タイトル: | 公開特許公報(A)_酸素インジケーター |
出願番号: | 2005074402 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | G01N 31/00 |
河本 明子 三田 浩三 JP 2006258524 公開特許公報(A) 20060928 2005074402 20050316 酸素インジケーター 大日本印刷株式会社 000002897 金山 聡 100111659 河本 明子 三田 浩三 G01N 31/00 20060101AFI20060901BHJP JPG01N31/00 L 8 2 OL 9 2G042 2G042BB09 2G042DA03 2G042DA08 2G042FB04 2G042FC03 2G042FC07 2G042GA03 本発明は、包装体内の酸素吸収剤による脱酸素状態を判定するための酸素インジケーターに関する。 酸素は、食品や医療品を酸化し、劣化をひき起こすことが知られている。多くの食品、医療品は、それらと共に包装体内に脱酸素剤を収納することによつて劣化を防止しているが、その際に、脱酸素剤の能力や包装体のピンホール、シール不良などによる包装体内部への酸素の浸入を検知するために、包装体内に脱酸素剤と共に酸素インジケーターが挿入されている。 現在、酸化還元色素、還元剤、バインダー等の組み合わせを変えた何種類かの酸素インジケーターが上市されており、その場合、多くの酸素インジケーターは、酸素還元色素とその色素を還元させ得る還元剤を同じ溶液中に混在させ、プラスチックフィルム基材や繊紙等の繊維質基材に印刷、コーティングあるいは含浸させて作られている。また、酸化還元色素と還元剤を含む酸素インジケーター用のインキ組成物に関して特許出願もされている(例えば特許文献1参照)。特開2001−192592号公報 しかしながら、酸化還元色素を用いた酸素インジケーターはそこに含まれる色素が光照射によって退色、分解を起こし、蛍光灯程度の光の照射でもインジケーターの劣化を起こすことがある。 例えば、還元型メチレンブルーは光によって劣化しやすく、劣化してしまったメチレンブルーは、有酸素下で青色を程さない。特に、紙、プラスチックなどの基材上に印刷、含浸等により、インジケーターを形成した酸素インジケーターはインジケーター層が薄膜になるため、特に光によって劣化しやすい。 また、内容物が見える透明プラスチックフィルム等からなる包装体内に包装内容物及び脱酸素剤と共に酸素インジケーターを挿入して密封包装する場合、酸素インジケーターは光にさらされる可能性があり、また、酸素インジケーターは包装体の外から見える設置する必要がある。内容物の流通期間が長期にわたる場合には、酸素インジケーターが光によって劣化する可能性が高くなるため、酸素インジケーターに耐光性を付与することが望まれる。 本発明の課題は、光照射による劣化を防止した酸素インジケーターを提供することである。 請求項1に記載の発明は、上記の課題を解決するもので、基材の上に酸素インジケーター層を設けた酸素インジケーターにおいて、基材は透明な材料からなり、酸素インジケーター層を、基材上に遮光性アンカーコート層を介して、設けたことを特徴とする酸素インジケーターを要旨とする。 本発明によれば、酸素インジケーターの下面が遮光性アンカーコート層により保護されているので、基材側から光の照射を受けても酸素インジケータが劣化することは防止される。 尚、この場合、酸素インジケーター層の表面を遮光性オーバーコート層で被覆することにより、更に劣化を防止する効果は高められる。 請求項3に記載の発明は、上記の課題を解決するもので、基材の上に酸素インジケーター層を設けた酸素インジケーターにおいて、基材は不透明な材料からなり、酸素インジケーターの表面を遮光性オーバーコート層で被覆したことを特徴とする酸素インジケーターを要旨とする。 本発明によれば、酸素インジケーターの表面が下面が遮光性アンカーコート層により保護されているので、光の照射を受けても酸素インジケータが劣化することは防止される。 本発明において、遮光性アンカーコート層及び/又は遮光性オーバーコート層は350nm〜500nmの波長の光の透過率が50%未満の遮光性を有するものであることが望ましい。このように一部波長域の光を特に遮ることにより、遮光性の効果が十分に発揮され、酸化還元色の劣化が生ずることなく、酸素インジケーターとしての機能を十分に維持できるようになる。 本発明において、遮光性アンカーコート層及び/または遮光性オーバーコート層が酸素インジケーターが示す色の変化の視認を妨げない色を有することが望ましい。例えば酸素インジケーター層がメチレンブルーを含む印刷層からなり、無酸素状態においては赤紫色を呈し、有酸素の雰囲気下では青色に変化する場合、遮光性アンカーコート層及び/または遮光性オーバーコート層の色を黄色とすることにより、黄色の遮光性アンカーコート層及び/または遮光性オーバーコート層を通して赤紫色は赤に、また青色は緑色に視認し、色の変化を明瞭に目視することができる。 本発明において、酸素インジケーター層を層状珪酸塩を含むインキ組成物層で構成することができる。この層状珪酸塩を含むインキ組成物層からなる酸素インジケーター層は、光に対する安定性を有し、更に酸化還元色の劣化が生ずることなく、長期間にわたり、酸素インジケーターとしての機能を十分に維持することを可能にする。 この発明によれば、酸化インジケーター層の下面を遮光性アンカーコート層で保護し及び/または遮光性オーバーコート層で保護するので、酸化還元色の劣化を生ぜしめることなく、長期間にわたり、酸素インジケータとしての維持を十分に維持することを可能にする。したがって商品の流通期間が長期にわたってもその期間内において容器の密封状態を明確に判断することができ、流通期間の長い商品の管理に有効に活用することができる。 次に図面を参照して本発明につき詳細に説明する。 図1は、本発明の酸素インジケーターの第1の実施の形態を示す。この酸素インジケーターは、基材の上に酸素インジケーター層を設けた酸素インジケーターにおいて、基材1は透明な材料からなり、酸素インジケーター層3を、基材1上に遮光性アンカーコート層2を介して、設け、更に酸素インジケーター層3を設けた基材1の全面をシーラント層4で被覆したものである。 基材1の材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン等からなる透明な材料を適用することができるが、酸素インジケーターの性質上、酸素バリア性を有するポリエステル、ナイロン等の透明フィルム、またはシリカ蒸着フィルム等が適当である。 遮光性アンカーコート層2として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等の樹脂と、色インキと、希釈溶剤、水溶性樹脂等からなるインキ組成物を用いて印刷により形成したものを適用することができる。色インキとして黄、赤、紅、白、朱、オレンジ等の色のインキを用いることができるが、酸素インジケーターの色の変化を目視可能にするためには黄色が望ましい。 また、遮光性アンカーコート層は、350nm〜500nmの波長の光の透過率が50%未満の遮光性を有するように形成することが望ましい。このように一部波長域の光を特に遮ることにより、遮光性の効果が十分に発揮され、酸化還元色の劣化が生ずることなく、酸素インジケーターとしての機能を十分に維持できるようになる。 本発明において、酸素インジケーター層3は、酸化還元色素、還元剤、バインダー樹脂、溶媒等を含むインキ組成物を用いて印刷法により形成したものを適用することができる。 酸化還元色素として、メチレンブルーの他にニューメチレンブルー、ニュートラルレッド、インジゴカルミン、アシッドレッド、サフランT、フェノサフラニン、カプリブルー、ナイルブルー、ジフェニルアミン、キシレンシアノール、ニトロジフェニルアミン、フェロイン、N−フェニルアントラル酸等を使用できる。 また、還元剤として、アスコルビン酸の他にエリルソルビン酸やその塩、アスコルビン酸塩、D−アラビノース、D−エリスロース、D−ガラクトース、D−フラクトース、D−ラクトース等の還元糖、第一鉄塩等の金属塩を使用できる。 バインダー樹脂は、酸化還元色素、還元剤、着色剤、吸収性粉末、保湿剤等を固着するために用いられるものである。具体的にはポリビニルアセタール樹脂、メチルセルロース、親水基を導入したポリエステル樹脂等が挙げられる。 溶媒としては、先に挙げた材料、特に結合剤を均一に且つ安定に溶解または分散できるものが望ましい。具体的には芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、エステル類、アルコール類、水等を用いることができる。先に挙げた材料の他、変色をより明確にする着色剤や水分を保持する保湿剤、吸収性粉末、印刷適性を向上させるレベリング剤、消泡剤等を添加できる。 またインキ組成物の成分として層状珪酸塩を加えることにより、酸素インジケーター層自体の耐光性を高めることができる。層状珪酸塩としてはスメクタイト族に属するものが好ましく、例えば、モンモリロナイト、及びバイデライト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト等の天然のスメクタイト族に族する層状珪酸塩(天然スメクタイト)が挙げられる。このほかに、無機化合物を出発材料として水熱合成された、スメクタイト族に属する珪酸塩(合成スメクタイト)を使用することができる。中でも好ましい層状珪酸塩は、合成スメクタイトである。 酸素インジケーター層の印刷は、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷等の各種印刷方法、コーティング方法等により行うことができる。 全面シーラント層4は酸素インジケーター3層の保護の観点から設けるもので、シーラント材として、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、プロピレン、ポリ4−メチルペンテン−1等を用いることができる。 前記した本発明の酸素インジケーターは、適当なサイズに切断し、食品等の包装内容物、脱酸素剤と共に包装体内に投入、或いは包装体の内壁に貼り付ける等して使用することができる。 更に、本発明の酸素インジケーターは、熱接着性樹脂層を介して透明な包装材料と一体化し、酸素インジケーター付きの包装材料を用いて酸素インジケーター付きの包装体を形成することができる。 図2は本発明の第1の実施の形態の変形を示す。この酸素ヒンジケーターにおいては、酸素インジケーター層3の表面が遮光性オーバーコート層5で被覆されている。 遮光性オーバーコート層5として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等の樹脂と、色インキと、希釈溶剤、水溶性樹脂等からなるインキ組成物を用いて印刷により形成したものを適用することができる。色インキとして黄、赤、紅、白、朱、オレンジ等の色のインキを用いることができるが、酸素インジケーターの色の変化を目視可能にするためには黄色が望ましい。 また、遮光性オーバーコート層5は、350nm〜500nmの波長の光の透過率が50%未満の遮光性を有するように形成することが望ましい。このように一部波長域の光を特に遮ることにより、遮光性の効果が十分に発揮され、酸化還元色の劣化が生ずることなく、酸素インジケーターとしての機能を十分に維持できるようになる。 遮光性オーバーコート層は酸素インジケーター層の端面をも被覆するように酸素インジケーターよりも大きめに形成することが望ましい。 図3は、本発明の第2の実施の形態を示す。この酸素インジケーターは、基材の上に酸素インジケーター層を設けた酸素インジケーターにおいて、基材6は不透明な材料からなり、酸素インジケーター3の表面を遮光性オーバーコート層4で被覆してなるものである。 基材6としては合成紙等の不透明な材料を用いることができる。また、酸素インジケーター層3、遮光性オーバーコート層4に関しては第1の実施の形態の説明の中で説明した通りである。またこの実施の形態においても、インキ組成物の成分として層状珪酸塩を加えることにより、酸素インジケーター層自体の耐光性を高めることができる。 次に実施例を挙げて本発明につき具体的に説明する。 合成スメクタイト(商品名:スメクトンSA、クニミネ工業(株)製、以下「スメクタイト」と略称する)の0.5g/l水分酸液20mlに、メチレンブルー0.01g、D−(+)−グルコース1.0g及びセチルトリメチルアンモニウムブロミド0.36mgが溶解している水溶液5mlを混合し、0.1NaOHを滴下してPH11.0に調整し、バインダー樹脂51g、グリセリン7.5g、合成シリカ0.6g、アシッドレッド0.8g、水87g、プロパノール42gからなるインキ組成物を作製した。 アンカーコートの材料として、ウレタン系樹脂、希釈剤、黄色インキ及び水溶性樹脂からなるコーティング材料を用意した。またオーバーコートの材料として、ウレタン系樹脂、希釈剤、黄色インキからなるコーティング材料を用意した。 シリカを蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム(基材)に上記アンカーコート材料を用いてアンカーコート層を印刷し、乾燥させた後、アンカーコート層上に上記したインキ組成物を用いて印刷により酸素インジケーター層を形成した。印刷した酸素インジケーター層を乾燥させた後、上記のオーバーコートの材料を用いて酸素インジケーター層の表面及び端面を被覆するオーバーコート層を形成し、乾燥させた。その後、酸素インジケーター層を設けた基材の表面に2液硬化型ウレタン系接着剤を用いてポリエチレンフィルムをドライラミネーションして酸素インジケーターを作製した。 実施例1と同様にして、但し酸素インジケーター層を設けた基材の表面にポリエチレンフィルムをドライラミネーションしないものを作製した。 [比較例1] 実施例1と同様にして、但しアンカーコート及びオーバーコートのコーティング材料として黄色インキを含まないコーティング材料を用いて酸素インジケーターを作製した。 [比較例2] 比較例1と同様にして、但し酸素インジケーター層を設けた基材の表面にポリエチレンフィルムをドライラミネーションしないものを作製した。 (実験1) 実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2の酸素インジケーターを、ポリ塩化ビニリデンコート延伸ポリプロピレン/ポリエチレン積層フイルムからなる包装袋内に脱酸素剤(商品名:エージレスSA、三菱ガス化学(株)製)と共に入れて密封包装したものに、無酸素下で1000LUXの蛍光灯の光を5日間照射した。その後前記包装袋を開封したときの酸素インジケーターの変色を観察した。 表1に示すように、黄色インキを含むアンカーコート層及びオーバーコート層を備える酸素インジケーター(実施例1、実施2)は赤色から緑色への変色を示したが、黄色インキを含まないアンカーコート層及びオーバーコート層を備える酸素インジケーター(比較例1、比較例2)は、開封後1日たっても変色を示さなかった。 この事から、黄色などの特定の波長をある程度カットするものをアンカーコート中に添加することで耐光性を有する酸素インジケーターの製作が可能となることが分かった。 (実験2) 実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2の酸素インジケーターを脱酸素剤(商品名:エージレスSA、三菱ガス化学(株)製)と共にガスバリア製容器内に密封包装し、ジルコニア式酸素濃度計を用いて容器内酸素濃度を追跡した。容器内の酸素濃度が0.1g容量%未満になったとき、開封し、酸素インジケーターの変色を観察した。 表2に示すように、実施例1、実施例2の酸素インジケーターは開封後無酸素状態から有酸素状態下に置かれると酸素を検知し、一日程度で変色することが確認された。また、そのとき、実施例1、実施例2においては、黄色を帯びたオーバーコート層を通して、比較例1、比較例2の場合とは異なる色で観察されるがその変色は明瞭に視認された。 本発明の酸素インジケータは、包装袋、ガスバリア容器等の容器内に食品及び脱酸素剤と共に封入して用いるもので、長期にわたり光にさらされても酸素の有無の表示が損なわれない耐光性を有するものである。したがって商品の流通期間が長期にわたってもその期間内において容器の密封状態を明確に判断することができ、流通期間の長い商品の管理に有効に活用することができる。本発明の第1の実施の形態の酸素インジケーターの断面図である。第1の実施の形態の断面図である。本発明の酸素インジケーターの第2の実施の形態の断面図である。符号の説明 1 基材 2 遮光性アンカーコート層 3 酸素インジケーター層 4 シーラント層 5 遮光性オーバーコート層 6 基材 基材の上に酸素インジケーター層を設けた酸素インジケーターにおいて、基材は透明な材料からなり、酸素インジケーター層を、基材上に遮光性アンカーコート層を介して、設けたことを特徴とする酸素インジケーター。 酸素インジケーター層の表面を遮光性オーバーコート層で被覆したことを特徴とする請求項1に記載の酸素インジケーター。 基材の上に酸素インジケーター層を設けた酸素インジケーターにおいて、基材は不透明な材料からなり、酸素インジケーターの表面を遮光性オーバーコート層で被覆したことを特徴とする酸素インジケーター。 遮光性アンカーコート層は350nm〜500nmの波長の光の透過率が50%未満の遮光性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の酸素インジケーター。 遮光性オーバーコート層は350nm〜500nmの波長の光の透過率が50%未満の遮光性を有することを特徴とする請求項2または3に記載の酸素インジケーター。 遮光性アンカーコート層及び/または遮光性オーバーコート層が酸素インジケーターが示す色の変化の視認を妨げない色を有することを特徴とする請求項1乃至5の何れか位置項に記載の酸素インジケーター。 遮光性アンカーコート層及び/または遮光性オーバーコート層が黄色を有することを特徴とする請求項6に記載の酸素インジケーター。 酸素インジケーター層が層状珪酸塩を含むインキ組成物層からなることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の酸素インジケーター。 【課題】光照射による劣化を防止した酸素インジケーターを提供する。【解決手段】基材の上に酸素インジケーター層を設けた酸素インジケーターであって、基材は透明な材料からなり、酸素インジケーター層を、基材上に特定波長の光を遮る遮光性アンカーコート層を介して設けたことを特徴とする酸素インジケーターである。更に、酸素インジケーター層の表面を特定波長の光を遮る遮光性オーバーコート層で被覆したことを特徴とする酸素インジケーター。【選択図】 図2