タイトル: | 公開特許公報(A)_経口投与用医薬組成物 |
出願番号: | 2005198242 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | A61K 31/5575,A61K 9/20,A61K 47/26,A61K 47/36,A61K 47/40,A61P 9/10,A61P 43/00 |
山本 政信 關屋 昇 西浦 昭雄 笹谷 晴英 JP 2006045218 公開特許公報(A) 20060216 2005198242 20050707 経口投与用医薬組成物 小野薬品工業株式会社 000185983 山本 政信 關屋 昇 西浦 昭雄 笹谷 晴英 JP 2004202393 20040708 A61K 31/5575 20060101AFI20060120BHJP A61K 9/20 20060101ALI20060120BHJP A61K 47/26 20060101ALI20060120BHJP A61K 47/36 20060101ALI20060120BHJP A61K 47/40 20060101ALI20060120BHJP A61P 9/10 20060101ALI20060120BHJP A61P 43/00 20060101ALI20060120BHJP JPA61K31/5575A61K9/20A61K47/26A61K47/36A61K47/40A61P9/10A61P43/00 112 17 OL 14 4C076 4C086 4C076AA36 4C076BB01 4C076CC13 4C076CC30 4C076DD29 4C076DD41 4C076DD67Q 4C076EE30Q 4C076EE38Q 4C076EE39Q 4C076FF04 4C076FF65 4C076GG06 4C086AA01 4C086AA02 4C086DA03 4C086MA02 4C086MA03 4C086MA05 4C086MA07 4C086MA35 4C086MA44 4C086MA52 4C086NA03 4C086ZA40 4C086ZC12 本発明は、有効成分の分解を著しく防止した、長期保存可能な経口投与用医薬組成物に関する。 医薬品は冷暗所で保存されることが一般的である。しかし、それ以外の条件(例えば、高温または多湿条件下)においても安定な製剤でなければ、医薬品を保存または運送する際に利便性が損なわれる。 そのため、光に対して不安定な有効成分を含む医薬組成物は遮光容器に入れたり、湿度に対して不安定な有効成分を含む医薬組成物は、水分透過性の低いPTP(プレススルーパッケージ;Press through package)包装を施すか、または保存容器に乾燥剤を入れるなどの処置がなされる。 しかし、湿度に対して不安定な有効成分を含む医薬組成物は、たとえ水分透過性の低い包装を施して保存しても、安定性が損なわれる場合がある。これは、水分透過性の低い包装は、外部の水分が包装内に透過されにくい一方で、医薬組成物の原料に含まれる水分や医薬組成物を製造する過程において混入する水分が包装外に放出されず、この医薬組成物内在性の水分によって有効成分が分解されてしまうことが一因であると考えられる。このような現象は、予測や予防が極めて困難であり、品質管理上大きな問題となる。 例えば、芳香剤として用いられる炭酸ガス発泡製剤は、製剤中のわずかな水分により炭酸ガスと水を出しながら分解し、発生した炭酸ガスにより、包材が膨らんだり、さらには破裂するなどの現象が起こる危険性がある。このような不具合をさけるために、炭酸ガス発泡製剤の水分中の自由水の量を規定すればよいことが開示されている(特許文献1参照。)。 また、特許3646310号にはリマプロスト アルファデクスを含有する経口投与用医薬組成物が開示されている(特許文献2参照。)。特開2001−170153号公報。特許3646310号公報。 医薬組成物中の水分によって有効成分が分解されることなく、長期保存可能な経口投与用医薬組成物が切望されていた。 医薬組成物中の水分は結合水と自由水に分類される。医薬組成物の構成成分と強固に結合している結合水に対し、自由水は温度や湿度の影響で容易に移動や蒸発が起こる。本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、医薬組成物中の自由水の量を水分活性値0.2以下に低減させた医薬品は、内在性の水分によって有効成分が分解されにくくなることを初めて見いだした。すなわち、医薬組成物中の水分活性値を0.2以下に制限することによって、湿度に不安定な有効成分(例えば、リマプロスト等)を含有する医薬組成物にPTP包装のような水分を通しにくい密封包装を施して長期保存しても、有効成分が水分によって分解されないことを見いだし本発明を完成した。 すなわち、本発明は、1. 水分活性値が25℃において0.2以下である経口投与用医薬組成物、2. 密封包装である前記1記載の医薬組成物、3. 密封包装がPTP包装または瓶である前記2記載の医薬組成物、4. 錠剤である前記2記載の医薬組成物、5. 原薬および製剤基剤を混和した後の全体の水分活性値が25℃において0.4以下である原料を用いて製造することを特徴とする前記4記載の医薬組成物、6. 素錠を乾燥させることにより製造される前記4記載の医薬組成物、7. リマプロスト アルファデクスを含有してなる前記4記載の医薬組成物、8. (1)リマプロスト アルファデクス、および(2)グルカン類および賦形剤から選択される一種以上、を含有する前記7記載の医薬組成物、9. (1)リマプロスト アルファデクスおよびグルカン類を含有する凍結乾燥品、および(2)グルカン類および賦形剤から選択される一種以上、を含有する前記7記載の医薬組成物、10. グルカン類がデキストリン、デキストランおよびプルランから選択される1種以上である前記9記載の医薬組成物、11. 賦形剤が乳糖、トレハロースおよびトウモロコシデンプンから選択される1種以上である前記9記載の医薬組成物、12. 原薬がリマプロスト アルファデクスおよびグルカン類を含有する凍結乾燥品であり、製剤基剤がグルカン類、賦形剤および添加剤から選択される1種以上である前記5記載の医薬組成物、13. リマプロスト アルファデクスおよびグルカン類を含有する凍結乾燥品に、グルカン類および賦形剤を添加し、さらに必要に応じて添加剤を添加して製造される素錠を乾燥させることにより製造される前記6記載の医薬組成物、14. リマプロスト アルファデクスを含有する、水分活性値が25℃において0.2以下である密封包装錠剤、15. (1)リマプロスト アルファデクスおよびグルカン類を含有する凍結乾燥品、および(2)グルカン類および賦形剤から選択される一種以上、を含有する前記14記載の密封包装錠剤、16. 原薬および製剤基剤を混和した全体の水分活性値が25℃において0.4以下である原料を用いることを特徴とする前記4記載の医薬組成物を製造する方法、および17. 素錠を乾燥させることを特徴とする前記4記載の医薬組成物を製造する方法に関する。 本明細書中、水分活性値とは医薬組成物中に含まれる全水分中の自由水の割合を意味し、医薬組成物を入れた密閉容器内の水蒸気圧とその温度における純水の蒸気圧の比で定義される。25℃における水分活性値は公知の方法を用いて容易に測定することができ、例えばアクアラブ(AQUA LAB;デカゴン社製;Cat.No.CX-3TE)等を用いて測定することができる。 本発明の医薬組成物は、25℃における水分活性値を約0.2以下、好ましくは約0.15以下、さらに好ましくは約0.12以下に調整する。医薬組成物の水分活性値を約0.2以下に調整するには、(1)水分含量の低い原料を用いるか、乾燥させた原料を用いて医薬組成物を製造するか、(2)素錠を25℃において水分活性値を約0.2以下になるまで乾燥させればよい。 ここで原料とは、医薬組成物の構成成分を指し、原薬または製剤基剤等が挙げられる。原薬とは医薬組成物中の有効成分を意味し、当然のことであるが、有効成分を含有する凍結乾燥品も含まれる。製剤基剤とは、製剤を成型するのに必要な医薬組成物中の原薬以外の成分を意味する。25℃における水分活性値約0.2以下の医薬組成物を製造するには、原薬および製剤基剤を混和した後の水分活性値が25℃で0.4以下であればよい。 素錠とは、原料を打錠したものを指す。 原料および素錠を乾燥する方法としては、例えば気体送風乾燥、減圧乾燥または加熱減圧乾燥等が挙げられる。気体送風乾燥で使用される気体としては、例えば熱風、温風、不活性ガス(例えば、酸素、窒素、アルゴン等)等が挙げられる。 原料を乾燥する方法として好ましくは熱風乾燥である。 素錠を乾燥する方法として好ましくは減圧乾燥である。 湿度に対して不安定な原薬を含有する医薬組成物は、水分透過性の低い密封包装を施すことで、外部の水分を遮断することができる。さらに、医薬組成物の水分活性値を約0.2以下にすることで、医薬組成物中の内在性の水分による有効成分の分解を回避することができ、安定に長期間保存することができる。 水分透過性の低い密封包装は、水分を透過しにくい包装であれば何でもよく、水分の侵入を防ぐ気密包装または気体や微生物の侵入を防ぐ密封包装が含まれる。密封包装とは、例えばガラス、プラスチック、アルミ、防湿紙等の水分の侵入を防ぐ資材で構成される包装であり、例えば、瓶(ガラス瓶、プラスチック瓶等)、PTP包装またはストリップ包装等が挙げられ、好ましくはPTP包装が挙げられる。さらに防湿性を高めるために密封包装と乾燥剤を組み合わせるか、または上記PTP包装した医薬組成物をさらにアルミピローに充填してもよい。 PTP包装は錠剤またはカプセル剤の包装形態の一つであり、医薬品の種類に合わせてシート成形した後、そのくぼみに医薬品を充填しアルミ箔でシ−ルする。一般には、シート用にポリ塩化ビニルが使用されているが、防湿性を高めたタイプとしてポリ塩化ビニルとポリ塩化ビニリデンを併せて用いる場合もある。防湿性に優れた資材ならいかなる資材を用いてもよく、防湿性を高めるために資材の厚さを厚くしてもよい。 湿度に対して不安定な原薬としては、例えばリマプロスト、そのα−シクロデキストリン包接化合物またはそれらを含んでなる凍結乾燥品(例えば、リマプロスト アルファデクスおよびグルカン類を含有する凍結乾燥品等)が挙げられる。 本明細書中、リマプロストとは、下記式、(式中、は、β配置(β-configuration)であることを表わし、は、α配置(α-configuration)であることを表わす。)で示される化合物であり、化学名は(E)−7−[(1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−[(3S,5S)−(E)−3−ヒドロキシ−5−メチル−1−ノネニル]−5−オキソシクロペンチル]−2−ヘプタン酸である。 本明細書中、リマプロスト アルファデクスとは、下記式、(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される化合物であり、化学名は(E)−7−[(1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−[(3S,5S)−(E)−3−ヒドロキシ−5−メチル−1−ノネニル]−5−オキソシクロペンチル]−2−ヘプタン酸 α−シクロデキストリン包接化合物(Registry No.74397−12−9)である。この化合物は公知であり、公知の方法、例えば特開昭55−100360に記載された方法等によって製造することができる。 リマプロストは湿度に対して不安定な化合物であり、リマプロストが分解すると、分解生成物として、下記式(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される、17S,20−ジメチル−トランス−Δ2−PGA1(以下、11−デオキシ体と略す。)、または、下記式(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される、17S,20−ジメチル−トランス−Δ2−8−イソ−PGE1(以下、8−イソ体と略す。)等が生成される。分解生成物として生成するのは主に11−デオキシ体であることが知られている。 11−デオキシ体の生成率は、例えば、組成物中のリマプロスト、11−デオキシ体および8−イソ体の総量に対する11−デオキシ体の量(質量比)で示すことができる。具体的には、リマプロスト並びにリマプロストの分解生成物(8−イソ体、11−デオキシ体)の定量を行い、リマプロストと分解生成物の和を100として算出することができる。 リマプロストおよび11−デオキシ体、8−イソ体の量は、公知の分析方法(例えば、高速液体クロマトグラフ法、ガスクロマトグラフ法、薄層クロマトグラフ法等)を用いて測定することができるが、特に、高速液体クロマトグラフ法を用いて測定することが好ましい。高速液体クロマトグラフ法を用いることで、リマプロストおよび11−デオキシ体、8−イソ体の量を、同一の条件で、かつ同一のサンプルを用いて高感度で測定することができる。高速液体クロマトグラフ法は、公知の方法によって行われる。 具体的には、以下の高速液体クロマトグラフィ−(HPLC)の試験条件によって行われる。本法を用いることによって、リマプロストおよび分解生成物の量を測定し、リマプロストおよび分解生成物の比率を算出することが可能である。また、本法を用いることによって、11−デオキシ体の量が、検出限界以上約10%以下、好ましくは検出限界以上約8%以下、さらに好ましくは検出限界以上約5%以下であるか否かを判断することができる。HPLCの試験条件:検出器:紫外吸光光度計(測定波長:215nm);カラム:内径約5mm、長さ10から20cmのステンレス管に3から5μmの液体クロマトグラフ用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する;移動相:0.02Mリン酸二水素カリウム(pH4.3)/アセトニトリル/イソプロパノール混液(9:5:2);流量:リマプロストの保持時間が約12分になるように調整する;内部標準溶液:テストステロンのアセトニトリル溶液(13→20000)。 本明細書中、製剤基剤としては、一般的に使用されるものであればなんでもよく、例えばグルカン類、賦形剤または添加剤等が挙げられる。 本明細書中、グルカン類とは、グルカンまたはグルカンを化学的、あるいは酵素的方法で処理したものをいう。グルカンとは、D−グルコースから構成される多糖の総称であり、α−グルカン、β−グルカンに分かれる。α−グルカンとしては、α1→4グルコシド結合を有するもの(例えばデンプン、グリコーゲン等)、α1→6グルコシド結合を有するもの(デキストラン等)、またはα1→4とα1→6グルコシド結合を有するもの(例えば、プルラン等)等が挙げられる。β−グルカンとして代表的なものとしては、例えば、β1→4グルコシド結合のセルロース等が挙げられる。グルカンを化学的、あるいは酵素的方法で処理したものとしては、例えば、デンプンを化学的、あるいは酵素的方法で処理したものであり、例えばデキストリンまたはアルファー化デンプン等が挙げられる。リマプロスト アルファデクスおよびグルカン類を含有する凍結乾燥品を製造するのに用いられるグルカン類と、例えば錠剤を製造するために添加するグルカン類は、同一または異なっていてもよい。本発明において、好ましいグルカン類としては、α−グルカンが挙げられる。さらに好ましくは、デキストラン(例えば、デキストラン、デキストラン40、デキストラン70等)、デキストリン、プルラン等が挙げられる。リマプロスト アルファデクスおよびグルカン類を含有する凍結乾燥品を製造するのに用いられるグルカン類として好ましくはデキストランが挙げられ、錠剤を製造するために添加するグルカン類として好ましくはデキストリンが挙げられる。 本明細書中、賦形剤としては、例えば、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、乳糖、異性化乳糖、還元乳糖、蔗糖、D−マンニトール、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、パラチノース、トレハロース、ソルビトール、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギデンプン、コメデンプン、結晶セルロース、タルク、無水ケイ酸、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。好ましくは、乳糖、トレハロースまたはトウモロコシデンプン等が挙げられる。 リマプロストを含有する医薬組成物は、例えばリマプロスト アルファデクスとグルカン類を溶媒(例えば水、有機溶媒(例えば、エタノール、アセトン等)等)に溶解し、常法に従って凍結乾燥し、凍結乾燥品を粉砕した後、さらにグルカン類を添加し、必要に応じて滑沢剤等の添加剤を添加することによって安定な製剤を製造することができる。しかし、グルカン類が多量に含まれた製剤は安定性に優れているものの、付着性を有するという問題が生じる。そこで、リマプロスト アルファデクスおよびグルカン類を含有する凍結乾燥品に、グルカン類および/または安定性を損なわない程度の割合で、任意の賦形剤(例えば、乳糖、トレハロースまたはトウモロコシデンプン等)を加え、必要に応じて滑沢剤等の添加剤を添加することによって、安定かつ付着性を軽減した製剤を製造することができる。経済的かつ効率的に錠剤を製造するためには、1錠剤中の凍結乾燥品の含量はできるだけ低い方が好ましく、具体的には、5%以下程度が好ましい。 本発明の医薬組成物1錠剤中には、例えばリマプロストを約5から10μgを含有する。グルカン類の配合量は、最終製剤の重量を100%とした場合、グルカン類の配合含有率は質量%で、好ましくは約0.1%から99%、より好ましくは約0.5%から30%、さらに好ましくは、約1%から15%である。また、賦形剤の配合含有率は好ましくは約1から99.5%、より好ましくは約70から99%、さらに好ましくは約85から98.5%である。ここで、グルカン類の配合量とは、リマプロスト アルファデクスおよびグルカン類を含有する凍結乾燥品を製造するのに用いられるグルカン類と、錠剤を製造するために添加するグルカン類の合計量をいう。 例えば、90mg錠にリマプロストを約5から10μg含有する錠剤の場合、グルカン類は約0.9から13.5mg程度、賦形剤は約76.5から88.7mg程度配合される。 例えば、100mg錠にリマプロストを約5から10μg含有する錠剤の場合、グルカン類は約1から15mg程度、賦形剤は約84から98.5mg程度配合される。 例えば、200mg錠にリマプロストを約5から10μg含有する錠剤の場合、グルカン類は約2から30mg程度、賦形剤は約168から197mg程度配合される。 本発明の医薬組成物としては、例えば、リマプロストを約5から10μgを含有する医薬組成物1錠中、デキストランを約0.5から15%、デキストリンを約1から15%、乳糖を約60から95%、トウモロコシデンプンを約0.5%から10%を含有するものが好ましい。 本発明の医薬組成物は固体製剤(例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤等)であることが好ましい。さらに好ましくは錠剤(例えば、素錠、有核錠、コーティング錠、三層錠等)である。 リマプロストを含有する医薬組成物はリマプロスト アルファデクスと、グルカン類および/または賦形剤の他に、さらに添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、固形製剤を製造する際に一般的に使用されるものであればよく、例えば、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、矯味剤、矯臭剤、界面活性剤、香料、着色剤、抗酸化剤、隠蔽剤、静電気防止剤、流動化剤、湿潤剤等を1種または2種以上適宜配合して用いることができる。 結合剤としては、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、アルギン酸ナトリウム、プルラン、アラビアゴム末、ゼラチン、デキストリン等が挙げられ、これらの一種あるいは二種以上適宜配合して用いてもよい。滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、蔗糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコール等が挙げられる。崩壊剤としては、例えば低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルスターチ、トウモロコシデンプン等が挙げられる。矯味剤としては、例えば白糖、D−ソルビトール、キシリトール、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、グルタミン酸ナトリウム、5’−イノシン酸ナトリウム、5’−グアニル酸ナトリウム等が挙げられる。矯臭剤としては、例えばトレハロース、リンゴ酸、マルトース、グルコン酸カリウム、アニス精油、バニラ精油、カルダモン精油等が挙げられる。界面活性剤としては、例えばポリソルベート(ポリソルベート80など)、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合物、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。香料としては、例えばレモン油、オレンジ油、メントール、はっか油等が挙げられる。着色剤としては、例えば酸化チタン、食用黄色5号、食用青色2号、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄等が挙げられる。抗酸化剤としては、例えばアスコルビン酸ナトリウム、L−システイン、亜硫酸ナトリウム、ビタミンE等が挙げられる。隠蔽剤としては、例えば酸化チタン等が挙げられる。静電気防止剤としては、例えばタルク、酸化チタン等が挙げられる。流動化剤としては、例えば軽質無水ケイ酸、タルク、含水二酸化ケイ素等が挙げられる。湿潤剤としては、例えばポリソルベート80、ラウリル酸硫酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、マクロゴール、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)等が挙げられる。 本発明製剤は公知の方法で製造することができ、例えば、転動造粒機、撹拌造粒機、流動造粒機、遠心転動造粒機、乾式造粒機等を用いて、造粒することにより顆粒を製造することができる。 本発明製剤の固形製剤は、例えば上記方法で得られる顆粒をそのまま顆粒剤として用いることができる。また、本発明固形製剤には、上記顆粒を含有するカプセル剤も含まれる。カプセル剤は公知の方法で製造することができ、例えば前記顆粒、さらに必要に応じて添加剤を添加したものを硬カプセル(例えば、ゼラチンカプセル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセル、プルランカプセル、ポリビニルアルコール(PVA)カプセル等)にカプセル充填機を用いて充填することにより、行なうことができる。また、本発明製剤には、上記顆粒を含有する錠剤も含まれる。錠剤は公知の方法で製造することができる。例えば上記顆粒および必要に応じて添加剤を均等に混合し、回転式打錠機等によって圧縮成型して素錠を得、該素錠をそのまま錠剤にして使用してもよく、必要に応じてさらにコーティング基剤を用いて被覆してもかまわない。また、造粒を行わずに薬物等を含有する混合末を調製し、それを回転式打錠機等によって錠剤化することもできる。 本発明のリマプロストを含有する医薬組成物は、末梢循環障害、例えば閉塞性血栓血管炎または腰部脊柱管狭窄症等の治療に有用である。 本発明の水分活性値が約0.2以下の医薬組成物は、医薬組成物中の水分の影響による有効成分の分解を回避することができるため、湿度に対して不安定な医薬組成物を安定に長期間保存することが可能である。 以下に、実施例および実験例を示すが、これらは本発明の理解を深めるためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。実施例11)デキストラン体粉末の製造 デキストラン40(350g)を、精製水1875gに溶解した。これに50gのリマプロスト アルファデクスを溶解した後、この液を凍結乾燥用のトレーに移し、常法に従い凍結乾燥した。凍結乾燥後、篩で解砕したものを粉砕機で粉砕し、デキストラン体粉末を得た。2)錠剤の製造 上記のデキストラン体粉末39.9gに、デキストリン260g、乳糖2679g、軽質無水ケイ酸6g、およびステアリン酸15g混合し、ロータリー式打錠機(菊水製作所(株)製)を用いて、打錠圧800kg/cm2で打錠(1錠100mg、6.5mmφ)することにより1錠当りリマプロストを5μg含有する錠剤20000錠を得た。<1錠剤(100mg)中の組成>リマプロスト アルファデクス 0.167 mgデキストラン40(凍結乾燥用) 1.167 mgデキストリン(添加用) 8.67 mg乳糖 89.3 mg軽質無水ケイ酸 0.20 mgステアリン酸 0.50 mg計 100 mg実施例2(トウモロコシデンプン2.5%製剤の製造)1)デキストラン体粉末の製造 デキストラン40(350g)を、精製水1875gに溶解した。これに50gのリマプロスト アルファデクスを溶解した後、この液を凍結乾燥用のトレーに移し、常法に従い凍結乾燥した。凍結乾燥後、篩で解砕したものを粉砕機で粉砕し、デキストラン体粉末を得た。2)錠剤の製造 上記のデキストラン体粉末4gにデキストリン26g、乳糖260.4g、トウモロコシデンプン7.5g、軽質無水ケイ酸0.6g、およびステアリン酸1.5g混合し、ロータリー式打錠機(菊水製作所(株)製)を用いて、打錠圧800kg/cm2で打錠(1錠100mg、6.5mmφ)することにより1錠当りリマプロストを5μg含有する錠剤2000錠を得た。<1錠剤(100mg)中の組成>リマプロスト アルファデクス 0.167 mgデキストラン40(凍結乾燥用) 1.167 mgデキストリン(添加用) 8.67 mg乳糖 89.3 mgトウモロコシデンプン 2.5 mg軽質無水ケイ酸 0.20 mgステアリン酸 0.50 mg計 100 mg実施例3(トウモロコシデンプン5%製剤の製造)1)デキストラン体粉末の製造 デキストラン40(350g)を、精製水1875gに溶解した。これに50gのリマプロスト アルファデクスを溶解した後、この液を凍結乾燥用のトレーに移し、常法に従い凍結乾燥した。凍結乾燥後、篩で解砕したものを粉砕機で粉砕し、デキストラン体粉末を得た。2)錠剤の製造 上記のデキストラン体粉末4gにデキストリン26g、乳糖252.9g、トウモロコシデンプン15g、軽質無水ケイ酸0.6g、およびステアリン酸1.5g混合し、ロータリー式打錠機(菊水製作所(株)製)を用いて、打錠圧800kg/cm2で打錠(1錠100mg、6.5mmφ)することにより1錠当りリマプロストを5μg含有する錠剤2000錠を得た。<錠剤(100mg)中の組成>リマプロスト アルファデクス 0.167 mgデキストラン40(凍結乾燥用) 1.167 mgデキストリン(添加用) 8.67 mg乳糖 84.3 mgトウモロコシデンプン 5.0 mg軽質無水ケイ酸 0.20 mgステアリン酸 0.50 mg計 100 mg実施例4(トウモロコシデンプン7.5%製剤の製造)1)デキストラン体粉末の製造 デキストラン40(350g)を、精製水1875gに溶解した。これに50gのリマプロスト アルファデクスを溶解した後、この液を凍結乾燥用のトレーに移し、常法に従い凍結乾燥した。凍結乾燥後、篩で解砕したものを粉砕機で粉砕し、デキストラン体粉末を得た。2)錠剤の製造 上記のデキストラン体粉末4gにデキストリン26g、乳糖245.4g、トウモロコシデンプン22.5g、軽質無水ケイ酸0.6g、およびステアリン酸1.5g混合し、ロータリー式打錠機(菊水製作所(株)製)を用いて、打錠圧800kg/cm2で打錠(1錠100mg、6.5mmφ)することにより1錠当りリマプロストを5μg含有する錠剤2000錠を得た。<1錠剤(100mg)中の組成>リマプロスト アルファデクス 0.167 mgデキストラン40(凍結乾燥用) 1.167 mgデキストリン(添加用) 8.67 mg乳糖 81.8 mgトウモロコシデンプン 7.5 mg軽質無水ケイ酸 0.20 mgステアリン酸 0.50 mg計 100 mg実施例5(トウモロコシデンプン10%製剤の製造)1)デキストラン体粉末の製造 デキストラン40(350g)を、精製水1875gに溶解した。これに50gのリマプロスト アルファデクスを溶解した後、この液を凍結乾燥用のトレーに移し、常法に従い凍結乾燥した。凍結乾燥後、篩で解砕したものを粉砕機で粉砕し、デキストラン体粉末を得た。2)錠剤の製造 上記のデキストラン体粉末13.3gにデキストリン86.7g、乳糖795g、トウモロコシデンプン100g、およびステアリン酸5g混合し、ロータリー式打錠機(菊水製作所(株)製)を用いて、打錠圧800kg/cm2で打錠(1錠100mg、6.5mmφ)することにより1錠当りリマプロストを5μg含有する錠剤7000錠を得た。<1錠剤(100mg)中の組成>リマプロスト アルファデクス 0.167 mgデキストラン40(凍結乾燥用) 1.167 mgデキストリン(添加用) 8.67 mg乳糖 79.5 mgトウモロコシデンプン 10.0 mgステアリン酸 0.50 mg計 100 mg実験例1:11−デオキシ体生成量に及ぼす水分活性値の影響 実施例1の錠剤(素錠)を減圧乾燥することにより水分活性値を0.032まで低下させた。この低水分活性状態にした錠剤を任意に加湿することにより水分活性値を変動させ、その錠剤を常法によりPTP包装し、それをアルミピローに充填し、気密包装化した。この包装製剤を温度60℃の安定性試験装置に保存した。経時的に製剤をサンプリングし、リマプロストの分解生成物(11−デオキシ体)の生成率を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した。分解物の生成率は、リマプロストと分解物の和を100として算出した。なお、水分活性値(25℃)はアクアラブ(デカゴン社製;Cat.No.CX-3TE)で測定した。分析結果を表1に示す。 水分活性値の上昇に伴い、60℃/1週目における11−デオキシ体の生成率も増加した。特に水分活性値0.384の場合には、11−デオキシ体の生成率が5.7%と大きな値となり、リマプロストを含む医薬品の規格限度値である5%を越える結果であった。このように水分活性値を低くすることにより、密封包装形態での安定性を改善出来ることが明らかとなった。実験例2:60℃における11−デオキシ体生成率比較 実施例2、3、4および5の錠剤を減圧乾燥することにより、水分活性値をそれぞれ0.029から0.042の範囲内まで低下させた。この低水分活性状態にした錠剤を常法によりPTP包装し、それをアルミピローに充填し、気密包装化した。この包装製剤を温度60℃の安定性試験装置に保存した。経時的に製剤をサンプリングし、リマプロストの分解生成物(11−デオキシ体)の生成率を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した。分解物の生成率は、リマプロストと分解物の和を100として算出した。なお、水分活性値(25℃)はアクアラブ(デカゴン社製;Cat.No.CX-3TE)で測定した。分析結果を表2に示す。成分を変更した実施例2、3、4および5で製造した錠剤においても錠剤の水分活性値を低くすることにより、リマプロストの分解生成物(11−デオキシ体)の生成率を低く抑制することができ、密封包装形態での安定性を改善出来ることが明らかとなった。 本発明の医薬組成物は、水分活性値を約0.2以下に調整することにより、医薬組成物中の水分によって有効成分が分解するのを回避することができる。従って、長期間保存しても品質劣化することがない臨床提供用の医薬として大変有用である。水分活性値が25℃において0.2以下である経口投与用医薬組成物。密封包装である請求項1記載の医薬組成物。密封包装がPTP包装または瓶である請求項2記載の医薬組成物。錠剤である請求項2記載の医薬組成物。原薬および製剤基剤を混和した後の全体の水分活性値が25℃において0.4以下である原料を用いて製造することを特徴とする請求項4記載の医薬組成物。素錠を乾燥させることにより製造される請求項4記載の医薬組成物。リマプロスト アルファデクスを含有してなる請求項4記載の医薬組成物。(1)リマプロスト アルファデクス、および(2)グルカン類および賦形剤から選択される一種以上、を含有する請求項7記載の医薬組成物。(1)リマプロスト アルファデクスおよびグルカン類を含有する凍結乾燥品、および(2)グルカン類および賦形剤から選択される一種以上、を含有する請求項7記載の医薬組成物。グルカン類がデキストリン、デキストランおよびプルランから選択される1種以上である請求項9記載の医薬組成物。賦形剤が乳糖、トレハロースおよびトウモロコシデンプンから選択される1種以上である請求項9記載の医薬組成物。原薬がリマプロスト アルファデクスおよびグルカン類を含有する凍結乾燥品であり、製剤基剤がグルカン類、賦形剤および添加剤から選択される1種以上である請求項5記載の医薬組成物。リマプロスト アルファデクスおよびグルカン類を含有する凍結乾燥品に、グルカン類および賦形剤を添加し、さらに必要に応じて添加剤を添加して製造される素錠を乾燥させることにより製造される請求項6記載の医薬組成物。リマプロスト アルファデクスを含有する、水分活性値が25℃において0.2以下である密封包装錠剤。(1)リマプロスト アルファデクスおよびグルカン類を含有する凍結乾燥品、および(2)グルカン類および賦形剤から選択される一種以上、を含有する請求項14記載の密封包装錠剤。原薬および製剤基剤を混和した全体の水分活性値が25℃において0.4以下である原料を用いることを特徴とする請求項4記載の医薬組成物を製造する方法。素錠を乾燥させることを特徴とする請求項4記載の医薬組成物を製造する方法。 【課題】 品質劣化することなく長期保存可能な経口投与用医薬組成物を提供する。【解決手段】 医薬組成物に含有される水分の中でも、特に自由水を低減させた医薬組成物は、内在性の水分によって有効成分が分解するのを回避することができる。したがって、湿度に不安定な有効成分を含有する医薬組成物であっても、医薬組成物中の水分活性値を約0.2以下にし、PTP包装などの密封包装を施したものは、有効成分が分解することなく長期保存することができる。【選択図】 なし