生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_アルキル−シクロヘプチルメチルカーボネート及び香料組成物
出願番号:2005058631
年次:2006
IPC分類:C07C 69/96,A61K 8/37,A61Q 13/00


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上原 武文 石原 秀貴 田中 成佳 JP 2006241063 公開特許公報(A) 20060914 2005058631 20050303 アルキル−シクロヘプチルメチルカーボネート及び香料組成物 花王株式会社 000000918 大谷 保 100078732 東平 正道 100081765 片岡 誠 100089185 平澤 賢一 100119666 上原 武文 石原 秀貴 田中 成佳 C07C 69/96 20060101AFI20060818BHJP A61K 8/37 20060101ALI20060818BHJP A61Q 13/00 20060101ALI20060818BHJP JPC07C69/96 ZA61K7/46 385E 3 OL 11 4H006 4H006AA01 4H006AA03 4H006AB14 4H006BJ20 本発明は、フローラル系のフルーティーなジャスミン香気を有するアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネート及びそれを含有する香料組成物に関する。 従来、花様香気を有するカーボネート化合物として、いくつかの有用な香料化合物が知られている。例えば、メチル−シクロオクチルカーボネート(花王株式会社、商品名:JASMACYCLAT)はハーバルなジャスミン様香気を有すること、及びエチル−2−tert−ブチルシクロヘキシルカーボネート(花王株式会社、商品名:FLORAMAT)は木様のフルーティな香気を有することが知られている。また、メチル−3(又は4)−シクロオクテニルカーボネート(インターナショナルフレーバー・アンド・フレグランス(IFF)社、商品名:VIOLIFF)はフローラル系のバイオレット、バナナ様の香気を有することが知られている。 更に、特許文献1には、シクロヘキシルカーボネート等のカーボネート化合物が、自然な心地よい持続性のある香りを有し、香料として有用であることが記載されている。例えば、エチル−シクロオクチルカーボネートは花様の甘いフルーティな香気、メチル−トランスー3,3,5−トリメチルシクロヘキシルカーボネートは土様のフルーティな自然なな香気、エチル−トランス−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルカーボネートはフルーツ系樟脳香気、メチル−シス−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルカーボネートはフレッシュなメタリック香気、メチル−1−エチニルシクロヘキシルカーボネートはフルーティなハーバル香気、メチル−2−tert−ブチルシクロヘキシルカーボネートは樟脳様のフルーツ香気、エチル−2−tert−ブチルシクロヘキシルカーボネートは木様のフルーティな香気、メチル−4−tert−ブチルシクロヘキシルカーボネートはフルーツ様でスパイシーなウッディ香気、エチル−4−tert−ブチルシクロヘキシルカーボネートはフルーツ様ウッディ香気を有することが記載されている。 特許文献2には、メチル−4−シクロオクテニルカーボネートが甘いフルーティなバイオレット香気とキュウリ様グリーン香気を有し、エチル−4−シクロオクテニルカーボネートはハッカ様ストロベリー香気を有することが記載されている。 特許文献3には、アルキル−シクロヘキシルメチルカーボネートやアルキル−シクロヘキセニルメチルカーボネートが香料として有効であることが記載されている。 しかし、香りの流行は時代とともに絶えず変化しているため、多様な香気を有する種々の香料が望まれている。香料化合物の香気は、構造の僅かな相違により大きく異なるのが一般的である。そのため、多様な香気を有する新規な香料を得るためには、僅かでも構造の異なる種々の化合物を合成し、その香気を検討することが調香上極めて重要である。米国特許第4080309号明細書米国特許第4397789号明細書米国特許第5100872号明細書 本発明は、フローラル系のフルーティーなジャスミン香気を有するアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネート及びそれを含有する香料組成物を提供することを課題とする。 本発明者は、新規なアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネートを合成し、その香気について検討した結果、フローラル系のフルーティーなジャスミン香気を有することを見出した。 すなわち、本発明は、〔1〕下記一般式(1)で表されるアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネート、(式中、Rは、メチル基又はエチル基を示す。)、及び〔2〕上記〔1〕のアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネートを含有する香料組成物、を提供する。 本発明によれば、フローラル系のフルーティーなジャスミン香気を有するアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネート及びそれを含有する香料組成物を提供することができる。 本発明のアルキル−シクロヘプチルカーボネートは、例えば、次の反応式で示される方法により製造することができる。(式中、Rは、メチル基又はエチル基を示す。) すなわち、シクロヘプチルメタノール(2)(シグマ−アルドリッチ社製、カタログ番号R278173)と、ジメチルカーボネート又はジエチルカーボネート(3)を、アルカリ金属触媒(4)の存在下に反応させることにより、本発明のアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネート(1)を得ることができる。 上記反応に用いられるアルカリ金属触媒(4)としては、特に制限はないが、収率の観点から、アルカリ金属アルコラートが好ましい。アルカリ金属アルコラートのアルカリ金属としてはナトリウム、カリウム、リチウムが挙げられ、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜4の低級アルコキシ基が挙げられる。これらの中では、特にナトリウムメチラート、ナトリウムエチラートが好ましい。 溶媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒やジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒を用いることができるが、生産性の観点から、無溶媒で行うことが好ましい。 用いるジメチルカーボネート又はジエチルカーボネート(3)の使用量は、シクロヘプチルメタノール(2)に対して、1モル倍〜20モル倍、好ましくは2モル倍〜10モル倍である。 アルカリ金属触媒(4)の量は、シクロヘプチルメタノール(2)に対し0.1モル%〜20モル%、好ましくは1モル%〜10モル%である。 反応温度は、用いる溶媒の種類等により、適宜決定することができるが、通常20℃〜150℃、好ましくは60℃〜120℃である。反応が進行するに従いメタノール又はエタノールが発生するが、これらを系外へ除去しながら反応を行うことができる。また、反応は、常圧下又は減圧下で行うことができる。 反応が所望の平衡値に到達すると、酸を用いてアルカリ金属触媒(4)を中和し、反応を終了させる。用いる酸としては、塩酸、リン酸等の無機酸や、酢酸、クエン酸、酒石酸等の有機酸が挙げられる。これらの中では、無機酸が好ましい。 反応時に過剰に使用したジメチルカーボネート又はジエチルカーボネート(3)は、減圧下又は常圧下で留去し、通常の精密蒸留やカラムクロマトグラフィ等により精製を行い、香料として使用しうる純度にすることができる。 このようにして得られた本発明のアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネートは、新規なフローラル系のフルーティーなジャスミン香気を有し、単独で、又は化粧品原料として通常用いられる他の香料物質と組み合わせて、賦香成分として用いることができる。 本発明の香料組成物は、一般式(1)で表されるアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネートを含有する。このアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネートは、新規の香りを有し、様々な香料と組み合わせることにより、容易に新しい香りを作ることができる。 本発明のアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネートと組み合わせることのできる他の香料物質としては、炭化水素類、アルコール類、フェノール類、エステル類、カーボネート類、アルデヒド類、ケトン類、アセタール類、エーテル類、ニトリル類、カルボン酸類、ラクトン類等の他の天然精油や天然抽出物が挙げられる。 炭化水素類としては、リモネン、α−ピネン、β−ピネン、テルピネン、セドレン、ロンギフォレン、バレンセン等が挙げられる。 アルコール類としては、リナロール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、テルピネオール、ジヒドロミルセノール、エチルリナロール、ファルネソール、ネロリドール、シス−3−ヘキセノール、セドロール、メントール、ボルネオール、フェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、フェニルエチルジメチルカルビノール、フェニルヘキサノール、2,2,6−トリメチルシクロヘキシル−3−ヘキサノール、1−(2−t−ブチルシクロヘキシルオキシ)−2−ブタノール等が挙げられる。 フェノール類としては、グアヤコール、オイゲノール、イソオイゲノール、チモール、バニリン等が挙げられる。 エステル類としては、ギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、ノネン酸エステル、安息香酸エステル、桂皮酸エステル、サリチル酸エステル、ブラシル酸エステル、チグリン酸エステル、ジャスモン酸エステル、グリシド酸エステル、アントラニル酸エステル等が挙げられる。 ギ酸エステルとしては、リナリルホルメート、シトロネリルホルメート、ゲラニルホルメート等、酢酸エステルとしては、n−ヘキシルアセテート、シス−3−ヘキセニルアセテート、リナリルアセテート、シトロネリルアセテート、ゲラニルアセテート、ネリルアセテート、テルピニルアセテート、ノピルアセテート、ボルニルアセテート、イソボルニルアセテート、o−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、p−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、トリシクロデセニルアセテート、ベンジルアセテート、スチラリルアセテート、シンナミルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、フェニルエチルフェニルアセテート、3−ペンチルテトラヒドロピラン−4−イルアセテート等、プロピオン酸エステルとしては、シトロネリルプロピオネート、トリシクロデセニルプロピオネート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、エチル2−シクロヘキシルプロピオネート、ベンジルプロピオネート等、酪酸エステルとしては、シトロネリルブチレート、ジメチルベンジルカルビニルn−ブチレート、トリシクロデセニルイソブチレート等が挙げられる。 また、ノネン酸エステルとしては、メチル2−ノネノエート、エチル2−ノネノエート、エチル3−ノネノエート等、安息香酸エステルとしては、メチルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、3,6−ジメチルベンゾエート等、メチルシンナメート、桂皮酸エステルとしては、ベンジルシンナメート等、サリチル酸エステルとしては、メチルサリシレート、n−ヘキシルサリシレート、シス−3−ヘキセニルサリシレート、シクロヘキシルサリシレート、ベンジルサリシレート等が挙げられる。 さらに、ブラシル酸エステルとしては、エチレンブラシレート等、チグリン酸エステルとしては、ゲラニルチグレート、1−ヘキシルチグレート、シス−3−ヘキセニルチグレート等、ジャスモン酸エステルとしては、メチルジャスモネート、メチルジヒドロジャスモネート等、グリシド酸エステルとしては、メチル2,4−ジヒドロキシ−エチルメチルフェニルグリシデート、4−メチルフェニルエチルグリシデート等、アントラニル酸エステルとしては、メチルアントラニレート、エチルアントラニレート、ジメチルアントラニレート等が挙げられる。 その他、市販品として、花王株式会社製、フルテート(エチルトリシクロ[5,2,1,02,6]デカン−2−カルボキシレート:商品名:FRUITATE)等が挙げられる。 カーボネート類としては、市販品として、花王株式会社製、ジャスマシクラット(商品名:JASMACYCLAT)、花王株式会社製、フロラマット(商品名:FLORAMAT)、IFF社製、バイオリッフ(商品名:VIOLIFF)等が挙げられる。 アルデヒド類としては、n−オクタナール、n−デカナ−ル、n−ドデカナ−ル、2−メチルウンデカナール、10−ウンデセナール、シトロネラール、シトラール、ヒドロキシシトロネラール、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、フェニルプロピルアルデヒド、シンナミックアルデヒド、ジメチルテトラヒドロベンズアルデヒド、4(3)−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボアルデヒド(IFF社、商品名:リラール)、2−シクロヘキシルプロパナール、p−t−ブチル−α−メチルヒドロシンナミックアルデヒド、p−イソプロピル−α−メチルヒドロシンナミックアルデヒド、p−エチル−α,α−ジメチルヒドロシンナミックアルデヒド、α−アミルシンナミックアルデヒド、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘリオトロピン、α−メチル−3,4−メチレンジオキシヒドロシンナミックアルデヒド等が挙げられる。 ケトン類としては、α−イオノン、β−イオノン、γ−イオノン、α−メチルイオノン、β−メチルイオノン、γ−メチルイオノン、メチルヘプテノン、4−メチレン−3,5,6,6−テトラメチル−2−ヘプタノン、アミルシクロペンタノン、3−メチル−2−(シス−2−ペンテン−1−イル)−2−シクロペンテン−1−オン、メチルシクロペンテノロン、ローズケトン、γ−メチルヨノン、α−ヨノン、カルボン、メントン、樟脳、アセチルセドレン、イソロンギフォラノン、ヌートカトン、ベンジルアセトン、アニシルアセトン、メチルβ−ナフチルケトン、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン、マルトール、ムスコン、シベトン、シクロペンタデカノン、シクロヘキサデセン等が挙げられる。 アセタール類としては、ホルムアルデヒドシクロドデシルエチルアセタール、アセトアルデヒドエチルフェニルプロピルアセタール、シトラールジエチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドグリセリンアセタール、エチルアセトアセテートエチレングリコールアセタール等が挙げられる。 エーテル類としては、セドリルメチルエーテル、アネトール、β−ナフチルメチルエーテル、β−ナフチルエチルエーテル、リモネンオキサイド、ローズオキサイド、ネロールオキサイド、1,8−シネオール、ローズフラン、デカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2.1−b]フラン等が挙げられる。 ニトリル類としては、ゲラニルニトリル、シトロネリルニトリル、ドデカンニトリル等が挙げられる。 カルボン酸類としては、安息香酸、フェニル酢酸、桂皮酸、ヒドロ桂皮酸、酪酸、2−ヘキセン酸等が挙げられる。 ラクトン類としては、γ−デカラクトン、δ−デカラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ノナラクトン、γ−ウンデカラクトン、δ−ヘキサラクトン、γ−ジャスモラクトン、ウイスキーラクトン、クマリン、シクロペンタデカノリド、シクロヘキサデカノリド、アンブレットリド、エチレンブラシレート、11−オキサヘキサデカノリド、ブチリデンフタリド等が挙げられる。 天然精油や天然抽出物としては、オレンジ、レモン、ライム、ベルガモット、バニラ、マンダリン、ペパーミント、スペアミント、ラベンダー、カモミル、ローズマリー、ユーカリ、セージ、バジル、ローズ、ロックローズ、ゼラニウム、ジャスミン、イランイラン、アニス、クローブ、ジンジャー、ナツメグ、カルダモン、セダー、ヒノキ、ベチバー、パチュリ、レモングラス、ラブダナム等が挙げられる。 本発明の香料組成物におけるアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネートの含有量は、併用する香料物質の種類、目的とする香気の種類及び強さ等により異なり、特に限定されない。通常、その含有量は、フローラル香にナチュラル感を効果的に賦与する観点から、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上である。 また、香料組成物の製造方法は特に限定されず、本発明のアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネートと、他の香料物質を、常法により混合攪拌することのより得ることができる。 このようにして得られる本発明の香料組成物は、香水、石鹸、シャンプーリンス、洗剤、化粧品、芳香剤等の賦香成分として好適に使用することができる。実施例1〔メチル−シクロヘプチルメチルカーボネートの合成〕 温度計およびビグリュー管と連結した冷却管を取り付けた50mLの2つ口フラスコ内に、シクロヘプチルメタノール1.9g(0.0148mol)、ジメチルカーボネート14.05g(0.156mol)、及び28質量%ナトリウムメチラートのメタノール溶液0.12g(0.62mmol)を加え、マグネチックスターラーで撹拌し、100℃のオイルバスで90℃に昇温し、生成するメタノールをジメチルカーボネートの一部と共に系外に徐々に留去しながら加熱を行った。2時間後、留去分は7gであった。 次に、得られた反応溶液を60℃に冷却し、20質量%のリン酸水溶液0.305gを加えて中和した。中和後、昇温し、圧力を101kPaから1.3kPaまで減圧し、過剰のジメチルカーボネートを留去した。最終的には、1.3kPa、115℃に達したところで留去を終了した。 冷却後、得られた反応溶液に3gのヘキサン、1gの水を加え10分撹拌した後、静置して分層し、ヘキサン層を回収した。水層をヘキサン2gで1回抽出し、得られた有機層を合わせ、溶媒を減圧留去し、粗生成物2.7gを得た。 得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)により精製し、メチル−シクロヘプチルメチルカーボネート2.3gを得た(収率78.8%)。 得られたメチル−シクロヘキシルメチルカーボネートについて、1H−NMR(Varian社製NMR装置)、及びFT−IR(株式会社堀場製作所製、フーリエ変換赤外分光光度計、型式:FT−710)の測定を行い、その構造を確認した。結果を以下に示す。(1)1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm) 1.70-1.90(m, 13H) ,3.76(s, 3H), 3.92(d, J=6.5Hz, 2H)(2)FT−IR(NaCl)(cm-1) 3911, 3811, 3791, 3662, 3639, 3510, 3483, 2925, 2856, 2692, 2387, 2349, 1749, 1587, 1529, 1460, 1442, 1389, 1267, 1115, 1059, 1009, 964, 908, 856, 793, 735, 544, 503, 403(3)匂い:フローラル系のフルーティーなジャスミン香気を有し、残香性にも優れていた。 また、1H−NMR測定チャートを図1に、FT−IR測定チャートを図2に示す。実施例2及び比較例1(オレンジフラワー様香料) 実施例1で得られたメチル−シクロヘキシルメチルカーボネートを用いて、表1に記載の配合組成になるように、香料を調合した。 実施例2では、比較例1(オレンジフラワー様香料)で使用したジプロピレングリコール10質量部の代わりに、メチル−シクロヘプチルカーボネート10質量部を加えることにより、心地よい天然の花の香気が強調された新しいオレンジフラワー様香料が得られた。 なお、表1中の英字表示の物質は、下記のとおりである。 HERBAVERT:花王株式会社製、商品名;3,3,5−トリメチルシクロヘキシル−エチルエーテル Ligustral:クエスト・インターナショナル社(Quest社)、商品名 AMBER CORE:花王株式会社製、商品名;1−(2−t−ブチルシクロヘキシロキシ)−2−ブタノール実施例3及び比較例2(フローラルムスク様香料) 実施例1で得られたメチル−シクロヘキシルメチルカーボネートを用いて、表2に記載の配合組成になるように、香料を調合した。 実施例3では、比較例2(フローラルムスク様香料)で使用したジプロピレングリコール272.5質量部の代わりに、ジプロピレングリコール262.5質量部を使用し、メチル−シクロヘプチルカーボネート10質量部を加えることにより、ナチュラルな花の香気を増長するとともに透明感のある軽いムスク香を強調した新しいフローラルムスク様香料が得られた。 なお、表2中の英字表示の物質は、下記のとおりである。 ROMILAT:花王株式会社製、商品名;3−メチル−3−ブテニル−2,2−ジメチルプロピオネート Helional:IFF社製、商品名;ヒドロシンナムアルデヒド,α−メチル−3,4−(メチレンジオキシ) MDJ:花王株式会社製、商品名;メチル−(2−ペンチル−3−オキソシクロペンチル)アセテート AMBER CORE:花王株式会社製、商品名;1−(2−t−ブチルシクロヘキシロキシ)−2−ブタノール Habanolide:フィルメニッヒ・インターナショナルSA社製、商品名 AMBROXAN:花王株式会社製、商品名;ナフト[2,1−b]フラン,ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチル−[3aR−(3a.α,5a.β,9a.α,9b.β)] 本発明のアルキル−シクロヘプチルカーボネートは、フローラル系のフルーティーなジャスミン香気を有し、香料用賦香成分として有用であり、香水、石鹸、シャンプーリンス、洗剤、化粧品、芳香剤等の賦香を要する広範な製品について、好適に使用することができる。実施例1で得られた、メチル−シクロヘキシルメチルカーボネートの1H−NMR測定チャートである。実施例1で得られた、メチル−シクロヘキシルメチルカーボネートのFT−IR測定チャートである。 下記一般式(1)で表されるアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネート。(式中、Rは、メチル基又はエチル基を示す。) 請求項1に記載のアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネートを含有する香料組成物。 前記アルキル−シクロヘプチルメチルカーボネートの含有量が0.001質量%以上である請求項2に記載の香料組成物。 【課題】 フローラル系のフルーティーなジャスミン香気を有するアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネート及びそれを含有する香料組成物を提供すること。【解決手段】 下記一般式(1)で表されるアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネート、及びそれを含有する香料組成物である。【化1】(式中、Rは、メチル基又はエチル基を示す。)【選択図】 なし


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特許公報(B2)_アルキル−シクロヘプチルメチルカーボネート及び香料組成物

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タイトル:特許公報(B2)_アルキル−シクロヘプチルメチルカーボネート及び香料組成物
出願番号:2005058631
年次:2010
IPC分類:C07C 69/96,A61Q 13/00,A61K 8/37


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上原 武文 石原 秀貴 田中 成佳 JP 4414356 特許公報(B2) 20091127 2005058631 20050303 アルキル−シクロヘプチルメチルカーボネート及び香料組成物 花王株式会社 000000918 大谷 保 100078732 東平 正道 100081765 片岡 誠 100089185 平澤 賢一 100119666 上原 武文 石原 秀貴 田中 成佳 20100210 C07C 69/96 20060101AFI20100121BHJP A61Q 13/00 20060101ALI20100121BHJP A61K 8/37 20060101ALI20100121BHJP JPC07C69/96 ZA61Q13/00 101A61K8/37 C07C 69/96 A61K 8/37 A61Q 13/00 CA/REGISTRY(STN) 米国特許第5100872(US,A) 特開昭61−218543(JP,A) 特開平8−53385(JP,A) 3 2006241063 20060914 11 20071019 櫛引 智子 本発明は、フローラル系のフルーティーなジャスミン香気を有するアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネート及びそれを含有する香料組成物に関する。 従来、花様香気を有するカーボネート化合物として、いくつかの有用な香料化合物が知られている。例えば、メチル−シクロオクチルカーボネート(花王株式会社、商品名:JASMACYCLAT)はハーバルなジャスミン様香気を有すること、及びエチル−2−tert−ブチルシクロヘキシルカーボネート(花王株式会社、商品名:FLORAMAT)は木様のフルーティな香気を有することが知られている。また、メチル−3(又は4)−シクロオクテニルカーボネート(インターナショナルフレーバー・アンド・フレグランス(IFF)社、商品名:VIOLIFF)はフローラル系のバイオレット、バナナ様の香気を有することが知られている。 更に、特許文献1には、シクロヘキシルカーボネート等のカーボネート化合物が、自然な心地よい持続性のある香りを有し、香料として有用であることが記載されている。例えば、エチル−シクロオクチルカーボネートは花様の甘いフルーティな香気、メチル−トランスー3,3,5−トリメチルシクロヘキシルカーボネートは土様のフルーティな自然なな香気、エチル−トランス−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルカーボネートはフルーツ系樟脳香気、メチル−シス−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルカーボネートはフレッシュなメタリック香気、メチル−1−エチニルシクロヘキシルカーボネートはフルーティなハーバル香気、メチル−2−tert−ブチルシクロヘキシルカーボネートは樟脳様のフルーツ香気、エチル−2−tert−ブチルシクロヘキシルカーボネートは木様のフルーティな香気、メチル−4−tert−ブチルシクロヘキシルカーボネートはフルーツ様でスパイシーなウッディ香気、エチル−4−tert−ブチルシクロヘキシルカーボネートはフルーツ様ウッディ香気を有することが記載されている。 特許文献2には、メチル−4−シクロオクテニルカーボネートが甘いフルーティなバイオレット香気とキュウリ様グリーン香気を有し、エチル−4−シクロオクテニルカーボネートはハッカ様ストロベリー香気を有することが記載されている。 特許文献3には、アルキル−シクロヘキシルメチルカーボネートやアルキル−シクロヘキセニルメチルカーボネートが香料として有効であることが記載されている。 しかし、香りの流行は時代とともに絶えず変化しているため、多様な香気を有する種々の香料が望まれている。香料化合物の香気は、構造の僅かな相違により大きく異なるのが一般的である。そのため、多様な香気を有する新規な香料を得るためには、僅かでも構造の異なる種々の化合物を合成し、その香気を検討することが調香上極めて重要である。米国特許第4080309号明細書米国特許第4397789号明細書米国特許第5100872号明細書 本発明は、フローラル系のフルーティーなジャスミン香気を有するアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネート及びそれを含有する香料組成物を提供することを課題とする。 本発明者は、新規なアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネートを合成し、その香気について検討した結果、フローラル系のフルーティーなジャスミン香気を有することを見出した。 すなわち、本発明は、〔1〕下記一般式(1)で表されるアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネート、(式中、Rは、メチル基又はエチル基を示す。)、及び〔2〕上記〔1〕のアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネートを含有する香料組成物、を提供する。 本発明によれば、フローラル系のフルーティーなジャスミン香気を有するアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネート及びそれを含有する香料組成物を提供することができる。 本発明のアルキル−シクロヘプチルカーボネートは、例えば、次の反応式で示される方法により製造することができる。(式中、Rは、メチル基又はエチル基を示す。) すなわち、シクロヘプチルメタノール(2)(シグマ−アルドリッチ社製、カタログ番号R278173)と、ジメチルカーボネート又はジエチルカーボネート(3)を、アルカリ金属触媒(4)の存在下に反応させることにより、本発明のアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネート(1)を得ることができる。 上記反応に用いられるアルカリ金属触媒(4)としては、特に制限はないが、収率の観点から、アルカリ金属アルコラートが好ましい。アルカリ金属アルコラートのアルカリ金属としてはナトリウム、カリウム、リチウムが挙げられ、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜4の低級アルコキシ基が挙げられる。これらの中では、特にナトリウムメチラート、ナトリウムエチラートが好ましい。 溶媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒やジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒を用いることができるが、生産性の観点から、無溶媒で行うことが好ましい。 用いるジメチルカーボネート又はジエチルカーボネート(3)の使用量は、シクロヘプチルメタノール(2)に対して、1モル倍〜20モル倍、好ましくは2モル倍〜10モル倍である。 アルカリ金属触媒(4)の量は、シクロヘプチルメタノール(2)に対し0.1モル%〜20モル%、好ましくは1モル%〜10モル%である。 反応温度は、用いる溶媒の種類等により、適宜決定することができるが、通常20℃〜150℃、好ましくは60℃〜120℃である。反応が進行するに従いメタノール又はエタノールが発生するが、これらを系外へ除去しながら反応を行うことができる。また、反応は、常圧下又は減圧下で行うことができる。 反応が所望の平衡値に到達すると、酸を用いてアルカリ金属触媒(4)を中和し、反応を終了させる。用いる酸としては、塩酸、リン酸等の無機酸や、酢酸、クエン酸、酒石酸等の有機酸が挙げられる。これらの中では、無機酸が好ましい。 反応時に過剰に使用したジメチルカーボネート又はジエチルカーボネート(3)は、減圧下又は常圧下で留去し、通常の精密蒸留やカラムクロマトグラフィ等により精製を行い、香料として使用しうる純度にすることができる。 このようにして得られた本発明のアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネートは、新規なフローラル系のフルーティーなジャスミン香気を有し、単独で、又は化粧品原料として通常用いられる他の香料物質と組み合わせて、賦香成分として用いることができる。 本発明の香料組成物は、一般式(1)で表されるアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネートを含有する。このアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネートは、新規の香りを有し、様々な香料と組み合わせることにより、容易に新しい香りを作ることができる。 本発明のアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネートと組み合わせることのできる他の香料物質としては、炭化水素類、アルコール類、フェノール類、エステル類、カーボネート類、アルデヒド類、ケトン類、アセタール類、エーテル類、ニトリル類、カルボン酸類、ラクトン類等の他の天然精油や天然抽出物が挙げられる。 炭化水素類としては、リモネン、α−ピネン、β−ピネン、テルピネン、セドレン、ロンギフォレン、バレンセン等が挙げられる。 アルコール類としては、リナロール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、テルピネオール、ジヒドロミルセノール、エチルリナロール、ファルネソール、ネロリドール、シス−3−ヘキセノール、セドロール、メントール、ボルネオール、フェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、フェニルエチルジメチルカルビノール、フェニルヘキサノール、2,2,6−トリメチルシクロヘキシル−3−ヘキサノール、1−(2−t−ブチルシクロヘキシルオキシ)−2−ブタノール等が挙げられる。 フェノール類としては、グアヤコール、オイゲノール、イソオイゲノール、チモール、バニリン等が挙げられる。 エステル類としては、ギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、ノネン酸エステル、安息香酸エステル、桂皮酸エステル、サリチル酸エステル、ブラシル酸エステル、チグリン酸エステル、ジャスモン酸エステル、グリシド酸エステル、アントラニル酸エステル等が挙げられる。 ギ酸エステルとしては、リナリルホルメート、シトロネリルホルメート、ゲラニルホルメート等、酢酸エステルとしては、n−ヘキシルアセテート、シス−3−ヘキセニルアセテート、リナリルアセテート、シトロネリルアセテート、ゲラニルアセテート、ネリルアセテート、テルピニルアセテート、ノピルアセテート、ボルニルアセテート、イソボルニルアセテート、o−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、p−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、トリシクロデセニルアセテート、ベンジルアセテート、スチラリルアセテート、シンナミルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、フェニルエチルフェニルアセテート、3−ペンチルテトラヒドロピラン−4−イルアセテート等、プロピオン酸エステルとしては、シトロネリルプロピオネート、トリシクロデセニルプロピオネート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、エチル2−シクロヘキシルプロピオネート、ベンジルプロピオネート等、酪酸エステルとしては、シトロネリルブチレート、ジメチルベンジルカルビニルn−ブチレート、トリシクロデセニルイソブチレート等が挙げられる。 また、ノネン酸エステルとしては、メチル2−ノネノエート、エチル2−ノネノエート、エチル3−ノネノエート等、安息香酸エステルとしては、メチルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、3,6−ジメチルベンゾエート等、メチルシンナメート、桂皮酸エステルとしては、ベンジルシンナメート等、サリチル酸エステルとしては、メチルサリシレート、n−ヘキシルサリシレート、シス−3−ヘキセニルサリシレート、シクロヘキシルサリシレート、ベンジルサリシレート等が挙げられる。 さらに、ブラシル酸エステルとしては、エチレンブラシレート等、チグリン酸エステルとしては、ゲラニルチグレート、1−ヘキシルチグレート、シス−3−ヘキセニルチグレート等、ジャスモン酸エステルとしては、メチルジャスモネート、メチルジヒドロジャスモネート等、グリシド酸エステルとしては、メチル2,4−ジヒドロキシ−エチルメチルフェニルグリシデート、4−メチルフェニルエチルグリシデート等、アントラニル酸エステルとしては、メチルアントラニレート、エチルアントラニレート、ジメチルアントラニレート等が挙げられる。 その他、市販品として、花王株式会社製、フルテート(エチルトリシクロ[5,2,1,02,6]デカン−2−カルボキシレート:商品名:FRUITATE)等が挙げられる。 カーボネート類としては、市販品として、花王株式会社製、ジャスマシクラット(商品名:JASMACYCLAT)、花王株式会社製、フロラマット(商品名:FLORAMAT)、IFF社製、バイオリッフ(商品名:VIOLIFF)等が挙げられる。 アルデヒド類としては、n−オクタナール、n−デカナ−ル、n−ドデカナ−ル、2−メチルウンデカナール、10−ウンデセナール、シトロネラール、シトラール、ヒドロキシシトロネラール、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、フェニルプロピルアルデヒド、シンナミックアルデヒド、ジメチルテトラヒドロベンズアルデヒド、4(3)−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボアルデヒド(IFF社、商品名:リラール)、2−シクロヘキシルプロパナール、p−t−ブチル−α−メチルヒドロシンナミックアルデヒド、p−イソプロピル−α−メチルヒドロシンナミックアルデヒド、p−エチル−α,α−ジメチルヒドロシンナミックアルデヒド、α−アミルシンナミックアルデヒド、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘリオトロピン、α−メチル−3,4−メチレンジオキシヒドロシンナミックアルデヒド等が挙げられる。 ケトン類としては、α−イオノン、β−イオノン、γ−イオノン、α−メチルイオノン、β−メチルイオノン、γ−メチルイオノン、メチルヘプテノン、4−メチレン−3,5,6,6−テトラメチル−2−ヘプタノン、アミルシクロペンタノン、3−メチル−2−(シス−2−ペンテン−1−イル)−2−シクロペンテン−1−オン、メチルシクロペンテノロン、ローズケトン、γ−メチルヨノン、α−ヨノン、カルボン、メントン、樟脳、アセチルセドレン、イソロンギフォラノン、ヌートカトン、ベンジルアセトン、アニシルアセトン、メチルβ−ナフチルケトン、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン、マルトール、ムスコン、シベトン、シクロペンタデカノン、シクロヘキサデセン等が挙げられる。 アセタール類としては、ホルムアルデヒドシクロドデシルエチルアセタール、アセトアルデヒドエチルフェニルプロピルアセタール、シトラールジエチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドグリセリンアセタール、エチルアセトアセテートエチレングリコールアセタール等が挙げられる。 エーテル類としては、セドリルメチルエーテル、アネトール、β−ナフチルメチルエーテル、β−ナフチルエチルエーテル、リモネンオキサイド、ローズオキサイド、ネロールオキサイド、1,8−シネオール、ローズフラン、デカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2.1−b]フラン等が挙げられる。 ニトリル類としては、ゲラニルニトリル、シトロネリルニトリル、ドデカンニトリル等が挙げられる。 カルボン酸類としては、安息香酸、フェニル酢酸、桂皮酸、ヒドロ桂皮酸、酪酸、2−ヘキセン酸等が挙げられる。 ラクトン類としては、γ−デカラクトン、δ−デカラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ノナラクトン、γ−ウンデカラクトン、δ−ヘキサラクトン、γ−ジャスモラクトン、ウイスキーラクトン、クマリン、シクロペンタデカノリド、シクロヘキサデカノリド、アンブレットリド、エチレンブラシレート、11−オキサヘキサデカノリド、ブチリデンフタリド等が挙げられる。 天然精油や天然抽出物としては、オレンジ、レモン、ライム、ベルガモット、バニラ、マンダリン、ペパーミント、スペアミント、ラベンダー、カモミル、ローズマリー、ユーカリ、セージ、バジル、ローズ、ロックローズ、ゼラニウム、ジャスミン、イランイラン、アニス、クローブ、ジンジャー、ナツメグ、カルダモン、セダー、ヒノキ、ベチバー、パチュリ、レモングラス、ラブダナム等が挙げられる。 本発明の香料組成物におけるアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネートの含有量は、併用する香料物質の種類、目的とする香気の種類及び強さ等により異なり、特に限定されない。通常、その含有量は、フローラル香にナチュラル感を効果的に賦与する観点から、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上である。 また、香料組成物の製造方法は特に限定されず、本発明のアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネートと、他の香料物質を、常法により混合攪拌することのより得ることができる。 このようにして得られる本発明の香料組成物は、香水、石鹸、シャンプーリンス、洗剤、化粧品、芳香剤等の賦香成分として好適に使用することができる。実施例1〔メチル−シクロヘプチルメチルカーボネートの合成〕 温度計およびビグリュー管と連結した冷却管を取り付けた50mLの2つ口フラスコ内に、シクロヘプチルメタノール1.9g(0.0148mol)、ジメチルカーボネート14.05g(0.156mol)、及び28質量%ナトリウムメチラートのメタノール溶液0.12g(0.62mmol)を加え、マグネチックスターラーで撹拌し、100℃のオイルバスで90℃に昇温し、生成するメタノールをジメチルカーボネートの一部と共に系外に徐々に留去しながら加熱を行った。2時間後、留去分は7gであった。 次に、得られた反応溶液を60℃に冷却し、20質量%のリン酸水溶液0.305gを加えて中和した。中和後、昇温し、圧力を101kPaから1.3kPaまで減圧し、過剰のジメチルカーボネートを留去した。最終的には、1.3kPa、115℃に達したところで留去を終了した。 冷却後、得られた反応溶液に3gのヘキサン、1gの水を加え10分撹拌した後、静置して分層し、ヘキサン層を回収した。水層をヘキサン2gで1回抽出し、得られた有機層を合わせ、溶媒を減圧留去し、粗生成物2.7gを得た。 得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)により精製し、メチル−シクロヘプチルメチルカーボネート2.3gを得た(収率78.8%)。 得られたメチル−シクロヘキシルメチルカーボネートについて、1H−NMR(Varian社製NMR装置)、及びFT−IR(株式会社堀場製作所製、フーリエ変換赤外分光光度計、型式:FT−710)の測定を行い、その構造を確認した。結果を以下に示す。(1)1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm) 1.70-1.90(m, 13H) ,3.76(s, 3H), 3.92(d, J=6.5Hz, 2H)(2)FT−IR(NaCl)(cm-1) 3911, 3811, 3791, 3662, 3639, 3510, 3483, 2925, 2856, 2692, 2387, 2349, 1749, 1587, 1529, 1460, 1442, 1389, 1267, 1115, 1059, 1009, 964, 908, 856, 793, 735, 544, 503, 403(3)匂い:フローラル系のフルーティーなジャスミン香気を有し、残香性にも優れていた。 また、1H−NMR測定チャートを図1に、FT−IR測定チャートを図2に示す。実施例2及び比較例1(オレンジフラワー様香料) 実施例1で得られたメチル−シクロヘキシルメチルカーボネートを用いて、表1に記載の配合組成になるように、香料を調合した。 実施例2では、比較例1(オレンジフラワー様香料)で使用したジプロピレングリコール10質量部の代わりに、メチル−シクロヘプチルカーボネート10質量部を加えることにより、心地よい天然の花の香気が強調された新しいオレンジフラワー様香料が得られた。 なお、表1中の英字表示の物質は、下記のとおりである。 HERBAVERT:花王株式会社製、商品名;3,3,5−トリメチルシクロヘキシル−エチルエーテル Ligustral:クエスト・インターナショナル社(Quest社)、商品名 AMBER CORE:花王株式会社製、商品名;1−(2−t−ブチルシクロヘキシロキシ)−2−ブタノール実施例3及び比較例2(フローラルムスク様香料) 実施例1で得られたメチル−シクロヘキシルメチルカーボネートを用いて、表2に記載の配合組成になるように、香料を調合した。 実施例3では、比較例2(フローラルムスク様香料)で使用したジプロピレングリコール272.5質量部の代わりに、ジプロピレングリコール262.5質量部を使用し、メチル−シクロヘプチルカーボネート10質量部を加えることにより、ナチュラルな花の香気を増長するとともに透明感のある軽いムスク香を強調した新しいフローラルムスク様香料が得られた。 なお、表2中の英字表示の物質は、下記のとおりである。 ROMILAT:花王株式会社製、商品名;3−メチル−3−ブテニル−2,2−ジメチルプロピオネート Helional:IFF社製、商品名;ヒドロシンナムアルデヒド,α−メチル−3,4−(メチレンジオキシ) MDJ:花王株式会社製、商品名;メチル−(2−ペンチル−3−オキソシクロペンチル)アセテート AMBER CORE:花王株式会社製、商品名;1−(2−t−ブチルシクロヘキシロキシ)−2−ブタノール Habanolide:フィルメニッヒ・インターナショナルSA社製、商品名 AMBROXAN:花王株式会社製、商品名;ナフト[2,1−b]フラン,ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチル−[3aR−(3a.α,5a.β,9a.α,9b.β)] 本発明のアルキル−シクロヘプチルカーボネートは、フローラル系のフルーティーなジャスミン香気を有し、香料用賦香成分として有用であり、香水、石鹸、シャンプーリンス、洗剤、化粧品、芳香剤等の賦香を要する広範な製品について、好適に使用することができる。実施例1で得られた、メチル−シクロヘキシルメチルカーボネートの1H−NMR測定チャートである。実施例1で得られた、メチル−シクロヘキシルメチルカーボネートのFT−IR測定チャートである。 下記一般式(1)で表されるアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネート。(式中、Rは、メチル基又はエチル基を示す。) 請求項1に記載のアルキル−シクロヘプチルメチルカーボネートを含有する香料組成物。 前記アルキル−シクロヘプチルメチルカーボネートの含有量が0.001質量%以上である請求項2に記載の香料組成物。


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