タイトル: | 公開特許公報(A)_アルドン酸の製造方法 |
出願番号: | 2005212745 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C12P 7/58,C12R 1/01 |
大江 健一 木村 隆 中野 博文 村上 洋 木曽 太郎 桐生 高明 JP 2007028917 公開特許公報(A) 20070208 2005212745 20050722 アルドン酸の製造方法 ユニチカ株式会社 000004503 中野 博文 503254478 大江 健一 木村 隆 中野 博文 村上 洋 木曽 太郎 桐生 高明 C12P 7/58 20060101AFI20070112BHJP C12R 1/01 20060101ALN20070112BHJP JPC12P7/58C12P7/58C12R1:01 4 1 OL 11 4B064 4B064AD34 4B064CA02 4B064CD06 4B064CD09 4B064DA10 4B064DA16 本発明は、酢酸菌に属する微生物を用いたアルドン酸の製造方法に関するものである。 近年、カルシウム、鉄、亜鉛などのミネラル補給剤が注目を集めている。中でも、アルドン酸はカルシウムや鉄等の金属との塩形態である場合に、他の金属塩に比べて高い水溶性を示すことから、ミネラル補強効果が高いと考えられており、特に注目されている。また、オリゴ糖を酸化して得られるアルドン酸は、オリゴ糖のヘミアセタール水酸基が酸化されていることから、シュクラーゼやβ−ガラクトシダーゼなどの生体内加水分解酵素等による分解を受け難い。このため、人が摂取した際、分解されることなく腸内に到達でき、ビフィズス菌増殖を誘発する因子として利用することが可能である。このような特性を有するため、各種糖からアルドン酸を製造する方法が探索されてきた。 アルドン酸を得るための具体的な方法としては、ヘミアセタール水酸基を有する糖を臭素ナトリウムとともに電気を印加することによって酸化する方法が知られている。また、微生物変換・発酵法により得る方法としては、アシネトバクター属やブルクホルデリア属などの微生物を、ヘミアセタール水酸基を有する糖に作用し酸化することによって得る方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。 アルドン酸の中でも、乳糖のヘミアセタール水酸基を酸化することにより得られるラクトビオン酸(O−β−D−ガラクトピラノシル−(1−4)−D−グルコン酸)は米国では既にFDAの認可を受け、凝固剤としてプリンのプレミックスに添加されたり、保湿剤として化粧品に利用されている。機能面では、ラクトビオン酸はビフィズス菌選択増殖活性を持ち(例えば、特許文献2参照)、ミネラル吸収促進効果があること(例えば、特許文献3参照)が知られている。また、本発明者らはラクトビオン酸に卵殻強化効果があることを見出し既に特許出願を行った(特願2004−030898号)。このような特性を有するため、ラクトビオン酸を容易にかつ安全性の担保された方法で製造することが特に望まれていた。 一方、酢酸菌として知られているアセトバクター属はエタノールを酸化して酢酸にし、酢酸の醸造に使われてきた(例えば、非特許文献1参照)。またグルコノバクター属はグルコースを酸化してグルコン酸や2および5−ケトグルコン酸(例えば、非特許文献2参照)にする。また、グルコノバクター属に属するグルコン酸菌はD−ソルビトールからL-ソルボースの製造に用いられている(例えば、非特許文献3参照)。しかしながら、グルコース以外のヘミアセタール水酸基を有する糖からアルドン酸を生成することについては知られていなかった。特開2001−245657号公報特許第3559063号公報特許第3501237号公報栃倉辰六郎ら監修、発酵ハンドブック 共立出版、p.189-192(2001)栃倉辰六郎ら監修、発酵ハンドブック 共立出版、p.163-164(2001)栃倉辰六郎ら監修、発酵ハンドブック 共立出版、p.257-258(2001) 上記のようにラクトビオン酸を容易にかつ安全性の担保された方法で製造することが特に望まれていたが、アルドン酸の化学合成品は国内の法規制上、食品や飼料用途に使用することができない。また、アシネトバクター属やブルクホルデリア属などの微生物は安全性が十分に担保された菌株とはいえず、これらの微生物を用いて生産したアルドン酸を食品や飼料用途に用いることには問題があった。 本発明は安全性の担保された微生物を用いて効率よくアルドン酸を製造する方法を提供することを目的とするものである。 本発明者らは、前記課題を達成するために、安全性の担保された菌について網羅的に検討した結果、酢酸菌から選ばれる微生物がヘミアセタール水酸基を有する糖の前記水酸基を酸化することを見出し、本発明に至った。 すなわち、本発明の第1は、グルコース以外のヘミアセタール水酸基を有する糖に、酢酸菌に属する微生物の菌体を接触させ、ヘミアセタール水酸基を酸化しアルドン酸を生成することを特徴とするアルドン酸の製造方法を要旨とするものであり、好ましくは、酢酸菌に属する微生物の菌体が、誘導化剤として、ヘミアセタール水酸基を有する糖及び/またはアルコールを添加した培地により培養して得られた菌体である方法であり、また好ましくは、ヘミアセタール水酸基を有する糖が、D−マンノース、D−ガラクトース、D−リボース、D−キシロース、L−アラビノース、セロビオース、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、メリビオース及びラクトースからなる群から選択された少なくとも一つの糖である方法である。 本発明の第2は、酢酸菌に属する微生物を、グルコース以外のヘミアセタール水酸基を有する糖を含有した培地で培養することにより、培養液中にアルドン酸を蓄積させ、該培養液からアルドン酸を分離することを特徴とするアルドン酸の製造方法を要旨とするものであり、好ましくは、ヘミアセタール水酸基を有する糖が、D−マンノース、D−ガラクトース、D−リボース、D−キシロース、L−アラビノース、セロビオース、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、メリビオース及びラクトースからなる群から選択された少なくとも一つの糖である方法である。 本発明によれば、古くから食品製造に使用され安全性の担保された微生物によりアルドン酸を効率よく製造することができ、しかもヘミアセタール水酸基を有する糖の種類に制限されずに対応するアルドン酸を製造することができる。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明において用いられるヘミアセタール水酸基を有する糖とは、その還元末端がアルデヒドである糖をいう。そのようなものの具体例としては、D−グルコース、D−マンノース、D−ガラクトース、D−リボース、D−キシロース、L−アラビノース等の単糖、セロビオース、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、メリビオース、ラクトース等のオリゴ糖があげられる。この中でも好ましくは、D−マンノース、D−ガラクトース、D−リボース、D−キシロース、L−アラビノース、セロビオース、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、メリビオース及びラクトースであり、特に好ましくはラクトースである。 本発明においてアルドン酸とは、単糖であるアルドースのヘミアセタール水酸基が酸化されたもののほか、還元末端にアルドース構造を有する二糖以上の糖のヘミアセタール水酸基が酸化されたものも含み、さらにこれらの塩の形態も含むものをいう。 したがって、本発明は、上記したヘミアセタール水酸基を有する糖を対応するアルドン酸に変換する方法である。具体的には、D−マンノースをマンノン酸に、D−ガラクトースをガラクトン酸に、D−リボースをリボン酸に、D−キシロースをキシロン酸に、L−アラビノースをアラボン酸に、セロビオースをセロビオン酸に、マルトースをマルトビオン酸に、マルトトリオースをマルトトリオン酸に、マルトテトラオースをマルトテトラオン酸に、マルトペンタオースをマルトペンタオン酸に、メリビオースをメリビオン酸に、ラクトースをラクトビオン酸に変換する方法である。 本発明に用いる微生物は酢酸菌であり、具体的にはアセトバクター属、グルコノバクター属に属する微生物を言う。上述のようない酢酸菌は古くから食品の発酵などに用いられているため、微生物の安全性が担保されている。 本発明の方法で用いる酢酸菌は、自然界から分離した酢酸菌を用いることもできるが、独立行政法人製品評価技術基盤機構の様に、いずれの人の要求に対しても分譲できるような公的な寄託機関によって保存されている酢酸菌を使用することもできる。それらには、例えば、アセトバクター・アセチ (Acetobacter aceti)NBRC 3281、アセトバクター・シジギ (Acetobacter syzygii)NBRC 16604、アセトバクター・シビノジェシス (Acetobacter cibinongensis)NBRC 16605、アセトバクター・インドネシエンシス (Acetobacter indonesienscis)NBRC 16471、グルコノアセトバクター・キシナス (Gluconacetobacter xylinus)NBRC 16670、グルコノアセトバクター・リフンファシエンス (Gluconacetobacter liquefaciens)NBRC 12388、グルコノアセトバクター (Gluconacetobacter sp.)NBRC 3261、グルコノバクター・セリナス (Gluconobacter cerinus)NBRC 3267、グルコノバクター・フラトゥリ (Gluconobacter fraturii)NBRC 3260、グルコノバクター・オキシダンス (Gluconobacter oxydans)NBRC 3285などが挙げられる。ただし、これらの菌株に限るものではない。 本発明の第1の製造方法は、グルコース以外のヘミアセタール水酸基を有する糖に、酢酸菌に属する微生物の菌体を接触させ、菌体中の酵素によってヘミアセタール水酸基を酸化しアルドン酸を生成する方法である。本発明で用いられる酢酸菌に属する微生物の菌体は、酢酸菌の生菌体そのまま、あるいは菌体処理物又はそれらを担体に固定化したものをいう。 先ず酢酸菌の菌体を得るには、培養を行なう必要がある。培地としては、通常の微生物と同様に培養することができる。微生物が通常資化しうる炭素源、窒素源、ビタミン、ミネラルなどの成分を適宜配合したものが用いられる。炭素源としては、グルコース、果糖などの単糖類、ショ糖、麦芽糖などのオリゴ糖類、デンプン等の多糖類、糖アルコール、グリセロールなどが挙げられ、一般的な炭水化物としては、トウモロコシ澱粉、モルトなどがあり、さらには、オリーブ油、コーン油、などの植物油も炭素源にふくめられる。また、CSL(コーンスティーブリカー)や、大豆フレークを用いてもよい。その他、アルコール、有機酸、アルカンの様な炭素化合物でもよい。 窒素源としては、無機、有機どちらの窒素も利用できるが、無機態の窒素はアンモニアガス、アンモニア塩、硝酸体などを用いる。有機窒素はアミノ酸、たんぱく質または尿素の形で与えられる。天然の有機窒素複合体としては、CSL、大豆や、大豆フレーク、ピーナッツミール、綿花ミール、Distillers’ solubles、カゼイン水解物、屠殺場廃棄物、魚粉、酵母エキスなどを使用する。 ビタミンとしては、天然の炭素源、窒素源を用いることで微生物の生育にとって必要なビタミン類は十分に補給できるが、パントテン酸カルシウムや、ビオチン、ビタミンB1などを必要に応じて添加する。 ミネラルとしては、マグネシウム、リン酸、カリウム、硫酸、カルシウム、塩素が必要であるが、さらに、コバルト、銅、鉄、マンガン、モリブデン、亜鉛なども微量ながら必要である。 その他の成分としては、pHのコントロールのために、培養液中に炭酸カルシウムを添加したり、緩衝作用を持たせるために、リン酸塩などを加えてもよい。また、培養系のpHを制御するために、アンモニアや、苛性ソーダ、塩酸、硫酸などを添加してよい。 培養は、使用する菌株の最適培養条件で行うことが好ましいが、概略温度としては、20〜30℃が好適であり、pHとしては、塩酸、水酸化ナトリウム水溶液や炭酸カルシウムなどによりpH5〜8に維持することが好ましい。 培養方法としては静置培養、振とう培養、深部通気撹拌培養があげられる。大量培養の場合、回分法、逐次添加培養法、連続培養法を用いた深部通気撹拌培養が好ましい。このような条件で培養を行うと、培養から15〜72時間で十分な量の微生物が得られる。 本発明においては、上記の培養の際に、培地中に酵素の誘導化剤としてヘミアセタール水酸基を有する糖を添加することが、アルドン酸への変換効率を上昇させることができるという点で好ましい。ここで用いられるヘミアセタール水酸基を有する糖としては、D−グルコース、D−マンノース、D−ガラクトース、D−リボース、D−キシロース、L−アラビノース等の単糖、セロビオース、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、メリビオース、ラクトース等のオリゴ糖があげられる。また、これらの糖以外にもエタノール、イソプロパノールなどのアルコールを誘導剤として加えてもよい。 誘導化剤の添加量としては、0.1〜100g/L、さらに好ましくは0.1〜10g/Lである。 この場合、酢酸菌が前記糖のみで生育できないときには、資化することができる炭素源を添加して培養することが必要である。酢酸菌が通常資化できる炭素源としては、グルコース、果糖などの単糖類、ショ糖、麦芽糖などのオリゴ糖類、デンプン等の多糖類、糖アルコール、グリセロールなどが挙げられる。炭素源の添加量としては、一般的に10〜200g/L、さらに好ましくは、10〜50g/Lである。他の培地成分として、培養条件を最適化するために、前述の窒素源や、ミネラル、ビタミン、緩衝剤などを加えてもよい。 上記のようにして得られた酢酸菌の生菌体をそのまま用いる場合は、回収した菌体をそのまま用いることができる。 酢酸菌の菌体処理物として用いる場合は、アセトン、第四アンモニウム化合物、硫酸ラウリルソーダ、Tweenまたは、微生物の細胞壁の特異的な結合を分解する酵素などで薬剤処理した菌体、凍結した菌体を減圧下で水分を昇華することで得られる凍結乾燥菌体、ホモジナイザーやガラスビーズを用い、物理的に破砕した菌体破砕物、さらには菌体破砕物の上清である無細胞抽出物、これらから酵素を抽出した粗酵素液などを用いることができる。 酢酸菌の菌体あるいは処理物を担体に固定化するには、セルロース担体、セラミック担体、ガラスビーズ担体のような物質に吸着させる方法や、格子構造を持つゲル状物質、たとえば寒天、アルギン酸カルシウム、カラギーナンや、公知のポリマーに包括する方法などが挙げられる。この方法は微生物を繰り返し使用することを可能にする。 本発明の第1の製造方法においては、基質となるヘミアセタール水酸基を有する糖を反応溶媒に溶解し、上記したように調製した酢酸菌の培養液、菌体、または菌体処理物を加えて必要により反応温度、反応液のpHを制御しながら反応させる。反応溶媒としては、イオン交換水、緩衝液などの水性溶媒が使用できる。反応液の基質濃度は特に制限はないが、基質となる前記糖の溶解度、生産性などを考慮すると10〜50質量%で実施するのが好ましい。 反応時間に特に制限はないが、通常6〜24時間、好ましくは6〜12時間で反応が終了する条件を選択することが好ましい。反応pHは、用いる微生物の酵素の至適pHに依存するが、一般的にはpH4〜8の範囲で、特に5〜7が好ましい。また、反応温度は微生物酵素が失活しない条件であればよく、20〜60℃が好ましいが、30〜45℃がより好ましい。 反応方法としては静置、振とう、深部通気撹拌があげられる。このような条件で培養を行うと、15〜72時間で十分な量の生産物が得られる。 以上のようにして得られた反応液から、目的とするアルドン酸を単離精製するには、抽出、カラム分離などの一般的な分離方法を用いることができる。例えば、エタノールを反応液に添加して、目的産物を沈殿し回収する方法、活性炭や、多孔性有機樹脂粒子を用いた吸着クロマトグラフィーや、ゲルろ過、イオン交換樹脂クロマトグラフィーを用いて単離することができる。 本発明の第2の製造方法は、酢酸菌に属する微生物を、グルコース以外のヘミアセタール水酸基を有する糖を含有した培地で培養することにより、培養液中にアルドン酸を蓄積させ、培養液からアルドン酸を分離するものである。培養に用いられる培地成分としては、培地中にヘミアセタール水酸基を有する糖を含有させる以外は、本発明の第1の製造方法で用いる上記の培地成分が同様に用いられる。ヘミアセタール水酸基を有する糖としては、上記したものと同様のものが利用できる。これらの含有量としては、10〜500g/L、さらに好ましくは、10〜100g/Lである。 また、培養条件としては、培養期間が通常1〜10日間であることを除いて、前記した培養条件と同様に行うことができる。 培養液中に蓄積したアルドン酸は、前述した方法と同様に分離、精製することができる。 本発明により製造されたアルドン酸は、整腸作用、脂質代謝改善作用、ミネラル吸収促進作用、卵殻強化作用を示し、医薬品、食品や、飼料として有用である。上記アルドン酸を医薬品として用いる場合は、当該分野で常套的に用いられている賦形剤、潤沢剤、希釈剤、pH調節剤、防腐剤、甘味剤、芳香剤、乳化散剤などを用いて錠剤、粉剤、水和剤、乳剤として経口的にまたは非経口的に投与することができる。また、上記アルドン酸を食品や、飼料として用いる場合、そのままで、または他の食品や飼料に添加もしくは混合して使用することができる。 以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。なお、実施例中、%は、質量%を表す。 実施例において、反応液中あるいは培養液中のアルドン酸の定量は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い以下の条件により行なった。HPLC分析条件カラムAsahipak NH2P−50(Shodex社製)溶離液 アセトニトリル:40mMクエン酸−NaH2PO4緩衝液(pH5.0)=60:40(体積比)条件 温度:40℃流速:0.8mL/mL検出器:示差屈折計 実施例1〔菌体の調製〕(誘導化剤としてラクトースを添加)試験管(18 mm×200 mm)に、ラクトース0.5%、グルコース0.5%、酵母エキス0.5%、ポリペプトン0.5%、硫酸マグネシウム0.1%(pH7.0)を含む培地3mLを分注し、121℃で20分間殺菌した。その試験管に表1に示した各種グルコノバクター(独立行政法人製品評価技術基盤機構から入手)の一白金耳を植菌し、30℃で3日間振とう培養(220rpm)した。その後、培養液を遠心し菌体を回収した。〔ラクトビオン酸の生産〕上記の方法で得られた菌体を2%ラクトース1mLに再懸濁し、40度で6時間インキュベーションし、反応液中のラクトビオン酸を測定した。結果を表1に示す。 実施例2〔菌体の調製〕(誘導化剤は無添加)試験管(18 mm×200 mm)に、グルコース0.5%、酵母エキス0.5%、ポリペプトン0.5%、硫酸マグネシウム0.1%(pH7.0)を含む培地3mLを分注し、121℃で20分間殺菌した。その試験管に表1に示した各種グルコノバクター(独立行政法人製品評価技術基盤機構から入手)の一白金耳を植菌し、30℃で3日間振とう培養(220rpm)した。〔ラクトビオン酸の生産〕実施例1と同様の方法で行った。反応液中に含まれるラクトビオン酸を表2に示した。表2に示すように、実施例1と比較して、実施例2はいずれの菌株においてもラクトビオン酸濃度が低い、よって、菌体を調製する際に、ラクトースを誘導化剤として添加することがよいことが示された。 実施例3〔各種アルドン酸の生産〕 実施例1と同様にして、グルコノバクター・オキシダンス NBRC 3285の菌体を調製し、ヘミアセタール水酸基を有する糖12種(D−マンノース、D−ガラクトース、D−リボース、D−キシロース、L−アラビノース、セロビオース、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、メリビオース、ラクトース)の2%水溶液1mLに再懸濁し、40度で6時間インキュベーションした。反応液中に含まれる各種アルドン酸の定量結果を表3に示した。 実施例4〔ラクトビオン酸の発酵生産〕〔前培養〕試験管(18 mm×200 mm)に、グルコース0.5%、酵母エキス0.5%、ポリペプトン0.5%、硫酸マグネシウム0.1%(pH7.0)を含む培地3mLを分注し、121℃で20分間殺菌した。その試験管に一白金耳のグルコノバクター・セリナス NBRC 3267を植菌し、30℃で1晩振とう培養(220rpm)した。次に上記組成培地を1L分注し121℃で20分間殺菌した3L三角フラスコに上記試験管培養液を植菌し30℃で3日間振とう培養(220rpm)した。〔本培養〕ジャーファーメンターによる培養を行った。グルコース1.5%、ラクトース15%、酵母エキス0.5%、ポリペプトン0.5%、硫酸マグネシウム0.1%、炭酸カルシウム7.5%を含む培地(pH7.0)を20L調製し121℃で20分間殺菌した。これに上記前培養液1Lを植菌し、30℃で深部撹拌培養(300回転、1vvm)をした。培養液中に蓄積したラクトビオン酸の量と転換率を図1に示す。グルコノバクター・セリナス NBRC 3267によるラクトビオン酸の生成を経時的に測定した結果を示すグラフである。 グルコース以外のヘミアセタール水酸基を有する糖に、酢酸菌に属する微生物の菌体を接触させ、ヘミアセタール水酸基を酸化しアルドン酸を生成することを特徴とするアルドン酸の製造方法。 酢酸菌に属する微生物の菌体が、誘導化剤として、ヘミアセタール水酸基を有する糖及び/またはアルコールを添加した培地により培養して得られた菌体である請求項1記載のアルドン酸の製造方法。 酢酸菌に属する微生物を、グルコース以外のヘミアセタール水酸基を有する糖を含有した培地で培養することにより、培養液中にアルドン酸を蓄積させ、該培養液からアルドン酸を分離することを特徴とするアルドン酸の製造方法。 ヘミアセタール水酸基を有する糖が、D−マンノース、D−ガラクトース、D−リボース、D−キシロース、L−アラビノース、セロビオース、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、メリビオース及びラクトースからなる群から選択された少なくとも一つの糖である請求項1〜3のいずれかに記載のアルドン酸の製造方法。 【課題】安全性の担保された菌体を用いて、医薬品、食品や飼料として安全に用いることができるアルドン酸を製造する方法を提供する。【解決手段】グルコース以外のヘミアセタール水酸基を有する糖に、酢酸菌に属する微生物(例えば、グルコノバクター・セリナスNBRC 3267、グルコノバクター・オキシダンスNBRC 3285など)の菌体を接触させ、ヘミアセタール水酸基を酸化し、基質としたヘミアセタール水酸基を有する糖に対応するアルドン酸を生成することを特徴とするアルドン酸の製造方法。【選択図】図1