生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ハトムギ青葉からなる抗酸化剤及びハトムギ青葉を含有する食品
出願番号:2005163627
年次:2006
IPC分類:A61K 36/899,A23L 1/30,A61P 3/10,A61P 9/00


特許情報キャッシュ

竹川 梅子 JP 2006335701 公開特許公報(A) 20061214 2005163627 20050603 ハトムギ青葉からなる抗酸化剤及びハトムギ青葉を含有する食品 太陽食品株式会社 505062075 清原 義博 100082072 竹川 梅子 A61K 36/899 20060101AFI20061117BHJP A23L 1/30 20060101ALI20061117BHJP A61P 3/10 20060101ALI20061117BHJP A61P 9/00 20060101ALI20061117BHJP JPA61K35/78 UA23L1/30 BA61P3/10A61P9/00 4 1 OL 13 4B018 4C088 4B018MD51 4B018ME06 4C088AB75 4C088AC05 4C088BA07 4C088BA08 4C088MA17 4C088MA34 4C088MA52 4C088NA14 4C088ZA36 4C088ZC35 4C088ZC61 本発明は、ハトムギ(Coix lachrymal-jobiL.subsp.mayuen T.Koyama)の青葉からなる抗酸化剤及びハトムギ(Coix lachrymal-jobiL.subsp.mayuen T.Koyama)の青葉を含有する食品に関し、その目的は、優れた抗酸化作用を奏するとともに、豊富な食物繊維を含む抗酸化剤及び食品を提供することにある。 近年、生活習慣病の発症や老化のメカニズムにフリーラジカル・活性酵素が深く関わっていることが明らかとなっている。食品中の活性酵素消去能を有する成分(抗酸化成分)は、これらの疾病の原因となる活性酸素を還元するため、食品の摂取による生活習慣病の予防に期待が寄せられている。これまでの多くの研究により、我々が日常摂取する野菜や果物などの食品からは、この抗酸化性を示す成分が数多く単離されるとともにそれらの作用機構も次第に明らかにされてきた。また最近では、漢方やハーブ類などについても、盛んに研究が進められている。 ハトムギの種子は、ヨクイニンとして古くから漢方として用いられ、その効果は、健胃、解熱、利尿、解毒効果が広く知られている。一方、ハトムギの茎葉部に関しては、その効果について徐々に研究が進められ、例えば、特許文献1には、ハトムギ若葉含有の健康食品が開示され、詳細には、ハトムギの若葉(葉の長さが10cm以下のもの)を用いることにより、ヨクイニンが有する効果と同等或はそれ以上の効果を発揮する健康食品に関するものである。 しかしながら、前記ハトムギの若葉は、セルロース含量が少ないため、セルロースによるダイエット、便秘の解消、コレステロール値抑制及び心臓病の予防等の種々の効果が期待できないという問題があった。また、その収穫は断続的に行われる必要があり、収穫作業においても、若葉を選択的に収穫するために時間と労働力を過剰に有するものであった。特開2004−283112号公報 本発明は、ハトムギの茎葉部に関する鋭意研究によって、また上記問題を鑑みてなされたものである。即ち、本発明者は、ハトムギ(Coix lachrymal-jobiL.subsp.mayuen T.Koyama)の青葉(葉の長さが10cmを超えるもの)が、顕著に優れた抗酸化作用を有することを見出し本発明に至った。その目的は、ハトムギ若葉(葉の長さが10cm以下のもの)と比較して、ポリフェノール含量が極めて多く、また顕著に高い抗酸化効果を有し、さらに豊富な食物繊維を含む抗酸化剤及び食品を提供することにある。また、一度に大量に収穫でき、また収穫作業も比較的容易であるため、製造コストの削減が可能であるような抗酸化剤及び食品を提供することを課題とする。 請求項1に係る発明は、ハトムギ(Coix lachrymal-jobiL.subsp.mayuen T.Koyama)の青葉からなる抗酸化剤に関する。(但し、前記青葉とは葉の長さが10cmを超えるものをいう。) 請求項2に係る発明は、前記ハトムギ(Coix lachrymal-jobiL.subsp.mayuen T.Koyama)の青葉がその乾燥物及び/又は抽出物であることを特徴とする請求項1記載の抗酸化剤に関する。(但し、前記青葉とは葉の長さが10cmを超えるものをいう。) 請求項3に係る発明は、ハトムギ(Coix lachrymal-jobiL.subsp.mayuen T.Koyama)の青葉を、有効成分として含有することを特徴とする食品に関する。(但し、前記青葉とは葉の長さが10cmを超えるものをいう。) 請求項4に係る発明は、前記ハトムギ(Coix lachrymal-jobiL.subsp.mayuen T.Koyama)の青葉がその乾燥物及び/又は抽出物であることを特徴とする請求項3記載の食品に関する。(但し、前記青葉とは葉の長さが10cmを超えるものをいう。) 本発明のハトムギ(Coix lachrymal-jobiL.subsp.mayuen T.Koyama)の青葉からなる抗酸化剤及びハトムギ(Coix lachrymal-jobiL.subsp.mayuen T.Koyama)の青葉を含有する食品は、ポリフェノール含量が極めて多く、また顕著に優れた抗酸化作用を有する。さらに、前記抗酸化剤及び食品は、食物繊維を豊富に含むため、エネルギーがほとんどなく、ダイエット効果、便秘の解消、コレステロール値を下げる効果及び心臓病の予防効果に優れる。加えて、以下に示す本発明のハトムギ青葉による血糖値上昇抑制作用の試験結果より、本発明のハトムギの青葉は、血糖値上昇抑制作用を有することがわかる。したがって、特に、ハトムギ青葉又はハトムギ青葉の乾燥物及び/又は抽出物を含む食品は、糖尿病患者のための食事療法又は糖尿病予防のための食品として極めて有用である。 また、ハトムギの青葉を用いることにより、一度に大量の収穫ができ、また、その収穫作業も比較的容易であるため、作業時間及び製造コストを削減することができる。 本発明の抗酸化剤はハトムギ(Coix lachrymal-jobiL.subsp.mayuen T.Koyama)の青葉からなり、本発明の食品は、ハトムギ(Coix lachrymal-jobiL.subsp.mayuen T.Koyama)の青葉が含有されてなる。 ハトムギは、イネ科ジェズダマ属に分類される1年草である。その茎は根から数本叢生し分岐して色は緑色をしている。また、ハトムギの種皮を除いた成熟種子を乾燥したヨクイニンは漢方で広く用いられ、健胃、解熱、利尿、解毒効果が知られている。 前記ハトムギの葉は互生、長さ30〜60cmにまで成長し、巾2〜4cmの細長い披針形、先は尖って、葉縁はばらつき、葉の基の方は葉鞘となって茎を抱いている。 本発明に係るハトムギの青葉とは、葉の長さが10cmを超えるものであり、好ましくは、15cm〜30cmのものを使用する。葉の長さが10cm以下の場合は、抗酸化効果が弱く、セルロース含量が少ないため望ましくない。さらに、葉の長さが10cm以下のものは、その収穫が断続的に行われる必要があり、収穫作業においても、10cm以下の葉を選択的に収穫するために時間と労働力を過剰に有するものである。一方、本発明で用いる葉の長さが10cmを超えるハトムギの青葉は、その収穫期間は、20〜60日間である。即ち、ハトムギの葉が10cmを超えてから、30cmとなるまで、およそ前記の日数があり、その期間内に収穫すればよい。収穫作業においても、10cm以下の葉の収穫と比較して、10cmを超える葉の収穫は容易であるため、時間及び労働力の削減においても有利であり、これら時間及び労働力の余裕は、製造工程に融通性をもたらすこととなる。 本発明の抗酸化剤に、ハトムギの青葉をそのまま用いてもよく、或は、その乾燥物又は抽出物を用いてもよい。前記ハトムギ青葉の乾燥物が使用される場合、乾燥物とする方法については特に限定されないが、例えば、乾燥させた後粉砕する方法が挙げられる。 ハトムギ青葉の抽出物が使用される場合、ハトムギ青葉或はハトムギ青葉の乾燥物に溶媒を加え、加温或いは室温で抽出した溶媒抽出物、溶媒抽出物より溶媒を除去した溶媒除去物、抽出物或いはその溶媒除去物を分画、精製した精製物などが例示できる。 これらの抽出物の内、好ましいものは溶媒抽出物、抽出物の溶媒除去物である。前記溶媒抽出に使用される溶媒としては、特に限定されないが、水、無水或いは含水有機溶媒として1価アルコール、多価アルコールまたはその誘導体、ケトン、エステル、エーテル、石油エーテル、脂肪族炭化水素またはハロゲン化物、芳香族炭化水素より選択された1種または2種以上を用いることができる。具体的な溶媒としては、水、メタノール、無水エタノール、エタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチルエーテル、ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチルエステル、キシレン、ベンゼン、クロロホルム、酢酸等の有機溶媒の1種類以上を任意に組み合わせて使用することができる。このうち、食品類に用いられることを考慮すると、好ましくは無水エタノールであり、より好ましくはエタノールであり、最も好ましいのは水である。 本発明の抗酸化剤の形態は、特に限定されないが、例えば、顆粒状、細粒状、錠状、丸状、カプセル状、噴霧状、溶液状、懸濁状、軟膏状、ゲル状、ペースト状、クリーム状の形態が挙げられる。 本発明の食品は、ハトムギの青葉が含有されてなる。前記食品中のハトムギの青葉の含有量は、好ましくは1〜10重量%であり、5〜10重量%がより望ましい。1重量%未満の場合抗酸化効果が弱まり、10重量%を超えると過剰摂取となるためいずれの場合も好ましくない。また、本発明のハトムギの青葉含有食品に、ハトムギの青葉をそのまま用いてもよく、或は、その乾燥物又は抽出物を用いてもよい。前記ハトムギ青葉の乾燥物が使用される場合、乾燥物とする方法については特に限定されないが、例えば、乾燥させた後粉砕する方法が挙げられる。 本発明の食品は、ハトムギの青葉が含有されてなり、好ましくは健康食品或は抗酸化食品とされる。本発明の目的に沿う限り、食品の種類は限定されないが、例えば、ジュース、餅、和菓子、アイスクリーム、クッキー、スープ、麺類、清涼飲料、納豆、ホットケーキ、ドレッシング、シリアル、ソース類、スナック類、ふりかけ等が挙げられる。 本発明のハトムギの青葉を含有する食品において、該ハトムギの青葉を含有する際、希釈剤と共に、常法に従った結合剤、吸収促進剤、滑沢剤、乳化剤、界面活性剤、賦形剤、増量剤、酸化防止剤、防腐剤、着色料、香料、甘味料等を含有してもよい。 以下本発明のハトムギの青葉からなる抗酸化剤の効果について詳細に説明する。尚、以下の試験においては、ハトムギ青葉は葉の長さが15〜30cmのものを用いた。(試験例1)in vitro実験<1−1>ラジカル捕捉能及び総ポリフェノール量の測定a)試料調製法 ハトムギ青葉の乾燥物0.1gをねじ口試験管に入れ、5%酢酸0.2mLとメタノール(HPLC用)1.8mLを加え、遠心分離(3000rpm,10分,4℃)し、その上清を分取する。残渣に同様の操作を2回繰り返し、その上清を全て分取する。上清はロータリーエボパレーターによって、減圧濃縮しメタノール溶液を除去後、メタノール1mL加え、さらに0.2μmのスピンフィルターで遠心濾過した。その濾液を実施例1とした。b)ラジカル捕捉活性の測定 DPPH-吸光によってラジカル捕捉活性の測定を行った。即ち、遮光した試験管に0.5mMDPPH/エタノール溶液1mLを入れ、200μLの実施例1が100mMトリス-塩酸緩衡液(pH7.4)を加えて全量を2mLとした。コントロールはトリス‐塩酸緩衡液のみを、また標準物質としてサンプルの代わりに50μM Trolox/エタノール溶液を加えたものを調製した。室温で20分間反応させた後、分光光度計で517nmの吸光度の測定を行った。ラジカル捕捉活性は、Trolox当量に換算した。c)総ポリフェノール量の測定 Folin- Ciocalteu法によって総ポリフェノール量の測定を行った。7.5%炭酸ナトリウム水溶液800μLに実施例1を200μL加えた後、フェノール試薬1mLを加え、反応を開始する。室温で30分放置後、分光光度計で765nmの吸光度を測定する。標準物質として、没食子酸を用い、総ポリフェノール量は没食子酸当量で示した。 ラジカル捕捉活性及び総ポリフェノール量の測定結果を表1に示す。 本発明の抗酸化剤である実施例1は、高い抗酸化作用を示す玉ねぎと同等のラジカル捕捉作用を示し、総ポリフェノール量については、玉ねぎのおよそ5倍量含まれていた。<1−2>フラボノイド分析 本発明の抗酸化剤である実施例1のフラボノイド分析をHPLC法で行った。実施例1をHPLCに注入し、フォトダイオードアレイ検出器で検出した。結果を表2に示す。 本発明の抗酸化剤である実施例1のフラボノイドには、フェノール酸が最も多く、ついで、フラボノールであるルチンやカテキン類が多く含まれていた。<1−3>血管内皮細胞の過酸化水素傷害に対する抑制作用試験a)試料調製法 ハトムギ青葉乾燥物0.5gをねじ口試験管に入れ、10mLの蒸留水を加え、ボルテックスでよく攪拌する。攪拌後、遠心分離(3000rpm,10分,室温)し、その上清を0.2μmのフィルターで濾過した。そのろ液を実施例2とした。b)細胞培養 正常ヒト臍帯血管内皮細胞(Huvec)は、倉敷紡績株式会社より購入した。血管内皮細胞増殖用培地(HuMedia-EG2)を用いて、CO2インキュベーター(37℃,5%CO2)内でコンフルエンスになるまで培養した。c)細胞生存率の測定(MTTassay) b)でコンフルエンスになった細胞を用いて、96穴ウェルに約1.0×104cells/wellの密度になるように接種し、24時間インキュベートする。その後、試料を20μL/well添加し、1時間インキュベートする。コントロールには蒸留水を、ポジティブコントロールにはカタラーゼを用い、同様に20μL/well添加した。次に、0.5mM 過酸化水素を20μL/well添加し、24時間インキュベートする。インキュベート後、5mgMTT/PBS(−)で各wellを洗浄し、酸性イソプロパノール200μL/well添加する。10分間攪拌後、マイクロプレートリーダーで570nmの吸光度を測定する。細胞生存率はコントロールの吸光度を100%とした場合の相対評価で示した。結果を図1に示す。 図1が示すように、0.5mM過酸化水素のみの添加によって細胞生存率は、33.8±4.3%であった。また、ポジティブコントロールとして用いたカタラーゼは92.6±5.7%であった。実施例2を添加した場合では、生存率99.6±5.8%と酸化傷害を受けたにもかかわらず、ほとんどの細胞が生存し、高い保護効果を示した。(試験例2)in vivo実験(高脂肪食を与えたWistarラットに対する本発明の抗酸化剤の影響)<2−1>生体内抗酸化及び血中脂質量の変化に関する試験a)飼料 市販の船橋SP粉末飼料(船橋農場)を使用し、この飼料に5%豚脂、2%コレステロール、0.5%コール酸ナトリウムとなるように加えたものを高脂肪食として用いた。b)実験動物および飼育条件 20週齢のWistarラットを使用した。飼料はa)の高脂肪食を使用し、飲料水は水道水を与えた。対照群には、高脂肪食+5%アピセルを、実験群には高脂肪食+5%ハトムギ青葉粉末を与えて、50日飼育した。飼育期間中、飼料と水道水は自由に摂取させた。体重は毎週1回測定した。動物は室温23±1℃、湿度55±5%、12時間明暗切替(明期;7時から19時)の飼育室で飼育した。50日飼育におけるラットの体重の変化を図2に示す。体重は22週齢まで両群とも増加したが、それ以降は対照群では27週齢まで大きな変化はなく、一方、ハトムギ青葉群では減少傾向にあった。c)血液および尿処理 血液は20週齢及び27週齢にラットの尾静脈より採血した。採取した血液は遠心分離(3000rpm,4℃,10分)し、血漿を分離し、血漿過酸化脂質、血中脂質(総コレステロール,リン脂質、トリグリセライド)の測定に用いた。 尿は20週齢及び27週齢時にラットを代謝ケージ内で飼育し、24時間尿を採取した。採取した尿は濾過し、その濾液を尿中8-OHdG量の測定に用いた。d)血漿過酸化脂質の測定 チオバルビツール酸法を用いた。血漿25μLにTBA試薬(15%トリクロロ酢酸、0.375%チオバルビツール酸、0.25N塩酸)を975μL加えて、全量を1mLとし、沸騰水浴中で15分間加熱を行う。室温まで冷却後、遠心分離(2500 rmp,4℃,10分)しその上清を、分光光度計で535nmを測定する。マロンドアルデヒドのモル吸光係数より、TBARS量(nmol/mL)を算出した。結果を図3に示す。図3が示すように、20週齢(投与前)のTBARS量は、両群で差は認められなかったが、投与7週間後(27週齢)では対照群に対し、ハトムギ青葉群で有意に低値を示した。e)尿中8-OHdGの測定 8-OHdG check(日本老化制御研究所)を用い、ELISA法により測定した。結果を図4に示す。図4が示すように、TBARS量と同様、投与7週間後(27週齢)では対照に対し、ハトムギ青葉群で有意に低値を示した。f)血中脂質の測定 総コレステロール(T.C),トリグリセライド(T.G.)、リン脂質(P.L.)それぞれコレステロールEテストワコー、ロリグリセライドEテストワコー、リン脂質テストワコー(和光純薬工業株式会社)を用いて、酵素法により測定した。結果を表3に示す。 表3が示すように、血中脂質;総コレステロール(T.C.)、トリグレイセライド(T.G.)、リン脂質(P.L.)投与7週間後(27週齢)におけるT.C.、 T.G.、 P.L.量は、対照群と比較して、ハトムギ青葉群で有意に低値を示した。<2−2>血液流動性に関する試験a)試料血の採取 採血はエーテル麻酔下で腹部大動脈から、10%へパリン採血した血液を試料血とした。b)通過時間の測定 血液流動性測定は、0.5mLピペット、フィルターホルダー、三方活栓、注射針(20G;0.9×38mm)がこの順番で接続された装置を用いて行った。フィルターは、ミリポワ製の赤血球変形能測定用の孔径8μmのものを用いた。 試料血を測定する前に必ず、PBS0.5mL(20℃)の通過時間を測定し、5.0±1.0秒(20℃)で通過することを確認した。確認後、試料血をシリンジに0.5mLアプライし通過時間を測定した。PBS0.5mL(20℃)の通過時間が4秒から6秒の場合の試料血の通過時間は、PBS0.5mL(20℃)の基本の通過時間を5秒とし、補正を行った。<2−3>血小板凝集能に関する試験a)血小板の分離 腹部大動脈採血後、3.8%クエン酸三ナトリウム1容を入れたねじ口試験管に血液9容をいれてゆっくり転倒混和する。遠心分離(160×g,10min)し、上層を採取し、多血小板血漿(PRP:Platelet Rich Plasma)とする。沈殿部をさらに遠心分離(2000×10min)し、上清を乏血小板血漿(PRP:Platelet Poor Plasma)とする。b)測定方法 血小板凝集能は、自動血小板凝集能測定装置(アグリコーダー)を用いて行った。血小板浮遊物質の吸収/散乱が血小板の数に比例することを利用し凝集によって減少する分散浮遊血小板の数から凝集率を決定する。PPPで0合わせした後、PRP250μLとスターピースをキュベットにいれ、約5分間予備加温した後、測光部に入れる。凝集惹起物質として最終濃度30μMとなるように希釈した50μLのADPを添加し、吸光度変化を測定した。結果(<2−2>血液流動性に関する試験及び<2−3>血小板凝集能に関する試験)を表4に示す。 血液通過時間は、対照群とハトムギ青葉群に差は認められなかった。また、血小板凝集能においても同様に、両群間に差は認められなかった。 前述の試験例1及び2において、ハトムギ青葉の抗酸化効果をIn vitroと、In vivoで試験し、以下のような結果から本発明のハトムギ青葉からなる抗酸化剤は優れた酸化作用を有するとともに、in vivoにおいても同様に発揮することがわかる。i)ハトムギ青葉のラジカル捕捉活性は抗酸化能の高いタマネギと比べて同等の活性を示し、総ポリフェノール量はおよそ5倍含まれていたことから高い抗酸化能を持つことが明らかとなった。ii)ヒト血管内皮細胞の過酸化水素傷害に対する効果を検討した結果、ハトムギ青葉の水抽出液に保護効果が認められた。その作用は、ハトムギ青葉中のフェノール酸やフラボノールが関与していると考えられた。iii)脂質代謝異常の指標である血中脂質量の抑制効果が認められた。iv)TBARS量、尿中8-OHdG量ともに対照群に比べハトムギ青葉投与群で、有意に低値を示したことから、生体内でも抗酸化能を発揮することが明らかとなった。しかし、血流流動性および血小板凝集能に差はみられなかった。 次に、ハトムギ青葉(葉の長さが10cmを越えるのもの)とハトムギ若葉(葉の長さが10cm以下のもの)の抗酸化効果及びセルロース含量を比較した。 (試験例3)ハトムギ青葉とハトムギ若葉の抗酸化効果の比較 ハトムギ青葉乾燥物とハトムギ若葉乾燥物の抗酸化効果を比較するために、ラジカル捕捉活性の測定(DPPH-吸光度法)及び総ポリフェノール量の測定(Folin-Ciocalteu法)を行った。試料としてハトムギ青葉(葉の長さが10cm〜30cmのもの)とハトムギ若葉(3cm〜9cmのもの)の乾燥物を用いた。結果を表5に示す。 (試験例4)ハトムギ青葉とハトムギ若葉のセルロース含量の比較 試験例3で用いたものと同じハトムギ青葉乾燥物とハトムギ若葉乾燥物を用い、それぞれの重量を測定することにより、セルロース含量を調べた。結果を表6に示す。 表6から、ハトムギ青葉の方がハトムギ若葉に比べて重量が大きいことが分かる。したがって、ハトムギ青葉のセルロース含量はハトムギ若葉のセルロース含量に比べて大きいことがわかる。 (試験例4)ハトムギ青葉の血糖値上昇抑制作用の試験 ハトムギ青葉(葉の長さが15〜30cm)を洗浄後,超高温加湿熱風乾燥処理を施し葉・茎を選別し粉砕したものを用いた。<4−1>ハトムギ青葉の単回投与における血糖値上昇抑制作用a)実験動物と飼育条件 実験動物は日本クレア〔株〕より購入した300〜350gの雄性Wistarラットを用いた。購入後,空調の完備した飼育室 (室温23.5±0.5℃,湿度55±5%,12時間明暗サイクル)で飼育した。飼料は飼育用固形飼料 (船橋農場、SP),飲料水は水道水を与えそれぞれ自由に摂取させた。b)糖負荷試験b−1)糖液の調製(1)グルコース溶液グルコース1gを生理食塩水に溶かし,全量を10mLに調製した。(2)デンプン溶液デンプン1gを生理食塩水に溶かし,全量を10mLに調製した。(3)-aハトムギ青葉含有グルコース溶液 グルコース1gとハトムギ青葉粉末300mgを生理食塩水に溶かし,全量を10mLに調製した。(3)-bハトムギ青葉600mgグルコース溶液 グルコース1gとハトムギ青葉粉末600mgを生理食塩水に溶かし,全量を10mLに調製した。(4)ハトムギ青葉含有デンプン溶液の調製デンプン1gとハトムギ青葉粉末300mgを生理食塩水に溶かし,全量を10mLに調製した。b−2)糖負荷試験 実験動物は雄性 Wistarラット(300〜350g)を使用し18時間絶食して実験に用いた。グルコース負荷試験では対照群に上記(1)の試料,実験群に上記(3)−a,(3)−bの試料を投与した。デンプン負荷試験では対照群に上記(2)の試料,実験群に(4)の試料を,体重100gあたり1mLの割合で胃ゾンデを用いて投与した。各種試験液は投与時は37℃に加温して使用した。b−3)血糖値の測定 ラットを40℃に設定した恒温器 (KN-210-3:夏目製作所〔株〕)に5分間入れ,血管を拡張させた後,尾静脈より出血させ,簡易型血糖値測定器 (Ascencia デキスターZII,バイエルメディカル株式会社)で血糖値を測定した。測定は投与前および投与15,30,60,120分後にそれぞれ行った。 グルコース負荷試験結果を以下に示す。 結果を図5に示す。グルコース負荷試験において、血糖値を経時的に測定した。対照群の血糖値は15分後に最大値を示し,135.6±4.9mg/dlに達した。その後経時的に回復し、120分後の値は91.0±3.8mg/dlであった。一方,実験群のハトムギ青葉300mg群は、血糖最大値は投与15分にみられ120.3±7.4mg/dlであり,対照群に比べ上昇抑制がみられた(p<0.05)。その後経時的に血糖値は回復し,120分の値は84.6±3.1mg/dlであった。また600mg投与群では、15分後の血糖値は113.3±7.2mg/dlであり,対照群に比べ有意に低値であった (p<0.05)その後経時的に血糖値は回復し,120分後の血糖値は97.0±1.7mg/dlであった。 デンプン負荷試験結果を以下に示す。 デンプン負荷試験結果を図6に示す。対照群の血糖値は15分後に最大値を示し131.7±10.0mg/dlであった。その後経時的に回復し,120分後の値は84.4±6.3mg/dlであった。一方、実験群は,対照群に比べ血糖の上昇は抑制され(p<0.01),最大値は30分後にみられ122.3±8.7mg/dlであった。そして120分後には,投与前の値にほとんど回復した。<4−2>ハトムギ青葉飼育ラットにおける糖負荷後の血糖値上昇抑制作用a)実験動物と飼育条件 実験動物は日本クレア〔株〕より購入した雄性 Wistarラット(6週齢)用いた。飼料は,対照群には5%アビセル/船橋SP飼料,実験群には5%ハトムギ青葉/船橋SP飼料を与え,飲料水には水道水を与え自由に摂取させた。飼育は,空調の完備した飼育室 (室温23.5±0.5℃,湿度55±5%,12時間明暗サイクル)で4週間飼育した。b)糖負荷試験b−1)糖負荷試験 糖質にグルコース (ナカライテスク〔株〕) または可溶性デンプン (和光純薬工業〔株〕) を使用し,それぞれ1gを10mLの生理食塩水に溶解した。実験動物は18時間絶食したあと,上記試験<4−1>中と同様の方法で糖液を投与した。b−2)<4−1>中のb−3)「血糖値の測定」と同様の方法で血糖値を測定した。 グルコース負荷試験結果を以下に示す。 結果を図7に示す。対照群の血糖値は15分後に131.7±10.0mg/dlに達し,最大値であった。血糖値は30分後には125.3±6.5mg/dl、120分後には84.4±6.3mg/dlに低下し投与前のレベルに回復した。一方,実験群では最大血糖値は15分後にみられ116.5±7.3mg/dlであった。対照群に比べ血糖値上昇は抑制された(p<0.01)。 デンプン負荷試験結果を以下に示す。 結果を図8に示す。対照群の血糖値は15分後が最大値であり,その後経時的に低下し,120分後には82.7±6.7mg/dlになった。一方,実験群では,血糖値を有意に抑制した(p<0.01)。15分時の血糖値は111.3±7.1mg/dlであった。120分後には投与前のレベルに回復した。 以下に本発明のハトムギの青葉含有の食品の処方例を示す。(処方例1)ビスケット (重量%)小麦粉 62.8油脂 9.0食塩 0.6膨化剤 0.6水 9.0上白糖 13.0ハトムギ青葉乾燥物 5.0 合計 100重量%(処方例2)健康ジュース (重量%)リンゴ果汁 55.0人参 26.5レモン汁 7.5蜂蜜 6.0ハトムギ青葉乾燥物 5.0 合計 100重量%試験例<1−3>の血管内皮細胞の過酸化水素傷害に対する抑制作用試験における過酸化水素傷害に対する影響を示す図である。試験例<2−1>生体内抗酸化及び血中脂質量の変化に関する試験におけるラットの体重の変化を示す図である。試験例<2−1>生体内抗酸化及び血中脂質量の変化に関する試験におけるd)血漿過酸化脂質の測定結果を示す図である。試験例<2−1>生体内抗酸化及び血中脂質量の変化に関する試験におけるe)尿中8-OHdGの測定結果を示す図である。試験例<4−1>ハトムギ青葉の血糖値上昇抑制作用試験におけるグルコース負荷試験結果を示す図である。試験例<4−1>ハトムギ青葉の血糖値上昇抑制作用試験におけるデンプン負荷試験結果を示す図である。試験例<4−2>ハトムギ青葉飼育ラットにおける糖負荷後の血糖値上昇抑制作用試験におけるグルコース負荷試験結果を示す図である。試験例<4−2>ハトムギ青葉飼育ラットにおける糖負荷後の血糖値上昇抑制作用試験におけるデンプン負荷試験結果を示す図である。 ハトムギ(Coix lachrymal-jobiL.subsp.mayuen T.Koyama)の青葉からなる抗酸化剤。(但し、前記青葉とは葉の長さが10cmを超えるものをいう。) 前記ハトムギ(Coix lachrymal-jobiL.subsp.mayuen T.Koyama)の青葉がその乾燥物及び/又は抽出物であることを特徴とする請求項1記載の抗酸化剤。(但し、前記青葉とは葉の長さが10cmを超えるものをいう。) ハトムギ(Coix lachrymal-jobiL.subsp.mayuen T.Koyama)の青葉を、有効成分として含有することを特徴とする食品。(但し、前記青葉とは葉の長さが10cmを超えるものをいう。) 前記ハトムギ(Coix lachrymal-jobiL.subsp.mayuen T.Koyama)の青葉がその乾燥物及び/又は抽出物であることを特徴とする請求項3記載の食品。(但し、前記青葉とは葉の長さが10cmを超えるものをいう。) 【課題】 優れた抗酸化作用を奏するとともに、豊富な食物繊維を含む抗酸化剤及び食品を提供することにある。また、食物繊維を豊富に含むため、エネルギーがほとんどなく、ダイエット効果、便秘の解消、コレステロール値を下げる効果及び心臓病の予防効果に優れるとともに、血糖値上昇抑制作用を有するため、糖尿病患者のための食事療法又は糖尿病予防に有用である食品を提供することにある。【解決手段】 ハトムギ(Coix lachrymal-jobiL.subsp.mayuen T.Koyama)の青葉からなる抗酸化剤及びハトムギ(Coix lachrymal-jobiL.subsp.mayuen T.Koyama)の青葉を含有する食品とする。【選択図】 図1


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