タイトル: | 特許公報(B2)_NMR・ESRアンテナ及びそれを用いた分析装置 |
出願番号: | 2005201739 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | G01R 33/32,G01R 33/34,G01N 24/10,G01N 24/12 |
羽原 秀太 朴 ミンソク JP 4266216 特許公報(B2) 20090227 2005201739 20050711 NMR・ESRアンテナ及びそれを用いた分析装置 株式会社日立製作所 000005108 ポレール特許業務法人 110000350 羽原 秀太 朴 ミンソク 20090520 G01R 33/32 20060101AFI20090423BHJP G01R 33/34 20060101ALI20090423BHJP G01N 24/10 20060101ALI20090423BHJP G01N 24/12 20060101ALI20090423BHJP JPG01N24/04 510AG01N24/04 520AG01N24/04 510FG01N24/10 510LG01N24/12 510Z G01N 24/00−24/14 G01R 33/20−33/64 JSTPlus(JDream2) JST7580(JDream2) 特開昭61−186843(JP,A) 特開平10−123072(JP,A) 特開昭60−082982(JP,A) 特公平04−002909(JP,B2) 実開昭53−164192(JP,U) Kojiro Takagi et al.,The EPR Spectrometer for Gaseous Free Radicals in the Three Millimeter Wavelength Region,Japanese Journal of Applied Physics,1974年 8月,Vol.13 No.8,pp.1195-1198 9 2007017392 20070125 10 20070419 (出願人による申告)平成16年度文部科学省、新方式NMR分析技術の開発(新方式NMRシステム技術の開発)委託研究、産業再生法第30条の適用を受けるもの 田中 洋介 本発明は、核磁気共鳴(以下、NMR)および電子スピン共鳴(以下、ESR)のアンテナ及びそれを用いた分析装置に関する。 NMRおよびESR装置は、静磁場下に置かれた試料に数マイクロ秒周期のラジオ波やマイクロ波等の電磁波を照射し、試料から発生する自由減衰信号を受信することで試料の構造を特定する装置である。 近年、ダイナミック核磁気偏極(Dynamic Nuclear Polarization,DNP)の原理を用いて検出感度を向上させる方法やESR装置を用いた顕微鏡などが開発されている。DNPを利用した感度向上の方法は、極低温で固体状態の試料の電子スピンをESR装置で偏極させておき、その偏極を核スピンへ移してNMR装置で計測するという手法を用いる。 NMRとESRを同時計測できる装置であれば、はじめにESR装置を使って偏極させ、後にNMR装置で測定するため、試料を移し替える必要がない。また、画像が取得できるESR装置を使っている場合、ESR装置で試料の画像を取得しながら同時にNMR装置で試料のスペクトルの情報を得ることができる。このように、NMRとESRの同時計測は、一方を計測する場合に比べて装置が複雑になるが多くの情報を取得でき、試料の分子構造やダイナミクス、電子状態の情報を得ることができる。 NMRとESRを同時計測する際には、磁場中に置かれた試料に対してNMR、ESR両方の共鳴周波数に対応したアンテナを配置する。特に磁場が7テスラ程度の高磁場領域になると、ESR共鳴周波数が196GHzの高周波になり、「高磁場ESR」と呼ばれる分野になる。 高磁場ESRを構成する際の問題点は100GHz以上のマイクロ波を取り扱うことが難しいことである。周波数が100GHz以上になると標準的な周波数発振源を購入することが難しく、同軸ケーブルや導波管でマイクロ波を伝達するのにもロスが大きくなる。また、試料空間に集中的にマイクロ波を照射するアンテナの構成方法も難しくなる。 高磁場ESR装置を構成するためには、周波数源としてGUNN発振器やその逓倍波、マグネトロンを用いる。マグネット内部にマイクロ波を導入する方法としてオーバーサイズの導波管を用いるか、準光学的にガウス型のビームに形成したマイクロ波を空中伝播させて導入したりする。 また、試料とのカップリングを形成するアンテナの構成方法としては、非特許文献1に記載の円筒形キャビティや、非特許文献2に記載のファブリペロー型と呼ばれるキャビティが用いられている。また、片面がメッシュのハーフミラーによるファブリペロー型キャビティが既に200GHz以上の高磁場ESR装置で実現されている(非特許文献3)。J.Mag.Resonance,140,293−299(1999)Rev.Sci.Instrum.69,3924−3937(1998)Rev.Sci.Instrum.70,3681−3683(1999) 円筒形のキャビティを用いる場合、試料試験管はその中心軸に設置することになるが、通常その直径は1ミリ以下であり、使用できるサンプル量が少ない。また、キャビティの効率は周波数が高くなるほど低下する。200GHz以上の高周波では、円筒形のキャビティはファブリペロー型に比べて効率が悪くなることが指摘されている。 一方、非特許文献3に記載されている、片面がメッシュのハーフミラーによるファブリペロー型キャビティの場合は、試料の配置場所が放物面ミラー上という制約があるため、試料交換のたびにミラーを洗浄する必要がある。また、2重共鳴スペクトルを取る際に、試料とNMR検出コイルとのカップリングが悪いなどの問題もある。 本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、試料とNMR信号検出コイル、ESRマイクロ波キャビティとのカップリングを向上させ、効率よくNMR,ESRスペクトルを取得できるNMR・ESRアンテナ、及びそれを用いた分析装置を提供することにある。 上記目的を達成するための本発明は、試料に電磁波を照射し、前記試料から発生される信号を検出するNMR・ESRアンテナにおいて、一対の反射体の対向によりESR用マイクロ波キャビティを構成し、試料管を挿入するための貫通孔を一方の反射体に、マイクロ波を導入するマイクロ波導入部を他方の反射体にそれぞれ設け、前記キャビティ内にNMR用ソレノイド型コイルを配置し、前記ESR用マイクロ波キャビティの中心軸と前記NMR用ソレノイド型コイルの中心軸とが同一となるように、かつ前記中心軸が静磁場の方向と直交するように設けることを特徴とする。前記ESR用マイクロ波キャビティは2つの対向した球面鏡または放物面鏡により構成される。 あるいは、本発明のNMR・ESRアンテナは、一対の反射体の対向により構成されるESR用マイクロ波キャビティと、一方の反射体にマイクロ波を導入するためのマイクロ波導入部と、前記キャビティ内の中心軸上にNMR用ソレノイド型マイクロコイルを実装する基板とを設け、前記基板内に液状の試料が溜まる液溜めを持つ微小流路を備えることを特徴とする。 本発明のNMR・ESRアンテナをNMR・ESR装置のプローブとして適用し、ESR用マイクロ波キャビティを用いて電子スピン偏極を核スピン偏極へ移し、NMRソレノイド型コイルを用いて前記核スピン偏極を測定する。 本発明の構成を採用することにより、高周波でのNMR及びESRスペクトルを効率よく取得でき、かつ、試料の交換が簡便になる。 以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。本発明は実施形態に開示する技術的思想を利用して種々の変更が可能であり、本明細書に記載の実施例だけに限定されるものではない。 NMR装置は試料中の原子核スピンの信号を検出するのに対して、ESR装置は電子常磁性共鳴装置(EPR装置)とも呼ばれ、試料中の電子スピンの信号を検出する。一般に、同じ強度の磁場中に置かれた試料の場合、NMR信号の共鳴周波数に比べてESR信号の共鳴周波数は約670倍も高くなる。 高磁場ESR装置を構成するためには、周波数源としてGUNN発振器やその逓倍波、マグネトロンを用いる。また、マグネット内部にマイクロ波を導入する方法としてオーバーサイズの導波管を用いるか、準光学的にガウス型のビームに形成したマイクロ波を空中伝播させて導入する。また、試料とのカップリングを形成するアンテナの構成方法としては、球面または放物面のレンズを対向させたファブリペロー型キャビティアンテナを採用する。(実施形態1) 本発明の第一の実施形態について説明する。図2は、本発明による2重共鳴分析装置のNMR・ESR装置を示す構成図である。(a)はNMR・ESR装置を側面から見た断面図、(b)は(a)におけるマグネット装置を上部からみた平面図、(c)は(a)におけるマグネット装置をプローブ挿入方向からみた側面図を示している。 本実施例のNMR・ESR装置は、試料に対し静磁場を印加する超電導マグネット101を低温容器102とともにマグネット装置103に備えている。超電導マグネット装置103に挿入され、試料に対してラジオ波、マイクロ波などの電磁波を送信する送信コイルと、試料から発せられる自由減衰信号を受信する受信コイルとを有するNMR・ESRプローブ104を備える。送信コイルと受信コイルは兼用であってもよい。 NMR・ESR装置は、NMR・ESRプローブ104に接続され、送信コイルから照射される電磁波を作成し、受信コイルからの自由減衰信号に基づいて信号処理を行うNMR・ESR送受信回路105を有している。さらに、送受信回路105の出力に応じて種々の情報処理を行う情報処理装置106を有して構成される。 マグネット装置103は低温容器102と、その内部に配置される超伝導マグネット101とを有している。低温容器102内には液体窒素、液体ヘリウムなどの冷媒が注入され、超伝導マグネット101を冷却する。超伝導マグネット101は水平方向に巻き軸を有し、一対に配置された超伝導コイルであり、この一対の超伝導コイルの中間には試料を挿入する試料挿入空間107を形成している。試料は試料挿入空間107の上部から試料管によって挿入される。 また、超伝導マグネット101を構成する各超伝導コイルは、本実施例においては説明の簡略化のため単層のマグネットで示されている。しかし、複数層の超伝導コイルを用いることは各超伝導コイル間の調整を必要とするものの、磁場の均一性を高める上で有用である。また、超伝導コイルの水平方向の巻き軸を貫くように空間が形成されており、低温容器102もその空間に対応して形成されている。 NMR・ESRプローブ104は超伝導マグネット101及び低温容器102のプローブ挿入空間108に沿って挿入される。詳細な図示を省略しているが、NMR・ESRプローブ104は試料を鉛直方向から挿入するため、垂直方向に試料空間を有するコイルを採用しており、コイルはソレノイド型である。 以上の構成により、本実施形態にかかるNMR・ESR装置は、静磁場下に置かれた試料に数マイクロ秒程度の電磁波を照射し、その電磁波に基づき試料から発生する自由減衰信号を受信し、信号処理を行い、NMR、ESR計測を行うことができる。 図1はNMR・ESRプローブアンテナの構成を示している。本実施例のNMR・ESRプローブアンテナ104は、試料管201、NMR用ソレノイド型ラジオ波コイル202、ESR用マイクロ波キャビティ203、マイクロ波導入部206を有している。なお、試料管201は試料の分析時にアンテナに挿入、組み込まれる。 試料管201はマイクロ波キャビティ203の上部反射体203−1の中心を貫通している。マイクロ波キャビティ203の上部反射体は中心部分の電場強度が強く、その部分に穴があるとマイクロ波キャビティとしての効率が落ちる。そのため貫通する試験管の直径はなるべく小さい方がよい。 試料管201は、一例として直径が3ミリ程度のガラス管で構成している。一方、使用する試料管はサンプルの量と感度が比例するために大きい管を使用したいという要求がある。効率と感度の妥協点を取って3ミリ程度の試料管が適当である。 マイクロ波キャビティ203は、上部反射体と対向する下部反射体との間隔が2センチ程度で、共鳴周波数は200GHz程度のものを使用している。その場合、電磁波の波長は1.5ミリ程度なので、鏡面の面精度はその100分の1程度の15ミクロン以下となる。なお、上部、下部反射体には放物面鏡を用いるが、球面鏡でもよい。 マイクロ波キャビティ203の反射体の一方はキャビティの軸方向に可動式に構成される。すなわち、入射するマイクロ波の波長にあわせてキャビティ内に定在波を効率よく立たせるために、ミラーの片面をピエゾ素子などで可動させ、キャビティ軸長を数ミクロン単位で制御する。 図1には、キャビティ203の軸を中心として立つ電磁波の定在波204を示している。実施例1のような試料管201を用いた構成は水以外のマイクロ波の吸収係数が低い有機溶媒を用いる試料に関しては有効である。 しかし、試料管201に入る内容物によっては、うまく定在波が立たなくなる可能性もある。特に、水はマイクロ波をよく吸収するので、直径3ミリの試料管では水量が多すぎて、キャビティの効率が低下することがある。その場合は、より直径の小さい試験管を用いるか、試料を入れる容器の形状を変える必要がある(実施形態2で説明する)。 本実施例では従来と異なり、主磁場の方向208と直交して、マイクロ波キャビティ203の主軸と試料管201の主軸を配置している。この場合におけるNMR・ESR装置への適用例を説明する。 図3はNMR・ESR装置にNMR・ESRアンテナをプローブとして配置した配置構成を示している。NMR・ESRアンテナはプローブ104の筐体に包まれて、マグネット101のプローブ挿入孔108に挿入され、マグネットの試料挿入空間107にキャビティ203の軸方向が合わされる。その後、上部から試料の入った試料管201が挿入され、下部からマイクロ波導入部206が設置される。 この配置構成により、従来方式に比べて以下のような特徴がある。まず、NMR用ラジオ波ソレノイド型コイルが採用できる。図1では、NMRコイル202は4重のソレノイド(螺旋)コイルの断面を示しているが、コイルの巻き数は周波数などによって最適値が異なる。NMRコイル202の作る交流磁場の方向は主磁場208と直交する必要がある。また、一般にソレノイド型のコイルは鞍方のコイルに比べてフィリングファクター(充填率)が高く取れる場合が多く、その結果としてソレノイド型のコイルの方が鞍型よりも感度が高い。よって、ソレノイド型コイル202を使用することは大きな特徴となる。 図1には、マイクロ波キャビティ203に入射するマイクロ波の電場の偏光方向207が示されている。主磁場208の方向に対して入射する電磁波の磁場の偏極は直交している必要があるため、電場偏光方向207は図示のように紙面に沿う方向となる。 マイクロ波導入部206は下部の放物面ミラーに穴を設け、その部分でマイクロ波導入用の角型のホーンアンテナと結合している。たとえば、周波数220〜325GHzに対応する角型導波管の導波路の内寸は0.86ミリ×0.43ミリである。したがって、放物面ミラーにおけるマイクロ波導入部206の導入孔の大きさは周波数によって変わるが、上記内寸を基準にして少し大き目とする。ただし、マイクロ波導入孔が3ミリ以下の場合は、この導入孔からの試料管201の導入が困難になるので、その場合は試料管をキャビティ203の側面から導入し、固定する構成となる。 マイクロ波導入部206は角型のホーンアンテナのほかに、丸型のコルゲートタイプのホーンアンテナが偏光の向きが変わらなければ使用可能である。また、マイクロ波キャビティ203とマイクロ波導入部206の接続部は、キャビティと入射波、検出波とのカップリングの効率を考えて設計する必要がある。一般的に結合部が大きければ入射波の電力が大きく取れるが、キャビティとしての効率(Q値)は下がる。Q値が下がれば結果的に検出感度や励起効率が落ちるので好ましくない。それらのトレードオフを考えて適切な接合を設計する必要がある。 マイクロ波をマイクロ波導入部206へ伝播する手段としては、空気中を光学的に伝播させる方法が効率の面から最も好ましい。一般に、周波数にして40GHz以下の電磁波ならば減衰率の少ない同軸ケーブルや導波管が存在する。しかし、40GHzを超えると、ケーブルや導波管での減衰率が大きくなり、電波を空中伝播させた方が、減衰は少なくなる。 電波を空中伝播させる場合、同軸ケーブルのように曲げたりすることができず、取り回しの自由度は減少する。一般的にはガウシアン光学系と呼ばれる電磁波のビームをガウス型の伝播波と近似した光学系を用いて設計し、テフロン(登録商標)などのレンズやミラー、メッシュ型の偏光ミラーなどを用いて、適切にマイクロ波導入部206にマイクロ波を外部から導入する。 本実施例によるNMR・ESRアンテナは、図2の水平式NMR・ESR装置のマグネット装置103に挿入されるNME・ESRプローブ104として適用される。試料は上方に設置される試料管201から供給され、マイクロ波は反対側のマイクロ波導入部206から投入される。ESR用マイクロ波キャビティ203は試料から発生する電子スピンを核スピンへ移すので、NMR用ソレノイド型コイル202で計測することが可能になる。 ESR・NMR2重共鳴測定は、本実施例の構成に外部磁場コイルを設ければ実現できる分光法である。ESRのスペクトルを連続波モード(continuous wave mode)で磁場を掃引しながら測定し、測定途中にNMR信号に相当するラジオ波を試料に照射してスペクトルの変化を見る。 ダイナミック核磁気偏極(dynamic nuclear polarization)を用いた高感度NMR計測は、本実施例の構成に冷却装置などを追加して実現できる。試料を極低温に冷却し、試料にESR共鳴マイクロ波を照射し、試料中の電子スピンを偏極させる。電子スピン偏極は固体効果などの相互作用を通じて核スピンの偏極へ移動し、固化していた試料溶媒を急速に解凍した後に高感度のNMR測定が可能になる。 ESRイメージングとNMR分光同時測定は、本実施例に画像情報取得のための傾斜磁場コイルを追加して実現できる。核磁気共鳴信号を利用した画像取得装置としては医療用MRI装置が有名である。近年、電子スピン共鳴信号を利用した画像取得の技術の発展が著しく、現在では10ミクロン角の分解能で画像イメージの取得が可能になっている。本実施例を適用すれば、ESRシステムで植物組織などの画像情報を取得しながらタンパク質等のNMR信号の時間変化を追跡できる。(実施形態2) 次に他の実施例を説明する。図4は、試料部分とNMRアンテナコイルの形状を変えたNMR・ESRプローブアンテナの構成を示す。(a)はNMR・ESRプローブの概略構成、(b)はマイクロコイル及び微小流路のプレートの平面図、(c)は(b)の側面図を示している。 本実施例によるNMR・ESRプローブ300は、マイクロコイルおよび微小流路を備えたプレート301、上下ミラーの対によるESR用マイクロ波キャビティ302、マイクロ波導入部304を有している。マイクロ波が導入されると、キャビティ内に電磁波の定在波303が発生する。プレート301には、NMR用ソレノイド型マイクロコイル309と、液溜め307を持つ微小流路308を設けている。主磁場の方向306を示す矢印とマイクロ波偏光の向き305は図1の場合と同様である。 試料が水溶媒の際はマイクロ波の減衰率が大きいために試料の量が制限される。その場合、実施例1のような構成にすると、円筒形の試料管201の直径を1ミリ程度以下にする必要があり、NMR用ラジオ波コイルからの距離が大きくなり、感度低下が問題になる。 それを避けるために、本実施形態では試料を平面の基板中に形成した微小流路308の液溜まり307に保持し、その液溜まりに近接して設置されたマイクロコイル309でNMR信号を取得する。 液体試料の交換は、微小流路308の入口から出口へと液体を流し込むことで行う。プレート301は厚さ1ミリ程度であり、平面がマイクロ波キャビティ302の光軸と垂直になるように設置される。 この構成で、マイクロ波キャビティ302の内部に立つ電磁波の定在波の節と腹の部分のうち、腹の部分に試料部分が設置された場合が最も感度が高い。そのため、プレート301はマイクロ波キャビティ302の光軸方向にミクロン単位で移動調整する機構を持つことが望ましい。その他の応用例などは実施例1と同様である。 本実施例によるNMR・ESRアンテナは、図2のマグネット装置103に挿入されるNME・ESRプローブ104として適用される。水平型のNMR・ESR装置では、試料は上方のプローブ挿入空間108あるいは試料挿入空間107から微小流路308を通じて供給され、マイクロ波は挿入空間107からマイクロ波導入部206より投入される。 なお、実施形態1,2のNMR・ESR装置における超伝導マグネット装置は水平方向に巻き軸を有する超伝導マグネットである。しかし、本実施形態の電磁波送受信装置を用いる限りにおいて、垂直方向に巻き軸を有する超伝導マグネット等のNMR装置に対しても適用可能である。本発明の実施形態1に係るNMR・ESRアンテナの構成図。実施形態1に係るNMR・ESR装置の概要を示す構成図。実施形態1のNMR・ESRアンテナをNMR・ESR装置のプローブに適用した配置図。本発明の実施形態2に係るNMR・ESRアンテナの構成図。符号の説明 101…超伝導マグネット、102…低温容器、103…マグネット装置、104…NMR・ESRプローブ、105…NMR・ESR送受信回路、106…情報処理装置、201…試料管、202…NMR用ソレノイドコイル、203…マイクロ波キャビティアンテナ、204…電磁波の定在波、206…マイクロ波導入部(ホーンアンテナ)、207…マイクロ波の偏光面、208…マグネットの主磁場方向、301…プレート、302…マイクロ波キャビティアンテナ、303…電磁波の定在波、304…マイクロ波導入部(ホーンアンテナ)、305…マイクロ波の偏光面、306…マグネットの主磁場方向、307…液溜め、308…微小流路、309…NMR用マイクロコイル。 試料に電磁波を照射し、前記試料から発生される信号を検出するNMR・ESRアンテナにおいて、 一対の反射体の対向によりESR用マイクロ波キャビティを構成し、試料管を挿入するための貫通孔を一方の反射体に、マイクロ波を導入するマイクロ波導入部を他方の反射体にそれぞれ設け、前記キャビティ内にNMR用ソレノイド型コイルを配置し、前記ESR用マイクロ波キャビティの中心軸と前記NMR用ソレノイド型コイルの中心軸が同一となるように、かつ前記中心軸が静磁場の方向と直交するように設けることを特徴とするNMR・ESRアンテナ。 請求項1において、前記試料管は前記ESR用マイクロ波キャビティの中心軸に配置されることを特徴とするNMR・ESRアンテナ。 請求項1において、前記マイクロ波導入部は前記一方の反射体の中心に穴を設け、その部分でマイクロ波導入用のホーンアンテナと結合してなることを特徴とするNMR・ESRアンテナ。 請求項1において、前記反射体は放物面鏡または球面鏡を用いることを特徴とするNMR・ESRアンテナ。 静磁場を発生するマグネット装置に挿入されると、試料に電磁波を照射し、前記試料から発生される信号を検出するNMR・ESRアンテナにおいて、 一対の反射体の対向により構成されるESR用マイクロ波キャビティと、一方の反射体にマイクロ波を導入するためのマイクロ波導入部と、前記キャビティ内の中心軸上にNMR用ソレノイド型マイクロコイルを実装する基板を設け、前記基板内に液状の試料が溜まる液溜めを持つ微小流路を備えることを特徴とするNMR・ESRアンテナ。 請求項5において、前記NMR用ソレノイド型マイクロコイルの中心軸と前記微小流路の液溜めの中心が同一であり、かつ前記NMR用ソレノイド型マイクロコイルの中心軸が主磁場の方向と直交していることを特徴とするNMR・ESRアンテナ。 請求項5において、前記基板の平面が前記ESR用マイクロ波キャビティの光軸に対し垂直となるように配置し、かつ前記基板が前記光軸の方向に移動できる調整機構を備えていることを特徴とするNMR・ESRアンテナ。 静磁場を発生するマグネット装置と、前記マグネット装置に挿入されて試料に対し電磁波を照射すると共に、試料から発生される信号を検出するNMR・ESRプローブと、前記プローブに電気的に接続される電磁波送受信装置を備える分析装置であって、 前記NMR・ESRプローブは、請求項1に記載のNMR・ESRアンテナを用いることを特徴とする分析装置。 静磁場を発生するマグネット装置と、前記マグネット装置に挿入されて試料に対し電磁波を照射すると共に、試料から発生される信号を検出するNMR・ESRプローブと、前記プローブに電気的に接続される電磁波送受信装置を備える分析装置であって、 前記NMR・ESRプローブは、請求項5に記載のNMR・ESRアンテナを用いることを特徴とする分析装置。