生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_分散安定剤製剤
出願番号:2005024110
年次:2006
IPC分類:A23L 1/03,A61K 8/96


特許情報キャッシュ

坂上 和之 織田 賢二 JP 2006204262 公開特許公報(A) 20060810 2005024110 20050131 分散安定剤製剤 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 000175283 坂上 和之 織田 賢二 A23L 1/03 20060101AFI20060714BHJP A61K 8/96 20060101ALN20060714BHJP JPA23L1/03A61K7/00 K 6 OL 11 4B035 4C083 4B035LC16 4B035LG26 4B035LG27 4B035LG34 4B035LK12 4C083AA111 4C083AD211 4C083AD351 4C083CC02 4C083CC31 4C083CC41 4C083DD27 4C083FF05本発明は、分散安定剤製剤として、大麦ベータファイバーとキサンタンガムを含有し、かつこの組み合わせで不溶性固形分を分散安定化させて使用すること及びその応用に関する。詳細には、本発明は、不溶性固形分を分散安定化して、内容成分を安定化する効果を奏する分散安定剤製剤であって、大麦ベータファイバーとキサンタンガムを必須の成分とし、特定の割合で配合することを特徴とする分散安定剤製剤に関する。本発明の分散安定剤製剤は、不溶性固形分の均一性や内容成分の安定性が問題となる沈降性の内容物を含む液体状食品等において有用である。また、本発明は、大麦ベータファイバーに加えてキサンタンガムを含有してなる、多機能的な分散安定剤製剤に関する。特に大麦ベータファイバーとキサンタンガムを含有し、特定の条件、すなわち、特定の割合で配合する分散安定剤製剤によれば、不溶性固形分及び蛋白質を含有する系であっても増粘、凝集させることなく、均一な分散安定化をさせることができ、液状食品に対する分散安定剤製剤として特に有用である。さらに本発明はこれらの分散安定剤製剤を含有することにより、不溶性固形分の均一性や内容成分の安定性が改善され、製造工程中などで、沈殿もしくは分離(凝集)を生じず、内容成分の均質性に優れた食品用組成物又は食品に関する。更にまた本発明は、これらの分散安定剤製剤を用いることによる安定化方法及び安定化食品の製造方法に関する。従来から、ココア粉末や抹茶等を含む飲料などの食品の分野で、内容成分の均質安定性を向上させるための方法が種々検討されている。例えば、飲料、食品の分野においては、味、風味のほかに、従来から、色や外観での変化が問題になることが多く、一般飲食物では、分離、凝集、沈殿などを発生させた食品の流通は容認されていない。加えて、食品の食味と食感の良さに加え、おいしいことと、衛生面でも安全面でも保証されていることが要求される。一方、ココア粉末など、素材そのものが持つ天然物由来の沈降性成分を利用していたり、または、プリンなどの食品で利用する牛乳などの脂肪や蛋白質は元来均質に分散安定化しうるものではなく、また、凝集、沈殿または分離することがある素材を利用しているのが現状である。このような沈殿や分離を生じている状態では外観も悪く商品価値を大きく損なってしまう。このため、かかる問題は市販の商品を開発するために是非とも解決しなくてはならないものである。βグルカン含有液状飲食品を対象とし、イネ科植物から抽出されたβグルカンを市販の即席ココアなどに用いた場合、「だま」にならないようになった、または熱湯をそそいだときに、ココア粒子の分散が起こることについて記載されているが、お湯で調整した即席ココア飲料をそのまま静置した場合のココア粒子の安定性は短時間では分散していることが一般的な知見であるが、殺菌加熱した飲料に応用した場合の不溶性成分の安定性に関する知見は乏しく、また、沈降性の粒子を安定化することができていないのが現状である。また、平均分子量4万前後の低分子領域のグルカンを使用しており、高分子多糖類などの相互作用は検討されておらず、また、その相互作用に関する知見が見出されていないのが現状である(例えば、特許文献1)。また、ベータグルカンと定義した発酵多糖類であるジェランガムを用い、他の多糖類と併用した場合の知見を求めている(例えば、特許文献2)が、特許文献2の実験例14、図15の事例では、ジェランガムとキサンタンガムの併用による粘度を求め、その併用による増粘の割合が、それぞれ単独のものに比べて、顕著な増加を表しているわけではなく、また、得られた粘性はオリジナルの素材の粘性であるシュードプラスチックのままであり、高分子多糖類ゆえの混合であるがゆえの粘度の増加を主張するだけで、特別に顕著な知見もなく従来の知見を開示しているに過ぎないのが現状である。また、同じくべータグルカンと定義した発酵多糖類のジェランガムと微結晶セルロースまたはペクチンとを併用し、カルシウムなどの沈降する粒子の分散性を安定化することが開示されているが、カルシウムと反応してゲル化形成する性質を利用したものであり、多糖類同士を併用し、その併用効果による相互作用を利用した知見を見出していないのが現状である(例えば、特許文献3)。特に特許文献3の実施例13の事例には、ベータグルカン(ジェランガム)を食品成分の牛乳と併用し、牛乳中のカルシウムあるいはナトリウムとの併用による効果で安定性を期待している。一方、ベータグルカン(ジェランガム)の代わりにキサンタンガムを併用した場合、カルシウムなどの併用効果のないキサンタンガムを使用した場合に、キサンタンガムとの相溶性が悪く、ココア入り牛乳カスタードプリンで処方では、粒子の分離凝集などが起こる現象の知見を報告しているが、ベータグルカン(ジェランガム)とキサンタンガムなどの多糖類の併用による効果を利用する知見が見出されたとはいいがたいのが現状である。。さらに実施例21の事例には、ベータグルカン(ジェランガム)とキサンタンガムと併用した事例が説明されているが、ベータグルカンの添加量を少なくし、キサンタンガムの添加量が多いため、ベータグルカンの効果を反映させたものとは言いがたく、適正な添加量とその配合割合を求めたわけではない。このように、これらの知見は従来から報告されているように、微生物発酵のベータグルカンを利用し、その特長を記述する範囲の知見であり、これらの知見が穀物由来のベータグルカンの特性をそのまま反映させることができる事例とはいえないのが現状である。また、一般に分散目的で利用されるキサンタンガムとローカストビーンガムの組み合わせの上に、さらにグァーガムまたはタラガムまたはタラガムまたはカラヤガムなど数種類の多糖類を用いて、コーンクリームスープにおける脂肪の分離凝集の開示や、おしるこの小豆粒子の沈降の開示がなされているが実際に沈降性成分の沈殿を抑えられず、安定性の改良がなされていないのが現状である(例えば、特許文献4)。さらにアシル化前のジェランガム、すなわち、このベータグルカン(分子量60〜70万)と塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの1価の塩類を併用することで、大根おろしの分散性の改良する旨を評価しているが、汎用性に乏しく(例えば、特許文献5)、この限定的な応用用途であるに過ぎない(例えば、特許文献6)。このように、ベータグルカンを扱う開発は十分とはいいがたく、また、その知見も限定的な範囲に留まるのが現状であった。特開2002−306124号公報特開平10−215795号公報特開平10−234316号公報特開昭52−156945号公報特開2000−69932号公報特開平8−116888号公報本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたものであり、不溶性固形分の均一性や内容物の分散安定性が問題となる食品等において、不溶性固形分の均一性やの内容物の分散安定性が改善され、製造工程中や長期間の放置によっても、沈殿もしくは分離(凝集)を生じず、内容成分の均質性に優れた食品用組成物又は食品を得るための分散安定剤製剤を提供することを目的とする。本発明者らは、かかる知見を発端として、更に幅広い研究を重ねることにより、大麦ベータファイバーとキサンタンガムを組み合わせることで粘度の上昇を起こさせ、この組み合わせに分散しにくい固形成分に加えても、分散性・懸濁性を安定化する作用があることを見出し、また、食品の分野だけでなく医薬品分野や工業分野等において分散安定剤製剤として広く利用できることを確認して、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、下記に掲げるものである:項1.大麦ベータファイバーとキサンタンガムを含有することを特徴とする分散安定剤製剤。項2.大麦ベータファイバーとキサンタンガムを含有し、分散安定化させることを特徴とする項1記載の分散安定剤製剤。項3.大麦ベータファイバー3質量部に対し、キサンタンガム0.01〜2質量部の割合で配合することを特徴とする項1記載の分散安定剤製剤。項4.大麦ベータファイバーとキサンタンガムとを共存させることを特徴とする食品の分散安定化方法。項5.項1記載の分散安定剤製剤を含有することを特徴とする食品用組成物又は食品。項6.大麦ベータファイバーとキサンタンガムを含有する分散安定剤製剤を水系に溶解する工程を有することを特徴とする項4又は5記載の食品用組成物又は食品の製造方法。また本発明は、上記分散安定剤製剤を含有することを特徴とする食品用組成物又は食品、特にココア飲料、ミネラル強化飲料、抹茶入り飲料、ゼリー入り飲料、野菜又は果汁入り飲料,豆乳飲料,しるこ飲料等の飲料、コーンスープ,ポタージュスープ、卵入りスープ等のスープ、栄養ドリンク、機能性飲料、サプリメント飲料、ドレッシング,味噌汁、たれ、ごまだれ及びソース等の液体調味料、アイスキャンデー及びソフトクリーム等の冷菓やケーキ等の製菓、製パンや蒸し製パン等の製パン等からなる群から選択される食品に関する。本発明で用いる大麦ベータファイバーは、大麦を原料とし、酵素アミラーゼを用いて分画し、加熱後に耐熱性酵素アミラーゼで精製して分子量を調整し、エタノール抽出と乾燥によって得たものであり、例えば、カーギル社から提供された大麦ベータファイバーを用いることができる。一般に、大麦ベータファイバーは大麦種子の胚乳細胞壁を構成する成分として穀類種子に分布しており、食物繊維として整腸作用などが期待されている素材である。ベータファイバー(またはベータグルカンという)の構造はβ−1,3−D−グルコピラノース結合およびβ−1,4−D−グルコピラノース結合を主成分とするグルコースの重合体であるが、この重合体を抽出するための用いる方法は多様であり、その製造方法によって性質が異なることが知られている。従来、大麦ベータファイバーは、これまで増粘剤などの安定剤としても食物繊維としても使用されていないし、当業者においても、たいして特長もなく使用する価値がないものと見られてきた。また、キサンタンガムとは、キサントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)が菌体外に生産する高分子多糖類である。キサンタンガムは澱粉またはぶどう糖に上記の微生物を与え、30℃前後で4日間培養することで得られることが知られている。(非特許文献 国崎直道、佐野征男、食品多糖類、幸書房、p141、2001;特許公報昭44−31746号公報)かかる大麦ベータファイバーとキサンタンガムとの組み合わせは、液相を分散媒としもう一方の成分を溶質とする混合系に配合されることにより、もう一方の成分を液相への均質化を高めるとともに、その均質化した系を安定化させる作用を有し、これにより液状組成物中の固形分等の安定化を保持することができる。大麦ベータファイバー以外の他の多糖類では当該食品等の特性に悪影響を与えることなく同等の効果を実現することはできなかった。例えば、ジェランガムや寒天では、水性媒体に対してココア粉末やサラダ油を分散安定化する効果はなく、キサンタンガム単独での利用やカラギナンによって効果を得るためには高粘度にせざるを得ず、食品の特性を損ない、グァーガム,ローカストビーンガム,タラガム及びタマリンドガムを用いた場合では高粘度に調整することができても目的の効果が得られない。本発明の分散安定剤製剤は、野菜・果実等の果汁分あるいはこれに含まれる繊維分等の固形分や水と分離しやすい油脂分など、水性媒体もしくはこれに水混和性の有機溶媒を混ぜた媒体に速やかに均質化することを助け、かつそれらの分離を防ぐ作用を有するものである。このように、本発明の分散安定剤製剤が対象とする混合系は、溶媒が液相であり、また溶質が固相もしくは液相であれば特に制限されず、例えば食品、食品用組成物、医薬品分野、その他工業組成物が挙げられる。より具体的には、食品としては,ココア飲料、ミネラル強化飲料、抹茶入り飲料、ゼリー入り飲料、野菜又は果汁入り飲料,豆乳飲料,しるこ飲料等の飲料、コーンスープ,ポタージュスープ、卵入りスープ等のスープ、栄養ドリンク、機能性飲料、サプリメント飲料、ドレッシング,味噌汁、たれ、ごまだれ及びソース等の液体調味料、アイスキャンデー及びソフトクリーム等の冷菓やケーキ等の製菓、製パンや蒸し製パン等の製パン等など幅広い食品が例示される。これらの系に用いられる大麦ベータファイバーの配合量は、対象の系が高い粘度を起こさない範囲内であれば特に制限されず、対象となる系の種類及び内容成分に応じて適宜選択することができる。固形分の沈殿の防止及び液状成分同士の混和性の安定化にはいずれも、分散系100質量部に対して大麦ベータファイバーが通常0.1〜5質量部、好ましくは0.5〜3質量部範囲で用いられる。 なお、本発明の分散安定剤製剤は、必要に応じてその配合割合によって分散安定化する溶液系に適度な粘稠性を付与することもできる。分散安定剤製剤としては、大麦ベータファイバー3質量部に対してキサンタンガム(固形分換算として)を、通常0.01〜2質量部配合するものが挙げられ、好ましくは0.1〜2質量部、より好ましくは0.2〜1質量部である。また、当該分散安定剤製剤を、水溶液系に適用する場合の大麦ベータファイバー及びキサンタンガムの各配合割合は、対象とする混合系の種類や内容成分等により異なるが、一般的には全量100質量部あたり、通常大麦ベータファイバーが0.8〜3質量部及びキサンタンガムが0.01〜0.6質量部の範囲、好ましくは大麦ベータファイバー1.5〜2.5質量部及びキサンタンガムが0.05〜0.3質量部の範囲の範囲が挙げられ、この範囲で液相中の内容物の安定化を図ることができる。本発明の分散安定剤製剤は、キサンタンガムと大麦ベータファイバーを含有するものであればよく、これらの混合物をそのまま用いるか、あるいは、これら以外の成分として希釈剤、担体またはその他の添加物を含有していてもよい。希釈剤または担体としては、本発明の効果を妨げないものであれば特に制限されず、例えばシュクロース、グルコース、デキストリン、澱粉類、サイクロデキストリン、トレハロース、乳糖、マルトース、水飴、液糖などの糖類;エタノール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール類;ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール等の糖アルコール類;カラギナン、寒天、ゼラチン、ジェランガム、カードラン、ローカストビーンガム、ペクチン等の多糖類;または水を挙げることができる。また添加剤としては、抗酸化剤、キレート剤等の助剤、香料、香辛料抽出物、防腐剤などを挙げることができる。使用上の利便等から、これらの希釈剤、担体または添加剤を用いて分散安定剤製剤を調製する場合は、キサンタンガムと大麦ベータファイバーが、増粘組成物用添加剤100質量%中に0.1:99.9〜40:60の割合、好ましくは0.5:99.5〜15:85の割合で含まれるように調製することが望ましい。本発明の分散安定剤製剤はその形態を特に制限するものではなく、例えば粉末状、顆粒状、錠剤状などの固体状;液状、乳液状等の溶液状;またはペースト状等の半固体状などの、任意の形態に調製することができる。本発明の分散安定剤製剤は様々な増粘食品等に広く適応することができ、例えば飲食物、化粧品、医薬品、医薬部外品、飼料等をあげることができる。本発明でいう食品とは、野菜や果物の繊維成分,砂嚢,果肉等を含む飲料や、スープ、栄養ドリンク、機能性飲料、サプリメント飲料又は液体調味料等に含まれる蛋白成分等のような水不溶性の固形分又は水非混和性の液状成分が、水、牛乳、果汁等の液相に分散してなる形態を有する食品ものであり、具体的には、前述のココア飲料、ミネラル強化飲料、抹茶入り飲料、ゼリー入り飲料、野菜又は果汁入り飲料,豆乳飲料,しるこ飲料等の飲料、コーンスープ,ポタージュスープ、卵入りスープ等のスープ、栄養ドリンク、機能性飲料、サプリメント飲料、ドレッシング,味噌汁、たれ、ごまだれ及びソース等の液体調味料、アイスキャンデー及びソフトクリーム等の冷菓やケーキ等の製菓、製パンや蒸し製パン等の製パン等が例示される。本発明に係る食品は、大麦ベータファイバーとキサンタンガムを含有することにより、流通あるいは長期間保存しても内容物又は液状成分が分離、凝集、沈降、分離することなく均一に分散されており、飲食時もしくは使用時に缶やビンを振ったり、スープ、栄養ドリンク、機能性飲料、サプリメント飲料等でかき混ぜることなく、均質な成分及び味を呈するものである。本発明でいう食品用組成物とは、食品を調製するための組成物、および食品の形態にかかわらず、内容物が液相に均質化、または均一に分散してなる形態もしくは非混和の液体同士を含有する形態を有する組成物を広く意味する。例えば一般に即席食品(乾燥調合品)と称される粉末飲料(抹茶入り飲料、ミネラル強化スキムミルク等)、粉末状もしくは固形状スープ、栄養ドリンク、機能性飲料、サプリメント飲料等が挙げられる。これは、大麦ベータファイバーとキサンタンガムを含有することによって、冷水もしくは温水(熱湯)に早く親和し、均一に安定化性が向上するのみならず、安定化調製物を一定時間放置しても凝集、分離、沈殿物が発生したり内容物が底にとどまって飲用時に上澄みが薄くなるといった問題が生じないという点で有用である。また本発明は、上記分散安定化食品の製造に際して、大麦ベータファイバーとキサンタンガムを配合する工程を有する食品の製造方法に関する。かかる食品としては具体的に前述の飲料、スープ、栄養ドリンク、機能性飲料、サプリメント飲料、調味料等が挙げられるが、好ましくは缶やビンやパック等に充填・密閉されて流通される食品である。本発明に係る方法は、食品の調製時、具体的には原料配合もしくは混合時に大麦ベータファイバーとキサンタンガムを分散安定剤製剤として、原料に添加配合することにより達成できる。これら分散安定剤製剤の添加量は、製造する食品の種類によって異なるが、通常大麦ベータファイバーの添加により食品が分散安定化する範囲から適宜選択することができる。具体的には前述の通りである。例えば、ココア飲料の調製方法の場合、大麦ベータファイバーとキサンタンガムの分散安定剤製剤を配合する工程を有する以外は、常法に従って行うことができる。具体的には、まず20〜100℃の調合水または牛乳や還元乳のような水性媒体に本発明に係る成分、すなわち果汁などを溶解し撹拌する。これに、乳化剤、糖類、甘味料等を混合し、必要に応じて乳成分、油脂を添加する。その後、撹拌保持し、均質化した後120℃前後で2〜3秒間殺菌処理する。ついで容器充填し、冷却することにより常温流通あるいは常温保存できる風味良好なココア飲料を製造することができる。また、配合する原材料が粉体であれば、甘味料、分散剤、あるいは粉乳などの出発原料を個々混合してプレミックスを作成し、調合水等の水性媒体に溶解し均質化した後、滅菌または殺菌処理して冷却することにより製造することも可能である。本発明の分散安定剤製剤は、水系中で通常加熱、加温しながら撹拌することによって容易に安定化させることができる。たとえば、一定温度以上、例えば75℃以上、好ましくは80〜95℃、より好ましくは85〜95℃の条件下で行われる。かかる方法によって製造される食品としては、特に制限されない。本発明が対象とする化粧品としてはスキン化粧料(ローション、乳液、クリームなど)、口紅、日焼け止め化粧品、メークアップ化粧品等を;医薬品としては各種錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、トローチ剤、うがい薬等を;医薬部外品としては歯磨き剤、口中清涼剤、口臭予防剤等を;また飼料としてはキャットフードやドッグフード等の各種ペットフード、観賞魚若しくは養殖魚の餌等を一例として挙げることができるが、これらに制限されるものではない。これらの化粧品、医薬品、医薬部外品または飼料などの各種製品は、それら製造の任意の工程で本発明の増粘組成物用添加剤を配合することを除けば、各種製品の慣用方法に従って製造することができる。化粧品、医薬品、医薬部外品または飼料に対する分散安定剤製剤の配合時期も特に制限されない。本発明によると、液相に対して内容物を分散安定化して、安定化する効果を奏する分散安定剤製剤を提供することができる。また、液相中に、溶質として果汁、乳などの不溶性固形分もしくは製品内容成分の均質性が問題となる液状製品や液状食品において有用である分散安定剤製剤を提供することができる。さらに、特定の条件、すなわち、特定の割合で配合する分散安定剤製剤によれば、高濃度の分散性の固形分及び蛋白質を含有する系であっても増粘、凝集させることなく、均一な分散系を付与することができ、粘性の低い液状食品に対する分散安定剤製剤を提供することができる。以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、特に記載のない限り「%」とは「質量%」を、「部」とは、「質量部」を意味するものとする。実験例1大麦ベータファイバー(カーギル社製)を添加量0〜3%の添加量と、キサンタンガム(三栄源エフ・エフ・アイ社製)を添加量0.1〜2%の範囲で混合し、水にて全量100%とし、85℃で15分間加熱し溶解させた。その後、室温(25℃)まで冷却し、室温での溶液の粘度を測定した結果を表1に示す。キサンタンガム単独では、粘度が約1400mPa・sであり、また、大麦ベータファイバー単独では、約600mPa・sであった。この粘度では分散安定性は十分とはいえない。キサンタンガム0.05%を大麦ベータファイバー2.7%に併用することで粘度が6720mPa・sとなり、キサンタンガム単独の値に比べ、約4倍上昇した。また、大麦ベータファイバー単独の値に比べると約11倍となり、急激な上昇を示し、分散安定性のある粘度値となった。さらに、キサンタンガム0.1%と大麦ベータファイバー2.4%の割合で併用した場合には、12200mPa・sとなり、キサンタンガム単独の値に比べ、約9倍、大麦ベータファイバー単独に比べ約20倍の粘度を示し、分散安定性を付与する粘性を得ることができた。なお、ここで得た12200mPa・sの値は、キサンタンガム単独では達することは難しい粘度値であり(水溶液1.5%の時、約4500mPa・s、国崎直道、佐野征男;食品多糖類、p146、幸書房、2001)、キサンタンガムが補いうる範囲を超える粘度値である。キサンタンガムと大麦ベータファイバーとを併用することによって、希望する粘度を調整することができ、また、この粘度は、高分子多糖類の添加量を下げて利用できる目安となり、従来の使用事例で見出される添加量よりも少ない量で、望まれる分散安定性を維持、調製することができることがわかった。実施例1 炭酸カルシウム分散溶液水に炭酸カルシウム(白石カルシウム、コロカルソ-EX、セミコロイド粒子)1%を分散させ(試験区1)、これにキサンタンガム(三栄源エフ・エフ・アイ社製)0.05%(試験区2)、大麦ベータファイバー(カーギル社製)3%(試験区3)およびキサンタンガム0.05%と大麦ベータファイバー3%を併用した区(発明区1)を添加し、85℃15分間加熱攪拌し、カルシウム粒子を分散後、容量100mlのガラス瓶に充填し、充填直後の状態(写真1)と3日後の状態(写真2)を比較した。その結果、試験区1の炭酸カルシウムを分散させた溶液では、カルシウムは底部に沈殿し、試験区2のキサンタンガムもカルシウムの沈殿を防止することができなかった。また、試験区3の大麦ベータファイバーの系では、沈降している状態であり、カルシウムが部分的に凝集している傾向が見出された。ところが、本発明区1のキサンタンガムと大麦ベータファイバーを併用した場合には、カルシウムの沈殿はなく、また、カルシウムの凝集も見出されず、均一な溶液の状態となっていることがわかった。このように、本発明による組み合わせは、分散しにくい素材を容易に均一分散させることができる。実施例2 ココア飲料組成物果糖ぶどう糖液糖15部、砂糖5部、ココア末(バンホーテン社製)2部、香料ココアフレーバー(三栄源エフ・エフ・アイ社製)0.2部、香味向上剤STフレーバーNO.9207(三栄源エフ・エフ・アイ社製)0.05部に、キサンタンガム(三栄源エフ・エフ・アイ社製)0.2部と大麦ベータファイバー(カーギル社製)3部の混合した組成物を全量水で100部とし、14.71MPa(150kgf/cm2)で均質化した後、約65℃で容器に充填し、125℃30分レトルト加熱殺菌し、ココア飲料を得た。このものは、ココア末の分離、沈殿物は見出されず、清涼なココア風味の飲料を得ることができた。本発明によると、大麦ベータファイバーとキサンタンガムを含有することにより、製造工程中や長期間の放置によっても、不溶性固形分の沈殿や、内容成分の分離、凝集、沈降することなく均一に分散された食品用組成物又は食品を提供することができる。カルシウム溶液調製直後の写真を示す。1)炭酸カルシウム1%分散した溶液(一番左側)2)炭酸カルシウム1%にキサンタンガム0.03%を併用した溶液(左から2番目)3)炭酸カルシウム1%に大麦ベータファーバー3%を併用した溶液(左から3番目)4)炭酸カルシウム1%にキサンタンガム0.03%と大麦ベータファイバー3%を併用した溶液(左から4番目)カルシウム溶液調製後、室温で3日経過したときの写真を示す。1)炭酸カルシウム1%分散した溶液(一番左側)2)炭酸カルシウム1%にキサンタンガム0.03%を併用した溶液(左から2番目)3)炭酸カルシウム1%に大麦ベータファーバー3%を併用した溶液(左から3番目)4)炭酸カルシウム1%にキサンタンガム0.03%と大麦ベータファイバー3%を併用した溶液(左から4番目)カルシウムの溶液中での凝集状態を把握するために拡大した写真を示す。1)炭酸カルシウム1%に大麦ベータファイバー3%を用いた場合の溶液2)炭酸カルシウム1%にキサンタンガム0.03%と大麦ベータファイバー3%を併用した場合の溶液大麦ベータファイバーとキサンタンガムを含有することを特徴とする分散安定剤製剤。大麦ベータファイバーとキサンタンガムを含有し、分散安定化させることを特徴とする請求項1記載の分散安定剤製剤。大麦ベータファイバー3質量部に対し、キサンタンガム0.01〜2質量部の割合で配合することを特徴とする請求項1記載の分散安定剤製剤。大麦ベータファイバーとキサンタンガムとを共存させることを特徴とする食品の分散安定化方法。請求項1記載の分散安定剤製剤を含有することを特徴とする食品用組成物又は食品。大麦ベータファイバーとキサンタンガムを含有する分散安定剤製剤を水系に溶解する工程を有することを特徴とする請求項4又は5記載の食品用組成物又は食品の製造方法。 【発明の課題】不溶性固形分の均一性や内容成分の安定性が問題となる液体状食品等において、不溶性固形分の均一性やの内容成分の安定性が改善され、製造工程中や長期間の放置によっても、沈殿(沈降)もしくは分離を生じず、内容成分の均質性に優れた食品用組成物又は食品を得るための分散安定剤製剤を提供する【解決手段】大麦ベータファイバーとキサンタンガムを組み合わせることで分散安定化し、この組み合わせによって、不溶性固形分の分散性を向上させ、また、内容成分の沈殿、沈降等を有意に防止することができる。【選択図】なし


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