タイトル: | 公開特許公報(A)_がごめ昆布から昆布エキスを粉末状態で抽出する方法 |
出願番号: | 2005203008 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | A23L 1/337,A61K 36/00,A61P 1/04,A61P 3/00,A61P 3/06 |
長谷川 雅昭 JP 2007020416 公開特許公報(A) 20070201 2005203008 20050712 がごめ昆布から昆布エキスを粉末状態で抽出する方法 有限会社ヒューマンライフ&サイエンス社 505264613 財団法人函館地域産業振興財団 000173511 杉山 誠二 100104330 長谷川 雅昭 A23L 1/337 20060101AFI20070105BHJP A61K 36/00 20060101ALI20070105BHJP A61P 1/04 20060101ALI20070105BHJP A61P 3/00 20060101ALI20070105BHJP A61P 3/06 20060101ALI20070105BHJP JPA23L1/337 102A61K35/78 ZA61P1/04A61P3/00A61P3/06 2 1 OL 4 4B019 4C088 4B019LC05 4B019LE04 4B019LP02 4B019LP06 4B019LP07 4B019LP13 4B019LP15 4C088AA13 4C088AC01 4C088CA05 4C088CA11 4C088ZA69 4C088ZC21 4C088ZC33 本発明は一般に、昆布エキスの抽出方法に関する。より詳細には、本発明は、がごめ昆布から昆布エキスを粉末状態で抽出する方法に関する。 近年、フコイダン、アルギン酸、ラミナラン等の粘性多糖類が、成人病の予防や治療に大きな効果があるものとして期待されている。このような粘性多糖類を多く含む昆布として、がごめ昆布が知られており、がごめ昆布から粘性多糖類を抽出しようとする試みがなされている。また、がごめ昆布に含まれている「ぬめり」が身体に有用であり、胃の粘膜を保護し、脂肪の吸収を防ぐのに役立つことが知られている。 しかしながら、水に溶解している粘性多糖類は、極めて腐敗し易く、保存しにくいという特質を有しているため、がごめ昆布から、「ぬめり」を失うことなく保存可能な状態で昆布エキスを抽出するのが困難であった。そのため、「ぬめり」を失うことなく保存可能な状態で昆布エキスを抽出する方法の開発が望まれていた。 本発明は、このような状況に鑑みて開発されたものであって、がごめ昆布から昆布エキスを粉末状態で抽出する方法を提供することを目的としている。 本願請求項1に記載の昆布エキスの抽出方法は、がごめ昆布の表面の藻類を除去する工程と、前記がごめ昆布の表面に紫外線を照射して殺菌する工程と、前記がごめ昆布を2日間程度、水に浸漬する工程と、前記がごめ昆布を取り除いた前記水をフリーズドドライ処理する工程とを含むことを特徴とするものである。 本願請求項2に記載の昆布エキスの抽出方法は、前記請求項1の方法において、前記水が、0°C〜4°Cに維持されていることを特徴とするものである。 本発明の方法により、脂肪の吸収を防ぐことに有用な「ぬめり」を失うことなく、成人病の予防や治療への効果が期待されているがごめ昆布エキスを、保存可能な粉末状態で抽出することが可能になった。 次に図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態に係る、がごめ昆布から昆布エキスを粉末状態で抽出する方法について詳細に説明する。図1は、本発明の抽出方法を示したフロー図である。まず最初に、がごめ昆布の表面の藻類を除去する(工程1)。 次いで、藻類を除去したがごめ昆布の表面に紫外線を照射して殺菌する(工程2)。粘性多糖類が熱に弱く、加熱殺菌は不適当であるため、紫外線殺菌を採用したものである。また、粘性多糖類は紫外線の透過性が極めて悪いため、昆布素材自体の表面に紫外線を照射することにより、殺菌を可能にした。 次いで、紫外線殺菌したがごめ昆布を水に浸漬する(工程3)。昆布エキスを抽出する際に通常使用される熱水ではなく水を用いたのは、「ぬめり」を失わないようにするためである。雑菌が増えないように、水温は0°C〜4°Cに維持するのが望ましい。また、浸漬期間は、2日間程度が望ましい。2日間程度としたのは、これ以上の時間が経過すると、雑菌が発生するおそれがあるからである。このような浸漬により、がごめ昆布の昆布エキスが水に溶解する。 次いで、昆布を取り除いた水をフリーズドドライ処理する(工程4)。フリーズドドライ処理とは、対象物を氷点下数十度で凍結させた状態で、高真空下で昇華脱水させる処理のことをいう。本発明における処理では、通常のフリーズドドライ用装置を使用して処理を行ってよい。 このようにして得られた粉は、「ぬめり」を失わずに粘性多糖類を含んだものである。昆布エキスの使用に際して、粉を水に溶かす、等の所望の方法で利用することができる。 上述の工程を経て得られた昆布エキス中に含まれる成分を、高速液体クロマトグラフ法によって分析したところ、昆布エキス粉末100g中に、フコイダンの単糖類であるフコースが1.9g含まれていることが分かった。 昆布エキスの抽出の際に用いる水の温度を検証するため、4°Cの水と100°Cの水(熱水)にそれぞれ浸漬して抽出した昆布エキスをフリーズドドライ処理して比較したところ、4°Cの水を用いた場合には、昆布エキス粉末に「ぬめり」が残っていたが、100°Cの水(熱水)を用いた場合には、「ぬめり」が失われていることが確認された。これにより、0°C〜4°Cという浸漬温度の正当性が検証された。 昆布エキス抽出時の水温が低い程、抽出に要する時間が長いことが、一般的に知られているが、抽出時間が長くなると、粘性多糖類の腐敗が始まる。一方、上述のように、100°Cという高温で抽出すると、「ぬめり」が失われる。そこで、本発明では、上述のように、昆布エキス抽出に先立って紫外線殺菌を行い、「ぬめり」を失わずに、かつ、腐敗の発生を遅らせることに成功した。 図2は、紫外線殺菌を行ったがごめ昆布(6g)を4°Cの水(200cc)に浸漬して昆布エキスを抽出する過程において、液中の菌数の測定値を記したグラフである。このグラフから分かるように、紫外線殺菌を行ったことにより、浸漬日数が5日程度までは菌数がさほど増加せず、その後の加工処理に耐えることが分かる。 本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。本発明の好ましい実施の形態に係る昆布エキス抽出方法を示したフロー図である。抽出昆布エキス中の細菌の経日変化を示したグラフである。昆布エキスの抽出方法であって、 がごめ昆布の表面の藻類を除去する工程と、 前記がごめ昆布の表面に紫外線を照射して殺菌する工程と、 前記がごめ昆布を2日間程度、水に浸漬する工程と、 前記がごめ昆布を取り除いた前記水をフリーズドドライ処理する工程と、を含むことを特徴とする方法。前記水が、0°C〜4°Cに維持されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。 【課題】 がごめ昆布から昆布エキスを「ぬめり」を残した状態で粉末状態で抽出する方法を提供することである。 【解決手段】 がごめ昆布の表面の藻類を除去する工程と、がごめ昆布の表面に紫外線を照射して殺菌する工程と、がごめ昆布を2日間程度、水に浸漬する工程と、がごめ昆布を取り除いた水をフリーズドドライ処理する工程とを含むことを特徴とする昆布エキスの抽出方法が提供される。好ましくは、がごめ昆布を浸漬する水は、0°C〜4°Cに維持されている。【選択図】 図1