タイトル: | 公開特許公報(A)_ビフィズス菌の培地、この培地を用いたビフィズス菌の培養方法、及びこの培養方法により培養したビフィズス菌を添加した食品 |
出願番号: | 2005054359 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | C12N 1/20,A23L 1/30 |
稻福 桂一郎 佐渡山 恵一 JP 2006238706 公開特許公報(A) 20060914 2005054359 20050228 ビフィズス菌の培地、この培地を用いたビフィズス菌の培養方法、及びこの培養方法により培養したビフィズス菌を添加した食品 金秀バイオ株式会社 397040993 渡辺 喜平 100086759 稻福 桂一郎 佐渡山 恵一 C12N 1/20 20060101AFI20060818BHJP A23L 1/30 20060101ALI20060818BHJP JPC12N1/20 AA23L1/30 Z 6 1 OL 10 特許法第30条第1項適用申請有り (1) 沖縄タイムス,2005年(平成17年)2月3日木曜日発行 (2) 琉球新報,2005年(平成17年)2月3日木曜日発行 (3) 健康産業新聞,2005年2月16日発行 (4) 健康食品新聞Health Food Journal,平成17年2月16日発行 4B018 4B065 4B018LE03 4B018MD87 4B018ME11 4B018ME14 4B018MF06 4B065AA21X 4B065AC20 4B065BA22 4B065BB15 4B065BB27 4B065BB29 4B065BC02 4B065CA41 本発明は、ビフィズス菌の培地及び培養方法に関する。より詳しくは、動物由来成分を使用することなく、植物由来成分のみを使用して、動物由来成分を使用した場合と遜色のないビフィズス菌の増殖を実現するビフィズス菌の培地、この培地を用いたビフィズス菌の培養方法、及びこの培養方法により培養したビフィズス菌を添加した食品に関する。 従来、ビフィズス菌は、腸内で健康のために良い働きをする菌の代表格として広く知られており、例えばヨーグルトなどのビフィズス菌を含有する食品は、整腸作用や免疫力を向上させる機能を有するものとして、人々に摂取されている。 このビフィズス菌は、一般に牛乳などに含まれるミルクカゼイン分解物を用いて培養され、その生産が行われている。 例えば、特許文献1には、乳を主成分とする培地で、ビフィズス菌の生菌数が高く、しかも風味の良好なビフィズス菌培養物の製造方法が開示されている。 また、特許文献2には、胃酸、胆汁塩及び酸素に対する耐性を有するビフィズス菌の簡便な培養方法が開示されているが、この培養にあたっては、動物由来成分を含有するMRS培地が使用されている。 さらに、特許文献3には、ブルガリスク菌、ビフィズス菌及びサーモフィルス菌をスターター乳酸菌とした発酵乳において、ブフガリスク菌による好ましいヨーグルトの風味を保持した上で、かつ適度な甘味を満たしながら、プロバイオティクスとしての腸内乳酸菌、特にビフィズス菌の生残性を維持する発酵乳の製造方法が開示されており、動物由来成分を使用したものとなっている。特開平7−203954号公報特開平9−322762号公報特開2001−321072号公報 しかしながら、近年、狂牛病や鳥インフルエンザなど、動物由来の食材の危険性が高まっている。 このため、動物由来成分を使用することなしに、動物由来成分を使用した場合と遜色なくビフィズス菌を生産することができれば、消費者に安全性の高いビフィズス菌含有食品を提供することが可能となる。 そこで、本発明の発明者らは、鋭意検討した結果、大豆タンパク分解物などの植物由来成分からなる培地を用いることにより、動物由来成分を有する一般的なビフィズス菌培地を使用した場合と遜色のない増殖が得られることを見出し、本発明を完成させた。 本発明は、培地として、動物由来成分を使用することなく、植物由来成分のみを使用することにより、動物由来成分を使用した場合と遜色なくビフィズス菌を増殖させることの可能なビフィズス菌の培地、この培地を用いたビフィズス菌の培養方法、及びこの培養方法により培養したビフィズス菌を添加した食品の提供を目的とする。 すなわち、本発明のビフィズス菌の培地は、動物由来成分を含有させることなく、植物由来成分を含有させたことを特徴とする。 これによって、ビフィズス菌の生産において、従来は、ミルクカゼインなど動物の乳から得られる成分を培地としてビフィズス菌の増殖が行われていたが、このような動物由来成分を用いることなくビフィズス菌の生産を行うことが可能となる。 すなわち、本発明によれば、ビフィズス菌の培地を、動物由来成分を含有させることなく、植物由来成分を用いて作成することができるため、例えば狂牛病などの影響を心配することなく、ビフィズス菌を生産することが可能となる。 また、このビフィズス菌の培地における植物由来成分として、植物タンパク分解物を1.0〜5.0重量%,酵母エキスを0.5〜2.5重量%,ブドウ糖を1.0〜5.0重量%含有させることが好ましい。 植物由来成分の組成割合をこのような割合とすれば、ビフィズス菌の増殖に必要な栄養素を供給することができ、ビフィズス菌の増殖効果を高めることが可能となる。 なお、pH調整のために、リン酸水素2カリウムを0.1〜1.0重量%加えることがより好ましい。また、増殖効果の向上のために、パントテン酸カルシウムを0.01〜0.1重量%加えることがさらに好ましい。 また、植物タンパク分解物として、大豆タンパク分解物を用いることが好ましい。 大豆タンパク分解物は、ビフィズス菌の生育に必要なペプチドやアミノ酸などの窒素源を豊富に含むことから、高いビフィズス菌増殖効果を得ることができるためである。 また、本発明の植物由来成分を含有させた培地のpHを、5.0〜7.5とすることが好ましい。 ビフィズス菌の増殖を行う場合、ビフィズス菌が増殖する際に産生する乳酸や酢酸等の有機酸によって培養液のpHが低下し、ビフィズス菌の増殖が阻害されるおそれがある。したがって、培地のpHを上記の範囲とすることでこれを防止することが可能となるためである。 さらに、本発明のビフィズス菌の培養方法は、上記ビフィズス菌の培地を用いて、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属菌を培養する方法としてある。 これによって、動物由来成分を使用することなく、ビフィズス菌の培養を行うことが可能となる。 また、本発明のビフィズス菌の培養方法により培養したビフィズス菌を食品原料に添加することにより、食品を製造することも好ましい。 ビフィズス菌含有食品におけるビフィズス菌を、このような植物由来成分のみを使用して生産したものとすることにより、消費者に安心感の高いビフィズス菌含有食品を提供することが可能となる。 本発明によれば、動物由来成分を使用することなく、ビフィズス菌の生産を行うことができるため、消費者に安心感の高いビフィズス菌及びこれを含有する食品を提供することが可能となる。 本発明は、ビフィズス菌の培地、及びこの培地を用いたビフィズス菌の培養方法であって、動物由来成分を使用することなく、植物由来成分のみを使用して、動物由来成分を使用した場合と遜色のない増殖効果を得ることを特徴とする。 以下、本発明の実施形態を具体的に説明する。(ビフィズス菌) 本発明で使用されるビフィズス菌の供試菌株は、特に限定されるものではなく、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属のビフィズス菌であればよい。(培地) 本発明で使用される培地は、動物由来成分を含有させることなく、植物由来成分を含有させたものであり、例えば図1に示すような組成とすることが好ましい。以下、このような培地を植物性培地と称する。 同図にしめすように、本発明で使用する培地は、植物タンパク分解物を1.0〜5.0重量%,酵母エキスを0.5〜2.5重量%,リン酸水素2カリウムを0.1〜1.0重量%,パントテン酸カルシウムを0.01〜0.1重量%,ブドウ糖を1.0〜5.0重量%としている。 植物タンパク分解物は、ビフィズス菌が増殖するための窒素源としての役割を果たす。したがって、植物タンパク分解物の配合比率をこのようにすることによって、ビフィズス菌の増殖を促進することが可能となる。 また、この植物タンパク分解物としては、大豆タンパク分解物,小麦タンパク分解物,米タンパク分解物,芋類タンパク分解物などを好適に使用することが可能である。 なかでも、植物タンパク分解物として、大豆タンパク分解物を使用することにより、高いビフィズス菌増殖効果を得ることが可能である。これは、大豆タンパク分解物が、ビフィズス菌の生育に必要なペプチドやアミノ酸などの窒素源を豊富に含むことによるものである。 酵母エキスは、ビフィズス菌の増殖促進物質としての役割を果たす。したがって、酵母エキスの配合比率をこのようにすることによって、ビフィズス菌の増殖を促進することが可能となる。 リン酸水素2カリウムは、培地におけるpH緩衝材としての役割を果たす。したがって、リン酸水素2カリウムの配合比率をこのようにすることによって、培地のpH変化を抑制し、ビフィズス菌の増殖を促進することが可能となる。 パントテン酸カルシウムは、ビフィズス菌の増殖促進物質としての役割を果たす。したがって、パントテン酸カルシウムの配合比率をこのようにすることによって、ビフィズス菌の増殖を促進することが可能となる。 ブドウ糖は、ビフィズス菌が増殖するための炭素源としての役割を果たす。したがって、ブドウ糖の配合比率をこのようにすることによって、ビフィズス菌の増殖を促進することが可能となる。 なお、残りの配合物としては、脱イオン蒸留水とすることができる。(ビフィズス菌の培養方法、及びこの培養したビフィズス菌を含有する食品の製造方法) 次に、本発明のビフィズス菌の培養方法、及び培養したビフィズス菌を含有する食品の製造方法を、図2を用いて説明する。同図は、本発明のビフィズス菌の培養方法等の工程を示すブロック図である。 本発明のビフィズス菌の培養方法等については、植物性培地を使用してビフィズス菌を増殖可能なものであれば、特に限定されるものではないが、例えば図2に示すように、(A)リフレッシュ工程、(B)増殖工程、(C)冷却工程、(D)分離工程、(E)混合工程、(F)凍結乾燥工程の各工程を含むものとすることができる。 以下、これらの各工程について順に説明する。(A)リフレッシュ工程 まず、液体窒素中で冷却保存されているビフィズス菌0.05〜0.5mLを、5mL程度の植物性培地に移し、嫌気条件下、30℃〜40℃、最適値として35℃〜38℃で、18〜24時間培養する。(B)増殖工程 次に、このようにして得られたビフィズス菌を、植物性培地に対して0.5%〜5.0%の割合で植菌を繰り返すことにより増殖させる。 すなわち、まずリフレッシュ工程を経た植物性培地(リフレッシュ液)を300mL程度の植物性培地に植菌して、嫌気条件下、30℃〜40℃、最適値として35℃〜38℃で、18〜24時間培養する。 次に、得られた植物性培地を10L程度の植物性培地に植菌して、同様に嫌気条件下、30℃〜40℃、最適値として35℃〜38℃で、18〜24時間培養する。 さらに、得られた植物性培地を200L程度の植物性培地に植菌して、同様に嫌気条件下、30℃〜40℃、最適値として35℃〜38℃で、水酸化ナトリウム等でpHを5.0〜6.5に調整しながら、18〜72時間培養する。(C)冷却工程 次に、得られた植物性培地を10℃以下に冷却して、ビフィズス菌の活動を休止させ、その増殖をストップさせる。 これによって、以降の工程においてビフィズスの活動により乳酸や酢酸が生成されることを阻止し、これらの酸が生成することによりビフィズス菌の生存が阻害されることを防止することが可能となる。(D)分離工程 次に、冷却した植物性培地を、窒素ガスで押し出しながら、遠心分離機に投入する。 ビフィズス菌は、酸素と接触することにより死滅する危険性が高いため、嫌気条件下で遠心分離機に投入するようにしたものである。また、ポンプにより遠心分離機に投入する場合は、ビフィズス菌が損傷する可能性があるため、窒素ガスで押し出すようにすることが好ましい。 そして、遠心分離機により固液分離された固体成分からビフィズス菌を回収する。(E)混合工程 次に、回収されたビフィズス菌を凍結乾燥させるため、このビフィズス菌に添加物を混合する。 この添加物としては、図3に示すように、例えばアスコルビン酸ナトリウム,L−リジン,グルタミン酸ナトリウム,パインデックス#2,ラフィノース,脱脂大豆粉,馬鈴薯澱粉とすることが好ましい。 添加物をこのようなものとすれば、次の凍結乾燥工程で、凍結時におけるビフィズス菌の死滅の防止することができるとともに、保存過程における凍結菌を適切に保護することが可能となる。(F)凍結乾燥工程 そして、得られたビフィズス菌を凍結乾燥させ、直接食品原料に添加することによって、各種食品を製造する。(実施例1)(1)ビフィズス菌の培養 以下の(A)〜(D)の工程にしたがって、ビフィズス菌を培養し、これを分離した。また、(E)及び(F)の工程にしたがって、培養したビフィズス菌を含有する食品を製造した。(A)リフレッシュ工程 ビフィズス菌の供試菌株として、Bifidobacterium longum JCM1217T(独立行政法人 理化学研究所 微生物保存施設(JCM))を使用した。 液体窒素中に保存されたこのビフィズス菌0.2mLを、5mLの植物性培地に植菌して、嫌気条件下、37℃で24時間培養を行った。 植物性培地としては、図4に示すように、大豆タンパク分解物を1.5重量%,酵母エキスを1.0重量%,リン酸水素2カリウムを0.3重量%,パントテン酸カルシウムを0.1重量%,ブドウ糖を2.0重量%,脱イオン蒸留水を95.1重量%とし、そのpHを6.8としたものを用いた。 なお、大豆タンパク分解物としては、例えばPhytone(BBL),ポリペプトンN(日本製薬),アミノベースV(三栄源エフ・エフ・アイ),アミフレックスEZ−02(武田キリン食品),アミフレックスAL−3(武田キリン食品)等を使用することが可能である。本実施例では、大豆タンパク分解物として、ポリペプトンNを使用した。(B)増殖工程 次に、このようにして得られたリフレッシュ液を、肩口フラスコにおける300mLの植物性培地に植菌し、嫌気条件下、37℃で24時間培養を行った。 さらに、培養を行った植物性培地を、中型培養槽における10Lの滅菌した植物性培地に植菌し、同様に嫌気条件下、37℃で24時間培養を行った。 そして、得られた植物性培地を、大型培養槽における200Lの滅菌した植物性培地に植菌し、同様に嫌気条件下、37℃で24時間培養を行った。(C)冷却工程 次に、ビフィズス菌の活動を休止し、その増殖をストップさせるために、得られた植物性培地を冷却水により10℃にまで冷却した。200Lの植物性培地を10℃に冷却するために、約1時間を要した。(D)分離工程 次に、ビフィズス菌を植物性培地から窒素ガスにて押し出しながら、1分間に5000mLづつ遠心分離機に投入し、約10,000rpmで40分間、順次遠心分離を行った。 そして、分離した固体成分からビフィズス菌を回収した。回収したビフィズス菌は、植物性培地200Lに対して、600gであった。(E)混合工程 次に、得られたビフィズス菌600gに、図3に示す凍結乾燥のための添加物を約1125g混合し、合計1725gの混合物とした。(F)凍結乾燥工程 最後に、この混合物を凍結乾燥し、これを馬鈴薯澱粉などに直接添加することによって、ビフィズス菌を含有する食品を製造した。(2)ビフィズス菌の増殖の確認 本発明の植物性培地を用いたビフィズス菌の培養方法による増殖の確認を行った。 その方法としては、上記リフレッシュ工程により得られたリフレッシュ液100mLを、図4に示す組成を有する植物性培地2Lに植菌して、3L培養瓶で培養した。そして、この植菌から6,12,24,48,72時間経過時の培養液を10倍希釈して、この希釈液の吸光度(A562)を測定した。この結果を図5に示す。 なお、図5において、横軸は時間を、縦軸は液中に存在している菌数をA562における吸光度値を指標として示したものである。(3)ビフィズス菌の胃酸耐性の確認 本発明のビフィズス菌の培養方法によって得られたビフィズス菌の胃酸耐性の確認を行った。 その方法としては、上記分離工程によって回収されたビフィズス菌1.0gを、生理食塩水100mLに溶解した。 次に、人工胃液(0.3%Nacl,0.35%ペプシン,5%1N−HCl)を加えて、pHを3.5に調整し、37℃で60分間保持した後、直ちにpHを6.5に調整し、BL寒天培地で72時間混釈培養した。そして、このBL寒天培地における生菌数を測定した。 また、同様に、上記分離工程によって回収されたビフィズス菌1.0gを、生理食塩水100mLに溶解したものを、人工胃液を加えることなく、同様にして37℃で60分間保持した後、BL寒天培地で72時間混釈培養し、その生菌数を測定した。 そして、人工胃液を加えることなく培養したビフィズス菌の生菌数に対する人工胃液を加えた後に培養したビフィズス菌の生菌数の割合を計算することによって、ビフィズス菌の生存率を算出した。その結果を図6に示す。(4)ビフィズス菌の保存安定性の確認 本発明のビフィズス菌の培養方法によって得られたビフィズス菌の保存安定性の確認を行った。 その方法としては、上記凍結乾燥工程により得られた凍結乾燥したビフィズス菌を約2gづつ分包し、37℃の恒温器中に遮光下で1ヶ月保存した。 次に、この保存したビフィズス菌をBL寒天培地で72時間混釈培養し、その生菌数を測定した。また、保存前のビフィズス菌についてもBL寒天培地で72時間混釈培養し、その生菌数を測定した。 そして、保存前のビフィズス菌の生菌数に対する保存後のビフィズス菌の生菌数の割合を計算することにより、生存率を算出した。その結果を図7に示す。(比較例1)(1)ビフィズス菌の培養 培地として動物由来成分を含有するものを使用した点以外については、実施例1における場合と同様の方法によりビフィズス菌の培養を行った。 この動物由来成分を含有する培地としては、図8に示すような一般的なビフィズス菌培地を使用した。この培地は、同図に示すように、Casein(enzaimatic hydroryzate)を1.00重量%、Meat extractを0.05重量%、Yeast extractを0.05重量%、リン酸水素2カリウムを0.30重量%、ブドウ糖を2.00重量%、L−Ascorbic acid (sodium salts)を1.00重量%、L−Cystein・HCl・H20を0.05重量%、その他脱イオン蒸留水を95.55重量%含有するものである。以下、この培地を動物性培地と称する。(2)ビフィズス菌の増殖の確認 次に、動物性培地を用いたビフィズス菌の培養方法による増殖の確認を、実施例1と同様の方法により行った。その結果を図5に示す。(3)ビフィズス菌の胃酸耐性の確認 また、動物性培地を用いたビフィズス菌の培養方法によって得られたビフィズス菌の胃酸耐性の確認を、実施例1と同様の方法により行った。この動物性培地を用いて培養されたビフィズス菌としては、一般的に市販されているビフィズス菌製剤から胃酸耐性の高い菌を選択し、その菌との比較を行った。結果を図6に示す。(4)ビフィズス菌の保存安定性の確認 また、動物性培地を用いたビフィズス菌の培養方法によって得られたビフィズス菌の保存安定性の確認を、実施例1と同様の方法により行った。この動物性培地を用いて培養されたビフィズス菌としては、一般的に市販されているビフィズス菌製剤から保存安定性の高い菌を選択し、その菌との比較を行った。結果を図7に示す。 以上の結果、植物性培地(大豆タンパク質使用培地)を用いた培養方法によるビフィズス菌の増殖については、図5に示すように、動物性培地(ミルクカゼイン使用培地)を用いた培養方法による場合と比較して、遜色のない増殖を実現できることが確認された。 また、植物性培地を用いた培養方法によるビフィズス菌の胃酸耐性については、図6に示すように、動物性培地を用いて培養された市販の胃酸耐性菌と比較するとやや劣るものの、動物性培地を用いて培養された市販の保存安定菌よりも優れた胃酸耐性を備えていることが確認された。 さらに、植物性培地を用いた培養方法によるビフィズス菌の保存安定性については、図7に示すように、動物性培地を用いて培養された市販の保存安定菌と比較するとやや劣るものの、動物性培地を用いて培養された市販の胃酸耐性菌よりも優れた保存安定性を備えていることが確認された。 このように本発明のビフィズス菌の培養方法によれば、動物由来成分を使用することなく、植物由来成分のみを使用することにより、動物由来成分を使用した場合と遜色なくビフィズス菌を増殖できることが確認された。本発明のビフィズス菌の培養方法における植物由来の培地組成を示す図である。本発明のビフィズス菌の培養方法及びこの培養したビフィズス菌を含有する食品の製造の工程を示すブロック図である。本発明の実施例における凍結乾燥のための添加物を示す図である。本発明の実施例における植物由来のビフィズス菌培地組成を示す図である。本発明の実施例における各培地におけるビフィズス菌の増殖を示す図である。本発明の実施例における各培地におけるビフィズス菌の胃酸耐性を示す図である。本発明の実施例における各培地におけるビフィズス菌の保存安定性を示す図である。本発明の比較例における動物由来のビフィズス菌培地組成を示す図である。符号の説明 (A) リフレッシュ工程 (B) 増殖工程 (C) 冷却工程 (D) 分離工程 (E) 混合工程 (F) 凍結乾燥工程 動物由来成分を含有させることなく、植物由来成分を含有させたことを特徴とするビフィズス菌の培地。 前記植物由来成分として、植物タンパク分解物を1.0〜5.0重量%,酵母エキスを0.5〜2.5重量%,ブドウ糖を1.0〜5.0重量%含有することを特徴とする請求項1記載のビフィズス菌の培地。 前記植物タンパク分解物が、大豆タンパク分解物であることを特徴とする請求項1又は2記載のビフィズス菌の培地。 前記培地のpHが、5.0〜7.5であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のビフィズス菌の培地。 請求項1〜4のいずれかに記載のビフィズス菌の培地を用いて、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属菌を培養することを特徴とするビフィズス菌の培養方法。 請求項5記載のビフィズス菌の培養方法により培養したビフィズス菌を食品原料に添加して製造したことを特徴とする食品。 【課題】 動物由来成分を使用することなく、動物由来成分を使用した場合と遜色なくビフィズス菌を増殖させることを可能とする。【解決手段】 動物由来成分を含有させることなく、植物由来成分を含有させたビフィズス菌の培地である。また、この植物由来成分として、植物タンパク分解物を1.0〜5.0重量%,酵母エキスを0.5〜2.5重量%,ブドウ糖を1.0〜5.0重量%含有させる。さらに、この培地を用いて、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属菌を培養する。【選択図】 図1