生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_難燃剤及びそれを含む合成樹脂組成物
出願番号:2005140147
年次:2006
IPC分類:C09K 21/10,C07D 401/14,C08K 3/20,C08K 5/3492,C08L 101/00,C09K 21/02,C09K 21/12


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今川 昌裕 小嶋 隆吉 木崎 文彦 JP 2006316168 公開特許公報(A) 20061124 2005140147 20050512 難燃剤及びそれを含む合成樹脂組成物 丸菱油化工業株式会社 000157717 三枝 英二 100065215 掛樋 悠路 100076510 藤井 淳 100105821 今川 昌裕 小嶋 隆吉 木崎 文彦 C09K 21/10 20060101AFI20061027BHJP C07D 401/14 20060101ALI20061027BHJP C08K 3/20 20060101ALI20061027BHJP C08K 5/3492 20060101ALI20061027BHJP C08L 101/00 20060101ALI20061027BHJP C09K 21/02 20060101ALI20061027BHJP C09K 21/12 20060101ALI20061027BHJP JPC09K21/10C07D401/14C08K3/20C08K5/3492C08L101/00C09K21/02C09K21/12 7 OL 15 4C063 4H028 4J002 4C063AA03 4C063BB09 4C063CC43 4C063DD10 4C063EE10 4H028AA10 4H028AA12 4H028AA30 4H028AA34 4H028AA35 4H028AA40 4H028AB04 4H028BA06 4J002AA011 4J002AA021 4J002AC031 4J002AC061 4J002AC071 4J002AC081 4J002BB031 4J002BB121 4J002BB151 4J002BC031 4J002BC061 4J002BE011 4J002BF021 4J002BN151 4J002BP021 4J002CF071 4J002CF081 4J002CG011 4J002CL011 4J002CL031 4J002DE076 4J002DE146 4J002EU087 4J002EU187 4J002EW008 4J002FD136 4J002FD137 4J002GM00 4J002GN00 4J002GQ00 本発明は、難燃剤及びそれを含む合成樹脂組成物に関する。 従来、合成樹脂の難燃剤として、ハロゲン化合物(特に臭素化合物)が知られている。当該ハロゲン化合物は、三酸化アンチモンと併用する場合には、少量の配合で合成樹脂に難燃性を付与できる。この技術は、難燃剤の配合量を少なくできるため、合成樹脂が本来有する特性(軽量、易加工性等)を阻害することなく、良好な難燃性が付与された合成樹脂製品の製造を可能とする。 他方、上記技術は、合成樹脂製品の焼却時にハロゲン化合物が発生し易いという欠点を有する。近年の環境意識の高まりに鑑みれば、ハロゲン化合物を含有する難燃剤の使用は回避すべきである。よって、ハロゲン化合物を含有しない難燃剤の開発が進められている。 ハロゲン化合物を含有しない難燃剤としては、金属水酸化物が知られている。例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等がある。金属水酸化物は、熱分解により水を放出するため、その際の吸熱反応及び放出水により可燃性ガスを希釈できるため、良好な難燃性を発揮する。 例えば、特許文献1には、酢酸ビニル(VA)含有量が25〜45%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)100重量部に対して、脂肪酸又は脂肪酸金属塩で処理された水酸化マグネシウムと表面処理されていない金属水酸化物とを2:8〜6:4で混合した難燃剤を220〜300重量部、アミノシランを2〜20重量部配合した難燃性合成樹脂組成物が開示されている。 しかしながら、従来のハロゲン化合物を含有しない難燃剤は、合成樹脂の難燃剤として用いる場合には、合成樹脂100重量部に対して100重量部を超える量の配合を要する。例えば、特許文献1(特に[0012]段落)では、EVA100重量部に対する難燃剤配合量が220重量部を下回る場合には難燃性が不十分となることが記載されている。 合成樹脂100重量部に対する難燃剤の配合量が100重量部を超える場合には、合成樹脂に対する難燃剤の配合量が多く、合成樹脂が本来有する特性(軽量、易加工性等)を阻害し易い。従って、ハロゲン化合物を含有しなくても、合成樹脂が本来具備する特性を阻害することなく合成樹脂に良好な難燃性を付与する難燃剤の開発が望まれている。特開平11−228754号公報 本発明は、ハロゲン化合物を含有しなくても、合成樹脂が本来有する特性(軽量、易加工性等)を阻害することなく合成樹脂に良好な難燃性を付与する難燃剤を提供することを主な目的とする。 本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、金属水酸化物とヒンダードアミン系化合物とを特定の条件で含有する難燃剤が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。 即ち、本発明は下記の難燃剤及びそれを含む合成樹脂組成物に関する。 1.金属水酸化物100重量部に対して、下記構造式(1)〔式中、Xは置換基を有していてもよいシクロ環を示す。〕で示されるピペリジン骨格を有するヒンダードアミン系化合物を1〜15重量部含有することを特徴とする難燃剤。 2.ヒンダードアミン系化合物が、下記構造式(2)で示されるピペリジン骨格を有する、上記項1に記載の難燃剤。 3.金属水酸化物が、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムの少なくとも1種である、上記項1又は2に記載の難燃剤。 4.さらにリン化合物を含有する、上記項1〜3のいずれかに記載の難燃剤。 5.金属水酸化物100重量部に対して、ヒンダードアミン系化合物とリン化合物とを、合算量で1〜15重量部含有する、上記項4に記載の難燃剤。 6.上記項1〜5のいずれかに記載の難燃剤及び合成樹脂を含有する合成樹脂組成物。 7.合成樹脂100重量部に対して、難燃剤を10〜100重量部含有する、上記項6に記載の合成樹脂組成物。 以下、本発明の難燃剤及びそれを含む合成樹脂組成物について詳細に説明する。 1.難燃剤 本発明の難燃剤は、金属水酸化物100重量部に対して、下記構造式(1)〔式中、Xは置換基を有していてもよいシクロ環を示す。〕で示されるピペリジン骨格を有するヒンダードアミン系化合物を1〜15重量部含有することを特徴とする。 上記特徴を有する本発明の難燃剤は、ハロゲン化合物を含有しない場合でも合成樹脂の難燃剤として適している。とりわけ合成樹脂100重量部に対して配合量が100重量部以下の場合でも、合成樹脂に良好な難燃性を付与できる点で適している。かかる配合量の場合には、合成樹脂が本来有する特性(軽量、易加工性等)を阻害することなく難燃性を付与できる。また、ハロゲン化合物を含有しないことは、当該難燃剤を含む合成樹脂製品焼却時にハロゲン化合物の発生を防止する観点から望ましい。 以下、本発明の難燃剤の構成について具体的に説明する。 金属水酸化物としては特に限定されず、従来から難燃剤として公知のものが使用できる。金属水酸化物の中でも、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムの少なくとも1種は、耐吸湿性が高く、しかも炭酸ガスによる白化が抑制されている点で好適である。これらの金属水酸化物は、単独又は2種以上を混合して使用できる。金属水酸化物の平均粒子径は限定的ではないが、0.2〜2μm程度が好ましい。 ヒンダードアミン系化合物としては下記構造式(1)〔式中、Xは置換基を有していてもよいシクロ環を示す。〕で示されるピペリジン骨格を有するものを用いる。かかる特定のピペリジン骨格を有するヒンダードアミン系化合物を金属水酸化物と併用することにより、合成樹脂の本来有する特性を阻害しない配合量で合成樹脂に良好な難燃性を付与することができる。 当該ヒンダードアミン系化合物は、特にピペリジン環の窒素(N)が置換基を有していてもよいシクロ環(X)とエーテル結合している点に特徴がある。この「N−O−シクロ環」の構造を含む前記構造式(1)で示されるピペリジン骨格を有するヒンダードアミン系化合物は、本明細書では「NOR1型」と呼ぶ。シクロ環の種類は置換基の有無を含めて限定的ではないが、シクロヘキサンが好ましい。他方、上記R1の部分がシクロ環ではないヒンダードアミン系化合物(比較物)は「NOR2型」と呼ぶ。 その他、ピペリジン環の窒素(N)に水素のみが直接結合したヒンダードアミン系化合物(比較物)は「NH型」と呼び、窒素(N)にメチル基のみが直接結合したヒンダードアミン系化合物(比較物)は「NCH3型」と呼ぶ。NH型及びNCH3型は、NOR型と比較して難燃性付与効果が低い。 NOR1型ヒンダードアミン系化合物は、所定のピペリジン骨格を有するものであれば限定的ではないが、より具体的には、下記構造式(2)で示されるピペリジン骨格を有するものが好ましい。 上記構造式(2)で示されるピペリジン骨格を有するNOR1型ヒンダードアミン系化合物としては限定的ではないが、例えば、下記構造式(3)、(4)等で示されるものが好適である。構造式(3)で示される化合物は、CAS-No. 191680-81-6である。また、構造式(4)で示される化合物は、CAS-No. 191743-75-6である。〔式中、−Rは上記構造式(2)で示されるピペリジン骨格を示す。〕〔式中、−Rは上記構造式(2)で示されるピペリジン骨格を示す。〕 上記構造式(3)及び(4)で示されるNOR1型ヒンダードアミン系化合物としては市販品も利用できる。例えば、構造式(3)で示されるNOR1型ヒンダードアミン系化合物は、製品名「FLAMESTAB NOR 116 FF」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製を好適に使用できる。構造式(4)で示されるNOR1型ヒンダードアミン系化合物は、製品名「TINUVIN 152」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製を好適に使用できる。ヒンダードアミン系化合物の平均粒子径は限定的ではないが、難燃処理後においても当該化合物の粒子形状が維持される用途に適用する場合には、0.2〜2μm程度が好ましい。難燃処理後に当該化合物の粒子形状がなくなる(溶融する)用途に用いる場合には、取扱い性を考慮して平均粒子径1〜5mm程度の顆粒としてもよい。 本発明の難燃剤は、金属水酸化物100重量部に対して、NOR1型ヒンダードアミン系化合物を1〜15重量部含有する。この中でも、特に1〜12重量部程度が好ましい。NOR1型ヒンダードアミン系化合物の含有量が金属水酸化物100重量部に対して1重量部未満の場合には、両成分の組み合わせによる相乗効果が得られ難い。他方、15重量部を超える場合には、難燃性の更なる向上に寄与しないばかりか、ヒンダードアミン系化合物のブリードアウトが生じ易くなり、難燃化した合成樹脂製品の表面特性に悪影響を及ぼす可能性がある。 本発明の難燃剤は、さらにリン化合物を含んでもよい。リン化合物をさらに含有する場合には、難燃剤としての性能が一層良好なものとなる。 リン化合物としては限定的ではなく、常温(20℃程度)で液体又は固体のいずれもが使用できる。 常温で液体のリン化合物を含む本発明の難燃剤を合成樹脂用難燃剤として使用し、合成樹脂に混練する場合には、難燃剤の成分が固体と液体とに分かれていることを考慮し、固体の合成樹脂、金属水酸化物及びヒンダードアミン系化合物を一括して混練機の供給口であるホッパーから投入し、液体のリン化合物は別途、液体定量添加装置から混練機に投入することができる(但し、投入後に難燃剤の全成分を一括投入した場合と同じ成分比率となるように定量する)。 常温で固体のものは、300℃以下に融点を持つものが好ましい。300℃以下に融点を持つリン化合物は、合成樹脂の溶融混練温度(120〜300℃程度)で合成樹脂とともに溶融して液体となるため、小さな粒子径で合成樹脂中に分散が可能であり有利である。固体のリン化合物を用いる場合には、リン化合物の平均粒子径は限定的ではないが、難燃処理後においてもリン化合物の粒子形状が維持される用途に適用する場合には、0.2〜2μm程度が好ましい。難燃処理後にリン化合物の粒子形状がなくなる(溶融する)用途に用いる場合には、取扱い性を考慮して平均粒子径1〜5mm程度の顆粒としてもよい。 リン化合物としては、例えば、ホスフェート、ホスファイト、ホスフィンオキサイド、ポリホスファゼン等が挙げられる。これらの中でも、難燃性能とコストとを勘案すると、ホスフェートが好ましい。 ホスフェートとしては、例えば、芳香族ホスフェート;脂肪族ホスフェート;1分子中に芳香族炭化水素基と脂肪族炭化水素基とを有するホスフェート;脂環式炭化水素ホスフェート;芳香族炭化水素及び/又は脂肪族炭化水素の縮合型ジホスフェート;これらの混合物;等が挙げられる。1分子中に芳香族炭化水素基と脂肪族炭化水素基とを有するホスフェートは、例えば、(ArO)2P(=O)OR(但しArは芳香族炭化水素を示し、Rは脂肪族炭化水素を示す)で示される。 具体的には、芳香族ホスフェートとしてとしてはナフチルジフェニルホスフェートが、芳香族縮合型ジホスフェートとしてはレゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)等が挙げられる。 難燃剤がリン化合物を含有する場合の当該含有量は限定的ではないが、前記NOR1型ヒンダードアミン系化合物との合算重量で、金属水酸化物100重量部に対して1〜15重量部程度が好ましい。この中でも、特に1〜12重量部程度が好ましい。このように、本発明の難燃剤におけるヒンダードアミン系化合物及びリン化合物の配合量は、一般に金属水酸化物の配合量よりも少なく設定する。従って、金属水酸化物(主剤)に対して、NOR1型ヒンダードアミン系化合物・リン系化合物を総括して助剤とも称する。 難燃剤の調製方法は特に限定されず、例えば、金属水酸化物とNOR1型ヒンダードアミン系化合物(必要に応じて、リン化合物も含む)とを混合することにより調製できる。混合機(撹拌機)の種類は限定されず、例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラー型ミキサー、ローター型ミキサー等が挙げられる。なお、混合時の剪断熱で各成分が溶融し、撹拌槽・撹拌羽根に固着するのを避けるため、冷却装置を有する混合機が好ましい。 難燃剤は、上記のほか、次の手法によっても調製できる。即ち、NOR1型ヒンダードアミン系化合物(必要に応じて、リン化合物も含む)とを有機溶剤に溶解させた溶液を、撹拌状態の金属水酸化物粉末に噴霧後、溶剤を揮発(例えば、減圧法による)させることによっても調製できる。この調製方法によれば、金属水酸化物粉末の表面に助剤が均一に付着した難燃剤を調製できる。かかる難燃剤は、成分の偏りが少ないため、良好な性能を発揮し易い。 2.難燃剤を含む合成樹脂組成物 本発明の難燃剤は、合成樹脂の難燃剤として好適に使用できる。即ち、合成樹脂用難燃剤として好適である。これと合成樹脂を混練することにより、本発明の(難燃性)合成樹脂組成物が得られる。 合成樹脂の種類は限定的ではなく、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を幅広く使用できる。 熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレンホモポリマー、プロピレンホモポリマー、エチレン−プロピレンブロックコポリマー、エチレン−プロピレンランダムコポリマー等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール等のビニル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、SBR、NBR、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の弾性重合体;これらの変性樹脂;などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独又は2種以上を混合使用できる。熱可塑性樹脂の中でも、特にポリオレフィン系樹脂が好ましい。 熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、単独又は2種以上を混合使用できる。熱硬化性樹脂の中でも、特にエポキシ樹脂が好ましい。 合成樹脂組成物における難燃剤の含有量は限定的ではないが、本発明の難燃剤は合成樹脂100重量部に対する配合量が100重量部以下であっても合成樹脂に良好な難燃性を付与できる。具体的には、合成樹脂100重量部に対して10〜100重量部程度、より好ましくは20〜90重量部程度である。このように合成樹脂100重量部に対する配合量が100重量部以下であっても合成樹脂に良好な難燃性を付与できる(即ち合成樹脂の本来有する特性を阻害することなく良好な難燃性を付与できる)点で本発明の難燃剤は優位性がある。 合成樹脂100重量部に対する難燃剤の配合量が10重量部未満の場合には、難燃性の付与は困難である。他方、100重量部を超える場合には、合成樹脂の加工性が低下して成形が困難となり得る。 合成樹脂組成物は、必要に応じて、耐侯安定剤、酸化防止剤、防曇剤、帯電防止剤、抗菌剤、耐衝撃剤、発泡剤、炭素繊維、ステンレス繊維、導電性フィラー、核剤、架橋剤、着色剤、カーボンブラック、滑剤等の添加剤;タルク、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、硫酸バリウム、ガラス繊維等の充填材;を含んでもよい。これらの添加剤・充填剤の含有量は、最終製品(難燃性樹脂製品)の特性に応じて適宜設定できる。 合成樹脂組成物の調製方法は特に限定されない。例えば、合成樹脂が熱可塑性樹脂の場合には、所定量の合成樹脂及び難燃剤を、ヘンシェルミキサー、タンブラー型ミキサー、ローター型ミキサー等の混合機で混合後、合成樹脂の溶融温度にまで加熱した混練機に供給することにより、合成樹脂組成物ペレットが得られる。なお、合成樹脂及び難燃剤は、事前混合せずに、別々に定量フィーダーにより混練機に供給してもよい。また、難燃剤の各成分及び合成樹脂を別々に定量フィーダーにより混練機に供給してもよい。例えば、難燃剤の成分として常温で液体のリン化合物を用いる場合には、リン化合物を他の成分とは別に定量フィーダーにより混練機に供給することが好ましい。 当該合成樹脂組成物ペレットは、加熱圧縮成形機、射出成型機等で成形することにより、合成樹脂成形体(難燃性合成樹脂製品)となる。成形条件は特に限定されず、ペレットの種類に応じて適宜設定できる。 合成樹脂組成物はエマルションの状態としても調製できる。この場合には、合成樹脂を有機溶剤又は水に分散させたエマルションに、予め粉砕機で0.2〜2μm程度に微粉化した難燃剤を配合し、均一分散させることにより調製できる。当該エマルション合成樹脂組成物は、例えば、難燃加工を要するカーペット、不織布等に必要量を塗布又は含浸後、乾燥することにより難燃性を付与する用途に好適である。この用途では、合成樹脂は難燃剤をカーペット、不織布等の加工対象に固着させるためのバインダーとしても作用する。 合成樹脂が熱硬化性樹脂の場合には、熱硬化性樹脂及びその硬化反応に用いる硬化剤に難燃剤を必要量混合後、混合物を賦形型枠に収容し、熱・圧力をかけることにより成形可能である。 合成樹脂組成物から得られる成形体としては、例えば、洗濯機、冷蔵庫、食器乾燥機、炊飯器、扇風機、テレビ、パソコン、ステレオ、電子レンジ、暖房便器、アイロン等の部品及びカバー;携帯電話、パソコン、プリンター、ファクシミリ等の電子機器回路基盤;エアコン、ストーブ、コンロ、ファンヒーター、給湯器等の部品及びカバー;建築材料、自動車、船舶、航空機等の部品及び内装材;などが挙げられる。 本発明の難燃剤は、ハロゲン化合物を含有しない場合でも合成樹脂の難燃剤として適している。とりわけ合成樹脂100重量部に対して配合量が100重量部以下の場合でも、合成樹脂に良好な難燃性を付与できる点で適している。かかる配合量の場合には、合成樹脂が本来有する特性(軽量、易加工性等)を阻害することなく難燃性を付与できる。また、ハロゲン化合物を含有しないことは、当該難燃剤を含む合成樹脂製品焼却時にハロゲン化合物の発生を防止する観点から望ましい。 以下に実施例及び比較例を示して本発明の特徴を一層明確にする。但し、本発明は実施例に限定されない。 実施例1〜14及び比較例1〜9 ≪難燃性合成樹脂成形体の作製≫ 下記表1に示す原料(合成樹脂、硬化剤、金属水酸化物、ヒンダードアミン系化合物及びリン化合物)を用意した。 当該原料を表2〜表5に示す配合条件で使用し、混練・成形することにより23種類の難燃性合成樹脂成形体を作製した。表中、「phr」は合成樹脂100重量部に対する難燃剤の重量部を意味する。 混練・成形の手順は、次の通りである。 合成樹脂として熱可塑性樹脂を用いる場合には、先ず各成分を混合後、合成樹脂の溶融温度に加熱した卓上型ベンチニーダー(入江商会製、PVB−0.3H)で溶融混練した。次いで、混練物を上下2枚の金属板内に置いて加熱圧縮成形後、加圧水温冷却し、難燃性合成樹脂成形体(プレート)を得た。なお、上下2枚の金属板内に設置するスペーサーの厚みを変えることにより、0.3mm、1.5mm厚及び3mm厚の3種類のプレートを作製した。 合成樹脂として熱硬化性樹脂を用いる場合には、先ず熱硬化性樹脂に硬化剤を配合後、難燃剤を加えて十分に撹拌分散した。次いで、分散液を深さ1.5mmの型に流し込み、硬化させることにより合成樹脂組成物(プレート)を得た。 ≪難燃性の評価≫ 前記プレートの難燃性を、限界酸素指数法(JIS K−7201)、UL94法及び消防45度法(総務省消防庁規定試験)により評価した。各評価方法及び評価基準は次の通りである。 (1)限界酸素指数法の場合には、試験片寸法は、厚さ3mm、幅6mm、長さ150mmとする。評価は、JIS K‐7201に準拠して行う。評価数値はLOI値と呼称され、試験片が一定時間又は一定長さ燃焼し続けるための酸素濃度を意味する。LOI値は大きいほど、難燃性が高いことを意味する。 (2)UL94法の場合には、試験片寸法は、厚さ1.5mm、幅13mm、長さ150mmとする。評価は、Underwriter Laboratoriesの「機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験」UL94法に準拠して行う。UL94法は、水平試験(HB法)と垂直試験(V法)の2種類に大別される。難燃性の総合評価は、FAIL<HB<V−2<V−1<V−0の順に高くなる。 (3)消防45度法の場合には、試験体寸法は、厚さ0.3mm、幅25cm、長さ35cmとする。評価は、総務省消防庁規定に準拠して行う。合格を○、不合格は×で表記する。 ≪加工性の評価≫ 加工性は、混練及び成形の容易性を基準に評価した。混練及び成形が容易であるものを○と評価した。混練及び成形が極めて困難で賦形性が不良であるものを×と評価した。 ≪表面状態の評価≫ 難燃性評価前の各プレートの表面特性を目視及び触指で調べた。難燃剤の配合に基づく顕著な変色、光沢の減少及び表面のベト付きが確認されないものを○と評価した。他方、前記のいずれかが確認されたものを×と評価した。 各評価結果を、表2〜表5に併せて示す。 金属水酸化物100重量部に対して、下記構造式(1)〔式中、Xは置換基を有していてもよいシクロ環を示す。〕で示されるピペリジン骨格を有するヒンダードアミン系化合物を1〜15重量部含有することを特徴とする難燃剤。 ヒンダードアミン系化合物が、下記構造式(2)で示されるピペリジン骨格を有する、請求項1に記載の難燃剤。 金属水酸化物が、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムの少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の難燃剤。 さらにリン化合物を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の難燃剤。 金属水酸化物100重量部に対して、ヒンダードアミン系化合物とリン化合物とを、合算量で1〜15重量部含有する、請求項4に記載の難燃剤。 請求項1〜5のいずれかに記載の難燃剤及び合成樹脂を含有する合成樹脂組成物。 合成樹脂100重量部に対して、難燃剤を10〜100重量部含有する、請求項6に記載の合成樹脂組成物。 【課題】ハロゲン化合物を含有しなくても、合成樹脂が本来有する特性(軽量、易加工性等)を阻害することなく合成樹脂に良好な難燃性を付与する難燃剤を提供する。 【解決手段】金属水酸化物100重量部に対して、下記構造式(1)【化1】〔式中、Xは置換基を有していてもよいシクロ環を示す。〕で示されるピペリジン骨格を有するヒンダードアミン系化合物を1〜15重量部含有することを特徴とする難燃剤。【選択図】なし


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