タイトル: | 公開特許公報(A)_シルクパウダーの製造方法 |
出願番号: | 2005190913 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | A23J 3/04,A23J 1/00,A61K 8/96 |
橋爪 仁 JP 2007006762 公開特許公報(A) 20070118 2005190913 20050630 シルクパウダーの製造方法 シナノケンシ株式会社 000106944 綿貫 隆夫 100077621 堀米 和春 100092819 橋爪 仁 A23J 3/04 20060101AFI20061215BHJP A23J 1/00 20060101ALI20061215BHJP A61K 8/96 20060101ALN20061215BHJP JPA23J3/04A23J1/00 ZA61K7/00 K 2 9 OL 10 4C083 4C083AD451 4C083FF01 本発明は、シルクパウダーの製造方法に関する。 家蚕シルク由来のシルクパウダーは、化粧品原料、食品原料等に多用されている。このシルクパウダーの製造方法は、絹繊維を粉砕して、水に不溶のシルクパウダーを製造する方法と、再結晶させたシルク水溶液を脱水してシルクパウダーを得る方法(例えば特開平6−70702号公報)との2種類がある。特開平6−70702号公報 上記、絹繊維を粉砕してシルクパウダーを製造する方法にあっては、強い薬品処理が必要となり、この薬品を洗い流す洗浄工程が厄介であり、また脱水にも長時間を要するという課題がある。 また、再結晶させたシルク水溶液を脱水する方法の場合も、脱水に長時間を要するという課題がある。例えば、特開平6−70702号公報のものでは、再結晶させたシルク水溶液を凍結乾燥させてシルクパウダーを得ているが、乾燥に長時間を要する。 本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、脱水を容易に行え、製造コストの低減化が図れるシルクパウダーの製造方法を提供するにある。 本発明に係るシルクパウダーの製造方法は、シルク水溶液を製造する工程と、シルク水溶液に加温、減温等の温度作用や、攪拌、超音波等の物理的な力を加え、シルク水溶液を再結晶させる工程と、再結晶したシルク水溶液を凍結する工程と、凍結したシルク水溶液を解凍する工程と、解凍されて生じた固形分を分離する工程と、分離した固形分を乾燥してシルクパウダーを得る工程とを含むことを特徴とする。 また、シルク水溶液にセリシン等の所要成分を溶解させる工程を含むことを特徴とする。 蛋白質は熱変性する。すなわち、ゾル状のシルク水溶液を加温等することによってゲル状に再結晶化する。そして、凍結させた後、解凍することによって、ゾル状には戻らず、水分と熱変性した蛋白成分(固形分)とがシャーベット状に分離してくる。この解凍されてシャーベット状をなす解凍物をろ過して固形分を分離する。この分離は容易に行える。次いで分離した固形分を乾燥処理し、さらに粉砕することで容易にシルクパウダーを得ることができる。乾燥処理が容易に行えるのでコストの低減化が図れる。 以下本発明に係るシルクパウダーの製造方法を実施例と共に説明する。 本発明ではまずシルク水溶液を製造する。このシルク水溶液は、絹素材を中性塩に溶解させて作製する。具体的には、絹素材を90℃程度の高温に加熱した塩化カルシウム水溶液に添加して溶解させ、シルク水溶液を作製する。この場合、エタノール等のアルコールや塩酸等の酸を適宜量添加してもよい。 次にこのシルク水溶液の脱塩処理を行う。脱塩処理は、シルク水溶液をセルロース等の透析膜で形成されたチューブに収容し、このシルク水溶液を収容したセルロースチューブを純水が満たされた容器に浸漬して透析を行うことでなされる。容器内の純水は常に一定量補給され、交換されるようにするとよい。 次いで、シルク水溶液を60℃程度にまで加温してゲル状に再結晶化させる。この再結晶化は、シルク水溶液に加温、減温等の温度作用や、攪拌、超音波等の物理的な力を加え、シルク水溶液を再結晶させるのである。またこの場合に、シルク水溶液にセリシン等のシルク水溶液に溶解可能な成分を添加し、該成分を溶解させた後シルク水溶液を再結晶化させるようにしてもよい。 次に、ゲル状に再結晶化させたシルク水溶液を凍結させる。 次いで、この凍結させたシルク水溶液を解凍するのである。解凍は室温で行える。 蛋白質は熱変性する。すなわち、ゾル状のシルク水溶液を加温等することによってゲル状に再結晶化する。そして、凍結させた後、解凍することによって、ゾル状には戻らず、水分と熱変性した蛋白成分(固形分)とがシャーベット状に分離してくるのである。 解凍されてシャーベット状をなす解凍物を吸引ろ過して固形分を分離する。この分離は容易に行える。 次いで分離した固形分を乾燥処理し、さらに粉砕することで容易にシルクパウダーを得ることができる。 60%塩化カルシウム水溶液100mlを90℃まで加熱し、絹10gを投入して溶解させた(図1〜図4)。 得られたシルク水溶液を、セルロースチューブに入れ、そのまま純水の中に投入して48時間放置して脱塩処理(透析)をした(図5)。水は常に一定量が交換されるようにしておく。得られたシルク水溶液を60℃に加熱して再結晶化させた(図6、図7)。さらに−10℃で3時間かけて凍結させた(図8)後、室温で解凍させた(図9)。得られたシルク水溶液を、吸引ろ過でろ過した(図10)。ろ紙上に残った残留物(固形分)を80℃下で1時間乾燥させた(図11)。得られた残留物は完全に乾燥しているため、もろく粉砕しやすく微粉シルクパウダーが容易に得られた。 60%塩化カルシウム水溶液100mlを90℃まで加熱し、絹10gを投入して溶解させた。 得られたシルク水溶液を、セルロースチューブに入れ、そのまま純水の中に投入して48時間放置して脱塩処理をした。水は常に一定量が交換されるようにしておく。得られたシルク水溶液にセリシンを加えて溶解し、60℃に加熱して再結晶化させた。さらに−10℃で3時間かけて凍結させたあと、室温で解凍させた。得られたシルク水溶液を、吸引ろ過でろ過した。ろ紙上に残った残留物(固形分)を80℃下で1時間乾燥させた。得られた残留物は完全に乾燥しているため、もろく粉砕しやすく、セリシン含有の微粉シルクパウダーが容易に得られた。 セリシン以外にも、シルク水溶液に溶解可能な成分を溶解し、再結晶化、凍結、解凍、ろ過、乾燥させることで、この添加成分を含有するシルクパウダーを得ることができる。比較例 60%塩化カルシウム水溶液100mlを90℃まで加熱し、絹10gを投入して溶解させた。 得られたシルク水溶液を、セルロースチューブに入れ、そのまま純水の中に投入して48時間放置して脱塩処理をした。水は常に一定量が交換されるようにしておく。得られたシルク水溶液を60℃に加熱して再結晶化させた。得られた再結晶化シルクを、80℃下で1時間乾燥させたが、完全には乾燥できてなく、結局完全乾燥までに5時間を要した。得られた残留物は完全に乾燥しているため、もろく粉砕しやすいため、微粉シルクパウダが得られる。絹綿の写真図である。絹綿の溶解初期の状態の写真図である。絹綿の溶解状態の写真図である。溶解した絹綿をビーカーに移した状態の写真図である。シルク水溶液の脱塩工程を示す写真図である。シルク水溶液に加温して再結晶化させる工程の写真図である。再結晶化させたシルク水溶液をビーカーに移した状態の写真図である。再結晶化させたシルク水溶液を凍結させた状態の写真図である。凍結したシルク水溶液を解凍した状態の写真図である。解凍したシルク水溶液をろ過して分離した固形分の写真図である。なお、未処理のものは、再結晶化したものを凍結、解凍処理せずに吸引ろ過したものを示す。ろ過した固形分を乾燥した状態の写真図である。 シルク水溶液を製造する工程と、 シルク水溶液に加温、減温等の温度作用や、攪拌、超音波等の物理的な力を加え、シルク水溶液を再結晶させる工程と、 再結晶したシルク水溶液を凍結する工程と、 凍結したシルク水溶液を解凍する工程と、 解凍されて生じた固形分を分離する工程と、 分離した固形分を乾燥してシルクパウダーを得る工程とを含むことを特徴とするシルクパウダーの製造方法。 シルク水溶液にセリシン等の所要成分を溶解させる工程を含むことを特徴とするシルクパウダーの製造方法。 【課題】 脱水を容易に行え、製造コストの低減化が図れるシルクパウダーの製造方法を提供する。【解決手段】 本発明に係るシルクパウダーの製造方法は、シルク水溶液を製造する工程と、シルク水溶液に加温、減温等の温度作用や、攪拌、超音波等の物理的な力を加え、シルク水溶液を再結晶させる工程と、再結晶したシルク水溶液を凍結する工程と、凍結したシルク水溶液を解凍する工程と、解凍されて生じた固形分を分離する工程と、分離した固形分を乾燥してシルクパウダーを得る工程とを含むことを特徴とする。【選択図】 図9