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タイトル:公開特許公報(A)_パラ−キシレンの製造方法
出願番号:2005185088
年次:2007
IPC分類:C07C 4/06,B01J 29/26,B01J 29/40,B01J 29/78,C07C 6/12,C07C 15/08,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

岩山 一由 JP 2007001942 公開特許公報(A) 20070111 2005185088 20050624 パラ−キシレンの製造方法 東レ株式会社 000003159 岩山 一由 C07C 4/06 20060101AFI20061208BHJP B01J 29/26 20060101ALI20061208BHJP B01J 29/40 20060101ALI20061208BHJP B01J 29/78 20060101ALI20061208BHJP C07C 6/12 20060101ALI20061208BHJP C07C 15/08 20060101ALI20061208BHJP C07B 61/00 20060101ALN20061208BHJP JPC07C4/06B01J29/26 ZB01J29/40 ZB01J29/78 ZC07C6/12C07C15/08C07B61/00 300 13 OL 17 4G169 4H006 4H039 4G169AA02 4G169AA08 4G169AA11 4G169BA01A 4G169BA03A 4G169BA04A 4G169BA07A 4G169BA07B 4G169BA10A 4G169BA36A 4G169BC01A 4G169BC08A 4G169BC13B 4G169BC38A 4G169CB42 4G169CB43 4G169DA06 4G169EC09X 4G169ED10 4G169FB67 4G169FC08 4G169ZA06A 4G169ZA06B 4G169ZA10A 4G169ZA10B 4G169ZA43A 4G169ZA43B 4G169ZC05 4G169ZC07 4G169ZD01 4G169ZE03 4G169ZE04 4H006AA02 4H006AC26 4H006AD17 4H006BA02 4H006BA06 4H006BA16 4H006BA26 4H006BA71 4H006BA81 4H006BA85 4H006BC10 4H006BC11 4H006BC18 4H006BC31 4H006BC32 4H006BE20 4H006DA15 4H006DA25 4H006DA44 4H006DA46 4H006DA50 4H039CA19 4H039CE40 本発明は、炭素数9個からなる芳香族炭化水素を含む供給原料からキシレンを製造するに当たって、パラ−キシレン濃度が高いキシレンを製造する方法に関わるものである。パラ−キシレンはポリエステル原料などとして極めて重要である。 キシレン異性体のうち、現在工業的に、特に、重要なものはパラ−キシレンである。パラ−キシレンは合成繊維、ペット・ボトル、フィルム等に使用されるポリエステルの粗原料として、これまで、その需要は著しく増大してきた。今後もその傾向は変わらないものと予想される。 しかし、石油精製工程から得られるキシレン量では、急増するパラ−キシレン需要量に追いつかないのが現状である。従って、キシレン以外の芳香族炭化水素源からキシレンを製造することが行われている。具体的には、トルエンをゼオライト触媒上で、不均化反応によりキシレンとベンゼンを製造する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。C9アルキル芳香族炭化水素からゼオライト触媒上でトランスアルキル化反応によりキシレンを得る方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。いずれの方法においても、生成するキシレン異性体中のパラ−キシレン濃度は、約24%と平衡濃度である。キシレン異性体の熱力学平衡濃度は次の通りである。 一方、トルエンを、特定のゼオライト触媒上で反応させることにより、キシレン異性体中のパラ−キシレンを平衡濃度以上に選択的に変換する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、この方法は、トルエンを供給原料としてパラ−キシレンに変換するものであり、C9アルキル芳香族炭化水素は実質的にパラ−キシレンには変換されない。 ところで一般に芳香族炭化水素を変換するトランスアルキル化触媒は、その触媒により最適な反応条件が異なるのが通常であり、そのため、従来これら触媒を組み合わせて触媒層を構成し、共通の反応系中で反応させるという試みはなされていなかった。 すなわちC9アルキル芳香族炭化水素を含む供給原料を用いる場合において、キシレン異性体混合物中のパラ−キシレン濃度を平衡濃度以上にする方法は未だ見出されていないのが現状である。特許公告公報昭47−46051号明細書(実施例1)特許公開公報平11−70334号明細書(実施例7)特許公告公報昭62−47854号明細書(実施例3) 本発明は炭素数9個からなる芳香族炭化水素を含む供給原料からキシレンを得るに際し、キシレン異性体混合物中のパラ−キシレン濃度を平衡濃度以上にして、効率よくパラ−キシレンを製造する方法を提供することを課題とする。 上記課題を解決するため、本発明者は鋭意検討した結果、特定の触媒層を組み合わせて触媒層を構成することにより、効率的にパラ−キシレンが製造できることを見出し、本発明に到達した。 すなわち本発明は、「炭素数9個からなる芳香族炭化水素を含む供給原料を、第1触媒層に12員酸素環以上で構成された細孔を有する酸型ゼオライトを含む触媒を、第2触媒層にパラ−キシレン吸着量(測定条件:120℃、パラ−キシレン蒸気圧1.5トール、吸着時間180分)の1/10に相当するオルソ−キシレン吸着量に到達するのに1000分以上必要とする(測定条件:120℃、オルソ−キシレン蒸気圧1.0トール)酸型ゼオライト触媒を配置する触媒層に水素存在下、気相で接触させることを特徴とするパラ−キシレンの製造方法」である。 本発明により、炭素数9個からなる芳香族炭化水素を含む供給原料から、キシレン、特に、工業的需要が増大しているパラ−キシレンを熱力学的平衡以上の濃度で得ることが出来、それによりパラ−キシレンを効率よく製造することができる。 炭素数9個からなる芳香族炭化水素には、トリメチルベンゼン、エチルトルエン、プロピル−ベンゼン等がある。これら芳香族炭化水素を含む供給原料を、第1触媒層で水素存在下、エチル基、プロピル基を水素化脱アルキル化反応により脱離し、同時にメチル基をトランスメチル化反応させ、キシレン及び/又はトルエンを生成させ、次いで、第2触媒層でトルエンを選択的にトランスメチル化反応させ、特に、キシレン異性体中のパラ−キシレン濃度を平衡濃度以上にすることにより、パラ−キシレン濃度の高いキシレンを得ることが出来る。供給原料中にベンゼンやトルエン、或いは炭素数10個以上からなる芳香族炭化水素を共存させ、キシレン生成量を増大させることも、一つの実施態様である。 本発明においては、かかる供給原料を水素の存在下、気相で、第1触媒層にて12員酸素環以上で構成された細孔を有する酸型ゼオライトを含む触媒と接触させ、次いで、第2触媒層にてパラ−キシレン吸着量(測定条件:120℃、パラ−キシレン蒸気圧1.5トール、吸着時間180分)の1/10に相当するオルソ−キシレン吸着量に到達するのに1000分以上必要とする(測定条件:120℃、オルソ−キシレン蒸気圧1.0トール)酸型ゼオライト触媒と接触させることにより達成できる。 第1触媒層で用いられる12員酸素環以上で構成された細孔を有するゼオライトとしては、モルデナイト型ゼオライト(例えば、特公平2−31006号公報第4−5頁の実施例1、特開昭55−126529号公報第5頁の例11参照)、ベータ型ゼオライト(例えば、米国特許第3308069号明細書第8欄のExample 1参照)等を例として挙げることが出来る。14員酸素環の細孔を有するゼオライトとしては、CIT−5としばしば呼称されるCFI型ゼオライト(例えば、国際公開第99/08961号パンフレット第36欄のExample 5参照)を例として挙げることが出来る。 上記12員酸素環以上で構成された細孔を有するゼオライトを触媒として、水素化脱アルキル化反応、トランスメチル化反応させてトルエンおよび/またはキシレンに変換する際の反応条件としては通常420℃以下に最適反応条件が存在し、後述する第2触媒層を用いてのトランスメチル化反応では通常420℃超に最適条件が存在する。したがって、第1触媒層においても第2触媒層と同じ反応条件で機能させるよう制御する、すなわち第1触媒層の活性を低下させて最適反応条件を高温にシフトさせて、第2触媒層の最適反応条件に合わせることにより、より高濃度でパラ−キシレンを得ることが可能となる。そのための方法としては以下の方法が挙げられる。 すなわち、第1触媒層と第2触媒層に用いる各々の触媒が同じ反応条件で機能する為に、使用する触媒充填量で調節する方法と、触媒自身の性能を触媒調製法で制御する方法があるが、より好ましくは、後者、即ち、触媒性能を触媒調製法で制御する方法である。第1触媒層が第2触媒層と同じ反応条件で機能させる為の触媒調製法には、2つの方法がある。1つの方法は、第1触媒層に用いられる触媒中に含まれるゼオライト中の固体酸点を制御する方法であり、もう1つの方法は、触媒中に含まれるゼオライトの含量を限定することである。つまり、第2触媒層よりも第1触媒層の方が最適反応温度が低い場合は、触媒の活性が高いことを意味し、その活性を下げる意味で固体酸点を減らす、あるいは触媒中に含まれるゼオライトの含量を低めに設定することにより、触媒層全体として活性を下げることが可能になるのである。これらの方法はそれ単独でも、組み合わせて用いてもよい。 第1の固体酸点を制御する方法は、次のようにして実施される。 合成ゼオライトは、一般に粉末であるので、使用に当たっては、成型することが好ましい。成型法には、混練り/押出法、転動法、圧縮成型法等が例として挙げられるが、より好ましくは、混練り/押出法である。混練り/押出法では、合成ゼオライト粉末にアルミナゾル、アルミナゲル、ベントナイト、カオリン等の無機バインダー及び必要に応じて、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、スパン、ツインなどの界面活性剤が成型助剤として添加され、混練りされる。必要によっては、ニーダーなどの機械が使用される。更には、触媒に添加する金属によっては、ゼオライト成型時にアルミナ、チタニア等の金属酸化物を加え、触媒に添加する金属の担持量を増加させたり、分散性を向上させたりする。混練りされた混練り物は、スクリーンから押し出される。工業的には、例えば、エクストリューダーと呼ばれる押出機が使用される。スクリーンから押し出された混練り物はヌードル状物となる。使用するスクリーン径により成型体の大きさが決定される。スクリーン径としては、好ましくは0.2〜2.0mmφが用いられる。スクリーンから押し出されたヌードル状成型体は、角を丸めるために、マルメライザーにより処理されるのが好ましい。このようにして成型された成型体は、50〜250℃で乾燥される。乾燥後、成型強度を向上させる為に、250〜600℃、好ましくは350〜600℃で焼成される。 このようにして調製された成型体は、固体酸性を付与するためにイオン交換処理が行われる。固体酸性を付与する方法としては、アンモニウムイオンを含む化合物(例えば、NH4Cl、NH4NO3、(NH4)2SO4等)でイオン交換処理し、ゼオライトのイオン交換サイトにNH4イオンを導入し、しかる後、乾燥、焼成により、水素イオンに変換する方法、或いは、直接、酸を含む化合物(例えば、HCl、HNO3、H3PO4等)で、ゼオライトのイオン交換サイトに水素イオンを導入する方法もあるが、後者は、ゼオライト構造を破壊する恐れがあるので、好ましくは前者、即ち、アンモニウムイオンを含む化合物でイオン交換処理される。 固体酸点を低減する方向に制御するためアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属イオンが用いられる。アルカリ金属イオンとしてはLi+、Na+、K+、Rb+、Cs+イオンを、アルカリ土類金属イオンとしてはMg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+イオンを、希土類金属イオンとしては、La3+、Ce3+イオンを挙げることが出来る。これら金属イオンは水に可溶性である塩化物、硝酸塩、硫酸塩等が利用される。これら金属イオンを導入するイオン交換法とアンモニウムイオン或いは直接水素イオンを導入するイオン交換法とを同時に行うこともできるし、各々個々に行うこともできる。イオン交換処理は通常水溶液で、バッチ法或いは流通法で行われる。処理温度は、室温から100℃で行われるのが通常である。本発明においてゼオライト中に存在する好ましい金属イオンの量は、好ましくはゼオライト交換カチオンの10から80当量%であり、より好ましくは20から60当量%である。金属イオン交換率は、イオン交換前後の成型体を蛍光X線分析法、原子吸光法、ICP分析法等によって測定した金属イオン量から容易に求めることが出来る。 第1触媒層が第2触媒層と同じ反応条件で機能させる第2の方法は、ゼオライトと無機酸化物を混合し、ゼオライト含量を低下させ、しかる後、固体酸性を付与する方法である。無機酸化物としてはアルミナ、チタニア、シリカ−アルミナ、ベントナイト、カオリンなどを例として挙げることが出来る。具体的には、ゼオライト100重量部に対して無機酸化物を100重量部から2000重量部、好ましくは200重量部から1500重量部で混合し、成型する。成型法は、混練り/押出法、転動法、圧縮成型法等が用いられるが、好ましくは混練り/押出法である。成型体は、50〜250℃で乾燥される。乾燥後、成型強度を向上させる為、250〜600℃、好ましくは350〜600℃で焼成される。このようにして調製された成型体は、固体酸性を付与するためイオン交換処理が行われる。固体酸性を付与する方法としては、アンモニウムイオンを含む化合物でイオン交換処理し、ゼオライトのイオン交換サイトにアンモニウムイオンを導入し、しかる後、乾燥、焼成により水素イオンに変換する方法、或いは、直接、酸を含む化合物でゼオライトのイオン交換サイトに、水素イオンを導入する方法もあるが、好ましくは、前者、即ち、アンモニウムイオンを含む化合物でイオン交換処理する方法である。また、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、希土類金属イオンを一部導入することも一つの実施態様である。 このようにしてイオン交換処理された第1触媒層に用いる成型体は、好ましくは、水素化活性金属が担持される。触媒反応系に水素を存在させ、水素化活性金属を担持することにより、触媒の経時劣化を防止することが出来る。水素化活性金属としては、レニウム、白金等が好ましく用いられる。特に、レニウムが好ましく用いられる。担持する金属により好ましい担持量が異なるのは言うまでもない。例えば、レニウムの場合には好ましい担持量は0.01〜1.0重量%であり、より好ましくは0.05〜0.5重量%である。白金の場合は、触媒全体に対して1〜1000ppmであり、より好ましくは10〜500ppmである。 水添金属担持量が多くなると、反応条件によっては、芳香環の核水素化或いは、核水素化分解が起きるので好ましくない。これら金属の担持法は、レニウム、白金のうちいずれか少なくとも一つを含む溶液、一般には、水溶液に触媒を浸漬し、担持される。レニウム成分としては、過レニウム酸、過レニウムアンモニウム等が、白金成分としては、塩化白金酸、塩化白金酸アンモニウム等が利用される。 このようにして調製された触媒は、50〜250℃で30分以上乾燥され、使用に先立って、350〜600℃で30分以上焼成される。 第2触媒層では、最小分子径の小さいトルエンが、ゼオライト細孔内に選択的に入ることが出来、細孔内でトランスメチル化反応により、ベンゼンとキシレン、特に、最小分子径の小さいパラ−キシレンが選択的に生成できるように細孔制御されたゼオライト触媒を用いる。懸かる細孔制御されたゼオライト触媒には、メタ−キシレン、オルソ−キシレン、トリメチルベンゼン各異性体はゼオライト細孔内にはいることが出来ず、触媒表面を通過するだけである。芳香族炭化水素の最小分子径を表2.に示す。 懸かる細孔径制御されたゼオライト触媒が、第2触媒層に用いられる。本発明に適したゼオライトは、10員酸素環で構成された細孔を有するゼオライトが好ましく用いられる。10員酸素環で構成された細孔を有するゼオライトとしてMFI型ゼオライトを挙げることが出来る。MFI型ゼオライトの合成法は、特公昭46−10064号公報に示されるようなテトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイドを水性反応混合物中に添加して合成されるZSM−5合成法、特公平3−45010号公報に示されるような実質的に無機反応材料からなる水性反応混合物から合成されるTSZ合成法、特公昭60−35284号公報に示されるような脂肪族カルボン酸もしくはその誘導体を水性反応混合物中に添加して合成されるペンタシル型ゼオライト合成法等がある。懸かるMFI型ゼオライトの中で、本発明に好ましいMFI型ゼオライトは、結晶子の長軸及び短軸が、0.7から2.5ミクロンであり、シリカ/アルミナ(以下“SiO2/Al2O3”と略す)モル比が30から55を有するゼオライトである。 懸かるゼオライトは粉末であるので、成型する必要がある。成型は第1触媒層に用いられる触媒と同様に行われる。本発明に関わる第2触媒層に用いられる触媒としては、固体酸性を付与すると同時に、ゼオライトの細孔径を更に縮小する必要がある。固体酸性の付与は、前述したように、水素イオン或いは水素イオンの前駆体であるアンモニウムイオンを導入し、焼成することにより達成できる。一方、ゼオライト細孔径を狭くする方法には、有機シラン化合物(例えば、四メトキシシランSi(OCH3)4)の蒸気と接触させる方法、アルカリ土類金属などの金属アルコキシド溶液(例えば、エトキシバリウムBa(OC2H5)2)を含浸させる方法、アルカリ土類金属塩水溶液をゼオライトと混合し焼成する方法などによって、達成できる。本発明に関わる第2触媒層に用いられる触媒には、これらいずれの方法も好ましく用いられる。しかし、工業的観点からは、アルカリ土類金属塩水溶液をゼオライトと混合し焼成する方法が、最も、好ましい。この場合、ゼオライトにアルミナを添加した系にアルカリ土類金属塩水溶液を混合し、良く混練りし焼成する方法が、特に、好ましく用いられる。アルカリ土類金属の好ましい量は、触媒に対して0.5から6重量%(金属換算)である。0.5重量%未満では、ゼオライトの細孔径が縮小せず、又、6重量%を超えると触媒活性が著しく低下する。アルカリ土類金属としては、特に、バリウムが好ましい。バリウム塩としては、塩化バリウム、硝酸バリウム、酢酸バリウムなどを挙げることが出来る。 いずれの方法にしても、本発明に用いられる触媒かどうかは次のようにして判断するものとする。なお、触媒は、予め550℃、2時間空気中で焼成する。この触媒を用いて、120℃、パラ−キシレン蒸気圧1.5トールでパラ−キシレンの吸着量を時間と共に測定する。一方、120℃、オルソ−キシレン蒸気圧1.0トールでオルソ−キシレンの吸着量を時間と共に測定する。吸着時間180分後のパラ−キシレン平衡吸着量の1/10に相当するオルソ−キシレン吸着量に到達するのに、1000分以上必要なゼオライトが本発明で用いられる酸型ゼオライト触媒である。 又、第2触媒層に用いられる触媒は、必要によっては、水素化活性金属を担持する。好ましい水添活性金属としては、レニウム、白金等が好ましく用いられる。特に、レニウムが好ましく用いられる。 以上、述べたようにして調製された触媒は、同一反応系内に層状に配置することにより触媒層を構成する。具体的には反応容器内の供給原料の供給口側に第1触媒層を、反応生成物吐出口側に第2触媒層を層状に充填すればよい。また、第1触媒層と第2触媒層を金網等で仕切って充填してもよい。 本発明における反応は、従来知られている種々の反応操作に準じて行うことが出来る。反応方式は、固定床反応方式が好ましく、次のような反応条件のもとで使用される。即ち、反応操作温度は350〜600℃、好ましくは、400〜550℃である。反応操作圧力は大気圧から10MPa、好ましくは、0.3〜5MPaである。反応の接触時間を表す重量空間速度(WHSV)は0.1〜20hr−1、好ましくは0.5〜10hr−1である。水素対供給原料油の比率は0.5〜10モル比、好ましくは1〜5モル比である。供給原料油は、気相状態で触媒と接触させるのがより好ましい。 以下、本発明を実施例をもってより詳しく説明する。ただし、本発明は以下の実施例によって限定されない。 (モルデナイト型ゼオライトの合成) 固形苛性ソーダ(NaOH含量96.0重量%、H2O含量4.0重量%、株式会社カーク)21.3グラム、酒石酸粉末(酒石酸含量99.7重量%、H2O含量0.3重量%、株式会社カーク)21.3グラムを蒸留水586.8グラムに溶解した。この溶液にアルミン酸ソーダ溶液(Al2O3含量18.5重量%、NaOH含量26.1重量%、H2O含量55.4重量%、住友化学工業株式会社)29.2グラムを加え、均一な溶液とした。この混合液に含水ケイ酸(SiO2含量91.6重量%、Al2O3含量0.33重量%、NaOH含量0.27重量%、ニップシールVN−3、日本シリカ工業株式会社)111.5グラムを攪拌しながら徐々に加え、均一なスラリー状水性反応混合物を調製した。この反応混合物の組成比(モル比)は次のとおりであった。 SiO2/Al2O3 30 OH−/SiO2 0.5 A/Al2O3 2.5 (A:酒石酸塩) H2O/SiO2 20 反応混合物は、1L容のオート・クレーブに入れ密閉し、その後250rpmで攪拌しながら、160℃で72時間反応させた。反応終了後、蒸留水で5回水洗、濾過を繰り返し、約120℃で一晩乾燥した。得られた生成物をCu管球、Kα線を用いるX線回折装置で測定した結果、モルデナイト型ゼオライトであることがわかった。 このモルデナイト型ゼオライトを500℃、2時間空気存在下で焼成後、原子吸光法で組成を分析した結果、無水換算、モル比で表して、1.01Na2O・Al2O3・18SiO2であった。 FE−SEM観察を倍率1万倍で行った結果、結晶子サイズは約0.5ミクロンを主体としていた。 (CFI型ゼオライトの合成) 蒸留水69.8グラムに3重量%水酸化リチウム水溶液(LiOH無水1級試薬、キシダ化学株式会社)69.8グラム、メチルスパルテニウムハイドロオキサイド(以下“MeSPAOH”と呼称する)(MeSPAOH溶液濃度1.51mmol/g)水溶液187.42グラムを加え攪拌した後、5重量%硝酸アルミニウム水溶液(Al(NO3)3・9H2O試薬特級、株式会社カーク)とエチレンジアミン4酢酸(以下“EDTA”と呼称する)4.32グラムを加え、15分間よく攪拌した。次いで、含水ケイ酸(SiO2含量91.6重量%、Al2O3含量0.33重量%、NaOH含量0.27重量%、ニップシールVN−3、日本シリカ工業株式会社)18.57グラムを加え、3時間攪拌した。この反応混合物の組成比(モル比)は次のとおりであった。 SiO2/Al2O3 70 LiOH/SiO2 0.31 MeSPAOH/SiO2 1.0 EDTA/Al 1.83 H2O/SiO2 50 反応混合物は、500ml容オートクレーブに入れ密封し、その後300rpmで攪拌しながら177℃で11.5日間反応させた。反応終了後、蒸留水で5回水洗、濾過を繰り返し、約120℃で一晩乾燥した。得られた生成物を、Cu管球、Kα線を用いるX線回折装置で測定した結果、CFI型ゼオライトであった。 このCFI型ゼオライトを550℃、2時間空気存在下で焼成後、原子吸光法で組成を分析した結果、無水換算、モル比で表して、0.42Li2O・Al2O3・70SiO2であった。 FE−SEM観察を倍率10万倍で行った結果、結晶子サイズは短軸約0.06ミクロン、長軸約0.3ミクロンを主体とする針状結晶であった。 (MFI型ゼオライト合成) 苛性ソーダ水溶液(NaOH含量48.6重量%、H2O含量51.4重量%、三若純薬研究所)37.1グラム、酒石酸(株式会社カーク)15.1グラムを水529グラムに希釈、溶解した。この溶液にアルミン酸ソーダ溶液(Al2O3含量18.9重量%、NaOH含量25.4重量%、H2O含量55.7重量%、ダイソー株式会社)14.25グラムを加え、均一な溶液とした。この溶液に含水ケイ酸(SiO2含量90.4重量%、NaOH含量0.22重量%、Al2O3含量0.26重量%、H2O含量9.12重量%、ニップシールVN−3、日本シリカ株式会社)95.2グラムを攪拌しながら徐々に加え、均一なスラリー性水性反応混合物を調製した。この反応混合物の組成比(モル比)は次のとおりであった。 SiO2/Al2O3 50 OH−/SiO2 0.24 A/Al2O3 3.5 (A:酒石酸塩) H2O/SiO2 22 反応混合物は、1L容のオートクレーブに入れ密封し、その後800rpmで攪拌しながら160℃で72時間反応させた。反応終了後、蒸留水で5回水洗、濾過を繰り返し、約120℃で一晩乾燥した。得られた生成物を、Cu管球、Kα線を用いるX線回折装置で測定した結果、MFI型ゼオライトであった。 このMFI型ゼオライトを500℃、2時間空気存在下で焼成後、原子吸光法で組成を分析した結果、無水換算、モル比で表して、1.02Na2O・Al2O3・37SiO2であった。 FE−SEM観察を倍率1万倍で行った結果、結晶子サイズは短軸約1.1ミクロン、長軸約1.3ミクロンであった。 “触媒A”の製造 モルデナイト型ゼオライト粉末を絶対乾燥基準(500℃、20分間焼成した時の灼熱減量から計算)で20グラム、含水アルミナ(SASOL社、Al2O3含量75重量%)40グラム(Al2O3として15グラム)、アルミナゾル(Al2O3含量10重量%、日産化学工業株式会社)90グラム(Al2O3として9.0グラム)加え、充分混合した。その後、120℃の乾燥器に入れ、粘土状の水分になるまで乾燥した。その混練り物を1.2mmφの孔を有するスクリーンを通して押し出した。押出成型物を、120℃で一晩乾燥し、次いで、350℃から徐々に540℃に昇温し、540℃で2時間焼成した。焼成した成型体30グラムを取り、蒸留水90mlに塩化アンモニウム(アルドリッチ株式会社)4.5グラムと塩化カルシウム・2水和物(和光純薬工業株式会社)4.5グラムを溶解した水溶液に入れ、80℃で1時間、時々攪拌しながらイオン交換処理を行った。処理後、水溶液を除去し、蒸留水で1回水洗し、濾過した。再び、蒸留水90mlに塩化アンモニウム4.5グラムと塩化カルシウム・2水和物4.5グラムを溶解した水溶液に入れ、80℃で1時間、時々攪拌しながらイオン交換処理を行い、水洗/濾過を行った。この操作を合計5回繰り返した。イオン交換処理後、蒸留水による水洗と濾過を5回繰り返した。Reとして120ミリグラム含む過レニウム酸水溶液(稀産金属株式会社)45ml中に室温で浸し、30分ごとに攪拌して2時間処理した。その後、液を切り、120℃で一晩乾燥した。乾燥後、空気中で、540℃、2時間焼成した。この触媒を以下”触媒A“と呼称する。イオン交換処理前の成型体の金属イオンはナトリウムイオンであり、原子吸光法で測定した結果、Naとして1.1重量%であった。一方、触媒A中のナトリウムおよびカルシウム濃度は、原子吸光法で測定した結果、Na+として0.06重量%、Ca2+として0.40重量%であった。ゼオライト交換カチオンサイトの47当量%をNaイオンとCaイオンが占めていた。レニウム担持量はICP発光分析法で測定した結果、Re金属として0.31重量%であった。 “触媒B”の製造 CFI型ゼオライト粉末を絶対乾燥基準(550℃、20分間焼成した時の灼熱減量から計算)で15グラム、含水アルミナ(SASOL社、Al2O3含量75重量%)25グラム(Al2O3として15グラム)、アルミナゾル(Al2O3含量10重量%、日産化学工業株式会社)60グラム(Al2O3として6.0グラム)加え、充分混合した。その後、120℃の乾燥器に入れ、粘土状の水分になるまで乾燥した。その混練り物を1.2mmφの孔を有するスクリーンを通して押し出した。押出成型物を、120℃で一晩乾燥し、次いで、350℃から徐々に540℃に昇温し、540℃で2時間焼成した。焼成した成型体30グラムを取り、蒸留水90mlに塩化アンモニウム(アルドリッチ株式会社)4.5グラムと塩化マグネシウム(和光純薬工業株式会社)4.5グラムを溶解した水溶液に入れ、80℃で1時間、時々攪拌しながらイオン交換処理を行った。処理後、水溶液を除去し、蒸留水で1回水洗し、濾過した。再び、蒸留水90mlに塩化アンモニウム4.5グラムと塩化マグネシウム4.5グラムを溶解した水溶液に入れ、80℃で1時間、時々攪拌しながらイオン交換処理を行い、水洗/濾過を行った。この操作を合計5回繰り返した。イオン交換処理後、蒸留水による水洗と濾過を5回繰り返した。Reとして120ミリグラム含む過レニウム酸水溶液(稀産金属株式会社)45ml中に室温で浸し、30分ごとに攪拌して2時間処理した。その後、液を切り、120℃で一晩乾燥した。乾燥後、空気中で、540℃、2時間焼成した。この触媒を以下”触媒B“と呼称する。イオン交換前成型体の1グラム当たりのイオン交換当量数は、使用したCFI型ゼオライト組成から計算して、1.51x10−4当量である。一方、触媒B中のリチウムおよびマグネシウム濃度は、原子吸光法で測定した結果、Li+として0.003重量%、Mg2+として0.033重量%であった。ゼオライト交換カチオンサイトの21当量%をLiイオンとMgイオンが占めていた。レニウム担持量はICP発光分析法で測定した結果、Re金属として0.28重量%であった。 “触媒C”の製造 モルデナイト型ゼオライト粉末を絶対乾燥基準で10グラム(100重量部とする)、含水アルミナ(SASOL社、Al2O3含量75重量%)120グラム(Al2O3として90グラム、900重量部)、アルミナゾル(日産化学工業株式会社、Al2O3含量10重量%)150グラム(Al2O3として15グラム、150重量部)を混合し、粘土状になるまで水分を加え、混練りした。その混練り物を1.2mmφの孔を有するスクリーンを通して押し出した。押出成型物を、120℃で一晩乾燥し、次いで、350℃から徐々に540℃に昇温し、540℃で2時間焼成した。焼成した成型体30グラムを取り、蒸留水90mlに塩化アンモニウム4.5グラムを溶解した水溶液に入れ、80℃で1時間、時々攪拌しながらイオン交換処理を行った。処理後、水溶液を除去し、蒸留水で1回水洗し、濾過した。再び、蒸留水90mlに塩化アンモニウム4.5グラムを溶解した水溶液に入れ、80℃で1時間、時々攪拌しながらイオン交換処理を行い、水洗/濾過を行った。この操作を合計5回繰り返した。イオン交換処理後、蒸留水による水洗と濾過を5回繰り返した。Reとして120ミリグラム含む過レニウム酸水溶液(稀産金属株式会社)45ml中に室温で浸し、30分ごとに攪拌して2時間処理した。その後、液を切り、120℃で一晩乾燥した。乾燥後、空気中で、540℃、2時間焼成した。この触媒を以下”触媒C“と呼称する。触媒C中のナトリウム濃度は、原子吸光法で測定した結果、Na+として0.02重量%であった。ゼオライト交換サイトの6当量%をNaイオンが占めていた。レニウム担持量はICP発光分析法で測定した結果、Re金属として0.33重量%であった。 “触媒D”の製造 MFI型ゼオライト粉末を絶対乾燥基準(500℃、20分間焼成した時の灼熱減量から計算)で50グラム、酢酸バリウム(アルドリッチ株式会社)16.74グラム(Baとして9グラム)、アルミナゾル(Al2O3含量10重量%、日産化学工業株式会社)37.5グラム(Al2O3として3.75グラム)加え、充分混合した。その後、120℃の乾燥器に入れ、粘土状の水分になるまで乾燥した。その混練り物を1.2mmφの孔を有するスクリーンを通して押し出した。押出成型物を、120℃で一晩乾燥した。次いで、350℃から徐々に550℃に昇温し、550℃で20時間焼成した。焼成した成型体30グラムを取り、蒸留水90mlに塩化アンモニウム(アルドリッチ株式会社)4.5グラムを溶解した水溶液に入れ、80℃で1時間、時々攪拌しながらイオン交換処理を行った。処理後、水溶液を除去し、蒸留水で1回水洗し、濾過した。再び、蒸留水90mlに塩化アンモニウム4.5グラムを溶解した水溶液に入れ、80℃で1時間、時々攪拌しながらイオン交換処理を行い、水洗/濾過を行った。この操作を合計5回繰り返した。イオン交換処理後、蒸留水による水洗と濾過を5回繰り返した。120℃で一晩乾燥後、550℃で1時間焼成した。この触媒を以下“触媒D”と呼称する。この触媒中のバリウム量は、蛍光X線分析法で測定した結果、Baとして3.5重量%であった。 触媒Dを予め、350℃で2時間乾燥後、パラ−キシレンとオルソ−キシレンの吸着速度を測定した。吸着測定は石英スプリングを用いるマック・ベイン法によって行った。測定温度は120℃で、パラ−キシレンの蒸気圧は1.5トール、オルソ−キシレンは1.0トールで測定した。その結果を図1.に示す。吸着時間180分後のパラ−キシレン吸着量は5.0重量%であった。オルソ−キシレンの吸着量は3000分経過後でも0.3重量%であった。 “触媒E”の製造 “触媒D”の製造において押出成型品を550℃、20時間焼成したのを550℃、3時間に変更した以外は、“触媒D”と同じように調製した触媒を“触媒E”と呼称する。 触媒Eを予め、350℃で2時間乾燥後、パラ−キシレンとオルソ−キシレンの吸着速度を測定した。吸着測定は石英スプリングを用いるマック・ベイン法によって行った。測定温度は120℃で、パラ−キシレンの蒸気圧は1.5トール、オルソ−キシレンは1.0トールで測定した。吸着時間180分後のパラ−キシレン吸着量は6.0重量%であった。オルソ−キシレンの吸着量がパラ−キシレンの吸着量の1/10である0.60重量%に到達する時間は2600分であった。 “触媒”Fの製造 MFI型ゼオライト粉末を絶対乾燥基準で50グラム、アルミナゾル(Al2O3含量10重量%、日産化学工業株式会社)75グラム(Al2O3として7.5グラム)加え、充分混合した。その後、120℃の乾燥器に入れ、粘土状の水分になるまで乾燥した。その混練り物を1.2mmφの孔を有するスクリーンを通して押し出した。押出成型物を、120℃で一晩乾燥し、次いで、350℃から徐々に540℃に昇温し、540℃で2時間焼成した。焼成した成型体30グラムを取り、蒸留水90mlに塩化アンモニウム(アルドリッチ株式会社)4.5グラムを溶解した水溶液に入れ、80℃で1時間、時々攪拌しながらイオン交換処理を行った。処理後、水溶液を除去し、蒸留水で1回水洗し、濾過した。再び、蒸留水90mlに塩化アンモニウム4.5グラムを溶解した水溶液に入れ、80℃で1時間、時々攪拌しながらイオン交換処理を行い、水洗/濾過を行った。この操作を合計5回繰り返した。イオン交換処理後、蒸留水による水洗と濾過を5回繰り返した。120℃で一晩乾燥後、550℃で1時間焼成した。この触媒を以下“触媒F”と呼称する。 触媒Fを篩い分けし12〜24メッシュを分取し、350℃で2時間乾燥後、パラ−キシレンとオルソ−キシレンの吸着速度を測定した。吸着測定は石英スプリングを用いるマック・ベイン法によって行った。測定温度は120℃で、パラ−キシレンの蒸気圧は1.5トール、オルソ−キシレンは1.0トールで測定した。その結果を図2.に示す。吸着時間180分後のパラ−キシレン吸着量は6.6重量%であった。オルソ−キシレンの吸着量がパラ−キシレンの吸着量の1/10である0.66重量%に到達する時間は10分以内であった。 “触媒G”の製造 MFI型ゼオライト粉末を絶対乾燥基準で50グラム、アルミナゾル(Al2O3含量10重量%、日産化学工業株式会社)75グラム(Al2O3として7.5グラム)加え、充分混合した。その後、120℃の乾燥器に入れ、粘土状の水分になるまで乾燥した。その混練り物を1.2mmφの孔を有するスクリーンを通して押し出した。押出成型物を、120℃で一晩乾燥し、次いで、350℃から徐々に540℃に昇温し、540℃で2時間焼成した。焼成した成型体30グラムを取り、蒸留水90mlに塩化アンモニウム(アルドリッチ株式会社)4.5グラムを溶解した水溶液に入れ、80℃で1時間、時々攪拌しながらイオン交換処理を行った。処理後、水溶液を除去し、蒸留水で1回水洗し、濾過した。再び、蒸留水90mlに塩化アンモニウム4.5グラムを溶解した水溶液に入れ、80℃で1時間、時々攪拌しながらイオン交換処理を行い、水洗/濾過を行った。この操作を合計5回繰り返した。その後、蒸留水90mlに硝酸バリウム(アルドリッチ株式会社)10グラムを溶解した水溶液に入れ、80℃で1時間、時々攪拌しながらイオン交換処理を行った。イオン交換処理後、蒸留水による水洗と濾過を5回繰り返した。120℃で一晩乾燥後、550℃で1時間焼成した。この触媒を以下“触媒G”と呼称する。触媒Gのバリウム量は、蛍光X線分析法で測定した結果、Baとして2.1重量%であった。 触媒Gを篩い分けし12〜24メッシュを分取し、350℃で2時間乾燥後、パラ−キシレンとオルソ−キシレンの吸着速度を測定した。吸着測定は石英スプリングを用いるマック・ベイン法によって行った。測定温度は120℃で、パラ−キシレンの蒸気圧は1.5トール、オルソ−キシレンは1.0トールで測定した。その結果を図3.に示す。吸着時間180分後のパラ−キシレン吸着量は6.5重量%であった。オルソ−キシレンの吸着量がパラ−キシレンの吸着量の1/10である0.65重量%に到達する時間は33分であった。 実施例1 反応管に第1触媒層として触媒Aを3.0グラム、第2触媒層として触媒Dを5.0グラム層状に充填し、第1触媒層を配した側の供給口から表3記載の組成を有する供給原料を供給し、水素存在下で反応させた。その結果を表3.に示す。なお、供給原料および反応生成物の組成はFID検出器付きガスクロマトグラフにより分析した。 実施例2 反応管に第1触媒層として触媒Aを5.0グラム、第2触媒層として触媒Eを3.0グラム層状に充填し、第1触媒層を配した側の供給口から表3記載の組成を有する供給原料を供給し、水素存在下で反応させた。その結果を表3.に示す。 比較例1 反応管に第1触媒層として触媒Aを5.0グラム、第2触媒層として触媒Fを3.0グラム層状に充填し、第1触媒層を配した側の供給口から表3記載の組成を有する供給原料を供給し、水素存在下で反応させた。その結果を表3.に示す。 比較例2 反応管に触媒Aを8グラム充填し、水素存在下で反応させた。その結果を表3.に示す。 比較例3 反応管に触媒Dを8グラム充填し、水素存在下で反応させた。その結果を表3.に示す。 表3.から明らかなように、第1触媒層に12員酸素環からなる細孔を有するモルデナイト型ゼオライトを含む触媒を用い、第2触媒層に10員酸素環からなる細孔を有し、且つパラ−キシレン吸着量(測定条件:120℃、パラ−キシレン蒸気圧1.5トール、吸着時間180分)の1/10に相当するオルソ−キシレン吸着量に到達するのに1000分以上必要とする(測定条件:120℃、オルソ−キシレン蒸気圧1.0トール)MFI型ゼオライト触媒を用いることにより、炭素数9個からなる芳香族炭化水素を含む供給原料からキシレン収率が高く、パラ−キシレン濃度が平衡濃度より高い生成物を得ることが出来ることが解る。 実施例3 反応管に第1触媒層として触媒Bを3.0グラム、第2触媒層として触媒Dを5.0グラム層状に充填し、実施例1と同様に反応を行った。得られたキシレン収率は36.91重量%、キシレン中のパラ−キシレン濃度は29.33%であった。 実施例4 反応管に第1触媒層として触媒Cを3.0グラム、第2触媒層として触媒Dを5.0グラム層状に充填し、実施例1と同様に反応を行った。得られたキシレン収率は36.13重量%、キシレン中のパラ−キシレン濃度は28.68%であった。触媒CのNaイオンはゼオライト交換サイトの6当量%であったが、触媒Cはゼオライト100重量部に対して無機酸化物が1050重量部で構成されていることにより、キシレン収率が高く、パラ−キシレン濃度が平衡濃度より高い生成物を得ることが出来ることが解る。 比較例4 反応管に第1触媒層として触媒Aを3.0グラム、第2触媒層として触媒Gを5.0グラム層状に充填し、実施例1と同様に反応を行った。得られたキシレン収率は35.61重量%、キシレン中のパラ−キシレン濃度は24.03%であった。触媒Dの120℃でのパラ−キシレンとオルソ−キシレンの吸着を示す図である。触媒Fの120℃でのパラ−キシレンとオルソ−キシレンの吸着を示す図である。触媒Gの120℃でのパラ−キシレンとオルソ−キシレンの吸着を示す図である。炭素数9個からなる芳香族炭化水素を含む供給原料を、第1触媒層に12員酸素環以上で構成された細孔を有する酸型ゼオライトを含む触媒を、第2触媒層にパラ−キシレン吸着量(測定条件:120℃、パラ−キシレン蒸気圧1.5トール、吸着時間180分)の1/10に相当するオルソ−キシレン吸着量に到達するのに1000分以上必要とする(測定条件:120℃、オルソ−キシレン蒸気圧1.0トール)酸型ゼオライト触媒を配置する触媒層に水素存在下、気相で接触させることを特徴とするパラ−キシレンの製造方法。12員酸素環以上で構成された細孔を有する酸型ゼオライトがモルデナイト型ゼオライト、ベータ型ゼオライト、CFI型ゼオライトのうちの少なくとも一つのゼオライトであることを特徴とする請求項1記載のパラ−キシレンの製造方法。12員酸素環以上で構成された細孔を有する酸型ゼオライトの交換カチオンサイトの10から80当量%がアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、希土類金属イオンの少なくとも一つの金属イオンであることを特徴とする請求項1および2のいずれか1項記載のパラ−キシレンの製造方法。12員酸素環以上で構成された細孔を有する酸型ゼオライトの交換カチオンサイトの20から60当量%がアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、希土類金属イオンの少なくとも一つの金属イオンであることを特徴とする請求項1および2のいずれか1項記載のパラ−キシレンの製造方法。12員酸素環以上で構成された細孔を有する酸型ゼオライトを含む触媒が、ゼオライト100重量部に対して、無機酸化物が100重量部から2000重量部で構成されていることを特徴とする請求項1および2記載のいずれか1項記載のパラ−キシレンの製造方法。12員酸素環以上で構成された細孔を有する酸型ゼオライトを含む触媒が、ゼオライト100重量部に対して、無機酸化物が200重量部から1500重量部で構成されていることを特徴とする請求項1および2記載のいずれか1項記載のパラ−キシレンの製造方法。無機酸化物がアルミナ、チタニア、シリカーアルミナ、ベントナイト、カオリンの少なくとも一つであることを特徴とする請求項5及び6のいずれか1項記載のパラ−キシレンの製造方法。パラ−キシレン吸着量(測定条件:120℃、パラ−キシレン蒸気圧1.5トール、吸着時間180分)の1/10に相当するオルソ−キシレン吸着量に到達するのに1000分以上必要とする(測定条件:120℃、オルソ−キシレン蒸気圧1.0トール)酸型ゼオライト触媒が10員酸素環で構成された細孔を有する酸型ゼオライトであることを特徴とする請求項1および2のいずれか1項記載のパラ−キシレンの製造方法。10員酸素環で構成された細孔を有する酸型ゼオライトがMFI型ゼオライトであることを特徴とする請求項8記載のパラ−キシレンの製造方法。MFI型ゼオライトが、結晶子の長軸および短軸が0.7から2.5ミクロンであり、シリカ/アルミナモル比が30から55であることを特徴とする請求項9記載のパラ−キシレンの製造方法。10員酸素環で構成された細孔を有する酸型ゼオライトを含む触媒がアルカリ土類金属を0.5から6重量%(金属換算)含有してなることを特徴とする請求項8から10のいずれか一項記載のパラ−キシレンの製造方法。アルカリ土類金属がバリウムであることを特徴とする請求項11記載のパラ−キシレンの製造方法。酸型ゼオライトを含む触媒がレニウム、白金のいずれか一つを含むことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項記載のパラ−キシレンの製造方法。 【課題】本発明は炭素数9個からなる芳香族炭化水素を含む供給原料からキシレンを得るに際し、キシレン異性体混合物中のパラ−キシレン濃度を平衡濃度以上にして、効率よくパラ−キシレンを製造する方法を提供することを課題とする。【解決手段】炭素数9個からなる芳香族炭化水素を含む供給原料を、第1触媒層に12員酸素環以上で構成された細孔を有する酸型ゼオライトを含む触媒を、第2触媒層にパラ−キシレン吸着量(測定条件:120℃、パラ−キシレン蒸気圧1.5トール、吸着時間180分)の1/10に相当するオルソ−キシレン吸着量に到達するのに1000分以上必要とする(測定条件:120℃、オルソ−キシレン蒸気圧1.0トール)酸型ゼオライト触媒を配置する触媒層に水素存在下、気相で接触させることを特徴とするパラ−キシレンの製造方法。【選択図】なし


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