タイトル: | 公開特許公報(A)_アカシア属樹皮由来物を含有する掻痒の予防及び/又は治療用組成物 |
出願番号: | 2005132746 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | A61K 36/48,A61P 17/04 |
中本 祐昌 小野 啓子 JP 2006306802 公開特許公報(A) 20061109 2005132746 20050428 アカシア属樹皮由来物を含有する掻痒の予防及び/又は治療用組成物 株式会社ウッドワン 000145437 津国 肇 100078662 篠田 文雄 100075225 中本 祐昌 小野 啓子 A61K 36/48 20060101AFI20061013BHJP A61P 17/04 20060101ALI20061013BHJP JPA61K35/78 JA61P17/04 6 OL 9 4C088 4C088AB12 4C088AB59 4C088AC06 4C088BA08 4C088MA63 4C088NA14 4C088ZA89 本発明は、アカシア属(Acacia)に属する樹木に由来する、掻痒の予防及び/又は治療用組成物、並びにこの組成物の食品、動物用飼料、医薬、及び医薬部外品としての用途に関する。 掻痒、すなわち痒みは、非常に不快なものであり、日常生活に支障を来たすこともある。掻痒は、アトピー性皮膚炎、老人性皮膚掻痒症、蕁麻疹、湿疹、虫刺され、乾燥肌、及びかぶれなどの皮膚疾患、腎臓病、糖尿病、膠原病、老齢、並びに温熱寒冷刺激などの様々な原因で生じる。掻痒部位を掻破するなどして症状をさらに悪化させたり、より強い痒みを生じさせたりするという悪循環を招く場合もある。 例えば、アトピー性皮膚炎は、発汗、掻破、摩擦などの外的刺激によって容易に増悪することが知られ、かゆみが最も重要な治療目標となっている。 したがって、上記のような皮膚疾患を治療していく上でも、まずは痒みを抑える処置を施すことが重要である。 掻痒に対する処置法としては、種々の内服療法や外用療法が知られている。例えば、内服療法では、ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、メキタジン、ケトチフェン、アゼラスチン、オキサトミド、テルフェナジン、エピナスチンなどの抗ヒスタミン剤、トラニラスト、スプラタストなどの抗アレルギー剤などが利用される。外用療法では、ワセリン、尿素、ヘパリンなどの保湿剤、ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン剤、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾンなどのステロイド剤、クロタミトンなどの鎮痒剤、ジブカイン、リドカインなどの局所麻酔剤などが利用される。 アカシアは、アカシア蜂蜜やその樹皮から抽出されるタンニンが皮なめし剤や木材用接着剤として利用できることが知られており、また、最近はアカシア属の抽出物にCOX−2の選択的阻害効果(特許文献1)のあることやアカシア属の樹皮に活性酸素消去効果(特許文献2)やチロシナーゼ活性阻害効果による美白効果(特許文献3)のあることが開示されている。しかしながら、アカシア属の樹皮や樹皮由来のポリフェノールに抗掻痒効果があることは知られていなかった。特表2004−532811号公報特開2004−352639号公報特開平10−025238号公報 本発明は、安全性の高い、優れた掻痒の予防及び/又は治療用組成物を提供する。 本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、アカシア属樹皮由来物が掻痒効果を有することを見出し、本発明を完成させた。 すなわち、本発明は、アカシア属樹皮由来物を含有することを特徴とする、掻痒の予防及び/又は治療用組成物に関する。 本発明の組成物は、抗掻痒効果ないし鎮痒効果を奏して、掻痒の発症を予防し、また掻痒を治癒したり減退させたりするので、掻痒の予防及び/又は治療に使用することができる。 また、本発明の組成物は、長期に服用しても副作用などの心配が少なく、安全性が高い。 本発明で使用できるアカシア属樹皮由来物とは、アカシア属(Acacia)に属する樹木(以下、「アカシア」又は「アカシア属」という)の樹皮を原料として得られるものであれば特に制限されず、例えば、アカシア属の樹皮の細片、粉末及びこれらの懸濁液、アカシア属の樹皮の抽出液、濃縮抽出液、及びエキス粉末などの抽出物並びにこの抽出物を精製して得た精製物が挙げられる。優れた抗掻痒効果が得られる上で、アカシア属の樹皮の抽出物、特にアカシア樹皮ポリフェノールが好ましい。 本発明では、これらアカシア属樹皮由来物を1種のみ使用してもよいし、2種以上併用してもよい。 本発明で使用できるアカシアは、アカシア属に属する樹木であれば特に制限されないが、優れた抗掻痒効果があるアカシア属樹皮由来物が得られる点で、学名:Acacia mearnsii De Wild.(一般名ブラックワトル)、学名:Acacia mangium Willd.(一般名アカシアマンギュウム)、学名:Acacia dealbata Link.、学名:Acacia decurrens Willd.、及び学名:Acacia pycnantha Benth.からなる群より選ばれるアカシア属の樹皮が好ましく、特にAcacia mearnsii De Wild.及びAcacia mangium Willd.が好ましい。 本発明では、これらアカシア属の樹皮を1種のみ使用してもよいし、2種以上併用してもよい。 上記アカシア属の樹皮は、通常、樹木として伐採したのち、樹皮だけを剥がして採取し乾燥することで得られるが、好ましくはさらに天日で乾燥させた樹皮である。 アカシア属の樹皮は、外皮とやや繊維質の内皮とからなり、含水率20%程度以下に乾燥するとハンマーミルなどの粉砕機で容易に微粉化する。本発明では、アカシア属の樹皮として、このアカシア属の内皮と外皮の両方を一緒に用いてもよいし、いずれか一方のみを用いてもよい。 前記アカシア属の樹皮の細片は、慣用の方法に従って、アカシア属の樹皮を適当な大きさに粉砕して得ることができる。 また、前記アカシア属の樹皮の粉末は、アカシア属の樹皮を慣用の方法で粉砕し粉末化して得ることができるが、特に、粒径が100μm以下、特に50〜70μmである粉末が好ましい。粉末の分画は、含水率20%以下に乾燥した樹皮を適当な大きさ、例えば粒径1.6mm以下程度に粉砕し、得られた粉末を振動ふるい機などで分級して所要の粉末を得ることができる。 上記アカシア属の樹皮の抽出物は、アカシア属の樹皮を慣用の方法に従って抽出して得ることができる。優れた抗掻痒効果を有するアカシア属の樹皮の抽出物を得るために、アカシア属の樹皮をアルコールや極性溶媒で抽出することが好ましい。 このようなアルコールとしてエタノールが、極性溶媒として水などが使用でき、また必要に応じてそれら溶媒を単独あるいは2種以上を併用してもよい。特に、優れた抗掻痒効果を得るために、水と、エチルアルコールなどのアルコールとの混合溶媒が好ましい。 さらに、同一又は異なる溶媒によって複数回抽出操作を行ってもよい。 優れた抗掻痒効果を有する抽出物を得る上で、アカシア属の樹皮からの水又は熱水による抽出物をさらにエタノールで抽出して得た抽出物を使用してもよい。 抽出は、アカシア属の樹皮の細片や粉末などに溶媒を加えて必要に応じて攪拌し抽出するが、温度や時間あるいは固液比については特に限定されない。溶媒に水を用いる場合には、熱水で抽出してもよい。得られた抽出液は、そのまま凍結乾燥あるいは噴霧乾燥してもよいし、あるいは減圧濃縮してから凍結乾燥又は噴霧乾燥してもよい。得られる抽出物は、抽出液、溶液、粉末、濃縮液、ペースト状物などの種々の形態とすることができ、広く必要に応じて使用できる。 さらに、これらの形態で得られた本発明のアカシア属の樹皮抽出物はそのまま掻痒の予防又は治療に使用できるほか、さらに必要に応じて精製し、その精製物も抗掻痒活性成分として使用することができる。 本発明では、アカシア属樹皮由来物として、アカシア属の樹皮に含有されている成分も例示される。このような成分として、アカシア樹皮ポリフェノールなどが例示される。特に、アカシア樹皮ポリフェノールは優れた抗掻痒効果を示すので好ましい成分である。 本発明のアカシア樹皮ポリフェノールとは、フラバン−3−オールを基本骨格とするフラバノール類の重合体である縮合型タンニンの一種を意味する。ここで、このような縮合型タンニンとして分子量500〜3000のものが好ましい。本発明で用いるアカシア樹皮ポリフェノールは、上記アカシア属の樹皮の粉末などを熱水抽出することにより得ることができる。 また、アカシア樹皮ポリフェノール製品としてはMIMOSA CentralCo-operative Ltd.製の登録商標MIMOSA ME POWDER、MIMOSA MS POWDER、MIMOSA GS POWDER、MIMOSA FS POWDER、MIMOSA WS POWDER、MIMOSA RG POWDER、MIMOSA RN POWDER、MIMOSA DK POWDER、MIMOSA AL POWDER、MIMOSA CR POWDER、GOLDEN MIMOSA POWDERなどが例示される。 本発明の組成物は、アカシア属樹皮由来物、例えば、アカシア属の樹皮、その抽出物、その精製物、又はアカシア樹皮ポリフェノールそのものであってもよいが、他の抗掻痒効果を有する物質、例えば、クロタミンなどの抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、ウコン、田七人参、KW乳酸菌、マカ、又はヨモギローションを含んでもよい。特に、相乗効果による優れた抗掻痒効果が得られる点で、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、ウコン、田七人参、又はKW乳酸菌を含有するのが好ましい。 本発明の組成物は、アカシア属樹皮由来物、例えば、アカシア属の樹皮、その抽出物、その精製物、又はアカシア樹皮ポリフェノールそのものであってもよいが、本発明の効果を損なわない限り、賦形剤、甘味料、酸味料、増粘剤、香料、色素、乳化剤、及びその他に医薬品や食品で一般に利用されている添加剤や素材を含んでいてもよい。 本発明の組成物は、掻痒の予防又は治療に使用できる。このような掻痒として、湿疹、皮膚炎、蕁麻疹、痒疹(prurigo nodularis)、及び掻痒症などの皮膚疾患に伴う皮膚掻痒などが例示される。詳細には、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、主婦湿疹、手湿疹、おむつ皮膚炎、脂漏性皮膚炎、老人性皮膚掻痒症、痒疹、かぶれ、老人性乾皮症、皮脂欠乏性湿疹、虫さされ、股部白癬、足部白癬、及び花粉症に伴う眼瞼炎などの皮膚疾患に伴う皮膚掻痒が例示される。また、本発明の組成物は背痛感覚異常(notalgia paresthetica)、腎不全治療のための血液透析(hemodialysis)による掻痒、痒みを伴う乾癬(psoriasis)にも有用である。 特に、本発明の組成物は、アレルギーなどの免疫異常を起因とする掻痒、例えば、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、花粉症に伴う眼瞼炎、とりわけアトピー性皮膚炎及び花粉症に伴う眼瞼炎に対して有用である。 なお、本発明において、治療には、掻痒を解消したり、症状を軽くしたり、治癒したり、増悪を抑制したりすることなども含まれる。 本発明に係る組成物の摂取量は、特に制限されないが、剤型、並びに使用者若しくは患者などの摂取者又は摂取動物の年齢、体重及び症状に応じて適宜選択することができる。例えば、有効成分量として1日あたり摂取者又は摂取動物の体重1kgにつきアカシア樹皮ポリフェノール量で0.005〜1g、好ましくは0.005〜0.5g、より好ましくは0.005〜0.1gを経口摂取することが、優れた抗掻痒効果が得られるので、望ましい。 摂取期間は、摂取者又は摂取動物の年齢、症状に応じて任意に定めることができる。 本発明に係る組成物は、食品又は動物用飼料として、例えば、健康食品、機能性食品、健康補助食品、特定保健用食品、美容食品、及び栄養補助食品(サプリメント)として使用することができる。これら食品及び動物用飼料は、例えば、お茶及びジュースなどの飲料水;並びにアイスクリーム、ゼリー、あめ、チョコレート、及びチューインガムなどの形態であってもよい。また、液剤、粉剤、粒剤、カプセル剤、又は錠剤の形態であってもよい。ここで、動物用飼料の動物には、ペット動物、畜産動物、又は動物園などで飼育されている動物を含む、掻痒の予防又は治療を必要とする全ての動物が含まれる。 また、本発明に係る組成物は、医薬又は医薬部外品として使用することができる。これら医薬又は医薬部外品は、例えば、散剤、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬若しくは軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳濁剤、又は懸濁剤の形態で経口投与できるが、例えば坐剤の形態で直腸的に;例えば軟膏、クリーム剤、ゲル剤、又は液剤の形態で局部的又は経皮的に非経口的に投与することもできる。 以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 以下、製造例、試験例、配合例を挙げて本発明を更に詳しく具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。特に、ここでは本発明のアカシア属の樹皮を外皮と内皮とに分けないで実施例を示しているが、外皮を内皮から分離してそれぞれ使用することもできる。 以下の製造例、試験例等において、本発明の各アカシアをそれぞれの学名の後の括弧内に示した番号で示す。例えば、学名:Acacia mearnsii De Wild.のアカシアをアカシアNo.1と記す。学名:Acacia mearnsii De Wild.(No.1)、学名:Acacia mangium Willd.(No.2)、学名:Acacia dealbata Link.(No.3)、学名:Acacia decurrens Willd.(No.4)、学名:Acacia pycnantha Benth.(No.5)。アカシア樹皮粉末の製造例1 アカシアNo.1の樹皮を含水率20%以下まで乾燥し、その乾燥樹皮をハンマーミル(Raymond社製)で1.6mm以下(10メッシュ篩(タイラー:Tyler)通過)の粉末に粉砕した後、更に振動ふるい機で分級し、63μm以下(250メッシュ篩下)の微粉末を得た。 同様にして、残り4種のアカシアNo.2〜5の樹皮を粉砕してそれぞれ63μm以下の微粉末を得た。種類によって250メッシュ篩通過の微粉末の収率に多少の差はあるが、目的とする微粉末が得られた。アカシア樹皮抽出物の製造例2 本発明の各アカシアNo.1〜5の樹皮をそれぞれ含水率20%以下まで乾燥し、その乾燥樹皮をハンマーミルで1.6mm以下の粉末に粉砕した後、この乾燥粉砕樹皮100gに対して5倍量の熱水を加え、沸騰してから15分間抽出し、10〜20μmのフィルターを用いて濾過した。得られた濾液をスプレードライヤで噴霧乾燥し、樹皮抽出物各40gを得た。 以下、各樹皮抽出物はアカシアNo.1〜5熱水抽出物と記す。アカシア樹皮抽出物の製造例3 本発明のアカシアの樹皮を含水率20%以下まで乾燥し、その乾燥樹皮をハンマーミルで1.6mm以下の粉末に粉砕した後、この乾燥粉砕樹皮100gに対して5倍量のエタノールを加え、沸騰させて還流させながら15分間抽出し、10〜20μmのフィルターを用いて濾過した。得られた濾液からエタノールを蒸発させた後、濃縮液をクローズドスプレードライヤで噴霧乾燥し、樹皮抽出物(以下、アカシアNo.1エタノール抽出物の如く記す)40gを得た。 アカシアNo.1〜5のエタノール抽出物を得た。 アカシア樹皮抽出物の製造例4 製造例2で得られたアカシア熱水抽出物10gに3倍量のエタノールを加え、沸騰させて還流させながら15分間抽出し、10〜20μmのフィルターを用いて濾過した。得られた濾液からエタノールを蒸発させて、それに水を加えてから凍結乾燥させて9gの抽出物(以下、アカシアNo.1熱水抽出物エタノール画分の如く記す)を得た。 アカシアNo.1〜5の熱水抽出物エタノール画分を得た。試験例1 皮膚掻痒行動抑制試験(1)試験飼料の調製 上記の製造例2に記載のアカシアNo.1熱水抽出物を必要量秤量して、普通飼料(商品名:ラボMRストック、粉末、日本農産工業株式会社)に混合し、このアカシアNo.1熱水抽出物を1.5%含有する試験飼料1を調製した。試験飼料の調製は、試験期間中では週に1回以上の頻度で実施し、得られた試験飼料は冷暗所で保存した。(2)使用動物 ddYマウス(4−5週齢、体重約20g、雄性、日本SLC社より購入)を使用した。上記普通飼料を給餌して、検疫を含む7日間の予備飼育をした後、一般状態に異常がみられなかったマウスを以下の試験に使用した。(3)試験スケジュール 上記のマウスを、体重を指標に層別連続無作為化法により、普通飼料群、compound処理群、及び試験飼料1群の3群に、それぞれ6、8、及び8匹ずつ割り付けた。群分けの翌日より、普通飼料群及びcompound処理群には前記普通飼料を、試験飼料1群には試験飼料1を、それぞれ自由に摂取させた。また、各群とも水道水は自由に摂取させた。 上記各群のマウスは、温度22±3℃、湿度50±20%、照明時間8:00〜20:00、及び換気回数10〜17回/時間に設定した飼育環境下で、ポリカーボネート製ケージ(182W×260D×128Hmm)に個別に収容した。 飼料摂取開始後28日目(4週)、35日目(5週)、及び42日目(6週)にマウスの掻痒行動を測定した。(4)測定方法 Compound48/80(Sigma社製)を生理食塩水に0.125mg/mlとなるよう溶解し、これを、compound処理群及び試験飼料1群の各マウスに0.5mg/kg(20μg/匹)ずつ、背部皮下投与した。次いで、このマウスを個別にプラスチック容器に入れて、上記Compound48/80投与後30分間のマウスの掻痒行動をビデオ撮影した。 撮影したビデオ映像からマウスの掻痒行動の回数をカウントした。すなわち、上記の掻痒行動を、左右後肢による頸背部の引っ掻き行動(以下、「スクラッチ」という)、前肢による頭部の毛繕い行動(以下、「グルーミング」という)、腹部から背部を舐める行動(以下、「舐め行動」という)の3つに分類して、それぞれの回数を5分ごとの累積回数としてカウントした。(5)統計処理 上記で得られたそれぞれの掻痒行動の累積回数を各群ごとにまとめ、平均値±標準誤差を算出した。 掻痒行動の累積回数について、バートレット(Bartlett)法により等分散性の検定を行い、等分散の場合(P>0.05)は、更に一元配置分散分析(ANOVA)により比較を行い、ANOVAが有意な場合(P≦0.05)のみさらにテューキー(Tukey)法により平均値の比較を行った。バートレット法で不等分散の場合(P≦0.05)は、クルスカル−ワリス(Kruskal-Wallis)のH検定で比較を行い、有意な場合(P≦0.05)のみ、さらにテューキー法により平均値の比較を行った。 バートレット法、一元配置分散分析、クルスカル−ワリスのH検定、及びテューキー法の危険率はそれぞれ5%及び1%とした。(6)試験結果 各掻痒行動の累積回数のカウント結果を表1に示した。 普通飼料群とCompound処理群とを比較すると、Compound処理群においてスクラッチ回数の増加が認められた。 試験飼料1群とCompound処理群とを比較すると、試験飼料1群でスクラッチ回数の減少が認められた。また、5週目と6週目のグルーミングの回数についても、試験飼料1群では減少した。さらに、舐め行動の回数についても、試験飼料1群で減少がみられ、特に5週目において統計的に有意に減少した。 以上の結果より、試験飼料1の摂取によりマウスの掻痒行動が抑制されたことが認められ、アカシア樹皮は皮膚掻痒に対して有効であることが示された。試験例2 急性毒性試験(経口投与) OECD(Guidelines for the Testing of Chemicals 401, 1987)に準拠し、マウスを用いた経口急性毒性試験を実施した。 ICR系雌雄マウスについて、雄では7,000mg/kg、雌では6,500mg/kgを上限として、公差500mg/kgで各9用量の検体(上記製造例2のアカシアNo.1熱水抽出物)を雌雄マウスに単回経口投与した。検体は、本発明品を純水に懸濁して用いた。その結果、LD50値は雄では4,468mg/kg、雌では3,594mg/kgであり、いずれも3,000mg/kgの投与量で、死亡例を認めなかった。 上記試験を製造例2のアカシアNo.2〜5熱水抽出物について行って同様の結果を得た。これにより、本発明の組成物は、安全性に優れていることがわかった。試験例3 突然変異誘起性試験 労働省告示第77号(昭和63年9月1日)に準拠し、突然変異誘起性試験を実施した。 Escherichia coli WP2 uvrA株及びSalmonella typhimurium TA株系4菌株を用いて代謝活性化を含む復帰突然変異試験を156〜5,000μg/プレートの用量の検体(製造例2のアカシアNo.1〜5熱水抽出物)で行った。その結果、いずれの菌株についても復帰変異コロニー数の増加が見られなかったことから、製造例2のアカシアNo.1〜5熱水抽出物の突然変異誘起性は陰性であると結論づけられ、安全性に優れていることがわかった。配合例1 内服剤の調製 製造例4のアカシア樹皮熱水抽出物エタノール画分を用い、下記に示す組成にて内服剤を調製した。 製造例4の抽出物画分 1.0(重量%) 乳糖 30.0 コーンスターチ 60.0 結晶セルロース 8.0 ポリビニールピロリドン 1.0 計 100.0配合例2 ペットフードの調製 製造例2のアカシア樹皮熱水抽出物を用い、下記に示す組成にてペットフードを調製した。 製造例2の抽出物 1.0(重量%) オートミール 88.0 でんぷん 5.0 食塩 2.5 全卵 3.0 調味料 0.5 計 100.0配合例3 錠剤(菓子)の調製 製造例4のアカシア樹皮熱水抽出物エタノール画分を用い、下記に示す組成にて錠剤(菓子)を調製した。 製造例4の抽出物画分 1.0(重量%) クエン酸 1.0 脱脂粉乳 15.0 ショ糖エステル 1.0 フレーバー 0.5 粉糖 20.0 乳糖 61.5 計 100.0 本発明によれば、掻痒の予防及び/又は治療用組成物を得ることができる。 より詳細には、本発明の組成物は、アレルギー疾患における掻痒の予防及び/又は治療に有用である。 これら組成物は、医薬品又は医薬部外品、あるいは健康食品、健康補助食品、特定保健用食品、若しくは栄養補助食品などの食品又は動物用飼料に利用できる。 アカシア属樹皮由来物を含有することを特徴とする、掻痒の予防及び/又は治療用組成物。 アカシア属樹皮由来物がアカシア属の樹皮の抽出物である、請求項1記載の組成物。 アカシア属樹皮由来物がアカシア樹皮ポリフェノールである、請求項1記載の組成物。 食品である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。 医薬品である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。 医薬部外品である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。 【課題】 掻痒の予防又は治療に有用な組成物を提供する。【解決手段】 アカシア属樹皮由来物を含有することを特徴とする、掻痒の予防及び/又は治療用組成物【選択図】 なし