タイトル: | 公開特許公報(A)_ジケトピロロピロール系顔料の製造方法 |
出願番号: | 2005021319 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | C09B 57/00,C07D 487/04 |
田中 祥三郎 佐藤 隆 丹下 稔章 JP 2006206759 公開特許公報(A) 20060810 2005021319 20050128 ジケトピロロピロール系顔料の製造方法 大日本インキ化学工業株式会社 000002886 河野 通洋 100124970 田中 祥三郎 佐藤 隆 丹下 稔章 C09B 57/00 20060101AFI20060714BHJP C07D 487/04 20060101ALN20060714BHJP JPC09B57/00 ZC07D487/04 137 2 OL 8 4C050 4H056 4C050AA01 4C050BB04 4C050CC04 4C050EE02 4C050FF05 4C050GG03 4C050HH01 4H056DD03 4H056DD29 4H056EA13 4H056FA01 本発明は、ジケトピロロピロール系顔料の製造方法に関する。 ジケトピロロピロール系顔料は、対称的発色団を持つヘテロ環状顔料であり、高鮮明性で耐候性を初めとする各種堅牢性に優れる。この様なジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.ピグメントレッド254、同255、同264、同270、同272、C.I.ピグメントオレンジ71及び同73等が知られている。典型的なジケトピロロピロール系顔料は、下記式で表されるC.I.ピグメントレッド254である。 従来から、この様なジケトピロロピロール系顔料は、合成により得られた粗顔料を有機溶媒中で加熱することで製造していた。この際の有機溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性有機溶媒が知られている(特許文献1)。 また、粗顔料をメタノールと硫酸の混合物に加えて加熱した後、更にジメチルアセトアミド中で加熱することでジケトピロロピロール系顔料とする方法も知られている(特許文献2)。 さらに、アルコール中塩基の存在下50℃以下の温度にて、粉砕媒体(メディア)を用いて湿式粉砕することにより、不透明ジケトピロロピロール系顔料を得る製造方法も知られている(特許文献3)。 しかしながらこれらの製造方法は、いずれも本来持つ顔料性能の発現に至っていないか、もしくは、最終用途に合わせた顔料形態粒子を形成する上で乾式もしくは湿式で粉砕するという手間のかかる操作を行っており、優れた生産性と優れた品質を兼備したジケトピロロピロール系顔料の製造方法とは言い難い。特開平4−372632号公報(第2頁特許請求の範囲及び段落番号0010)WO 03/022847A2(第27頁クレーム、第13頁第15〜25行)特開平1−306474号公報(第1頁特許請求の範囲及び第2頁右下欄最下行〜第3頁左上欄第12行) 本発明は、粉砕媒体を必要とせず、しかも粉砕の様な手間はかからないので生産性に優れ、かつ品質的にも優れた顔料を製造することが出来る、ジケトピロロピロール系顔料の製造方法を提供することを目的とする。 本発明者等は、粗顔料を非プロトン性極性有機溶媒中で加熱して、着色剤としての適性を有する様にするためのコンディショニング方法について鋭意検討したところ、アルカリ金属水酸化物を一定範囲で含有する非プロトン性極性有機溶媒中で粗顔料を加熱することで、前記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。 即ち本発明は、ジケトピロロピロール系粗顔料を非プロトン性極性有機溶媒中で加熱するジケトピロロピロール系顔料の製造方法において、前記有機溶媒として、質量換算で粗顔料100部に対してアルカリ金属水酸化物を0.1〜1.5部を含有する非プロトン性極性有機溶媒を用いることを特徴とするジケトピロロピロール系顔料の製造方法を提供する。 本発明のジケトピロロピロール系顔料の製造方法は、質量換算で粗顔料100部に対してアルカリ金属水酸化物を0.1〜1.5部を含有する非プロトン性極性有機溶媒中で、その粗顔料を粉砕することなく加熱するだけで着色力が高い顔料とすることが出来るので、生産性に優れかつ品質にも優れた顔料を製造することが出来るという格別顕著な効果を奏する。 本発明では、ジケトピロロピロール系粗顔料を非プロトン性極性有機溶媒中で加熱することで、被着色媒体を着色するのに適当な顔料とする。 本発明においてジケトピロロピロール系粗顔料としては、公知慣用のものがいずれも使用出来るが、後記する顔料に比べて大きな粒子であり、通常、BET比表面積0〜8m2/gのジケトピロロピロール系化合物が挙げられる。この様なジケトピロロピロール系粗顔料は、例えば、1モルのコハク酸ジエステルと2モルのベンゾニトリル類とを金属アルコラートの様な強塩基の存在下有機溶媒中で反応させて、この反応生成物を水もしくは酸により加水分解することで製造することが出来る。代表的な粗顔料は、上記化学式1で表された(C.I.ピグメントレッド254に対応する)化合物からなる粗顔料である。 この粗顔料としては、例えば、乾燥パウダー、乾燥グラニュール等の乾燥形態、ウェットケーキ、水性スラリー等の湿潤形態の各種形態で用いることが出来る。乾燥形態の粗顔料にあってはそれを浸漬した水のpHが、湿潤形態の粗顔料にあってはそれを含む液媒体が中性〜弱アルカリ性であることが、加熱に要する非プロトン性極性有機溶媒を目標とする同一の塩基性度とするのに、後記するアルカリ金属水酸化物の使用量をより低減することが出来るので好ましい。 本発明で用いる非プロトン性極性有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−メチルホルムアミド、N,N’−ジメチル−1,3−イミダゾリジン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等が挙げられる。非プロトン性極性有機溶媒は単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。安全性がより高く、水と適当な親和性があることから、好適な溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンであり、所望の大きさに結晶をより容易に成長させることが出来る点で、N−メチルピロリドンが最も好ましい。 本発明において非プロトン性極性有機溶媒の使用量は、特に制限されるものではないが、例えば、質量換算で粗顔料100部に対して100〜5,000部、中でも、粗顔料と非プロトン性極性有機溶媒と下記アルカリ金属水酸化物の混合物が比較的低粘度となり、粗顔料が粉砕されることなく容易に均一加熱出来ることから、好ましくは500〜2,000部である。 アルカリ金属水酸化物は、非プロトン性極性有機溶媒の塩基性度を高めるために用いられる。本発明で用いるアルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。このアルカリ金属水酸化物は、例えば、単体、或いは水溶液等、任意の形態で用いることが出来る。潮解性のあるアルカリ金属水酸化物は、通常、少量ではあるが水を含有している。 つまり、加熱すべき対象物の塩基性度が、アルカリ金属水酸化物を加える前より高くなる様に、アルカリ金属水酸化物は加えられる。アルカリ金属水酸化物の使用量は、最終用途、粗顔料の質量、溶媒種等の条件に合わせ、必要に応じて調整することが出来る。本発明において、加熱すべき対象物が、粗顔料と非プロトン性極性有機溶媒とアルカリ金属水酸化物のみを含有する混合物の場合には、質量換算で粗顔料100部に対してアルカリ金属水酸化物を0.1〜1.5部、好適には0.2〜1.0部を含有する非プロトン性極性有機溶媒を用いて加熱を行うことが出来る。 加熱すべき対象物が、粗顔料と、非プロトン性極性有機溶媒と、アルカリ金属水酸化物と反応して非プロトン性極性有機溶媒の塩基性度を低減させてしまう様な物質を含有する場合には、意図した塩基性度となる様に、そこに加えるべきアルカリ金属水酸化物の量を増量する。加熱すべき対象物が、アルカリ金属水酸化物と反応して非プロトン性極性有機溶媒の塩基性度を低減させてしまう様な物質が、粗顔料や非プロトン性極性溶媒に含有されていない場合には、前記した量のアルカリ金属水酸化物を非プロトン性極性有機溶媒に加えた上で、粗顔料を加熱すれば良い。 アルカリ金属水酸化物を含有する非プロトン性極性有機溶媒中における粗顔料の加熱は、加圧または非加圧を必要に応じて選択した上で、例えば、70〜140℃で実施することが出来る。また加熱時間は、例えば、1〜15時間、好ましくは3〜7時間である。粗顔料と、非プロトン性極性有機溶媒と、アルカリ金属水酸化物とを含有する混合物の加熱は、その混合物がより均一に加熱される様に、攪拌しながら行われることが好ましい。 この加熱は、例えば、経時的にサンプリングを行い、所期の特性が得られた点を終点として終了させれば良い。この終点を決定する指標としては、窒素吸着法によるBET比表面積、特定ブラッグ角におけるX線回折ピーク強度等を用いることが出来る。この方法では、予め加熱温度一定で時間毎にサンプリングを行い、時間毎の顔料の比表面積やX線回折ピーク強度をグラフにプロットしておき、次回以降の加熱操作時は、このグラフに基づいて加熱時間で終点を管理する。勿論、この加熱は、非プロトン性極性有機溶媒中に含有するアルカリ金属水酸化物の含有量に応じて、実態に合わせた最適な加熱温度や時間をその都度設定することが望ましい。 この加熱は、通常、前記加熱を行う前の粗顔料に比べて、粒子が相対的により小さくなる様に行なわれる。こうして前記した様な加熱により、例えば、BET比表面積10〜16m2/gの顔料を得ることが出来る。 尚、アルカリ金属水酸化物を含有する非プロトン性極性有機溶媒は、無水状態であることが好ましいが、水を少量含有していても良い。水の含有量は、質量換算で非プロトン性極性有機溶媒100部に対して、0を越えて50部の範囲で出来るだけ少ない方が好ましい。 前記した様に、潮解性のあるアルカリ金属水酸化物を用いたり、含水の非プロトン性極性有機溶媒を用いた場合には、系に水が混入する場合がある。水を多量に含有する非プロトン性極性有機溶媒から有機溶媒だけを再利用したい場合には、それを選択的に蒸留回収する必要があるので、水を多量に含有する非プロトン性極性有機溶媒は、より水の含有率の少ない同様の有機溶媒に比べて溶媒回収の手間がかかることになる。従って、この溶媒回収等の利便性をより高めることが出来る点で、無水か出来るだけ水の含有量が少ない非プロトン性極性有機溶媒を用いることが好ましい。無水の非プロトン性極性有機溶媒に水を添加して用いる場合も同様である。 本発明者らは、規定した含有量でアルカリ金属水酸化物を含有する非プロトン性極性有機溶媒で加熱を実施することにより、湿式粉砕の様な煩わしい操作を排除出来るばかりか、加熱するにしてもより低温かつ短時間で顔料として要求される所望の適性を発現させ得ることを見出した。本発明の製造方法によれば、中性や酸性とされた非プロトン性極性有機溶媒中での加熱に比べて、粗顔料をより生産性高く高い着色力を有した顔料とすることが出来る。また、粉砕媒体を予め準備したり、粉砕により破砕された粉砕媒体の顔料への混入も無く、それによる最終用途における不都合も生じ難い。本発明は、合成およびコンディショニング並びに最終用途において、従来示唆されることの無かったアルカリ金属水酸化物量の厳密な管理の重要性を初めて開示したものである。 本発明の製造方法で得られた顔料は、着色力に優れ、例えば、着色プラスチック成形品、着色ワニス、油性又は水性塗料、印刷インキ、ラッカーなどの形態で使用することが出来る。隠蔽力は、塗料やインキにおける着色力の大小の評価をするため尺度の一つである。本発明の製造方法で得られた顔料は、その高彩度と高隠蔽力の赤色発色が可能な点で、とりわけ自動車用塗料の調製に適している。これらは、本発明の製造方法で得られた顔料、下記する様な樹脂、充填剤、各種添加剤及び必要に応じて溶媒とを混合することで調製することが出来る。 本発明の製造方法で得られた顔料は、被着色媒体としての各種樹脂の着色剤として好適である。この際に用いられる樹脂としては、例えば、天然または合成樹脂、例えば重合樹脂や縮合樹脂、特に尿素樹脂/ホルムアルデヒド樹脂およびメラミン/ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、アクリル/メラミン、ポリスチレン、セルロースエーテル、ニトロセルロース、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン等が挙げられる。これらは単独または混合物として使用することが出来る。 また充填剤としては、例えば、各種金属箔、酸化チタン、シリカ等を用いることが出来る。各種添加剤としては、例えば、界面活性剤、防腐剤等を、溶媒としては、水の他、顔料の結晶状態を変化させない各種有機溶剤を用いることが出来る。 本発明の製造方法で得られた顔料が、優れた隠蔽力、高彩度を的確かつ迅速および高度に発現しているか否かを、顔料の形態のままで判断する方法として、例えば、前記した様なX線回折測定、比表面積測定などがある。これらの測定は、結晶化の状況や粒子の大きさを的確に判断する手法として実に有用である。 また、顔料の形態のままではなく、適用する用途分野において公知評価手段に従って判断することも出来る。隠蔽力、着色力、彩度等の色特性を評価する方法としては、公知の評価手段いずれも採用可能であるが、例えば、フーバーマーラーやペイントコンディショナー等の分散機を用いた分散・評価試験方法がある。最終用途が塗料の場合、同用途で多用されている樹脂をバインダー樹脂に用いて、顔料とバインダー樹脂と溶媒とをペイントコンディショナー等にて所定時間の分散を施し、展色を行い塗料薄膜とした上で諸適性を目視、測定機などにより数値化することで、その優れた効果を確認することが出来る。 自動車塗料用途では、例えば、塗膜の隠蔽力が最大である時の高着色力と高彩度の両立があり色特性として求められている。分散機を用いて調製した塗料の塗膜評価により、この隠蔽力の優劣を簡単に見分けることが出来る。本発明者等の知見によれば、C.I.ピグメントレッド254の場合には、得られる顔料の結晶のX線回折測定による特異ブラッグ角(2θ=28.5±0.3°)において、強度にして5,500〜6,000で、塗料とした場合に、その塗膜の隠蔽力が最大になり、この領域内にあって初めて商業価値が生まれることがわかっている。 以下、本発明を実施例により詳しく説明する。以下、部及び%は特に断りがない限り、質量基準である。 1L広口セパラブルフラスコの中に、公知の方法で製造された1,4−ジケトピロロ[3,4−C]ピロール(上記した式で表される、C.I.ピグメントレッド254と同一の化学構造を有する)の乾燥粗顔料50部を、水酸化ナトリウム10%水溶液3.0部およびN−メチルピロリドン600部並びに水150部中で撹拌懸濁させ、120℃まで昇温し、120℃で6時間撹拌した。60℃まで冷却し、同温度で濾過を行い、ウェットケーキをN−メチルピロリドンおよび水で洗浄し、乾燥し、C.I.ピグメントレッド254の48.0部を得た。 尚、加熱に用いた原料の乾燥粗顔料は、後記する実施例4で用いたウエットケーキを濾過水洗後に乾燥して得られたものであり、日本工業規格JIS Z8830−1990の付属書2に規定される「1点法による気体吸着量の測定方法」に従って測定したBET比表面積8m2/g以下であり、その浸漬水はほぼ中性であった。この赤色顔料についてX線回折測定を実施したところ、2θ=28.4°における強度は5500であった。この赤色顔料のBET比表面積を前記と同様にして測定したところ、13.1m2/gであった。 焼付塗料用水溶性アクリル樹脂及び前記赤色顔料をフーバーマーラーにて粗大粒子がなくなるまで分散し、顔料分20%の原色ベースエナメルを作製した。このベースエナメルに水溶性アクリル樹脂、水溶性メラミン樹脂、水、溶剤を加えてよく混和し、顔料分5%の原色エナメルを調製した。これをPETフィルム上に展色し着色塗膜の隠蔽力を目視にて判定した。その結果、この実施例1の赤色顔料を含む展色着色塗膜は、優れた隠蔽力を有していた。さらに、粉砕媒体を用いていないので、それの破砕物が塗料等に混入した際のコンタミによる不都合も無かった。比較例1 実施例1で用いたのと同様の乾燥粗顔料50.0部、水酸化ナトリウム30%水溶液53.7部およびメタノール1632.9部に、直径2mmのジルコニアビーズ250mlを3Lステンレスボトルに仕込み、卓上ボールミルにて25℃で48時間回転させた。その後、ビーズを分離し、顔料懸濁液を濾過し、メタノールで洗浄し真空乾燥機中80℃で乾燥させ、C.I.ピグメントレッド254の47.9部を得た。 この製造方法では、ジルコニアビーズの様な粉砕媒体が必要である上に、粉砕に長時間を要しており、実施例1の製造方法に比べて生産性が劣っていた。しかも、この赤色顔料について実施例1と同様にX線回折測定を実施したところ、2θ=28.3°における強度は2,500であり、結晶性も不充分であった。実施例1と同様に、この赤色顔料のBET比表面積を測定したところ、10m2/g未満であった。また赤色顔料を変更する以外は実施例1と同様にして得た比較例1の赤色顔料を含む展色着色塗膜は、実施例1のそれに比べて隠蔽力が大幅に劣っていた。比較例2 水酸化ナトリウム10%水溶液3.0部に代えて、当量となる量の硫酸を加える以外は実施例1の手順を繰り返し行って、C.I.ピグメントレッド254を得た。 この赤色顔料について実施例1と同様にX線回折測定を実施したところ、2θ=28.3°における強度は2,000未満であり、結晶性は不充分であった。また赤色顔料を変更する以外は実施例1と同様にして得た比較例2の赤色顔料を含む展色着色塗膜は、実施例1のそれに比べて隠蔽力が大幅に劣っていた。 実施例1で用いたのと同様の乾燥粗顔料50.0部と、水酸化ナトリウム98%固形物0.4部と、N−メチルピロリドン300.0部だけを用いて実施例1の手順を繰り返し行ったところ、C.I.ピグメントレッド254の47.6部が得られた。 この赤色顔料について実施例1と同様にX線回折測定を実施したところ、2θ=28.3°における強度は5,850であり、結晶性は充分であった。実施例1と同様に、この赤色顔料のBET比表面積を測定したところ、13.3m2/gであった。 尚、実施例2の方法の場合には、実施例1のX線回折強度に達する攪拌時間は、実施例1のそれよりも更に短くすることが出来た。これにより、より濃厚なアルカリ金属水酸化物を用いると、実施例1よりも更に赤色顔料の生産性の向上が図れることが分かった。この実施例2の赤色顔料を含む展色着色塗膜は、実施例1のと同様に優れた隠蔽力を有していた。さらに、粉砕媒体の破砕物が塗料等に混入した際のコンタミによる不都合も無かった。 実施例1で用いたのと同様の乾燥粗顔料50.0部と、水酸化ナトリウム50%水溶液1.5部と、N,N−ジメチルホルムアミド750.0部と、水37.5部だけを用いて、加熱温度を120℃から100℃に下げる以外は実施例1の手順を繰り返し行ったところ、C.I.ピグメントレッド254の48.4部が得られた。 この赤色顔料について実施例1と同様にX線回折測定を実施したところ、2θ=28.3°における強度は5,600であり、結晶性は充分であった。実施例1と同様に、この赤色顔料のBET比表面積を測定したところ、13.0m2/gであった。この実施例3の赤色顔料を含む展色着色塗膜は、実施例1のそれと同様に優れた隠蔽力を有していた。さらに、粉砕媒体の破砕物が塗料等に混入した際のコンタミによる不都合も無かった。比較例3 実施例1で用いたのと同様の乾燥粗顔料50.0部と、N,N−ジメチルホルムアミド1500.0部と、水75.0部だけを用いて、実施例3の手順を繰り返し行ったところ、C.I.ピグメントレッド254の48.0部が得られた。 この赤色顔料について実施例1と同様にX線回折測定を実施したところ、実施例3のそれより結晶の伸びが小さく、2θ=28.3°における強度は4,800であり、結晶性は不充分であった。実施例1と同様に、この赤色顔料のBET比表面積を測定したところ、9m2/g未満であった。 この比較例3の赤色顔料を含む展色着色塗膜は、実施例3のそれに比べて明らかに隠蔽力の点で劣っていた。粉砕媒体の破砕物が塗料等に混入した際のコンタミによる不都合は無かった。 実施例1で用いたのと同様の粗顔料を含有するウェットケーキ50.0部(粗顔料固形分29.5%、残部は水)と、水酸化ナトリウム10%水溶液11.0部と、水23.3部だけを用いて、実施例1の手順を繰り返し行ったところ、C.I.ピグメントレッド254の48.6部が僅か3時間の加熱撹拌で得られた。 尚、加熱に用いた原料のウエットケーキ中の水は、ほぼ中性であった。この赤色顔料について実施例1と同様にX線回折測定を実施したところ、2θ=28.3°における強度は5,620であり、結晶性は充分であった。実施例1と同様に、この赤色顔料のBET比表面積を測定したところ、13.3m2/gであった。 この実施例4の赤色顔料を含む展色着色塗膜は、実施例1のそれと同様に優れた隠蔽力を有していた。さらに、粉砕媒体の破砕物が塗料等に混入した際のコンタミによる不都合も無かった。ジケトピロロピロール系粗顔料を非プロトン性極性有機溶媒中で加熱するジケトピロロピロール系顔料の製造方法において、前記有機溶媒として、質量換算で粗顔料100部に対してアルカリ金属水酸化物を0.1〜1.5部を含有する非プロトン性極性有機溶媒を用いることを特徴とするジケトピロロピロール系顔料の製造方法。質量換算で粗顔料100部に対してアルカリ金属水酸化物を0.1〜1.5部を含有する非プロトン性極性有機溶媒が、質量換算で粗顔料100部に対してアルカリ金属水酸化物を0.2〜1.0部を含有する非プロトン性極性有機溶媒を用いる請求項1記載の製造方法。 【課題】 粉砕媒体を必要とせず、粉砕の様な手間はかからず生産性に優れ、かつ品質的にも優れた顔料を製造することが出来る、ジケトピロロピロール系顔料の製造方法を提供する。【解決手段】ジケトピロロピロール系粗顔料を非プロトン性極性有機溶媒中で加熱するジケトピロロピロール系顔料の製造方法において、前記有機溶媒として、質量換算で粗顔料100部に対してアルカリ金属水酸化物を0.1〜1.5部を含有する非プロトン性極性有機溶媒を用いることを特徴とする。【選択図】 なし