生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ジアミノジフェニルエーテルの精製方法
出願番号:2005023719
年次:2006
IPC分類:C07C 213/10,C07C 217/90


特許情報キャッシュ

松本 新一郎 JP 2006206544 公開特許公報(A) 20060810 2005023719 20050131 ジアミノジフェニルエーテルの精製方法 JFEケミカル株式会社 591067794 近藤 利英子 100098707 吉田 勝広 100077698 松本 新一郎 C07C 213/10 20060101AFI20060714BHJP C07C 217/90 20060101ALI20060714BHJP JPC07C213/10C07C217/90 3 OL 7 4H006 4H006AA02 4H006AD11 4H006AD16 4H006BB11 4H006BB31 4H006BC50 4H006BJ50 4H006BP60 4H006BU46 本発明は、機能性ポリアミドやポリイミドの原料或いは改質添加物等に用いられるジアミノジフェニルエーテルの精製方法に関する。 ジアミノジフェニルエーテルは、機能性ポリアミドやポリイミドの原料として用いられるため、異性体、モノアミン、ハロゲン等の不純物が、より少ない方が好ましい。 ジアミノジフェニルエーテルの一般的製法は、アミノフェノールとクロロニトロベンゼンとを縮合させてアミノニトロジフェニルエーテルを中間体として得た後、還元して粗ジアミノジフェニルエーテルを得る。そして、純度を上げるために、蒸留による方法、或いは、水中に投入して結晶として取り出す方法等が行われているが、高純度のジアミノジフェニルエーテルを得る方法としては不充分である。 3,4’−ジアミノジフェニルエーテルについては、原料の異性体を低減することにより高純度の製品を得ることが開示されている(特許文献1参照)。この場合、製造時に起きる副反応に由来する不純物を除去することはできない。 更に、粗ジアミノジフェニルエーテルを蒸留する際に沸点範囲240〜350℃の不活性な有機溶剤を加えて蒸留する方法が開示されている(特許文献2参照)。この方法は実施例に示されているように、蒸留においては精留塔を備えていることが前提であり、還流によって精製の度合いを上げている。即ち、初留分と加えた有機溶剤をシャープにカットすることのできる装置と操作を必要としており、還流操作によって蒸留に要する時間が長くなると同時に、多量の熱エネルギーを必要とする。 蒸留時における副反応を抑制するために、塔頂温度を60〜150℃、塔頂圧力を1.3〜266.6ヘクトパスカルの条件で、8時間以内に反応溶媒を留去した後、塔頂圧力66.6ヘクトパスカル以下の条件でジアミノジフェニルエーテルを蒸留する方法が提案されている(特許文献3参照)。この方法は、ジメチルフォルムアミド(DMF)やN−メチルピロリドン(NMP)を溶媒とした場合には、還元反応時に溶媒の関与する副反応として生成する化合物(アミジン類)を削減する方法に対しては有効であるが、ジメチルスルフォキシド(DMSO)を溶媒とする場合には縮合反応時に副反応が起きるため、これを削減する方法としては、有効ではない。特公平8−9581号公報特公平6−35425号公報特開平8−27077号公報 本発明の目的は、機能性ポリアミドやポリイミドの原料となるジアミノジフェニルエーテルを効率的に高純度化する方法を提案することにある。 本発明者は、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、ジアミノジフェニルエーテル中の不純物の主成分を解明し、それらを効率的に取り除くことでジアミノジフェニルエーテルを高純度化する方法を見出し本発明に至った。 具体的には、ジアミノジフェニルエーテル中の不純物を解明するため、ジアミノジフェニルエーテルをポリアミドやポリイミドの重合の原料として使用し、得られるポリアミドやポリイミドの重合度と不純物との関係を調査した結果、モノアミン及び水分が不純物の主成分であることが判明した。モノアミンの中でも特にメチルメルカプトアニリンは極微量でも重合の阻害因子として作用することが分かった。その他のモノアミンは低沸点モノアミンであり、ジアミノジフェニルエーテルよりも水に対する分配係数が高いので、ジアミノジフェニルエーテルを水洗することで低沸点モノアミンが除去可能であることが実験により確認できた。 即ち、本発明は下記の構成よりなる。(1)ジアミノジフェニルエーテルを水で洗浄して、精製するにあたり、前記洗浄する水に、洗浄助剤としてベンゼン、トルエン、キシレンのいずれか又はその混合物を質量比でジアミノジフェニルエーテルの2〜6倍添加することを特徴とするジアミノジフェニルエーテルの精製方法。(2)ジアミノジフェニルエーテルが4,4’−ジアミノジフェニルエーテル又は3,4’−ジアミノジフェニルエーテルである上記(1)に記載のジアミノジフェニルエーテルの精製方法。(3)ジアミノジフェニルエーテルが蒸留後のジアミノジフェニルエーテルである上記(1)に記載のジアミノジフェニルエーテルの精製方法。 本発明によれば、ジアミノジフェニルエーテル中の不純物が、洗浄助剤を添加した水で洗浄することにより除去でき、ジアミノジフェニルエーテルの高純度化が可能となった。このようにして得られたジアミノジフェニルエーテルは、重合阻害物質となる不純物を含んでいないので機能性ポリアミドやポリイミドの原料として使用可能である。 次に好ましい実施の形態を挙げて本発明を詳しく説明する。 本発明で精製されるジアミノジフェニルエーテルとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル等、オキシジアニリン形態のものが使用でき、好ましくは4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び3,4’−ジアミノジフェニルエーテルである。 本発明におけるジアミノジフェニルエーテルの一般的製法は、アミノフェノールとクロロニトロベンゼンを、溶媒中で縮合剤を用いて縮合させる方法である。縮合反応に用いる溶媒はジメチルフォルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)及びジメチルスルフォキシド(DMSO)が使用される。この中では、反応温度で分解せず、蒸発しにくいジメチルスルフォキシドの使用が好ましいが、微量のメチルメルカプトアニリンが生成する。縮合物であるアミノニトロジフェニルエーテルを還元することで、粗ジアミノジフェニルエーテルが得られる。これを蒸留することにより精製されるが十分に高純度のものではない。尚、蒸留操作は、塔頂圧力1.3ヘクトパスカルであれば塔頂温度は183℃である。 ジアミノジフェニルエーテルの融点は、その種類にもよるが、約80℃であり、粘性も高いので工業的な水洗操作は困難である。よって、水洗の際にはジアミノジフェニルエーテルに洗浄助剤を加えて、粘度を下げる必要がある。そのための洗浄助剤としては、非水溶性、ジアミノジフェニルエーテルとの親和性があるもの、毒性が低く取り扱いが容易なもの及び経済効果が成り立つこと等の点から、ベンゼン、トルエン又はキシレンが好ましい。これらの洗浄助剤の中では毒性が低く、適度な沸点を有しているトルエンの使用がより好ましい。 蒸留後のジアミノジフェニルエーテルは純度99%以上であるが、低沸点モノアミンと約0.01質量%のメチルメルカプトアニリンを不純物として含んでいる。これら不純物を本発明の精製方法により除去して精製する。 精製方法である水洗操作の温度は75℃以下ではジアミノジフェニルエーテルが溶融しないので洗浄効果が得られない。又、100℃以上の高温であっても加圧することによって操作は可能であるが、経済性から好ましくない。従って、ジアミノジフェニルエーテルが溶融する温度以上で、できるだけ低温が望ましい。装置類の温度均一性から勘案すると、85℃程度が操作しやすい温度である。 水洗操作は、洗浄助剤を添加した水とジアミノジフェニルエーテルとをジアミノジフェニルエーテルの溶融温度以上で混合及び撹拌して行う。攪拌は水とジアミノジフェニルエーテルの洗浄助剤溶液とが完全に混合した時点で、終了とし、攪拌を停止する。放置後、油水分離して水が沈むので水を捨て去る。油相のジアミノジフェニルエーテルを分析し、上記不純物の有無を確認し、未だ不純物が多く残っていれば、再度水洗する。このように水洗を繰り返して所定の不純物濃度を達成したら水洗操作終了と判断し、洗浄助剤である溶媒とジアミノジフェニルエーテルを分離する。分離方法は、蒸発や再結晶による方法が可能であるが、好ましくは溶媒の沸点温度付近で減圧蒸発する方法である。再結晶法は、結晶塊中に水分を抱き込むので、乾燥にあたっては、粉砕等の方法を取る必要が生じるので好ましくない。 洗浄助剤としてトルエンを使用する場合、110℃程度で減圧蒸発するのが好ましい。その理由は、トルエンと水とは共沸混合物を形成するため、ジアミノジフェニルエーテルがより乾燥されるからである。 洗浄助剤の使用量は、ジアミノジフェニルエーテルの質量の2〜6倍、好ましくは2.5〜3.5倍である。2倍未満では、ジアミノジフェニルエーテルが溶解している油相の比重が高いために、水相との分離が困難となる。6倍を超えると、経済性の点から好ましくない。 洗浄に使用する水の量は、特に定める必要はないが、装置容量によって定めればよい。通常は、ジアミノジフェニルエーテルの質量の0.1〜2倍の水の量である。 以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。[合成例][4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの合成] 攪拌機を備えた2000ミリリットルフラスコに、4−アミノフェノール221g(2モル)と4−クロロニトロベンゼン318g(2モル)と縮合剤として炭酸カリウム155g(2.2モル)と溶媒としてジメチルスルフォキシド539gとを入れ、140℃で5時間反応させた。 この後これに活性炭22gと塩化鉄(III)11g(0.2モル)とを加え、ヒドラジンを滴下して3時間反応させ、ガスクロマトグラフ法で還元の完結を確認した。 反応液を冷却した後、蒸留して純度99.6質量%の4,4’−ジアミノジフェニルエーテル372gを得た。このジアミノジフェニルエーテルのメチルメルカプトアニリン濃度は0.01質量%であり、モノアミン濃度は0.25質量%であった。[3,4’−ジアミノジフェニルエーテルの合成] 上記の合成において、4−アミノフェノールを3−アミノフェノールに代えて、同様に操作を行った。 このようにして、純度99.8質量%の3,4’−ジアミノジフェニルエーテル358gを得た。このジアミノジフェニルエーテルのメチルメルカプトアニリン濃度は0.01質量%であり、モノアミン濃度は0.12質量%であった。実施例1 上記の4,4’−ジアミノジフェニルエーテル35gに3.5gの水、105gのトルエンを加え、85℃で攪拌した後、静置して分離した水を捨て去った。このときの油相のメチルメルカプトアニリン濃度はジアミノジフェニルエーテル基準で0.01質量%以下であり、モノアミン濃度は同基準で0.14質量%であった。そこで更に水を3.5g加えて水洗操作を行った。その結果、モノアミン濃度はジアミノジフェニルエーテル基準で0.01質量%以下となった。これを減圧乾燥させて、メチルメルカプトアニリン濃度が0.01質量%以下であり、モノアミン濃度が0.01質量%である4,4’−ジアミノジフェニルエーテル32.6gを得た。実施例2 トルエンをベンゼンに代えて実施例1と同様に操作した。水洗回数を2回実施した。実施例3 トルエンをキシレンに代えて実施例1と同様に操作した。水洗回数は2回実施した。実施例4 トルエンの量を180gとした他は実施例1と同様に操作した。水洗回数は2回実施した。実施例5 水量を35gとした他は実施例1と同様に操作した。水洗回数は1回実施した。実施例6 3,4’−ジアミノジフェニルエーテル35gに3.5gの水と105gのトルエンとを加え、85℃で攪拌した後、静置して分離した水を捨て去った。このときの油相のメチルメルカプトアニリン濃度はジアミノジフェニルエーテル基準で0.01質量%以下であり、モノアミン濃度は同基準で0.01質量%以下であった。これを減圧乾燥させて、メチルメルカプトアニリン濃度が0.01質量%以下、モノアミン濃度が0.01質量%以下である3,4’−ジアミノジフェニルエーテル33.6gを得た。実施例7 トルエンをベンゼンに代えて実施例6と同様に操作した。水洗回数を1回実施した。実施例8 トルエンをキシレンに代えて実施例6と同様に操作した。水洗回数は1回実施した。実施例9 トルエンの量を180gとした他は実施例6と同様に操作した。水洗回数を1回実施した。比較例1 トルエンの量を50gとした他は実施例1と同様に操作した。水洗操作を行ったが、水とジアミノジフェニルエーテルのトルエン溶液とが分離不充分であった。比較例2 ジアミノジフェニルエーテルを3,4’−ジアミノジフェニルエーテルに代えた他は比較例1と同様に操作した。水洗操作を行ったが、水とジアミノジフェニルエーテルのトルエン溶液とが分離不充分であった。 以上、実施例及び比較例の結果を表1−1及び1−2にまとめた。 本発明の方法によると、メチルメルカプトアニリンやモノアミン濃度が低いジアミノジフェニルエーテル類が得られる。 本発明によれば、蒸留後のジアミノジフェニルエーテルを洗浄助剤と水とにより洗浄することで、不純物を除去できるジアミノジフェニルエーテルの精製方法である。得られたジアミノジフェニルエーテルは高純度なため、機能性ポリアミドやポリイミドの原料として用いることができる。 ジアミノジフェニルエーテルを水で洗浄して、精製するにあたり、前記洗浄する水に、洗浄助剤としてベンゼン、トルエン、キシレンのいずれか又はその混合物を質量比でジアミノジフェニルエーテルの2〜6倍添加することを特徴とするジアミノジフェニルエーテルの精製方法。 ジアミノジフェニルエーテルが4,4’−ジアミノジフェニルエーテル又は3,4’−ジアミノジフェニルエーテルである請求項1に記載のジアミノジフェニルエーテルの精製方法。 ジアミノジフェニルエーテルが蒸留後のジアミノジフェニルエーテルである請求項1に記載のジアミノジフェニルエーテルの精製方法。 【課題】機能性ポリアミドやポリイミドの原料となるジアミノジフェニルエーテルを効率的に高純度化する方法を提案すること。【解決手段】ジアミノジフェニルエーテルを水で洗浄して、精製するにあたり、前記洗浄する水に、洗浄助剤としてベンゼン、トルエン、キシレンのいずれかまたはその混合物を質量比でジアミノジフェニルエーテルの2〜5倍添加することを特徴とするジアミノジフェニルエーテルの精製方法。【選択図】 なし


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