生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_アルコールの回収方法
出願番号:2005129756
年次:2006
IPC分類:C07C 29/76,B01D 3/14,B01D 53/22,B01D 71/02,C07C 31/04


特許情報キャッシュ

星野 俊一 渡辺 和則 松下 仁美 JP 2006306762 公開特許公報(A) 20061109 2005129756 20050427 アルコールの回収方法 株式会社クラレ 000001085 星野 俊一 渡辺 和則 松下 仁美 C07C 29/76 20060101AFI20061013BHJP B01D 3/14 20060101ALI20061013BHJP B01D 53/22 20060101ALI20061013BHJP B01D 71/02 20060101ALI20061013BHJP C07C 31/04 20060101ALI20061013BHJP JPC07C29/76B01D3/14 AB01D53/22B01D71/02 500C07C31/04 6 1 OL 9 4D006 4D076 4H006 4D006GA41 4D006KA31 4D006KB18 4D006KE07R 4D006KE08Q 4D006KE16R 4D006PA01 4D006PB13 4D006PB32 4D006PC80 4D076AA22 4D076BB03 4D076BB23 4D076FA03 4D076FA19 4D076FA34 4D076HA03 4H006AA02 4H006AD19 4H006BC51 4H006BC52 4H006FE11 本発明はアルコールの回収方法に関する。さらに詳しくは、アルコールとそのエステルを含む分離不能又は分離困難な組成の蒸気を0.47MPaを越える圧力で、かつ120℃を越える温度でゼオライト系膜を装填した膜分離装置に供給し、膜非透過物の有する熱を回収することによって効率よくアルコールを回収することが可能なアルコールの回収方法に関する。 有機液体混合物を各構成成分に分離する場合、従来から蒸留法が多く採用されているが、有機液体混合物が共沸混合物を形成する場合、通常の蒸留法によっては共沸組成以上に分離することは不可能である。このような共沸混合物を蒸留で分離する方法として抽出蒸留法がある。 抽出蒸留は、第3成分である添加剤を加えることにより、液−液抽出の効果と蒸留の効果を利用して各構成成分に分離する操作である。この方法において使用される添加剤は比較的不揮発性であり、原液中の主な構成成分とは共沸混合物を形成せず、添加することにより分離すべき成分の相対揮発度が増大して分離が容易になる。 この応用例としては、例えば、添加剤としてアセトンを用いてn−ブタンからブテン−2を分離する例、添加剤としてエチルセロソルブを用いてエチルベンゼンからスチレンを分離する例などが知られているが、添加剤として水を用いて酢酸メチル/メタノール系の共沸混合物からメタノールを分離回収する例もよく知られている。 酢酸メチル/メタノール系共沸混合物の共沸組成は常圧で酢酸メチル80.5wt%、メタノール19.5wt%である。通常の蒸留ではこれ以上の組成に分離することはできないが、系を常圧から減圧にすると共沸組成における酢酸メチルの組成がさらに大きくなり分離が容易になる。かかる観点から、酢酸メチル/メタノール系共沸混合物を減圧蒸留することによって各構成成分に分離する方法が提案されている(特許文献1)。特公平4ー25257号公報 特許文献1には400Torrの圧力で減圧蒸留する例が示されているが、このような比較的沸点が低い系について減圧蒸留を実施すると、蒸留塔塔頂から留出する酢酸メチルは極めて低温になるため、酢酸メチルの蒸気を冷却することにかなりの困難を生じ、エネルギー的な観点から必ずしも工業的に推奨される方法であるとは言えない。 近年、浸透気化法、蒸気透過法といった膜分離方法が開発され、蒸留と組み合わせてエネルギー効率を考慮した液体混合物の分離方法が提案されている。例えば、蒸留塔塔頂留出物の蒸気を膜分離装置に導入し、膜透過蒸気は蒸留塔へ循環し、膜非透過蒸気は蒸留塔塔底液と熱交換する例がエタノール水溶液について開示されている(特許文献2)。特開平7−227517号公報 特許文献2において、使用される気体分離膜としては、高沸点成分を優先的に透過する膜であればとくに限定されないと記載されているが、実施例でどのような膜が使用されたか明らかでない。明細書に具体的に例示されている膜は、ポリビニルアルコール膜、シリコンゴム膜、ポリイミド膜などであるが、これらの膜を使用してアルコールとそのエステルを含む液体混合物の分離を工業的に実施し得るかどうかは不明である。 これまで膜分離法が工業的に実施されていない主たる原因は、工業的実施に適した分離性能及び耐久性に優れた膜が開発されていないことにあるが、上記したポリビニルアルコール膜、ポリイミド膜などはかかる観点から必ずしも充分満足できる膜であるとはいえない。 一方、近年、耐熱性、耐溶剤性などに優れる膜としてゼオライト系膜が注目されており、例えば、Y型ゼオライト膜がアルコール透過性に優れることに着目して、メタノール水溶液、エタノール水溶液、メタノール/ベンゼン、エタノール/ベンゼン、エタノール/シクロヘキサンなどに適用した例が開示されている(特許文献3)。特許第3537908号公報 共沸混合物を蒸留のみ、あるいは膜のみを使用して分離を行うよりはこれらを組み合わせて分離する方がはるかに効率的であるが、特許文献3には単にアルコール含有有機液体混合物を浸透気化法によって膜分離することが開示されているに止まり、アルコールとそのエステルを含む液体混合物からアルコールを回収することについては勿論、アルコールとそのエステルを含む分離不能又は分離困難な組成の蒸気を特定の圧力や温度で膜に供給することや膜非透過物の有する熱を回収することによって効率よくアルコールを製造することについては何ら教示されていない。 蒸留や膜を使用して共沸混合物などの有機液体混合物を分離する方法としては、特許文献2のように、水の透過性に優れる膜を使用し、蒸留塔塔頂留出物であるアルコール水溶液の蒸気をそのまま膜分離装置へ供給する蒸気透過法を採用するのがエネルギー的に有利であると考えられる。 しかしながら、アルコールとそのエステルを含む液体混合物についてもさらに効率よく分離することができれば工業的に有利なプロセスを構築することができるが、アルコールとそのエステルを含む液体混合物を効率的に膜分離することは勿論、特定の条件下で効率よく膜分離することはこれまで殆ど検討された例はない。したがって、本発明の目的は、アルコールとそのエステルを含む液体混合物から膜を用いてアルコールを効率的に回収するアルコールの回収方法を提供することにある。 本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、アルコールとそのエステルを含む液体混合物からアルコールを回収する場合、通常蒸留分離する際には不利となる加圧下での分離を行い、分離膜として好ましくはY型ゼオライト膜を使用し、特定の条件下で膜分離を行い、膜非透過物の有する熱を回収すれば、意外にも効率よくアルコールを回収できることを見出し本発明に至った。 すなわち本発明は、アルコールとそのエステルを含む液体混合物から膜を用いてアルコールを回収する方法において、アルコールとそのエステルを含む分離不能又は分離困難な組成の蒸気を0.47MPaを越える圧力で、かつ120℃を越える温度でゼオライト系膜を装填した膜分離装置に供給し、膜非透過物の有する熱を回収することを特徴とするアルコールの回収方法である。 本発明によれば、アルコールとそのエステルを含む液体混合物から膜を用いてアルコールを回収する方法において、アルコールとそのエステルを含む分離不能又は分離困難な組成の蒸気を0.47MPaを越える圧力で、かつ120℃を越える温度でゼオライト系膜を装填した膜分離装置に供給し、膜非透過物の有する熱を回収することによって工業的に有利にアルコールを回収することができる。 本発明において用いられるアルコールとそのエステルを含む液体混合物としては、例えば、酢酸メチル/メタノール、酢酸エチル/メタノール、酢酸エチル/エタノール、酢酸イソプロピル/メタノール、酢酸メチル/エタノール、酢酸エチル/エタノール、酢酸イソプロピル/エタノールなどを挙げることができる。 エステルとしては、カルボン酸のアルキルエステルが、本発明の効果の発現が大きく好ましい。カルボン酸としては酢酸が好ましい。アルコールとしてはメタノールが好ましい。したがって、アルコールとそのエステルを含む液体混合物としては、酢酸メチル/メタノールを主成分とする液体混合物が最も好ましい。 アルコールとそのエステルを含む液体混合物には水など他の成分を含むことは何ら差し支えない。このようなアルコールとそのエステルを含む液体混合物はポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する)の製造工程で副生するので本発明のアルコールの回収方法はこのようなPVAの製造工程で副生するメタノールと酢酸メチルを含む液体混合物に好ましく適用することができる。 本発明に使用するゼオライト系膜を構成するゼオライトは、ケイ素とアルミニウム、ナトリウム、酸素を主な組成とするケイ酸塩鉱物でこれらの元素が3次元的に組み合わされ1nm未満の微細孔が規則的に配列した網目状の結晶構造となっており、A型、C型、D型、G型、L型、R型、S型、T型、W型、X型、Y型、MFI型(ZSM−5)及びΩ型など各種知られているが、本発明のように、アルコールとそのエステルを含む液体混合物に対してはY型ゼオライト膜が分離効果及び耐久性の点で好ましく使用される。 Y型ゼオライト膜は、出発原料としてシリカ源に水ガラス、アルミニウム源にアルミン酸ナトリウムを用い、原料をH2O/Na2O=45、Na2O/SiO2=0.88、SiO2/Al2O3=25の組成比に調製して室温(20℃)でシリカ源とアルミニウム源を混合、攪拌して白色のアルミノシリケートゲルを得、室温(25℃)で24時間エージングを行って得ることができる。 ゼオライト結晶は円筒状のセラミックス多孔質管(外径12mm、内径9mm、平均細孔径1.3μm)の支持体に析出させてY型ゼオライト膜とすることができる。 本発明において、アルコールとそのエステルを含む液体混合物は蒸気の状態で膜分離に付されるが、アルコールとそのエステルを含む液体混合物は通常分離不能又は分離困難な組成となる。分離不能の組成とは、具体的には共沸混合物を形成している組成であり、分離困難な組成とは、厳密には共沸組成ではないが、気液平衡線図がとくに低沸点側において対角線に近接した接線共沸を呈している組成をいう。蒸発器などから発生する蒸気の場合は必ずしも厳密な意味での共沸混合物は形成されていないが、このような共沸組成に近似した組成も分離困難な組成に含まれる。 本発明の最大の特徴は、このような、分離不能又は分離困難な状態のアルコールとそのエステルを含む蒸気を0.47MPaを越える圧力で、かつ120℃を越える温度でゼオライト系膜により膜分離を実施することにある。すなわち、本発明のポイントは、このような特定の条件下に膜分離を行えば、アルコールとそのエステルを含む液体混合物から、極めて少ない消費エネルギーでアルコールを回収することができることを見出した点にある。アルコールとそのエステルを含む液体混合物の蒸気を0.47MPaを越える圧力で、かつ120℃を越える温度で膜分離に付すことにより、膜面積を小さくすることができるのも本発明のメリットである。 アルコールとそのエステルを含む液体混合物の蒸気は、上述した蒸留塔の他、蒸発器、ブースターポンプなどから発生する蒸気が使用される。蒸気を加圧するには、蒸留塔を加圧して塔頂から発生する蒸気を使用してもよく、膜分離装置を加圧してもよい。 温度と圧力は、あまり低すぎると膜非透過物の有する熱を効率よく回収することができず、また圧力があまり高すぎるとエネルギーの使用量を増加させ、温度があまり高すぎると膜性能の低下が起こり易くなるため、本発明においては好ましくは0.8〜1.6MPaの圧力で、かつ130〜160℃の温度で、ゼオライト膜を装填した膜分離装置に供給する。本発明のアルコールの回収方法においては、かかる条件下に実施することによりエネルギー的に顕著な効果が発揮される。 膜透過側の成分はアルコールに富む成分であり、別途蒸留などを実施してアルコールを濃縮する。また、膜非透過側の成分はエステルを主成分とする成分であり、該成分が有する熱を好ましくは蒸留塔又は蒸発器で回収する。 次に、本発明で用いるアルコールとそのエステルを含む液体混合物として酢酸メチル/メタノールを主成分とする液体混合物を使用し、該液体混合物についてゼオライト系膜を用いて膜分離を行い、膜非透過物が有する熱を蒸留塔で回収する例について図1を用いて具体的に説明する。 図1において、酢酸メチル/メタノールを主成分とする液体混合物は原料供給ライン2から第1の蒸留塔1へ供給され、蒸留塔塔頂留出物を加熱器5で0.47MPaを越える圧力で、かつ120℃を越える温度で膜分離装置9へ供給する。加熱器は通常多管式の蒸発器が使用される。8は酢酸メチル/メタノールを主成分とする液体混合物に含まれる高沸物などを適宜廃棄するための廃棄ラインである。 膜分離装置には前述したゼオライト系膜が装填され、酢酸メチル/メタノールを主成分とする蒸気が分離に付される。膜透過側は凝縮器13を介して真空ポンプ13により所定の真空度に維持される。膜分離装置における圧力と温度は、0.47MPaを越える圧力で、かつ120℃を越える温度で実施する必要がある。膜分離装置は必要に応じて多段で使用してもよい。 膜透過側の圧力は通常1〜2Torr程度で実施されることが多いが、本発明においては390Torr以上とする方が膜透過蒸気の凝縮に要するエネルギーが小さくなり、また膜透過側蒸気が有する熱を回収し易くなるので好ましい。膜透過側が有する熱は適宜熱交換することによって回収することができる。 膜透過成分はメタノールに富む成分であり、膜透過成分供給ライン3から第1の蒸留塔へ供給される。一方、膜非透過側は酢酸メチルに富む成分であり、膜非透過成分供給ライン10から抜き出され、保有する熱量を蒸留塔で回収する。 第1の蒸留塔へ供給されたメタノールに富む成分は蒸留塔で塔頂留分と塔底留分とに分離され、塔頂留分は蒸留塔留出ラインから加熱器を通じて膜分離装置に供給され、塔底留分は15から抜き出され、第2の蒸留塔16でメタノールと水に分離される。水は水抜き出しライン19から抜き出され、メタノールはメタノール回収ライン18から凝縮器17を介して、製品として抜き出される。以下、比較例及び実施例により本発明をさらに具体的に説明する。 比較例1 酢酸メチル81.6wt%、メタノール17.2wt%及び水1.2wt%からなる共沸混合物の蒸気1000重量部を32段の棚段塔からなる蒸留塔1に供給し、抽出水747重量部を使用して還流比0.6で抽出蒸留を行った。蒸留塔1の塔頂温度は58℃であり、塔頂から留出する酢酸メチル95.6wt%、メタノール0.2wt%及び水4.2wt%からなる液体混合物854重量部は加水分解して酢酸及びメタノールとして回収した。 蒸留塔1の塔底から95℃のメタノール19.0wt%及び水81.0wt%からなる液体混合物893重量部を抜出し、60段の棚段塔からなる蒸留塔2に供給し、蒸留塔2を還流比2.0、塔頂圧力1.0atm、塔頂温度64.0℃、塔底温度106℃に保って運転したところ、塔頂より99.9wt%のメタノール170重量部が得られ、塔底から8000ppmのメタノールを含む106℃の水729重量部を得た。 実施例1 図1のフローに従って、比較例1で使用したものと同じ共沸混合物の蒸気1000重量部と、後述する膜透過成分217重量部とを併せ、32段の棚段塔からなる第1の蒸留塔に供給した。 第1の蒸留塔の還流比を0.17、塔頂温度を54.0℃、塔底温度を70.0℃に保って運転したところ、塔頂から酢酸メチル79.7wt%、メタノール19.2wt%及び水1.1wt%からなる液体混合物1044重量部が得られ、塔底から酢酸メチル0.1wt%、メタノール94.6wt%及び水5.3wt%からなる液体混合物173重量部が得られた。 塔頂から得られた液体混合物を130℃、1.0MPaに保った多管式加熱器(伝熱面積:0.02m2/供給原液kg)に供給し、発生した蒸気173重量部をゼオライト系Y型膜(直径12mm、長さ800mmの管状セラミックの外表面にゼオライトを5〜6μmの厚さに塗布したもの)を0.08m2/供給メタノールkgとなるように設置した膜分離装置に供給した。 膜透過成分は真空ポンプにより390Torrの圧力に保ち、メタノールの分圧が390Torrより低くなる領域から、膜透過成分はブースターポンプと真空ポンプを稼動し、減圧ラインを200Torr、ブースターポンプ出側の圧力を390Torrに保ち、得られた膜透過成分は第1の蒸留塔にリサイクルした。390Torrの圧力におけるメタノールの露点は49℃、酢酸メチルの露点は40℃であり、冷却水での冷却が可能であった。 一方、膜を透過しなかった成分は酢酸メチル98.7wt%、メタノール0.9wt%及び水0.3wt%からなる混合蒸気827重量部であり、これを第1と第2の蒸留塔のリボイラに吹き込み第1と第2の蒸留塔の熱源に使用した。 蒸留と膜を組み合わせた本発明の分離方法によれば、水を大量に使用して抽出蒸留を行う比較例1に比べて排水量は99%減、スチーム使用量は42%減であった。膜面積は後述する比較例2の1/2の大きさであった。 実施例2 膜分離装置に供給する蒸気の圧力を1.2MPa、温度を145℃とする以外は実施例1と同様にして水を含む酢酸メチル/メタノール共沸混合物の分離を行ったところ、排水量は比較例1の99%減、スチーム使用量は比較例1の44%減であった。膜面積は後述する比較例2の1/3の大きさであった。 実施例3 膜分離装置に供給する蒸気の圧力を1.4MPa、温度を160℃とする以外は実施例1と同様にして水を含む酢酸メチル/メタノール共沸混合物の分離を行ったところ、排水量は比較例1の99%減、スチーム使用量は比較例1の45%減であった。膜面積は後述する比較例2の1/4の大きさであった。 比較例2 酢酸メチル/メタノール蒸気を0.47MPaに加圧し、120℃で膜分離装置に供給する以外は実施例1と同様にしてメタノールを回収した。スチーム使用量は比較例1の25%減であった。 比較例3 膜分離装置に供給する蒸気の圧力を0.40MPa、温度を110℃とする以外は比較例2と同様にして水を含む酢酸メチル/メタノール共沸混合物の分離を行ったところ、スチーム使用量は比較例1の23%減であった。 実施例4 膜分離装置に供給する蒸気の圧力を1.9MPa、温度を180℃とする以外は実施例1と同様にして水を含む酢酸メチル/メタノール共沸混合物の分離を行ったところ、排水量は比較例1の99%減、スチーム使用量は比較例1の38%減であったが、膜性能は低下する傾向を示した。 本発明のアルコールの回収方法によれば、アルコールとそのエステルを含む有機液体混合物から効率よくアルコールを回収することができるので工業的に有用であり、ポバールなどの製造工程で副生する酢酸メチルとメタノールを主成分とする液体混合物から低エネルギーでメタノールを回収することができる。本発明のアルコールの回収方法のフローを示す概念図の一例である。符号の説明1 第1の蒸留塔2 原料供給ライン3 膜透過成分リサイクルライン4 凝縮器5 加熱器6 リボイラ7 リボイラ8 廃棄ライン9 膜分離装置10 膜非透過成分11 膜透過成分12 真空ポンプ13 冷却器14 リボイラ15 メタノール水溶液供給ライン16 第2の蒸留塔17 凝縮器18 メタノール回収ライン19 水抜き出しラインアルコールとそのエステルを含む液体混合物から膜を用いてアルコールを回収する方法において、アルコールとそのエステルを含む分離不能又は分離困難な組成の蒸気を0.47MPaを越える圧力で、かつ120℃を越える温度でゼオライト系膜を装填した膜分離装置に供給し、膜非透過物の有する熱を回収することを特徴とするアルコールの回収方法。該エステルがカルボン酸のアルキルエステルである請求項1記載のアルコールの回収方法。該カルボン酸が酢酸である請求項2記載のアルコールの回収方法。該アルコールがメタノールである請求項1〜3いずれかに記載のアルコールの回収方法。 該ゼオライト系膜がY型ゼオライト膜である請求項1〜4いずれかに記載のアルコールの回収方法。 膜非透過物の有する熱を蒸留塔で回収する請求項1〜5いずれかに記載のアルコールの回収方法。 【課題】 アルコールとそのエステルを含む液体混合物から効率的にアルコールを回収すること。【解決手段】 アルコールとそのエステルを含む液体混合物から膜を用いてアルコールを回収する方法において、アルコールとそのエステルを含む分離不能又は分離困難な組成の蒸気を0.47MPaを越える圧力で、かつ120℃を越える温度でゼオライト系膜を装填した膜分離装置に供給し、膜非透過物の有する熱を回収することによって上記課題を解決する。【選択図】 図1


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る

特許公報(B2)_アルコールの回収方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_アルコールの回収方法
出願番号:2005129756
年次:2012
IPC分類:C07C 29/76,C07C 31/04,B01D 3/36,B01D 53/22,B01D 71/02


特許情報キャッシュ

星野 俊一 渡辺 和則 松下 仁美 JP 4942945 特許公報(B2) 20120309 2005129756 20050427 アルコールの回収方法 株式会社クラレ 000001085 星野 俊一 渡辺 和則 松下 仁美 20120530 C07C 29/76 20060101AFI20120510BHJP C07C 31/04 20060101ALI20120510BHJP B01D 3/36 20060101ALI20120510BHJP B01D 53/22 20060101ALI20120510BHJP B01D 71/02 20060101ALI20120510BHJP JPC07C29/76C07C31/04B01D3/36B01D53/22B01D71/02 500 C07C 29/76 C07C 31/04 特開平04−016213(JP,A) 特開平08−257301(JP,A) 国際公開第2004/073841(WO,A1) 特開平07−227517(JP,A) 6 2006306762 20061109 9 20080221 安田 周史 本発明はアルコールの回収方法に関する。さらに詳しくは、アルコールとそのエステルを含む分離不能又は分離困難な組成の蒸気を0.47MPaを越える圧力で、かつ120℃を越える温度でゼオライト系膜を装填した膜分離装置に供給し、膜非透過物の有する熱を回収することによって効率よくアルコールを回収することが可能なアルコールの回収方法に関する。 有機液体混合物を各構成成分に分離する場合、従来から蒸留法が多く採用されているが、有機液体混合物が共沸混合物を形成する場合、通常の蒸留法によっては共沸組成以上に分離することは不可能である。このような共沸混合物を蒸留で分離する方法として抽出蒸留法がある。 抽出蒸留は、第3成分である添加剤を加えることにより、液−液抽出の効果と蒸留の効果を利用して各構成成分に分離する操作である。この方法において使用される添加剤は比較的不揮発性であり、原液中の主な構成成分とは共沸混合物を形成せず、添加することにより分離すべき成分の相対揮発度が増大して分離が容易になる。 この応用例としては、例えば、添加剤としてアセトンを用いてn−ブタンからブテン−2を分離する例、添加剤としてエチルセロソルブを用いてエチルベンゼンからスチレンを分離する例などが知られているが、添加剤として水を用いて酢酸メチル/メタノール系の共沸混合物からメタノールを分離回収する例もよく知られている。 酢酸メチル/メタノール系共沸混合物の共沸組成は常圧で酢酸メチル80.5wt%、メタノール19.5wt%である。通常の蒸留ではこれ以上の組成に分離することはできないが、系を常圧から減圧にすると共沸組成における酢酸メチルの組成がさらに大きくなり分離が容易になる。かかる観点から、酢酸メチル/メタノール系共沸混合物を減圧蒸留することによって各構成成分に分離する方法が提案されている(特許文献1)。特公平4ー25257号公報 特許文献1には400Torrの圧力で減圧蒸留する例が示されているが、このような比較的沸点が低い系について減圧蒸留を実施すると、蒸留塔塔頂から留出する酢酸メチルは極めて低温になるため、酢酸メチルの蒸気を冷却することにかなりの困難を生じ、エネルギー的な観点から必ずしも工業的に推奨される方法であるとは言えない。 近年、浸透気化法、蒸気透過法といった膜分離方法が開発され、蒸留と組み合わせてエネルギー効率を考慮した液体混合物の分離方法が提案されている。例えば、蒸留塔塔頂留出物の蒸気を膜分離装置に導入し、膜透過蒸気は蒸留塔へ循環し、膜非透過蒸気は蒸留塔塔底液と熱交換する例がエタノール水溶液について開示されている(特許文献2)。特開平7−227517号公報 特許文献2において、使用される気体分離膜としては、高沸点成分を優先的に透過する膜であればとくに限定されないと記載されているが、実施例でどのような膜が使用されたか明らかでない。明細書に具体的に例示されている膜は、ポリビニルアルコール膜、シリコンゴム膜、ポリイミド膜などであるが、これらの膜を使用してアルコールとそのエステルを含む液体混合物の分離を工業的に実施し得るかどうかは不明である。 これまで膜分離法が工業的に実施されていない主たる原因は、工業的実施に適した分離性能及び耐久性に優れた膜が開発されていないことにあるが、上記したポリビニルアルコール膜、ポリイミド膜などはかかる観点から必ずしも充分満足できる膜であるとはいえない。 一方、近年、耐熱性、耐溶剤性などに優れる膜としてゼオライト系膜が注目されており、例えば、Y型ゼオライト膜がアルコール透過性に優れることに着目して、メタノール水溶液、エタノール水溶液、メタノール/ベンゼン、エタノール/ベンゼン、エタノール/シクロヘキサンなどに適用した例が開示されている(特許文献3)。特許第3537908号公報 共沸混合物を蒸留のみ、あるいは膜のみを使用して分離を行うよりはこれらを組み合わせて分離する方がはるかに効率的であるが、特許文献3には単にアルコール含有有機液体混合物を浸透気化法によって膜分離することが開示されているに止まり、アルコールとそのエステルを含む液体混合物からアルコールを回収することについては勿論、アルコールとそのエステルを含む分離不能又は分離困難な組成の蒸気を特定の圧力や温度で膜に供給することや膜非透過物の有する熱を回収することによって効率よくアルコールを製造することについては何ら教示されていない。 蒸留や膜を使用して共沸混合物などの有機液体混合物を分離する方法としては、特許文献2のように、水の透過性に優れる膜を使用し、蒸留塔塔頂留出物であるアルコール水溶液の蒸気をそのまま膜分離装置へ供給する蒸気透過法を採用するのがエネルギー的に有利であると考えられる。 しかしながら、アルコールとそのエステルを含む液体混合物についてもさらに効率よく分離することができれば工業的に有利なプロセスを構築することができるが、アルコールとそのエステルを含む液体混合物を効率的に膜分離することは勿論、特定の条件下で効率よく膜分離することはこれまで殆ど検討された例はない。したがって、本発明の目的は、アルコールとそのエステルを含む液体混合物から膜を用いてアルコールを効率的に回収するアルコールの回収方法を提供することにある。 本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、アルコールとそのエステルを含む液体混合物からアルコールを回収する場合、通常蒸留分離する際には不利となる加圧下での分離を行い、分離膜として好ましくはY型ゼオライト膜を使用し、特定の条件下で膜分離を行い、膜非透過物の有する熱を回収すれば、意外にも効率よくアルコールを回収できることを見出し本発明に至った。 すなわち本発明は、アルコールとそのエステルを含む液体混合物から膜を用いてアルコールを回収する方法において、アルコールとそのエステルを含む分離不能又は分離困難な組成の蒸気を0.47MPaを越える圧力で、かつ120℃を越える温度でゼオライト系膜を装填した膜分離装置に供給し、膜非透過物の有する熱を回収することを特徴とするアルコールの回収方法である。 本発明によれば、アルコールとそのエステルを含む液体混合物から膜を用いてアルコールを回収する方法において、アルコールとそのエステルを含む分離不能又は分離困難な組成の蒸気を0.47MPaを越える圧力で、かつ120℃を越える温度でゼオライト系膜を装填した膜分離装置に供給し、膜非透過物の有する熱を回収することによって工業的に有利にアルコールを回収することができる。 本発明において用いられるアルコールとそのエステルを含む液体混合物としては、例えば、酢酸メチル/メタノール、酢酸エチル/メタノール、酢酸エチル/エタノール、酢酸イソプロピル/メタノール、酢酸メチル/エタノール、酢酸エチル/エタノール、酢酸イソプロピル/エタノールなどを挙げることができる。 エステルとしては、カルボン酸のアルキルエステルが、本発明の効果の発現が大きく好ましい。カルボン酸としては酢酸が好ましい。アルコールとしてはメタノールが好ましい。したがって、アルコールとそのエステルを含む液体混合物としては、酢酸メチル/メタノールを主成分とする液体混合物が最も好ましい。 アルコールとそのエステルを含む液体混合物には水など他の成分を含むことは何ら差し支えない。このようなアルコールとそのエステルを含む液体混合物はポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する)の製造工程で副生するので本発明のアルコールの回収方法はこのようなPVAの製造工程で副生するメタノールと酢酸メチルを含む液体混合物に好ましく適用することができる。 本発明に使用するゼオライト系膜を構成するゼオライトは、ケイ素とアルミニウム、ナトリウム、酸素を主な組成とするケイ酸塩鉱物でこれらの元素が3次元的に組み合わされ1nm未満の微細孔が規則的に配列した網目状の結晶構造となっており、A型、C型、D型、G型、L型、R型、S型、T型、W型、X型、Y型、MFI型(ZSM−5)及びΩ型など各種知られているが、本発明のように、アルコールとそのエステルを含む液体混合物に対してはY型ゼオライト膜が分離効果及び耐久性の点で好ましく使用される。 Y型ゼオライト膜は、出発原料としてシリカ源に水ガラス、アルミニウム源にアルミン酸ナトリウムを用い、原料をH2O/Na2O=45、Na2O/SiO2=0.88、SiO2/Al2O3=25の組成比に調製して室温(20℃)でシリカ源とアルミニウム源を混合、攪拌して白色のアルミノシリケートゲルを得、室温(25℃)で24時間エージングを行って得ることができる。 ゼオライト結晶は円筒状のセラミックス多孔質管(外径12mm、内径9mm、平均細孔径1.3μm)の支持体に析出させてY型ゼオライト膜とすることができる。 本発明において、アルコールとそのエステルを含む液体混合物は蒸気の状態で膜分離に付されるが、アルコールとそのエステルを含む液体混合物は通常分離不能又は分離困難な組成となる。分離不能の組成とは、具体的には共沸混合物を形成している組成であり、分離困難な組成とは、厳密には共沸組成ではないが、気液平衡線図がとくに低沸点側において対角線に近接した接線共沸を呈している組成をいう。蒸発器などから発生する蒸気の場合は必ずしも厳密な意味での共沸混合物は形成されていないが、このような共沸組成に近似した組成も分離困難な組成に含まれる。 本発明の最大の特徴は、このような、分離不能又は分離困難な状態のアルコールとそのエステルを含む蒸気を0.47MPaを越える圧力で、かつ120℃を越える温度でゼオライト系膜により膜分離を実施することにある。すなわち、本発明のポイントは、このような特定の条件下に膜分離を行えば、アルコールとそのエステルを含む液体混合物から、極めて少ない消費エネルギーでアルコールを回収することができることを見出した点にある。アルコールとそのエステルを含む液体混合物の蒸気を0.47MPaを越える圧力で、かつ120℃を越える温度で膜分離に付すことにより、膜面積を小さくすることができるのも本発明のメリットである。 アルコールとそのエステルを含む液体混合物の蒸気は、上述した蒸留塔の他、蒸発器、ブースターポンプなどから発生する蒸気が使用される。蒸気を加圧するには、蒸留塔を加圧して塔頂から発生する蒸気を使用してもよく、膜分離装置を加圧してもよい。 温度と圧力は、あまり低すぎると膜非透過物の有する熱を効率よく回収することができず、また圧力があまり高すぎるとエネルギーの使用量を増加させ、温度があまり高すぎると膜性能の低下が起こり易くなるため、本発明においては好ましくは0.8〜1.6MPaの圧力で、かつ130〜160℃の温度で、ゼオライト膜を装填した膜分離装置に供給する。本発明のアルコールの回収方法においては、かかる条件下に実施することによりエネルギー的に顕著な効果が発揮される。 膜透過側の成分はアルコールに富む成分であり、別途蒸留などを実施してアルコールを濃縮する。また、膜非透過側の成分はエステルを主成分とする成分であり、該成分が有する熱を好ましくは蒸留塔又は蒸発器で回収する。 次に、本発明で用いるアルコールとそのエステルを含む液体混合物として酢酸メチル/メタノールを主成分とする液体混合物を使用し、該液体混合物についてゼオライト系膜を用いて膜分離を行い、膜非透過物が有する熱を蒸留塔で回収する例について図1を用いて具体的に説明する。 図1において、酢酸メチル/メタノールを主成分とする液体混合物は原料供給ライン2から第1の蒸留塔1へ供給され、蒸留塔塔頂留出物を加熱器5で0.47MPaを越える圧力で、かつ120℃を越える温度で膜分離装置9へ供給する。加熱器は通常多管式の蒸発器が使用される。8は酢酸メチル/メタノールを主成分とする液体混合物に含まれる高沸物などを適宜廃棄するための廃棄ラインである。 膜分離装置には前述したゼオライト系膜が装填され、酢酸メチル/メタノールを主成分とする蒸気が分離に付される。膜透過側は凝縮器13を介して真空ポンプ13により所定の真空度に維持される。膜分離装置における圧力と温度は、0.47MPaを越える圧力で、かつ120℃を越える温度で実施する必要がある。膜分離装置は必要に応じて多段で使用してもよい。 膜透過側の圧力は通常1〜2Torr程度で実施されることが多いが、本発明においては390Torr以上とする方が膜透過蒸気の凝縮に要するエネルギーが小さくなり、また膜透過側蒸気が有する熱を回収し易くなるので好ましい。膜透過側が有する熱は適宜熱交換することによって回収することができる。 膜透過成分はメタノールに富む成分であり、膜透過成分供給ライン3から第1の蒸留塔へ供給される。一方、膜非透過側は酢酸メチルに富む成分であり、膜非透過成分供給ライン10から抜き出され、保有する熱量を蒸留塔で回収する。 第1の蒸留塔へ供給されたメタノールに富む成分は蒸留塔で塔頂留分と塔底留分とに分離され、塔頂留分は蒸留塔留出ラインから加熱器を通じて膜分離装置に供給され、塔底留分は15から抜き出され、第2の蒸留塔16でメタノールと水に分離される。水は水抜き出しライン19から抜き出され、メタノールはメタノール回収ライン18から凝縮器17を介して、製品として抜き出される。以下、比較例及び実施例により本発明をさらに具体的に説明する。 比較例1 酢酸メチル81.6wt%、メタノール17.2wt%及び水1.2wt%からなる共沸混合物の蒸気1000重量部を32段の棚段塔からなる蒸留塔1に供給し、抽出水747重量部を使用して還流比0.6で抽出蒸留を行った。蒸留塔1の塔頂温度は58℃であり、塔頂から留出する酢酸メチル95.6wt%、メタノール0.2wt%及び水4.2wt%からなる液体混合物854重量部は加水分解して酢酸及びメタノールとして回収した。 蒸留塔1の塔底から95℃のメタノール19.0wt%及び水81.0wt%からなる液体混合物893重量部を抜出し、60段の棚段塔からなる蒸留塔2に供給し、蒸留塔2を還流比2.0、塔頂圧力1.0atm、塔頂温度64.0℃、塔底温度106℃に保って運転したところ、塔頂より99.9wt%のメタノール170重量部が得られ、塔底から8000ppmのメタノールを含む106℃の水729重量部を得た。 実施例1 図1のフローに従って、比較例1で使用したものと同じ共沸混合物の蒸気1000重量部と、後述する膜透過成分217重量部とを併せ、32段の棚段塔からなる第1の蒸留塔に供給した。 第1の蒸留塔の還流比を0.17、塔頂温度を54.0℃、塔底温度を70.0℃に保って運転したところ、塔頂から酢酸メチル79.7wt%、メタノール19.2wt%及び水1.1wt%からなる液体混合物1044重量部が得られ、塔底から酢酸メチル0.1wt%、メタノール94.6wt%及び水5.3wt%からなる液体混合物173重量部が得られた。 塔頂から得られた液体混合物を130℃、1.0MPaに保った多管式加熱器(伝熱面積:0.02m2/供給原液kg)に供給し、発生した蒸気173重量部をゼオライト系Y型膜(直径12mm、長さ800mmの管状セラミックの外表面にゼオライトを5〜6μmの厚さに塗布したもの)を0.08m2/供給メタノールkgとなるように設置した膜分離装置に供給した。 膜透過成分は真空ポンプにより390Torrの圧力に保ち、メタノールの分圧が390Torrより低くなる領域から、膜透過成分はブースターポンプと真空ポンプを稼動し、減圧ラインを200Torr、ブースターポンプ出側の圧力を390Torrに保ち、得られた膜透過成分は第1の蒸留塔にリサイクルした。390Torrの圧力におけるメタノールの露点は49℃、酢酸メチルの露点は40℃であり、冷却水での冷却が可能であった。 一方、膜を透過しなかった成分は酢酸メチル98.7wt%、メタノール0.9wt%及び水0.3wt%からなる混合蒸気827重量部であり、これを第1と第2の蒸留塔のリボイラに吹き込み第1と第2の蒸留塔の熱源に使用した。 蒸留と膜を組み合わせた本発明の分離方法によれば、水を大量に使用して抽出蒸留を行う比較例1に比べて排水量は99%減、スチーム使用量は42%減であった。膜面積は後述する比較例2の1/2の大きさであった。 実施例2 膜分離装置に供給する蒸気の圧力を1.2MPa、温度を145℃とする以外は実施例1と同様にして水を含む酢酸メチル/メタノール共沸混合物の分離を行ったところ、排水量は比較例1の99%減、スチーム使用量は比較例1の44%減であった。膜面積は後述する比較例2の1/3の大きさであった。 実施例3 膜分離装置に供給する蒸気の圧力を1.4MPa、温度を160℃とする以外は実施例1と同様にして水を含む酢酸メチル/メタノール共沸混合物の分離を行ったところ、排水量は比較例1の99%減、スチーム使用量は比較例1の45%減であった。膜面積は後述する比較例2の1/4の大きさであった。 比較例2 酢酸メチル/メタノール蒸気を0.47MPaに加圧し、120℃で膜分離装置に供給する以外は実施例1と同様にしてメタノールを回収した。スチーム使用量は比較例1の25%減であった。 比較例3 膜分離装置に供給する蒸気の圧力を0.40MPa、温度を110℃とする以外は比較例2と同様にして水を含む酢酸メチル/メタノール共沸混合物の分離を行ったところ、スチーム使用量は比較例1の23%減であった。 実施例4 膜分離装置に供給する蒸気の圧力を1.9MPa、温度を180℃とする以外は実施例1と同様にして水を含む酢酸メチル/メタノール共沸混合物の分離を行ったところ、排水量は比較例1の99%減、スチーム使用量は比較例1の38%減であったが、膜性能は低下する傾向を示した。 本発明のアルコールの回収方法によれば、アルコールとそのエステルを含む有機液体混合物から効率よくアルコールを回収することができるので工業的に有用であり、ポバールなどの製造工程で副生する酢酸メチルとメタノールを主成分とする液体混合物から低エネルギーでメタノールを回収することができる。本発明のアルコールの回収方法のフローを示す概念図の一例である。符号の説明1 第1の蒸留塔2 原料供給ライン3 膜透過成分リサイクルライン4 凝縮器5 加熱器6 リボイラ7 リボイラ8 廃棄ライン9 膜分離装置10 膜非透過成分11 膜透過成分12 真空ポンプ13 冷却器14 リボイラ15 メタノール水溶液供給ライン16 第2の蒸留塔17 凝縮器18 メタノール回収ライン19 水抜き出しラインアルコールとそのエステルを含む液体混合物から膜を用いてアルコールを回収する方法において、アルコールとそのエステルを含む分離不能又は分離困難な組成の蒸気を0.47MPaを越える圧力で、かつ120℃を越える温度でゼオライト系膜を装填した膜分離装置に供給し、膜非透過物の有する熱を回収することを特徴とするアルコールの回収方法。該エステルがカルボン酸のアルキルエステルである請求項1記載のアルコールの回収方法。該カルボン酸が酢酸である請求項2記載のアルコールの回収方法。該アルコールがメタノールである請求項1〜3いずれかに記載のアルコールの回収方法。 該ゼオライト系膜がY型ゼオライト膜である請求項1〜4いずれかに記載のアルコールの回収方法。 膜非透過物の有する熱を蒸留塔で回収する請求項1〜5いずれかに記載のアルコールの回収方法。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る