| タイトル: | 公開特許公報(A)_メルカプトピリジン−N−オキシド化合物 |
| 出願番号: | 2005054923 |
| 年次: | 2006 |
| IPC分類: | C07D 213/71,A01N 43/40 |
福永 広文 中村 友昭 中村 剛希 JP 2006240999 公開特許公報(A) 20060914 2005054923 20050228 メルカプトピリジン−N−オキシド化合物 富士写真フイルム株式会社 000005201 飯田 敏三 100076439 福永 広文 中村 友昭 中村 剛希 C07D 213/71 20060101AFI20060818BHJP A01N 43/40 20060101ALI20060818BHJP JPC07D213/71A01N43/40 101L 3 OL 14 4C055 4H011 4C055AA17 4C055BA02 4C055BA47 4C055CA02 4C055CA47 4C055CB15 4C055DA01 4H011AA02 4H011BA01 4H011BB09 4H011BC18 4H011DA13 4H011DG04 本発明は、感光性メルカプトピリジン−N−オキシド化合物に関する。 メルカプトピリジン−N−オキシドは、抗ふけ菌剤、魚網防汚剤、防腐剤に用いられている代表的な化合物であり、一般にピリチオンと呼ばれている。例えばピリチオン抗菌剤は、一般にナトリウムピリチオン、亜鉛ピリチオン、銅ピリチオンなどとして知られている。これらの金属ピリチオンは非常に高い抗菌活性を示すものであるが、例えばナトリウムピリチオンは乾燥体では不安定で取り扱いが難しく、亜鉛ピリチオンや銅ピリチオンは溶解性が低い。 取り扱い向上の観点から用途に応じて不溶性の銅ピリチオンの微粒子を用いる方法や(特許文献1)、その場で金属ピリチオンを調製する方法(特許文献2)、トリフェニル(アルキレンジアミン)ボロンとの複合体(特許文献3)などが知られている。また、無金属ピリチオンをグアニジン誘導体と複合体を形成させることで、アルコール系、ポリエーテル系溶剤への溶解性を向上させることが特許文献4に記載されている。しかし、これらのピリチオン化合物はいずれもピリチオン骨格上に置換基を有するものではない。 一方、ピリチオン化合物は光分解性を有しており、化合物に近紫外から可視の波長(300〜450nm)の光を照射すると、極めて高い量子収率でN−O結合が切断されてラジカルが発生することが非特許文献1又は2に記載されている。こうした性質はピリチオン化合物が光機能性材料として非常に有望であることを示唆している。すなわち、ピリチオン化合物のピリチオン骨格上に置換基を導入し様々な誘導体を導くことによって、光分解性だけではなく種々の所望の性能を持たせることができると考えられる。 しかしながら、従来において機能化されたピリチオン化合物はあまり知られていなかった。例えば非特許文献3〜5にはカルボキシル基を有するピリチオン化合物が記載されているが、水溶液中で光分解性を示す光機能材料としての利用は図られていなかった。また、化合物の水への溶解性の観点からは、カルボキシル基を有するピリチオン化合物では十分な溶解性を付与することができなかった。特開2001−48884号公報特表2001−524964号公報特開2002−356475号公報特開2004−43421号公報「ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(Journal of the American Chemical Society)」,1996年,第118巻,p.10113「ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ」,1997年,第119巻,p.6457「インオーガニック・ケミストリー(Inorganic Chemistry)」,1993年,第32巻,p.3052「バイオケミストリー(Biochemistry)」,1983年,第22巻,p.5331「ジャーナル・オブ・コーディネーション・ケミストリー(Journal of Coordination Chemistry)」,1992年,第26巻,p.1 本発明は、ピリチオン化合物の水または有機溶剤に対する溶解性の制御を可能にし、さらに光機能性材料として好適な高い光分解性を有するメルカプトピリジン−N−オキシド化合物を提供することを目的とする。 本発明者らは鋭意検討した結果、溶解性付与部位としてスルホ基を有するメルカプトピリジン−N−オキシド化合物を得、この化合物により水または有機溶剤に対する溶解性の制御が可能な光機能性材料を提供できることを見い出した。本発明はこのような知見に基づきなされるに至ったものである。 すなわち、本発明は、(1)下記一般式(I)で表されるメルカプトピリジン−N−オキシド化合物、一般式(I)(M1、M2はそれぞれ+1〜+3価の陽イオン性基であり、M1とM2はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。mは1〜2の整数を表す。Rは置換基を表し、nは0〜3の整数を表す。)(2)前記一般式(I)中、M2が水素原子、リチウム原子、ナトリウム原子又はカリウム原子であることを特徴とする(1)項に記載のメルカプトピリジン−N−オキシド化合物、および(3)前記一般式(I)中、M2がアルキルアンモニウム基又はアルキルホスホニウム基であることを特徴とする(1)項に記載のメルカプトピリジン−N−オキシド化合物を提供するものである。 本発明において、光分解性(光崩壊性)とは、波長200〜800nm(好ましくは250〜500nm)の光によりピリチオン核に含まれる窒素原子とこれに結合している酸素原子との結合が切断されることをいう。 本発明の化合物は光分解性(光崩壊性)を有しかつスルホ基を有しているため、水または有機溶剤に可溶な光応答性材料、抗菌材料を提供することができる。また、スルホ基の対陽イオンを選択することで、溶解性を自在に制御することができる。 以下、本発明の一般式(I)で表される化合物について詳細に説明する。 本発明の一般式(I)で表される化合物はスルホ基をピリチオン骨格上に有することを最大の特徴とする。 一般にスルホン酸の誘導体は、プロトンまたはアルカリ金属イオンを対塩にした際には親水性が向上し、疎水性長鎖のアリール又はアルキルアンモニウム塩を形成させると疎水性が向上し有機溶媒への溶解性が飛躍的に向上する。また、アルカリ土類金属などを用いて不溶性の塩を形成させると、その溶解度を著しく低下させることが可能になり、難溶性の状態にすることができる。さらにパーフルオロアルキルアミンと塩を形成させると、フッ素系媒体中への溶解性を著しく高めることができる。 本発明の化合物はピリチオン骨格上にスルホ基を有するため、上記のようにその対カチオン基の選択によりピリチオン化合物の溶解性を自在に制御させることができる。 一般式(I)において、mは、1または2の整数を表し、好ましくは1である。スルホ基はピリチオン環のどの位置に置換していても良いが、mが1の場合にはメルカプト基のオルト位またはパラ位が好ましく、パラ位が特に好ましい。mが2の場合には、オルト位およびパラ位に置換することが好ましい。 M1、M2はそれぞれ+1〜+3価の陽イオン性基であり、M1とM2はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。本発明において、陽イオン性基とは電離して陽イオンを形成する基をいう。 +1〜+3価の陽イオン性基としては、水素原子、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基(例えば、トリエチルアンモニウム基、テトラブチルアンモニウム基、セチルトリメチルアンモニウム基、パーフルオロトリブチルアンモニウム基)、アルキルホスホニウム基(例えば、テトラブチルホスホニウム基、ブチルトリメチルホスホニウム基)、アリールホスホニウム基(例えば、ベンジルトリフェニルホスホニウム基、テトラフェニルホスホニウム基)、アルキルスルホニウム基(例えば、トリメチルスルホニウム基、ベンジルジメチルスルホニウム基)、アリールスルホニウム基(例えば、トリフェニルスルホニウム基、ベンジルメチルフェニルスルホニウム基)、アルキルシリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基)、金属原子が好ましく、水素原子、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、アルキルシリル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、スズ(Sn)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、コバルト(Co)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、水銀(Hg)、ガリウム(Ga)、ガドリニウム(Gd)、ロジウム(Rh)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)がより好ましい。 M1が多価の陽イオン性基(好ましくは金属原子)の場合には、一般式(I)で表されるピリチオン化合物の分子間で錯体を形成してもよく、別の配位子を含む錯体を形成してもよい。分子間で錯体を形成する場合、M1は、ピリチオン核に含まれる窒素原子に結合している酸素原子に配位結合することができる。 M1としては、水素原子、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、銅(Cu)、銀(Ag)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)が最も好ましい。 上述したように、スルホ基に結合する対カチオン基すなわちM2を選択することにより、ピリチオン化合物の溶媒への溶解性を制御することができる。 ピリチオン化合物に水溶性を付与するには、M2は水素原子又はアルカリ金属が好ましく、特に水素原子、リチウム、ナトリウム又はカリウムが好ましい。 ピリチオン化合物に有機溶媒への溶解性を付与するには、M2はアルキルアンモニウム基、アルキルホスホニウム基、アリールホスホニウム基、アルキルスルホニウム基又はアリールスルホニウム基が好ましく、アルキルアンモニウム基又はアルキルホスホニウム基がより好ましく、アルキルアンモニウム基が特に好ましい。また、M2が含フッ素アルキルアミン類を用いたアンモニウムである場合にはフルオロカーボンへの親和性を向上させることができる。 また、抗菌剤などの用途で徐放性が求められる場合には、M2はアルカリ土類金属が好ましく、マグネシウム、カルシウム又はストロンチウムがより好ましく、カルシウムが特に好ましい。 一般式(I)で表される化合物の置換基Rとしては例えば、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素)、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む;例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、2−メチルスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、複素環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メタンスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ)、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ)、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、複素環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、複素環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基等が挙げられる。これらの中でRは水素原子であることが特に好ましい。 一般式(I)で表される化合物は、互変異性体である下記一般式(II)で表されるチオン型化合物と同一の化合物である。一般式(II) 式中、M1、M2、m、R及びnは一般式(I)と同義であり、好ましい範囲も同様である。 以下に一般式(I)又は(II)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。 次に、本発明の化合物の合成法について説明する。 本発明の化合物は、置換又は無置換の2−アミノピリジン化合物をスルホ化した後に、アミノ基を水酸基、次いでハロゲン原子に置換し、窒素原子を酸化した後にハロゲン原子を硫黄原子に置換することによって合成することができる。この後、必要に応じてスルホ基の対イオンおよびメルカプト基の対イオンをさらに置換することで、水溶性、油溶性、難溶性の性質を付与させた化合物を合成することができる。 2−アミノピリジン化合物のスルホ化は濃硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、クロロ硫酸、アミド硫酸、フルオロ硫酸などの一般的なスルホ化剤を用いて行うことができる。コストと安全性の観点からは濃硫酸の使用が好ましい。この際、反応の進行にともなって水が生成して反応速度を著しく低下するため、減圧蒸留もしくは共沸蒸留によって生成する水を除去しながら反応を行うことが好ましい。反応は0℃〜200℃の範囲で実施することが可能であり、好ましくは30℃〜180℃の範囲であり、さらに好ましくは80℃〜140℃である。溶媒は上記の硫酸などのスルホ化剤を単独で溶媒として用いても良いが、共沸脱水を行うために高沸点の溶媒を用いて反応を行ってもよい。 一般式(I)においてスルホ基の数を表すmは1又は2であるが、これはスルホ化の条件を変えることで制御することができる。上記の好ましいスルホ化の条件ではmが1の化合物を与えやすいが、例えば濃硫酸を用いて反応温度を180℃、反応時間を10時間反応させると、mが2の化合物を得ることができる。 次に、2−アミノピリジンスルホン酸化合物のアミノ基をハロゲン原子に置換する工程では、アミノ基をジアゾ化した後に水酸基に変換し、得られた2−ヒドロキシピリジンスルホン酸化合物をハロゲン化することが好ましい。アミノ基のジアゾ化は酸の存在下、亜硝酸ナトリウムの水溶液もしくは粉末を添加することによって行うことができ、その他の一般的なジアゾ化剤を用いて行うことも可能である。生成した2−ジアゾニウムピリジンスルホン酸化合物は不安定な化合物であり、すみやかに窒素を放出して2−ヒドロキシピリジンスルホン酸化合物に変換される。亜硝酸ナトリウムの使用量は好ましくは1〜10当量であり、さらに好ましくは1.1〜5当量である。反応温度は−10℃〜50℃の温度で実施することが可能であるが、ジアゾ化の反応が発熱的であるため、0℃〜20℃の間で反応させることが好ましい。 得られた2−ヒドロキシピリジンスルホン酸化合物のハロゲン化は、オキシ塩化リン、塩化チオニル、オキサリルクロリド、五塩化リン、三塩化リン、四塩化炭素−トリフェニルフォスフィンなどの塩素化合物の反応剤を用いて行うことにより2−クロロピリジンスルホン酸化合物を得ることができる。反応剤に応じて適宜アミド化合物(たとえばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド)を触媒に用いることも好ましい。この際、スルホン酸部位がスルホニルクロリドに変換される場合があるが、その際には有機溶剤で抽出を行った後にスルホニルクロリドを加水分解することによって目的の2−クロロピリジンスルホン酸化合物を得ることができる。なお、本発明の化合物の合成に際しては、例示した塩素化合物以外にも臭素化合物を用いることも可能であり、臭化チオニル、臭化水素酸、臭素−トリフェニルフォスフィンなどの臭素化剤を用いることが可能であり、好ましくは臭化チオニルである。 2−ハロピリジンスルホン酸化合物を酸化してN−オキシド化合物を得る反応は、水を含む反応系中で酸化を行うことが好ましい。好ましくは15w%以上の水を含む反応溶媒が良く、この際の酸化剤としては過硫酸の塩が好ましい。反応性、コストおよび安全性の観点から過硫酸の塩としては、2K2SO5・KHSO4・K2SO4(OXONE、商品名、デュポン社製)が特に好ましい。 また、有機酸を溶媒に用いて30%過酸化水素水を用いて酸化をすることも可能である。有機酸としては酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、メタンスルホン酸、トロフルオロメタンスルホン酸が好ましく、トリフルオロ酢酸が特に好ましい。 2−ハロピリジンスルホン酸−N−オキシド化合物におけるハロゲン原子を硫黄原子に置換する反応は、無置換ピリチオンにおける公知の方法(例えば、「ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ」,1950年,第72巻,p.4362)に従って行うことができる。反応の溶媒としては水またはアルコール系溶媒が好ましい。 また、一般式(I)で表される化合物におけるM1は、かくして合成されたピリチオン化合物から公知の方法にて誘導することができる。例えば「ジャーナル・オブ・インオーガニック・アンド・ヌクレア・ケミストリー(Journal of Inorganic and Nuclear Chemistry)」,1964年,第26巻,p.1277によれば、ピリチオン化合物の水溶液に目的の金属化合物の塩の水溶液を反応させることによって容易に合成することが可能である。 さらに、一般式(I)で表される化合物におけるM2は、スルホン酸のイオン交換によって容易に置換することができる。例えば、アルコール系溶媒中でアルカリ金属の酢酸塩とともに処理することで、容易にM2をアルカリ金属に置換することができる。また、アルキルアミンもしくはアルキルアンモニウム塩化合物の水もしくはアルコール系溶液を用いることで、容易にM2をアルキルアンモニウム基に置換することができる。含フッ素アミン類を用いても同様に合成することが可能である。 また、強酸性のイオン交換樹脂を用いてイオン交換を行っても良い。 本発明の化合物は、光機能性材料として利用することができ、特に抗ふけ菌剤、防腐剤、医薬品あるいは農薬などに利用することができる。 以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。<例示化合物(1)(2−メルカプトピリジン−5−スルホン酸−N−オキシド)の合成> 2−アミノピリジン150gと濃硫酸420gとの混合物を減圧下130℃にて5時間反応させ、70℃まで冷却した後にメタノール375mLを加えた。得られた白色結晶をろ過したのちメタノールで洗浄し、2−アミノピリジン−5−スルホン酸198gを得た(収率71%)。 2−アミノピリジン−5−スルホン酸100gを水900mLに懸濁させ、5℃以下にて亜硝酸ナトリウム147gの水溶液340mLを2時間かけて滴下した。滴下後室温まで昇温しながらさらに2時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、水から再結晶することにより2−ヒドロキシピリジン−5−スルホン酸78gを得た(収率78%)。 2−ヒドロキシピリジン−5−スルホン酸105gとN,N−ジメチルホルムアミド30mLとの混合物を100℃に加熱し、塩化チオニル470gを2時間かけて滴下した。滴下後さらに1時間反応させた後に、反応液を氷水に注ぎ、生成物を酢酸エチル1Lで抽出した。溶媒を留去した後に、メタノール300mL、濃塩酸60mLを加えて5時間加熱還流した。反応液を減圧下濃縮し、水から再結晶することによって2−クロロピリジン−5−スルホン酸44gを得た(収率38%)。 2K2SO5−KHSO4−K2SO4(OXONE、商品名、デュポン社製)63gの水溶液200mLに2−クロロピリジン−5−スルホン酸20gを加え、室温にて12時間攪拌した。反応液にメタノール500mLを加えて室温にてさらに1時間攪拌し、固形分をろ過して除いた後に減圧濃縮した。再度メタノールを加えてろ過、減圧濃縮という操作を2度繰り返し、橙色の油状物を得た。これをセファデクスカラム(Sephadex LH−20、商品名、ファーマシア社製、溶出液:メタノール)で精製することによって2−クロロピリジン−5−スルホン酸−N−オキシド20gを得た(収率94%)。 硫化ナトリウム9水和物2.7gおよび水硫化ナトリウム水和物2.0gを含む水溶液15mLを90℃に加熱し、2−クロロピリジン−5−スルホン酸−N−オキシド2.6g水溶液10mLを滴下した。加熱したままさらに30分攪拌した後に、冷却し、濃塩酸10mLを注意深く加えた。減圧濃縮した後にメタノール5mLを加え、メタノールに不溶の固形物を除いた後にセファデクスカラム(Sephadex LH−20、商品名、溶出液:メタノール)で精製することで例示化合物(1)3.0gを得た(収率100%)。1H−NMR(D2O):δ7.68−7.79(m,2H),8.68(s,1H)<光分解性の測定> 合成した例示化合物(1)を3.86×10-4mol/Lの濃度にイオン交換水に溶解し、これを1cmの石英セルに入れ、吸光度計(マルチチャンネル検出器PMA11、商品名、浜松ホトニクス(株)製)を用いて吸光度を測定した。この溶液の339nmにおける吸光度は1.72であった。この溶液に発光中心波長365nm、23Wの蛍光灯の光を45mmの距離から30秒間照射して同様に吸光度を測定したところ、339nmにおける吸光度は0.28に減少した。 このことから、例示化合物(1)のピリチオン化合物が水溶液中で光分解性を示すことがわかった。<有機溶剤への可溶化、光分解性> 例示化合物(1)(104mg、0.50mmol)を水1mLに溶解させ、クロロホルム1mL、トリn−オクチルアミン(220μL、0.50mmol)を加え激しく攪拌した。有機層を分離し、そのうち10μLをクロロホルム10mLで希釈して1cmの石英セルに入れ、吸光度計(マルチチャンネル検出器PMA11、商品名、浜松ホトニクス(株)製)を用いて吸光度を測定した。この溶液の近紫外域のλmaxは352nmであり、その吸光度は1.42であった。この溶液に発光中心波長365nm、23Wの蛍光灯の光を45mmの距離から30秒間照射して同様に吸光度を測定したところ、352nmにおける吸光度は0.08に減少した。このことから、例示化合物(1)のピリチオン化合物に有機溶媒への溶解性を付与させることができ、さらにそのものは有機溶媒中で光分解性を示すことがわかった。 試験管に例示化合物(1)(50mg、0.25mmol)をとりDMF1mLを加え攪拌したところ、けん濁液になった。これにトリエチルアミン(40μL)を加え攪拌したところ、溶解して均一な溶液になった。この溶液10μLをDMF10mLで希釈して1cmの石英セルに入れ、吸光度計(マルチチャンネル検出器PMA11、商品名、浜松ホトニクス(株)製)を用いて吸光度を測定したところ、この溶液の近紫外域のλmaxは355nmであり、その吸光度は1.12であった。この溶液に発光中心波長365nm、23Wの蛍光灯の光を45mmの距離から30秒間照射して同様に吸光度を測定したところ、355nmにおける吸光度は0.10に減少した。このことから、例示化合物(1)のピリチオン化合物の対カチオンを変更することで有機溶媒可溶性になり、さらに有機溶媒中で光分解性を示すことがわかった。 下記一般式(I)で表されるメルカプトピリジン−N−オキシド化合物。一般式(I)(式中、M1、M2はそれぞれ+1〜+3価の陽イオン性基であり、M1とM2はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。mは1〜2の整数を表す。Rは置換基を表し、nは0〜3の整数を表す。) 前記一般式(I)中、M2が水素原子、リチウム原子、ナトリウム原子又はカリウム原子であることを特徴とする請求項1記載のメルカプトピリジン−N−オキシド化合物。 前記一般式(I)中、M2がアルキルアンモニウム基又はアルキルホスホニウム基であることを特徴とする請求項1記載のメルカプトピリジン−N−オキシド化合物。 【課題】ピリチオン化合物の水または有機溶剤に対する溶解性の制御を可能にし、さらに光機能性材料として好適な高い光分解性を有するメルカプトピリジン−N−オキシド化合物を提供する。【解決手段】下記一般式(I)で表されるメルカプトピリジン−N−オキシド化合物。一般式(I)【化1】(M1、M2はそれぞれ+1〜+3価の陽イオン性基であり、M1とM2はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。mは1〜2の整数を表す。Rは置換基を表し、nは0〜3の整数を表す。)【選択図】なし