生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_形質転換海産藻類の製造方法および海産藻類の形質転換方法
出願番号:2005229975
年次:2007
IPC分類:C12N 15/09,C12N 5/10


特許情報キャッシュ

足立 真佐雄 宮川 亜利沙 JP 2007043926 公開特許公報(A) 20070222 2005229975 20050808 形質転換海産藻類の製造方法および海産藻類の形質転換方法 国立大学法人高知大学 504174180 植木 久一 100075409 菅河 忠志 100115082 二口 治 100125184 伊藤 浩彰 100125243 足立 真佐雄 宮川 亜利沙 C12N 15/09 20060101AFI20070126BHJP C12N 5/10 20060101ALI20070126BHJP JPC12N15/00 AC12N5/00 C 8 OL 17 特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年2月9日から10日 国立大学法人高知大学主催の「高知大学大学院農学研究科修士論文発表会」において文書をもって発表 4B024 4B065 4B024AA10 4B024AA20 4B024BA79 4B024BA80 4B024CA02 4B024DA01 4B024DA05 4B024EA04 4B024FA10 4B024GA11 4B024GA14 4B024GA17 4B024GA19 4B024GA27 4B024HA20 4B065AA83X 4B065AA88X 4B065AB01 4B065AC14 4B065BA02 4B065BA25 4B065BA30 4B065BB01 4B065BB02 4B065BB03 4B065BB08 4B065BB15 4B065BC03 4B065BC50 4B065CA53 4B065CA60 本発明は、形質転換海産藻類を製造する方法および海産藻類を形質転換する方法に関するものである。 藻類は、栄養補助製品として市場に出回っているドコサヘキサエン酸やエイコサペンタエン酸等に加え、抗癌活性や抗HIV活性等を示す有用物質を生合成することが知られており、その商業開発が期待されている。また、独特の化学構造を有する有毒物質を産生するものも知られている。例えば渦鞭毛藻であるプロロセントラム・リマ(Prorocentrum lima)は下痢性貝毒の原因藻であり、ポリエーテル化合物であるオカダ酸を産生して二枚貝を毒化する。このオカダ酸は比較的軽度の消化器系障害を引き起こし、さらに発ガンプロモーター作用を有していることが知られている。 しかし、藻類におけるこれら生理活性物質の生合成系については不明な点が多く、有効に利用されているものはごく一部である。この原因として、藻類の生理活性物質の産生量は極めて少ない上に、とりわけ海産藻類への遺伝子導入技術が、動植物などと比較してほとんど確立されていないことを挙げることができる。よって、海産藻類における遺伝子導入技術が確立されれば、特定の遺伝子をノックアウトすることにより様々な生理活性物質の生合成に関わる遺伝子の特定が可能となり、これらの遺伝子を生産性の高い大腸菌等の他生物に導入するなどして海産藻類特有の生理活性物質を工業的に生合成することも可能となり得る。また、これら生理活性物質の生合成機構を解析することによって、有毒微細藻類の毒合成を制御できる可能性もある。 一般的に頻用される遺伝子導入法としては、パーティクルガン法(銃撃法)、ガラスビーズ攪拌法、シリコンカーバイドを用いる方法、マイクロインジェクションによる方法、プロトプラスト化した細胞に対してエレクトロポーレーション処理する方法などがある。また、これらに加えて動物細胞の場合では、ウィルスベクターを用いる方法があり、植物の場合ではアグロバクテリウム(Agrobacterium)を用いる方法が頻繁に使用されている。 アグロバクテリウム属細菌は土壌細菌の一種であり、多くの双子葉植物にしばしば根頭癌腫(クラウンゴール)を引き起こす。本菌がクラウンゴールを形成させる分子機構については、その詳細が明らかにされており、本菌が有するTiプラスミドが病原性に関与することが解明されている。従って、所望の遺伝子を導入したTiプラスミドを有するアグロバクテリウム属細菌と植物細胞とを共存培養するのみで、植物細胞の形質転換が可能になる。よって、アグロバクテリウム法は、特別な機器や操作を必要としない点で他の形質転換方法よりも簡便である。 アグロバクテリウム属細菌は当初双子葉植物への遺伝子導入に用いられてきたが、その後、単子葉植物へ応用することが可能であることが判明した。さらに近年では、酵母であるサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、糸状菌類であるアスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、ヒトのHeLa細胞などの形質転換も可能であることが明らかにされている。 この様にアグロバクテリウム属細菌による形質転換が可能となった背景には、Tiプラスミドが細胞へ導入された際にTiプラスミド遺伝子の発現を誘導する化合物の発見がある。斯かる発現誘導物質としては、アセトシリンゴン、シナピン酸、フェルラ酸などのフェノール化合物が報告されている(非特許文献1を参照)。中でもタバコから精製・同定された誘導物質であるアセトシリンゴンは強い誘導活性を有し、双子葉植物のみならず、単子葉植物をはじめとした従来形質転換が困難であると考えられている植物、さらには酵母やヒト細胞の形質転換を可能にさせる。また、非特許文献1には、強い誘導活性を有する単糖としてD−グルコースやD−キシロースが、中程度の活性を有する単糖としてD−マンノース等が開示されている。特にグルコースやガラクトース等は、TiプラスミドからT−DNAを切り出して植物ゲノムへ組み込むために重要なvir遺伝子の発現誘導を促進することが報告されている(非特許文献2)。中でもグルコースは、植物に対しての遺伝子導入を著しく促進することから、アグロバクテリウム属細菌による形質転換を行なう際に最も頻用されている。 この様に、動植物に対する形質転換技術は種々開発されているが、藻類で形質転換技術が確立しているものは極限られている。その中でも、淡水産微細藻類であるクラミドモナス・ラインハーディー(Chlamydomonas reinhardtii)については、比較的研究が進んでいる。 例えば特許文献1には、当該微細藻類をガラスビーズ攪拌法により形質転換してそのエタノール生産能を高める技術が記載されている。その他、パーティクルガン法、エレクトロポーレーション処理する方法、シリコンカーバイドを用いる方法などを用いた例もある。また、アグロバクテリウムと固体培地を用いた形質転換についても一例報告されており、その形質転換効率は、従来使用されてきたガラスビーズ撹拌法やパーティクルガン法と比較して10〜50倍高くなるとされている(非特許文献3)。 一方、藻類でも海産のものを形質転換した例はさらに少ない。その理由としては、海産藻類は様々な成分からなる細胞外被を有するため、遺伝子導入が物理的に困難なことがある。また、主要な形質転換方法であるエレクトロポーレーション処理を海産藻類に適する海水培地で行うと、培地塩濃度が高いためその導電性が高くなってアーキング(異常放電)が起こってしまう。よって、エレクトロポーレーション処理は海産藻類の形質転換には使用できない。さらに、どのような細胞にも使用可能であるパーティクルガン法やガラスビーズ法の形質転換効率は一般的に低く、ただでさえ形質転換し難い海産藻類に対しては不適であると考えられる。また、アグロバクテリウム属細菌を用いた形質転換については、アグロバクテリウム属細菌が土壌細菌であるために、海産藻類の生育に適する条件での共存培養は難しいと考えられていた。 従来、海産藻類を形質転換した例としては、珪藻であるフェオダクティラム・トリコルヌタム(Phaeodactylum tricornutum)、シクロテラ・クリプティカ(Cyclotella cryptica)およびナビキュラ・サプロフィラ(Navicula saprophila)、並びに紅藻ポルフィリディウム(Porphyridium)属をパーティクルガンにより形質転換した例が報告されている。また、渦鞭毛藻であるアンフィディニウム(Amphidinium)属およびシンビディニウム(Symbiodinium)属において、シリコンカーバイドを用いた形質転換の成功例が一例報告されている。特許文献2には、海産藻類であるフェオダクチルム・トリコルヌツム・ボーリン(Phaeodactylum tricornutum Bohlin)をパーティクルガン法(微粒子ボンバーメント法)により形質転換した実施例が記載されている。しかし、従来における海産藻類の形質転換効率は極めて低いものであった(非特許文献4)。町田泰則ら,「アグロバクテリウムと植物のコミュニケーション」,組織培養,第18巻第9号,第341〜346頁(1992年)Shimoda,Nら,プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・USA(Proc.Natl.Acad.Sci.USA),第87巻,第6684〜6688頁(1990年)特開平10−57068号公報(段落[0038])Kumar,Sら,プラント・サイエンス(Plant Sci.),第166巻,第731〜738頁(2004年)Lohuis,T.M.とMiller,D.J.,プラント・ジャーナル(Plant J.),第13巻,第427〜435頁(1998年)特表2004−500839号公報(段落[0125]) 上述した様に、従来、海産藻類を形質転換した例はあったが、特別な装置や操作を必要とするものであったり、また、その効率は極めて悪いものであった。そこで、本発明が解決すべき課題は、海産藻類を簡便かつ効率的に形質転換できる技術を提供することにある。 本発明者は、上記課題を解決すべく、特に簡便な形質転換方法であるアグロバクテリウム法の条件につき鋭意研究を重ねた。その結果、海水培地など海産藻類の生育に適する一方で土壌細菌であるアグロバクテリウム属細菌には適さないと考えられていた条件下であっても、アグロバクテリウム法を効率よく行なえることを見出して、本発明を完成した。 即ち、本発明に係る形質転換海産藻類の製造方法は、プラスミドベクターを用いてアグロバクテリウム属細菌を形質転換する工程、および、形質転換したアグロバクテリウム属細菌と海産藻類とを共存培養する工程、を含むことを特徴とする。 共存培養の培地としては液体培地が好適である。本発明者らによる知見によれば、従来、アグロバクテリウム法による植物細胞の形質転換に用いられてきた固体培地よりも、海産藻類の場合には液体培地の方が効率がよい。液体培地の中でも海水を含むものが好ましい。海産藻類の生育に適するからである。 共存培養の培地としては、D−ガラクトース、D−マンノース、D−リキソース、L−デオキシ−D−グルコース、L−マンノースおよびD−リボースよりなる群から選択される1または2以上の単糖を含むものが好適であり、特にD−マンノースが好ましい。従来、アグロバクテリウムによる形質転換の効率を高める単糖としてはD−グルコースが最適とされていたが、海産藻類の形質転換にはこれら単糖が適する。 また、共存培養の培地には、ヒドロキシケイ皮酸化合物、特にシナピン酸および/またはフェルラ酸を添加することが好ましい。従来、ケイ皮酸化合物でないアセトシリンゴンが形質転換効率の向上に用いられていたが、本発明者らによる知見によれば、海産藻類にはこれらケイ皮酸化合物が適する。 本発明に係る海産藻類の形質転換方法は、プラスミドベクターを用いてアグロバクテリウム属細菌を形質転換する工程、および、形質転換したアグロバクテリウム属細菌と海産藻類とを共存培養する工程、を含むことを特徴とする。 本発明の製造方法および形質転換方法は、アグロバクテリウム属細菌と共存培養するのみで海産藻類を形質転換できることから、特別な操作や機器を必要とする他の方法に比べて非常に簡便である。また、本発明方法による海産藻類の形質転換効率は、従来に比して高く、導入した遺伝子の発現量も多い。よって、本発明は、優れた活性を有しながらも十分量が確保できなかった海産藻類に特有の生理活性物質の遺伝子に関する研究や、海産藻類を用いた有用化合物の大量生産につながる技術として産業上極めて有用である。 本発明に係る形質転換海産藻類の製造方法と海産藻類の形質転換方法は、プラスミドベクターを用いてアグロバクテリウム属細菌を形質転換する工程、および、形質転換したアグロバクテリウム属細菌と海産藻類とを共存培養する工程、を含むことを特徴とする。以下、各工程につき詳述する。 本発明で用いる海産藻類は海産のものであればどのような藻類でもよい。例えば、渦鞭毛藻であるプロロセントラム属(Prorocentrum)、アレキサンドリウム属(Alexandrium)、珪藻であるナビキュラ属(Navicula)、スケルトネマ属(Skeletonema)、キートセロス属(Chaetoceros)、シュードニッチャ属(Pseudo-nitzschia)、タラシオシラ属(Thalassiosira)、緑藻であるクロレラ属(Chrorella)、デュナリエラ属(Dunaliella)等の海産微細藻類;褐藻であるアラメ属(Eisenia)、コンブ属(Laminaria)、ワカメ属(Undaria)、緑藻であるアオサ属(Ulva)、紅藻であるテングサ属(Gelidium)、ツノマタ属(Chondrus)、キリンサイ属(Eucheuma)等の海産大型藻類を挙げることができる。特に好ましくはプロロセントラム属である。 海産藻類は、形質転換前に前培養しておくことが好ましい。その培養条件は海産藻類の種類に応じて決定すればよいが、培地は海水を含むものがよい。また、培地の添加成分としては、例えば窒素源、リン源、マグネシウム、ケイ素、カリウム、ナトリウム、カルシウム、ビタミン類等を挙げることができ、これらの添加量は藻類に応じて調節すればよい。例えば、プロロセントラム属に使用できる培地としては、窒素源、リン源、ビタミン類を含むSW II培地(Sako,Y.ら,「Toxic Marine Phytoplankton」,Elsevier,New York,第320〜323頁(1990年)を参照)や、窒素源、リン源、ビタミン類、微量金属を含むf/2培地(Guillard,R.R.L.ら,Cleve.Can.J.Microbiol.,第8巻,第229〜239頁(1962年);Guillard,R.R.L.,「Culture of Marine Invertebrate Animals」,Plenum Press,New York,U.S.A.,第26〜60頁(1975年)を参照)を使用することができる。 海産藻類へ所望の遺伝子を導入するために、所望の組み換え遺伝子を含む適切なプラスミドベクターを構築しなければならない。このようなプラスミドベクターは、当業者に周知の遺伝子組み換え技術を用いて作製され得る。ここで使用できるプラスミドベクターは、アグロバクテリウム法で使用できるものであれば特にその種類は問わないが、例えばpBI系のベクターなど、移行領域であるT−DNA領域を有すものを好適に用いることができる。 プラスミドベクターへ導入する所望の遺伝子は、天然から単離されたものに限定されず、また、形質転換される海産藻類にとり内因性のものでも外因性のものでもよく、合成ポリヌクレオチドも含み得る。合成ポリヌクレオチドは、例えば配列が公知の遺伝子を当業者に周知の手法によって合成または改変することにより入手し得る。これら遺伝子としては、例えば、形質転換される海産藻類において発現が所望される任意のポリヌクレオチドや、海産藻類においてある内因性遺伝子の発現制御が所望される場合には、その標的となる遺伝子のアンチセンス配列を含むポリヌクレオチドなどが挙げられる。 プラスミドベクターへ導入する所望の遺伝子は、自己のプロモーター(すなわち、天然において、当該遺伝子が作動可能に連結しているプロモーター)を作動可能な様式で含むか、または自己のプロモーターを含まない場合または自己のプロモーター以外のプロモーターをさらに含むことが所望される場合には、任意の適切なプロモーターと作動可能に連結される。 本発明のプラスミドベクターにおいては、さらに種々の調節エレメントを宿主である海産藻類の細胞中で作動し得る状態で連結してもよい。この様な調節エレメントとしては、好適には、選抜マーカー遺伝子、レポーター遺伝子、プロモーター、ターミネーター、およびエンハンサーを挙げることができる。使用されるプラスミドベクターのタイプや調節エレメントの種類が形質転換の目的に応じて変わり得ることは、当業者に周知の事項である。 選抜マーカー遺伝子は、形質転換細胞の選抜を容易にするために使用され得る。例えば、ハイグロマイシン耐性を付与するためのハイグロマイシンフォスフォトランスフェラーゼ(HPT)遺伝子や、抗生物質であるG418に対する耐性を付与するためのネオマイシンフォスフォトランスフェラーゼII(NPT II)遺伝子のような薬剤耐性遺伝子を好適に用いることができるが、これらに限定されない。 レポーター遺伝子としては、β−グルコロニダーゼ(GUS)遺伝子、緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子、ルシフェラーゼ(LUX)遺伝子が挙げられるが、これに限定されない。 プロモーターは、選抜マーカー遺伝子およびレポーター遺伝子へ作動可能に連結されるプロモーターを意味する。このようなプロモーターの例としては、植物プロモーターの一種であるカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)の35Sプロモーターや、ノパリン合成酵素のプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。 ターミネーターは、遺伝子のタンパク質をコードする領域の下流に位置し、DNAがmRNAに転写される際の転写の終結とポリA配列の付加に関与する配列である。ターミネーターの例としては、CaMV35Sターミネーターや、ノパリン合成酵素遺伝子のターミネーター(Tnos)が挙げられるが、これらに限定されない。 エンハンサーは、目的遺伝子の発現効率を高めるために用いられ得る。エンハンサーとしては、CaMV35Sプロモーター内の上流側の配列を含むエンハンサー領域が好適であるが、これに限定されない。エンハンサーは、1つの発現ベクターあたり複数個用いられ得る。 使用するアグロバクテリウム属細菌は、アグロバクテリウム属細菌による形質転換に使用できるものであれば特に制限はないが、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)が好ましく、特にAGL1のようなノパリン株、LBA4404のようなオクトピン株、またはEHA101系統やEHA105系統などのアグロピン株が好ましい。 本発明では、先ず、海産藻類に導入すべき遺伝子を含むプラスミドベクターで、アグロバクテリウム属細菌を形質転換する。斯かる形質転換の方法は特に制限されず、エレクトロポーレーション処理によるものなど当業者公知の方法を用いることができる。形質転換したアグロバクテリウム属細菌は、株およびベクターのための選択的抗生物質を補充されたLB培地(ルリアブルタニ培地)やMM培地(最少(Minimal Medium)培地)の様な適切な培養培地上で培養することにより、非転換の株から選抜される。これらアグロバクテリウムの増殖のための手順や適当な培養条件、並びにその後の接種手順などは、当業者であれば公知方法から適切なものを適宜選択することができる。 形質転換したアグロバクテリウム属細菌は、前培養培地に接種して前培養することが好ましい。アグロバクテリウムの前培養培地は、海産藻類との共存培養において用いる培地と同様のものとすることができる。例えば、適当量の窒素源、リン源、無機塩類(ビタミン類、微量金属)を海水に添加したものである。斯かる前培養は、アグロバクテリウムをOD600=0.5〜1.0程度まで(およそ6時間)培養することが好ましい。なお、アグロバクテリウム属細菌は土壌細菌であるが、本発明者らによる知見によれば、海水を含む培地であっても増殖することができる。 次に、形質転換したアグロバクテリウム属細菌を海産藻類と共存培養することによって、海産藻類に所望の遺伝子を導入する。共存培養で用いる培地は、少なくとも海産藻類が生育できるものであれば特に制限されないが、固体培地より液体培地が好適である。従来、アグロバクテリウム属細菌を用いた植物細胞等の形質転換では主として固体培地が用いられていたが、海産藻類の場合には液体培地の方が形質転換の効率が高いからである。より好ましくは、海水を含む液体培地を用いる。 共存培養の培地には、10mM程度の単糖のアルドースを添加することが好ましい。形質転換効率や導入した遺伝子の発現率が高まるからである。但し、海産藻類の場合には、従来主に用いられているD−グルコースよりも、D−ガラクトース、D−マンノース、D−リキソース、L−デオキシ−D−グルコース、L−マンノースおよびD−リボースが好適であり、D−マンノース、D−リキソース、L−デオキシ−D−グルコース、L−マンノースおよびD−リボースがより好ましく、D−マンノース、L−デオキシ−D−グルコース、L−マンノースおよびD−リボースがより好ましい。中でも、D−マンノースを添加すると特に転換効率が高くなる。 また、共存培養の培地には、200μM程度のフェノール化合物を添加することが好ましい。従来、斯かるフェノール化合物としてはアセトシリンゴン(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシアセトフェノン)が用いられていたが、海産藻類の形質転換の場合には、シナピン酸やフェルラ酸などのヒドロキシケイ皮酸化合物が好適である。 共存培養は、適切な培地中で海産藻類と形質転換したアグロバクテリウム属細菌を培養すればよいが、その態様は特に問わない。例えば、前培養した海産藻類へ、形質転換後に前培養したアグロバクテリウム属細菌を培養液ごと加え、30分間程度静置した後に上述した単糖やヒドロキシケイ皮酸化合物等を添加すればよい。また、これら単糖やヒドロキシケイ皮酸化合物等を含む海水培地で形質転換したアグロバクテリウム属細菌を前培養し、単に当該培養液を海産藻類の前培養液へ添加してもよい。 共存培養は、海産藻類にアグロバクテリウムが十分に感染できるように行なう。具体的な培養条件は特に制限されず、培養状況により適宜調節したり予備実験により決定すればよいが、例えば、温度は25〜32℃程度として2〜3日間培養することが好ましい。 共存培養終了後には、アグロバクテリウムの増殖を阻害する薬剤と選抜マーカーを含有する適切な培地を用いて、海産藻類を選択的に培養することが好ましい。培養期間は特に制限されないが、好適には2〜4週間程度とする。その様な選択的培地は当業者公知のものであるが、例えばカルベニシリンやセフォタキシムのような抗生物質を含むものを使用することができる。また、典型的な選抜マーカーには、これらには限定されないが、G418やハイグロマシンのような抗生物質が含まれる。除菌および選抜培養に使用される培地は、微細藻類の増殖に適していれば特に限定されないが、一般的には海産藻類の前培養に使用した培地と同等の培地が選択されるであろう。 形質転換した海産藻類は、導入した遺伝子の発現により確認することができる。このためのマーカーとしては、GUS(βグルコロニダーゼ)、LUX(ルシフェラーゼ)およびGFP(緑色蛍光タンパク質)等が利用できる。GUSをマーカーに使用する場合、例えば、XGluc(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコロニド)を用いることにより、青色スポットとして容易に形質転換細胞を確認することができる。ルシフェラーゼの場合、ルシフェリンを用いることにより560nmの黄緑光を発し、GFPの場合には一切他の基質を必要とせずに500〜520nmの緑色蛍光を発するため、容易に形質転換細胞を確認できる。 以上説明した本発明に係る形質転換海産藻類の製造方法と海産藻類の形質転換方法は、非常に簡便に実施できる上に、高い効率で海産藻類へ所望の遺伝子を導入できることから非常に有用である。また、形質転換効率は、共存培養培地として海水等を含む液体培地を用い、当該培地へD−グルコースやシナピン酸、フェルラ酸等を添加することによって、さらに向上させることが可能である。 以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。 実施例1 渦鞭毛藻プロロセントラム・リマの抗生物質感受性試験 渦鞭毛藻プロロセントラム・リマ(Prorocentrum lima、以下、「P.lima」という)について、形質転換細胞の選抜に用いられる抗生物質に対する感受性について試験し、当該海産藻類の増殖を完全に抑止する各抗生物質の最低濃度を決定した(表1)。表1中、「+」はP.limaが培養4週間後で増殖している場合を示し、「S」は生残しているものの増殖は見られない場合を示し、「−」は死滅している場合を示す。 上記結果の通り、ほとんどの抗生物質は、他の真核生物の増殖を抑止する有効性と比較して増殖に対して有意な効果を与えないか、または非常に高濃度の場合のみ効果があった。具体的には、ポリミキシンBでは1000μg/mL、エリスロマイシンでは100μg/mL以上、テトラサイクリンでは500μg/mL以上、クロラムフェニコールでは3000μg/mLで、G418二硫酸塩では1200μg/mL以上、ハイグロマイシンBでは200μg/mL以上の濃度で、P.limaは完全に死滅した。また、1000μg/mLおよび6000μg/mLのアンピシリン、50μg/mLのテトラサイクリン、50μg/mLおよび500μg/mLのクロラムフェニコール、50μg/mLのフレオマイシンでは、培養4週間後で本藻は生残していたが、増殖は確認されなかった。 実施例2 アグロバクテリウム属細菌の海水中における増殖能の検討 土壌細菌であるアグロバクテリウムが海水中で増殖するか否かについて実験を行なった。実験には、The Center for Application of Molecular Biology for International Agriculture(CAMBIA、オーストラリア)より分譲を受けたAgrobacterium tumefaciens LBA4404株、A.tumefaciens EHA105株およびA.tumefaciens AGL1株を用いた。これらA.tumefaciensの3株を、白金耳を用いてプラスチックチューブバイアルからYEP寒天培地(1%(w/v)酵母抽出物、1%(w/v)ペプトン、85mM塩化ナトリウム)に画線し、30℃にて3日間培養した。得られたコロニーをLB培地(1%トリプトン、0.5%酵母抽出物、1%塩化ナトリウム、pH7.3)10mLにそれぞれ接種し、30℃にて振とうしながら一晩前培養した。前培養した菌液200μLを33%、67%、83%または100%海水を含むLB培地20mL(18mm栄研試験管)にそれぞれ接種し、30℃にて振とう培養した。2〜5時間ごとにクリーンベンチ内にて2mLずつ抜き取り、分光光度計(Pharmacia Biotech社製、Ultraspec 2000)にて波長600nmにおける濁度(OD600)を経時的に測定した。結果を図1に示す。 図1に示す結果の通り、塩濃度による増殖の多少の増減はあったものの、全ての株において海水レベルの塩濃度による増殖阻害は見られなかった。よって、アグロバクテリウム属細菌は海水培地での培養が可能であり、遺伝子導入の際、海産藻類との共存培養が可能であることが明らかとなった。 実施例3 アグロバクテリウム属細菌を用いた渦鞭毛藻P.limaへの遺伝子導入 培養条件: 実験には、香川県赤潮研究所の吉松定昭氏より分譲を受けたP.limaを用いた。培養は、metals mixture SW II培地(表2と3を参照、以下、「metals mix.SW II培地」という)を用いて、12L(Light):12D(Dark)のLDサイクル、照度80μE・m-2・s-1条件下25℃にて行った。固体培地は、0.4%アガロースおよび10%ところてん溶液を含有する。 P.limaの前培養: 対数増殖期のP.limaの藻体培養液を目合い20μmのナイロンメッシュにて濃縮した。50mL遠心管(Iwaki社製)に移した後、微量高速遠心機(KUBOTA社製、KUBOTA3740)を用いて遠心分離(3,000rpm×5分間)を行ない、1.0×106cells/mLになるように微量金属元素を含有するmetals mix.SW II培地に懸濁させた。 発現ベクター: アグロバクテリウム属細菌へ導入するベクターには、アグロバクテリウム由来のTi系プラスミドpCAMBIA2301(CAMBIA(オーストラリア)より分譲)に、哺乳動物用ベクターであるphMGFP(Promega社製)のhMGFP遺伝子を新たに組み込んだpCAMBIA2301.hMGFP(図2)を使用した。本ベクターは、T−DNA領域に選択マーカー遺伝子としてG418耐性遺伝子、レポーター遺伝子としてhMGFP遺伝子およびGUS遺伝子、プロモーターとして植物プロモーター35SおよびCaMV35S、ターミネーターとしてNosを有する。また、これらの領域外にカナマイシン耐性遺伝子も含有する。 コンピーテントセルの作製: LB培地200mLに上記実施例2で前培養したアグロバクテリウム属細菌3株の菌液400μLをそれぞれ接種し、30℃にて6時間振とう培養した。培養した菌液を、300mL容オートクレーブ滅菌済み遠心管(NALGENE社製)に移し、大型遠心機(HITACHI社製、himac CR21E)を用いて遠心分離(6,000×rpm、5分、4℃)後、その上清を除いた。あらかじめ氷冷しておいた10%グリセロールを少量加え、50mL遠心管に移した。さらに40mLの10%グリセロールを加え、微量高速遠心機(KUBOTA社製、KUBOTA5010)を用いて遠心分離(6,000×rpm、5分、4℃)し、上清を除いた。この操作を2回繰り返して細胞を洗浄した。上清を除いた後、10%グリセロール500μLに懸濁させ、1.5mL容エッペンドルフチューブに40μLずつ分注し、液体窒素で凍結させて−80℃にて保存した。 バイナリーベクターの形質転換: アグロバクテリウム細菌3株のコンピーテントセル40μLに、1μLのpCAMBIA2301.hMGFP 100ng/μLを混合し、氷上にて1分間静置した。この混合液をあらかじめ冷却しておいた0.2cmエレクトロポレーション・キュベット(Bio-Rad社製、Gene Pulser 0.2cm Cuvette W/IN,Cat.No.165-2086)へ気泡が入らないように移し、エレクトロポレーションシステムGene Pulser II(Bio-Rad社製)の操作マニュアルに従って2.5kVの電圧をかけた。速やかにLB−Mg培地(0.5%(w/v)酵母抽出物、1%1 %(w/v)トリプトン、85mM塩化ナトリウム、0.5mM硫酸マグネシウム7水和物、pH7.2)1mLを加え、1.5mL容エッペンドルフチューブに移し、ボルテックスシェーカー(TAITEC社製、BioShaker V・BR-36)を用いて、225rpm、30℃にて1時間振とう培養した。培養した菌液を、微量高速遠心機(HITACHI社製、himac CF15)を用いて遠心分離(8,000×rpm、5分、20℃)し、上清を除いた後、100μLのLB−Mg培地に懸濁した。LBA4404株は、終濃度が25μg/mLとなるようカナマイシンを、および300μg/mLとなるようストレプトマイシンをそれぞれ添加したLB寒天培地に塗抹した。EHA105株は、終濃度25μg/mLとなるようカナマイシンを添加したLB寒天培地に、AGL1株は、終濃度25μg/mLとなるようカナマイシンを、および100μg/mLとなるようカルベニシリンをそれぞれ添加したLB寒天培地に塗抹した。これらを、30℃にて3日間倒置培養した。得られたコロニーをMM培地(表4)に接種し、28℃にて24時間振とう培養した。 アグロバクテリウムの前培養: 感染試験に用いるアグロバクテリウムの前培養培地として、IMS培地(表5)を調製した。あらかじめ上記MM培地にて増殖させたアグロバクテリウム細菌3株を遠心分離(3,500rpm×10分)し、上清を捨てた後、IMS培地にそれぞれ懸濁させた。これらに10mMのD−グルコース、D−キシロース、L−アラビノース、D−ガラクトース、D−マンノース、D−リキソース、L−デオキシ−D−グルコース、L−マンノースまたはD−リボースをそれぞれ添加した。さらに、200μMのアセトシリンゴン、シナピン酸、アセトバニロンまたはフェルラ酸をそれぞれ添加した。これらの試料を6時間、28℃にて振とうし、OD600=1.0程度となるまで前培養を行った。このとき、陰性対照区の試料として、pCAMBIA2301.hMGFPにより形質転換していない株も同様に培養した。 共存培養: OD600が1.0程度となるまで前培養した上記アグロバクテリウム細菌3株の培養液100μLと、前培養したP.lima培養液100μLを混合し、30分間放置した。これらの混合液を10mMグルコースおよび200μMアセトシリンゴンを含む0.4%アガロースを含有するmetals mix.SW II培地に塗抹した。また、10mMのD−グルコース、D−キシロース、L−アラビノース、D−ガラクトース、D−マンノース、D−リキソース、L−デオキシ−D−グルコース、L−マンノースまたはD−リボースをそれぞれ含みかつ、200μMのアセトシリンゴン、シナピン酸、アセトバニロンまたはフェルラ酸をそれぞれ含むmetals mix.SW II培地(液体培地)にも混合液を接種した。これらを25℃にて24時間暗黒下で培養し、その後2日間P.limaの培養条件にて、それぞれ共存培養させた。全ての試料の処理条件を表6に示す。 アグロバクテリウム属細菌の除去と形質転換細胞の選抜: 共存培養後、固体培地にて共存培養させた場合は、metals mix.SW II培地5mLをアガロース培地上に添加することにより藻細胞を懸濁させ、この懸濁液を15mL遠心管(Iwaki社製)へ移した。これらと液体培地にて共存培養させた試料を卓上遠心機(KUBOTA社製、KUBOTA5010)を用いて低速でそれぞれ遠心分離(3,000rpm×5分間)した。上清を除いた後、セフォタキシム(ナカライ社製)500mg/mLを含むmetals mix.SW II培地1mLに藻細胞をそれぞれ懸濁させた。微量高速遠心機(KUBOTA社製、KUBOTA3740)を用いて遠心分離(3,000rpm×5分間)することにより細胞を洗浄した。上清を除いた後、藻細胞を200μLのmetals mix.SW II培地に懸濁させ、終濃度が3000μg/mLとなるようG418(抗生物質)をそれぞれ添加した0.4%アガロースを含有するmetals mix.SW II培地に塗抹した。これらを、25℃、12L:12DのLDサイクル、照度80μE・m-2・s-1の条件下にて1週間倒置培養した。 生存状況を倒立顕微鏡(OLYMPUS社製、倒立型システム顕微鏡 IX70)を用いて観察したところ、陰性対照である実験No.1の培地では藻類の生存数は明らかに少なかったのに対し(図3のA)、液体培地を使用して形質転換を行なった実験No.3〜15の培地では、生存藻類数は実験No.1の培地に比べて明らかに多かった。図3のDの写真は、実験No.8の培地の顕微鏡写真である。 蛍光発色試験: クロロフィル蛍光の観察をIG励起法(励起フィルター:520〜550nm、蛍光フィルター:580nm)により行なった。藻類が存在している場合、赤色蛍光チャンネルでクロロフィル蛍光発色する。 また、緑色蛍光タンパク(GFP)の発現の有無を色素分離用NIBA励起法(励起フィルター:470〜490nm、蛍光フィルター:510−550nm)により行なった。海洋微細藻類であるP.limaがpCAMBIA2301.hMGFPにより形質転換されている場合、緑色蛍光タンパクの発現により緑色蛍光チャンネルで蛍光発色する。 各蛍光発色の結果を顕微鏡写真として図3に示す。図3のA〜Cは陰性対照である実験No.1の結果である。図3BとCの通り、P.limaが生存している部分でわずかに赤色蛍光チャンネルでのクロロフィル蛍光発色が見られるが、緑色蛍光チャンネルでの蛍光発色はほとんど見られない。よって、実験No.1の培地で生存しているP.limaは形質転換されていないことが分かる。一方、実験No.8の培地では、赤色蛍光チャンネルでも緑蛍光チャンネルでも蛍光発色が観察される。また、図3のDとE,DとFを比較すれば、生存している藻類のほとんどが形質転換されていることが分かる。よって、実験No.8の培地で生存しているP.limaは形質転換されており、その転換効率は高いことが明らかにされた。 また、画像解析ソフトを用いることにより、それぞれの試料における1細胞あたりの緑色蛍光タンパク蛍光強度値を比較した。結果を図4に示す。当該結果の通り、液体培地を使用して形質転換を行なった実験No.3〜15の培地では緑色蛍光値の強度が陰性対照であるNo.1と固体培地を用いたNo.2に比べて明らかに高く、導入された遺伝子が発現していることが実証されている。また、従来の形質転換培地に添加されているD−グルコースやアセトシリンゴン等を添加したNo.3、5、6、14とこれら化合物を添加していないNo.4の培地に比して、単糖としてD−ガラクトース、D−マンノース、D−リキソース、L−デオキシ−D−グルコース、L−マンノース、D−リボース、フェノール化合物としてシナピン酸またはフェルラ酸の何れかの化合物を含むNo.7〜13と15の培地では、緑色蛍光タンパクの発現率が明らかに高い。特にD−マンノース、シナピン酸またはフェルラ酸を含むNo.8、13と15の培地では、導入された遺伝子の発現率が高いことが明らかにされた。異なる濃度の海水を含むLB培地におけるアグロバクテリウム属細菌の増殖を示す図である。AはA.tumefaciensのLBA4404株、Bは同EHA105株、Cは同AGL1株の結果であり、それぞれ◇は33%、□は67%、△は83%、×は100%海水の結果を示す。プラスミドベクターであるpCAMBIA2301.hMGFPのマップを示す図である。顕微鏡による、A.tumefaciensLBA4404株を用いたP.limaへのGFP遺伝子の導入を確認した結果を示す図である。上段のパネルは、非形質転換細胞の透過光イメージ(A)、クロロフィル蛍光を表す赤色チャネルの細胞からの蛍光(B)、緑色チャネルの細胞からの蛍光(C)を示す。下段パネルは、GFP遺伝子を用いて形質転換された実験No.8の細胞の透過光イメージ(D)、クロロフィル蛍光を表す赤色チャネルの細胞からの蛍光(E)、緑色チャネルの細胞からの蛍光(F)を示す。各図中、スケールバーの長さは500μmである。画像解析により、A.tumefaciensLBA4404株を用いたP.limaの1細胞あたりの緑色蛍光強度値を比較した図である。実験区の番号は表5中の実験No.に相当する。 プラスミドベクターを用いてアグロバクテリウム属細菌を形質転換する工程、および 形質転換したアグロバクテリウム属細菌と海産藻類とを共存培養する工程、を含むことを特徴とする形質転換海産藻類の製造方法。 共存培養の培地として液体培地を用いる請求項1に記載の製造方法。 上記液体培地として海水を含むものを用いる請求項2に記載の製造方法。 共存培養の培地として、D−ガラクトース、D−マンノース、D−リキソース、L−デオキシ−D−グルコース、L−マンノースおよびD−リボースよりなる群から選択される1または2以上の単糖を含むものを用いる請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。 共存培養の培地としてD−マンノースを含むものを用いる請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。 共存培養の培地としてヒドロキシケイ皮酸化合物を含むものを用いる請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。 共存培養の培地としてシナピン酸および/またはフェルラ酸を含むものを用いる請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。 プラスミドベクターを用いてアグロバクテリウム属細菌を形質転換する工程、および 形質転換したアグロバクテリウム属細菌と海産藻類とを共存培養する工程、を含むことを特徴とする海産藻類の形質転換方法。 【課題】海産藻類を簡便かつ効率的に形質転換できる技術を提供する。【解決手段】形質転換海産藻類の製造方法と海産藻類の形質転換方法は、プラスミドベクターを用いてアグロバクテリウム属細菌を形質転換する工程、および、形質転換したアグロバクテリウム属細菌と海産藻類とを共存培養する工程、を含むことを特徴とする。【選択図】なし


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る