生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_一体型動的水素電極装置
出願番号:2005164925
年次:2011
IPC分類:H01M 8/04,H01M 8/02,G01N 27/30,H01M 8/10


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城間 純 柿坪 亮 JP 4840796 特許公報(B2) 20111014 2005164925 20050606 一体型動的水素電極装置 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 城間 純 柿坪 亮 20111221 H01M 8/04 20060101AFI20111201BHJP H01M 8/02 20060101ALI20111201BHJP G01N 27/30 20060101ALI20111201BHJP H01M 8/10 20060101ALN20111201BHJP JPH01M8/04 ZH01M8/02 ZG01N27/30 FH01M8/10 H01M 8/00−8/24 H01M 4/86−4/98 G01N 27/30 特開平10−116622(JP,A) 特開平06−333574(JP,A) 特開2003−287514(JP,A) 特開2002−340850(JP,A) 特開平07−140114(JP,A) 1 2006339084 20061214 7 20071121 (出願人による申告)平成16年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「固体高分子形燃料電池システム技術開発事業 固体高分子形燃料電池要素技術開発等事業 劣化診断のための計測評価ツールの研究開発」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願 長谷川 真一 本発明は、固体高分子型燃料電池(PEFC)や直接メタノール型燃料電池(DMFC)において参照電極として使用することのできる一体型動的水素電極装置に関する。 可逆水素電極(RHE)は、水素雰囲気中におかれた白金電極が平衡反応によって安定した電位を示すことを用いたものであり、参照電極として使用される。しかしながら、雰囲気に不純物が含まれると正確な電位を示さないことから、水素以外の反応物質が可逆水素電極内に混入するおそれがある場合には、動的水素電極(DHE)が代替として用いられる。 動的水素電極は、微小な定電流を2電極間に印加することにより水の電気分解反応を起こさせ、水素発生側である負極を、目的とする電極の電位測定の基準として用いるものである(非特許文献1参照)。この動的水素電極は、可逆水素電極とほぼ同じ電位を示すが、電極が平衡状態である可逆水素電極と異なり、電流が流れている(反応状態である)ので、その反応(2H++2e−→H2)の過電圧分だけ電位が若干負にずれる。 安定した電位を示すために要する運転電流の値や、その際の過電圧の大きさは、動的水素電極の幾何的状況に依存するので、作製した動的水素電極は、使用に先立って、電位が既知である他の参照電極を用いて運転電流を決める必要がある。 固体高分子型燃料電池で用いる参照電極は、通常、可逆水素電極が用いられるが、固体高分子型燃料電池を水素以外の燃料で用いるように応用した直接メタノール型燃料電池や直接エタノール型燃料電池などでは、仮に参照電極専用の水素の流路を別に用意したとしても、膜内を拡散して燃料が参照極まで到達してしまうため、可逆水素電極を参照電極として用いることはできない。そこで、通常、電解質膜の端に動的水素電極を構築して参照電極とする(非特許文献2参照)。 しかしながら、動的水素電極は2極から成るため、参照電極の組み立てが複雑になる。しかも、燃料電池を組み立てる際に、動的水素電極も同時に組立てねばならず、その位置や、動的水素電極の押しつけ具合は、正確には再現性がない。従って、動的水素電極の運転に要する電流や示す電位を正確に知ろうとすると、組立てる度に測定する必要がある。ジャーナル オブ エレクトロケミカル ソサイエティー(J. Electrochem. Soc.),第111巻,1964年,p.376−377ジャーナル オブ エレクトロケミカル ソサイエティー(J. Electrochem. Soc.),第147巻,2000年,p.92 本発明の課題は、予め、電気的特性(運転に必要な電流値、示す電位)を調べることができ、燃料電池への取り付けも容易な一体型動的水素電極装置を提供することにある。 本発明は、下記に示すとおりの一体型動的水素電極装置を提供するものである。項1. 酸素発生電極および水素発生電極を、ガス拡散膜およびイオン伝導性膜で挟着してなる一体型動的水素電極装置。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明の一体型動的水素電極装置の一例を燃料電池に取り付けた状態の概略を、図1に示す。 図1において、ガス拡散膜1、イオン伝導性膜2、酸素発生電極3、水素発生電極4、定電流回路5および参照電極端子6が、動的水素電極を構成する。燃料電池負極(水素極)7、燃料電池正極(酸素極)8、燃料電池電解質膜9、燃料電池負極端子10および燃料電池正極端子11は、通常の燃料電池(固体高分子型燃料電池、直接メタノール型燃料電池等)の構成要素である。まず、酸素発生電極3および水素発生電極4を、ガス拡散膜1およびイオン伝導性膜2で覆うように挟着(例えば、熱圧着)して、一体型動的水素電極装置を作製する。この一体型動的水素電極装置の電気的特性を評価した後、燃料電池電解質膜9の外縁部に取り付けて(例えば、熱圧着)、使用する。 ガス拡散膜1は、酸素発生電極3および水素発生電極4を、イオン伝導性膜2の上に固定して外部と電子的に絶縁し、酸素発生電極3および水素発生電極4で発生したガスを拡散させる役割があり、ガス透過性のよい膜材料によって作製される。この膜材料にイオン伝導性があると、ガス拡散膜1の性能が向上する。膜材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)多孔質膜や、ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜に高分子電解質溶液を塗布・乾燥させたものを用いることができ、燃料電池で用いている高分子電解質膜と同じ材料を用いることもできる。 イオン伝導性膜2は、酸素発生電極3、水素発生電極4間のイオン電流を通し、燃料電池電解質膜9とのイオン伝導性も確保し、かつ、一体型動的水素電極装置の形状を一定に保つための基板の役割があり、イオン伝導性の膜材料によって作製される。膜材料としては、高分子電解質や、ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜に高分子電解質溶液を塗布・乾燥させたものを用いることができ、燃料電池で用いている高分子電解質膜と同じ材料を用いることもできる。 酸素発生電極3は、酸素発生反応を生じさせるための電極触媒活性を有する電極であり、水素発生電極4は、水素発生反応を生じさせるための電極触媒活性を有する電極である。これらの電極は、酸性で溶解しない電極材料によって作製される。電極材料としては、白金線、白金線の表面に白金黒と電解質から成る触媒スラリーを塗布したものなどを用いることができる。また、作製した一体型動的水素電極装置の取り扱いを容易にするため、電極触媒活性が必要な先端部以外は樹脂等で被覆することにより、電子的に絶縁してあることが好ましい。 定電流回路5は、燃料電池本体の外部に設置され、特に形式は問わない。この定電流回路5の負極側を取り出して参照電極端子6とし、燃料電池電極端子10,11の電位測定の基準として利用する。 本発明の一体型動的水素電極装置は、酸素発生電極および水素発生電極の幾何学的配置が固定されるので、予め、その電気的特性(運転に必要な電流値、示す電位)を測定しておくことにより、燃料電池に取り付けた後に測定する必要がない。また、本発明の一体型動的水素電極装置には、露出した電極部分が存在しないため、燃料電池本体の電極との絶縁に特に留意する必要がなく、取り扱い(取り付け)が容易である。 次に、実施例によって本発明をより詳細に説明する。 実施例1 一体型動的水素電極装置の作製 標準的な前処理を施したH+型ナフィオン112膜から、2mm×5mmの小片を2枚切り出した。また、テフロン被覆白金線(外径0.18mm、白金径0.127mm)の先端約1mmの被覆をとり除いたものを2本用意した。次いで、白金黒(27m2/g、ジョンソン マッセー社製「HiSPEC 1000」)、5重量%ナフィオン溶液(アルドリッチ社製)および2−プロパノールから成る触媒スラリーを作製し、被覆を除いた白金線の先端に塗布・乾燥させた。次いで、図2に示すように、先端に触媒スラリー12を塗布・乾燥させたテフロン被覆白金線13を、その先端の間隔を約1mm離して2枚のナフィオン片14,14に挟み、ホットプレスにより一体化し、一体型動的水素電極装置とした。この一体型動的水素電極装置は、露出した電極部分がないため、絶縁に配慮する必要がなく、取り扱いが容易である。 [一体型動的水素電極装置のテスト運転] 一体型動的水素電極装置が安定した電位を示すかどうか、また、水素発生反応過電圧がどれほどであるかを確認するため、まず水溶液中で動作させた。窒素バブリングにより脱気した0.5mol/L硫酸水溶液中に、実施例1で作製した一体型動的水素電極装置および参照極(銀/塩化銀電極)を入れ、一体型動的水素電極装置の2極間にガルバノスタット(北斗電工社製「HA−151」)を用いて定電流を印加し、還元側(水素発生反応側)の電極電位を参照極に対して測定した。その結果、安定した電位を示すためには、少なくとも約50μAの還元電流を要することがわかった。電流値を小さくすると、0V(vs.RHE)よりも高い領域で不安定な電位を示した。これは、対極で発生する酸素の流入等により、水素発生反応ではなく酸素還元反応が起こっているためと考えられる。50μA印加した際の電位は、約−5mV(vs.RHE)を示し、反応過電圧が約5mVであることを示している。 [膜・電極接合体(MEA)への取り付け] 一体型動的水素電極装置の動作試験用として、電解質膜にナフィオン117膜を用い、アノードおよびカソードに10cm2の円形に切った市販ガス拡散電極(Pt0.5mg/cm2担持、イーテック社製)を用いた膜・電極接合体を作製した。膜・電極接合体を固体高分子型燃料電池にセットする前に、膜・電極接合体のアノード側の、電極の端とガスケットとの間隙部に、実施例1で作製した一体型動的水素電極装置を局所的なホットプレスにより取り付けた。この一体型動的水素電極装置の2電極に50μAの定電流を印加し、還元側の電極を参照極として用いた。セル温度・供給ガス温度を80℃とし、フル加湿した水素・酸素をそれぞれ100sccmで供給した。図3に、発電中の固体高分子型燃料電池のアノード電位を一体型動的水素電極装置を用いて測定した際の、電位の時間変化を示す。電位は0.5秒毎に測定した。測定値は比較的ゆるやかな速度で揺らいでいるが、その範囲は約5mV以内に収まっており、このレベルでの確度で測定が可能であることを示している。 [動的水素電極電位の測定] 動的水素電極の電位に含まれる水素発生反応過電圧の程度を見積もるため、実施例1で作製した一体型動的水素電極装置と通常の可逆水素電極を共に設置した膜・電極接合体を新たに作製し、発電中の膜・電極接合体電極電位を動的水素電極および可逆水素電極に対して測定した。図4に結果を示す。図4において、アノード電位は動的水素電極(DHE)および可逆水素電極(RHE)に対する値で、カソード電位は動的水素電極(DHE)に対する値で示す。電流密度によらず、動的水素電極(DHE)を用いた値は可逆水素電極(RHE)を用いた値よりも約5mV高い値となり、動的水素電極(DHE)での過電圧が約5mVで一定していることを示している。この差を考慮することにより、動的水素電極を用いることで、アノード電位、カソード電位共に可逆水素電極と同等の精度での測定が可能であることがわかった。本発明の一体型動的水素電極装置の一例を燃料電池に取り付けた状態を示す概略図である。本発明の一体型動的水素電極装置の一例を作製する工程を示す概略図である。本発明の一体型動的水素電極装置の一例を用いて測定した固体高分子型燃料電池のアノード電位の時間変化を示す図である。本発明の一体型動的水素電極装置と可逆水素電極を共に設置した膜・電極接合体での電位測定結果を示す図である。符号の説明1 ガス拡散膜2 イオン伝導性膜3 酸素発生電極4 水素発生電極5 定電流回路6 参照電極端子7 燃料電池負極(水素極)8 燃料電池正極(酸素極)9 燃料電池電解質膜10 燃料電池負極端子11 燃料電池正極端子12 触媒スラリー13 テフロン被覆白金線14 ナフィオン片 動的水素電極に用いられる一体型動的水素電極装置であって、 該一体型動的水素電極装置は、酸素発生電極および水素発生電極を、電子絶縁性を有するガス拡散膜およびイオン伝導性膜で挟着することにより、前記酸素発生電極、前記水素発生電極、前記電子絶縁性を有するガス拡散膜、および前記イオン伝導性膜が一体化されたものであり、 該一体型動的水素電極装置における酸素発生電極は定電流回路の正極側に接続され、該一体型動的水素電極装置における水素発生電極は定電流回路の負極側に接続されて動的水素電極を構成し、該定電流回路の負極側には参照電極端子が接続されている、一体型動的水素電極装置。


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