タイトル: | 公開特許公報(A)_メチルイソブチルケトンとベンジルアミンの分離方法 |
出願番号: | 2005088090 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | C07C 45/82,B01D 3/00,C07C 49/08,C07C 209/86,C07C 211/27 |
広田 将司 JP 2006265196 公開特許公報(A) 20061005 2005088090 20050325 メチルイソブチルケトンとベンジルアミンの分離方法 住友化学株式会社 000002093 久保山 隆 100093285 中山 亨 100113000 榎本 雅之 100119471 広田 将司 C07C 45/82 20060101AFI20060908BHJP B01D 3/00 20060101ALI20060908BHJP C07C 49/08 20060101ALI20060908BHJP C07C 209/86 20060101ALI20060908BHJP C07C 211/27 20060101ALI20060908BHJP JPC07C45/82B01D3/00 AC07C49/08 JC07C209/86C07C211/27 3 OL 5 4D076 4H006 4D076AA07 4D076AA12 4D076AA22 4D076AA24 4D076BB01 4D076BB03 4D076BB13 4D076GA03 4D076HA11 4H006AA02 4H006AD11 4H006AD40 4H006BU38 本発明は、メチルイソブチルケトンとベンジルアミンを分離する方法に関する。 ベンジルアミンは、アミノ基を導入するための求核剤として有用であり、例えば、米国特許第2489232号明細書(特許文献1)やジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(Journal of the American Chemical Society)、(米国)、1978年、第100巻、p.1558−1563(非特許文献1)には、2,3−ジブロモコハク酸をエタノール溶媒中でベンジルアミンと反応させることにより、ビオチン中間体の2,3−ビス(ベンジルアミノ)コハク酸を製造することが記載されている。 また、メチルイソブチルケトン(4−メチル−2−ペンタノン)は、水と分液可能なケトン溶媒として有用であり、先に本発明者は、メチルイソブチルケトンを反応溶媒に用いて上記反応を行うことを提案している(特願2005−50667号)。この方法によれば、反応混合物から塩基性水溶液により2,3−ビス(ベンジルアミノ)コハク酸を抽出することができると共に、抽出残液の油層としてメチルイソブチルケトンと未反応のベンジルアミンの混合物を回収することができる。米国特許第2489232号明細書ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ、 1978年、第100巻、p.1558−1563 上記抽出残液の如きメチルイソブチルケトンとベンジルアミンの混合物をメチルイソブチルケトンとベンジルアミンとに分離する方法としては、例えば、該混合物から酸性水溶液によりベンジルアミンを抽出し、この酸性抽出液を塩基で中和してベンジルアミンを回収すると共に、抽出残液の油層としてメチルイソブチルケトンを回収するというような、一般的な中性物質と塩基性物質の分離方法が採用しうるが、抽出及び中和の各操作に加え、中和排水の処理も必要となるため、操作が煩雑になり、それに伴うコストや設備面での負担も大きい。一方、メチルイソブチルケトンとベンジルアミンを蒸留により分離できれば、上記の如き操作の煩雑さを解消できて有利であるが、上記混合物を単純に蒸留に付すと、メチルイソブチルケトンとベンジルアミンの脱水縮合によりイミンが生成して、分離が困難となる。そこで、本発明の目的は、メチルイソブチルケトンとベンジルアミンを、イミンの形成が抑制された条件下に操作性良く分離しうる方法を提供することにある。 本発明者らは鋭意研究を行った結果、上記混合物を水と混合してなる油水二相系の混合物を蒸留に付すことにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、メチルイソブチルケトンとベンジルアミンの混合物を水と混合し、得られた油水二相系の混合物を蒸留することにより、メチルイソブチルケトンとベンジルアミンを分離する方法を提供するものである。 本発明によれば、メチルイソブチルケトンとベンジルアミンを操作性良く分離することができる。 本発明で分離の対象とされるメチルイソブチルケトンとベンジルアミンの混合物としては、例えば、前述の如き、2,3−ジブロモコハク酸をメチルイソブチルケトン溶媒中でベンジルアミンと反応させ、得られた反応混合物から塩基性水溶液により2,3−ビス(ベンジルアミノ)コハク酸を抽出した後の抽出残液である油層が挙げられるが、これに限定されるものではない。該混合物におけるメチルイソブチルケトンとベンジルアミンの含有割合は任意であるが、通常、メチルイソブチルケトン/ベンジルアミンの重量割合で10/90〜90/10程度である。また、該混合物には、メチルイソブチルケトン及びベンジルアミン以外の成分、例えば水などが含まれていてもよい。 本発明では、上記のメチルイソブチルケトンとベンジルアミンの混合物を水と混合し、得られた油水二相系の混合物を蒸留することにより、メチルイソブチルケトンとベンジルアミンを分離する。この蒸留により、具体的には、低沸点側の留出液として、メチルイソブチルケトンと水の混合物を得ることができると共に、高沸点側の留出液として、又は缶出液として、ベンジルアミンを得ることができる。なお、ベンジルアミンを留出液として得るか、缶出液として得るかは、高沸点不純物の有無や量などに応じて、選択される。 水の使用量は、あまり少ないと、メチルイソブチルケトンとベンジルアミンの脱水縮合によるイミンの生成を抑制し難くなり、あまり多いと、留出水中にベンジルアミンを損失し易くなるので、メチルイソブチルケトンに対し、通常0.2〜5重量倍、好ましくは0.5〜2重量倍程度である。 蒸留の方式は適宜選択され、例えば、単蒸留であってもよいし、精留であってもよく、また、バッチ式蒸留であってもよいし、連続式蒸留であってもよい。また、蒸留の条件も適宜選択されるが、1〜50kPa程度の減圧下に行うのが望ましい。 留出液として得られたメチルイソブチルケトンと水の混合物は、油水分離によりメチルイソブチルケトンからなる油層と水層とに分離することができ、このメチルイソブチルケトンからなる油層は、さらに蒸留や脱水などの精製操作に付してもよい。また、留出液又は缶出液として得られたベンジルアミンも、さらに蒸留や脱水などの精製操作に付してもよい。 以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。例中、含有量を表す%は、特記ない限り重量基準である。参考例1(メチルイソブチルケトンとベンジルアミンの混合物の取得) 2Lナスフラスコに、2,3−ジブロモコハク酸200gとメチルイソブチルケトン400gを入れて攪拌した。この中に、内温を40℃以下に保ちながら、ベンジルアミン530gを1時間かけて滴下した後、80℃で2時間、次いで100℃で2時間、保持した。得られた反応混合物に、60℃で49%水酸化カリウム水溶液360gと水150gを添加して混合後、油層と水層とに分離し、次いで水層をメチルイソブチルケトン200gで2回洗浄して、2,3−ビス(ベンジルアミノ)コハク酸18.3%(179g、収率77%)を含む塩基性水溶液978gを得た。 また、上で分離した油層と、水層の洗浄(2回)に使用したメチルイソブチルケトンを混合して、メチルイソブチルケトンとベンジルアミンの混合物1083gを回収した。この混合物中のベンジルアミンの含有量は36%(390g)であり、残部の64%は溶解分の水を除いて略メチルイソブチルケトンであった。実施例1 参考例1で得られたメチルイソブチルケトンとベンジルアミンの混合物150gを、水100gと混合し、さらにメチルイソブチルケトン15gと混合した。得られた油水二相系の混合物を、150Torr(20kPa)の減圧下に、加熱浴の温度を室温から80℃まで昇温して蒸留し、メチルイソブチルケトンと水からなる留出液184gを得、この留出液を油水分離して、メチルイソブチルケトンからなる油層102g〔メチルイソブチルケトンの純度98%(純分100g)、回収率88%(参考例1で得られたメチルイソブチルケトンとベンジルアミンの混合物中のメチルイソブチルケトンの含有量を64%(ベンジルアミンの残部)として計算した値;以下同じ)〕を得た。次いで、未留出分を引き続き、20Torr(2.6kPa)の減圧下に、加熱浴の温度を80℃から120℃まで昇温して蒸留し、ベンジルアミンからなる留出液36g〔ベンジルアミンの純度93%(純分33g)、回収率62%〕を得た。比較例1 参考例1で得られたメチルイソブチルケトンとベンジルアミンの混合物200gを、20%塩酸152gと混合し、さらにメチルイソブチルケトン25gと混合した後、油水分離した。得られた油層88.3gを、150Torr(20kPa)の減圧下に、加熱浴の温度を室温から80℃まで昇温して蒸留し、メチルイソブチルケトンからなる留出液81g〔メチルイソブチルケトンの純度98%(純分79g)、回収率52%〕を得た。また、上記油水分離により得られた水層を、150Torr(20kPa)の減圧下に、加熱浴の温度を室温から80℃まで昇温して蒸留し、メチルイソブチルケトンと水からなる留出液90gを得、この留出液を油水分離して、メチルイソブチルケトンからなる油層62g〔メチルイソブチルケトンの純度97%(純分60g)、回収率39%〕を得た。次いで、未留出分を、48%水酸化ナトリウム水溶液84gと混合した後、油水分離し、得られた油層を、20Torr(2.6kPa)の減圧下に、加熱浴の温度を室温から120℃まで昇温して蒸留し、ベンジルアミンからなる留出液52g〔ベンジルアミンの純度94%(純分49g)、回収率68%〕を得た。比較例2 参考例1で得られたメチルイソブチルケトンとベンジルアミンの混合物250gを、150Torr(20kPa)の減圧下に、加熱浴の温度を室温から80℃まで昇温して蒸留し、メチルイソブチルケトンと水からなる留出液を得、この留出液を油水分離して、メチルイソブチルケトンからなる油層91g〔メチルイソブチルケトンの純度95%(純分86g)、回収率54%〕を得た。次いで、未留出物を引き続き、20Torr(2.6kPa)の減圧下に、加熱浴の温度を80℃から120℃まで昇温して蒸留したが、ベンジルアミンからなる留出液は得られなかった。さらに、未留出物を引き続き、20Torr(2.6kPa)の減圧下に、加熱浴の温度を120℃から150℃まで昇温して蒸留したところ、留出液18gが得られた。この留出液は、質量分析の結果、メチルイソブチルケトンとベンジルアミンが脱水縮合したイミンであることが分かった。実施例2 メチルイソブチルケトン75gとベンジルアミン75gを混合して、メチルイソブチルケトンとベンジルアミンの混合物150gを調製し、これを水70gと混合した。得られた油水二相系の混合物を、150Torr(20kPa)の減圧下に、加熱浴の温度を室温から80℃まで昇温して蒸留し、メチルイソブチルケトンと水からなる留出液146gを得、この留出液を油水分離して、メチルイソブチルケトンからなる油層73g〔メチルイソブチルケトンの純度97%(純分71g)、回収率94%〕を得た。次いで、未留出分を引き続き、20Torr(2.6kPa)の減圧下に、加熱浴の温度を80℃から120℃まで昇温して蒸留し、ベンジルアミンからなる留出液73g〔ベンジルアミンの純度98%(純分72g)、回収率96%〕を得た。 メチルイソブチルケトンとベンジルアミンの混合物を水と混合し、得られた油水二相系の混合物を蒸留することを特徴とするメチルイソブチルケトンとベンジルアミンの分離方法。 前記蒸留により、メチルイソブチルケトンを含む留出液と、ベンジルアミンを含む缶出液を取得する請求項1に記載の方法。 前記蒸留により、メチルイソブチルケトンを含む留出液と、ベンジルアミンを含む留出液を取得する請求項1に記載の方法。 【課題】メチルイソブチルケトンとベンジルアミンを、イミンの形成が抑制された条件下に操作性良く分離しうる方法を提供する。【解決手段】メチルイソブチルケトンとベンジルアミンの混合物を水と混合し、得られた油水二相系の混合物を蒸留する。この蒸留により、低沸点側の留出液として、メチルイソブチルケトンと水の混合物を得ることができると共に、高沸点側の留出液として、又は缶出液として、ベンジルアミンを得ることができる。【選択図】なし