タイトル: | 特許公報(B1)_麦若葉加工物を含有する造粒物 |
出願番号: | 2005063544 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,A23L1/30,A23B7/02,A61K35/74,A61K35/78 |
高垣 欣也 森 貞夫 JP 3706628 特許公報(B1) 20050805 2005063544 20050308 麦若葉加工物を含有する造粒物 株式会社東洋新薬 398028503 南條 博道 100104673 高垣 欣也 森 貞夫 JP 2004200102 20040707 20051012 7A23L1/30A23B7/02A61K35/74A61K35/78 JPA23L1/30 BA23B7/02A61K35/74 AA61K35/78 C 7 A23L 1/00 A61K 9/00 A61K 35/00 JSTPlus(STN) 特開2002−000226(JP,A) 特許第3001880(JP,B2) 特開2002−058458(JP,A) 特開2003−250495(JP,A) 特開平09−070285(JP,A) 特開2001−238641(JP,A) 3 11 20050308 ▲高▼ 美葉子 本発明は、麦若葉加工物を含有する造粒物に関する。より詳細には、麦若葉を利用した加工食品などに用いられる、水への分散性に優れた造粒物に関する。 麦若葉の乾燥粉末(以下、麦若葉末という)やエキス末は、現代人に不足しがちな食物繊維やミネラルなどを補給する目的で、健康食品、特に、いわゆる「青汁」と呼ばれる飲料形態として広く利用されている。麦若葉末やエキス末(以下、これらをまとめて麦若葉末等という場合がある)の製造方法については、これまでに、食感や嗜好性の向上、品質の安定などを目的として種々提案されている(特許文献1参照)。 しかし、この麦若葉末等を食品に利用する場合には、例えば、食品加工において操作性が悪いこと、粉末そのままでは摂取しにくいこと、および青汁などの飲料形態に用いる場合、ダマを形成し易く、分散性が悪いことなどの問題がある。これらの問題を解決するためには、粉末を造粒することが考えられるが、一般に、麦若葉末等は造粒しにくく、賦形剤などと組み合わせても、所定の大きさの造粒物を得ることは困難である。 現在までに、麦若葉末の造粒物についてはいくつか報告されている(特許文献2〜6)。しかし、その多くは、強制的に造粒するなどによって得られた比較的硬度の高い造粒物であるため、分散性に優れているとはいえない。例えば、特許文献4には、乾燥後に粉砕された緑葉色野菜粉末と、乾燥後に粉砕された穀物若葉粉末とを、添加物を一切加えることなく、加圧力のみで所定の顆粒状、粒状などの形態にすることが記載されている。特許文献5には、麦若葉末を特定の条件で押し出し成形することによって、食感に優れ、かつ歯ごたえが良好な咀嚼用の造粒物が得られることが記載されている。 特許文献6は、水への分散性が良好な造粒物を得ることを目的としている。特許文献6には、色素固定のためにブランチングした大麦若葉を裁断し、乾燥し、その乾燥大麦若葉チップを粗大粒子に予備粉砕し、次いで、内部でマッハレベルの超高速渦流が対抗して起風される耐圧ケーシング内において、粗大粒子を衝突させて、植物の細胞壁が破壊される0.3μm〜5.0μmまで粉砕し、粉砕した微小粒子を水に溶け易い粒径に造粒した食品が記載されている。しかし、この食品(造粒物)は、水溶けをよくするために大麦若葉の細胞壁を破壊しなければならないこと、さらに、上記微小粒子を得るためには設備が必要であること、および微小粒子が通常の麦若葉末に比べて非常に細かいため、造粒の際に操作性が悪いことなどの問題がある。 このように、水への分散性に優れた造粒物についてはほとんど検討されていないのが現状である。そこで、水への分散性に優れた麦若葉を含有する新規な造粒物が求められている。特開平2−295462号公報特許3001880号公報特開2002−226号公報特開2003−299461号公報特開2003−250495号公報特開2003−23998号公報 本発明の目的は、水への分散性に優れた、麦若葉加工物を含有する造粒物を提供することにある。本発明の目的はまた、該造粒物からなる食品を提供することにある。 本発明者らは、水への分散性に優れた造粒物について鋭意検討を行った。その結果、麦若葉加工物、ヘミセルロース、特定分子量を有する難消化性デキストリン、および難消化性オリゴ糖を特定割合で含有することによって、水への分散性に優れた造粒物が得られることを見出して本発明を完成するに至った。 本発明の造粒物は、麦若葉加工物(A)、ヘミセルロース(B)、重量平均分子量が300〜1200の難消化性デキストリン(C)、および難消化性オリゴ糖(D)を含有し、該(A)の乾燥質量100質量部に対して、該(B)が0.1〜15質量部、該(C)が5〜90質量部、および該(D)が1〜20質量部の割合で含有され、かつ該(A)、該(B)、該(C)、および該(D)の合計量が、乾燥質量換算で40〜100質量%となるように含有される。 本発明の造粒物はまた、さらに、乳酸菌(E)を含有する。 本発明の食品は、上記造粒物からなる。 本発明の造粒物は、水への分散性に優れている。従来、水への分散性が悪かった麦若葉末の代わりに、この造粒物を用いることによって、麦若葉末の水への分散性を改良することができ、したがって、麦若葉が均一に分散された飲料などの液状の食品を提供することができる。本発明の造粒物は、さらに保存安定性にも優れている。本発明の造粒物は、また食品、特に飲料用途に用いる顆粒剤などとして利用される。 以下、本発明の造粒物および該造粒物からなる食品を詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の記載のみに限定されず、当業者が理解し得る特許請求の記載の範囲内で種々の変更が可能である。 本発明の造粒物は、麦若葉加工物(A)、ヘミセルロース(B)、重量平均分子量が300〜1200の難消化性デキストリン(C)、および難消化性オリゴ糖(D)を特定割合で含有し、必要に応じて、乳酸菌(E)およびその他の成分(F)を含有し得る。まず、本発明の造粒物に含有される成分について説明する。 (A)麦若葉加工物 本発明の造粒物に含まれる麦若葉加工物(以下、A成分という場合がある)は、大麦、小麦、ライ麦、燕麦などの麦類の若葉を乾燥して粉末化した乾燥粉末、乾燥前に圧搾して得られた搾汁、該搾汁を乾燥した搾汁乾燥粉末、水または有機溶媒で抽出して得られたエキス、該エキスをさらに乾燥したエキス末などをいう。 麦若葉加工物の原料となる麦若葉としては、例えば、分けつ開始期から出穂開始期(背丈が20〜40cm程度)までに収穫した麦若葉を用いる。収穫した麦若葉は、通常、水などで洗浄し、適切な長さ(例えば、10cm)に切断した後、必要に応じて、素材の変質(緑色の褪色や風味の変化)を防ぐために、ブランチング(熱水)処理、マイクロウェーブ処理などを施す。栄養分保持の観点から、ブランチングは短時間であることが好ましい。 乾燥粉末とする場合は、水分含量が5質量%以下となるように乾燥して粉末化する。乾燥は、凍結乾燥、あるいは90℃以下の低温加熱乾燥(例えば、温風乾燥)により行うことが好ましい。粉末化は、得られる粉末の平均粒径が、好ましくは10〜300μm、より好ましくは20〜200μmとなるように当業者が通常用いる粉砕方法により行われる。このようにして得られる麦若葉の乾燥粉末は、上記のように、麦若葉を搾汁することなく、そして、栄養分を損なわないような条件下で乾燥粉末化しているために、麦若葉の栄養成分をそのまま含んでいる。さらにこの乾燥粉末は、食物繊維を多く含み、その大部分は、不溶性食物繊維である。 麦若葉の搾汁を得るためには、当業者が通常使用するスライス、細断などの植物体を細片化する手段により、例えば、麦若葉をミキサー、ジューサー、ブレンダー、マスコロイダーなどにかけ、麦若葉をどろどろした粥状(液体と固体の懸濁液)にスラリー化し、遠心分離、濾過などによって固液分離して麦若葉搾汁とすることができる。あるいは、麦若葉を直接または細片化した後、圧搾してもよい。このようにして得られた搾汁を、上記乾燥粉末の場合と同様に乾燥して、搾汁の乾燥粉末とすることができる。 麦若葉のエキスは、麦若葉に水、エタノール溶液などの当業者が通常用いる抽出溶媒を加え、必要に応じて加温して抽出したものであり、これを濃縮したものも含む。麦若葉エキス末は、麦若葉エキスを乾燥粉末化したものである。 (B)ヘミセルロース 本発明の造粒物に含まれるヘミセルロース(以下、B成分という場合がある)は、植物細胞壁中でセルロースと結合して存在する多糖類の総称であり、例えば、植物体をアルカリ処理することによって得られる。糖の種類によって、キシラン、β−グルカン、キシログルカン、マンナンなどに分類される。また、ヘミセルロースは、その抽出過程からも分類されており、植物体よりアルカリ抽出した後に酢酸などで中和して生じる沈殿物に含まれる水不溶性の「ヘミセルロースA」、さらにエタノールを添加することによって生じる沈殿物に含まれる水可溶性の「ヘミセルロースB」、および植物体からアルカリ抽出した後に残る残渣を水酸化ナトリウム溶液で抽出し、中和した時に生ずる沈殿に含まれる「ヘミセルロースC」が存在する。本発明では、造粒性および水への分散性の点から、水可溶性のヘミセルロースBが好ましく用いられる。 (C)重量平均分子量が300〜1200の難消化性デキストリン 本発明の造粒物の必須成分の1つは、重量平均分子量が300〜1200の難消化性デキストリン(以下、C成分という場合がある)である。この難消化性デキストリンは、造粒性の向上および水への分散性の改善の目的で含有される。この難消化性デキストリンは、水溶性で、かつ水溶液中において粘度が低く、例えば、馬鈴薯、トウモロコシ、タピオカ、または小麦由来のデンプンを加工することによって得られる。タピオカ由来の難消化性デキストリンが好適に用いられる。造粒性の向上および水への分散性のさらなる改善の点から、重量平均分子量が400〜1000の難消化性デキストリンが好適である。 (D)難消化性オリゴ糖 本発明の造粒物に含まれる難消化性オリゴ糖(以下、D成分という場合がある)は、ヒト消化管内の消化酵素では消化されにくいオリゴ糖であり、具体的には、キシロオリゴ糖のようなホモオリゴ糖、およびガラクトシルスクロース、大豆オリゴ糖、転移ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ラクチュロース、ラフィノース、パラチノースオリゴ糖などのヘテロオリゴ糖が挙げられる。中でも得られる造粒物の嗜好性および保存安定性の点から、フラクトオリゴ糖が好ましい。 (E)乳酸菌 本発明の造粒物には、栄養の点などから、乳酸菌(以下、E成分という場合がある)を含有することが好ましい。このような乳酸菌としては、具体的には、バチルス・コアグランスなどの有胞子性の乳酸菌、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ヘルベチカス、ラクトバチルス・デルブロイキ、ストレプトコッカス・サーモフィラスなどの亜種が挙げられる。好ましくは有胞子性の乳酸菌である。加工時または保管中の損失が少ない点から乳酸菌をコート処理することが好ましい。乳酸菌は、一般的には、造粒しにくいものであるが、本発明の造粒物は、乳酸菌を含むことができる。 (F)その他の成分 本発明の造粒物は、必要に応じて、上記(A)〜(E)の成分以外のその他の成分(以下、F成分という場合がある)を含む。このようなF成分としては、例えば、麦若葉以外の植物原料由来の乾燥粉末またはエキス末、ローヤルゼリー、ビタミン、プロテイン、ペプチド、アミノ酸、カルシウム、キトサン、レシチン、あるいは当業者が食品に通常用いる添加剤などが挙げられる。 麦若葉以外の植物原料由来の乾燥粉末またはエキス末としては、ケール、アシタバ、桑葉などのいわゆる「青汁」として利用され得る植物原料由来の乾燥粉末やエキス末が挙げられる。 添加剤は、目的に応じて、例えば、以下のものを適宜含有することができる:賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤などは、本発明の造粒物の形状に成形する目的あるいは成形性の向上の目的で含まれ得る。サンゴカルシウムなどミネラル類は、栄養補助の目的で含まれ得、バランスの良い食品組成物を得ることができる。さらに、着色料、香料、食品添加物、糖アルコール類(還元麦芽糖、キシリトール、エリスリトール等)、調味料などは、本発明の食品組成物の嗜好性を向上させるために含まれ得る。 (本発明の造粒物および該造粒物を含有する食品) 本発明の造粒物は、上記麦若葉加工物(A成分)、ヘミセルロース(B成分)、重量平均分子量が300〜1200の難消化性デキストリン(C成分)、および難消化性オリゴ糖(D成分)を特定割合で含有し、必要に応じて、乳酸菌(E成分)およびその他の成分(F成分)を含有し得る。 本発明の造粒物中のA成分〜D成分は、A成分の乾燥質量100質量部に対して、B成分が0.1〜15質量部、好ましくは0.5〜10質量部;C成分が5〜90質量部、好ましくは5〜70質量部;およびD成分が1〜20質量部、好ましくは3〜20質量部の割合となるように含有される。このような範囲でA成分〜D成分が混合された組成物は、造粒性が良好であり、容易に造粒することができる。 上記B成分の含有量が0.1質量部未満の場合は、造粒できず、水への分散性も悪くなる。15質量部を超える場合は、水への分散性が悪くなる。上記C成分の含有量が5質量部未満の場合は、造粒が不十分であり、得られる造粒物の水への分散性も悪くなる。90質量部を超える場合は、造粒できない。上記D成分の含有量が1質量部未満の場合は、造粒が不十分であり、得られる造粒物の水への分散性も悪くなる。20質量部を超える場合は造粒が不十分であり、得られる造粒物の水への分散性も不十分である。 本発明の造粒物は、さらにA成分〜D成分の合計量が、乾燥質量換算で40〜100質量%、好ましくは50〜100質量%となるように含有される。A成分〜D成分の合計量が40質量%未満の場合は、造粒できず、水への分散性も悪くなる。 本発明の造粒物にE成分が含有される場合、E成分の含有量は、造粒物中に0.0001質量%以上8質量%未満であることが好ましい。なお、E成分の乳酸菌は、上記A成分〜D成分とともに混合して造粒してもよいし、あるいは、A成分〜D成分を含有する造粒物を予め得た後で直接付与してもよい。いずれの場合も、水への分散性に優れた造粒物が得られる。乳酸菌が不活化される可能性が少ない点で、造粒物に直接付与することが好ましい。 本発明の造粒物は、食品として利用される。食品の形態については特に制限されない。例えば、造粒物をそのまま顆粒状(細粒状)の食品として用いてもよい。この顆粒状の食品は、麦若葉末に比べて摂取し易い点で有用である。さらに、ペースト状、液状(水、湯、牛乳など)、または飴状の食品に添加してもよいし、他の固体状の食品と混合してもよい。特に、上記造粒物は、水への分散性に優れているため、液体製品などへの添加用製剤として、飲料、調味料などの液状の食品に用いることが好ましい。例えば、水に上記造粒物を添加することによって、麦若葉が均一に分散された飲料などを容易に調製することができる。また、必要に応じて、例えば、ハードカプセル、ソフトカプセルなどのカプセル剤、錠剤、もしくは丸剤などの形態に、あるいはティーバッグ状などの形態にすることも可能である。また、ティーバッグ状などの場合、成分を浸出させてから飲んでもよい。 本発明の造粒物は、水への分散性に優れ、さらに保存安定性にも優れている。この造粒物は、食品などとして利用される。特に、上記造粒物を飲料用途に用いることによって、麦若葉が均一に分散された飲料を提供することができる。従来、麦若葉末単独では、水への分散性が不十分であった。さらに分散性を向上させる目的で、麦若葉末単独であるいは賦形剤などと組み合わせて造粒を行ってみても、造粒物を得ること自体が困難であり、また強制的に造粒物を得た場合には、所望の分散性は得られなかった。したがって、特に青汁などの飲料形態に利用する場合には麦若葉が均一に分散できず不都合であった。本発明は、上記課題を解決する造粒物を提供するものである。 以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、以下の実施例に制限されないことは言うまでもない。 (実施例1:食品の調製) 麦若葉末(平均粒径が約100μmの粉末、株式会社東洋新薬)、ヘミセルロース(日本食品化工株式会社)、キシロオリゴ糖(サントリー株式会社)、フラクトオリゴ糖(明治製菓株式会社)、還元麦芽糖(株式会社林原商事)、デキストリン、水溶性食物繊維(重量平均分子量が600の難消化性デキストリン:松谷化学工業株式会社)、乳酸菌末(コート処理済、セルバイオテック社)、サンゴカルシウム、および抹茶を、以下の表1に記載の量で混合し、流動層造粒を行って、顆粒の食品調製例1および2ならびに比較調製例1の3種類の食品を調製した。 (1)水分散性の評価 上記実施例1で得た3種類の顆粒の食品を3gずつ各5検体準備し、各検体を150mLの水に添加し、30秒間攪拌した後に、各食品の水への分散性を下記基準によって評価を行った。 (分散性の評価基準) 均一に分散している : 3点 一部沈殿が見られる : 2点 ほとんどが沈殿している : 1点 各食品の5検体の合計値は、食品調製例1および2では15点であり、そして比較調製例1では11点であった。このように、(A)〜(D)のすべての成分を含む食品調製例1および2の食品の方が、水への分散性が優れ、沈殿もほとんどみられなかった。 (実施例2:食品の調製) 麦若葉末(平均粒径が約100μmの粉末、株式会社東洋新薬)、ヘミセルロース(日本食品化工株式会社)、水溶性食物繊維(重量平均分子量が600の難消化性デキストリン:松谷化学工業株式会社)、フラクトオリゴ糖(明治製菓株式会社)、乳酸菌末(コート処理済、セルバイオテック社)、還元麦芽糖(株式会社林原商事)、サンゴカルシウム、および重量平均分子量が1600の難消化性デキストリン(トウモロコシ由来の難消化性デキストリン、松谷化学工業株式会社)を、以下の表2に記載の量で混合し、流動層造粒を行って、顆粒の食品調製例3および比較調製例2〜8の8種類の食品を調製した。食品調製例3および比較調製例2〜7で得られた7種類の食品の造粒性、水への分散性、および保存安定性を以下の方法で評価した。さらに、食品調製例3、比較調製例4、および比較調製例8で得られた3種類の食品の嗜好性を以下の方法で評価した。結果を表2に併せて示す。 (1)造粒性の評価 得られた食品を目視にて観察し、以下の基準にて評価した: 得られる顆粒の大きさが十分であり、その量も粉末の量に比べて多い : ○ 造粒されているものの、得られる顆粒の量が粉末の量に比べて少ない : △ 造粒されず、粉末のままである : × (2)水分散性の評価 実施例1と同様の方法を用いて評価した。なお、上記方法において、合計点が13点以上の場合は水分散性が良好であるとして○とし、合計点が10〜12点の場合は水分散性が不十分であるとして△を、10点未満の場合は水分散性が悪いとして×とした。 (3)保存安定性の評価 食品3gをそれぞれアルミパウチに入れて密封した後、40℃にて1ヶ月間保存した。保存期間終了後、アルミパウチから取り出した食品と、冷暗所(約4℃)に保存した食品とを目視にて比較して、以下の基準で評価した: 冷暗所に保存した食品に比べて特に変化はなく、吸湿についても差がない: ○ 冷暗所に保存した食品に比べて若干吸湿している : △ 冷暗所に保存した食品に比べて吸湿が著しい : × (4)嗜好性の評価 食品調製例3、比較調製例4、および比較調製例8で得られた3種類の食品3gをそれぞれ150mLの水に溶解して飲料を調製した。各飲料を5名の女性パネラーに試飲させ、最も好ましい飲料を選択させた。最も好ましいと答えた人数の多い飲料から順に○、△、および×と評価した。 表2の結果から、食品調製例3の麦若葉末(A成分)、ヘミセルロース(B成分)、水溶性食物繊維(重量平均分子量が600の難消化性デキストリン、C成分)、および難消化性オリゴ糖(D成分)を所定量含有する食品は、容易に造粒することができ、分散性および保存安定性に優れていることが分かる。また、沈殿もほとんどみられなかった。 一方、本発明の範囲を満たさない比較調製例2〜7の各食品は、造粒できないものが多く、いずれも水への分散性が不十分なものであった。すなわち、比較調製例2の食品は、C成分が含有されていないため、造粒性が不十分であり、得られる造粒物の水への分散性も悪かった。比較調製例3の食品は、C成分の含有量が高いため、造粒できず、水への分散性も不十分であった。比較調製例4の食品は、D成分の含有量が高いため、造粒性が不十分であり、得られる造粒物の水への分散性も不十分であった。比較調製例5の食品は、B成分が含有されていないため、造粒できず、水への分散性も悪かった。比較調製例6の食品は、造粒は良好であるもの、B成分の含有量が高いため、水への分散性が悪かった。比較調製例7の食品は、C成分の含有量が低いため、造粒できず、水への分散性も悪かった。なお、保存安定性については、比較調整例3および4の食品が劣る傾向にあった。 嗜好性については、食品調製例3の食品が、比較調製例4および8の食品に比べて優れていた。特に食品調製例3の食品の甘味が適度であるという意見が得られた。 本発明の造粒物は、水への分散性に優れている。したがって、麦若葉が均一に分散された飲料などの液状の食品を提供することができる。本発明の造粒物は、食品、特に飲料用途に用いる顆粒剤などとして利用される。 麦若葉加工物(A)、ヘミセルロース(B)、重量平均分子量が600の難消化性デキストリン(C)、および難消化性オリゴ糖(D)を含有する、流動層造粒法によって造粒された造粒物であって、 該(A)の乾燥質量100質量部に対して、該(B)が0.1〜15質量部、該(C)が5〜90質量部、および該(D)が1〜20質量部の割合で含有され、かつ 該(A)、該(B)、該(C)、および該(D)の合計量が、乾燥質量換算で40〜100質量%となるように含有される、造粒物。 さらに、乳酸菌(E)を含有する、請求項1に記載の造粒物。 請求項1または2に記載の造粒物からなる、食品。【課題】 水への分散性に優れた麦若葉加工物を含有する造粒物を提供すること。【解決手段】 麦若葉加工物(A)、ヘミセルロース(B)、重量平均分子量が300〜1200の難消化性デキストリン(C)、および難消化性オリゴ糖(D)を含有する造粒物であって、 該(A)の乾燥質量100質量部に対して、該(B)が0.1〜15質量部、該(C)が5〜90質量部、および該(D)が1〜20質量部の割合で含有され、かつ 該(A)、該(B)、該(C)、および該(D)の合計量が、乾燥質量換算で40〜100質量%となるように含有される、造粒物。【選択図】 なし