タイトル: | 公開特許公報(A)_液晶ポリマーおよび液晶エラストマー、並びにそれらの製造に用いるメソゲン |
出願番号: | 2005232543 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C07C 69/92,C08G 77/38,C07C 255/55,C07C 205/43,C09K 19/38,C09K 19/20 |
林 久夫 関岡 亮太 JP 2007045759 公開特許公報(A) 20070222 2005232543 20050810 液晶ポリマーおよび液晶エラストマー、並びにそれらの製造に用いるメソゲン 学校法人 龍谷大学 597065329 特許業務法人原謙三国際特許事務所 110000338 林 久夫 関岡 亮太 C07C 69/92 20060101AFI20070126BHJP C08G 77/38 20060101ALI20070126BHJP C07C 255/55 20060101ALI20070126BHJP C07C 205/43 20060101ALI20070126BHJP C09K 19/38 20060101ALI20070126BHJP C09K 19/20 20060101ALI20070126BHJP JPC07C69/92C08G77/38C07C255/55C07C205/43C09K19/38C09K19/20 8 OL 39 特許法第30条第1項適用申請有り 2005年2月16日 龍谷大学発行の「2004年度(平成16年度)修士論文要旨集」に発表 4H006 4H027 4J246 4H006AA01 4H006AA03 4H006AB46 4H006AB64 4H006BJ50 4H006BP30 4H006KA31 4H006QN30 4H027BA01 4H027BA13 4H027CC02 4H027CC04 4J246AA03 4J246AA20 4J246AB01 4J246AB15 4J246BA02X 4J246BA020 4J246BB02X 4J246BB020 4J246BB022 4J246CA01U 4J246CA01X 4J246CA010 4J246CA24E 4J246CA24U 4J246CA24X 4J246CA240 4J246CA56M 4J246CA56X 4J246CA560 4J246CA63M 4J246CA63X 4J246CA630 4J246CA72M 4J246CA72X 4J246CA720 4J246CA78M 4J246CA78X 4J246CA780 4J246CB06 4J246FA222 4J246FA442 4J246FA452 4J246FA462 4J246FC012 4J246GB11 4J246GC60 4J246HA48 本発明は、ポリシロキサンを主鎖とする側鎖型液晶ポリマーおよび側鎖型液晶エラストマー、並びにそれらの製造に用いる、ビニル基を有するメソゲン(メソゲン基を持つ化合物)に関するものである。 通常の(液晶性を持たない)熱可塑性ポリマーは、たとえ結晶性ポリマーであっても溶融状態ではランダムである。これに対して、液晶ポリマーは、溶融状態で分子の配向がみられ、その配向したドメインの絡み合いが少ないのが特徴である。しかも、液晶ポリマーは、温度を下げても溶融状態における分子配向がそのまま固定されるので、種々の優れた力学的性質を有している。 液晶ポリマーとして、メソゲン基(棒状の分子鎖等のような剛性の分子鎖部分)がポリマーの主鎖に挿入された構造を持つ主鎖型液晶ポリマーと、ポリマーの側鎖にスペーサー(柔軟な分子鎖部分)を介してメソゲン基(剛性の分子鎖部分)が結合した構造を持つ側鎖型液晶ポリマーとが知られている。 側鎖型液晶ポリマーにおいて、ポリマー主鎖に対するメソゲン基の配向は、メソゲン基の構造と屈曲性をもつスペーサ(ポリマー主鎖とメソゲン基とをつなぐ炭素鎖)の長さとによって決まる。また、側鎖型液晶ポリマーでは、応力によってポリマー骨格鎖に異方性がもたらされ、カップリングにより巨視的な配向がおこる。また、側鎖型液晶ポリマーの液晶相は、主鎖型液晶エラストマーの液晶相よりも熱的に安定であり、扱いやすい。 1981年にポリシロキサンを主鎖とする液晶エラストマーが合成されて以来、多くの液晶エラストマーが報告されている。液晶エラストマーは、以下の2つの要素 (a)液晶性を示すための自己集合しうるメソゲン (b)ゴム弾性を示す架橋結合を併せ持っている。液晶エラストマーでは、ポリマー主鎖同士が架橋されていることにより、ポリマー鎖の転移が抑制され、エラストマーの形状が維持される。そのため、液晶エラストマーは、低分子量の液晶の特性と液晶ポリマーの特性とを持っている。また、液晶エラストマーは、ゴム弾性を示す特性がある。架橋密度が低い場合、メソゲン基はポリマーネットワーク(架橋結合によって形成された網目構造)によって配向を阻害されることなく、容易に配向するが、架橋点付近ではメソゲン基の配向が制限される。つまり、液晶エラストマーは、液晶ポリマーの性質と、ゴム弾性による形状維持の性質とを併せ持っている。また、これらの性質により、ポリマーネットワーク中に結合されたメソゲン基が外部圧力により配向しうる。その結果、ポリドメイン中にモノドメインが発生し、いたるところで外部圧力の方向に配向するようになる。また、液晶エラストマーは、ゴム弾性による形状の維持と、架橋結合とにより、ポリマー鎖の長さが不均一であることにより生じるデメリットを抑えることができる。 側鎖型液晶エラストマーは、側鎖型液晶ポリマーを部分的に架橋することにより合成することができる。側鎖型液晶エラストマーは、例えば、後から架橋するための官能基を有する高分子前駆体を合成しておき、官能基と架橋剤との化学反応による架橋する方法で合成される。このように架橋することにより、架橋前の液晶状態が固定化された液晶エラストマーを合成することができる。上記高分子前駆体は、例えば、Si−H結合(H−Si結合)を有するポリシロキサンを、ビニル基を有する側鎖型メソゲンとのヒドロシリル化反応によりグラフト化することにより得られる。これらの合成法において二官能性のメソゲンを一部加えることにより容易に三次元架橋も可能である。また、二官能性メソゲンを液晶状態で重合することにより、その液晶構造を三次元固定化することが試みられている。 側鎖型液晶エラストマーの中でも、ポリシロキサンを主鎖とする側鎖型液晶エラストマーは、耐熱性および耐薬品性に優れていることから有用である。 シリコーンゴムの主鎖は、ケイ素−酸素結合である。これに対し、有機ゴムの主鎖は、炭素−炭素結合である。両者の結合の原子結合エネルギーを比較すると、前者は450J/mol、後者は345J/molである。この原子結合エネルギーの差が、シリコーンゴムが有機ゴムより耐熱性に優れている主因となっている。シリコーンゴムの耐熱使用温度範囲は、一般に260℃以下となっている。シリコーンゴムの熱劣化現象には2つある。1つの劣化現象は、ポリマー主鎖が分解してシリコーンゴムが軟化するもので、主に、ゴムを密封状態で加熱した場合にみられるものである。この現象は、シリコーンゴム中に架橋剤分解残渣(残留架橋剤)や水分、その他の不純物が含まれるときに起こり易い。もう1つの劣化現象は、加熱によりポリマー主鎖間の架橋がさらに進行し、シリコーンゴムが硬さを増してもろくなる現象である。個々のシリコーンゴムの耐熱性は、その配合、成形条件等により異なるが、耐熱性を左右する主な因子は使用する生ゴムの種類、耐熱安定剤の種類、充填剤の種類、架橋剤の種類、二次架橋などと考えられている。シリコーンゴムは、電気的特性の温度依存性や周波数依存性が少なく、電機絶縁材料として優れた特性を示す。シリコーンゴムは、熱的依存性に関しては、非晶質で、ガラス転移温度(Tg)が他のゴムと比べて小さいのが特徴である。シリコーンゴムは、低温になっても硬さの変化が少なく、また、高温時の耐熱性が優れている。また、シリコーンゴムは、溶剤で膨潤した後に溶剤が飛散するとほぼ元の特性を示す。シリコーンゴムは、電気特性および耐薬品性は良好であるが、引裂強さなどについては一層の改善が望まれている。 ポリシロキサンを主鎖とし、炭素鎖を含む架橋結合により架橋された側鎖型液晶エラストマーは、特性の改善されたシリコーンゴムとしても有望である。 ポリシロキサンを主鎖とし、炭素鎖を含む架橋結合により架橋された液晶エラストマーとしては、例えば、ポリメチルヒドロシロキサン(メチルハイドロジェンポリシロキサン)と、次の2種類のメソゲン H2C=CH−CH2−CH2−C6H4−CO2−C6H4−CN H2C=CH−CH2−CH2−C6H4−CO2−C6H4−OCH3および架橋剤とのヒドロシリル化反応によって得られるものが知られている(特許文献1および非特許文献1参照)。米国特許第5,385,690号(1993年2月18日国際公開) ところが、特許文献1に記載されている側鎖型液晶エラストマーは、メソゲン基(この場合、−C6H4−CO2−C6H4−CNまたは−C6H4−CO2−C6H4−OCH3)に含まれる芳香環の数が2つであり、かつ、スペーサ長(ポリマー主鎖とメソゲン基とをつなぐ炭素鎖の長さ)が4であるため、メソゲン基が配列しにくく、したがって、液晶温度範囲(液晶相を示す温度範囲)が狭いという欠点を有している。 本発明は、上記従来のポリシロキサンを主鎖とする側鎖型液晶エラストマーの欠点に鑑みなされたものであり、その目的は、液晶温度範囲の広い、新規な、ポリシロキサンを主鎖とする側鎖型液晶ポリマーおよび側鎖型液晶エラストマー、並びにそれらの製造に用いるビニル基を有するメソゲンを提供することにある。 本発明に係る側鎖型液晶ポリマーは、上記の課題を解決するために、下記一般式 (上記式中、R1は、炭素数1〜20のアルキレン基であって、該アルキレン基中の両端を除く1以上の炭素原子が酸素原子、カルボニル基、硫黄原子、または窒素原子で置換されていてもよく、また、該アルキレン基中の1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよいアルキレン基を示し、Arは、置換基を有していてもよいアリール基を示す)で表されるメソゲンであって、(1)R1の鎖長が3以上である、(2)Arが2つ以上の芳香環を含む、の少なくとも一方を満足するメソゲンと、Si−H結合を有するポリシロキサンとの間のヒドロシリル化反応によって得られるものであることを特徴としている。 本発明に係る側鎖型液晶エラストマーは、上記の課題を解決するために、上記一般式で表されるメソゲンであって、(1)R1の鎖長が3以上である、(2)Arが2つ以上の芳香環を含む、の少なくとも一方を満足するメソゲン、および2つ以上のビニル基を有する化合物である架橋剤と、Si−H結合を有するポリシロキサンとの間のヒドロシリル化反応によって得られるものであることを特徴としている。 上記構成の液晶ポリマーおよび液晶エラストマーは、「R1の鎖長が3以上であることで、スペーサ長(ポリマー主鎖とメソゲン基とをつなぐ炭素鎖の長さ)が5以上となっている」、「Arが2つ以上の芳香環を含むことで、メソゲン基の剛直性が増大し、配向しやすくなっている」の少なくとも一方を満足する。したがって、上記構成の液晶ポリマーおよび液晶エラストマーは、配向しやすいので、液晶温度範囲が広い。 本発明に係るメソゲンは、上記一般式で表されるメソゲンであって、(1)R1の鎖長が3以上である、(2)Arが2つ以上の芳香環を含む、の少なくとも一方を満足することを特徴としている。 上記構成のメソゲンは、本発明に係る液晶ポリマーおよび液晶エラストマーを製造するための製造中間体として有用である。 本発明に係るメソゲンは、本発明に係る液晶ポリマーおよび液晶エラストマー以外の液晶ポリマーおよび液晶エラストマーに用いた場合にも、液晶温度範囲の広い液晶ポリマーおよび液晶エラストマーが得られると考えられる。したがって、本発明に係るメソゲンは、本発明に係る液晶ポリマーおよび液晶エラストマー以外の液晶ポリマーおよび液晶エラストマーの製造にも有用であると考えられる。本発明に係る液晶ポリマー以外の液晶ポリマーは、本発明に係るメソゲンを、Si−H結合を有するポリシロキサン以外の、ビニル基と反応可能な部位を含むポリマー(例えば、メタクリル基、アクリル基、ビニルエーテル基等の重合性官能基を持つポリマー)と反応させることによって得ることができる。本発明に係る液晶エラストマー以外の液晶エラストマーは、同様の反応において、架橋剤を添加するか、あるいはγ線照射などにより架橋結合を形成することによって得られる。 なお、本願明細書においては、架橋結合を有する高分子を「エラストマー」、架橋結合を有さない高分子を「ポリマー」と区別して呼ぶ。 本発明によれば、以上のように、液晶温度範囲の広い、新規な、ポリシロキサンを主鎖とする側鎖型液晶ポリマーおよび側鎖型液晶エラストマー、並びにそれらの製造に用いるビニル基を有するメソゲンを提供することができる。 本発明について、詳細に説明する。本発明に係るメソゲンは、下記一般式(上記式中、R1は、炭素数1〜20のアルキレン基であって、該アルキレン基中の両端を除く1以上の炭素原子が酸素原子、カルボニル基、硫黄原子、または窒素原子で置換されていてもよく、また、該アルキレン基中の1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよいアルキレン基を示し、Arは、置換基を有していてもよいアリール基を示す)で表されるメソゲンであって、(1)R1の鎖長が3以上である、(2)Arが2つ以上の芳香環を含む、の少なくとも一方を満足するものである。すなわち、本発明に係るメソゲンは、(a)上記一般式で表され、R1の鎖長が3以上であり、Arが芳香環を1つだけ含むメソゲン、(b)上記一般式で表され、R1の鎖長が1または2であり、Arが2つ以上の芳香環を含むメソゲン、(c)上記一般式で表され、R1の鎖長が3以上であり、Arが2つ以上の芳香環を含むメソゲン、のいずれかである。 (a)のタイプのメソゲンとしては、Arが極性基を有するものが好ましい。具体的には、(a)のタイプのメソゲンとしては、4−メトキシフェニル基、4−シアノフェニル基、または4−ニトロフェニル基であるものが好ましく、Arが4−シアノフェニル基または4−ニトロフェニル基であるものがより好ましく、Arが4−シアノフェニル基であるものが最も好ましい。これにより、分子軸方向での末端基の極性が強くなるので、配向しやすいメソゲンを実現できる。したがって、液晶温度範囲の広い液晶ポリマーあるいは液晶エラストマーを製造できるメソゲンを実現できる。 (b)および(c)のタイプのメソゲンとしては、Arが、置換基を有していてもよいビフェニル基であるメソゲンがより好ましい。(b)および(c)のタイプのメソゲンとしては、Arが、4−シアノビフェニル基であるメソゲンがさらに好ましい。これにより、分子軸方向での末端基の極性が強くなるので、配向しやすいメソゲンを実現できる。したがって、液晶温度範囲の広い液晶ポリマーあるいは液晶エラストマーを製造できるメソゲンを実現できる。 (a)〜(c)のタイプのメソゲンのうち、(c)のタイプのメソゲンが最も好ましい。(c)のタイプのメソゲンは、芳香環が多いために剛直性が増大して配向しやすくなっており、かつ、メソゲンのビニル基をポリマーに結合させて液晶ポリマーあるいは液晶エラストマーとしたときのスペーサ長を5以上と長くすることができる。したがって、(c)のタイプのメソゲンは、液晶温度範囲の広い液晶ポリマーあるいは液晶エラストマーの製造に利用できる。 R1としては、より柔軟な二価基が好ましく、直鎖状のアルキレン基、例えば、ジメチレン基(鎖長2)、トリメチレン基(鎖長3)、テトラメチレン基(鎖長4)等が特に好ましい。 本発明に係るメソゲンは、例えば、下記の合成経路(DCCはジシクロヘキシルカルボジイミド、PPは4−ピロリジノピリジンを表す)により、合成することができる(実施例参照)。 1段目の反応は、Williamsonエーテル合成反応である。この反応は、4−ヒドロキシ安息香酸に対して水酸化ナトリウムを作用させることで、4−位のヒドロキシ基からプロトンを脱離させて陰イオンを生成し、この陰イオンを、ブロモ基を有する化合物と反応させるものである。Williamsonエーテル合成反応は、公知の種々の変形が可能であり、水酸化ナトリウムの代わりに、水酸化カリウムなどの他の塩基を使用したり、ブロモ基を有する化合物の代わりに、ブロモ基以外のハロゲン基を有する化合物、硫酸ジアルキル、スルホン酸エステル、硫酸エステル等を使用したりすることができる。一段目の反応に用いるブロモ基を有する化合物としては、市販品、あるいは公知の合成法により合成したものを使用することができる。 2段目の反応は、1段目の反応で得られた4−(ペンチ(pent)−5−エニロキシ(enyloxy))安息香酸と、Ar−OHとを、ジシクロヘキシルカルボジイミドおよび触媒量の4−ピロリジノピリジンを用いて脱水縮合させるエステル化反応である。ジシクロヘキシルカルボジイミドに代えて、他の脱水縮合剤を用いてもよく、4−ピロリジノピリジンに代えて、他の塩基触媒を用いてもよい。 Ar−OHとしては、市販品、あるいは公知の合成法により合成したものを使用することができる。 本発明に係る液晶ポリマーは、本発明に係るメソゲンと、Si−H結合を有するポリシロキサンとの間のヒドロシリル化反応によって得られる構造を持つもの(上記反応によって得られるものと同一の構造を持つ、他の反応によって得られるものも含む)である。 上記ヒドロシリル化反応は、本発明に係るメソゲンと、Si−H結合を有するポリシロキサンとを、Si−H結合のビニル基への付加を促進する触媒の存在下で反応させることにより行うことができる。 Si−H結合を有するポリシロキサンは、少なくとも2つのSi−H結合を有することが好ましく、ポリシロキサン中のSi原子数に対して約50%以上のSi−H結合を有することがより好ましく、ポリシロキサン中のSi原子数に対して約100%のSi−H結合を有することが最も好ましい。Si原子数に対して約50%以上のSi−H結合を有するポリシロキサンとしては、例えば、ポリメチルヒドロシロキサンとポリメチルヒドロシロキサンとジメチルポリシロキサンとの1:1共重合体(Si原子数に対して約50%のSi−H結合を有する)、ポリメチルヒドロシロキサン(Si原子数に対して約100%のSi−H結合を有する)等が挙げられる。Si−H結合を有するポリシロキサンは、繰り返し単位数(Si原子数)が、20以上であることが好ましく、50以上であることがより好ましく、100以上であることがさらに好ましい。 上記のヒドロシリル化反応に用いる触媒としては、公知のヒドロシリル化反応に用いられている種々の触媒、すなわち、白金またはその錯体、ルテニウム錯体、ロジウム錯体、パラジウム錯体、ニッケル錯体、コバルト錯体などを用いることができる。これらのうち、白金またはその錯体が好適である。 本発明に係るメソゲンの使用量は、ポリシロキサン中のSi−H結合数に対して0.2倍〜2倍、好ましくは1倍を超え1.5倍以下となるようにすればよい。 なお、上記の液晶ポリマーを合成するためのヒドロシリル化反応においては、液晶ポリマーの液晶性を損なわない範囲で、本発明に係るメソゲンを複数種類用いたり、Si−H結合を有するポリシロキサンを複数種類用いたり、本発明に係るメソゲン以外の、ビニル基を有する化合物を本発明に係るメソゲンと併用したりしてもよい。 本発明に係る液晶エラストマーは、本発明に係るメソゲン、および2つ以上のビニル基を有する化合物である架橋剤と、Si−H結合を有するポリシロキサンとの間のヒドロシリル化反応によって得られる構造を持つもの(上記反応によって得られるものと同一の構造を持つ、他の反応によって得られるものも含む)である。 上記ヒドロシリル化反応は、本発明に係るメソゲン、および2つ以上のビニル基を有する化合物である架橋剤と、Si−H結合を有するポリシロキサンとを、Si−H結合のビニル基への付加を促進する触媒の存在下で反応させることにより行うことができる。 Si−H結合を有するポリシロキサンの例および好ましい形態は、液晶ポリマーの場合と同様である。また、上記のヒドロシリル化反応に用いる触媒の例および好ましい形態も、液晶ポリマーの場合と同様である。 上記架橋剤は、芳香環を含むことが好ましく、芳香環とビニル基との間にスペーサを有していることがより好ましく、下記一般式 (上記式中、R2およびR3はそれぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキレン基であって、該アルキレン基中の両端を除く1以上の炭素原子が酸素原子、カルボニル基、硫黄原子、または窒素原子で置換されていてもよく、また、該アルキレン基中の1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよいアルキレン基を示す)で表される化合物であることがさらに好ましい。これにより、メソゲンが配向しやすくなり、より液晶温度範囲の広い液晶エラストマーを実現できる。 上記一般式で表される化合物(架橋剤)は、R2およびR3が同一である場合、以下のWilliamsonエーテル合成反応により合成できる(実施例参照)。この反応は、前述したような種々の変形が可能である。この反応の出発物質としては、市販品、あるいは公知の合成法により合成したものを使用することができる。 本発明に係るメソゲンの使用量は、ポリシロキサン中のSi−H結合数に対して0.2倍〜2倍、好ましくは約0.8倍〜1.2倍の範囲内となるようにすればよい。また、架橋剤の使用量は、ポリシロキサン中のSi−H結合数に対して0.05倍〜0.5倍となるようにすればよい。 なお、上記の液晶エラストマーを合成するためのヒドロシリル化反応においては、液晶エラストマーの液晶性および架橋結合を損なわない範囲で、本発明に係るメソゲンを複数種類用いたり、Si−H結合を有するポリシロキサンを複数種類用いたり、架橋剤を複数用いたり、本発明に係るメソゲン以外の、ビニル基を有する化合物を本発明に係るメソゲンと併用したりしてもよい。 本実施例では、異なる極性を持つ3種類の末端基、シアノ基、ニトロ基、およびメトキシ基をそれぞれ持つ3種類のメソゲンと、これらメソゲンに対して芳香環を増やした構造の2種類のメソゲンを合成し、これら5種類のメソゲンから、5種類の液晶ポリマーおよび5種類の液晶エラストマーを合成した。そして、これら5種類のメソゲン、5種類の液晶ポリマー、および5種類の液晶エラストマーの相転移挙動を偏光顕微鏡およびDSC(示差走査熱量分析)を用いて調べた。 本実施例で用いた5種類のメソゲンのうちの4種類のメソゲンを以下に示す。 〔試薬〕 以下の実施例中で用いた試薬を以下に列記する。 5−ブロモ−1−ペンテン(東京化成工業株式会社製) 6−ブロモ−1−ヘキセン(東京化成工業株式会社製) 2−プロパノール(東京化成工業株式会社製) ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(東京化成工業株式会社製) 4−ピロリジノピリジン(PP)(東京化成工業株式会社製) 4−シアノ−4’−ヒドロキシビフェニル(和光純薬工業株式会社製) 4−4`−ヒドロキシビフェニル(和光純薬工業株式会社製) エタノール(和光純薬工業株式会社製) 水酸化ナトリウム(和光純薬工業株式会社製) ブタノン(和光純薬工業株式会社製) ジクロロメタン(和光純薬工業株式会社製) 5%白金−カーボン触媒(和光純薬工業株式会社製) アセトニトリル(和光純薬工業株式会社製) 硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製) ジエチルエーテル(和光純薬工業株式会社製) ワコーゲルC−300(和光純薬工業株式会社製) メタノール(和光純薬工業株式会社製) クロロホルム(和光純薬工業株式会社製) トルエン(脱水)(和光純薬工業株式会社製) 4−シアノ−4’−ヒドロキシビフェニル(和光純薬工業株式会社製) 4−4’−ヒドロキシビフェニル(和光純薬工業株式会社製) ポリメチルヒドロシロキサン(PHMS)(Aldrich社製) 4−ヒドロキシ安息香酸(Aldrich社製) 4−メトキシフェノール(Aldrich社製) 4−シアノフェノール(Aldrich社製) 4−ニトロフェノール(Aldrich社製) ヒドロキノン(Aldrich社製) 炭酸カリウム(片山化学工業株式会社社製) 〔スペクトル測定方法〕 以下の合成例および実施例において、赤外線吸収(IR)スペクトルは、日本分光株式会社製のFT(Fourier Transform)−IRスペクトル測定装置「WS/IR−8300」を使用し、KBr法および液体用セルにより測定した。 また、以下の合成例および実施例において、1H NMR(核磁気共鳴)スペクトルは、株式会社日本BRUKER製のNMRスペクトル測定装置「Ultra Shield 400」を使用し、溶媒として重水素クロロホルム(CDCl3−d)を用いて測定した。 〔4−(ペンチ−5−エニロキシ)安息香酸の合成〕 まず、メソゲンの原料となる4−(ペンチ−5−エニロキシ)安息香酸を合成した。 エタノールに4−ヒドロキシ安息香酸(0.05mol)および水酸化ナトリウム水溶液(0.1mol)を加え、5−ブロモ−1−ペンテン(0.06mol)を滴下し、24時間還流(60℃)し、反応を行った。還流終了後、反応液をエバポレーターで濃縮し、得られた残渣を蒸留水に溶かし、水溶液を得た。その水溶液に塩酸を加え酸性化によって結晶を析出させた。析出した結晶が析出した水溶液をろ過することによって結晶をろ別した。ろ別された結晶を、エタノールと蒸留水との混合溶媒(体積比1:1)で再結晶した。その結果、白色結晶(1.4−(ペンチ−5−エニロキシ)安息香酸)が、収量5.14g、収率76.4%で得られた。 1.4−(ペンチ−5−エニロキシ)安息香酸の合成経路を以下に示す。 1H−NMRスペクトルおよびFT−IRスペクトルにより、得られた白色結晶が4−(ペンチ−5−エニロキシ)安息香酸であることを同定した。4−(ペンチ−5−エニロキシ)安息香酸の1H−NMRスペクトル(溶媒:CDCl3)およびFT−IRスペクトル(KBr法)を図1および図9に示す。また、1H−NMRスペクトルのピーク値およびFT−IRスペクトルの吸収ピーク値を以下に示す。 1H−NMR:σH=8.1ppm(d,2H),6.9ppm(d,2H),5.85ppm(m,1H),5.1ppm(d,2H),5.0ppm(d,2H),4.0ppm(t,2H),2.25ppm(m,2H),1.95ppm(m,2H) FT−IR:νmax=2850〜2960cm−1(CH2の伸縮振動),1700〜1725cm−1(芳香族カルボン酸),1620〜1680cm−1(C=C伸縮振動),1510cm−1(ベンゼンの面内骨格振動),1260cm−1(CH=CHのハサミ),1210〜1320cm−1(C=O伸縮振動),845cm−1(p−置換ベンゼンの面外変角振動) 次に、ここで4−(ペンチ−5−エニロキシ)安息香酸を用いて、以下の実施例1〜5にて、5種類のメソゲンを合成した。 〔実施例1〕 まず、4−メトキシフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエートを合成した。 氷浴に浸した反応容器中で、4−(ペンチ−5−エニロキシ)安息香酸(0.02mol)と4−メトキシフェノール(0.02mol)と4−ピロリジノピリジン(0.02mol)とをジクロロメタンに溶解させた。次いで、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)をジクロロメタンに溶かした溶液を、反応容器の内容物を撹拌しながら、反応容器内の溶液に滴下し、滴下終了後、反応容器の内容物を12時間攪拌した。そして、反応容器の内容物をエバポレーターで濃縮し、ジエチルエーテル(300ml)および蒸留水(200ml)で抽出を行った。抽出により得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過によって無水硫酸ナトリウムを取り除いた。ろ過により得られたろ液をエバポレーターで濃縮し、結晶を析出させた。析出した結晶から主生成物をカラムクロマトグラフィー(カラム充填材:シリカゲル、展開溶媒:クロロホルム)によって単離し、単離された主生成物(結晶)をエタノールで再結晶した。その結果、針状結晶(4−メトキシフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエート)が、収量1.34g、収率81.3%で得られた。 4−メトキシフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエート(以下、「メソゲンM1」と称する)の合成経路を以下に示す。 1H−NMRスペクトルおよびFT−IRスペクトルにより、得られた針状結晶が4−メトキシフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエートであることを同定した。4−メトキシフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエートの1H−NMRスペクトル(溶媒:CDCl3)およびFT−IRスペクトル(KBr法)を図2および図10に示す。また、1H−NMRスペクトルのピーク値およびFT−IRスペクトルの吸収ピーク値を以下に示す。 1H−NMR:σH=8.1ppm(d,2H),7.1ppm(d,2H),7.0ppm(d,2H),6.9ppm(d,2H),5.85ppm(m,1H),5.1ppm(d,1H),4.05ppm(t,2H),2.3ppm(m,2H),1.85ppm(m,2H) FT−IR:νmax=3060cm−1(C=Cの伸縮振動),2930〜2940cm−1(CH2の伸縮振動),2210〜2260cm−1(ニトリルの伸縮振動),740cm−1(末端ビニルの面外変角振動),1720cm−1(エステルの伸縮振動),1210〜1320cm−1(C=O伸縮振動),810〜840cm−1(p−置換ベンゼンの面外変角振動) 〔実施例2〕 次に、4−シアノフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエートを合成した。 氷浴に浸した反応容器中で、4−(ペンチ−5−エニロキシ)安息香酸(0.02mol)と4−シアノフェノール(0.02mol)と4−ピロリジノピリジン(0.02mol)とをジクロロメタンに溶解させた。次いで、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)をジクロロメタンに溶かした溶液を、反応容器の内容物を撹拌しながら、反応容器内の溶液に滴下し、滴下終了後、反応容器の内容物を12時間攪拌した。そして、反応容器の内容物をエバポレーターで濃縮し、ジエチルエーテル(300ml)および蒸留水(200ml)で抽出を行った。抽出により得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過によって無水硫酸ナトリウムを取り除いた。ろ過により得られたろ液をエバポレーターで濃縮し、結晶を析出させた。析出した結晶から主生成物をカラムクロマトグラフィー(カラム充填材:シリカゲル、展開溶媒:クロロホルム)によって単離し、単離された主生成物(結晶)をエタノールで再結晶した。その結果、針状結晶(4−シアノフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエート)が、収量1.54g、収率80%で得られた。 4−シアノフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエート(以下、「メソゲンM2」と称する)の合成経路を以下に示す。 1H−NMRスペクトルおよびFT−IRスペクトルにより、得られた針状結晶が4−シアノフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエートであることを同定した。4−シアノフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエートの1H−NMRスペクトル(溶媒:CDCl3)およびFT−IRスペクトル(KBr法)を図3および図11に示す。また、1H−NMRスペクトルのピーク値およびFT−IRスペクトルの吸収ピーク値を以下に示す。 1H−NMR:σH=8.1ppm(d,2H),7.8ppm(d,2H),7.3ppm(d,2H),7.0ppm(d,2H),5.85ppm(m,1H),5.1ppm(d,2H),4.05ppm(t,2H),3.8ppm(s,3H),2.25ppm(m,2H),1.95ppm(m,2H) FT−IR:νmax=3060cm−1(C=Cの伸縮振動),2930〜2940cm−1(CH2の伸縮振動),1540cm−1(ニトロの伸縮振動),1740cm−1(末端ビニルの面外変角振動),1720cm−1(エステルの伸縮振動),1210〜1320cm−1(C=O伸縮振動),810〜840cm−1(p−置換ベンゼンの面外変角振動) 〔実施例3〕 次に、4−ニトロフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエートを合成した。 氷浴に浸した反応容器中で、4−(ペンチ−5−エニロキシ)安息香酸(0.02mol)と4−ニトロフェノール(0.02mol)と4−ピロリジノピリジン(0.02mol)とをジクロロメタンに溶解させた。次いで、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)をジクロロメタンに溶かした溶液を、反応容器の内容物を撹拌しながら、反応容器内の溶液に滴下し、滴下終了後、反応容器の内容物を12時間攪拌した。そして、反応容器の内容物をエバポレーターで濃縮し、ジエチルエーテル(300ml)および蒸留水(200ml)で抽出を行った。抽出により得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過によって無水硫酸ナトリウムを取り除いた。ろ過により得られたろ液をエバポレーターで濃縮し、結晶を析出させた。析出した結晶から主生成物をカラムクロマトグラフィー(カラム充填材:シリカゲル、展開溶媒:クロロホルム)によって単離し、単離された主生成物(結晶)をエタノールで再結晶した。その結果、薄黄色結晶(4−ニトロフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエート)が、収量1.12g、収率78%で得られた。 4−ニトロフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエート(以下、「メソゲンM3」と称する)の合成経路を以下に示す。 1H−NMRスペクトルおよびFT−IRスペクトルにより、得られた薄黄色結晶が4−ニトロフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエートであることを同定した。4−ニトロフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエートの1H−NMRスペクトル(溶媒:CDCl3)およびFT−IRスペクトル(KBr法)を図4および図12に示す。また、1H−NMRスペクトルのピーク値およびFT−IRスペクトルの吸収ピーク値を以下に示す。 1H−NMR:σH=8.1ppm(d,2H),7.8ppm(d,2H),7.3ppm(d,2H),7.0ppm(d,2H),5.85ppm(m,1H),5.1ppm(d,2H),4.05ppm(t,2H),2.25ppm(m,2H),1.95ppm(m,2H) FT−IR:νmax=3060cm−1(C=Cの伸縮振動),2930〜2940cm−1(CH2の伸縮振動),1540cm−1(ニトロの伸縮振動),1740cm−1(末端ビニルの面外変角振動),1720cm−1(エステルの伸縮振動),1210〜1320cm−1(C=O伸縮振動),810〜840cm−1(p−置換ベンゼンの面外変角振動) 〔実施例4〕 次に、4−4’−ビフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエートを合成した。 氷浴に浸した反応容器中で、4−(ペンチ−5−エニロキシ)安息香酸(0.02mol)と4−4’−ビフェノール(0.02mol)と4−ピロリジノピリジン(0.02mol)とをジクロロメタンに溶解させた。次いで、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)をジクロロメタンに溶かした溶液を、反応容器の内容物を撹拌しながら、反応容器内の溶液に滴下し、滴下終了後、反応容器の内容物を12時間攪拌した。そして、反応容器の内容物をエバポレーターで濃縮し、ジエチルエーテル(300ml)および蒸留水(200ml)で抽出を行った。抽出により得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過によって無水硫酸ナトリウムを取り除いた。ろ過により得られたろ液をエバポレーターで濃縮し、結晶を析出させた。析出した結晶から主生成物をカラムクロマトグラフィー(カラム充填材:シリカゲル、展開溶媒:クロロホルム)によって単離し、単離された主生成物(結晶)をエタノールで再結晶した。その結果、白色結晶(4−4’−ビフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエート)が、収量1.53g、収率75%で得られた。 4−4’−ビフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエート(以下、「メソゲンM4」と称する)の合成経路を以下に示す。 1H−NMRスペクトルおよびFT−IRスペクトルにより、得られた白色結晶が4−4’−ビフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエートであることを同定した。4−4’−ビフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエートの1H−NMRスペクトル(溶媒:CDCl3)およびFT−IRスペクトル(KBr法)を図5および図13に示す。また、1H−NMRスペクトルのピーク値およびFT−IRスペクトルの吸収ピーク値を以下に示す。 1H−NMR:σH=8.2ppm(d,2H),7.65ppm(d,2H),7.4ppm(t,2H),7.0ppm(d,2H),5.85ppm(m,1H),5.1ppm(d,2H),4.05ppm(t,2H),3.8ppm(s,3H),2.25ppm(m,2H),1.95ppm(m,2H) FT−IR:νmax=3060cm−1(C=Cの伸縮振動),2930〜2940cm−1(CH2の伸縮振動),2210〜2260cm−1(ニトリルの伸縮振動),1740cm−1(末端ビニルの面外変角振動),1720cm−1(エステルの伸縮振動),1210〜1320cm−1(C=O伸縮振動),810〜840cm−1(p−置換ベンゼンの面外変角振動) 〔実施例5〕 次に、4−シアノビフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエートを合成した。 氷浴に浸した反応容器中で、4−(ペンチ−5−エニロキシ)安息香酸(0.02mol)と4−シアノビフェノール(0.02mol)と4−ピロリジノピリジン(0.02mol)とをジクロロメタンに溶解させた。次いで、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)をジクロロメタンに溶かした溶液を、反応容器の内容物を撹拌しながら、反応容器内の溶液に滴下し、滴下終了後、反応容器の内容物を12時間攪拌した。そして、反応容器の内容物をエバポレーターで濃縮し、ジエチルエーテル(300ml)および蒸留水(200ml)で抽出を行った。抽出により得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過によって無水硫酸ナトリウムを取り除いた。ろ過により得られたろ液をエバポレーターで濃縮し、結晶を析出させた。析出した結晶から主生成物をカラムクロマトグラフィー(カラム充填材:シリカゲル、展開溶媒:クロロホルム)によって単離し、単離された主生成物(結晶)をエタノールで再結晶した。その結果、白色化合物(4−シアノビフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエート)が、収量1.24g、収率72%で得られた。 4−シアノビフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエート(以下、「メソゲンM5」と称する)の合成経路を以下に示す。 1H−NMRスペクトルおよびFT−IRスペクトルにより、得られた白色化合物が4−シアノビフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエートであることを同定した。4−シアノビフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエートの1H−NMRスペクトル(溶媒:CDCl3)およびFT−IRスペクトル(KBr法)を図6および図14に示す。また、1H−NMRスペクトルのピーク値およびFT−IRスペクトルの吸収ピーク値を以下に示す。 1H−NMR:σH=8.1ppm(d,2H),7.8ppm(d,2H),7.3ppm(d,2H),7.0ppm(d,2H),5.85ppm(m,1H),5.1ppm(d,2H),4.05ppm(t,2H),2.25ppm(m,2H),1.95ppm(m,2H) FT−IR:νmax=3060cm−1(C=Cの伸縮振動),2930〜2940cm−1(CH2の伸縮振動),1540cm−1(ニトロの伸縮振動),1740cm−1(末端ビニルの面外変角振動),1720cm−1(エステルの伸縮振動),1210〜1320cm−1(C=O伸縮振動),810〜840cm−1(p−置換ベンゼンの面外変角振動) 1H−NMR:σH=8.2ppm(d,2H),7.74ppm(d,2H),7.7ppm(d,2H),7.65ppm(d,2H),7.3ppm(m,1H),7.0ppm(d,2H),5.85ppm(m,1H),5.1ppm(d,2H),4.05ppm(t,2H),2.3ppm(m2H),1.9ppm(d,2H) FT−IR:νmax=3060cm−1(C=Cの伸縮振動),2930〜2940cm−1(CH2の伸縮振動),2210〜2260cm−1(ニトリルの伸縮振動),1740cm−1(末端ビニルの面外変角振動),1720cm−1(エステルの伸縮振動),1210〜1320cm−1(C=O伸縮振動),810〜840cm−1(p−置換ベンゼンの面外変角振動) 〔実施例6〕 実施例1〜5で得られた5種類のメソゲンM−1〜M−5をそれぞれ用いて、以下の合成経路で5種類の側鎖型液晶ポリマーをそれぞれ合成した。すなわち、無水トルエン100mlに、メソゲンM−1〜M−5のいずれか(0.9mmol)、ポリメチルヒドロシロキサン(PHMS)(0.75mmol)、白金触媒を2−プロパノール中に分散させたもの2μlを加え、窒素雰囲気下で24時間還流させて反応を行った。反応終了後に反応液を冷却させた後、エバポレーターによって反応液からトルエンを蒸発させて取り除き、残渣を得た。残渣をジクロロメタンに溶解させた後、メタノール溶液で再沈殿させ、側鎖型液晶ポリマーを得た。得られた5種類の側鎖型液晶ポリマーは、いずれも白色化合物であった。 メソゲンM−1からは、収量0.134g、収率50%で側鎖型液晶ポリマー(以下、「P−1」と称する)が得られた。メソゲンM−2からは、収量0.121g、収率48%で側鎖型液晶ポリマー(以下、「P−2」と称する)が得られた。メソゲンM−3からは、収量0.142g、収率49%で側鎖型液晶ポリマー(以下、「P−3」と称する)が得られた。メソゲンM−4からは、収量0.115g、収率46%で側鎖型液晶ポリマー(以下、「P−4」と称する)が得られた。メソゲンM−5からは、収量0.154g、収率52%で側鎖型液晶ポリマー(以下、「P−5」と称する)が得られた。 側鎖型液晶ポリマーP−1〜P−5の合成経路を以下に示す。 側鎖型液晶ポリマーP−1〜P−5は、FT−IRスペクトルにより同定した。すなわち、生成物のFT−IRスペクトルでは、Si−H伸縮振動のピーク(約2200cm−1)が、ポリメチルヒドロシロキサンのFT−IRスペクトルよりも小さくなっていることから、メソゲンM−1〜M−5がポリメチルヒドロシロキサンのSi−H部分に付加し、側鎖型液晶ポリマーP−1〜P−5が生成物として得られたことを確認した。側鎖型液晶ポリマーP−1〜P−5およびポリメチルヒドロシロキサンのFT−IRスペクトルを図15に示す。 〔架橋剤の合成〕 架橋剤として1,4−ビス(ヘキシ(hex)−5−エニロキシ)ベンゼンを合成した。 乾燥ブタノン中に6−ブロモ−1−ヘキセン(0.06mol)、炭酸カリウム、およびヒドロキノンを加え、24時間(80℃)還流させた。還流後、溶液をろ過し、ろ液をエバポレーターで濃縮し、結晶を析出させた。析出した結晶から主生成物をカラムクロマトグラフィー(カラム充填材:シリカゲル、展開溶媒:クロロホルム)によって単離し、単離された主生成物(結晶)をジクロロメタンで再結晶した。その結果、針状結晶(1,4-ビス(ヘキシ-5-エニロキシ)ベンゼン)が、収量0.125g、収率35.3%で得られた。 架橋剤としての1,4-ビス(ヘキシ-5-エニロキシ)ベンゼンの合成経路を以下に示す。 1H−NMRスペクトルおよびFT−IRスペクトルにより、得られた針状結晶が1,4-ビス(ヘキシ-5-エニロキシ)ベンゼンであることを同定した。1,4-ビス(ヘキシ-5-エニロキシ)ベンゼンの1H−NMRスペクトル(溶媒:CDCl3)およびFT−IRスペクトル(KBr法)を図7および図8に示す。また、1H−NMRスペクトルのピーク値およびFT−IRスペクトルの吸収ピーク値を以下に示す。 1H−NMR:σH=8.25ppm(d,2H),7.25ppm(d,2H),6.95ppm(d,2H),6.8ppm(d,2H),5.85ppm(m,1H),4.05ppm(t,2H),3.8ppm(s,3H),2.25ppm(m,2H),1.85ppm(m,2H) FT−IR:νmax=2940cm−1(CH2の伸縮振動),1640cm−1(C=Cの伸縮振動),1505cm−1(ベンゼンの面内骨格振動),1230cm−1(CH2=CHのハサミ),1050〜1150cm−1(C−O−Cの逆対象伸縮振動),1070cm−1(C−Hの面外変角振動),910cm−1(CH2=CH−の縦ゆれ),810〜840cm−1(p−置換ベンゼンの面外変角振動) 〔実施例7〕 実施例1〜5で得られた5種類のメソゲンM−1〜M−5をそれぞれ用いて、以下の合成経路で5種類の側鎖型液晶エラストマーをそれぞれ合成した。サンプル瓶に、メソゲンM−1〜M−5の何れかと、架橋剤としての1,4−ビス(ヘキシ−5−エニロキシ)ベンゼンとを入れ、これらを純トルエンで溶解させた。そして、触媒として白金−カーボン触媒を加えて反応を開始し、室温で1時間撹拌した後、60℃で10時間加熱した。加熱後、生成物を取り出し、室温で一日乾燥させ、側鎖型液晶エラストマーを得た。得られた5種類の側鎖型液晶エラストマーは、いずれも白色化合物であった。 メソゲンM−1からは、収量0.321g、収率85.2%で側鎖型液晶エラストマー(以下、「E−1」と称する)が得られた。メソゲンM−2からは、収量0.31g、収率82.3%で側鎖型液晶エラストマー(以下、「E−2」と称する)が得られた。メソゲンM−3からは、収量0.295g、収率78.3%で側鎖型液晶エラストマー(以下、「E−3」と称する)が得られた。メソゲンM−4からは、収量0.325g、収率86.3%で側鎖型液晶エラストマー(以下、「E−4」と称する)が得られた。メソゲンM−5からは、収量0.298g、収率79.1%で側鎖型液晶エラストマー(以下、「E−5」と称する)が得られた。 側鎖型液晶エラストマーE−1〜E−5の合成経路を以下に示す。 側鎖型液晶エラストマーE−1〜E−5は、FT−IRスペクトルにより同定した。すなわち、生成物のFT−IRスペクトルでは、Si−H伸縮振動のピーク(約2200cm−1)が、ポリメチルヒドロシロキサンのFT−IRスペクトルよりも小さくなっていることから、メソゲンM−1〜M−5と架橋剤とがポリメチルヒドロシロキサンのSi−H部分に付加し、側鎖型液晶エラストマーE−1〜E−5が生成物として得られたことを確認した。側鎖型液晶エラストマーE−1〜E−5およびポリメチルヒドロシロキサンのFT−IRスペクトルを図16に示す。 〔偏光顕微鏡による観察〕 後述する偏光顕微鏡による各種試料の観察(偏光顕微鏡写真撮影)は、以下の方法で行った。偏光顕微鏡としては、メトラー・トレド株式会社製のホットステージ「FP82」およびメトラー・トレド株式会社製の加熱・冷却コントローラー「FP80」を付けたオリンパス株式会社製の光学顕微鏡「SH−2」を用いた。すべての試料を、0℃から380℃の温度範囲で加熱・冷却コントローラーを用いて加熱・冷却した加熱冷却過程を、直交ニコル下、倍率160倍で上記光学顕微鏡により観察した。 〔偏光顕微鏡によるメソゲンの観察結果〕 65℃でのメソゲンM−1の偏光顕微鏡写真、81℃でのメソゲンM−2の偏光顕微鏡写真、44.5℃でのメソゲンM−3の偏光顕微鏡写真、135℃でのメソゲンM−4の偏光顕微鏡写真、295℃でのメソゲンM−5の偏光顕微鏡写真、および145℃でのメソゲンM−5の偏光顕微鏡写真を、図17、図18、図19、図20、図21、および図22にそれぞれ示す。 メソゲンM−1〜M−5は全て、特定の温度範囲(液晶温度範囲)で液晶となり、その温度範囲よりも高い温度では等方性液体となり、その温度範囲よりも低い温度では固体結晶となった。すなわち、メソゲンM−1〜M−5は全て、サーモトロピック液晶であった。 また、メソゲンM−1〜M−3は、昇温過程および降温過程の両方において液晶相を示した。しかし、メソゲンM−4〜M−5は、降温過程でしか液晶相を示さなかった。そのため、メソゲンM−4〜M−5は、モノトロピック液晶であった。 メソゲンの偏光顕微鏡観察の結果、メソゲンM1〜5はネマチック相を示し、液晶性を示すシュリーレン組織が観察できた(図17〜図21)。ネマチック相のメソゲンM5を145℃まで下げたとき、スメクチック相を示す扇状組織が現れた(図22)。すなわち、メソゲンM5を145℃まで下げたときに、ネマチック相からスメクチック相への転移が起こった。この扇状組織は、試料の温度が98.5℃に下がるまで消えなかった。 〔偏光顕微鏡による側鎖型液晶ポリマーの観察結果〕 73.7℃での側鎖型液晶ポリマーP−1の偏光顕微鏡写真、143.5℃での側鎖型液晶ポリマーP−2の偏光顕微鏡写真、86.5℃での側鎖型液晶ポリマーP−3の偏光顕微鏡写真、132.2℃での側鎖型液晶ポリマーP−4の偏光顕微鏡写真、および187.2℃での側鎖型液晶ポリマーP−5の偏光顕微鏡写真を、図23、図24、図25、図26、および図27にそれぞれ示す。 側鎖型液晶ポリマーP−1およびP−3は、それぞれ、ネマチック相であるマーブル組織を観察することができた(図23および図25)。ポリマーP−2、P−4、およびP−5ではそれぞれ、ネマチック相である砂状組織が観察された(図24、図26、および図27)。 〔偏光顕微鏡による側鎖型液晶エラストマーの観察結果〕 室温における側鎖型液晶エラストマーE−1〜E−5の偏光顕微鏡写真を、図28〜図32にそれぞれ示す。また、せん断をかける前の側鎖型液晶エラストマーの偏光顕微鏡写真、およびせん断をかけた後の側鎖型液晶エラストマーの偏光顕微鏡写真を、図33および図34にそれぞれ示す。 側鎖型液晶エラストマーE−1〜E−5は、せん断をかけることで、複屈折を観察することができた(図33および図34)。また、側鎖型液晶エラストマーE−5は、シュリーレン組織を確認することができた(図32)。その他の側鎖型液晶エラストマーE−1〜E−4は、それぞれネマチック相である砂状組織を観察することができた(図28〜図31)。 (示差走査熱量分析の結果) 各メソゲン、ポリマー、およびエラストマーについて、示差走査熱量分析(DSC)を行った。 示差走査熱量分析(DSC)は、理学電機株式会社製の分析アプリケーションソフト「TAS−300」および理学電機株式会社製の高感度示差走査熱量計「DSC8230」を使用し、昇温速度10min/℃での30℃から500℃への昇温、冷却速度10min/℃での500℃から30℃への冷却、および昇温速度10min/℃での30℃から500℃への昇温をこの順で行い、最初の昇温期間(第1加熱期間)を除いた期間、すなわち冷却期間(第1冷却期間)および2回目の昇温期間(第2加熱時間)を分析対象とした。また、このとき、標準試料としてAl2O3(アルミナ)を使用した。 メソゲンM−1の第2加熱期間のDSC測定結果(昇温DSC曲線)および第1冷却期間のDSC測定結果(冷却DSC曲線)を、図35および図36にそれぞれ示す。メソゲンM−2の昇温DSC曲線および冷却DSC曲線を、図37および図38にそれぞれ示す。メソゲンM−3の昇温DSC曲線および冷却DSC曲線を、図39および図40にそれぞれ示す。メソゲンM−4の昇温DSC曲線および冷却DSC曲線を、図41および図42にそれぞれ示す。メソゲンM−5の昇温DSC曲線を図43に示す。側鎖型液晶ポリマーP−4の昇温DSC曲線を図44に示す。側鎖型液晶エラストマーE−3の昇温DSC曲線を図45に示す。 メソゲンM−1〜M−5は、全てDSC曲線にピークが観測された(図35〜図43)。しかし、側鎖型液晶ポリマーおよび側鎖型液晶エラストマーについては、DSC曲線にピークがはっきりと観測されなかった。これは、高分子化の影響だと考えられる。すなわち、側鎖型液晶ポリマーおよび側鎖型液晶エラストマーは、本来、液晶性を示すメソゲンが高分子化しているため、架橋剤、および主鎖として用いたPHMSが不純物のピークとして作用し、メソゲンのみのピークと比べ、液晶相でのピークが不純物のピークと見分けがつきにくく、ピークがはっきりと出なかったと考えられる。そのため、側鎖型液晶ポリマーP−4以外の側鎖型液晶ポリマーは、はっきりとしたピークをDSC曲線に観察することができなかった(図44)。側鎖型液晶エラストマーは、すべて、DSC曲線にはっきりとピークを観察することができなかった(図45)。また、側鎖型液晶エラストマーは、昇温速度を20min/℃まで上げても、DSC曲線のピークをはっきり観察することができなかった。 メソゲンM−1〜M−3のDSC曲線のピークは、昇温過程および降温過程の両方で液晶相が現れた。このため、メソゲンM−1〜M−3は、エナントロピック液晶であった。メソゲンM−4およびM−5は、降温過程でのみ液晶相が現れた。このため、メソゲンM−4およびM−5は、モノトロピック液晶であった。 メソゲンM−1〜M−5の液晶温度範囲は、M−1、M−2、M−3、M−4、M−5の順に、液晶温度範囲が広くなった。また、液晶温度範囲は、偏光顕微鏡観察結果とほぼ同じ値であった。 メソゲンM−1は、約8℃の液晶温度範囲を示した。メソゲンM−1は、置換基Rの極性は低いが、液晶性を示した。これは、側鎖型液晶の構造に起因すると考えられる。側鎖型液晶は、芳香環(ベンゼン環など)のような剛直な部分の数と、スペーサ(ポリシロキサンと芳香環とを繋ぐアルキレン鎖)の長さ(炭素数)とによって、液晶を示すとされている。メソゲンM−1のスペーサ長は5(ペンタメチレン鎖)であり、芳香環の数は2であるため、液晶性を示したと考えられる。 メソゲンM−2は、約17℃の液晶温度範囲を示した。シアノ基は、極性がとても高いので、不対電子を多く持っている。そのため、メソゲン一分子の周りに適度なスペースができ非常に分子が並びやすくなっているので、メソゲン同士が二量体を形成し、互いに相互作用しているものと考えられる。メソゲンM−2の二量体の構造を以下に示す。また、シアノ基は、シアノ基自身剛直で分子長が増し、メソゲンの分子軸方向に極性が強くなる。そのため、メソゲンM−2は、液晶相の熱安定性が高まり、M−1と比べて液晶温度範囲が広くなったと考えられる。 メソゲンM−3は、約23℃の液晶温度範囲を示した。メソゲンM−3は、末端にニトロ基を持っている。ニトロ基は、シアノ基と同様に極性が高いため、シアノ基と同様に二量体を形成する。メソゲンM−3の二量体の構造を以下に示す。しかし、メソゲンM−3は、末端にシアノ基を持つメソゲンM−2と比べ、液晶温度範囲は少し狭い。この理由は、以下のように考えられる。シアノ基の構造は、−C≡Nであり、剛直である。このため、シアノ基は、液晶の剛直な部分の代替として働いていると考える。しかし、ニトロ基は、シアノ基と比べ平面ではあるが、剛直ではない。そのため、末端にニトロ基を持つメソゲンM−3は、末端にシアノ基を持つメソゲンM−2と比べ、液晶温度範囲が少し狭くなったと考えられる。一方、メソゲンM−3は、シアノ基と比べ、低い温度で液晶相を示している。これは、メソゲンの構造が関係しているものと考えられる。メソゲンは剛直な部分があれば、液晶範囲が広くなるが、液晶性を示しにくい。このため、ニトロ基を持つメソゲンM−3は、剛直なシアノ基を持つメソゲンM−2と比べ、低い温度で液晶性を示したと考えられる(図34)。 メソゲンM−4は、約40℃の液晶温度範囲を示した。メソゲンM−4は、末端に極性基を持っておらず、代わりに、メソゲンM−1〜M−3に比べ、芳香環の数が1つ多い。メソゲンは剛直な部分が多いほど液晶を示しやすく、安定しやすい。また、二環の芳香環のため、屈曲性が少なく硬い棒状の分子になりやすい。本来、剛直な部分が多すぎると液晶を発現しにくい。しかし、側鎖型液晶のため屈曲性を持っている。そのため、末端に極性基を持っているメソゲンM−1〜M−3に比べ、芳香環が増えることの方がより広い液晶範囲を示し、より少し液晶になりやすく、すこし高温から液晶を示すと考える。 メソゲンM−5は、約200℃というメソゲンM−1〜M−4と比べて広い液晶温度範囲を示した。この理由は、以下のように考えられる。メソゲンM−5は、メソゲンM−2と同様に、末端にシアノ基(−CN)を持っている。シアノ基は、極性がとても高いので、不対電子を多く持っている。そのため、メソゲン一分子の周りに適度なスペースができ非常に分子が並びやすくなったためであると考えられる。また、メソゲンM−5は、シアノ基を持っているのに加えて、メソゲンM−1〜M−3と比べて芳香環が一つ多い、そのために、剛直性が増し、より広範囲で液晶相を示すと考える。 側鎖型液晶ポリマーP−1〜P−5の液晶温度範囲は、対応するメソゲンM−1〜M−5と比べてそれぞれ広くなった。これは、メソゲンM−1〜M−5の高分子化に伴い、粘性および弾性が増大し、配向転移に要する時間が長くなるためと考えられる。また、熱的な性質においても、液晶高分子には有利な点がある。一般的に、分子量の増大と共に結晶化は抑制され、液晶−等方化転移温度は上昇する傾向が見られる。すなわち、液晶層を示す温度範囲は、高分子化により広がる場合が多い。このことから、メソゲンと比べ、側鎖型液晶ポリマーの液晶温度範囲が広くなったと考えられる。 また、側鎖型液晶ポリマーP−1〜P−5は、メソゲンM−1〜M−5の性質(末端基の違いによる性質)をそのまま維持していた。そのため、側鎖型液晶ポリマーにすることで大きな変化は見ることができなかった。つまり、側鎖型液晶ポリマーP−1〜P−5の性質は、メソゲンM−1〜M−5の性質に強く影響を受けていると考えられる。 側鎖型液晶エラストマーE−1〜E−5の液晶温度範囲は、側鎖型液晶ポリマーP−1〜P−5と同様に、メソゲンM−1〜M−5と比べて広くなった。さこれは、側鎖型液晶エラストマーE−1〜E−5は、側鎖型液晶ポリマーP−1〜P−5と同様に、高分子化に伴い、液晶温度範囲が広くなったと考えられる。さらに、側鎖型液晶エラストマーE−1〜E−5の液晶温度範囲は、側鎖型液晶ポリマーP−1〜P−5よりも広がり低温側にシフトした。これは、側鎖型液晶エラストマーE−1〜E−5では、架橋剤を付加させたことによると考えられる。すなわち、シリコンは内部回転ポテンシャルがとても低いため、とても硬い剛直な分子鎖である。側鎖型液晶エラストマーE−1〜E−5では、その分子鎖にメチレン鎖を介してメソゲン基を付加させたことで、もうすでにメソゲン基が少し並んだ状況になると考えられる。そして、主鎖にメソゲンと架橋剤とを付加させることにより、メソゲン基と架橋剤とがカップリングしていると考えられる。このカップリングによって、メソゲン基がある程度並ぶので、液晶温度範囲が低温側にシフトしたものと考えられる。また、カップリングによって、メソゲン基が並びやすくなるため、液晶温度範囲も広がったものと考えられる。 エラストマーE−1〜E−5は、側鎖型液晶ポリマーP−1〜P−5と同様に、メソゲンM−1〜M−5の性質(末端基の違いによる性質)を維持していた。そのため、エラストマーにすることで大きな変化は見ることができなかった。側鎖型液晶エラストマーE−1〜E−5の性質は、側鎖型液晶ポリマーP−1〜P−5と同様に、メソゲンM−1〜M−5の性質に強く影響を受けていると考えられる。しかし、側鎖型液晶エラストマーE−1〜E−5では、メソゲンM−5で観察できたネマチック−スメクチック相転移を確認することができなかった。これは、DSC測定結果と同様に、メソゲンが高分子化したため、架橋剤およびPHMSが作用してスメクチック相を不安定化させ、ネマチック相を発現させたと考えられる。 極性を持つ末端基を持つメソゲンM−1〜M−3の中では、極性の高いシアノ基を末端基として持つメソゲンM−2が、広い液晶温度範囲を示した。しかし、メソゲンM−2よりも、メソゲンM−2と比べて芳香環の数が多く、極性を持つ末端基を持たないメソゲン(M−4)の方が、より広い液晶温度範囲を示した。これは、末端基を変えることでの影響よりも、芳香環を増やす方が、剛直な部分が増し、液晶性がより熱的に安定になると考えられる。 メソゲンの液晶温度範囲は、末端基の違いにより、メトキシ基(M−1)<ニトロ基(M−3)<シアノ基(M−2)の順に広くなった。ニトロ基(M−3)は、シアノ基(M−2)と同様に高い極性を持ち、メソゲンの末端同士が二量体を形成し、相互作用があると考えられる。しかしながら、メソゲンの液晶温度範囲は、ニトロ基を末端基として持つメソゲンM−3よりもシアノ基を末端基として持つメソゲンM−2の方が広かった。これは、メソゲンM−2では、シアノ基が、ベンゼン環と平行に結合していることにより、ハードセグメントの代わりになり、剛直性が増したことで、液晶温度範囲が広くなったと考える。それに対し、ニトロ基は、シアノ基のように芳香環の役割を果たせなかったため、メソゲンM−3は、シアノ基を末端基として持つメソゲンM−2より液晶温度範囲が狭くなったと考えられる。 各メソゲン、ポリマー、およびエラストマーの液晶温度範囲をまとめたものを図46〜48に示す。また、各メソゲン、ポリマー、およびエラストマーの液晶温度範囲および液晶温度範囲の幅(下限温度と上限温度との差)を表1にまとめて示す。 (総括) 一般的に、側鎖型液晶(メソゲン)は、剛直な部分としての芳香環の数、芳香環に介するアルキル鎖の長さ(スペーサー)、末端の構造などによって液晶性が異なる。本実施例では、以上のように、末端基だけを変え、芳香環の数およびスペーサの数は同じメソゲンを3種類(M−1〜M−3)、これら3種類のメソゲンよりも芳香環の数が多く末端基を持たないメソゲンを1種類(M−4)、これら3種類のメソゲンよりも芳香環の数が多く末端基としてシアノ基を有するメソゲンを1種類(M−5)合成した。その結果、末端基の違いで液晶温度範囲に変化が現れた。 末端基としてシアノ基を持つメソゲンM−2及びM−5は、他のメソゲンと比べて広い液晶温度範囲を示した。シアノ基は、極性が高く、不対電子を多く持っている。そのため、一分子の周りに適度なスペースができ非常に分子が並びやすくなっており、メソゲン同士が二量体を形成し、互いに相互作用していると考えられる。また、シアノ基は、シアノ基自身剛直で分子長が増し、液晶温度範囲が広がったと考えられる。そのため、メトキシ基<ニトロ基<シアノ基の順に液晶温度範囲が広くなった。 極性を持つ末端基を持つメソゲンの中では、極性の高いシアノ基を持つメソゲンM−2が広い液晶温度範囲を示した。しかし、このメソゲンM−2より芳香環の数が多く、極性を持つ末端基を持たないメソゲンM−4の方が、メソゲンM−2より広い液晶温度範囲を示した。これは、末端基を変えることでの影響よりも、芳香環の数を増やす方が、剛直な部分が増し、液晶相がより熱的に安定になるからと考えられる。 液晶ポリマーは、メソゲンと比べて液晶温度範囲が広くなった。これは、高分子鎖として用いたPMHSがメソゲンとカップリングすることで巨視的な配向が起こり、熱的安定性が増したためだと考えられる。 液晶エラストマーは、メソゲンおよびポリマーと比べ液晶温度範囲が大きく広くなった。これは、高分子鎖として用いたPMHSがメソゲンとカップリングすることで巨視的な配向が起こり熱的安定性が増したこと、架橋剤を加えたことでメソゲンがある程度束縛されてあらかじめメソゲンが配向した状態となったこと、によると考えらえる。そのため、液晶エラストマーは、低温から液晶相を示したと考える。 本発明に係る液晶ポリマーおよび液晶エラストマーは、ポリシロキサンを主鎖とするので、液晶の性質と、高分子の性質と、ゴムの性質とを兼ね備えている。そのため、以下のような応用が期待できる。 まず、本発明に係る液晶ポリマーおよび液晶エラストマーは、液晶の性質を持つため、液晶と同様に、磁場や電場によって種々の光学的性質を制御することができる。また、本発明に係る液晶ポリマーおよび液晶エラストマーは、高分子の性質を持つため、フィルムに成形することができる。そのため、通常の液晶表示パネルにおける液晶層を挟持した1対の基板をフィルムに置き換えることができると考えられる。このような置き換えがでいれば、紙のような、柔軟で非常に薄い表示パネルが実現できる。 また、本発明に係る液晶ポリマーおよび液晶エラストマーは、液晶の性質とゴムの性質とを併せ持つために、外部の応力によって変形させることで、種々の光学的性質を制御できる。したがって、例えば、液晶ポリマーまたは液晶エラストマーからなるフィルムを引っ張れば、光が通るようになる(あるいは光が遮断されるようになる)光シャッタを実現できると考えられる。また、液晶ポリマーまたは液晶エラストマーからなるフィルムを変形させることでメモリ機能を実現できると考えられる。 また、本発明に係る液晶ポリマーおよび液晶エラストマーは、電場によって配向して長さが変化する。そのため、本発明に係る液晶ポリマーおよび液晶エラストマーを利用すれば、電場によって伸縮するトランスデューサ、例えば人工筋肉のようなものも実現できると考えられる。4−(ペンチ−5−エニロキシ)安息香酸の1H−NMRスペクトルを示すグラフである。本発明に係るメソゲンの一例としての4−メトキシフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエートの1H−NMRスペクトルを示すグラフである。本発明に係るメソゲンの他の一例としての4−シアノフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエートの1H−NMRスペクトルを示すグラフである。本発明に係るメソゲンのさらに他の一例としての4−ニトロフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエートの1H−NMRスペクトルを示すグラフである。本発明に係るメソゲンのさらに他の一例としての4−4’−ビフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエートの1H−NMRスペクトルを示すグラフである。本発明に係るメソゲンのさらに他の一例としての4−シアノビフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエートの1H−NMRスペクトルを示すグラフである。架橋剤としての1,4-ビス(ヘキシ-5-エニロキシ)ベンゼンの1H−NMRスペクトルを示すグラフである。架橋剤としての1,4-ビス(ヘキシ-5-エニロキシ)ベンゼンのFT−IRスペクトルを示すグラフである。4−(ペンチ−5−エニロキシ)安息香酸のFT−IRスペクトルを示すグラフである。4−メトキシフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエートのFT−IRスペクトルを示すグラフである。4−シアノフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエートのFT−IRスペクトルを示すグラフである。4−ニトロフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエートのFT−IRスペクトルを示すグラフである。4−4’−ビフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエートのFT−IRスペクトルを示すグラフである。4−シアノビフェニル−4−(ペンチ−5−エニロキシ)ベンゾエートのFT−IRスペクトルを示すグラフである。本発明に係る側鎖型液晶ポリマーの例としての側鎖型液晶ポリマーP−1〜P−5およびポリメチルヒドロシロキサンのFT−IRスペクトルを示すグラフである。本発明に係る側鎖型液晶エラストマーの例としての側鎖型液晶エラストマーE−1〜E−5およびポリメチルヒドロシロキサンのFT−IRスペクトルを示すグラフである。65℃でのメソゲンM−1の偏光顕微鏡写真である。81℃でのメソゲンM−2の偏光顕微鏡写真である。44.5℃でのメソゲンM−3の偏光顕微鏡写真である。135℃でのメソゲンM−4の偏光顕微鏡写真である。295℃でのメソゲンM−5の偏光顕微鏡写真である。145℃でのメソゲンM−5の偏光顕微鏡写真である。73.7℃での側鎖型液晶ポリマーP−1の偏光顕微鏡写真である。143.5℃での側鎖型液晶ポリマーP−2の偏光顕微鏡写真である。86.5℃での側鎖型液晶ポリマーP−3の偏光顕微鏡写真である。132.2℃での側鎖型液晶ポリマーP−4の偏光顕微鏡写真である。187.2℃での側鎖型液晶ポリマーP−5の偏光顕微鏡写真である。室温における側鎖型液晶ポリマーE−1の偏光顕微鏡写真である。室温における側鎖型液晶ポリマーE−2の偏光顕微鏡写真である。室温における側鎖型液晶ポリマーE−3の偏光顕微鏡写真である。室温における側鎖型液晶ポリマーE−4の偏光顕微鏡写真である。室温における側鎖型液晶ポリマーE−5の偏光顕微鏡写真である。せん断をかける前の側鎖型液晶エラストマーの偏光顕微鏡写真である。せん断をかけた後の側鎖型液晶エラストマーの偏光顕微鏡写真である。メソゲンM−1の昇温DSC曲線を示すグラフである。メソゲンM−1の冷却DSC曲線を示すグラフである。メソゲンM−2の昇温DSC曲線を示すグラフである。メソゲンM−2の冷却DSC曲線を示すグラフである。メソゲンM−3の昇温DSC曲線を示すグラフである。メソゲンM−3の冷却DSC曲線を示すグラフである。メソゲンM−4の昇温DSC曲線を示すグラフである。メソゲンM−4の冷却DSC曲線を示すグラフである。メソゲンM−5の昇温DSC曲線を示すグラフである。側鎖型液晶ポリマーP−4の昇温DSC曲線を示すグラフである。側鎖型液晶エラストマーE−3の昇温DSC曲線示すグラフである。メソゲンM−1〜M−5、側鎖型液晶ポリマーP−1〜P−5、および側鎖型液晶エラストマーE−1〜E−5の液晶温度範囲を示すグラフである。末端基(R)としてシアノ基を有するメソゲンM−2、側鎖型液晶ポリマーP−2、および側鎖型液晶エラストマーE−2と、末端基としてフェニル基を有するメソゲンM−4、側鎖型液晶ポリマーP−4、および側鎖型液晶エラストマーE−4との液晶温度範囲を示すグラフである。末端基としてメトキシ基を有するメソゲンM−1、側鎖型液晶ポリマーP−1、および側鎖型液晶エラストマーE−1と、末端基としてシアノ基を有するメソゲンM−2、側鎖型液晶ポリマーP−2、および側鎖型液晶エラストマーE−2と、末端基としてニトロ基を有するメソゲンM−3、側鎖型液晶ポリマーP−3、および側鎖型液晶エラストマーE−3との液晶温度範囲を示すグラフである。 下記一般式 (上記式中、R1は、炭素数1〜20のアルキレン基であって、該アルキレン基中の両端を除く1以上の炭素原子が酸素原子、カルボニル基、硫黄原子、または窒素原子で置換されていてもよく、また、該アルキレン基中の1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよいアルキレン基を示し、Arは、置換基を有していてもよいアリール基を示す)で表されるメソゲンであって、 (1)R1の鎖長が3以上である、 (2)Arが2つ以上の芳香環を含む、の少なくとも一方を満足することを特徴とするメソゲン。 R1の鎖長が3以上であり、 Arが、4−メトキシフェニル基、4−シアノフェニル基、または4−ニトロフェニル基であることを特徴とする請求項1記載のメソゲン。 Arが、置換基を有していてもよいビフェニル基であることを特徴とする請求項1記載のメソゲン。 Arが、4−シアノビフェニル基であることを特徴とする請求項3記載のメソゲン。 R1の鎖長が3以上であることを特徴とする請求項3または4に記載のメソゲン。 請求項1ないし5のいずれか1項に記載のメソゲンと、Si−H結合を有するポリシロキサンとの間のヒドロシリル化反応によって得られるものであることを特徴とする液晶ポリマー。 請求項1ないし5のいずれか1項に記載のメソゲン、および2つ以上のビニル基を有する化合物である架橋剤と、 Si−H結合を有するポリシロキサンとの間のヒドロシリル化反応によって得られるものであることを特徴とする液晶エラストマー。 上記架橋剤は、下記一般式 (上記式中、R2およびR3はそれぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキレン基であって、該アルキレン基中の両端を除く1以上の炭素原子が酸素原子、カルボニル基、硫黄原子、または窒素原子で置換されていてもよく、また、該アルキレン基中の1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよいアルキレン基を示す)で表される化合物であることを特徴とする液晶エラストマー。 【課題】 液晶温度範囲の広い、新規な、ポリシロキサンを主鎖とする側鎖型液晶ポリマーおよび側鎖型液晶エラストマー、並びにそれらの製造に用いるビニル基を有するメソゲンを提供する。【解決手段】 メソゲンは、下記一般式【化1】 (上記式中、R1は、炭素数1〜20のアルキレン基またはそれを部分的に変形した基を示し、Arは、置換基を有していてもよいアリール基を示す)で表され、(1)R1の鎖長が3以上である、(2)Arが2つ以上の芳香環を含む、の少なくとも一方を満足するものである。液晶ポリマーは、上記メソゲンと、Si−H結合を有するポリシロキサンとの間のヒドロシリル化反応によって得られるものである。液晶エラストマーは、上記メソゲン、および2つ以上のビニル基を有する化合物である架橋剤と、Si−H結合を有するポリシロキサンとの間のヒドロシリル化反応によって得られるものである。【選択図】 なし