タイトル: | 公開特許公報(A)_高甘味度甘味料の呈味改善剤 |
出願番号: | 2005061146 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | A23L 1/226,A23L 1/22,A23L 1/236,A61K 47/26,A23L 1/06,A23L 2/38,A23L 2/60 |
齊藤 憲二 馬場 良子 増田 秀樹 アンドレア ヘンツ トーマス ホフマン JP 2006238828 公開特許公報(A) 20060914 2005061146 20050304 高甘味度甘味料の呈味改善剤 小川香料株式会社 591011410 齊藤 憲二 馬場 良子 増田 秀樹 アンドレア ヘンツ トーマス ホフマン A23L 1/226 20060101AFI20060818BHJP A23L 1/22 20060101ALI20060818BHJP A23L 1/236 20060101ALI20060818BHJP A61K 47/26 20060101ALI20060818BHJP A23L 1/06 20060101ALN20060818BHJP A23L 2/38 20060101ALN20060818BHJP A23L 2/60 20060101ALN20060818BHJP JPA23L1/226 HA23L1/22 EA23L1/236 AA23L1/236 CA23L1/236 ZA61K47/26A23L1/06A23L2/38 ZA23L2/00 C 5 OL 11 4B017 4B041 4B047 4C076 4B017LC02 4B017LK06 4B017LK11 4B041LC01 4B041LD02 4B041LK05 4B041LK13 4B047LB08 4B047LB09 4B047LG05 4B047LG17 4B047LG20 4B047LG21 4B047LG32 4C076DD69T 4C076FF52 本発明は高甘味度甘味料の呈味改善剤に関するものである。更に詳しくは、高甘味度甘味料の不快な後味を改善する呈味改善剤に関する。 近年の健康指向の高まりから、ショ糖の使用を控え、甘味料としてアスパルテーム、ステビア、スクラロース、アセスルファムKなどの高甘味度甘味料を使用した商品が増加している。このような高甘味度甘味料はショ糖の数百倍から数千倍の甘味を有し、少ない添加量で飲食物にショ糖と同等の甘味を付与するという優れた性能を持つ反面、後味として甘味が持続し続けるため味の切れが悪く、結果として呈味の質がショ糖に比して劣るという欠点を有している。そのため、高甘味度甘味料の汎用的使用に関しては、その後味の改善が最大の課題となっている。 高甘味度甘味料の呈味改善については、L−アスパラギン等のアミノ酸や、グルコン酸、クエン酸等の有機酸やその塩を使用する方法(特許文献1〜3)、高甘味度甘味料とルチン、ヘスペリジン等の天然物を組み合わせる方法(特許文献4、5)、ガラクトマンナン分解物、ニゲロオリゴ糖、ビートオリゴ糖、マンノース等の糖類を高甘味度甘味料の味質改善に用いる方法(特許文献6〜9)、さとうきび由来のバガス抽出物や酵素処理イチョウ葉エキス等の植物由来の抽出物を高甘味度甘味料に配合する方法(特許文献10、11)などが提案されており、本発明者らもコーヒー豆を酵素又はアルカリで加水分解処理して得られた処理物を精製して得られるキナ酸を甘味改善剤として用いることにより、高甘味度甘味料の不快な後味を抑制する方法を提案している(特許文献12)。しかしながら、このような既存の方法は、少ない添加量では不快な後味を十分に低減できず、添加量を増やすと食品本来の味、香りを変化させるといった問題点を有していた。特開2000−270804号公報特開2003−210147号公報特開昭60−188035号公報特開平10−146165号公報特開平8−256725号公報特開平9−19268号公報特開平10−234331号公報特開2000−197462号公報特開2002−272411号公報特開2000−217540号公報特開2003−180288号公報特開2001−321115号公報 本発明が解決しようとする課題は、高甘味度甘味料の不快な後味を少ない添加量で効果的に抑制する呈味改善方法を提供することである。さらに本発明は、高甘味度甘味料に特有の苦味、エグ味及び刺激味を低減する呈味改善剤を提供することを目的とする。 本発明者らは上記従来技術の問題点を解決すべく鋭意研究した結果、高甘味度甘味料を含有する飲食物及び医薬品にビセニン−2を添加すると、高甘味度甘味料に特有の不快な後味が抑制されることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明はビセニン−2からなる高甘味度甘味料の呈味改善剤であり、さらに本発明はビセニン−2を有効成分として含有することを特徴とする高甘味度甘味料の呈味改善剤であり、また、高甘味度甘味料がアスパルテーム、ステビア、スクラロース、アセスルファムKであることを特徴とする。本発明はさらに高甘味度甘味料又は高甘味度甘味料を含有する飲食物又は医薬品に前記高甘味度甘味料の呈味改善剤を添加することを特徴とする、高甘味度甘味料による不快な後味の抑制方法である。さらに本発明は前記高甘味度甘味料の呈味改善剤を含有することを特徴とする高甘味度甘味料組成物である。 本発明の高甘味度甘味料の呈味改善剤により、高甘味度甘味料の後味が改善され、風味良好な飲食物及び医薬品を提供することができる。 本発明のビセニン−2 (vicenin―2)は、6,8−ジ−C−β−グルコシルアピゲニン (6,8−Di−C−β−glucosylapigenin)であり、化学式(1)に示される構造の物質である。(図中glcはグルコース残基を表す。)CAS番号:23666−13−9 組成式:C27H30O15分子量:594.52 ビセニン−2は柑橘類の果汁、果皮、葉、スミレの草体、茶葉等に含まれることが知られている。本発明に用いる場合、十分に精製されたものであれば、いずれの起源のものであっても問題なく使用できる。また、ビセニン−2は必ずしも十分に精製したものでなくとも、その効果を有せば粗精製物として用いることも経済的に有利な場合がある。ビセニン−2を粗精製物の形で使用する場合には、その原料は食経験のあるものが望ましい。ビセニン−2はオレンジ等の柑橘類の果汁、果皮から単離することができるが、そのほかの起源であってもよく、また有効量のビセニン−2を含み、香や味、色が許容できる範囲であれば、粗抽出物や、脱色などの簡単な精製操作を行なっただけの状態であってもよい。例えばビセニン−2又はビセニン−2の粗精製物はChemical&Pharmaceutical Bulletin Vol.51,P.1204−1207,2003又は日本農芸化学会誌, Vol.58,p.137−143,1984記載の方法で得ることができる。 またビセニン−2又はビセニン−2の粗精製物は、柑橘類の果汁又は果皮の水又は水−エタノール抽出液から、スチレン−ジビニルベンゼン共重合物などの合成吸着樹脂等による吸着、及びこの樹脂をエタノール又は水−エタノール混合物などの適当な極性を持つ溶媒で溶出する方法等でも得ることができる。こうして得られたビセニン−2粗精製物は不純物を含むが、香味に問題が無ければそのまま使用することができる。この粗精製物は必要に応じてさらに濾過、濃縮、活性炭による脱臭、脱色処理、液−液分配、逆相クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、再結晶等の公知の技術により精製することができる。また酵素処理によりヘスペリジンなどの難溶解性の不純物を分解する方法を組み合わせることも有効である。本発明の高甘味度甘味料の呈味改善剤をビセニン−2粗精製物の形態で用いるときは、該粗精製物はビセニン−2を固形分当たり0.1質量%以上含む必要がある。本発明の効果を高め、使用性を向上させるという観点からは、さらには2質量%以上含むものが望ましい。 こうして得られたビセニン−2、又はその粗精製物は公知の方法で製剤化を行うことができる。例えば、水、エタノール、グリセリンなどの飲食可能な溶媒で溶液又はスラリーとする、若しくは凍結乾燥、又は噴霧乾燥を行い粉末にする、等である。このときデキストリンや糖、果汁等の飲食物、を加えても良いし、界面活性剤、調味料、苦味料、酸味料、香料、強化剤、抗酸化剤、色素等の食品添加物を加えても良い。またフラボノイド誘導体、キナ酸などを含有する風味改善剤等を添加することもできる。 高甘味度甘味料とは、ショ糖の数百倍から数千倍もの甘みを持つ天然及び合成の化合物である。ショ糖より少ない添加量でショ糖と同等の甘味を与えることができるので、ショ糖の代わりに使用すれば低カロリーの飲食物等を提供できる。本発明の呈味改善剤が使用できる高甘味度甘味料としては、アスパルテーム、ステビア、スクラロース、アセスルファムK、アリテーム、ネオテーム、グリチルリチン,グリチルリチン酸2カリウム,グリチルリチン酸2ナトリウム,グリチルリチン酸アンモニウム塩、ソーマチン、サッカリン、サッカリンナトリウム等を挙げることができる。 本発明の高甘味度甘味料の呈味改善剤は、高甘味度甘味料を含有する飲食物、医薬品に特に制限なく使用することができるが、具体的には果実類の加工品、野菜類の加工品、魚介類の加工品、練製品、調理食品、総菜類、スナック類、珍味類、加工食品、栄養食品、茶飲料及びコーヒー飲料などの嗜好飲料、果汁飲料、炭酸飲料、清涼飲料、機能性飲料、アルコール飲料、スポーツドリンク、栄養ドリンク、アイスクリーム、シャーベット等の冷菓類、ゼリー、キャンディー、グミ、ガム、プリン、羊かん等のデザート類、クッキー、ケーキ、チョコレート、チューイングガム、饅頭等の菓子類、菓子パン、食パン等のパン類、ジャム類、ラムネ、タブレット、錠菓類などがあげられる。さらに、日本料理のだし、例えば、鰹節、魚介類、昆布、シイタケ、鶏肉、野菜類などのだし汁及び和風調味料、又は、西洋料理のスープストック、牛肉、鶏肉、豚肉、魚介類、野菜類などのだし汁及び洋風調味料、又は、中華料理のタン(湯)、たとえば、牛肉、鶏肉、豚肉、魚介類、野菜類などからとったスープ及び中華調味料、漢方薬を含む経口医薬品、歯磨き、口腔剤等をあげることができるが、これらに限定されるものではない。飲食物等に対する本発明の呈味改善剤の添加量は、ビセニン−2として0.1〜100mg/kgの濃度が適当であるが、飲食物等に呈味改善剤自身の香味が影響を及ぼさない範囲内で添加するという観点からは1〜50mg/kgの濃度で添加することが好ましい。 以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例の記載に限定されるものではない。〔参考例1〕ビセニン−2粗精製物A 5倍濃縮バレンシアオレンジ果汁(宮崎農協より購入)1kgに蒸留水4kgを加えて希釈した。ここに合成吸着樹脂(商品名SP−70三菱化学株式会社製)100mlを不織布の袋に詰めて投入し、12時間撹拌しながらビセニン−2を吸着させた。合成吸着樹脂を取り出し、蒸留水で洗浄した後、30%のエタノール水溶液でビセニン−2を溶出した。溶出液から、エバポレーター及び凍結乾燥機により溶媒を除去し、ビセニン−2を1.6質量%含有するビセニン−2粗精製物Aを5.0g得た。〔参考例2〕ビセニン−2粗精製物B 5倍濃縮バレンシアオレンジ果汁(宮崎農協より購入)1kgに蒸留水4kgを加えて希釈した。ここに合成吸着樹脂(商品名SP−70三菱化学株式会社製)100mlを不織布の袋に詰めて投入し、12時間撹拌しながらビセニン−2を吸着させた。合成吸着樹脂を取り出し、蒸留水で洗浄した後、95%のエタノール水溶液でビセニン−2を溶出した。溶出液から、エバポレーター及び凍結乾燥機により溶媒を除去し、ビセニン−2を1.1質量%含有するビセニン−2粗精製物Bを6.25g得た。〔参考例3〕ビセニン−2粗精製物C 5倍濃縮バレンシアオレンジ果汁(宮崎農協より購入)1kgに蒸留水4kgを加えて希釈した。ヘスペリジナーゼ(商品名 可溶性ヘスペリジナーゼ<タナベ>2号 田辺製薬株式会社製)50gを添加し、40℃で13時間ヘスペリジンを分解した後、ここに合成吸着樹脂(商品名SP−70三菱化学株式会社製)100mlを不織布の袋に詰めて投入し、12時間撹拌しながらビセニン−2を吸着させた。合成吸着樹脂を取り出し、蒸留水で洗浄した後、30%のエタノール水溶液でビセニン−2を溶出した。溶出液から、エバポレーター及び凍結乾燥機により溶媒を除去し、ビセニン−2を2.4質量%含有するビセニン−2粗精製物Cを5.1g得た。〔参考例4〕ビセニン−2精製物E ビセニン−2粗精製物Aを10質量%になるように10%のエタノール溶液に懸濁し、不溶性の沈殿(主にヘスペリジン)を除去した後、LH−20(アマシャム バイオサイエンス株式会社製)を用いたゲル濾過クロマトグラフィーに供した。10%のエタノール水溶液により順次溶出した画分の335nmにおける吸光度をモニターし、ビセニン−2を含む画分を分取した。この画分の溶媒除去を行いビセニン−2粗精製物D 250mgを得た。ついでビセニン−2粗精製物Dの10質量%エタノール溶液を室温で静置することで、淡黄色の結晶を得た。この結晶を10%エタノールで2回洗浄した後乾燥し、ビセニン−2を95質量%含有するビセニン−2精製物Eを60mg得た。〔参考例5〕ビセニン−2精製物F ビセニン−2粗精製物Aを10質量%になるように10%のエタノール溶液に懸濁し、不溶性の沈殿(主にヘスペリジン)を除去した後、LH−20(アマシャム バイオサイエンス株式会社製)を用いたゲル濾過クロマトグラフィーに供した。10%のエタノール水溶液により順次溶出した画分の335nmにおける吸光度をモニターし、ビセニン−2を含む画分を分取した。この画分の溶媒除去を行いビセニン−2粗精製物D 250mgを得た。ついでビセニン−2粗精製物Dを10質量%になるように10%エタノールに溶解し、浸水型逆相系充填剤ODS(ナカライテスク株式会社製「Cosmosil 75 C18−OPN」)を用いて分画した。水:エタノール=90:10から順次エタノール濃度を上げ、溶出した溶出物の280nmにおける吸光度をモニターすることにより、ビセニン−2を含む画分を分取した。この画分の溶媒を除去し、淡黄色の結晶として280nmにおけるHPLC純度99%のビセニン−2精製物F40mgを得た。 ビセニン−2精製物Fのメタノール溶液のUVスペクトルは、270nm及び335nmに吸収極大がみられた。プロトン及びカーボン13核磁気共鳴スペクトルの測定結果を以下示す。測定にはブルカーバイオスピン株式会社製AVANCE400を用い、磁場強度は400MHz、溶媒は重水を加えたDMSO−d6、測定温度は37℃とした。スペクトルデータを、δ:ppm、カップリング定数J:Hz単位で表し、シグナルの形はシングレットをs、ダブレットをd、線幅の広がったシングレットをbr s、線幅の広がったダブレットをbr d、マルチマーをmで表した。またスペクトルに相当する原子の位置を、例えば1位の炭素はC−1、これに結合したプロトンはH−1のように示した。 ビセニン-2精製物Fのプロトン核磁気共鳴スペクトルは、δ: 6.76(s,H−3)、8.00(d,J=8.0, H−2’,6’)、6.93(m,J=8.0,H−3’,5’)、4.83(d,J=10.0,H−1’’)、3.50(m, H−2’’)、3.37(m,H−3’’)、3.38(m,H−5’’)、3.60(m,H−6’’)、3.65(m,H−6’’)、4.77(d,J=10.0,H−1’’’)、3.89(m,H−2’’’)、3.32(m,H−3’’’)、3.25(m,H−5’’’)、3.53(m,H−6’’’)、3.76(m,H−6’’’)であった。またこの試料についてNOESYを測定したところ8.00(d,J=8.0,H−2’,6’)と4.77(d,J=10.0,H−1’’’)及び3.89(m,H−2’’’)の間に相関が見られた。またこの試料のカーボン13核磁気共鳴スペクトルはδ:164.5(C−2)、103.1(C−3)、182.6(C−4)、104.3(C−4a)、158.6(C−5)、107.5(C−6)、161.3(C−7)、105.5(C−8)、155.5(C−8a)、121.9(C−1’)、129.3(C−2’,6’)、116.2(C−3’,5’)、161.0(C−4’)、74.4(C−1’’)、72.2(C−2’’)、77.8(C−3’’)、81.1(C−5’’)、60.1(C−6’’)、73.6(C−1’’’)、71.3(C−2’’’)、78.9(C−3’’’)、82.0(C−5’’’)、61.6(C−6’’’)であった。ビセニン−2精製物Fに少量の炭酸ナトリウムを添加した場合のプロトン核磁気共鳴スペクトルは、δ:6.51(br s,H−3)、7.93(d,J=7.6,H−2’,6’)、6.94(d,J=8.8,H−3’,5’)、4.91(br d,J=10.0,H−1’’)、3.90(m,H−2’’)、3.38(m,H−3’’)、4.73(d,J=10.0,H−1’’’)、4.07(m,H−2’’’)、3.32(m,H−3’’’)であった。〔実施例1〕 参考例1のビセニン−2粗精製物A 2.0gを、エタノールの50質量%水溶液38.0gに加え十分に撹拌、抽出した。この懸濁液を濾過して沈殿を除去し、ビセニン−2を0.08質量%含有する本発明の呈味改善剤組成物Aを調製した。このものを蒸留水で1.0質量%になるように希釈し安定性を試験したところ、経時的な濁り、沈殿等はみられなかった。〔実施例2〕参考例2のビセニン−2粗精製物B 2.5gを、エタノールの50質量%水溶液37.5gに加え十分に撹拌、抽出した。この懸濁液を濾過して沈殿を除去し、ビセニン−2を0.07質量%含有する本発明の呈味改善剤組成物Bを調製した。このものを蒸留水で1.0質量%になるように希釈し安定性を試験したところ、経時的な濁り、沈殿等はみられなかった。〔実施例3〕参考例3のビセニン−2粗精製物C 2.0gを、エタノールの50質量%水溶液38.0gで溶解し、ビセニン−2を0.12質量%含有する本発明の呈味改善剤組成物Cを調製した。このものを蒸留水で1.0質量%になるように希釈し安定性を試験したところ、経時的な濁り、沈殿等はみられなかった。〔実施例4〕参考例4のビセニン−2精製物E 0.4gを、エタノールの50質量%水溶液49.6gで溶解し、本発明の呈味改善剤組成物Eを調製した。このものを蒸留水で1.0質量%になるように希釈し安定性を試験したところ、経時的な濁り、沈殿等はみられなかった。〔試験例1〕高甘味度甘味料アスパルテームに対する効果 アスパルテーム(商品名:PAL アスパルテーム 味の素株式会社製)0.05質量%、クエン酸0.1質量%、オレンジフレーバー(小川香料株式会社製)0.1質量%を含む水溶液に、本発明の呈味改善剤組成物A、B、及びEを、それぞれ1.0質量%、1.0質量%、0.25質量%(ビセニン−2の濃度は、それぞれ8.0mg/kg、7.0mg/kg、及び19mg/kg)添加したサンプルを調製した。また比較例として、本発明の呈味改善剤組成物の代わりにヘスペリジン誘導体(商品名αGヘスペリジン、江崎グリコ株式会社製)を20mg/kgとなるように添加したサンプルを調製した。各サンプルについて、訓練されたパネラー10名により「後味として残る不快な甘味」を評価項目として官能評価を行った。評価点は、ビセニン製剤無添加の対照液を4点、「後味として残る不快な甘味」がかなり改善されたものを7点、「後味として残る不快な甘味」がかなり強まったものを1点とした。評価結果の平均値を表1に示した。 表1の結果より、呈味改善剤組成物A、B及びEはいずれもヘスペリジン誘導体と同程度以上アスパルテームの後味として残る不快な甘味を改善したが、呈味改善効果は呈味改善剤組成物Eが最も高かった。〔試験例2〕高甘味度甘味料アセスルファムKに対する効果 アセスルファムK(商品名:アセスルファムカリウム 武田薬品工業株式会社製)0.05質量%、クエン酸0.1質量%、オレンジフレーバー(小川香料株式会社製)0.1質量%を含む水溶液に、本発明の呈味改善剤組成物A、B、及びEを、それぞれ1.0質量%、1.0質量%、0.25質量%(ビセニン−2の濃度は、それぞれ8.0mg/kg、7.0mg/kg、及び19mg/kg)添加したサンプルを調製した。また比較例として、本発明の呈味改善剤組成物の代わりにヘスペリジン誘導体(商品名αGヘスペリジン、江崎グリコ株式会社製)を20mg/kgとなるように添加したサンプルを調製した。各サンプルについて、訓練されたパネラー10名により「後味として残る不快な甘味」を評価項目として官能評価を行った。評価点は、ビセニン製剤無添加の対照液を4点、「後味として残る不快な甘味」がかなり改善されたものを7点、「後味として残る不快な甘味」がかなり強まったものを1点とした。評価結果の平均値を表2に示した。 表2の結果より、呈味改善剤組成物A、B及びEはいずれもヘスペリジン誘導体と同程度以上アセスルファムKの後味として残る不快な甘味を改善したが、呈味改善効果は呈味改善剤組成物Eが最も高かった。〔試験例3〕高甘味度甘味料ステビア抽出物に対する効果 ステビア抽出物 (商品名 純マルミロン、丸善化成株式会社製)0.08質量%、クエン酸0.1質量%、オレンジフレーバー(小川香料株式会社製)0.1質量%を含む水溶液に、本発明の呈味改善剤組成物A、B、C及びEを、それぞれ1.0質量%、1.0質量%、1.0質量%、0.25質量%(ビセニン−2の濃度は、それぞれ8.0mg/kg、7.0mg/kg、12mg/kg及び19mg/kg)添加したサンプルを調製した。また比較例として、本発明の呈味改善剤組成物の代わりにヘスペリジン誘導体(商品名αGヘスペリジン、江崎グリコ株式会社製)を20mg/kgとなるように添加したサンプルを調製した。各サンプルについて、訓練されたパネラー10名により「後味として残る不快な甘味」を評価項目として官能評価を行った。評価点は、ビセニン製剤無添加の対照液を4点、「後味として残る不快な甘味」がかなり改善されたものを7点、「後味として残る不快な甘味」がかなり強まったものを1点とした。評価結果の平均値を表3に示した。 表3の結果より、呈味改善剤組成物A、B、C及びEはいずれもヘスペリジン誘導体と同程度以上ステビア抽出物の後味として残る不快な甘味を改善したが、呈味改善効果は呈味改善剤組成物Cが最も高かった。〔試験例4〕高甘味度甘味料スクラロースに対する効果 スクラロース(和光純薬工業株式会社製)0.05質量%、クエン酸0.1質量%、オレンジフレーバー(小川香料株式会社製)0.1質量%を含む水溶液に、本発明の呈味改善剤組成物A、B、C及びEを、それぞれ1.0質量%、1.0質量%、1.0質量%、0.25質量%ビセニン−2の濃度は、それぞれ8.0mg/kg、7.0mg/kg、12mg/kg及び19mg/kg)添加したサンプルを調製した。また比較例として、本発明の呈味改善剤組成物の代わりにヘスペリジン誘導体(商品名αGヘスペリジン、江崎グリコ株式会社製)を20mg/kgとなるように添加したサンプルを調製した。各サンプルについて、訓練されたパネラー10名により「後味として残る不快な甘味」を評価項目として官能評価を行った。評価点は、ビセニン製剤無添加の対照液を4点、「後味として残る不快な甘味」がかなり改善されたものを7点、「後味として残る不快な甘味」がかなり強まったものを1点とした。評価結果の平均値を表4に示した。 表4の結果より、呈味改善剤組成物A、B、C及びEはいずれもヘスペリジン誘導体と同程度以上スクラロースの後味として残る不快な甘味を改善したが、呈味改善効果は呈味改善剤組成物Eが最も高かった。〔実施例5〕アスパルテームを含有するゼリーの不快な後味の抑制効果 アスパルテーム0.1gと蒸留水75.85gを混合し、加温しながら溶解させた。40〜50℃まで加熱し、ゲル化剤0.7g、クエン酸三ナトリウム0.05gを添加し完全に溶解させた。85℃まで加熱後、予め混合したグレープ6倍濃縮果汁5g、クエン酸0.07g、リンゴ酸0.03gを加えた後、蒸留水で質量を100gに調整した。これにグレープフレーバー(小川香料株式会社製)0.1g、本発明の呈味改善剤組成物C 1.0gを加え均一に混合した後、容器にヘッドスペースを空けて充填後シーラーにて密封した。容器を逆さにし、80℃付近で1分間蓋部分を加熱殺菌した。その後、流水にて急冷することによりアスパルテーム含有ゼリーを作成した。〔実施例6〕スクラロースを含有する飲料の不快な後味の抑制効果スクラロース0.08g、クエン酸2.00g、クエン酸三ナトリウム0.80g、アルギニン0.30g、塩化ナトリウム0.15g、乳酸カルシウム0.10g、ビタミンC0.05g、ナイアシン0.01g、パントテン酸カルシウム0.005g、ビタミンB6 0.002gに蒸留水を加え1000gとし、均一に溶解した。ここにグレープフルーツフレーバー(小川香料株式会社製)1.0gと本発明の呈味改善剤組成物B 5.0gを加え均一に溶解した後、180gずつ容器に充填し密封した。容器を70℃で10分間殺菌した後、流水にて急冷し、スクラロース含有飲料を作成した。 本発明の高甘味度甘味料の呈味改善剤は、高甘味度甘味料を含有する飲食物や医薬品に添加すれば、高甘味度甘味料に由来する不快な後味の改善に優れた効果が発揮される。 ビセニン−2からなる高甘味度甘味料の呈味改善剤。 ビセニン−2を有効成分として含有することを特徴とする高甘味度甘味料の呈味改善剤。 高甘味度甘味料がアスパルテーム、ステビア、スクラロース、アセスルファムKである請求項1又は2に記載の高甘味度甘味料の呈味改善剤。 高甘味度甘味料又は高甘味度甘味料を含有する飲食物もしくは医薬品に請求項1〜3のいずれかの項に記載の高甘味度甘味料の呈味改善剤を添加することを特徴とする、高甘味度甘味料による不快な後味の抑制方法。 請求項1〜3のいずれかの項に記載の高甘味度甘味料の呈味改善剤を含有することを特徴とする高甘味度甘味料組成物。 【課題】本発明が解決しようとする問題は、高甘味度甘味料の不快な後味や苦味、エグ味を抑え、呈味を改善する方法を提供することを課題とする。【解決手段】ビセニン−2を高甘味度甘味料を含有する飲食物又は医薬品に添加することにより、高甘味度甘味料の不快な後味を改善することができる。またビセニン−2を含む呈味改善剤を配合することで高甘味度甘味料を使用した飲食物特有の後味のような好ましくない風味を改善することができる。【選択図】なし