タイトル: | 公開特許公報(A)_シリコン単結晶ウェーハの品質評価方法 |
出願番号: | 2005098435 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | H01L 21/66,C30B 29/06,G01N 21/956 |
原田 邦仁 JP 2006278892 公開特許公報(A) 20061012 2005098435 20050330 シリコン単結晶ウェーハの品質評価方法 東芝セラミックス株式会社 000221122 鈴江 武彦 100058479 河野 哲 100091351 中村 誠 100088683 蔵田 昌俊 100108855 峰 隆司 100075672 福原 淑弘 100109830 村松 貞男 100084618 橋本 良郎 100092196 原田 邦仁 H01L 21/66 20060101AFI20060915BHJP C30B 29/06 20060101ALI20060915BHJP G01N 21/956 20060101ALN20060915BHJP JPH01L21/66 NC30B29/06 502ZG01N21/956 A 3 OL 7 2G051 4G077 4M106 2G051AA51 2G051AB06 2G051AB07 2G051AC11 2G051CA11 4G077AA02 4G077BA04 4G077CF10 4G077GA01 4G077GA05 4G077HA12 4M106AA01 4M106AA10 4M106BA12 4M106CB19 4M106DH44 この発明は、シリコンウェーハの品質評価方法に関する。 一般的に、シリコン単結晶ウェーハを製造する場合には、チョクラルスキー法によりシリコン単結晶を引上げるのが通例である。シリコン単結晶の引上げにおいては、引上速度Vと引上結晶−融液境界の温度勾配Gの比、V/Gによって点欠陥の種類および濃度が決定されることが知られている。 図3に、V/G値とシリコン単結晶インゴット中の点欠陥分布との関係を模式的に示した。同図に示すように、単結晶インゴットの引上速度を漸減していくとV/G値も減少していくが、これに伴って単結晶インゴット中の点欠陥分布も変化する。図3に示すように、引上結晶−融液境界の温度勾配Gの値は変化が少なくて、引上速度Vが大きいとき、すなわちV/Gが大きいと空孔過剰領域5が形成される。また、V/Gの値が低下していくと、前記空孔過剰領域5が消滅する臨界V/G値以下では、リングOSF(Ring Oxidation‐induced Stacking Fault)領域6が形成される。さらに、V/Gの値が低下していくと、空孔と格子間シリコン濃度の均衡により、無欠陥領域7が形成される。V/G値がさらに減少すると、格子間シリコン過剰領域8が形成され、格子間シリコンの凝集欠陥が生成する。 一方、シャローピットは、従来、表面汚染物質が熱処理プロセス中にバルクへ導入されて生じ、結晶欠陥の発生や電気的特性の劣化を引き起こしている。特に、Fe,Cu,Ni,Crに代表される遷移金属はバンドギャップ中に深い準位を形成し、キャリアの発生・再結合中心となり、接合リーク電流の発生要因となる。さらに、シャローピットは、表面や局所応力場に集中した後にシリサイトとして析出したり、酸素との親和力が強く酸化膜中に優先的に取り込まれたりする。そして、その挙動は汚染元素の種類によって多種多様である。 重金属不純物の固溶度は高温で高く、かつ温度により大きく変化する。また、拡散速度も速いが、固溶度と比べると温度依存性に乏しい。従って、重金属不純物は高温熱処理で過飽和となり、析出して表面欠陥を形成し易い(以下、これを汚染元素誘起欠陥という)。この析出欠陥は選択エッチングによりシャローピットとして観察される。 シリコン単結晶ウェーハの品質に関して要求される点は、製造プロセスの熱処理、洗浄などで必然的に導入される重金属汚染元素を表面活性層領域から除去するゲッタリング能力と、表面活性領域での結晶欠陥の低減である。そのためにシリコン半導体ウェーハの表面欠陥の正確な情報を得ることであり、これによって正確な収率管理を可能とし、さらにウェーハ製造に際しての欠陥の発生を抑制することが可能となるものであるが、従来はそのためのシリコン単結晶ウェーハの簡便な無欠陥領域の判定方法が存在しなかった。 従来の無欠陥領域の評価方法としては、Cuデコレーション法が主に用いられている。これはチョクラスキー法などで育成したシリコン単結晶をポリッシュドウェーハに加工した後、シリコン単結晶ウェーハ表面を1100℃から1200℃の間でスチーム酸化し、室温に冷却してからフッ酸で酸化膜を除去する。その後、これを水洗して硝酸銅5%溶液中に5分間浸漬し、次いで1000℃に保持した均熱炉中で熱拡散処理を施し、Cuをデコレートした後、X線トポグラフ法で評価する方法である(特許文献1)。また、このCuデコレーション法を改善したものとして、ここで用いる溶媒中の銅濃度を0.4〜3ppmの範囲に調節して半導体ウェーハを評価する方法もある(特許文献2)特開2001−81000号公報(特許請求の範囲)特開2002−83853号公報(特許請求の範囲) 前記の文献1の銅デコレーション法では、Cuでデコレーション処理するのに時間がかかる上に、X線ポトグラフ評価にも手間がかかるといった問題があった。また、この方法ではマクロ的な評価はできるが定量的な評価はできず、また格子間シリコン過剰領域内の品質を評価することも出来なかった。さらに、特許文献2の上記の銅デコレーション法を改良した方法にあっても、同じようにCuデコレーションに時間がかかるとともに、評価においても顕微鏡でウェーハをスキャーンして欠陥を観察するもので、目視によって簡単に評価できるものではなかった。 この発明は、シリコン単結晶ウェーハの表面を密度5〜10E10atom/cm2のFeで汚染し、酸素雰囲気で熱処理することによって、汚染元素誘起欠陥を発生させ、シリコン単結晶ウェーハの無欠陥領域を目視によって速やかに判定しようとするものである。 この発明は、シリコンウェーハの表面を密度5〜10E10atom/cm2のFeで汚染して、前記シリコンウェーハを熱処理炉内に投入し、900℃〜1200℃の温度で2時間以上保持する熱処理第1工程と、次に、500℃〜700℃の温度で2時間以上保持する熱処理第2工程とを有し、前記熱処理工程をドライ酸素雰囲気中で熱処理を行うことによりシリコン単結晶ウェーハの表面に汚染元素誘起欠陥を発生させて、シリコン単結晶の無欠陥領域を目視で判定することを特徴とするシリコン単結晶ウェーハの品質評価方法である(請求項1)。また、前記熱処理第1工程は、900℃〜1000℃の温度で1時間以上保持する工程と、1050℃〜1200℃の温度で1時間以上保持する工程とを含む2段階熱処理工程であることを特徴とする請求項1記載の単結晶ウェーハの品質評価方法である(請求項2)。また、前記熱処理第2工程は、500℃〜600℃の温度で1時間以上保持する工程と、600℃〜700℃の温度で1時間以上保持する工程とを含む2段階熱処理工程であることを特徴とする請求項1記載の単結晶ウェーハの品質評価方法である(請求項3)である。 この発明によると、シリコン単結晶の無欠陥領域を目視によって、速やかに精度よく判定することができるので、シリコン半導体ウェーハの表面欠陥の正確な情報を得て正確な収率管理を可能とし、さらにウェーハ製造に際しての欠陥の発生を抑制することが可能となって、歩留まりを一層向上することが可能となったものである。 以下に、この発明の一実施例を図面を参照して説明する。 この発明のシリコン単結晶ウェーハの品質評価方法は、シリコンウェーハの表面を密度5〜10E10atom/cm2のFeで汚染して、前記シリコンウェーハを熱処理炉内に投入し、900℃〜1200℃の温度で2時間以上保持する熱処理第1工程と、次に、500℃〜700℃の温度で2時間以上保持する熱処理第2工程とを有し、前記熱処理工程をドライ酸素雰囲気中で熱処理を行うことによりシリコン単結晶ウェーハの表面に汚染元素誘起欠陥を発生させて、シリコン単結晶の無欠陥領域を目視で判定するものである。 シリコン単結晶は、CZ法などでシリコン単結晶インゴットを育成し、これをスライスしてシリコンウェーハとする。このシリコンウェーハをフッ化水素酸と硝酸の混合液でスライスの際に発生する加工歪を除去する。その後よく水洗して過酸化水素とアンモニア水の混合液に漬け、さらに希フッ酸水に浸漬して十分に乾燥をさせる。 次に、シリコンウェーハ表面に、密度5〜10E10atom/cm2のFeで汚染をする。シリコンウェーハ表面にFeを汚染させる方法は特に限定されない。例えば、Feで汚染させた超純水にシリコンウェーハを浸漬する方法、又は、鉄で汚染された縦型ボート等の熱処理部材にシリコンウェーハを保持して熱処理を行う方法等で行えばよい。Fe密度が5E10atom/cm2未満では、重金属不純物による析出欠陥が十分に析出せず、またFe密度が10E10atom/cm2を超えると、重金属不純物による析出欠陥が多く析出されてしまい、無欠陥領域の判定を正しく行うことができない。 次に、Feで汚染させたシリコンウェーハを、熱処理炉、例えば、縦型熱処理炉に投入して熱処理を行う。シリコンウェーハを熱処理炉に投入する際には、熱処理炉は、500℃〜700℃の温度で保持されていることが好ましい。500℃未満だと、無欠陥領域の表面近傍にBMD等の別要因の欠陥が析出する恐れがあり、無欠陥領域の判定を正しく行うことができない。700℃を超えると、常温から高温への急激な温度変化により試験サンプルが割れる恐れがあり好ましくない。 熱処理炉投入後、ドライ酸素雰囲気で900℃〜1200℃の温度で2時間以上保持する(以下、これを熱処理第1工程という)。これにより、シリコンウェーハの表面に存在するFeを、ウェーハ内に拡散させて、ウェーハの表層に汚染元素誘起欠陥の核を形成させる。このときに汚染元素誘起欠陥が形成されるのはリングOSF領域であり、無欠陥領域はその表層に存在するBMDによりゲッタリングされるため、汚染元素誘起欠陥の核は形成されない。 次に、500℃〜700℃の温度で2時間以上保持する(以下、これを熱処理第2工程という)。これにより、Feのウェーハ表層への拡散を停止させて、その場で安定化させる。 その後、熱処理を行ったシリコンウェーハをフッ化水素酸水と硝酸水と酢酸の混合液に浸漬してから乾燥させて、その表面にスポットライトを当て目視し無欠陥領域を判定するものである。前記熱処理第1工程は、900℃〜1000℃の温度で1時間以上保持する工程と、1050℃〜1200℃の温度で1時間以上保持する工程とを含む2段階熱処理工程であることが好ましい。これにより、シリコンウェーハの表面に存在するFeを、ウェーハ内に2段階の拡散速度で拡散させるため、より、リングOSF領域において汚染元素誘起欠陥の核は生成しやすくなる。前記熱処理第2工程は、500℃〜600℃の温度で1時間以上保持する工程と、600℃〜700℃の温度で1時間以上保持する工程とを含む2段階熱処理工程これにより、よりFeのウェーハ表層への拡散を停止させて、その場で安定化させる。つまり、この発明は、ゲッタリング能力の乏しい無欠陥領域においては重金属汚染によりウェーハ表面に汚染元素誘起欠陥(シャローピット)が析出し、またゲッタリング能力がある無欠陥領域では重金属汚染元素が除去され、汚染元素誘起欠陥(シャローピット)は析出しない、という現象を利用してシリコン単結晶の無欠陥領域を判定するようにしたものである。そして、この発明によればシリコン単結晶の無欠陥領域を速やかに判定することができる。 (実施例1) チョクラスキー法(CZ法)で直径200mm〜225mmのシリコン単結晶インゴットを育成した。インゴットの育成に際しては、径24インチの石英ルツボにボロンをドープし、電気抵抗率が10.5Ωcmとなるように調整した。育成させたシリコン単結晶の成長方位は<100>である。また、シリコン単結晶を育成させる際に、無欠陥領域とその他の領域を混在させるために、引上速度Vと引上結晶−融液境界の温度勾配Gを制御して、育成速度を0.5〜0.05mm/minで育成した。 このように育成したシリコン単結晶から厚さ1mmのシリコンウェーハを切り出した。この切り出したシリコンウェーハを、フッ化水素酸と硝酸の混合液によって切断の際に生ずる歪を取り除き、さらに希フッ酸水に浸漬した後十分に乾燥させた。このシリコン単結晶ウェーハの表面を、鉄で汚染された縦型ボート等の熱処理部材にシリコンウェーハを保持して熱処理を行い、密度5〜10E10atom/cm2のFeで汚染した。その後これを900℃で3時間、1050℃で2時間、500℃で1時間、700℃で3時間、いずれもドライ酸素雰囲気中で熱処理を行なった。その後、このシリコン単結晶をフッ化水素酸水と硝酸水及び酢酸の混合酸に浸漬してから、これにスポットライトを当てて目視により観察したところ図1の符号1に示すような無欠陥領域が確認された。 これを銅デコレーション法と比較してみると、銅デコレーション法で無欠陥領域と判定される領域は、本発明の判定方法によると図2に示すように、汚染元素誘起欠陥(シャローピット)2が目視により観察された。また、銅デコレーション法によってベイカンシィ領域3であると判定された箇所には、汚染元素誘起欠陥は観察されなかった。目視によって観察されるシャローピットの模式図。ウェーハ上のシャローピットの模式図。V/Gとシリコン単結晶インゴット中の点欠陥部分との関係を模式的に示す説明図。符号の説明 1…ウェーハの無欠陥領域、2…シャローピット、3…ベイカンシイ領域、5…空孔過剰領域、6…リングOSF領域、7…無欠陥領域、8…格子間シリコン過剰領域。 シリコンウェーハの表面を密度5〜10E10atom/cm2のFeで汚染して、前記シリコンウェーハを熱処理炉内に投入し、900℃〜1200℃の温度で2時間以上保持する熱処理第1工程と、次に、500℃〜700℃の温度で2時間以上保持する熱処理第2工程とを有し、前記熱処理工程をドライ酸素雰囲気中で熱処理を行うことによりシリコン単結晶ウェーハの表面に汚染元素誘起欠陥を発生させて、シリコン単結晶の無欠陥領域を目視で判定することを特徴とするシリコン単結晶ウェーハの品質評価方法。 前記熱処理第1工程は、900℃〜1000℃の温度で1時間以上保持する工程と、1050℃〜1200℃の温度で1時間以上保持する工程とを含む2段階熱処理工程であることを特徴とする請求項1記載のシリコン単結晶ウェーハの品質評価方法。 前記熱処理第2工程は、500℃〜600℃の温度で1時間以上保持する工程と、600℃〜700℃の温度で1時間以上保持する工程とを含む2段階熱処理工程であることを特徴とする請求項1記載のシリコン単結晶ウェーハの品質評価方法。 【課題】シリコン単結晶ウェーハの無欠陥領域を目視により速やかに判定することができるシリコン単結晶ウェーハの品質評価方法を提供する。【解決手段】シリコンウェーハの表面を密度5〜10E10atom/cm2のFeで汚染して、前記シリコンウェーハを熱処理炉内に投入し、900℃〜1200℃の温度で2時間以上保持する熱処理第1工程と、次に、500℃〜700℃の温度で2時間以上保持する熱処理第2工程とを有し、前記熱処理工程をいずれもドライ酸素雰囲気中で熱処理を行うことによりシリコン単結晶ウェーハの表面に汚染元素誘起欠陥を発生させ、シリコン単結晶の無欠陥領域を目視で判定する。【選択図】なし