タイトル: | 公開特許公報(A)_ポリグリセリン脂肪酸エステルの製造方法 |
出願番号: | 2005202253 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | C07C 67/08,C07C 67/54,C07C 67/58,C07C 69/33,C07B 61/00 |
永廣 晋哉 上領 英二 JP 2006213698 公開特許公報(A) 20060817 2005202253 20050711 ポリグリセリン脂肪酸エステルの製造方法 理研ビタミン株式会社 390010674 岩谷 龍 100077012 永廣 晋哉 上領 英二 JP 2005003208 20050107 C07C 67/08 20060101AFI20060721BHJP C07C 67/54 20060101ALI20060721BHJP C07C 67/58 20060101ALI20060721BHJP C07C 69/33 20060101ALI20060721BHJP C07B 61/00 20060101ALN20060721BHJP JPC07C67/08C07C67/54C07C67/58C07C69/33C07B61/00 300 1 OL 8 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC41 4H006AC48 4H006AD11 4H006AD16 4H006BA02 4H006BA29 4H006BD20 4H006BN10 4H006KA06 4H039CA66 4H039CD10 4H039CD30 本発明は、ポリグリセリン脂肪酸エステルの製造方法に関する。 ポリグリセリン脂肪酸エステルは人体に対して安全性の高い界面活性剤であり、食品添加物として、また化粧品や医薬品などの分野において乳化液あるいは可溶化液の製造に、広く用いられている。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、親水基であるポリグリセリンの平均重合度、親油基である脂肪酸の種類およびエステル化度を選択することで、親水性から親油性まで、幅広い範囲のHLB値を有するものが得られる特徴がある。 ポリグリセリン脂肪酸エステルの製造方法としては、ポリグリセリンと脂肪酸(または脂肪酸クロライドなど)との直接エステル化反応による方法、ポリグリセリンと油脂(または脂肪酸メチルエステルなど)とのエステル交換反応による方法、グリシドールと脂肪酸との付加重合反応による方法などが知られているが、現在国内外で採られている工業的な製造方法は、ポリグリセリンと脂肪酸との直接エステル化反応による方法である。 ポリグリセリンと脂肪酸との直接エステル化反応において、モノエステルを多く含む反応混合物は、ポリグリセリン1モルに対して脂肪酸を1モル以下の比率で仕込むことにより得られる。しかし、このようなエステル化度の低い反応混合物中には、相当量の未反応のポリグリセリンが残存することが避けられない。ポリグリセリンは沸点が非常に高いため、減圧蒸留などの手段で効率良く除去することができない。そのため、HLB値の高いポリグリセリン脂肪酸エステルは、通常、未反応のポリグリセリンを含有する商品形態で市販されている。 ポリグリセリンはエーテル結合を分子内に含む多価アルコールの1種であり、界面活性剤としての機能を有さない。従って未反応のポリグリセリンを含むポリグリセリン脂肪酸エステルは、その分、単位重量当りの界面活性剤としての効果が低下することになる。また、未反応のポリグリセリンを多量に含む製品にはベタツキが強く、取り扱いが困難という欠点がある。 そこで、エステル化反応の終了した反応混合物からポリグリセリン脂肪酸エステルと未反応のポリグリセリンを分離し、ポリグリセリン脂肪酸エステルの含量を高める方法が色々検討されている。例えば、反応混合物を90℃で1時間放置し、上層を分取することによりポリグリセリン脂肪酸エステルを得る方法(特許文献1参照)、ポリグリセリンと脂肪酸とを140〜220℃で反応させた後、反応混合物を60〜115℃に冷却し、かつ場合により析出するポリグリセリン成分を除去し、その後に未反応のポリグリセリン成分を含有する反応混合物に0〜100℃で有機溶剤を加え、かつポリグリセリンの未反応部分を次いで添加される水で少なくとも1回の抽出工程で抽出し、分離された有機相を蒸留して、使用有機溶剤及び残余含有水からポリグリセリン脂肪酸エステル混合物を分離する、ポリグリセリン脂肪酸エステルの製法(特許文献2参照)、ポリグリセリン1.0モルに対し1.0モル以下の脂肪酸をエステル化反応させた反応生成物から、溶剤を用いて未反応のポリグリセリンを分液除去した後、必要により、溶剤を留去することを特徴とするHLBの高いポリグリセリン脂肪酸エステルの製造法(特許文献3参照)、ポリグリセリンと脂肪酸とのエステル化反応生成物の溶液を、アルキルシリル化シリカゲルと接触して、これに反応生成物を吸着させたのち、先ず低級アルコール15〜90容量%を含有する水溶液で未反応ポリグリセリンを抽出除去し、次いでポリグリセリン脂肪酸エステルを溶解しうる有機溶剤で溶離処理することを特徴とする高純度ポリグリセリン脂肪酸エステルの製造方法(特許文献4参照)、ポリグリセリンに脂肪酸または脂肪酸エステルを反応させ、得られたエステル化生成物から水溶性有機溶剤及び、水または塩析剤を含む水溶液を併用して未反応ポリグリセリンを抽出除去することを特徴とする高純度ポリグリセリン脂肪酸エステルの製造方法(特許文献5参照)、などが知られている。 しかし、反応混合物を単に放置しただけでは十分な分離は得られず、また有機溶剤を使用する方法は製造原価が高くなる上に安全衛生上の問題があり好ましいとは言えない。そのため、簡単でしかも効率良く未反応のポリグリセリンを分離するポリグリセリン脂肪酸エステルの製造方法の開発が望まれていた。特開昭58−185537号公報、合成例1特開平5−78279号公報、3頁左欄37〜47行特開昭63−23837号公報特開平3−81252号公報特開平6−41007号公報 本発明は、ポリグリセリンと脂肪酸との直接エステル化反応により得られる反応混合物から、工業的に実施するのに有利な方法で、未反応のポリグリセリンを可及的に減少せしめるポリグリセリン脂肪酸エステルの製造方法を提供することを目的とする。 本発明者らは、上記課題に対して鋭意・検討を行った結果、ポリグリセリンと脂肪酸との直接エステル化反応により得られる反応混合物にグリセリンを加え、その後未反応のポリグリセリンを含むグリセリン相を分離・除去し、ポリグリセリン脂肪酸エステルを取得することにより、上記課題が解決されることを見いだし、この知見に基づいて本発明をなすに至った。 すなわち、本発明は、60℃以上180℃未満の温度で、ポリグリセリンと脂肪酸との直接エステル化反応により得られる反応混合物にグリセリンを加え、その後未反応のポリグリセリンを含むグリセリン相を分離し、除去することを特徴とするポリグリセリン脂肪酸エステルの製造方法からなっている。 本発明に従えば、未反応のポリグリセリン含有量の少ないポリグリセリン脂肪酸エステルを、有機溶剤を必要とせず、簡便でしかも効率良く製造することができる。本発明の製造方法により得られるポリグリセリン脂肪酸エステルは、未反応のポリグリセリンの含有量が少ないので、単位重量当たりの界面活性剤としての効果が改善される。更に、ステアリン酸などをその構成脂肪酸とするポリグリセリン脂肪酸エステルでは粉末化が可能となり、得られた粉末はべたつき感がなく、取り扱いが容易となる。 本発明で用いられるポリグリセリンは、通常グリセリンに少量の酸またはアルカリを触媒として添加し、窒素または二酸化炭素などの任意の不活性ガス雰囲気下で、例えば約180℃以上の温度で加熱し、重縮合反応させて得られる重合度の異なるポリグリセリンの混合物である。また、ポリグリセリンは、グリシドールまたはエピクロルヒドリンなどを原料として得られるものであっても良い。反応終了後、必要であれば中和、脱塩、脱色などの処理を行って良い。該ポリグリセリンとしては、グリセリンの平均重合度が約2〜20、好ましくは約2〜10のポリグリセリン組成物が挙げられ、例えばジグリセリン(平均重合度2)、トリグリセリン(平均重合度3)、テトラグリセリン(平均重合度4)、ヘキサグリセリン(平均重合度6)、オクタグリセリン(平均重合度8)およびデカグリセリン(平均重合度10)などが挙げられる。 本発明において、上記重合度の異なるポリグリセリンの混合物を、例えば蒸留またはカラムクロマトグラフィーなど自体公知の方法を用いて精製し、単一成分の含量を高濃度化した高純度ポリグリセリンが、好ましく用いられる。そのような例としては、例えばグリセリン2分子からなるジグリセリンの含有量が約50質量%以上、好ましくは約70質量%以上、より好ましくは約90質量%以上であるジグリセリン組成物、およびグリセリン3分子からなるトリグリセリンの含有量が約50質量%以上、好ましくは約70質量%以上、より好ましくは約90質量%以上であるトリグリセリン組成物などが挙げられる。 本発明で用いられる脂肪酸としては特に制限はなく、例えば炭素数6〜24の直鎖状または分岐状の飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸が挙げられ、具体的には、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、イソステアリン酸、2−エチルヘキシル酸および縮合リシノール酸などが挙げられる。これら脂肪酸は、1種類または2種類以上組み合わせて用いることができる。 本発明において、ポリグリセリンに対する脂肪酸の仕込み量は、目的とするエステル化度により異なり一様ではないが、好ましくはポリグリセリン1モルに対して約0.1〜1モルの範囲である。ポリグリセリンに対する脂肪酸の仕込み量が少なすぎると、ポリグリセリン脂肪酸エステルそのものの生成量が少なくなり、経済的に有利ではない。 本発明において、ポリグリセリンと脂肪酸とのエステル化反応は無触媒で行って良く、または酸触媒あるいはアルカリ触媒を用いて行っても良いが、アルカリ触媒の存在下で行なわれるのが好ましい。酸触媒としては、例えば、濃硫酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。アルカリ触媒としては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。アルカリ触媒の使用量は、ポリグリセリンに対して約5×10-7〜1モル倍量、好ましくは約5×10-6〜0.1モル倍量である。 上記エステル化反応は、例えば攪拌機、加熱用のジャケット、邪魔板、不活性ガス吹き込み管、温度計および冷却器付き水分分離器などを備えた通常の反応容器に、ポリグリセリン、脂肪酸、および触媒を供給して攪拌混合し、窒素または二酸化炭素などの任意の不活性ガス雰囲気下で、エステル化反応により生成する水を系外に除去しながら、所定温度で一定時間加熱して行われる。反応温度は通常、約180〜260℃の範囲、好ましくは約200〜250℃の範囲である。また、反応圧力条件は減圧下又は常圧下で、反応時間は約0.5〜15時間、好ましくは約1〜3時間である。反応の終点は、通常反応混合物の酸価を測定し、約12以下を目安に決められる。 エステル化反応終了後、触媒を用いた場合は、反応混合物中に残存する触媒を中和する。その際、エステル化反応の温度が200℃以上の場合は液温を約180〜200℃に冷却してから中和処理を行うのが好ましい。また反応温度が200℃以下の場合は、そのままの温度で中和処理を行ってよい。触媒の中和は、例えば、アルカリ触媒として水酸化ナトリウムを使用し、これをリン酸(85質量%)で中和する場合、以下に示す中和反応式(1)で計算されるリン酸量を0.85で除した量*以上のリン酸(85質量%)を、好ましくは中和反応式(1)で計算されるリン酸量を0.85で除した量の約2〜3倍量のリン酸(85質量%)を反応混合物に添加して、良く混合することにより行われる。中和後、その温度で好ましくは約0.5時間以上、更に好ましくは約1〜10時間放置する。未反応のポリグリセリンが下層に分離した場合はそれを除去する。* 水酸化ナトリウムの使用量を1.0gとすると、約0.96gとなる。 次に、上記反応混合物を、必要なら冷却して、約60℃以上180℃未満、好ましくは約120℃以上180℃未満、更に好ましくは約130〜150℃に保ち、反応仕込み時のポリグリセリンと脂肪酸の合計質量の約0.5〜10倍量、好ましくは約0.5〜5倍量のグリセリンを添加する。反応混合物とグリセリンを良く混合した後、その温度で約0.5時間以上、好ましくは約1〜10時間放置し、二相に分離した下層(未反応のポリグリセリンを含むグリセリン相)を抜き取るか、または遠心分離し、未反応のポリグリセリンを含むグリセリン相を除去する。反応混合物に対するグリセリンの添加量が少ないと未反応のポリグリセリンの除去が不十分となる。また、グリセリンの添加量が多すぎると、グリセリン相の分離と除去に時間がかかり、生産性の低下を招き好ましくない。 上記処理により得られたポリグリセリン脂肪酸エステル組成物を、好ましくは、更に減圧下で蒸留して残存するグリセリンを留去し、必要であれば脱塩、脱色、ろ過などの処理を行い、未反応のポリグリセリンを可及的に減少せしめたポリグリセリン脂肪酸エステルを得る。 上記操作で除去された未反応のポリグリセリンを含むグリセリンは回収され、必要であれば脱色などの処理を行い、ポリグリセリン製造の原料として再利用される。 以下に本発明を実施例に基づいて、より具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 攪拌機、温度計、ガス吹込管および水分離器を取り付けた反応釜にグリセリン20kgを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム20w/v%水溶液100mLを加え、窒素ガス気流中250℃で4時間グリセリン縮合反応を行った。 得られた反応生成物を90℃まで冷却し、リン酸約20gを添加して中和した後ろ過し、ろ液を160℃、400Paの条件下で減圧蒸留してグリセリンを除き、続いて200℃、20Paの高真空条件下で分子蒸留し、グリセリン2質量%、ジグリセリン91質量%およびトリグリセリン7質量%を含む留分約3.7kgを得た。次に、該留分に対して1質量%の活性炭を加え、減圧下にて脱色処理した後ろ過した。得られたジグリセリン組成物の水酸基価は約1350で、その平均重合度は約2.0であった。 撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離器を取り付けた1Lの四つ口フラスコに、上記ジグリセリン組成物166g(約1.0モル)、およびステアリン酸(商品名:ステアリン酸90;ミヨシ油脂社製)226g(約0.8モル)を仕込み、触媒として水酸化ナトリウム10w/v%水溶液8mLを加え、窒素ガス気流中240℃で、酸価12以下となるまで、約2時間エステル化反応を行わせた。得られた反応混合物注1)を約180℃まで冷却し、リン酸(85質量%)1.84gを添加して触媒を中和し、その温度で約1時間放置し、分離した未反応のジグリセリン約40gを除去した。次に、反応混合物を約150℃まで冷却し、グリセリン350gを加えて均一に混合後その温度で約1時間放置し、分離したグリセリン相約324gを、駒込ピペットで上から吸い出し除去した。得られたポリグリセリン脂肪酸エステルを、約150℃、約400Paの条件で減圧蒸留して残留するグリセリンを留去し、ジグリセリンステアリン酸エステル(試作品1)約295gを得た。このものは酸価:1.6、水酸基価:270であった。 注1)無差別分布則に基づく未反応ポリグリセリンの推定含有量は約18質量% 実施例1で発生した分子蒸留残液を、240℃、20Paの高真空条件下で再び分子蒸留し、グリセリン1質量%、ジグリセリン4質量%、トリグリセリン91質量%およびテトラグリセリン1質量%、環状グリセリン3質量%を含む留分約1.5kgを得た。次に、該留分に対して1質量%の活性炭を加え、減圧下にて脱色処理した後ろ過した。得られたトリグリセリン組成物の水酸基価は約1170で、その平均重合度は約3.0であった。 撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離器を取り付けた1L四つ口フラスコに、上記トリグリセリン組成物240g(約1.0モル)、およびステアリン酸(商品名:ステアリン酸90;ミヨシ油脂社製)272g(約0.96モル)を仕込み、触媒として水酸化ナトリウム10w/v%水溶液10mLを加え、窒素ガス気流中240℃で、酸価12以下となるまで、約2時間エステル化反応を行わせた。得られた反応混合物注2)を約180℃まで冷却し、リン酸(85質量%)2.3gを添加して触媒を中和し、その温度で約1時間放置し、分離した未反応のトリグリセリン約40gを除去した。次に、反応混合物を約150℃まで冷却し、グリセリン420gを加えて均一に混合後その温度で約1時間放置し、分離したグリセリン相約340gを除去した。得られたポリグリセリン脂肪酸エステルを、約150℃、約400Paの条件で減圧蒸留して残留するグリセリンを留去し、トリグリセリンステアリン酸エステル(試作品2)約430gを得た。このものは酸価:1.8、水酸基価:300であった。 注2)無差別分布則に基づく未反応ポリグリセリンの推定含有量は約17質量%。 攪拌機、温度計、ガス吹込管および水分離器を取り付けた反応釜にグリセリン20kgを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム20w/v%水溶液200mLを加え、窒素ガス気流中250℃で8時間グリセリン縮合反応を行った。 得られた反応生成物を90℃まで冷却し、リン酸約40gを添加して中和し、更に該中和反応生成物に対して1質量%の活性炭を加えて減圧下にて脱色処理した後ろ過した。得られたペンタグリセリン組成物の水酸基価は約1011で、その平均重合度は約5.0であった。 撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離器を取り付けた2L四つ口フラスコに、上記ペンタグリセリン組成物388g(約1.0モル)、およびステアリン酸(商品名:ステアリン酸90;ミヨシ油脂社製)348g(約1.23モル)を仕込み、触媒として水酸化ナトリウム10w/v%水溶液15mLを加え、窒素ガス気流中240℃で、酸価12以下となるまで、約2時間エステル化反応を行わせた。得られた反応混合物注3)を約180℃まで冷却し、リン酸(85質量%)3.5gを添加して触媒を中和し、その温度で約1時間放置した。次に、反応混合物を約150℃まで冷却し、グリセリン640gを加えて均一に混合後その温度で約1時間放置し、分離したグリセリン相約430gを除去した。得られたポリグリセリン脂肪酸エステルを、約150℃、約400Paの条件で減圧蒸留して残留するグリセリンを留去し、ペンタグリセリンステアリン酸エステル(試作品3)約641gを得た。このものは酸価:2.4、水酸基価:359であった。 注3)無差別分布則に基づく未反応ポリグリセリンの推定含有量は約15質量%。 攪拌機、温度計、ガス吹込管および水分離器を取り付けた反応釜にグリセリン20kgを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム20w/v%水溶液200mLを加え、窒素ガス気流中250℃で10時間グリセリン縮合反応を行った。 得られた反応生成物を90℃まで冷却し、リン酸約40gを添加して中和し、更に該中和反応生成物に対して1質量%の活性炭を加えて減圧下にて脱色処理した後ろ過した。得られたオクタグリセリン組成物の水酸基価は約920で、その平均重合度は約8.0であった。 撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離器を取り付けた2L四つ口フラスコに、上記オクタグリセリン組成物610g(約1.0モル)、およびステアリン酸(商品名:ステアリン酸90;ミヨシ油脂社製)405g(約1.43モル)を仕込み、触媒として水酸化ナトリウム10w/v%水溶液20mLを加え、窒素ガス気流中240℃で、酸価12以下となるまで、約2時間エステル化反応を行わせた。得られた反応混合物注4)を約180℃まで冷却し、リン酸(85質量%)4.6gを添加して触媒を中和し、その温度で約1時間放置した。次に、反応混合物を約150℃まで冷却し、グリセリン915gを加えて均一に混合後その温度で約1時間放置し、分離したグリセリン相約342gを除去した。得られたポリグリセリン脂肪酸エステルを、約150℃、約400Paの条件で減圧蒸留して残留するグリセリンを留去し、オクタグリセリンステアリン酸エステル(試作品4)約1278gを得た。このものは酸価:2.8、水酸基価:416であった。 注4)無差別分布則に基づく未反応ポリグリセリンの推定含有量は約14質量%。 [試験例1] 実施例1〜4で得たポリグリセリン脂肪酸エステル(試作品1〜4)中の遊離のポリグリセリン含量(グリセリンを含む)を測定した。結果を表1に示した。 [定量法] ガラス製カラム(長さ:21cm、直径:2cm)に、逆相系シリカゲル(商品名:イナートシルODS−3;ジーエルサイエンス社製)約30gを乾式法で充填した。試料約10gを精密に量り、25容量%メタノール水溶液50mLに溶解してカラム上層に流し込み、続いて25容量%メタノール水溶液200mLを流速1mL/1分間で通液し、流出した液を回収した。この流出液を重量既知の濃縮フラスコに洗い込み、ロータリーエバポレーターを用いて、約90℃、約4kPaの条件で濃縮後、デシケーター中で放冷し、総重量を精密に量り、次式により遊離のポリグリセリン含量(質量%)を求めた。 [試験例2] 実施例1〜4で得たポリグリセリン脂肪酸エステル(試作品1〜4)を噴霧冷却し、得られた粉粒体の状態を観察した。結果を表2に示した。 [操作方法] 研究開発用噴霧乾燥装置(型式:L−8i;大川原化工機社製)を使用。試料各約200gを約80℃に溶融し、溶融液を液体窒素を注入し塔内温度を約5〜10℃に調整した塔内に加圧ノズルにより噴霧し、冷却固化した粉粒体を塔下部で回収した。 試作品1〜4はいずれも良好な粉末となり、従来の製造方法で製造された同種のポリグリセリン脂肪酸エステルではべたつきが大きくいずれも粉末化が困難であったことと対比すると、本発明の効果は明らかである。 60℃以上180℃未満の温度で、ポリグリセリンと脂肪酸との直接エステル化反応により得られる反応混合物にグリセリンを加え、その後未反応のポリグリセリンを含むグリセリン相を分離し、除去することを特徴とするポリグリセリン脂肪酸エステルの製造方法。 【課 題】ポリグリセリンと脂肪酸との直接エステル化反応により得られる反応混合物から、工業的に実施するのに有利な方法で、未反応のポリグリセリンを可及的に減少せしめるポリグリセリン脂肪酸エステルの製造方法を提供する。【解決手段】60℃以上180℃未満の温度で、ポリグリセリンと脂肪酸との直接エステル化反応により得られる反応混合物にグリセリンを加え、その後未反応のポリグリセリンを含むグリセリン相を分離し、除去することを特徴とするポリグリセリン脂肪酸エステルの製造方法。【選択図】なし