生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_魚鱗由来のゼラチンまたはコラーゲンペプチドの製造方法
出願番号:2005035357
年次:2006
IPC分類:C12P 21/06,A23J 3/06


特許情報キャッシュ

小川 勝利 JP 2006217876 公開特許公報(A) 20060824 2005035357 20050214 魚鱗由来のゼラチンまたはコラーゲンペプチドの製造方法 チッソ株式会社 000002071 小川 勝利 C12P 21/06 20060101AFI20060728BHJP A23J 3/06 20060101ALI20060728BHJP JPC12P21/06A23J3/06 15 OL 11 4B064 4B064AG01 4B064CA21 4B064DA01 4B064DA10 4B064DA20 本発明は魚鱗中のコラーゲン蛋白質を化学的な酸脱灰(カルシウム成分を酸で溶解除去することをいう)により粗コラーゲンとなし、この粗コラーゲンから有臭物質と苦み不純物成分を除去精製して、低着色で、無味・無臭の、食品、健康食品及び化粧品用として有用なゼラチンまたはコラーゲンペプチドを製造する方法に関するものである。 BSE(bovine spongiform encephalopathy)の発生により安全性の高いゼラチン、コラーゲン、コラーゲンペプチドが食品、化粧品、医療品の原料として求められている。その為、従来の牛、豚等由来のゼラチン、コラーゲン、コラーゲンペプチドから魚由来のゼラチン、コラーゲン、コラーゲンペプチドに転換が進んだ。魚由来の原料には魚皮、魚骨、魚鱗などがある。魚由来のゼラチン、コラーゲン、コラーゲンペプチドは魚油等の酸化などにより魚独特のツンとくる嫌な臭気(魚臭)や嫌な味(嫌味)があり、これらの低減が大きな課題であった。魚鱗由来のゼラチン、コラーゲン、コラーゲンペプチドは魚臭や嫌味は魚皮、魚骨由来のものに比べ小さいが、魚臭や嫌味は本質的に人に不快感を与えるものであり、無味・無臭が求められている。大豆ペプチド等では平均分子量が小さいと苦味が出ることから、コラーゲンペプチドにおいても同様であろうと考えられ、平均分子量が5,000以上であることが求められてきた。魚鱗由来コラーゲンペプチドの製造方法としては、魚鱗を熱水抽出後に酵素を添加して加水分解する無脱灰法(例えば特許文献1を参照)や魚鱗を脱灰して得た粗コラーゲンを加圧下で加水分解する際に、弱塩基である重曹などのアルカリ水溶液中で行う方法が報告されている(例えば特許文献2を参照)。魚独特の臭気の低減方法は合成吸着樹脂による方法が従来の活性炭処理法に比べて優位と報告されている(例えば特許文献3を参照)。また、魚皮、魚骨よりの抽出液を酵素分解、逆浸透膜での濃縮、精製が有効との報告もある(例えば特許文献4を参照)。これら提案された方法及び組み合わせはイオン交換、特殊合成吸着樹脂、逆浸透膜等の高価な設備を要するため、コストが高い点が不利ではあるが、市場が求める品質には近づいてきた。臭気においては乾燥時には殆ど気にならない程度まで向上したが、しかしながら、ぬるま湯溶解時にはまだ魚臭があり、更なる低臭化が求められている。味についてもいまだ塩味等で嫌味をマスキングする等行われていて、まだまだ改善が必要である。特開2004−57196特開2004−91418特開2003−40900特開2003−238597 本発明者は、定法に従い新鮮な魚鱗原料から夾雑物を除いて水洗浄した魚鱗を使用し、定法通り酸脱灰にて得られた粗コラーゲン中には、脱灰に用いた酸がコラーゲンを構成するアミノ酸と塩を作り、硫酸根や燐酸根等の形で多く残留することを発見した。これらの塩は、加水分解工程以降の中和処理にて塩酸塩、硫酸塩、燐酸塩になり製品中に残るので塩味、苦みや嫌味の原因となっていることをも発見した。これらの塩を取り除くためには、いくら水洗を繰り返しでも、ほとんど効果が無かった。そこで、市場の要求を満足するため、味覚の点からは、コストパフォーマンスに優れ、これらの塩を完全に除いて、無味であるゼラチン及びコラーゲンペプチドが求められている。さらに、臭気の点からは、コストパフォーマンスに優れた魚由来のツンとくる嫌な臭気の無臭化が求められている。また、比較的低分子コラーゲンペプチドは苦みがあるとされていて、平均分子量で5,000以下のコラーゲンペプチド市販品は見当たらない。市場では、化粧品用として皮膚浸透性等の面から、食品用として消化吸収性等の面から、数平均分子量で600〜3,500が求められており、更に好ましくは600〜1,000のより低分子のコラーゲンペプチドが求められている。 本発明者は、食品、健康食品、化粧品等用に利用されるコストパフォーマンスに優れ、無味・無臭なゼラチン及び/又は比較的数平均分子量の低い魚鱗由来コラーゲンペプチドを得るべく鋭意研究した。その結果、本件発明を完成した。本発明は以下の項から構成される。[1]魚鱗を酸脱灰して得た粗コラーゲンを加水分解してコラーゲンペプチドを得る製造工程において、酸脱灰後の湿潤状態の粗コラーゲンを強塩基希薄溶液にて前処理することを特徴とするコラーゲンペプチドの製造方法。[2]魚鱗を酸脱灰して得た粗コラーゲンからゼラチンを抽出した後、該ゼラチンを加水分解してコラーゲンペプチドを得る製造工程において、酸脱灰後の湿潤状態の粗コラーゲンを強塩基希薄溶液にて前処理することを特徴とするコラーゲンペプチドの製造方法。[3]強塩基が苛性ソーダ、苛性カリまたは水酸化カルシウムから選ばれた少なくとも1つである項[1]または[2]に記載のコラーゲンペプチドの製造方法。[4]強塩基が苛性ソーダまたは苛性カリから選ばれた少なくとも1つである項[1]記載のコラーゲンペプチドの製造方法。[5]強塩基が苛性ソーダである項[1]または[2]に記載のコラーゲンペプチドの製造方法。[6]強塩基が苛性ソーダであり、希薄溶液の濃度が0.01〜1%である項[1]または[2]に記載のコラーゲンペプチドの製造方法。[7]強塩基が苛性ソーダであり、希薄溶液の濃度が0.01〜1%、希薄溶液の量が酸脱灰後の粗コラーゲン量に対して3〜30倍である項[1]または[2]に記載のコラーゲンペプチドの製造方法。[8]項[1]から[7]のいずれか一項に記載の前処理を実施した後、中性酵素により加水分解することを特徴とするコラーゲンペプチドの製造方法。[9]項[1]から[7]のいずれか一項に記載の前処理を実施した後、中性酵素により加水分解し、活性炭で精製することを特徴とする、数平均分子量が600〜3,500であるコラーゲンペプチドの製造方法。[10]項[1]から[7]のいずれか一項に記載の前処理を実施した後、中性酵素により加水分解し、活性炭で精製することを特徴とする、数平均分子量が600〜1,000であるコラーゲンペプチドの製造方法。[11]魚鱗を酸脱灰して得た粗コラーゲンからゼラチンを抽出する製造工程において、酸脱灰後の湿潤状態の粗コラーゲンを強塩基希薄溶液にて前処理することを特徴とするゼラチンの製造方法。[12]項[11]に記載の前処理を実施した後、熱水抽出してゼラチンを得ることを特徴とするゼラチンの製造方法。[13]強塩基が苛性ソーダ、苛性カリまたは水酸化カルシウムから選ばれた少なくとも1つである項[11]または[12]に記載のゼラチンの製造方法。[14]強塩基が苛性ソーダである項[11]または[12]に記載のゼラチンの製造方法。[15]強塩基が苛性ソーダであり、希薄溶液の濃度が0.01〜1%、希薄溶液の量が酸脱灰後の粗コラーゲン量に対して3〜30倍である項[11]または[12]に記載のゼラチンの製造方法。 本発明は、高価なイオン交換、特殊合成吸着樹脂、逆浸透膜等の高価な設備を要しないで、低廉な設備で行え、魚独特の嫌な臭気がない、嫌味、苦味、塩味等のないゼラチン及び/又は比較的に低分子量のコラーゲンペプチドを低ランニングコストにて製造出来る方法である。 本発明で用いる魚鱗は特に魚の種類には限定されない。原料の安定供給という面からは、水産加工場の選別ラインよりロータリースクリーン等で現在でも鱗を回収されているイワシやサンマや、水産加工場でフィーレや切り身加工の際にジェット水流や手作業で鱗を剥ぐ養殖マダイ、ティラピア(イズミダイ)等を例示することができる。この他にもイトヨリダイ、フエフキダイ、サッパ(ママカリ)、サケ、ニシン、コイ等、その他魚種の鱗も使用することが出来る。本発明のコラーゲンペプチドを得るための原料である魚鱗としては、その鮮度が良いもの及び夾雑物をできるだけ含まないものが好ましい。また、鱗中の燐酸カルシウムとコラーゲンの含有比率の点からは、コラーゲン含有率が比較的に多いスズキ目魚種がコスト面から望ましい。更に作業効率の面からは、魚身、鰭、海草、小骨等の夾雑物を選別除去し易く、比較的大きな鱗を有するスズキ目魚種が望ましい。 本発明の酸脱灰工程で用いる酸は鉱酸、有機酸等特に限定しないが、カルシウム、マグネシウムと不溶性の塩を作らず、かつ安価である塩酸が好ましい。酸以外、例えばEDTAの様なキレート剤でも脱灰は可能であるが工業的ではない。 本発明の加水分解工程の前処理工程で用いる強塩基希薄溶液に用いるアルカリは苛性ソーダ、苛性カリまたは水酸化カルシウムなどの強塩基であれば特に限定されず、これらを単独で使用してもよいし、これらを適宜組み合わせて使用してもよい。コスト面と反応速度等から苛性ソーダが好適である。使用する濃度は粗コラーゲンを極力溶解させない低濃度が好ましい。アルカリによる影響、効果は使用濃度、作用時間、作用温度、使用量により決定される。経済効果をポイントとして条件設定すると、温度は屋内、屋外にて作業することを考慮すると10〜30℃、好ましくは15〜20℃である。この温度条件であれば使用濃度は0.01〜1%、望ましくは0.05〜0.5%である。この様な温度およびアルカリ剤濃度(希薄溶液の濃度)での使用において好適なアルカリ剤量(希薄溶液の量)は粗コラーゲン重量(ケルダール窒素%×5.55にて計算)に対して3〜30倍、より望ましくは8〜15倍である。 強塩基希薄溶液による処理(以下では希アルカリ処理と言うことがある)後は、残留するアルカリと塩を除去するために、脱水工程だけでも、ある程度の効果は得られるが、水洗してpHを8〜9にするのが好ましい。水洗は1回だけでもよいし、必要により適宜繰り返してもよい。水洗された粗コラーゲンは湿潤状態でゼラチン及び/又はコラーゲンペプチドの製造原料とする。あるいは天日乾燥、機械乾燥等により水分20%以下の乾燥状態として保存後にゼラチン及び/又はコラーゲンペプチドの製造原料とすることも出来る。 本発明で用いる水は、軟水が好ましい。硬水の場合は軟水装置を用いるのが好ましい。 本発明のコラーゲンペプチドの平均分子量は、GPCにて測定した値にて表す。その装置及び測定条件は、ポンプ装置 :SHIMADZU LC−10Ai測定条件 カラム :AsahipakGF-1G 7B+AsahipakGF-510HQ+AsahipakGF-310HQ 移動相 :CH3CN/H2O(45/55)+0.1%トリフルオロ酢酸(TFA) 流量 :0.5mL/min カラム温度 :40℃ UV検出条件:215nm 注入量 :10μL 本発明によるコラーゲンペプチドは、食品原料としては、粉末を水に溶解して飲料の形態で使用してもよく、固形食品等の担体に添加して固形食品の形態で使用してもよく、この他、健康食品として粉末それ自体、あるいは他の有用成分と混合したタブレットや顆粒としても利用できる。より具体的には、液状の食品や嗜好品、例えば菓子類、粉末茶、アイスクリ−ム、ヨ−グルト、アルコ−ル飲料、スポ−ツ飲料等の形態で使用してもよい。化粧品原料としては、溶液製剤(防腐剤、溶剤添加の溶液)としてシャンプー、リンス、ヘアトリートメントに配合、粉末で入浴剤に配合する等インバス製品やヘアケアアウトバス製品への利用が出来る。 本発明でコラーゲン及び/又はゼラチンの加水分解は、従来知られている方法であれば、どれも適用できる。すなわち、酸アルカリを用いる方法、酵素を用いる方法などである。なかでも好ましく用いられるのは酵素を用いる方法である。 本発明でコラーゲン及び/又はゼラチンの加水分解に好ましく用いられる蛋白分解酵素の種類は、食品に使用できるものであり、高分解率で多量製造され比較的安く入手可能で、アミノ酸生成が殆どないものが好ましい。これらの諸条件を満足させる為の分解条件としては、コラーゲンがゼラチン化する40℃以上の温度と分解が容易なpH5.0〜pH8で使用できる中性酵素が加水分解率を高くすることができるので好ましい、特に、該蛋白分解酵素として、バチルス(Bacillus)属由来の細菌中性プロテアーゼが好ましい。かかる蛋白分解酵素としては市販品を使用することができ、該市販品としては、例えば大和化成(株)製「(商標)プロチンP」、エイチビィアイ(株)製「(商標)オリエンターゼ90N」、及び天野エンザイム(株)製「プロテアーゼNアマノG(商標)」等を挙げることができる。 本発明でのゼラチンの製造条件は特に限定しないが、熱水により抽出する方法や加圧して抽出する方法などがある。なかでも品質面からは熱水により抽出する方法が好ましい。すなわち、脱灰した湿潤状態の粗コラーゲンを希アルカリ処理、水洗処理した後の湿潤又は乾燥粗コラーゲンを30〜90℃の温湯を粗コラーゲン重量に対して、5〜20倍量用いて1〜20時間かけて抽出し、その後濃縮、乾燥する方法が好ましい。加圧して抽出する方法も、収量が多くなる点では有用である。これらの方法により得られたゼラチンを加水分解すれば、本件発明のコラーゲンペプチドが得られる。 本発明で得られたゼラチン及び/又はコラーゲンペプチドは精製工程を経ることで、より品質が向上する。これらの精製には活性炭処理が好適である。本件発明における活性炭処理について説明する。用いる活性炭の種類と量等は市販品であれば特に限定されないが、推奨される使用量は粗コラーゲン重量に対して1〜5重量%で必要に応じて2〜5回繰り返して精製することが出来る。処理温度と時間も特に限定しないが好ましくは40〜60℃で30〜60分である。活性炭処理後の溶液は市販の珪藻土を粗コラーゲン重量に対して1〜10重量%添加してフイルタープレス等でろ過して清澄な溶液とする。 精製ゼラチン溶液及び/又は精製コラーゲンペプチド溶液は濃縮・乾燥粉末化工程を経て目的のゼラチン及び/又はコラーゲンペプチドとなる。好適な濃縮工程には薄膜蒸発機などの真空濃縮装置が用いられ、乾燥粉末化工程にはスプレードライヤーが好適に使用される。 以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。実施例および比較例中特に断らない限り%は重量%を表す。 実施例1 マダイ鱗より粗コラーゲンの調製とコラーゲンペプチドの製造(1―1)鱗の洗浄乾燥 養殖マダイ鱗は、フィーレ加工する際にマダイ1匹づつ水流ジェット式鱗剥離機にかけて水と共にSUS製網カゴに捕集する。この鱗を綺麗に洗浄して天日乾燥した。なお、鱗組成はN分析と灰分よりの測定でコラーゲン42.1%、カルシウムアパタイトを主成分とする化合物57.9%であった。(1−2)酸脱灰 乾燥鱗100g(水分15%)に0.6モル塩酸1,500mLを加え、2時間攪拌した。100メッシュ網にてろ過(脱灰溶液pH1.5)、固形分を1Lの水にて入れて15分間攪拌した、この水洗/ろ過処理を3回繰り返した(3回目のろ過溶液pH2.3)。105℃で3hr乾燥させた絶乾鱗の粗コラーゲン収率は50%、N 17.4%、残カルシウム0.12%、残リン酸分0.37%であった。ここでコラーゲン含有量はN×5.55(コラーゲン定数)で計算した。(1−3)希アルカリ処理 酸脱灰に引き続き湿潤状態の粗コラーゲンに0.1%苛性ソーダ溶液を固液比で10倍量加え、水温25℃で45分間攪拌処理した。処理物を100メッシュの網でろ過、その後固形分を固液比で10倍量(固液比10%)の水にて水洗浄/ろ過、この操作を2回繰り返した(2回目の水洗液のpH6.9)(1−4)コラーゲンペプチドの製造 希アルカリ処理粗コラーゲンに固液比で10倍量の水を加えて(固液比10%)、90℃にて2時間攪拌した(溶液のpH8.5)。未溶解分を含む溶液を55℃に冷却後、プロテアーゼNアマノG酵素を粗コラーゲン当たり0.5%添加して3時間攪拌下に加水分解した。85℃×15分加熱して酵素を失活させた。活性炭「二村化学社製(商標)太閤S」を粗コラーゲンに対して0.4%相当加え、40℃×30分間攪拌処理した、その溶液を室温まで冷却後珪藻土「昭和化学社製(商標)ラジオライトNo.100」を粗コラーゲンに対して0.5%ボデーフィードし、5mmの珪藻土プレコート層を通して吸引ろ過した。ろ液に再度、同量の活性炭を加えて珪藻土ろ過した。精製したコラーゲンペプチドを含む溶液をロータリーエバポレーターにて固形分が20%になるまで真空濃縮した。濃縮液を凍結乾燥し、乳鉢にて素早く粉末に粉砕した。GPC分析(ゲル浸透クロマトグラフィー/PAGI法)より求めた平均分子量は、数平均分子量Mn=920、重量平均分子量Mw=1660、分散度Mw/Mn=1.80であった。比較例1 フエフキダイ鱗塩酸脱灰粗コラーゲンよりコラーゲンペプチドの製造(比1−1)酸脱灰高鮮度なフエフキダイ鱗を水洗、天日乾燥した乾燥鱗(水分14%)を用いて実施例1(1−2)と同様に処理した粗コラーゲンを天日乾燥し、乾燥粗コラーゲンを準備した(灰分0.20%)。 (比1−2)コラーゲンペプチドの製造 乾燥粗コラーゲン(水分16%)を用いて、実施例1(1−4)と同様に処理してコラーゲンペプチド粉末を得た。なお、固液比10%で90℃×2時間の撹拌後の溶液pHは4.3であり、3N苛性ソーダ溶液にてpH6.0に調整してから酵素分解した。酵素分解終了後にNo.5Aろ紙を用いた1次ろ過により不溶解残分を分離した(残分1.1%)。コラーゲンの収率は95%であった。平均分子量は、GPC分析より求めた数平均分子量Mn=840、重量平均分子量Mw=1480、分散度Mw/Mn=1.76であった。実施例2フエフキダイ鱗脱灰/希アルカリ処理粗コラーゲンよりコラーゲンペプチドの製造(2−1)希アルカリ処理粗コラーゲンの準備 高鮮度なフエフキダイ鱗を水洗、天日乾燥した乾燥鱗(水分14%)を用いて実施例1(1−2)と同様に処理した粗コラーゲン湿潤品を実施例1(1−3)と同様に処理し、処理後に天日乾燥して乾燥希アルカリ処理粗コラーゲンを準備した(水分15.7%、灰分0.09%)。(2−2)希アルカリ処理粗コラーゲンよりコラーゲンペプチドの製造 乾燥希アルカリ処理粗コラーゲン(水分15%)を用いて、実施例1(1−4)と同様に処理してコラーゲンペプチド粉末を得た。なお、固液比10%で90℃×2時間の撹拌後の溶液pHは8.6であり、10%クエン酸溶液にてpH6.4に調整してから酵素分解した。酵素分解終了後にNo.5Aろ紙を用いた1次ろ過により不溶解残分を分離した(残分1.0%)。コラーゲンの収率は96%であった。実施例3フエフキダイ鱗脱灰/希アルカリ処理粗コラーゲンよりゼラチンの製造(3−1)希アルカリ処理粗コラーゲンよりゼラチンの製造 実施例2(2−1)で得た希アルカリ処理粗コラーゲンを固液比5%の水溶液となし、攪拌下に90℃×2時間抽出した。No.5Aろ紙にて不溶解分を分離(不溶解分38%)し、溶解溶液(該ろ液)を活性炭処理、珪藻土ろ過後に0.45ミクロンのメンブレンフイルターを通して清澄な溶液とした(Brix3.3%、pH8.6,OD450nm:0.038,OD720nm:0.013、GPCによる数平均分子量Mn=16,320)。真空濃縮して固形分20%で凍結乾燥、乳鉢にて粉砕して粉末とした。収率60%、JIS K 6503「にかわ及びゼラチン」の方法に準じて行ったゼリー強度測定では230gと高い値を示し、一般人9名による味、臭気官能テストの結果は全て無味・無臭であった。また、GPCによる分子量測定では、分子量10万のα鎖を主成分とし分子量20万のβ鎖及び分子量30万のγ鎖をそれぞれ含む数万〜数百万の広い分子量分布を有していた。得られたゼラチンを加水分解して本件発明のコラーゲンペプチドを製造することが出来る。実施例4ティラピア鱗脱灰/希アルカリ処理粗コラーゲンよりコラーゲンペプチドの製造(4−1)希アルカリ処理粗コラーゲンの準備 高鮮度なティラピア鱗を水洗、天日乾燥した乾燥鱗(水分15%)を用いて実施例1(1−2)と同様に処理した粗コラーゲン湿潤品を実施例1(1−3)と同様に処理し、処理後に天日乾燥して乾燥希アルカリ処理粗コラーゲンを準備した(水分13.5%、灰分0.03%)。(4−2)希アルカリ処理粗コラーゲンよりコラーゲンペプチドの製造 乾燥希アルカリ処理粗コラーゲンを用いて、実施例1(1−4)と同様に処理してコラーゲンペプチド粉末を得た。なお、固液比10%で90℃×2時間の撹拌後の溶液pHは8.5であり、10%クエン酸溶液にてpH6.4に調整してから酵素分解した。但し、酵素添加率は粗コラーゲン当たり0.03%添加し、55℃にて1時間加水分解した。酵素分解終了後にNo.5Aろ紙を用いた1次ろ過により不溶解残分を分離した(残分2.0%)。コラーゲンペプチドの数平均分子量Mn=2,230、重量平均分子量Mw=6,250、分散度Mw/Mn=2.80、収率は97%であった。コラーゲンペプチド結果のまとめ1.実施例2で得たコラーゲンペプチドのアミノ酸組成分析結果を表1に示した。グリシンを約30%を含み、ハイドロキシプロリン、プロリン、アラニンが主成分の典型的なコラーゲンであるアミノ酸組成より成っている。表1 本発明によるコラーゲンペプチドのアミノ酸組成2.実施例2で得たコラーゲンペプチドのGPCによる分子量分布曲線を図1に示した。図1中の検量線を得るために標準試料系列[1]〜[8]を用いた。クロマトグラムより求められた平均分子量は、数平均分子量Mn=1,044、重量平均分子量Mw=2,032、分散度Mw/Mn=1.95であった。3.比較例1,実施例1,2で得たコラーゲンペプチドの比較表灰分とイオンの分析結果を表2に示した。表2 比較例と実施例の灰分とイオン分析結果比較例1では粗コラーゲン中に残存する塩酸分を酵素分解時に苛性ソーダ中和して生成する食塩やリン酸ソーダ、硫酸ソーダにより灰分が増加しているのに対して実施例1及び2では食塩生成なくリン酸根や硫酸根の酸性物質の大幅な低下が認められた。臭気と味に関する官能試験結果一般人9名(男5名、女4名)による試験結果を表3−1および表3−2にまとめた。表3−1表3−2酸脱灰後の希アルカリ処理により塩味、苦味、嫌味がなく、無臭〜殆ど無臭なコラーゲンペプチドが得られた。実施例2で得たコラーゲンペプチドのGPCチャート符号の説明魚鱗を酸脱灰して得た粗コラーゲンを加水分解してコラーゲンペプチドを得る製造工程において、酸脱灰後の湿潤状態の粗コラーゲンを強塩基希薄溶液にて前処理することを特徴とするコラーゲンペプチドの製造方法。魚鱗を酸脱灰して得た粗コラーゲンからゼラチンを抽出した後、該ゼラチンを加水分解してコラーゲンペプチドを得る製造工程において、酸脱灰後の湿潤状態の粗コラーゲンを強塩基希薄溶液にて前処理することを特徴とするコラーゲンペプチドの製造方法。強塩基が苛性ソーダ、苛性カリまたは水酸化カルシウムから選ばれた少なくとも1つである請求項1または2に記載のコラーゲンペプチドの製造方法。強塩基が苛性ソーダまたは苛性カリから選ばれた少なくとも1つである請求項1記載のコラーゲンペプチドの製造方法。強塩基が苛性ソーダである請求項1または2に記載のコラーゲンペプチドの製造方法。強塩基が苛性ソーダであり、希薄溶液の濃度が0.01〜1%である請求項1または2に記載のコラーゲンペプチドの製造方法。強塩基が苛性ソーダであり、希薄溶液の濃度が0.01〜1%、希薄溶液の量が酸脱灰後の粗コラーゲン量に対して3〜30倍である請求項1または2に記載のコラーゲンペプチドの製造方法。請求項1から7のいずれか一項に記載の前処理を実施した後、中性酵素により加水分解することを特徴とするコラーゲンペプチドの製造方法。請求項1から7のいずれか一項に記載の前処理を実施した後、中性酵素により加水分解し、活性炭で精製することを特徴とする、数平均分子量が600〜3,500であるコラーゲンペプチドの製造方法。請求項1から7のいずれか一項に記載の前処理を実施した後、中性酵素により加水分解し、活性炭で精製することを特徴とする、数平均分子量が600〜1,000であるコラーゲンペプチドの製造方法。魚鱗を酸脱灰して得た粗コラーゲンからゼラチンを抽出する製造工程において、酸脱灰後の湿潤状態の粗コラーゲンを強塩基希薄溶液にて前処理することを特徴とするゼラチンの製造方法。請求項11に記載の前処理を実施した後、熱水抽出してゼラチンを得ることを特徴とするゼラチンの製造方法。強塩基が苛性ソーダ、苛性カリまたは水酸化カルシウムから選ばれた少なくとも1つである請求項11または12に記載のゼラチンの製造方法。強塩基が苛性ソーダである請求項11または12に記載のゼラチンの製造方法。強塩基が苛性ソーダであり、希薄溶液の濃度が0.01〜1%、希薄溶液の量が酸脱灰後の粗コラーゲン量に対して3〜30倍である請求項11または12に記載のゼラチンの製造方法。 【課題】 食品、健康食品、化粧品等用に利用されるコストパフォーマンスに優れ、無味・無臭なゼラチン及び/又は比較的数平均分子量の低い魚鱗由来コラーゲンペプチドを得る。 【解決手段】 魚鱗を酸脱灰して得た粗コラーゲンを加水分解してコラーゲンペプチドを得る製造工程または、魚鱗を酸脱灰して得た粗コラーゲンからゼラチンを抽出した後、該ゼラチンを加水分解してコラーゲンペプチドを得る製造工程において、酸脱灰後の湿潤状態の粗コラーゲンを強塩基希薄溶液にて前処理することを特徴とするコラーゲンペプチドの製造方法。魚鱗を酸脱灰して得た粗コラーゲンからゼラチンを抽出する製造工程において、酸脱灰後の湿潤状態の粗コラーゲンを強塩基希薄溶液にて前処理することを特徴とする製造方法。 【選択図】 なし


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