布の全体を測定するためには、測定圧力範囲において、高分子物質が溶媒相中に全く溶解しない状態から、溶媒相中に完全に溶解する状態(高分子物質相1bが消滅し、溶媒相1aのみとなる状態)まで遷移させるが、本発明はこれに限定されるものではない。 このようにして圧力を上昇させながら、種々の圧力下にて光源7から光11を容器3内の試料1の溶媒相1aに向けて照射し、溶媒相1aを通過した光13を計測器9で受光して光強度(または吸光度、以下同様)を測定する。本実施形態においては光13により溶媒相1a中に存在する高分子物質を検出できるので、光強度が高分子物質の検出強度となる。 検出強度の測定データから、圧力に対する検出強度曲線が得られる。圧力Pおよび検出強度Iをそれぞれ横軸および縦軸にとると、例えば図2(a)に示すような曲線f(P)となる(但し、図示するような形状に限定されるものではない)。検出強度曲線は、圧力を連続的に上昇させながら検出強度を連続的に測定し、得られた検出強度のデータを必要に応じて適当に曲線近似したものであってよい。あるいは、圧力を連続的または段階的に上昇させながら検出強度をスポット的に測定し、得られた検出強度のデータを適当に曲線近似したものであってもよい。圧力を段階的に上昇させる場合、一定圧力で暫く維持して高分子物質の溶媒相中への移動がほぼ平衡状態に達した後に検出強度を測定することが好ましい。 次に、検出強度の測定データから圧力に対する検出強度の変化率を求める。具体的には、上記で得られた検出強度曲線を圧力で微分して検出強度の変化率の曲線を求める。図2(a)に例示する検出強度曲線f(P)を圧力Pで微分すると、図2(b)に示すような変化率曲線f’(P)が得られる。 高分子相1bを形成していた高分子物質は圧力が増加するにつれて分子量がより小さいものから順に溶媒相1a中へ移動するので、ある圧力Pの静的状態に着目すると、ある分子量M以上の物質は高分子物質相1b中に存在し、分子量M未満の物質は溶媒相1a中に存在すると考えられる。このような境界的な分子量Mは各圧力Pに対応して存在する。図2(a)を参照して、ある圧力Pから微少圧力ΔPだけ増加させた場合、分子量Mを有する高分子物質が新たに溶媒相1a中に移動すると考えられる。このとき、検出強度IはΔIだけ変化するが、この変化量ΔIは分子量Mを有する高分子物質の量に対応すると考えられるので、検出強度の変化率は分子量に対する高分子物質の量の変化率に対応する。 よって、検出強度の変化率を分子量に対する高分子物質の量の変化率に変換することにより、高分子物質の分子量分布が求められる。高分子物質の量は検出方法により数(またはモル数)単位および重量単位となり得るが、最終的に求める分子量分布は数基準および重量基準のいずれにすることも可能である。例えば本実施形態のように紫外検出器または可視検出器などを用いる場合、高分子物質の量は数(またはモル数)単位となるが、重量基準の分子量分布を求めたい場合には重量単位に換算可能すればよい。 1つの例として、図2(b)および(c)を参照して、圧力Pを高分子物質の分子量Mの対数logMに変換し、検出強度の変化率dI/dPを高分子物質の重量WのlogMに対する変化率dW/d(logM)に変換する。これにより得られたdW/d(logM)の曲線が分子量分布を示している。 上記のような変換は、分子量分布なし(Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)=1)と仮定し得る程度に分子量分布が十分に狭く、平均分子量が異なる高分子物質を含む一連の標準試料の検出強度を同じ条件で測定し、これにより予め作成した較正式または較正曲線を用いて実施できる。このような標準試料は、任意の方法により準備してよいが、例えばリビング重合を利用して調製することが可能である。標準試料全体に対する高分子物質の割合は測定対象の試料1と同等とし得るが、場合により、種々の割合の標準試料を用いてよい。 以上のようにして、高分子物質の分子量分布が測定される。 加えて、高分子物質が溶媒相中に全く溶解しない状態から、溶媒相中に完全に溶解する状態まで遷移させて分子量分布の全体を測定した場合には、得られた分子量分布から、高分子物質の代表的な分子量、例えば平均分子量およびピーク分子量(これらは重量基準および数基準のいずれであってもよい)などを求めることができ、更に、高分子物質を定量することができる。 上記の微分、曲線近似、変換(または較正)、平均分子量およびピーク分子量の算出、ならびに定量などは適当な数学的手法によりコンピュータを用いて実施してよいが、本発明はこれに限定されない。 以上、本発明の模式的な態様を通じて測定原理を説明したが、本発明は種々の改変が可能である。例えば圧力を上昇させることに代えて低下させてもよい。あるいは、圧力と温度とを変更して、圧力一定の下で温度を上昇および低下のいずれかにより変化させてもよい。圧力および温度は適宜設定してよいが、例えば約0.1〜200MPaの範囲内および約20〜300℃の範囲内とされる。 また例えば、図3に示すように、セル3を単なる容器3’に置換し、ポンプ(図示せず)などを用いて、容器3’から溶媒相1aを取り出し、別途設けたフローセル15に通して容器3’に戻し、このセル15において検出器(図示せず)により検出強度を測定するようにしてもよい。 また、本実施形態では紫外(UV(Ultra Violet))検出器または可視(VIS(Visible))検出器などを用いるものとしたが、その他の検出器、例えばフォトダイオードアレイ(PDA(Photo Diode Array))検出器、示差屈折率(RI(Refractive Index))検出器、電気電導度(CD(Conductivity Detector))検出器、蛍光(FL(Fluorescence))検出器、化学発光(CL:Chemiluminescence)検出器、光散乱(LS:Light Scattering、蒸発光散乱および多角度光散乱を含む)検出器などを用いることが可能である。2.測定対象および試料成分 本発明による分子量分布の測定方法は種々の高分子物質に対して適用できる。高分子物質はフッ素含有ポリマーを高分子化合物として含むものであってよい。フッ素含有ポリマーは樹脂状(フッ素樹脂)およびエラストマー状(フッ素ゴム)であってよく、例えば、重合体における単量体のモル分率が最も多い単量体(以下、「最多単量体」)がTFE(テトラフルオロエチレン)であるTFE重合体、最多単量体がVDF(フッ化ビニリデン)であるVDF重合体、および最多単量体がCTFE(クロロトリフルオロエチレン)であるCTFE重合体などが挙げられる。 TFE重合体は、TFE単独重合体であってもよいし、(1)TFEと、(2)炭素原子2〜8個を有する1つまたは2つ以上のTFE以外のフッ素含有単量体、特にHFP(ヘキサフルオロプロピレン)もしくはCTFEおよび(3)その他の単量体の少なくとも一方とからなる共重合体であってもよい。上記(3)その他の単量体としては、例えば、炭素原子1〜5個、特に炭素原子1〜3個を有するアルキル基を持つフルオロ(アルキルビニルエーテル);フルオロジオキソール;パーフルオロアルキルエチレン;ω−ヒドロパーフルオロオレフィンなどが挙げられる。 また、TFE重合体は、TFEと、1つまたは2つ以上のフッ素非含有単量体との共重合体であってもよい。上記フッ素非含有単量体としては、例えばエチレン、プロピレンなどのアルケン類;ビニルエステル類;ビニルエーテル類が挙げられる。 また、TFE重合体は、TFEと、炭素原子2〜8個を有する1つまたは2つ以上のフッ素含有単量体と、1つまたは2つ以上のフッ素非含有単量体との共重合体であってもよい。 VDF重合体は、VDF単独重合体であってもよいし、(1)VDFと、(2)炭素原子2〜8個を有する1つまたは2つ以上のVDF以外のフルオロオレフィン、特にTFE、HFPもしくはCTFEおよび(3)炭素原子1〜5個、特に炭素原子1〜3個を有するアルキル基を持つパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の少なくとも一方とからなる共重合体などであってもよい。 CTFE重合体は、CTFE単独重合体であってもよいし、(1)CTFEと、(2)炭素原子2〜8個を有する1つまたは2つ以上のCTFE以外のフルオロオレフィン、特に、TFEもしくはHFPおよび(3)炭素原子1〜5個、特に炭素原子1〜3個を有するアルキル基を持つパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の少なくとも一方とからなる共重合体であってもよい。 また、CTFE重合体は、CTFEと、1つまたは2つ以上のフッ素非含有単量体との共重合体であってもよい。上記フッ素非含有単量体としては、エチレン、プロピレンなどのアルケン類;ビニルエステル類;ビニルエーテル類などが挙げられる。 本発明は、GPC法を適用できないフッ素含有ポリマー、例えばビニリデン系以外のフッ素樹脂、特にTFE系フッ素樹脂を高分子化合物として含む高分子物質を測定対象とすることが可能である。このようなTFE系フッ素樹脂には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などが挙げられる。 本明細書中、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)およびテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)は重合体中に変性モノマーが組み込まれた変性物(それぞれ変性PTFE、変性FEPおよび変性PFAと呼ぶ)をも含む意味で用いるものとする。変性物は非溶融加工性であり得る。 変性モノマーの例としては、HFP(変性FEPの場合を除く)およびCTFEなどのパーハロオレフィン;炭素原子1〜5個、特に炭素原子1〜3個を有するアルキル基を持つフルオロ(アルキルビニルエーテル)(変性PFAの場合、パーフルオロアルキルビニルエーテルを除く);フルオロジオキソールなどの環式のフッ素化された単量体;パーハロアルキルエチレン;ω−ヒドロパーハロオレフィンなどが挙げられる。変性物中の変性モノマー含有率は通常、約0.001〜2モル%の範囲である。 しかし、本発明はこれに限定されず、任意の高分子化合物を含む物質を測定対象とすることができる。 本発明を適用するに際し、測定対象である高分子物質は溶媒などと合わせて試料の形態とする。使用する溶媒は高分子物質の組成に応じて適切に選択される。このような溶媒は液体のみならず、超臨界流体または亜臨界流体であってよい。本明細書において「超臨界流体」とは、一般的に知られているように、温度Tおよび圧力Pがその臨界点(臨界温度(Tc)および臨界圧力(Pc)の双方)を超える条件下(P−T線図では、T>TcかつP>Pcである領域)にある流体を意味する。また、「亜臨界流体」は一般的には必ずしも明確に規定されるものではないが、本明細書においては、温度Tおよび圧力Pが、T/Tc≧0.7かつP/Pc≧0.7であって、T/Tc≦1およびP/Pc≦1の少なくとも一方を満たす条件下(P−T線図では、T≧0.7TcかつP≧0.7Pcである領域から、T>TcかつP>Pcである超臨界領域を除いたL字形の領域)にある流体を意味する。 フッ素樹脂を含む高分子物質を測定対象とする場合、溶媒には二酸化炭素(CO2)、好ましくは超臨界または亜臨界二酸化炭素を用いることができる(例えば特許文献1を参照のこと)。二酸化炭素は、Tc=約31.1℃より高い温度およびPc=約7.38MPaより高い圧力条件下において超臨界流体となり、また、必ずしも明確に規定できないものの概略的には約20〜300℃および約5〜30MPaの温度および圧力条件下において亜臨界流体となる。 また、フッ素樹脂を含む高分子物質を測定対象とする場合、溶媒にはフッ素含有化合物を用いることもできる。このようなフッ素含有化合物には、例えばHFC−23(トリフルオロメタン)、HFC−32(ジフルオロメタン)、HFC−125(ペンタフルオロエタン)、HFC−134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)、HFC−143a(1,1,1−トリフルオロエタン)、HFC−152a(1,1−ジフルオロエタン)などが挙げられる。 上記試料には水、アルコール、アセトンおよびフッ素含有ハロゲン化炭化水素からなる群から選択される少なくとも1種の助剤が添加されていてよい。これらは溶解助剤として機能し得、高分子物質がフッ素樹脂を含み、溶媒を超臨界CO2とする場合に特に適する。アルコールには、例えばメタノール、エタノールや、一般式Rf−CH2OH(式中、Rfはフルオロアルキル基)で代表されるような含フッ素アルコール、例えばC2F5CH2OH(ヘキサフルオロプロパノール)などを用いてよく、フッ素含有ハロゲン化炭化水素には、例えばHCFC−141b(1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン)、CFC−113(1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン)などを用いてよい。助剤の量は特に限定されず、適宜設定してよい。 本発明はフッ素樹脂の研究開発および合成プロセス開発などに利用可能である。本発明の1つの態様における測定装置の概略模式図である。本発明を説明するためのグラフであり、図2(a)は圧力Pに対する検出強度Iのグラフ、図2(b)は圧力Pに対する検出強度の変化率dI/dPのグラフ、および図2(c)は高分子物質の分子量分布を示すグラフである。本発明のもう1つの態様における測定装置の概略模式図である。符号の説明 1 高分子物質および溶媒を含む試料 1a 溶媒相 1b 高分子物質相 3、3’ 容器 5 蓋 7 光源 9 計測器 11、13 光 15 検出器 20、30 測定装置 高分子物質の分子量分布を測定する方法であって、 高分子物質および溶媒を含む試料を入れた容器内の圧力を上昇および低下のいずれかにより変化させて種々の圧力とし、 試料の溶媒相中に存在する高分子物質を該種々の圧力下にて検出して検出強度を測定し、 圧力に対する検出強度の変化率を求め、および 圧力に対する検出強度の変化率を、分子量に対する高分子物質の量の変化率に変換することによって、高分子物質の分子量分布を求めることを含む方法。 圧力に代えて温度を用いる、請求項1に記載の方法。 高分子物質がフッ素樹脂を含む、請求項1または2に記載の方法。 溶媒が超臨界または亜臨界二酸化炭素である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。 溶媒がフッ素含有化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。 試料が水、アルコール、アセトンおよびフッ素含有ハロゲン化炭化水素からなる群から選択される少なくとも1種の助剤を更に含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。 【課題】 高分子物質の分子量分布を測定することが可能な新規な方法を提供する。【解決手段】 高分子物質および溶媒を含む試料を入れた容器内の圧力Pを上昇および低下のいずれかにより変化させて種々の圧力とし、試料の溶媒相中に存在する高分子物質を該種々の圧力下にて検出して検出強度Iを測定し、圧力Pに対する検出強度の変化率dI/dPを求め、そして、圧力Pに対する検出強度の変化率dI/dPを、分子量Mに対する高分子物質の量の変化率、例えばdW/d(logM)に変換することによって、高分子物質の分子量分布を求める。この方法において圧力に代えて温度を用いて高分子物質の分子量分布を求めてもよい。【選択図】図2


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