タイトル: | 公開特許公報(A)_埼玉県育成水稲品種「彩のかがやき」の品種判別方法 |
出願番号: | 2005202208 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | C12Q 1/68,C12N 15/09,G01N 27/447 |
平野 泰志 JP 2006345843 公開特許公報(A) 20061228 2005202208 20050614 埼玉県育成水稲品種「彩のかがやき」の品種判別方法 埼玉県 591267855 平野 泰志 C12Q 1/68 20060101AFI20061201BHJP C12N 15/09 20060101ALI20061201BHJP G01N 27/447 20060101ALI20061201BHJP JPC12Q1/68 AC12N15/00 AG01N27/26 325EG01N27/26 325B 7 4 書面 16 4B024 4B063 4B024AA08 4B024AA11 4B024AA20 4B024CA01 4B024CA20 4B024HA11 4B024HA20 4B063QA13 4B063QA18 4B063QQ04 4B063QQ09 4B063QQ42 4B063QR08 4B063QR32 4B063QR35 4B063QR40 4B063QR42 4B063QR62 4B063QS16 4B063QS25 4B063QS36 4B063QX01 本発明は、埼玉県育成の水稲品種「彩のかがやき」への他の品種の混合の有無および混合された品種の判定を行うためのDNA品種判別方法に関し、詳しくは籾、玄米、精米、米飯等の米試料から抽出したDNAを鋳型とし、選定した適正な分子マーカーの存在下にPCRを行うことによって、増幅したDNA断片から品種混合の有無および混合された品種を判別する方法に関する。 改正JAS法のもと、米の包装での品種、産地、産年の表示が義務づけられている。農産物の虚偽表示など食に対する消費者の不安感や、農薬を削減した安心で安全な食の確保への関心が高まっており、消費者の信頼を獲得し続けることは、水田営農に関する施策の中でも最も重要な項目の一つである。 「米政策大綱」のもと、新たな需給調整システムが導入され、産地毎に売れた米の量に基づいて翌年の生産量が決定され、「売れない」米産地は米づくりから撤退を余儀なくされる。 農業が経営として成り立つためには売れる米をどれだけ確保できるかが重要である。 埼玉県では、埼玉県育成の良食味で減農薬栽培に有効な複数の病害虫に抵抗性を有する「彩のかがやき」を奨励しており、消費者の求める安心で安全な「売れる米づくり」を定着,推進しており、消費者が買った米が間違えなく、安心で安全な「彩のかがやき」であるかを明らかにする必要がある。 発明が解決しようとする課題 しかしながら、稲および米の品種判別には、従来は稲植物体の形、葉の色、玄米の粒型、酵素活性の多型(アイソザイムパターン)などが用いられてきたが、精米あるいは精米粉の持つ情報のみによって、類似品種間の識別を行うことは困難であるため、科学的な裏付けを提示することが必須で、種子生産から米消費に至る一貫した検査機能を充実させることが不可欠の要件である。 本発明は、埼玉県育成の水稲品種「彩のかがやき」の良質穀粒に対する他の品種の混合の有無および混合された品種を簡易迅速、かつ正確に判定する方法を提供することを目的としている。 そのために、個人識別などで利用されている遺伝子診断技術を使って品種の判別技術を開発し、「彩のかがやき」のみに特異的なDNA断片を増幅するオリゴヌクレオチド(「彩のかがやき」ポジティブプライマー)、「彩のかがやき」以外の品種に特異的なDNA断片を増幅するオリゴヌクレオチド(「彩のかがやき」ネガティブプライマー)およびその利用方法を提供しようとしている。 課題を解決するための手段 上記した目的を達成するために本発明は、「彩のかがやき」を間接的に識別できるように2種1組で用いられるオリゴヌクレオチドであって、「彩のかがやき」ポジティブプライマーセット;T86pf(5’−TCGTACACTCATCCGCTTCC−3’)とT86pr(5’−GTATCAGAGCCTCAATTTGTC−3’)。「彩のかがやき」ネガティブプライマーセット;T86nf(5’−AATCAAGTCAGTGGTAAAGGG−3’)とt86nr(5’−GGTGGTCCTCAGGGTAAAG−3’)の塩基配列を有することを特徴とする。 詳しくは、T86pf(5’−TCGTACACTCATCCGCTTCC−3’)とT86pr(5’−GTATCAGAGCCTCAATTTGTC−3’)の塩基配列を有するプライマーセットは、「彩のかがやき」のみに特異的な253bpのDNA断片を増幅するときに用いられる。 T86nf(5’−AATCAAGTCAGTGGTAAAGGG−3’)とt86nr(5’−GGTGGTCCTCAGGGTAAAG−3’)の塩基配列を有するプライマーセットは、「彩のかがやき」以外の品種に特異的な970bpのDNA断片を増幅するときに用いられる。 本発明を実施する方法では、上記第1種および第2種のオリゴヌクレオチドはそれぞれ、上記のとおりの塩基配列を有する19から21塩基よりなるオリゴヌクレオチドであって、該2種のオリゴヌクレオチドは、上記米試料からゲノミックDNAを抽出し、鋳型としてPCR反応(ポリメラーゼ・チェーン・リアクション)を行う際に、上記のオリゴヌクレオチドをプライマーセットとして用いて、各米試料の増幅DNAパターンを電気泳動法によって調べ、その泳動パターンにより特定の米試料を検出することによるものである。 米試料から抽出したDNAを鋳型とするPCR増幅を行うに際し、対象の品種には現れずに他の品種のみに特有に現れるネガティブバンド識別用分子マーカーを用いて第1次のPCRを行い、発現したDNA断片によっては、試料が対象品種であるかを確認し、さらには品種混合の有無および混合された品種の同定を簡易迅速、かつ正確に行うことができるものである。 上記のDNA品種判別方法において、ネガティブバンド識別用分子マーカーを用いても識別バンドが発現しなかった場合において、対象品種のみに特異的に発現するポジティブバンド識別用分子マーカーを用いてPCR法を行い、発現したDNA断片によって対象品種であることを確認することを特徴とするDNA品種判別方法である。 本発明において、上記米試料のゲノミックDNAを抽出精製する方法としてはSDS/酢酸カリウム法を用いた。 上記PCR法は通常行われる方法で実施するが、本発明ではウイリアムズらの方法によって、反応混液を調製し、サーマルサイクラーPTC200(MJ社)またはTP600(タカラバイオ社)等を用いて、DNAの増幅を行ったが、これに限定されるものでなく、ウイリアムズ方法の改変、その他の方法で行うことも可能である。 上記増幅DNAの検出には、本発明では、上述のPCR反応液に泳動用色素液を加え、電気泳動装置を用い、100Vで40分間通電し、泳動終了後、0.5μg/mlエチジウムブロマイド溶液に20分間浸漬して行った。泳動用バッファーとしてはTAE緩衝液を用い、又、ゲルは2.0%(W/V)アガロース(シグマ社、タイプI)をTAE緩衝液に溶解して作製した。写真撮影は、上述のエチジウムブロマイド染色したゲルを軽く水洗し、透過型紫外線照明装置の上に置き、紫外線を当てて撮影する。しかしながら、本発明は、これらの方法に限定されるものではない。 作用 米試料について、プライマーセットを用いてDNAの増幅を行い、米品種に特異的なDNA断片の有無を電気泳動により検出し、識別を行うことができる。 上記分子マーカーは、PCR反応において、米試料から抽出されたゲノムDNAより「彩のかがやき」に特異的なDNA断片を増幅するときに用いられ、以下の塩基配列からなる2種1組のオリゴヌクレオチド(T86pプライマーセット)である。5’−TCGTACACTCATCCGCTTCC−3’および5’−GTATCAGAGCCTCAATTTGTC−3’ また、上記分子マーカーは、PCR反応において、米試料から抽出されたゲノムDNAより「彩のかがやき」以外の品種に特異的なDNA断片を増幅するときに用いられ、以下の塩基配列からなる2種1組のオリゴヌクレオチド(T86nプライマーセット)である。5’−AATCAAGTCAGTGGTAAAGGG−3’および5’−GGTGGTCCTCAGGGTAAAG−3’ 以下、本発明の実施例を添付の図面を参照して具体的に説明する。 本発明は、品種間の識別性の高い識別バンドを増幅させるように設計された分子マーカーを用いて、米試料から抽出したDNAを鋳型とするPCR法を行い、品種間の識別性の現れるDNA断片のみを増幅させ、電気泳動により検出することを特徴とする米試料の品種判別方法である。 これらの米試料は、適当な粉砕機器、例えばミル、ペンチ、乳鉢等によって粉砕して粉末試料とした後、以下の検出操作に供される。 <DNA抽出法>米試料からDNAの抽出は、公知の方法を用いて行うことができる。例えば、フェノール抽出法、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)法等を挙げることができる。しかし、有機溶媒を使用するため、廃液処理が問題となる。そのため、SDS/酢酸カリウム法を用いるのが好ましい。■例えば、薬包紙に挟んだ米をペンチで潰し、1.5mlチューブに入れ、抽出用緩衝液(50mM エチレンジアミン四酢酸(EDTA)二ナトリウム,0.5M NaCl,10mM 2−メルカプトエタノール)0.5mlを添加し、軽く撹拌し、67μlの10%SDSを添加する。■室温に30分間、放置する。■65℃で10分間処理後、5M酢酸カリウム液160μlを加えて混合し、14,000rpm,10分間遠心し、上清400μlを回収する。■イソプロパノール200μlを加え、14,000rpm,10分間遠心する。■沈殿に70%エタノール250μlを添加し、14,000rpm、10分間遠心分離し、洗浄する。■50μlのTE緩衝液(10mMトリス酢酸pH8.0及び1mM EDTA)に懸濁して精製DNAとする。■種子に含まれている大量のアミロースが、DNA抽出を邪魔するため、アミラーゼで処理する方法もあるが、今回のSDS/酢酸カリウム法では、アミラーゼ処理することなしに、DNAの抽出が可能であり、操作時間の短縮となる。 <PCR反応:ポジティブプライマーセットの場合>精製DNAの10倍希釈液2.5μl,10倍濃度PCR buffer(タカラバイオ社)1.5μl,10mM dNTP(タカラバイオ社)1.2μl,5U/μl Taq(タカラバイオ)0.075μl,10pmole/μl各プライマー(キアゲン社)0.75μl,滅菌水8.225μlを加えて15.0μlとした。 以上の反応混液を、TP600(タカラバイオ社)を用いて、94℃4分、(94℃30秒、50℃15秒、72℃1分)を45サイクル、72℃5分間処理し、増幅したDNA断片を得る。上記したPCR反応に必要とした時間は、約2時間半であった。 <PCR反応:ネガティブプライマーセットの場合>精製DNAの10倍希釈液2.5μl,10倍濃度PCR buffer(タカラバイオ社)1.5μl,10mM dNTP(タカラバイオ社)0.25μl,5U/μl Taq(タカラバイオ社)0.075μl,10pmole/μl各プライマー(キアゲン社)0.75μl,滅菌水9.175μlを加えて15.0μlとした。 以上の反応混液を、TP600(タカラバイオ社)を用いて、94℃4分、(94℃30秒、60℃15秒、72℃1分)を45サイクル、72℃5分間処理し、増幅したDNA断片を得る。上記したPCR反応に必要とした時間は、約2時間半であった。 <増幅DNAの検出>電気泳動用ゲルは2.0%(W/V)アガロース(シグマ社製タイプI)を使用した。0.42gのアガロースを30mlのTAE緩衝液(40mMトリス酢酸pH8.0、20mM酢酸および1mM EDTA)に溶解し、5.9cm×10.7cm×0.5cmのゲルを作製する。泳動用緩衝液としてはTAE緩衝液を使用した。 PCR反応液5μlに色素液2μlを加えて試料とし、これを電気泳動装置mupid(コスモバイオ社)を使用して100Vで約40分間泳動を行った。染色は泳動後、0.5μg/mlエチジウムブロマイド溶液に20分間浸漬して行った。 <写真撮影>エチジウムブロマイド染色後、軽く水洗したゲルを透過型紫外線照明装置トランスイルミネーター(フナコシ社)の上におき、シャッタースピード1/1秒、絞り11で撮影した。フイルムはポラロイドフイルムタイプ667、カメラ装置はMP−4ランド・カメラ(ポラロイド社)、フイルターは赤色フイルターMC−R1(ケンコー社)を使用した。結果を図1、図2、図3、図4および図5に示す。 <試験結果> <RAPDプライマーの一次選択>「彩のかがやき」および埼玉県の平成15年度における作付け上位品種である9品種(「コシヒカリ」,「キヌヒカリ」,「朝の光」,「ゆめみのり」,「あかね空」,「日本晴」,「アキニシキ」,「ひとめぼれ」,「月の光」)の10品種(ほぼ100%の作付け)の玄米1粒からDNAを抽出した。 DNAを適正なランダムプライマーの存在下でPCR法によって増幅したDNAの分子量の相違を電気泳動によって検出する技術(RAPD(random amplified polymorphic DNA method)法による判別技術)を用いて、増幅したDNAの多数の泳動バンドのうちから、識別性のあるバンドを選別する。 RAPD法は、25種類のArbitray Primer(A−A01〜A−A25)(ニッポンジーン社)を用いてマニュアルにしたがって実施した。RAPD反応液10μlを2.0%アガロースゲルで電気泳動し、エチジウムブロマイドで染色し、DNA断片を観察した。 まず、「彩のかがやき」および「コシヒカリ」の2品種を用いてRAPD法を実施し、25種類中8種類のRAPDプライマー(A01,A03,A07,A08,A21,A24,A25)で「彩のかがやき」に特異的な断片が、25種類中1種類のプライマー(A08)で「彩のかがやき」に非特異的な断片が認められる(図1)。 <RAPDプライマーの二次選択>8種類のRAPDプライマー(A01,A03,A08,A12,A18,A21,A24,A25)について、さらに「キヌヒカリ」,「朝の光」を追加してRAPDプライマーの絞り込みを行い、4種類のRAPDプライマー(A01,A08,A18,A25)が有望である(図2)。 有望な各バンドは次の通りである。 (1)識別バンドA01(約560bp)このバンドは、「彩のかがやき」から抽出したDNAを増幅することにより得られるが、「コシヒカリ」,「キヌヒカリ」および「朝の光」では見られない。 (2)識別バンドA08(約950bp)このバンドは、「コシヒカリ」,「キヌヒカリ」および「朝の光」から抽出したDNAを増幅することにより得られるが、「彩のかがやき」では見られない。 (3)識別バンドA18(約400bp)このバンドは、「彩のかがやき」から抽出したDNAを増幅することにより得られるが、「コシヒカリ」,「キヌヒカリ」および「朝の光」では見られない。 (4)識別バンドA25(約270bp)このバンドは、「彩のかがやき」から抽出したDNAを増幅することにより得られるが、「コシヒカリ」,「キヌヒカリ」および「朝の光」では見られない。 <RAPDプライマーの遺伝子解析>それぞれのRAPDプライマーは特異的な断片以外の断片が現れているため、このようにして検出された品種間の識別性の現れたDNA断片から、次のようにして一対の対合プライマーを作製する。すなわち、当該識別性の現れたバンドを前記ゲルから切り出してDNAを抽出、回収し、これを大腸菌に組み込んで増殖させる。次いで、アルカリミニプレップ法等でプラスミドを抽出し、これを鋳型DNAとしてPCR法で増殖し、DNA自動シークエンサーにより塩基配列を決定する。 決定された塩基配列から、対合プライマーの設計を行う。先のランダムプライマーによるPCR法において、鋳型である米試料由来のDNAのうちのランダムプライマーが結合した部位は、当該ランダムプライマーと同一あるいは相補的な(相同な)配列を有している。つまり、この鋳型DNAから切り出して抽出した品種識別性の高いDNA塩基配列は、両端にランダムプライマーと同一あるいは相同な配列を有していることになる。したがって、この識別性の高いDNA塩基配列のフォワード側およびリバース側のそれぞれから、適当な配列と長さとを有する米の品種判定に有用な分子マーカーを設計することができる。 「彩のかがやき」にのみ特異的なプライマー(ポジティブプライマー)および「彩のかがやき」以外に特異的なプライマー(ネガティブプライマー)を作製する。 分子マーカーを選定することにより、最初のPCRにおいてランダムプライマーが鋳型DNAに結合する複数個所のうち、第2次のPCRにおいては、品種識別に有用な識別用DNA断片となる塩基配列部分のみに選択的に結合することになる。 これらの分子マーカーは、上記したような一連の手順により、すなわち米試料から抽出したDNAを鋳型とし、ランダムプライマーを用いたPCRにより品種間の識別性の現れるバンドを切り出して、クローニング、シークエンスして識別部分のDNA塩基配列を決定し、その配列と予想Tmに基づいて本発明者が設計したものである。 本発明では、このような分子マーカーを用いて、先に抽出した鋳型DNAと共にPCR法を行う。分子マーカーを選定することにより、PCRにおいて、品種の識別に有用な識別用分子マーカーとなる塩基配列部位のみに選択的に結合する。その結果、本発明の目的とする米の品種判別が可能となる。 <開発したプライマー群の検討>作製したRAPDプライマー(A01,A08,A18,A25)から有望なDNA断片の塩基配列結果からの数種類のプライマーを用いてPCRを行い、有望なプライマーセットを選抜する(図3)。 <「彩のかがやき」ポジティブプライマー>「彩のかがやき」ポジティブプライマーを用いて、10品種でPCRを行った結果、「彩のかがやき」にのみDNA断片が認められ、「彩のかがやき」の検出に有効である(図4)。 <「彩のかがやき」ネガティブプライマー>「彩のかがやき」以外の9品種に陽性となる「彩のかがやき」ネガティブプライマーを用いて、10品種でPCRを行った結果、「彩のかがやき」以外にDNA断片が認められ、「彩のかがやき」以外の検出に有効である(図5)。 本発明において、対象品種のみに特異的に発現するポジティブプライマーセットとは、対象品種のみに発現する特異的なDNA断片であり、対象品種である「彩のかがやき」に独自のDNA断片を示すものである。また、対象品種のみに発現しないネガティブプライマーセットとは、「彩のかがやき」以外の上記対象品種に特異的なDNA断を示すものである。 <品種判別技術の利用方法> <1 定性試験>無作為に20粒の米試料を選び、DNAを抽出し、「彩のかがやき」ポジティブプライマーおよび「彩のかがやき」ネガティブプライマーを用いてPCRで検定する。ポジティブプライマーで陽性、かつネガティブプライマーで陰性の場合、100%「彩のかがやき」と判定できる。ポジティブプライマーで陽性または陰性、かつネガティブプライマーで陰性の場合、「彩のかがやき」以外の混種の疑いがある(図6)。 <2 定量試験>混種の疑いがある場合、無作為に20粒の米試料を選び、DNAを抽出し、1粒ずつ「彩のかがやき」ポジティブプライマーおよび「彩のかがやき」ネガティブプライマーを用いてPCRで検定し、混種の確認および混種割合を判別する(図6)。 図1において、各レーンに対する説明は、以下の通りである。コは、「コシヒカリ」,かは、「彩のかがやき」,Mは、分子量マーカー,A01〜A25は、な断片である。 図2において、各レーンに対する説明は、以下の通りである。コは、「コシヒカリ」,キは、「キヌヒカリ」,朝は、「朝の光」,かは、「彩のかがやき」,Mは、分子量マーカー,A01〜A25は、使用したRAPDプライマー,2.0%(W/ 図3において、各レーンに対する説明は、以下の通りである。コは、「コシヒカリ」、かは、「彩のかがやき」、Mは、分子量マーカー,▲1▼〜▲4▼は、RAPDプライマーA01、A08、A18およびA25をクローニングして得られた遺伝子配列から作製したプライマーセットの一部,2.0%(W/V)アガロースゲル使用である。 図4において、各レーンに対する説明は、以下の通りである。コは、「コシヒカリ」,キは、「キヌヒカリ」,朝は、:「朝の光」,ゆは、「ゆめみのり」,あは、:「あかね空」,日は、「日本晴」,アは、「アキニシキ」,ひは、「ひとめぼれ」,月は、「月の光」,かは、「彩のかがやき」、Mは、分子量マーカー,2.0%(W/V)アガロースゲル使用である。 図5において、各レーンに対する説明は、以下の通りである。コは、「コシヒカリ」,キは、「キヌヒカリ」,朝は、:「朝の光」,ゆは、「ゆめみのり」,あは、:「あかね空」,日は、「日本晴」,アは、「アキニシキ」,ひは、「ひとめぼれ」,月は、「月の光」,かは、「彩のかがやき」、Mは、分子量マーカー,2.0%(W/V)アガロースゲル使用である。 発明の効果 本発明によれば、米試料に他の品種が混合していることを、抽出したDNAを鋳型とするPCRを用いて判別するすることができ、かつ混入しいる品種を識別することができる。すなわち、第1次PCRによって、簡易迅速に品種混合の有無を判定することができ、少量でも他の品種が混合していれば、判別できる。さらに、第2次PCRによって、当該混合品種を同定することができる。 特に、本発明では識別性の高い分子マーカーによるPCRを行うために、目的とする識別バンド以外のバンドが消失し、たとえば対象が「コシヒカリ」系統のような近縁種の場合にも、正確な品種判別が可能である。しかも、品種判別を短時間、かつ低コストで実施することができる。 したがって、生産者等が簡易に米のトレーサビリティを行える技術が確立され、種子や出荷の生産物を各段階で迅速に判別することが可能となり、生産者が自信を持って、消費者等に安心で安全な県農産物を供給することができる。 生産物、流通物を各段階で容易に判別することが可能となり、消費者への正確な情報提供ルートを整備することによって、消費者の食に対する信頼を高めることができる。 25種類のRAPDプライマーの一次選抜の電気泳動パターンを示す図面に代わる写真である。 符号の説明 コは、「コシヒカリ」,かは、「彩のかがやき」,Mは、分子量マーカー,A01〜A25は、 図2 RAPDプライマーの二次選抜の電気泳動パターンを示す図面に代わる写真である。〔符号の説明〕コは、「コシヒカリ」,キは、「キヌヒカリ」,朝は、「朝の光」,かは、「彩のかがやき」,Mな断片をそれぞれ示す。 図3 開発したプライマーによる特異性検討結果の電気泳動パターンを示す図面に代わる写真である。〔符号の説明〕コは、「コシヒカリ」、かは、「彩のかがやき」、Mは、分子量マーカー,▲1▼〜▲4▼は、RAPDプライマーA01、A08、A18およびA25をクローニングして得られた遺伝子配列から作製したプライマーセットをそれぞれ示す。 図4 作製したポジティブプライマーの特異性検討結果の電気泳動パターンを示す図面に代わる写真である。〔符号の説明〕コは、「コシヒカリ」,キは、「キヌヒカリ」,朝は、:「朝の光」,ゆは、「ゆめみのり」,あは、:「あかね空」,日は、「日本晴」,アは、「アキニシキ」,ひは、「ひとめぼれ」,月は、「月の光」,かは、「彩のかがやき」、Mは、分子量マーカーをそれぞれ示す。 図5 作製したネガティブプライマーの特異性検討結果の電気泳動パターンを示す図面に代わる写真である。〔符号の説明〕コは、「コシヒカリ」,キは、「キヌヒカリ」,朝は、:「朝の光」,ゆは、「ゆめみのり」,あは、:「あかね空」,日は、「日本晴」,アは、「アキニシキ」,ひは、「ひとめぼれ」,月は、「月の光」,かは、「彩のかがやき」、Mは、分子量マーカーをそれぞれ示す。 図6 ポジティブプライマーおよびネガティブプライマーの利用方法を示す図面である。 米試料に他の品種が混合しているか否かを、当該米試料から抽出したDNAを鋳型とするPCR法を用いて判別するに際し、対象品種では識別バンドを発現せず、混合品種のみに選択的に発現するネガティブバンド識別用分子マーカーを用いることを特徴とする水稲のDNA品種判別方法。 米試料が目的とする品種であるか否かを、当該米試料から抽出したDNAを鋳型とするPCR法を用いて判別するに際し、対象品種のみに識別バンドを選択的に発現するポジティブバンド識別用分子マーカーを用いることを特徴とする水稲のDNA品種判別方法。 DNA品種判別方法において、ネガティブバンド識別用分子マーカーを用いても識別バンドが発現しなかった場合において、対象品種のみに特異的に発現するポジティブバンド識別用分子マーカーおよび/または対象品種のみに特異的に発現しないネガティブバンド識別用分子マーカーを用いて、第2次のPCR法を行い、発現したDNA断片によって対象品種であることを定性的に確認することを特徴とする水稲のDNA品種判別方法。 請求項1〜3記載の米試料のDNA品種判別方法において、ネガティブバンド識別用分子マーカーを用いて識別バンドが発現した場合において、試料米各1粒ずつから抽出したDNAを鋳型として、対象品種のみに特異的に発現するポジティブバンド識別用分子マーカーおよび/または対象品種のみに特異的に発現しないネガティブバンド識別用分子マーカーを用いて、PCR法を行い、発現したDNA断片の有無により、対象品種が混入された混合品種を定量的に確認することを特徴とする水稲のDNA品種判別方法。 「彩のかがやき」、「コシヒカリ」、「キヌヒカリ」、「朝の光」、「ゆみみのり」、「あかね空」、「日本晴」、「アキニシキ」、「ひとめぼれ」、「月の光」、「ヒノヒカリ」のいずれかである請求項1〜4記載の米試料のDNA品種判別方法。 品種間の識別性の高い識別バンドより選択された識別バンドから抽出されたDNA塩基配列のフォワード側およびリバース側から設計された分子マーカーを用いて、米試料から抽出したDNAを鋳型とするPCR法を行い、品種間の識別性の現れるバンドのみを増幅させ、電気泳動により検出することを特徴とする米試料の品種判別方法。 「彩のかがやき」のみを識別するT86pfおよびT86prからなる対合プライマーで構成されるポジティブプライマーセットおよび「彩のかがやき」以外を識別するT86pfおよびT86prからなる対合プライマーからなるネガティブバンド識別用対合プライマーセットを用いるPCR法により行う請求項1〜5のいずれかに記載の水稲のDNA品種判別方法。 【課題】良質穀粒に対する他の品種の混合の有無および混合された品種を簡易迅速、かつ正確に判定する方法及び技術を提供する。【解決手段】穀粒に他の品種の穀粒が混合しているか否かを、当該穀粒から抽出したDNAを鋳型とするPCR法を用いて判別するに際し、対象品種では識別バンドを発現せず、混合品種のみに選択的に発現するネガティブバンド識別用分子マーカーを用いることを特徴とする穀類のDNA品種判別方法、ならびに対象品種のみに選択的に識別バンドが発現し、他の品種では、発現しないポジティブバンド識別用分子マーカーを含むことを特徴とする穀類のDNA品種判別用手法。【選択図】図4