生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ペプチド組成物、繊維芽細胞増殖促進剤およびその製造方法
出願番号:2005055633
年次:2006
IPC分類:A61K 38/17,A61P 17/00,A61P 17/02,A61P 17/04,A61P 43/00,C07K 14/46


特許情報キャッシュ

松本 均 中村 裕子 伊藤 恭子 JP 2006241013 公開特許公報(A) 20060914 2005055633 20050301 ペプチド組成物、繊維芽細胞増殖促進剤およびその製造方法 明治製菓株式会社 000006091 松本 均 中村 裕子 伊藤 恭子 A61K 38/17 20060101AFI20060818BHJP A61P 17/00 20060101ALI20060818BHJP A61P 17/02 20060101ALI20060818BHJP A61P 17/04 20060101ALI20060818BHJP A61P 43/00 20060101ALI20060818BHJP C07K 14/46 20060101ALI20060818BHJP JPA61K37/12A61P17/00A61P17/02A61P17/04A61P43/00 107C07K14/46 4 OL 10 4C084 4H045 4C084AA02 4C084AA06 4C084BA43 4C084BA44 4C084CA17 4C084MA01 4C084NA05 4C084ZA892 4C084ZB222 4H045AA10 4H045AA20 4H045AA30 4H045CA52 4H045EA20 4H045FA16 4H045GA05 4H045GA23本発明は、美肌効果、美容効果を有する医薬品や食品などに用いられるペプチド組成物、繊維芽細胞増殖促進剤およびその製造方法に関するものである。老化あるいはこれに伴って起こる各種の疾患などは、分裂し得るすべての細胞の老化(分裂速度や細胞機能の低下)と相関関係があり、細胞レベルでの老化防止を目的として、細胞賦活剤の探索が数多く行われるようになっている。中でも細胞賦活剤の一つに細胞成長因子があり、既に種々の因子が確認され、牛胎盤エキス(特許文献1参照)、牛脳や牛脳下垂体、鶏冠の抽出物(特許文献2参照)、更にはクロレラ水抽出物(特許文献3参照)などが知られており、これらは医薬品や食品などに利用されている。特に、美容分野では、皮膚の真皮を構成する繊維芽細胞の増殖活性が重要とされており、繊維芽細胞増殖剤として、ハイビスカス(特許文献4参照)、アーモンド、セイヨウタンポポ、セイヨウニワトコ、センキュウ、センブリ、ソウハクヒ、トウニン、ニンジン、ホップ、ムクゲ、ヨクイニン(特許文献5参照)、クロレラの水抽出物およびアロエベラの抽出物(特許文献6参照)、ゴマ、サンヤク、トウガラシ、トウキ、ドクダミ、バクモンドウ(特許文献7参照)、フィトグリコーゲン(特許文献8参照)、ウチワサボテンの抽出物(特許文献9参照)、キョウニンの抽出物およびパッションフラワーの抽出物(特許文献10参照)などが報告されている。コラーゲンは、動物の結合組織を構成する主要タンパク質成分であり、従来から皮膚へのはりや弾力を与える目的で各種化粧品などに使用されている。また、コラーゲンを含む結合組織繊維を加水分解して、分子量が5000〜10000の範囲にある水溶性ペプチドが繊維芽細胞増殖活性を有することが報告されており(特許文献11参照)、本発明者らが実施例1に記載しているような、魚、魚鱗、豚、牛などのコラーゲンの分解ペプチドが広く市販されている。しかしこれらのコラーゲンペプチドは、原料動物由来のゼラチン臭が強く食品への使用は限定的であり、その繊維芽細胞増殖活性は必ずしも強くなかった。また、近年では、骨カルシウムの吸収促進、神経伝達の活性化など様々な生理効果も見出されており、広く食品などの素材として注目されている。このような目的のため、各種の飲料にゼラチンやコラーゲン、あるいはこれらをさらに加水分解したコラーゲンペプチドなどのコラーゲン成分を配合した食品が市販されている。コラーゲン成分は、様々なアミノ酸から構成されており、分子量も数百〜数十万と広範囲であり、また生理活性メカニズムがあきらかでないため、コラーゲン成分中の有効成分は特定されていなかった。したがって、従来、酸性アミノ酸を多く含むコラーゲンペプチドの研究はされておらず、その細胞増殖効果についても研究されていなかった。また、カルシウム吸収促進剤としてのゼラチンやコラーゲンの分解物の報告があるが、分子量が1000以下であり、本発明とは異なるものである。また、これらの繊維芽細胞増殖活性については開示されていない。さらに、製法もヒドロキシアパタイトのカルシウム陽イオンに吸着させた後、溶出していることから、等電点で分離しているのではなく、カルシウムイオンとの親和性で分離していることから、本発明の製造方法とは異なるものである(特許文献12参照)。一方、ゼラチンやコラーゲンの分解物で分子量が400以下でアミノ酸が3つつながったGly-Pro-Hypという構造のコラーゲン合成促進剤が報告されているが、これは、本発明の分子量1000以上のコラーゲン分解物とは分子量が異なり、しかも、アスパラギン酸、グルタミン酸がまったく含まれていないため、本発明とは大きく異なるものである。また、その製造方法も特殊な加水分解酵素を用いて製造するものであり、本発明の製造方法とは大きく異なるものである(特許文献13参照)。特開平03−141299号公報特開平01−175998号公報特開平09−040523号公報特開平09−295928号公報特開平10−36279号公報特開平10−36283号公報特開平10−45615号公報特開平11−255657号公報特開2002−068933号公報特開2003−34631号公報特公平4−24329号公報特開平11−318390号公報特開2001−131084号公報前記した従来の技術を用いても、繊維芽細胞増殖促進効果を利用した美肌効果を発揮するには、毎日5gあるいは10g以上のコラーゲンペプチドを少なくとも1ヶ月以上(好ましくは半年以上)は摂取し続けなくてはならず、より効率の良い繊維芽細胞増殖促進剤の開発が望まれていた。また、ゼラチンやコラーゲンの分解物を前記のように大量に摂取しようとすると、原料由来の特有のゼラチン臭がすることから、直接の摂取が難しかった。一方、他の味や匂いをつけてマスキングすることは可能であるが、5gあるいは10g以上のコラーゲンペプチドを半年以上も摂取するために、単一の味では飽きがきてしまい、無味、無臭でどのような料理にも添加できるようなコラーゲンペプチドが求められていた。本発明が解決しようとする課題は、繊維芽細胞増殖活性が高く、味や匂いの少ないペプチド組成物、繊維芽細胞増殖促進剤およびその製造方法を提供することである。本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ゼラチンおよび/またはコラーゲンの分解物であって、分子量が1000〜10000の範囲、アスパラギン酸単位およびグルタミン酸単位の合計の酸性アミノ酸単位が全アミノ酸単位の15モル%〜25モル%、であるペプチド組成物が繊維芽細胞増殖促進作用を有することを見出して、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、ゼラチンおよび/またはコラーゲンの分解物であって、分子量が1000〜10000の範囲、アスパラギン酸単位およびグルタミン酸単位の合計の酸性アミノ酸単位が全アミノ酸単位の15モル%〜25モル%、であるペプチド組成物および該組成物を有効成分として含有する繊維芽細胞増殖促進剤である。さらに、本発明は、ゼラチンおよび/またはコラーゲンの分解物であるペプチドを含有した溶液を等電点の差異で分離することを特徴とするペプチド組成物の製造方法であり、特にその方法が陰イオン交換樹脂に吸着させる工程と、陰イオン交換樹脂から塩溶液などを用いて、前記ペプチドを溶出させる工程とを含むことを特徴とする、ペプチド組成物の製造方法である。本発明にかかるぺプチド組成物は繊維芽細胞増殖活性が高く、無味、無臭である。本発明にかかる製造方法は、上記ペプチド組成物を容易に製造することができる。本発明にかかる繊維芽細胞増殖促進剤は、ゼラチンおよび/またはコラーゲンの分解物であるペプチド組成物を有効成分として含むものである。コラーゲンは、その大部分がたんぱく質とその加水分解されたペプチドからなっている。このペプチドは特有のゼラチン臭を有し、これはペプチドそのものの匂いであるとされているために、吸着樹脂や活性炭カラムでの異物の除去によって匂いを消去することはできない。またこのペプチドが繊維芽細胞増殖促進性を有する理由は定かではないが、以下のように推測することができる。コラーゲンは皮膚の主要な構成蛋白質であり、コラーゲンのペプチドを経口摂取することにより、消化されてアミノ酸として体内に吸収され、それを原料として繊維芽細胞でコラーゲンの再合成が促進される。あるいは、コラーゲンペプチドを経口摂取し、それが皮膚の繊維芽細胞に到達することにより、それがシグナルとなり、皮膚の分解あるいは再生が進むことが考えられている。コラーゲンは、生体内に最も大量に存在する蛋白質で皮膚や腱などの結合組織および骨中に分布している。コラーゲンはその特徴として、Gly−X−Yのアミノ酸配列を持ち、3本鎖のヘリックス構造を有している。また、ゼラチンとは、コラーゲンが変成したものをいう。したがって、ゼラチンは、コラーゲンと一次構造(アミノ酸配列)は同一であるが、変成しているためにヘリックス構造の崩壊した状態である。したがって、本発明で用いられるペプチドは、ゼラチンおよび/またはコラーゲンを、熱、酸およびアルカリのうちの少なくとも一つを用いて物理化学的に分解したり、酵素および/または微生物を用いて生物学的に分解したりして得られるものである。これらのうちでも、酵素を用いる生物学的な分解方法は、反応条件が温和であり、蛋白質を塩酸分解すると発生することが知られているモノクロロプロパノールやジクロロプロパノールなどが生成することはない。また、酵素を用いる生物学的な分解方法では、分子量の調整や、ペプチド切断部位の調整が可能である。上記コラーゲンの原料としては、特に限定はされないが、たとえば、ウシ、豚、羊、鳥類などのコラーゲンや、魚、魚鱗、鮫などのマリンコラーゲンが用いられる。これらを分解する酵素としては、特に限定はされないが、たとえば、植物由来の酵素や、麹菌から抽出された酵素などを挙げることができ、これらの1種または2種以上が使用される。植物由来の酵素としては、たとえば、ブロメライン(ブロメラインF、天野製薬社製)、パイナーゼ(大日本製薬社製)、アルファプシン(興和社製)などのパイナップル由来の酵素;パパイン(長瀬産業社製、アサヒビール社製、日本バイオコン社製)などのパパイア由来の酵素;フィシンなどのイチジク由来の酵素;アクチニダインなどのキウイ由来の酵素などを挙げることができる。麹菌から抽出された酵素としては、Aspergillus属やRhizopus属から抽出された酵素があり、たとえば、プロテアーゼA(天野製薬社製)、デナチームAP(長瀬産業社製)、コクラーゼSS(三共社製)、フレーバーザイムM(ノボノルディスク社製)、オリエンターゼCP(阪急バイオ社製)、ペプチターゼR(天野製薬社製)などを挙げることができる。酵素を用いる場合の分解条件としては、それぞれの至適条件で行えばよい。本発明の繊維芽細胞増殖促進剤の有効成分であるペプチド組成物の分子量は1000〜10000の範囲であり、このペプチドは、酸性アミノ酸単位(酸性アミノ酸に由来する構造単位)を必須成分として含むものである。上記酸性アミノ酸単位は、アスパラギン酸単位(アスパラギン酸に由来する構造単位)およびグルタミン酸単位(グルタミン酸に由来する構造単位)の総計が15モル%〜25モル%である。本発明の繊維芽細胞増殖促進剤は、湿疹、肌荒れ、肌の乾燥、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患や皮膚及び真皮の発育促進、皮膚の老化防止、並びに創傷治癒促進などを目的とした、皮膚・頭皮、口腔、眼、耳、鼻、肛門、陰部などの様々な外傷に対しての予防、治療に有効的で、更に安全性も高いものである。また、肌のはり、たるみ、皺、しみ、くま、くすみ、肌荒れ、皮膚の肥厚、皮膚の角化、肌のきめ、肌のつや、肌の色、肌の線、毛穴の深さ、色調、色の均一性、そばかす、てかり、脂性、ざらつき、斑点、発疹、ほくろ、きばみ、紅斑、白斑、黒斑などの色素沈着、その他の肌状態の改善効果が期待できる美容食品としても使用できる。あるいは毛の分布(例えば頭髪または顔面の毛)、髪の太さ、髪の長さ、髪の密度またはその他の毛髪・体毛の状態などの改善効果が期待できる食品としても使用できる。あるいは、つめの状態の改善効果が期待できる食品としても期待できる。本発明のペプチド組成物あるいは該組成物を有効成分として含有する繊維芽細胞増殖促進剤は、単独で摂取させてもよいが、他の繊維芽細胞促進因子や美容改善効果が見込まれる各種飲食品とともに摂取させることも可能である。繊維芽細胞増殖促進剤は、これ単独またはその他の成分をも含ませて、医薬品や、健康食品などに用いてもよい。本発明の繊維芽細胞増殖促進剤の人体への投与は、経口、非経口いずれによってもよい。経口投与する場合には、散剤、錠剤、カプセル剤、この繊維芽細胞増殖促進剤を含むジュース、ゼリー、粉末や錠剤の健康食品などの形で行うことができる。本発明にかかるペプチド組成物の製造方法は、ペプチドの等電点で分離する方法であり、ペプチドの等電点は構成するアミノ酸に依存する。等電点で分離する方法の一例として、陰イオン交換樹脂を用いた場合は、その吸着工程と溶出工程とを組み合わせる製造方法である。なお、本発明で用いる陰イオン交換樹脂は、強塩基性イオン交換樹脂ならばよく、アンバーライト(オルガノ社製)IRA−411S、 IRA−410、 IRA910CT、 IRA404J、 IRA900J、 ダイヤイオン(三菱化学社製)SA20A、SA10、NSA100、RDA02、HPA25などが使用できる。吸着工程吸着工程は、ゼラチンおよび/またはコラーゲンの分解物を含有した溶液を陰イオン交換樹脂に接触させて、前記分解物に含まれるペプチドを陰イオン交換樹脂に吸着させる工程である。ここで、分解物に含まれるペプチドは、その電気的親和性から等電点が陽イオン側に近いもののみ吸着され、中性や塩基性のペプチドは吸着されない。吸着工程について限定はないが、吸着させる際の分解物のpHは好ましくは6〜8、さらに好ましくは6.5〜7.5、濃度は0.1〜10重量%が好ましい。カラムに充填したイオン交換樹脂に接触させる場合の通液量は、好ましくはイオン交換樹脂量に対して、1/100〜等量であり、バッチ法においては5〜50倍量が好ましい。上記吸着工程によって、陰イオン交換樹脂に対して繊維芽細胞増殖促進剤の有効成分であるペプチドを選択的に吸着させることができる。溶出工程溶出工程は、前記吸着工程でペプチドを吸着した陰イオン交換樹脂にペプチド脱着液を接触させ、前記ペプチドを溶出させる工程である。上記ペプチド脱着液は、塩基性水溶液であればよく、水酸化ナトリウムなどの食品にも使用可能なものが好ましいが特に限定はない。ペプチド脱着液に含まれる塩基の濃度は、好ましくは50mM〜1M、さらに好ましくは100mM〜300mMである。溶出処理後のペプチド脱着液は、通常、ペプチドを含むアルカリ性溶液であり、適宜、塩酸、硝酸などの酸を用いて中和または弱酸性にして、イオン交換膜あるいは陽イオン交換樹脂を用いて脱塩処理を行ってもよい。この溶出したアルカリ性溶液、このアルカリ性溶液を酸で中和または弱酸性にした溶液、脱塩した溶液、あるいはこれらの溶液をスプレードライや凍結乾燥などで粉末化したものが、本発明のペプチド組成物として用いることができる。さらには、特開2002−84984号公報に記載のような、等電点でたんぱく質あるいはそのペプチドを分離することも可能である。本発明のペプチド組成物あるいは該組成物を有効成分として含有する繊維芽細胞増殖促進剤は、無味、無臭であることからいかなる形態の食品にも添加することが可能である。その食品を摂取する際に消費者が好みの飲料や食品に混入するための粉末食品形態、あるいは飲料などに添加する錠剤形態が最もこのましい。あるいは、ジュースなどの飲料や、ゼリー、グミなどの食品、錠剤形態、粉末形態などの健康食品の形態にすることも可能である。繊維芽細胞増殖促進剤を含む飲料としては、たとえば、本発明のペプチド0.5〜30重量部、果汁1〜50重量部、異性化液糖5〜20重量部、酸味料(クエン酸など)0.01〜1.0重量部、香料0.1〜1.0重量部、水30〜95重量部などを配合してなる果汁入り飲料などを挙げることできる。繊維芽細胞増殖促進剤を含むゼリーとしては、たとえば、本発明のペプチド0.5〜20重量部、果汁1〜40重量部、グラニュー糖5〜20重量部、酸味料(クエン酸など)0.01〜1.0重量部、ゲル化剤(ゼラチンなど)0.5〜10.0重量部、香料0.1〜1.0重量部、水15〜95重量部などを配合してなるフルーツゼリー、ゼリー飲料などを挙げることができる。繊維芽細胞増殖促進剤を含む粉末食品としては、たとえば、本発明のペプチド0.5〜80重量部、マルトデキストリン5〜20重量部、増粘剤(ゼラチンなど)0.1〜5.0重量部、乳化剤(シュガーエステルなど)0.1〜5.0重量部、甘味料(アスパルテームなど)0.01〜1重量部などの成分を配合してなる粉末食品などを挙げることができる。繊維芽細胞増殖促進剤を含む錠剤(タブレット)形態食品としては、たとえば、本発明のペプチド0.5〜80重量部、マルトデキストリン5〜20重量部、増粘剤(ゼラチンなど)0.1〜5.0重量部、乳化剤(シュガーエステルなど)0.1〜5.0重量部、甘味料(アスパルテームなど)0.01〜1重量部などの成分を配合してなる粉末食品を打錠して得られる錠剤形態食品などを挙げることができる。以下に本発明を実施例および試験例によりさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例および試験例にその技術的範囲が限定されるものではない。(実施例1)原料として市販魚皮由来コラーゲンペプチド(ニッピ社製)を用いた。その平均分子量は3000〜5000であり、アミノ酸組成は表1に記載の通りである。このコラーゲンペプチド400gを10mM燐酸緩衝液2リットルに溶解した。事前に、10mM燐酸緩衝液で平衡化しておいた、陰イオン交換樹脂アンバーライトIRA−411S(オルガノ社製)4リットルに10リットル/時で通液した。通過液は、副産物として保存した。さらに、10mM燐酸緩衝液を280nmの吸光度がなくなるまで約50リットル通液して吸着工程とした。さらに0.6MNaCl溶液を280nmの吸光度がなくなるまで約50リットル通液して、溶出工程とした。得られた溶出液は50リットルであり、その溶出液のpHは7.0、電導度は125mS/cmであった。これをロータリーエバポレーターで約10リットルまで濃縮した。これを小型卓上電気透析装置(マイクロアシライザーS3型、カートリッジAC−110)で、電導度が0.1mS/cmまで脱塩した。脱塩して得られた液9.5リットルを凍結乾燥して、繊維芽細胞増殖促進活性を有する組成物50.3gを得た。この組成物のアミノ酸分析および分子量分布の測定を行った。ハイドロキシプロリンを除くアミノ酸組成の分析は、藤原ら(Fujiwara M. et al, Anal. Biochem. ,160, 72−78,1987)の方法に準じ、分析用試料を6N塩酸で加水分解後、OPAポストカラム法によるHPLC分析法で分析した。ハイドロキシプロリンの分析は、佐藤ら(Sato K. et al, J. Agric. Food Chem. ,40,806−810,1992)の方法に準じ、分析用試料を6N塩酸で加水分解後、PITC誘導し、HPLC法で分析した。分析条件カラム:TSK80TsQA(250X2.0mm)、溶離液:A)50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6) B)アセトニトリル溶出条件:5−10%B(0−8min)、70%B(8−11min)、5%B(11min)流量:0.18ml/min検出条件:254nm一方、分子量の測定は、ゲルろ過分析をHPLC法で行い、マルチステーションGPC−8020ソフトウェアVer4.0(東ソー製)を用い、分子量307から17800の分子量マーカーの保持時間から検量線を作成して行った。この検量線を用い、得られた組成物の平均保持時間から平均分子量を算出した。 分析条件カラム:TSK−GEL3000PWXL(300X7.8mm)溶離液:45%アセトニトリル(0.1%TFA含有)流量:0.5ml/min検出条件:215nm得られた組成物のアミノ酸分析結果をモル比で表し、市販コラーゲンペプチドと比較して表1に示した。この結果、アスパラギン酸含量6.1%、グルタミン酸含量9.7%であり、合計が15.8%であった。また、分子量分布を測定の結果、平均分子量は約4800であった。一方、市販の各種コラーゲンペプチドのこれらのアミノ酸含量はすべて15%以下であった。(試験例1)実施例1で調製したペプチド組成物と、比較として実施例1で用いた原料である魚皮由来コラーゲンペプチドの、繊維芽細胞増殖活性を測定した。ヒト線維芽細胞を5%ウシ胎児血清(FBS)を含むEagle-MEM培地(GIBCO社製)に懸濁し、12well plateに1wellにつき5X104個(1mL)ずつ分注後、対照をPBSとして、原料コラーゲンぺプチドおよび実施例1で得た組成物をそれぞれ最終濃度1μg/mLになるようにPBSに溶解したものを1wellにつき10μLずつ加え、37°C、5%CO2存在下3日間培養した。培養後、Cell Counting Kit−8溶液(同仁化学研究所)を各wellに20μLずつ添加し、37°C、5%CO2存在下4時間インキューベーションした。その後、96well plateに100μLずつ分注し、マイクロプレートリーダーを用いて450nmの吸光度を測定した。増殖活性は次式にて算出した。細胞増殖活性=(試料添加時の吸光度)/(試料無添加時の吸光度)PBSとはPhosphate−buffer salineの略であり、NaCl8.0g、Na2 HPO41.15g、KCl0.2g、KH2PO40.2gを水1Lに溶解したものである。図1に結果を示したように、本発明の繊維芽細胞増殖活性を有するペプチド組成物は、対照群および原料である魚皮由来コラーゲンペプチドと比較して高い増殖活性を示した。(試験例2)実施例1で陰イオン交換樹脂に吸着しなかった副産物画分を、実施例1と同様に濃縮、脱塩、粉末化し副産物とした。実施例1のペプチド組成物、この副産物、実施例1で用いた魚皮由来コラーゲンペプチドの3種類で味、匂いに関する官能試験を行った。3種類のペプチドをそれぞれ100mgを中身がわからないようにマスクしてプラスチック容器に入れ、20名の男女(男性11名、女性9名、平均年齢38歳)に匂いがくさい順に順位付けをしてもらった。結果と平均順位を表2に示した。実施例1のペプチド組成物が、もっとも臭くないとの回答が最も多く、その平均順位をSteel Dwass法で統計解析を行った。その結果、実施例1のペプチド組成物は、副産物との比較(p≦0.01)、魚皮由来コラーゲンペプチドとの比較(p<0.01)、において有意差をもって匂いが改善されていた。また、20名に本発明のペプチド組成物を水に溶かして、味、匂いを尋ねたところ、過半数の11名が、実施例1のペプチド組成物が無味、無臭であると回答した。実施例1で調整したペプチド組成物の繊維芽細胞増殖活性の結果である。ゼラチンおよび/またはコラーゲンの分解物であって、分子量が1000〜10000の範囲、アスパラギン酸単位およびグルタミン酸単位の合計の酸性アミノ酸単位が全アミノ酸単位の15モル%〜25モル%、であることを特徴とするペプチド組成物。請求項1記載のペプチド組成物を有効成分として含有する、繊維芽細胞増殖促進剤。ゼラチンおよび/またはコラーゲンの分解物を含有した溶液を分解物の等電点の差異で分離することを特徴とする、請求項1記載のペプチド組成物の製造方法。ゼラチンおよび/またはコラーゲンの分解物を含有した溶液を、分解物の等電点の差異で分離する方法が、陰イオン交換樹脂に吸着させる吸着工程と、陰イオン交換樹脂からペプチドを溶出させる溶出工程を含むことを特徴とする、請求項3記載のペプチド組成物の製造方法。 【課題】 安全で、味、匂いがない繊維芽細胞増殖促進剤を提供する。【解決手段】 ゼラチンおよび/またはコラーゲンの分解物であって、分子量が1000〜10000の範囲、アスパラギン酸単位およびグルタミン酸単位の合計の酸性アミノ酸単位が全アミノ酸単位の15モル%〜25モル%、であることを特徴とするペプチド組成物を提供する。また、このペプチド組成物を有効成分として含有する、繊維芽細胞増殖促進剤を提供する。さらに、ゼラチンおよび/またはコラーゲンの分解物を含有した溶液を分解物の等電点の差異を利用して分離することを特徴とするペプチド組成物の製造方法、およびゼラチンおよび/またはコラーゲンの分解物を含有した溶液を陰イオン交換樹脂に吸着させる工程と、陰イオン交換樹脂からペプチドを溶出させる工程を含むことを特徴とするペプチド組成物の製造方法、を提供する。【選択図】なし


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