生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_銅含有触媒を用いるアルコール類の製造法
出願番号:2005046383
年次:2006
IPC分類:C07C 29/149,C07C 31/20,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

伊藤 智行 松崎 徳雄 JP 2006232689 公開特許公報(A) 20060907 2005046383 20050223 銅含有触媒を用いるアルコール類の製造法 宇部興産株式会社 000000206 伊藤 智行 松崎 徳雄 C07C 29/149 20060101AFI20060811BHJP C07C 31/20 20060101ALI20060811BHJP C07B 61/00 20060101ALN20060811BHJP JPC07C29/149C07C31/20C07B61/00 300 3 OL 5 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC41 4H006BA05 4H006BA30 4H006BA50 4H006BC32 4H006FE11 4H006FG22 4H039CA60 4H039CB20 本発明は、銅を含有する固体触媒を用いエステル類から対応するアルコール類を効率的に製造する方法に関するものである。 アルコール類の製法の一つとして、固体触媒の存在下、エステル類を水素で還元する方法がある。この方法は、エステル類をアルコール類に変換する簡便な方法であり、各種モノアルコールの合成のみならず、1,4−ブタンジオールの合成、1,6−ヘキサンジオール合成などの製造に幅広く適用されている。 ここでエステル類の水素還元触媒としては、銅含有触媒や貴金属含有触媒が知られている。 貴金属含有触媒を用いたエステル類の水素還元反応によるアルコール類の合成としては、ルテニウム(Ru)含有触媒を用いる方法がある(例えば、特許文献1)。その他の貴金属含有触媒としてパラジウム(Pd)含有触媒、又はレニウム(Re)含有触媒を用いても、エステル類を水素化還元してアルコール類に変換することができる。 しかし、貴金属含有触媒は耐酸性があるものの、満足しうる選択性を示さないことが多い。また、触媒が高価となるため経済性も低い。 銅含有触媒を用いたエステル類の水素還元反応としては、例えば、非特許文献1に銅−クロム−酸素系触媒(Cu−Cr−O系触媒)を用いてエステル類を水素化還元しアルコール類を製造する方法が記載されている。また、特許文献2には、銅−亜鉛酸化物触媒(CuO−ZnO触媒)の存在下、アジピン酸エステルを水素化還元して1,6−ヘキサンジオールを製造する方法が記載されている。銅含有触媒を用いる場合、アルコール類への選択性は高く、安価である。このため銅含有触媒によるエステル類の水素化還元は広く行われている。しかしながら、銅含有触媒は貴金属含有触媒に比べ活性が低いという問題点があるため一般的に高温、高圧の反応条件が必要とされる。また、使用する銅含有触媒も反応中に銅成分が凝集し劣化することもある。特開平07−213901号公報欧州特許第661255号明細書特公平9−99343号公報H.Adkins著“Organic Reaction” Vol.8,1984,p.1−27 本発明は、銅含有触媒を用いるエステル類からのアルコール類の製造において、触媒活性を向上させ、触媒の劣化、失活を抑制し、効率的に目的生成物を製造しようとすることを課題とする。 本発明者らは、銅含有触媒を用いるエステル類の水素還元反応において触媒活性が充分発現しない場合について鋭意その原因を調べ、検討を行った。 その結果、反応原料であるエステル中に多価のカルボン酸を共存させて、銅含有触媒存在下で水素化還元反応を行うことによって高い触媒活性が発現することを見出し、本発明を完成するに至った。 即ち、本発明は、銅含有固体触媒の存在下、エステル類を水素で還元しアルコール類を製造するに際し、多価カルボン酸を共存させることを特徴とするアルコール類製造法に関する。 本発明により、銅含有触媒を用いてエステル類を水素還元して対応するアルコール類を製造するに際して、高い触媒活性が発現でき、しかも触媒の劣化を抑制することができる。これにより、水素化還元に要する工程時間を大幅に短縮でき、工業的に有利なアルコールの製造方法を提供できる。 銅含有触媒を用いたエステル類の水素還元においては、酸である多価カルボン酸を添加する事で、高い触媒活性が得られ、触媒の劣化が抑えられた事は、一般に酸が触媒の劣化をもたらすとされている事から(例えば特許文献3)、驚嘆に値するものである。 本発明について以下にその詳細を述べる。 本発明は、銅含有固体触媒の存在下、エステル類を水素で還元しアルコール類を製造するに際し、多価カルボン酸を共存させて行うものである。 銅含有触媒は、銅を含有する不均一系固体触媒であり、例えば、銅−クロム−酸素系触媒、銅−亜鉛−酸素系触媒、銅−亜鉛−アルミニウム−酸素系触媒、銅−シリカ系触媒、銅−ジルコニア系触媒などを挙げることができるが、その成分、組成によって、特に限定されるものではない。また、これらの銅含有触媒を、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、シリカ−アルミナ等に担持しても良い。 銅含有触媒の形状としては、反応形式により粉末、粒子、打錠成型体、又は押し出し成形体であってもよい。 本発明の多価カルボン酸は特に限定されるものではないが、通常、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等の炭素数が2〜20の2価或いは3価のカルボン酸であり、例好ましくは、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等の炭素数が4〜8の2価のカルボン酸である。 これら多価カルボン酸の反応原料であるエステル類への添加量は、使用する銅含有触媒に含まれる銅原子1モルに対して、0.01〜1モルであり、好ましくは、0.05〜0.5モルである。 多価カルボン酸の添加量が上記記載の量より少ないと、反応中に触媒に含まれる銅及びその他の構成成分が溶出したり、凝集が起こったりして触媒活性は低下する。 また、添加量が多すぎる場合には活性低下抑制効果はあるものの、それによる副反応が起こるなど望ましくない現象も起こる。 本発明の原料であるエステル類としては、直鎖状、分岐状、環状、あるいはこれらの組合せのいずれのものでもよく、その側鎖を除いた主鎖の炭素数が1〜20のものであって、飽和脂肪族、不飽和脂肪族又は芳香族の1価又は2価のカルボン酸のエステル類である。 このようなエステル類としては、蟻酸エステル、酢酸エステル、カプロン酸エステル、カプリル酸エステル、カプリン酸エステル、ウンデセン酸エステル、ラウリン酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、イソステアリン酸エステル、オレイン酸エステル、アラキン酸エステル、ベヘン酸エステル、シュウ酸エステル、マレイン酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、シクロヘキサンカルボン酸エステル、安息香酸エステル、フタル酸エステル等が挙げられる。ここで、これらのエステル類を構成するアルコール部位は特に限定されるものではないが、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜22の飽和脂肪族アルコールから選ばれるものである。 本発明の上記エステル類を水素化還元する反応形式としては、液相懸濁床反応形式、固定床触媒反応形式を挙げることができる。 本発明の、液相懸濁床でのエステル類の水素化還元では、前記銅含有耐酸性触媒の使用量は、エステル類に対して、0.1〜50重量%であり、反応温度は、150〜300℃、好ましくは200〜290℃であり、水素圧は、1〜30MPa、好ましくは15〜30MPaである。 固定床でのエステル類の水素化還元では、エステル類の供給量は、LHSV(液空間速度)0.01〜10g/ml・h、好ましくは0.1〜5g/ml・hであり、水素ガスの供給量は、GHSV(ガス空間速度)10〜10000/hr、好ましくは100〜3000/hrであり、水素圧は、1〜30MPa、好ましくは5〜20MPa、反応温度は150〜300℃、好ましくは 180〜250℃である。ここで銅含有触媒は必要によって水素還元前処理してもよい。 本発明のエステル類の水素化還元において、溶媒は用いなくてもよいが、反応に影響を与えない限り溶媒を用いても問題ない。ここで溶媒としては、例えば、アルコールやエーテルなどの従来のエステル類の還元反応で用いられる溶媒が用いられる。 本発明のエステル類の水素化還元によるアルコール類の製造の具体的な態様としては、例えば、酢酸エステルからのエタノール合成、プロピオン酸エステルからのプロパノール合成、ブタン酸エステルからのブタノール合成、ペンタン酸エステルからのペンタノール合成、ヘキサン酸エステルからのヘキサノール合成、高級脂肪酸エステルからの高級アルコール合成などのモノ酸のエステルからの対応するモノアルコールの合成、シュウ酸エステルからのエチレングリコール合成、コハク酸エステルからの1,4−ブタンジオール合成、グルタル酸エステルからの1,5−ペンタノール合成、アジピン酸エステルからの1,6−ヘキサンジオール合成、ドデカン二酸エステルからのドデカンジオールを合成等が挙げられる。以下に、本発明の具体例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。実施例1 120mLのオートクレーブにアジピン酸ジメチル44gと粉末の銅−亜鉛−酸素系触媒(Cu−Zn−O触媒(宇部興産(株)製)1.32gおよびアジピン酸を触媒中に存在する銅原子(Cu)の0.1倍モル(0.115g(0.79mmol))仕込み、水素圧9MPaにて、攪拌しながら温度230℃で3時間反応させた。得られた反応液を分析した結果、アジピン酸ジメチルの転化率は68.8%であり、1,6−ヘキサンジオールが26.7%の収率で生成していた。また、触媒の銅成分の粒径(触媒中の銅微粒子の粒径)をXRD(X線回折)で測定したところ、使用前の触媒の銅成分の粒径が94Åであるのに対して、使用後の触媒では110Åであり、反応過程での粒径の変化は殆どみられなかった。比較例1 アジピン酸を加えなかった以外は、実施例1と同様の条件で反応を行った。その結果、アジピン酸ジメチルの転化率は55.2%であり、1,6−ヘキサンジオール収率は19.5%であった。触媒の銅成分の粒径をXRD(X線回折)で測定したところ、使用前の触媒の銅成分の粒径が94Åであるのに対して、使用後の触媒では155Åと粒径が大きくなっており、触媒の劣化が認められた。実施例2 アジピン酸に代えてグルタル酸とした以外は、実施例1と同様の条件で反応を行った。その結果、アジピン酸ジメチルの転化率は70.5%であり、1,6−ヘキサンジオール収率は22.8%であった。触媒の銅成分の粒径をXRD(X線回折)で測定したところ、使用前の触媒の銅成分の粒径が94Åであるのに対して、使用後の触媒では118Åあり、反応過程での粒径の変化は殆どみられなかった。実施例3 アジピン酸の代わりテトラデカン二酸に加えた以外は、実施例1と同様の条件で反応を行った。その結果、アジピン酸ジメチルの転化率は92.1%であり、1,6−ヘキサンジオール収率は52.1%であった。触媒の銅成分の粒径をXRD(X線回折)で測定したところ、使用前の触媒の銅成分の粒径が94Åであるのに対して、使用後の触媒では93Åあり、反応過程での粒径の変化は殆どみられなかった。実施例4 アジピン酸の代わりペンタトリカルボン酸に加えた以外は、実施例1と同様の条件で反応を行った。その結果、アジピン酸ジメチルの転化率は87.1%であり、1,6−ヘキサンジオール収率は41.8%であった。触媒の銅成分の粒径をXRD(X線回折)で測定したところ、使用前の触媒の銅成分の粒径が94Åであるのに対して、使用後の触媒では77Åあり、反応過程での粒径の変化は殆どみられなかった。比較例2 アジピン酸の代わりヘキサン酸に加えた以外は、実施例1と同様の条件で反応を行った。その結果、アジピン酸ジメチルの転化率は60.1%であり、1,6−ヘキサンジオール収率は5.3%であった。触媒の銅成分の粒径をXRD(X線回折)で測定したところ、使用前の触媒の銅成分の粒径が94Åであるのに対して、使用後の触媒では245Åと粒径が顕著に大きくなっており、触媒の劣化が認められた。銅含有触媒の存在下、エステル類を水素で還元するアルコール類の製造において、多価カルボン酸を共存させることを特徴とするアルコール類の製造法。多価カルボン酸を銅含有触媒の銅含有量1モルに対して0.01〜1モル共存させることを特徴とする請求項1に記載のアルコール類の製造法。多価カルボン酸が炭素数4〜20の2価または3価のカルボン酸である請求項1又は2に記載のアルコール類の製造法。 【課題】銅含有触媒を用いるエステル類からのアルコール類の製造において、触媒活性を向上させ、触媒の劣化、失活を抑制し、効率的に目的生成物を製造しようとすることを課題とする。【解決手段】銅含有触媒を用いるアジピン酸ジエステル含有エステル液の水素還元反応において触媒活性が充分発現しない場合について鋭意その原因を調べ、検討した。その結果、反応原料であるエステル中に多価のカルボン酸を共存させ、銅含有触媒存在下で水素化還元反応を行うことによって高い触媒活性が発現することを見出した。【選択図】 なし


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る