生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_点眼用液剤
出願番号:2005121857
年次:2011
IPC分類:A61K 31/737,A61K 9/08,A61K 31/4402,A61K 31/704,A61K 31/198,A61P 27/02,A61P 29/00,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

長濱 徹 大内 順子 JP 4806956 特許公報(B2) 20110826 2005121857 20050420 点眼用液剤 大正製薬株式会社 000002819 長濱 徹 大内 順子 JP 2004124352 20040420 20111102 A61K 31/737 20060101AFI20111013BHJP A61K 9/08 20060101ALI20111013BHJP A61K 31/4402 20060101ALI20111013BHJP A61K 31/704 20060101ALI20111013BHJP A61K 31/198 20060101ALI20111013BHJP A61P 27/02 20060101ALI20111013BHJP A61P 29/00 20060101ALI20111013BHJP A61P 43/00 20060101ALI20111013BHJP JPA61K31/737A61K9/08A61K31/4402A61K31/704A61K31/198A61P27/02A61P29/00A61P43/00 113 A61K 31/00−33/44 A61K 9/08−9/72 A61K 38/00−49/22 CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開2004−352666(JP,A) 特開2002−003364(JP,A) 特開2004−149526(JP,A) 特開2003−183157(JP,A) 5 2005330271 20051202 6 20080410 吉田 佳代子 本発明は点眼用液剤に関し、さらに詳しくは防腐剤、界面活性剤を配合しなくても安定に保存できる点眼用液剤に関する。 点眼剤は、眼に直接投与する形態の薬剤であるため、その安全性や使用感は非常に重要である。 点眼剤は無菌製剤であり、従来から2次汚染防止のために防腐剤を使用して防腐性を確保してきた。しかし、点眼剤に配合される防腐剤や界面活性剤がソフトコンタクトレンズに吸着しやすいことから、ソフトコンタクトレンズ使用者に対する点眼剤の使用は大幅に制限されたものであった。さらに、点眼剤に防腐剤の配合を嫌う使用者もいることから、防腐剤無配合の点眼剤が望まれる傾向にある。 そのような問題点を解決するため、最近は一回使い切りのユニットドーズ型点眼剤が市販されている。これは防腐剤を必要とせず、また使い切りのため開封後の雑菌やカビの繁殖の問題がないという利点がある。さらに携帯性に優れるという利便性も有している。 それらのユニットドーズ型点眼剤は、防腐剤を配合しなくても品質保持が可能なことから眼障害を発生しにくい効果が期待できる反面、有効成分、溶解補助剤などが容器に吸着してしまうことから、配合できる成分は限られたものだけであった。特にマレイン酸クロルフェニラミンなどの塩基性薬物は容器に吸着しやすいためユニットドーズ型容器には配合が困難であった。 従来、コンドロイチン硫酸塩類、グリチルリチン酸塩類、第4級アンモニウム性陽イオンおよび非イオン界面活性剤を同時に配合し、白濁を解消した技術が開示されている(特許文献1)。特開平1−224321号 本発明者らは有効成分を配合したユニットドーズ型点眼剤の検討過程で、配合成分に角膜保護作用のあるコンドロイチン硫酸塩類、抗炎症作用のあるグリチルリチン酸塩類を同時配合した製剤の製造を試みた。しかしながら、そこに塩基性薬物を配合すると、そのときの液性が中性〜アルカリ性の領域であると塩基性薬物がポリエチレン製の容器に吸着してしまうことがわかった。一方、液性を酸性領域にすると、コンドロイチン硫酸塩類およびグリチルリチン酸塩類由来の沈殿が析出してしまうことがわかった。 ここで、液剤において沈殿物が析出する場合には、界面活性剤を配合して沈殿物を溶解する方法が一般的である。しかしながら、酸性領域でコンドロイチン硫酸塩類およびグリチルリチン酸塩類を同時配合した系に界面活性剤を配合すると、経時的に着色してしまい商品性の低下を招くことがわかった。さらに、そこに塩基性薬物を配合した場合、界面活性剤はそれらの成分の容器への吸着も促進することがわかった。 本発明は、酸性領域でコンドロイチン硫酸塩類およびグリチルリチン酸塩類を同時配合した系で安定な点眼剤を提供することを目的とする。 本発明者らは課題を解決するために検討した結果、界面活性剤、防腐剤を実質的に配合しない酸性領域の点眼用液剤に、コンドロイチン硫酸塩類およびグリチルリチン酸塩類を配合したなかに、さらにエデト酸塩類を配合すると、沈殿が析出せず、経時的な着色も抑制でき、塩基性薬物などの有効成分の容器への吸着も促進しない安定な点眼剤が得られることを見出し本発明を完成した。 すなわち本発明は、1.コンドロイチン硫酸塩類、グリチルリチン酸塩類およびエデト酸塩類を配合し、界面活性剤および防腐剤を実質的に配合せず、pHが5〜6.5である点眼用液剤。2.ポリエチレン製の容器に封入したことを特徴とする1に記載の点眼用液剤。3.ユニットドーズ型容器に封入したことを特徴とする1に記載の点眼用液剤。4.さらに塩基性薬物を配合したことを特徴とする1〜3に記載の点眼用液剤。5.塩基性薬物がマレイン酸クロルフェニラミンである4記載の点眼用液剤。である。 本発明において、好ましいコンドロイチン硫酸塩類として、コンドロイチン硫酸ナトリウムをあげることができる。 本発明において、コンドロイチン硫酸塩類の配合量は製剤全体の0.005〜1(w/v)%である。 本発明でグリチルリチン酸塩類とは、薬効成分として点眼剤に配合できる成分を用いることができ、好ましいものとしてグリチルリチン酸ジカリウムをあげることができる。 グリチルリチン酸塩類の配合量は製剤全体の0.005〜0.5(w/v)%である。 本発明においてエデト酸塩類とはキレート剤、酸化防止剤などとして一般的に使われるエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(エデト酸二ナトリウム)、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウムなどを使用することができるが、好ましいものとしてエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムをあげることができる。 本発明においてエデト酸塩類の配合量は、0.001〜0.15(w/v)%が好ましい。0.001(w/v)%未満であると、沈殿防止の効果が不十分であるからである。 本発明では界面活性剤および防腐剤を実質的に配合しないことを特徴とする。それらの成分は、ソフトコンタクトレンズに吸着し、眼障害に発展するおそれがあるからである。したがって、本発明の点眼剤はソフトコンタクトレンズ使用者に特に好適に用いることができるが、その他の使用者に対しても、より眼障害の危険性が少ない点眼剤として使用することができる。 本発明においては、界面活性剤または防腐剤を実質的に配合しないが、配合する原料に界面活性剤または防腐剤が含まれることにより、製剤中に極めて微量が混在してしまうような場合など、眼障害の危険性が極めて少ないものは実質的に配合しないものに包含される。 本発明では液剤のpHは5〜6.5の範囲である必要がある。6.5を超えると配合成分が容器に吸着してしまい、5未満であると点眼時に刺激が生じる可能性があるからである。 本発明の点眼用液剤は成分が吸着しやすいポリエチレン製の容器を用いるときに特に有効である。また、防腐剤を配合しないことから、液剤の品質保持のためユニットドーズ型の容器が特に好ましい。 本発明はさらに塩基性薬物などの成分を配合しても、それらの成分が容器に吸着しないという特徴も併せ持っている。ここで、本発明で好ましい効果が得られる塩基性薬物としてマレイン酸クロルフェニラミンをあげることができる。 本発明の点眼用液剤は本発明の効果を損なわない範囲で、通常点眼剤に配合される成分を配合して、通常の方法で製造することができる。 本発明により、酸性領域でコンドロイチン硫酸塩類およびグリチルリチン酸塩類を同時配合しても安定な点眼剤を提供することが可能になった。 以下、本発明を実施例および試験例によりさらに詳細に説明する。コンドロイチン硫酸ナトリウム 100mgグリチルリチン酸ジカリウム 250mgマレイン酸クロルフェニラミン 30mg塩酸テトラヒドロゾリン 50mgε-アミノカプロン酸 1000mgタウリン 1000mgエデト酸二ナトリウム 3mgホウ酸 500mgホウ砂 適量塩化ナトリウム 88.4mg精製水 適量 精製水に各成分を溶解し、ホウ砂でpH6.0に調整して、精製水で全量を100mLにした。得られた点眼液をポリエチレン製ユニットドーズ容器に0.5mL無菌充填した。この点眼液の浸透圧は282mOsmであった。比較例1コンドロイチン硫酸ナトリウム 100mgグリチルリチン酸ジカリウム 250mgマレイン酸クロルフェニラミン 30mg塩酸テトラヒドロゾリン 50mgε-アミノカプロン酸 1000mgタウリン 1000mgホウ酸 500mgホウ砂 適量塩化ナトリウム 88.4mg精製水 適量 精製水に各成分を溶解し、ホウ砂でpH6.0に調整して精製水で全量を100mLにした。点眼液をポリエチレン製ユニットドーズ容器に0.5mL無菌充填した。この点眼液の浸透圧は283mOsmであった。比較例2コンドロイチン硫酸ナトリウム 100mgグリチルリチン酸ジカリウム 250mgマレイン酸クロルフェニラミン 30mg塩酸テトラヒドロゾリン 50mgε-アミノカプロン酸 1000mgタウリン 1000mgポリソルベート80 100mg(商品名:ニッコールTO−10M)ホウ酸 500mgホウ砂 適量塩化ナトリウム 88.4mg精製水 適量 精製水に各成分を溶解し、ホウ砂でpH6.0に調整して全量を100mLにした。点眼液をポリエチレン製ユニットドーズ容器に0.5mL無菌充填した。この点眼液の浸透圧は282mOsmであった。試験例1 実施例1および比較例1、2の製剤を50℃で2ヶ月間保存後、目視により沈殿生成の有無を確認した。また、400nmでの吸光度測定による着色の評価、ポリエチレンに吸着しやすい塩基性薬物であるマレイン酸クロルフェニラミンの残存率をHPLC法により測定した。その結果を表1に示した。 表から明らかなように、エデト酸塩類を配合すると、着色の原因となる界面活性剤であるポリソルベート80を用いなくても沈殿は生成しないことがわかった。さらに、ポリエチレンに吸着しやすいマレイン酸クロルフェニラミンは、ポリソルベート80の添加により吸着が促進されるが、本発明組成物はこの吸着に影響しないこともわかった。 本発明により優れた薬効と高い安定性を併せ持った液剤を提供することが可能になったので、点眼剤に使用可能である。コンドロイチン硫酸塩類、グリチルリチン酸塩類およびエデト酸塩類を配合し、界面活性剤および防腐剤を実質的に配合せず、pHが5〜6.5である点眼用液剤。ポリエチレン製の容器に封入したことを特徴とする請求項1に記載の点眼用液剤。ユニットドーズ型容器に封入したことを特徴とする請求項1に記載の点眼用液剤。さらに塩基性薬物を配合したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の点眼用液剤。塩基性薬物がマレイン酸クロルフェニラミンである請求項4記載の点眼用液剤。


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