生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ニトロフミン酸塩配合微生物担体
出願番号:2005095237
年次:2006
IPC分類:C02F 3/10,C02F 3/08,C12N 11/08


特許情報キャッシュ

吉井 達也 市原 譲治 水野 金夫 JP 2006272171 公開特許公報(A) 20061012 2005095237 20050329 ニトロフミン酸塩配合微生物担体 デンカエンジニアリング株式会社 591010088 鈴木 定子 100078042 吉井 達也 市原 譲治 水野 金夫 C02F 3/10 20060101AFI20060915BHJP C02F 3/08 20060101ALI20060915BHJP C12N 11/08 20060101ALI20060915BHJP JPC02F3/10 ZC02F3/08 BC12N11/08 A 5 OL 7 4B033 4D003 4B033NA11 4B033NB13 4B033NB15 4B033NB34 4B033NB68 4B033NC12 4B033ND04 4B033ND20 4B033NE08 4D003AA12 4D003AB02 4D003DA18 4D003DA20 4D003EA01 4D003EA14 4D003EA19 4D003EA30 4D003EA38 4D003FA02 本発明は、流動床式排水処理に使用される、多くの連通気孔を有する硬質の排水処理用微生物担体において、付着する微生物の活性をより高めるために、硬質樹脂基材に若年炭を硝酸で分解した後、中和して得られたニトロフミン酸塩を配合したニトロフミン酸塩配合微生物担体に関する。 石炭は動植物の遺体が腐植物質となり、更に長い年月をかけて泥炭、亜炭、褐炭、歴青炭、半無煙炭、無煙炭と炭化していったものである。燃料として利用する場合には、炭化が進んだ無煙炭や半無煙炭が好ましく、亜炭、褐炭等の若年炭は品質の悪い石炭と言われていた。しかしながら、これらの若年炭は炭化が不充分な故に炭化の進行を逆行させれば腐植に戻り、カルボキシル基やアルコール性或いはフェノール性−OH基等の官能基を大量に有する腐植が得られることが判明した。 硝酸を作用させて比較的緩和な条件で若年炭を分解し、分解物を中和して得られるニトロフミン酸塩系資材は肥料として用いられている。一方、腐植は汚濁物質とも結合して汚水や汚泥の浄化にも使用され、特許文献1には、汚濁物質と反応して次第に消耗していく腐植質ペレットが開示されている。特許文献2には腐植を加熱加圧して乾燥し、化学的、物理的反応力を維持させつつ、泥寧化しないように特殊乾燥した排水処理剤が開示されている。更に、特許文献3には腐植質をイオン交換体に担持させて有害ガスを除去する方法が開示されている。 本出願人は特許文献4において、高密度ポリエチレン及び/又はポリプロピレンを主成分とし、ポリスチレンを配合した混合物を多数の連通気泡を有するように発泡成型し、負荷変動対応性を付与した微生物担体を開示した。 流動床式排水処理方法は、微生物が着床し易い担体を好気的的条件下で循環させ、効率的に排水を浄化する方法である。したがって、それに用いられる担体は微生物が着床し易いと共に、流動槽の撹拌、スクリーンや壁面との衝突等の物理的衝撃にも耐え得る強度を有することが要求される。しかも、水と均等に混合されることが好ましく、完全に水濡れした時の比重が0.95〜1.05であることが要求される。特開平11−169897号公報特開平10−277533号公報特開平11−314020号公報特開2001−180号公報 従来の腐植を排水処理に利用する技術は、腐植の有する活性基を利用して直接汚濁物質と腐植を反応させるものであった。或いは、イオン交換体に担持させて臭気物質を除去するものであった。これらの方法によれば腐植の活性基が使用し尽くされれば、その効果を失うことになる。ニトロフミン酸の活性基を消耗させれば、担体の有効性は活性基を消耗し終わるまでの期間に限定される。本発明者らはニトロフミン酸の活性基を消耗させずに、微生物の着床に有利に作用する方法を検討し、ニトロフミン酸の活性を維持しつつ活性な微生物の着床、死滅した微生物の脱離を円滑に進行させる微生物担体を模索した。 本発明は上記課題を解決することを目的とし、その構成は、高密度ポリエチレン及び/又はポリプロピレンを主成分とし、好ましくは、2〜10質量%のポリスチレンを配合した樹脂組成物に、樹脂組成物100質量部あたり1〜15質量部の、亜炭や褐炭等の若年炭を硝酸で分解した後、中和して得られたニトロフミン酸のマグネシウム塩、カルシウム塩、或いはナトリウム塩を配合して発泡成型して得られたた連通気泡を有する硬質熱可塑性樹脂発泡体からなるニトロフミン酸塩配合微生物担体である。 すなわち、本発明は排水の流動床式活性汚泥処理方法に使用される担体を提供するものである。樹脂組成物を溶融して発泡成型するにあたり、一定量のニトロフミン酸塩を配合する。その結果、ニトロフミン酸塩の有する活性基が露出し、微生物膜との親和性が向上して微生物の着床効果を促進する。しかも、ニトロフミン酸塩は樹脂中に配合されているため着床した微生物が死滅した場合には、ニトロフミン酸と離れて移動し、新しい生菌と結合する。したがって、本発明担体は流動床式排水処理において、長期にわたって使用しても消耗することなく排水処理効率を向上させる。 本発明により、排水処理効率を向上させると共に、長期にわたってその処理効率を維持するニトロフミン酸塩を配合した流動床式排水処理用の担体を提供することができる。 本発明において、ニトロフミン酸塩とは若年炭を緩徐な条件で、硝酸分解して得られた物質を言う。通称ニトロフミン酸と称するが、これは化学用語でいうニトロ基を有するフミン酸との意味ではなく、単に、硝酸で若年炭の炭化を逆行させたと言う意味である。赤褐色又は黒褐色の無定型物質で高分子の多塩基性有機酸である。得られるニトロフミン酸塩の量及び質は原料炭、硝酸処理条件により異なる。一般には、硝酸濃度は10〜25%であり、反応温度、60〜100℃、個/液比、0.3〜1.5、反応時間30分〜3時間で処理される。ニトロフミン酸の元素組成の1例を挙げれば、表1のようになる。 使用する若年炭としては、亜炭又は褐炭が特に好ましい。泥炭は腐植質の含有量は多いが含有水分や灰分が多く、歴青炭は水分は少ないが炭化の進行が進み、腐植質の含有量が減少している。 これら若年炭を硝酸で酸化分解した場合、石炭分子の中で酸素を含んだ主要部分はほとんどニトロフミン酸中に保存される。すなわち、硝酸酸化によって脂環構造の上に変化が生じるが、同時に活性基にも反応して酸素が増加し、増加した酸素の大部分は活性基の増加と考えられる。本発明においては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム等の塩にして使用する。 担体に使用する樹脂は高密度ポリエチレン又はポリプロピレンであり、両者の混合物であってもよい。更に2〜10質量%のポリスチレンを配合することが好ましい。これらの樹脂溶融物に界面活性剤、発泡剤、重量調整剤等を添加して発泡成型して得られる。本発明は、この溶融配合物の中にニトロフミン酸塩を配合するものである。配合するニトロフミン酸塩の量は樹脂100質量部に対し、1〜15質量部、好ましくは3〜10質量部である。15質量部を超えると担体の強度を維持することが困難になり、1質量部未満ではニトロフミン酸塩を配合した効果が得られない。 担体は1粒子の最大径と最小径がそれぞれ2mm以上、25mm以下であり、発泡体の比表面積が5〜50m2 /cm3 である。 ニトロフミン酸マグネシウム(電気化学工業社製、商標名アヅミン) 5重量部 ポリスチレン 6重量部 ポリプロピレン 94重量部 タルク 15重量部 界面活性剤 1重量部 アゾジカルボンアミド 1重量部 上記原料を上記処方で配合し、65mmφスクリュー押出機を用いて混合溶融した。5mmφの押出孔12個を有するストランドダイより押出して発泡ストランドを得た。このストランドを水槽内で冷却固化させた後、ペレタイザーカッターを用いて5mm長さに切断し、5mmφ、5mm長さの本発明円柱状で、樹脂100重量部に対しニトロフミン酸マグネシウム塩を5重量部含有する発泡担体を得た。 下記の方法で排水処理試験を行った。有効内容積0.3Lの曝気槽Aを用い、内容積の20%にあたる60mlの嵩容積の実施例1で作成した担体を充填した。処理水流出部には、担体が流出しないように目開き2.5mmのステンレス製の網を設置した。曝気槽には種汚泥として下水処理場の活性汚泥60mlを添加した。 原水として、グルコース濃度1500ppmのグルコース水溶液を調製した。曝気槽Aには37.5ml/時間で原水を連続的に供給し、曝気槽底部の多孔質散気装置より1L/分の空気を供給し、20〜25℃の範囲の水槽温度で連続運転した。使用した原水のBODは1000ppm、TOCは700ppmであった。この運転は返送汚泥を行わなかった。 原水の供給開始から10日経過後から1カ月間、曝気槽出口の処理水をNo.6ろ紙でろ過後、溶解TOCの測定を行い、その平均値を表2に示した。 別に、ニトロフミン酸マグネシウムを配合しない以外は、実施例1と同様にして比較例1の担体を得た。比較例1の担体を実施例1と同様な曝気槽Dに充填し、実施例1と同様にして連続運転を行い、試料を採取し、溶解TOCを測定し、その平均値を表2に併記した。 ニトロフミン酸マグネシウムに代えて、ニトロフミン酸カルシウムを配合した以外は実施例1と同様にして本発明担体を製造し、実施例1と同様にして曝気槽Bで連続的排水処理を行い、処理水のTOCの測定を行い、実施例2−1として表2に併記した。ニトロフミン酸カルシウムとしては、電気化学工業株式会社製のサンフィーダー(商標名)を使用した。 ニトロフミン酸マグネシウムに代えて、ニトロフミン酸ナトリウムを配合した以外は実施例1と同様にして本発明担体を製造し、実施例1と同様にして曝気槽Cで連続的排水処理を行い、処理水のTOCの測定を行い、実施例2−2として表2に併記した。ニトロフミン酸ナトリウムとしては、電気化学工業株式会社製のフミン酸ソーダを使用した。 原水の負荷を上げ、グルコース濃度2140ppmとして、TOC1000ppmとした以外は、曝気槽Aに実施例1と同一の担体を装入して、実施例1と同様にして連続的排水処理を行い、処理水の平均溶解TOCを測定し、表3に示した。 別に、比較例2として、曝気槽Dに比較例1の担体を装入し、実施例3の原水を用いた以外は実施例3と同様にして連続的排水処理を行い、処理水の平均溶解TOCを測定し、その結果を表3に併記した。 実施例4−1として、曝気槽Bを用い、実施例2−1で調製した担体を用いた以外は実施例3と同様にして連続的排水処理の試験を行った。処理水の平均溶解TOCを測定し、表3に併記した。 実施例4−2として、曝気槽Cを用い、実施例2−2で調製した担体を用いた以外は実施例3と同様にして連続的排水処理の試験を行った。処理水の平均溶解TOCを測定し、表3に併記した。 表2及び表3から明らかなように、本発明担体を用いると流動床式排水処理において、高い処理効率を長期にわたり得られることが判明した。高密度ポリエチレン、ポリプロピレン又は高密度ポリエチレンとポリプロピレンとの混合物を主成分とし、若年炭を硝酸で分解した後、中和して得られたニトロフミン酸塩を配合して発泡成型して得られたた連通気泡を有する硬質熱可塑性樹脂発泡体からなるニトロフミン酸塩配合微生物担体。高密度ポリエチレン、ポリプロピレン又は高密度ポリエチレンとポリプロピレンの混合物に加えるに、2〜10質量%のポリスチレンを配合したことを特徴とする請求項1記載のニトロフミン酸塩配合微生物担体。若年炭が亜炭又は褐炭であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載するニトロフミン酸塩配合微生物担体。ニトロフミン酸塩がナトリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載するニトロフミン酸塩配合微生物担体。樹脂100質量部に対し、ニトロフミン酸塩1〜15質量部を配合したことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載するニトロフミン酸塩配合微生物担体。 【課題】流動床式排水処理方法において、多くの連通気孔を有する硬質の排水処理用微生物担体を用いて、付着する微生物の活性をより高める方法を提供する。【解決手段】高密度ポリエチレン及び/又はポリプロピレンを主成分とし、好ましくは、2〜10質量%のポリスチレンを配合した樹脂組成物に、樹脂組成物100質量部あたり1〜15質量部の、亜炭や褐炭等の若年炭を硝酸で分解した後、中和して得られたニトロフミン酸のマグネシウム塩、カルシウム塩、或いはナトリウム塩を配合して発泡成型して得られたた連通気泡を有する硬質熱可塑性樹脂発泡体からなるニトロフミン酸塩配合微生物担体である。【選択図】 なし


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特許公報(B2)_ニトロフミン酸塩配合微生物担体

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ニトロフミン酸塩配合微生物担体
出願番号:2005095237
年次:2010
IPC分類:C02F 3/10,C02F 3/08,C12N 11/08


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吉井 達也 市原 譲治 水野 金夫 JP 4471216 特許公報(B2) 20100312 2005095237 20050329 ニトロフミン酸塩配合微生物担体 デンカエンジニアリング株式会社 591010088 岡田 希子 100107799 鈴木 定子 100078042 吉井 達也 市原 譲治 水野 金夫 20100602 C02F 3/10 20060101AFI20100513BHJP C02F 3/08 20060101ALI20100513BHJP C12N 11/08 20060101ALI20100513BHJP JPC02F3/10 ZC02F3/08 BC12N11/08 A C02F 3/10 C02F 3/08 C12N 11/08 特開2001−000180(JP,A) 特開昭57−042392(JP,A) 特開平02−005852(JP,A) 特開昭52−074586(JP,A) 特開昭56−104898(JP,A) 特開平04−363387(JP,A) 特開平06−057244(JP,A) 特開2004−025172(JP,A) 特開昭60−028814(JP,A) 特開平08−132084(JP,A) 特開平11−169897(JP,A) 特開2002−101871(JP,A) 特開2004−358328(JP,A) 特開2004−174491(JP,A) 特開昭60−183095(JP,A) 特開平07−016585(JP,A) 7 2006272171 20061012 7 20070105 伊藤 紀史 本発明は、流動床式排水処理に使用される、多くの連通気孔を有する硬質の排水処理用微生物担体において、付着する微生物の活性をより高めるために、硬質樹脂基材に若年炭を硝酸で分解した後、中和して得られたニトロフミン酸塩を配合したニトロフミン酸塩配合微生物担体に関する。 石炭は動植物の遺体が腐植物質となり、更に長い年月をかけて泥炭、亜炭、褐炭、歴青炭、半無煙炭、無煙炭と炭化していったものである。燃料として利用する場合には、炭化が進んだ無煙炭や半無煙炭が好ましく、亜炭、褐炭等の若年炭は品質の悪い石炭と言われていた。しかしながら、これらの若年炭は炭化が不充分な故に炭化の進行を逆行させれば腐植に戻り、カルボキシル基やアルコール性或いはフェノール性−OH基等の官能基を大量に有する腐植が得られることが判明した。 硝酸を作用させて比較的緩和な条件で若年炭を分解し、分解物を中和して得られるニトロフミン酸塩系資材は肥料として用いられている。一方、腐植は汚濁物質とも結合して汚水や汚泥の浄化にも使用され、特許文献1には、汚濁物質と反応して次第に消耗していく腐植質ペレットが開示されている。特許文献2には腐植を加熱加圧して乾燥し、化学的、物理的反応力を維持させつつ、泥寧化しないように特殊乾燥した排水処理剤が開示されている。更に、特許文献3には腐植質をイオン交換体に担持させて有害ガスを除去する方法が開示されている。 本出願人は特許文献4において、高密度ポリエチレン及び/又はポリプロピレンを主成分とし、ポリスチレンを配合した混合物を多数の連通気泡を有するように発泡成型し、負荷変動対応性を付与した微生物担体を開示した。 流動床式排水処理方法は、微生物が着床し易い担体を好気的的条件下で循環させ、効率的に排水を浄化する方法である。したがって、それに用いられる担体は微生物が着床し易いと共に、流動槽の撹拌、スクリーンや壁面との衝突等の物理的衝撃にも耐え得る強度を有することが要求される。しかも、水と均等に混合されることが好ましく、完全に水濡れした時の比重が0.95〜1.05であることが要求される。特開平11−169897号公報特開平10−277533号公報特開平11−314020号公報特開2001−180号公報 従来の腐植を排水処理に利用する技術は、腐植の有する活性基を利用して直接汚濁物質と腐植を反応させるものであった。或いは、イオン交換体に担持させて臭気物質を除去するものであった。これらの方法によれば腐植の活性基が使用し尽くされれば、その効果を失うことになる。ニトロフミン酸の活性基を消耗させれば、担体の有効性は活性基を消耗し終わるまでの期間に限定される。本発明者らはニトロフミン酸の活性基を消耗させずに、微生物の着床に有利に作用する方法を検討し、ニトロフミン酸の活性を維持しつつ活性な微生物の着床、死滅した微生物の脱離を円滑に進行させる微生物担体を模索した。 本発明は、上記課題を解決することを目的とし、高密度ポリエチレン及び/又はポリプロピレンを主成分とし、好ましくは、2〜10質量%のポリスチレンを配合した樹脂組成物に、樹脂組成物100質量部あたり1〜15質量部の、亜炭や褐炭等の若年炭を硝酸で分解した後、中和して得られたニトロフミン酸のマグネシウム塩、カルシウム塩、或いはナトリウム塩を配合して発泡成型して得られた連通気泡を有する硬質熱可塑性樹脂発泡体からなるニトロフミン酸塩配合微生物担体及びその製造方法を提供することにある。 すなわち、本発明は排水の流動床式活性汚泥処理方法に使用される担体を提供するものである。樹脂組成物を溶融して発泡成型するにあたり、一定量のニトロフミン酸塩を配合する。その結果、ニトロフミン酸塩の有する活性基が露出し、微生物膜との親和性が向上して微生物の着床効果を促進する。しかも、ニトロフミン酸塩は樹脂中に配合されているため着床した微生物が死滅した場合には、ニトロフミン酸と離れて移動し、新しい生菌と結合する。したがって、本発明担体は流動床式排水処理において、長期にわたって使用しても消耗することなく排水処理効率を向上させる。 本発明により、排水処理効率を向上させると共に、長期にわたってその処理効率を維持するニトロフミン酸塩を配合した流動床式排水処理用の担体を提供することができる。 本発明において、ニトロフミン酸塩とは、若年炭を緩徐な条件で硝酸分解して得られた物質をいう。通称はニトロフミン酸であるが、これは化学用語でいうニトロ基を有するフミン酸との意味ではなく、単に、硝酸で若年炭の炭化を逆行させたという意味である。赤褐色又は黒褐色の無定形物質で高分子の多塩基性有機酸である。得られるニトロフミン酸塩の量及び質は、原料炭、硝酸処理条件により異なる。一般には、硝酸濃度は10〜25%であり、反応温度は60〜100℃、固/液比は0.3〜1.5、反応時間は30分〜3時間で処理される。ニトロフミン酸の元素組成の一例を挙げれば、表1のようになる。 使用する若年炭としては、亜炭又は褐炭が特に好ましい。泥炭は腐植質の含有量は多いが含有水分や灰分が多く、歴青炭は水分は少ないが炭化の進行が進み、腐植質の含有量が減少している。 これら若年炭を硝酸で酸化分解した場合、石炭分子の中で酸素を含んだ主要部分はほとんどニトロフミン酸中に保存される。すなわち、硝酸酸化によって脂環構造の上に変化が生じるが、同時に活性基にも反応して酸素が増加し、増加した酸素の大部分は活性基の増加と考えられる。本発明においては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム等の塩にして使用する。 担体に使用する樹脂は高密度ポリエチレン又はポリプロピレンであり、両者の混合物であってもよい。更に2〜10質量%のポリスチレンを配合することが好ましい。これらの樹脂溶融物に界面活性剤、発泡剤、重量調整剤等を添加して発泡成型して得られる。本発明は、この溶融配合物の中にニトロフミン酸塩を配合するものである。配合するニトロフミン酸塩の量は樹脂100質量部に対し、1〜15質量部、好ましくは3〜10質量部である。15質量部を超えると担体の強度を維持することが困難になり、1質量部未満ではニトロフミン酸塩を配合した効果が得られない。 担体は1粒子の最大径と最小径がそれぞれ2mm以上、25mm以下であり、発泡体の比表面積が5〜50m2 /cm3 である。 ニトロフミン酸マグネシウム(電気化学工業社製、商標名アヅミン) 5重量部 ポリスチレン 6重量部 ポリプロピレン 94重量部 タルク 15重量部 界面活性剤 1重量部 アゾジカルボンアミド 1重量部 上記原料を上記処方で配合し、65mmφスクリュー押出機を用いて混合溶融した。5mmφの押出孔12個を有するストランドダイより押出して発泡ストランドを得た。このストランドを水槽内で冷却固化させた後、ペレタイザーカッターを用いて5mm長さに切断し、5mmφ、5mm長さの本発明円柱状で、樹脂100重量部に対しニトロフミン酸マグネシウム塩を5重量部含有する発泡担体を得た。 下記の方法で排水処理試験を行った。有効内容積0.3Lの曝気槽Aを用い、内容積の20%にあたる60mlの嵩容積の実施例1で作成した担体を充填した。処理水流出部には、担体が流出しないように目開き2.5mmのステンレス製の網を設置した。曝気槽には種汚泥として下水処理場の活性汚泥60mlを添加した。 原水として、グルコース濃度1500ppmのグルコース水溶液を調製した。曝気槽Aには37.5ml/時間で原水を連続的に供給し、曝気槽底部の多孔質散気装置より1L/分の空気を供給し、20〜25℃の範囲の水槽温度で連続運転した。使用した原水のBODは1000ppm、TOCは700ppmであった。この運転は返送汚泥を行わなかった。 原水の供給開始から10日経過後から1カ月間、曝気槽出口の処理水をNo.6ろ紙でろ過後、溶解TOCの測定を行い、その平均値を表2に示した。 別に、ニトロフミン酸マグネシウムを配合しない以外は、実施例1と同様にして比較例1の担体を得た。比較例1の担体を実施例1と同様な曝気槽Dに充填し、実施例1と同様にして連続運転を行い、試料を採取し、溶解TOCを測定し、その平均値を表2に併記した。 ニトロフミン酸マグネシウムに代えて、ニトロフミン酸カルシウムを配合した以外は実施例1と同様にして本発明担体を製造し、実施例1と同様にして曝気槽Bで連続的排水処理を行い、処理水のTOCの測定を行い、実施例2−1として表2に併記した。ニトロフミン酸カルシウムとしては、電気化学工業株式会社製のサンフィーダー(商標名)を使用した。 ニトロフミン酸マグネシウムに代えて、ニトロフミン酸ナトリウムを配合した以外は実施例1と同様にして本発明担体を製造し、実施例1と同様にして曝気槽Cで連続的排水処理を行い、処理水のTOCの測定を行い、実施例2−2として表2に併記した。ニトロフミン酸ナトリウムとしては、電気化学工業株式会社製のフミン酸ソーダを使用した。 原水の負荷を上げ、グルコース濃度2140ppmとして、TOC1000ppmとした以外は、曝気槽Aに実施例1と同一の担体を装入して、実施例1と同様にして連続的排水処理を行い、処理水の平均溶解TOCを測定し、表3に示した。 別に、比較例2として、曝気槽Dに比較例1の担体を装入し、実施例3の原水を用いた以外は実施例3と同様にして連続的排水処理を行い、処理水の平均溶解TOCを測定し、その結果を表3に併記した。 実施例4−1として、曝気槽Bを用い、実施例2−1で調製した担体を用いた以外は実施例3と同様にして連続的排水処理の試験を行った。処理水の平均溶解TOCを測定し、表3に併記した。 実施例4−2として、曝気槽Cを用い、実施例2−2で調製した担体を用いた以外は実施例3と同様にして連続的排水処理の試験を行った。処理水の平均溶解TOCを測定し、表3に併記した。 表2及び表3から明らかなように、本発明担体を用いると流動床式排水処理において、高い処理効率を長期にわたり得られることが判明した。高密度ポリエチレン、ポリプロピレン又は高密度ポリエチレンとポリプロピレンとの混合物を主成分とする樹脂組成物に、若年炭を硝酸で分解した後、中和して得られたニトロフミン酸塩を配合して発泡成型して得られた連通気泡を有する硬質熱可塑性樹脂発泡体からなるニトロフミン酸塩配合微生物担体であって、前記樹脂組成物100質量部に対し、ニトロフミン酸塩1〜15質量部を配合したことを特徴とするニトロフミン酸塩配合微生物担体。高密度ポリエチレン、ポリプロピレン又は高密度ポリエチレンとポリプロピレンの混合物に加えるに、2〜10質量%のポリスチレンを配合したことを特徴とする請求項1記載のニトロフミン酸塩配合微生物担体。若年炭が亜炭又は褐炭であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載するニトロフミン酸塩配合微生物担体。ニトロフミン酸塩がナトリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載するニトロフミン酸塩配合微生物担体。前記樹脂組成物100質量部に対し、ニトロフミン酸塩3〜10質量部を配合したことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載するニトロフミン酸塩配合微生物担体。高密度ポリエチレン、ポリプロピレン又は高密度ポリエチレンとポリプロピレンとの混合物を主成分とする樹脂組成物と、若年炭を硝酸で分解した後、中和して得られたニトロフミン酸塩と、発泡剤とを含み、ニトロフミン酸塩の量は、前記樹脂組成物100質量部に対し1〜15質量部である原料樹脂組成物を調製し、その原料樹脂組成物を発泡成型することを特徴とする連通気泡を有する硬質熱可塑性樹脂発泡体からなるニトロフミン酸塩配合微生物担体の製造方法。原料組成物が、さらに、界面活性剤及び/又は重量調整剤を含有する、請求項6に記載の連通気泡を有する硬質熱可塑性樹脂発泡体からなるニトロフミン酸塩配合微生物担体の製造方法。


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