タイトル: | 公開特許公報(A)_ディールズ・アルダー付加体の製造方法 |
出願番号: | 2005020515 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | C07C 2/50,C07C 13/42 |
石黒 淳 角替 靖男 JP 2006206495 公開特許公報(A) 20060810 2005020515 20050128 ディールズ・アルダー付加体の製造方法 日本ゼオン株式会社 000229117 石黒 淳 角替 靖男 C07C 2/50 20060101AFI20060714BHJP C07C 13/42 20060101ALI20060714BHJP JPC07C2/50C07C13/42 3 OL 9 4H006 4H006AA02 4H006AC28 4H006AD41 本発明は、共役ジオレフィン化合物とオレフィン化合物とのディールズ・アルダー付加体の新規製造方法に関し、より詳しくは、重合体の副生が少ないディールズ・アルダー付加体の製造方法に関する。 共役ジオレフィン化合物とオレフィン化合物とのディールズ・アルダー付加反応は有機合成に極めて有用な反応として古くから知られており、共役ジオレフィン化合物とオレフィン化合物とを0℃から300℃で反応することによって、一般には触媒非存在下で共役ジオレフィン・オレフィン付加体が生成される。この反応の際には、共役ジオレフィン化合物同士もディールズ・アルダー付加反応を起こすので、共役ジオレフィン・共役ジオレフィン付加体も副生する。これを抑制するため、一般には、オレフィン化合物過剰の条件下でディールズ・アルダー反応を行うのが一般的である。 しかし、オレフィン化合物過剰の条件下でディールズ・アルダー反応を行う場合、高温で反応を行うと、オレフィン化合物が熱重合して重合体が副生するという問題があった。重合体の副生を防止する方法として、各種の重合抑止剤の存在下にディールズ・アルダー反応を行う方法が提案されている。例えば、式:RaRbN−N=Oで表されるN−ニトロソアミン化合物を存在させる方法が知られている(特許文献1)。ここで、RaおよびRbはアルキル基、アリール基およびそれらの置換体である。また、p−フェニレンジアミン化合物を存在させる方法(特許文献2)、アルキルフェノール化合物を存在させる方法(特許文献3)、特定の構造のニトロオキシド化合物を存在させる方法(特許文献4)なども開示されている。 しかしこれらの方法でも重合防止効果は十分ではなかった。特にオレフィン化合物として芳香族ビニル化合物などの熱重合しやすい化合物を用いると、大量の芳香族ビニル化合物重合体が副生する場合があった。特公昭54−9198号公報特公昭57−7131号公報特開昭61−165338号公報特開昭62−167734号公報 本発明の目的は、重合体の副生が少なく、高い収率でディールズ・アルダー付加体を得ることができる製造方法を提供することである。 本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ディールズ・アルダー反応に用いる重合抑止剤として、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩、または4位にヒドロキシル基もしくはそのエステルを有するピペリジン−1−オキシル化合物を用いると、共役ジオレフィン化合物およびオレフィン化合物の重合を防止する効果が極めて高く、高い収率でディールズ・アルダー付加体を製造できることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。 かくして本発明によれば、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩、または4位にヒドロキシル基もしくはそのエステルを有するピペリジン−1−オキシル化合物の存在下に、共役ジオレフィン化合物とオレフィン化合物を反応させる、ディールズ・アルダー付加体の製造方法が提供される。 前記オレフィン化合物は、芳香族ビニル化合物であることが好ましい。また、前記共役ジオレフィン化合物はシクロペンタジエンであることが好ましい。 本発明によれば、共役ジオレフィン化合物およびオレフィン化合物の重合が高度に抑制され、高い収率でディールズ・アルダー付加体を製造できる。本発明の製造方法は、オレフィン化合物として芳香族ビニル単量体などの熱重合しやすい化合物を用いる場合に特に好適である。 本発明は、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩、または4位にヒドロキシル基もしくはそのエステルを有するピペリジン−1−オキシル化合物(以下、単に「ピペリジン−1−オキシル化合物」ということがある)の存在下に、共役ジオレフィン化合物とオレフィン化合物を反応させる、ディールズ・アルダー付加体の製造方法である。(N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩) 本発明において、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩、またはピペリジン−1−オキシル化合物は、重合抑止剤として用いられる。本発明で用いられるN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩は、下記一般式(1)で化学構造が示される化合物である。 式中、Mn+は金属イオンまたはアンモニウムイオンを表し、nは1〜4の整数を表す。金属イオンとしてはアルミニウムイオン、銅イオン、鉄(III)イオン、スズイオン、亜鉛イオン、マグネシウムイオンなどが挙げられ、より安定なキレートを形成するアルミニウムイオンが好ましい。 R1〜R5はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜16のアルキル基、−OR6基、−OCOR7基、−COOR8基、−SR9基または−NR10R11基を表し、R6〜R11はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を表す。R1〜R5は、水素原子であることが好ましい。(ピペリジン−1−オキシル化合物) 本発明で用いられるピペリジン−1−オキシル化合物は、下記一般式(2)で表される化合物である。 式中、R12〜R15はそれぞれ独立して炭素数1〜16のアルキル基を表す。R16〜R20はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜16のアルキル基、−OR22基、−OCOR23基、または−NR24R25基を表し、R22〜R25はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を表す。R21は水素原子または−COR26基を表し、R26は炭素数1〜16のアルキル基または炭素数6〜16のアリール基を表す。 4位にヒドロキシル基を有するピペリジン−1−オキシル化合物は、前記R21が水素原子である化合物であり、その具体例としては、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルが挙げられる。 4位にエステルを有するピペリジン−1−オキシル化合物は、前記R21が−COR26基である化合物であり、その具体例としては、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−アセテート、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−2−エチルヘキサノエート、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−ステアレート、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−4−t−ブチルベンゾエート、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)コハク酸エステル、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジピン酸エステル、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)n−ブチルマロン酸エステル、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)フタレート、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)イソフタレート、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)テレフタレート、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ヘキサヒドロテレフタレート、N,N’−ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジパミド、N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カプロラクタム、N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ドデシルサクシンイミド、2,4,6−トリス−N−ブチル−N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−s−トリアジン等が挙げられる。これらのピペリジン−1−オキシル化合物は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。(共役ジオレフィン化合物) 本発明で使用される共役ジオレフィン化合物には共役二重結合を有する鎖状および環状共役ジオレフィン化合物のすべてが含まれ、一般式(3)で示される。 式中、R27〜R32はそれぞれ独立して水素、または炭素数1〜16の、アルキル基、アリール基、アルコキシル基、アシル基もしくはオキシカルボニル基を表す。R27〜R32のうちの複数個が互いに結合して環を形成していてもよい。 このような共役ジオレフィン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチルブタジエン、1−フェニルブタジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどを挙げることができる。中でも、シクロペンタジエンが好ましい。共役ジオレフィン化合物としてシクロペンタジエンを用いることで、ディールズ・アルダー付加体としてノルボルネン環構造を有する化合物を得ることができる。ノルボルネン環構造を有する化合物は、環状オレフィン樹脂などの製造に用いられる単量体として有用である。 シクロペンタジエンは、ジシクロペンタジエンを加熱し、分解して得てもよい。ジシクロペンタジエンとオレフィン化合物を混合し、加熱することで、シクロペンタジエンとオレフィン化合物のディールズ・アルダー付加体を得ることができる。本発明の製造方法によれば、共役ジオレフィン化合物およびオレフィン化合物の熱重合が抑制されているので、ジシクロペンタジエンの熱分解と、ディールズ・アルダー付加反応とを同時に行うことができる。(オレフィン化合物) 本発明において使用されるオレフィン化合物は、一般式(4)で示される。 式中、R33〜R36はそれぞれ独立して水素、または炭素数1〜16の、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アシル基、シアノ基もしくはオキシカルボニル基を表す。R33〜R36のうちの複数個が互いに結合して環を形成していてもよい。 このようなオレフィン化合物としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセンなどの直鎖状または分岐状オレフィン;ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキセンなどの脂環式置換基含有オレフィン;スチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、t−ブチルスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン、ヒドロキシスチレン、アセトキシスチレン、トリメトキシシリルスチレン、トリエトキシシリルスチレン、トリメチルシリルスチレン、トリエトキシシリルスチレン、インデンなどの芳香族ビニル化合物;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;メチルビニルケトンなどのビニルケトン類;ビニル酢酸などのビニルエステル類;アリルアルコール、アリルクロリドなどのアリル化合物;アクロレイン、アクリルアミド、アクリロニトリル、アクリル酸などのアクリル化合物;メチルアクリレートなどのアクリル酸エステル;クロトンアルデヒド、クロトニトリル、クロトン酸などのクロトン化合物;クロチルアルコール、クロチルブロミドなどのクロチル化合物;メタクロレイン、メタクリルアミド、メタクリロニトリル、メタクリル酸などのメタクリル化合物;メチルメタアクリレートなどのメタクリル酸エステル;ビニルトリメチルシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン化合物、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸などのオレフィンを有するジカルボン酸類;シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン、エチリデンノルボルネンなどの環状オレフィン;などが挙げられる。また、前記の共役ジオレフィン化合物も、オレフィン化合物として用いることができる。 なかでも、前記のN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩とピペリジン−1−オキシル化合物は、オレフィン化合物の重合防止効果が高いので、オレフィン化合物として熱重合しやすい芳香族ビニル化合物、ビニルエステル類、アクリル化合物、アクリル酸エステル、メタクリル化合物、メタクリル酸エステル、共役ジオレフィンおよびビニルシラン化合物などを用いる場合に有効であり、芳香族ビニル化合物を用いる場合に特に有効である。 特に、共役ジオレフィン化合物としてシクロペンタジエンを使用し、オレフィン化合物として芳香族ビニル化合物を使用すると、5位に芳香族基を置換基として有する2−ノルボルネン誘導体を効率的に製造できる。5位に芳香族基を置換基として有する2−ノルボルネン誘導体の具体例を挙げると、オレフィン化合物がスチレンの時、5−フェニル−2−ノルボルネンが得られ、オレフィン化合物がクロロメチルスチレンの時、5−クロロメチルフェニル−2−ノルボルネンが得られ、オレフィン化合物がα−メチルスチレンの時、5−メチル−5−フェニル−2−ノルボルネンが得られ、オレフィン化合物がインデンの時、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンが得られる。(ディールズ・アルダー付加体の製造方法) 前記の共役ジオレフィン化合物とオレフィン化合物とを、前記のN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩、またはピペリジン−1−オキシル化合物の存在下にディールズ・アルダー反応させることで、ディールズ・アルダー付加体が製造される。 ディールズ・アルダー反応における共役ジオレフィン化合物とオレフィン化合物の混合比は、モル比で1:0.1〜1:10が好ましく、1:0.5〜1:8がより好ましく、1:0.8〜1:5が特に好ましい。共役ジオレフィン化合物の割合が多すぎると共役ジオレフィン化合物どうしの付加体が副生しやすい。一方、オレフィン化合物の割合が多すぎると、余剰のオレフィン化合物が多くなり生産性が低下し、また、オレフィン化合物の重合体が副生するおそれがある。 前記のN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩またはピペリジン−1−オキシル化合物の使用量は、いずれも共役ジオレフィン化合物とオレフィン化合物の総量に対して、10ppm〜50,000ppm、好ましくは30ppm〜40,000ppm、より好ましくは50ppm〜30,000ppmである。使用量が少なすぎると重合体の副生を十分に抑止できない場合があり、多すぎると重合抑制効果は変わらないので、不経済である。 ディールズ・アルダー反応は、無溶媒で共役ジオレフィン化合物とオレフィン化合物を反応させてもよいし、不活性溶媒中で反応させてもよい。不活性溶媒としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン等のエーテル類;メタノール、エタノール等のアルコール類;ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;などを挙げることができる。 反応温度は、共役ジオレフィン化合物とオレフィン化合物との反応性に応じて、通常0℃〜300℃の範囲で可能であるが、本発明では、高温でも重合体の副生を防止できるので、反応速度を高めるために高温で反応することができる。反応温度は、好ましくは100℃〜300℃である。 反応時間は、共役ジオレフィン化合物とオレフィン化合物との反応性と反応温度により適宜選択される。ディールズ・アルダー付加体の収率と生産性を考慮すると、反応時間は好ましくは5分間〜10時間の範囲であり、より好ましくは10分間〜5時間である。 本発明の製造方法において、反応方法としては、原料である共役ジオレフィン化合物およびオレフィン化合物を定量ポンプなどで連続的に供給しながら行う連続式、または原料を反応器に一括的に供給して行なう回分式のどちらでも可能である。また、共役ジオレフィン化合物またはオレフィン化合物の一方を反応器に一括で供給しておき、他方を連続的に供給してもよい。前記の重合抑止剤は、共役ジオレフィン化合物およびオレフィン化合物のいずれか少なくとも一方に混合して供給してもよいし、前記の溶媒に溶解または分散して供給してもよい。また、連続式で反応を行う場合には、共役ジオレフィン化合物とオレフィン化合物とを個別に反応器に供給してもよく、これらを混合した後にこの混合液を反応器に供給する方法であってもよい。 以下に、実施例、および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。実施例中の部、%およびppmは、特に断りのない限り重量基準である。実施例1 シクロペンタジエン(CPD)及びスチレン(St)を、モル比で1:2となるように反応器に量り入れた。さらに、重合抑止剤としてN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのアルミニウム塩をCPDとStの合計量に対し10,000ppm加えて原料混合物を得た。次に、原料混合物に窒素ガスを通すことによって、原料混合物および反応器内から酸素を除去した。次いで、上記原料混合物を140℃に加熱し、3時間反応させた後、室温まで冷却して反応を停止した。 得られた反応液のガス・クロマトグラフィー(GC)測定を行うことにより、フェニルノルボルネン(PhNB)の収率と、副生物である重合体の生成量を求めた。ここで、PhNBの収率は、原料混合物中のCPDの量に対する、生成したPhNBのモル分率である。また、重合体の生成量は、反応液の全量から、GC測定により求められるCPD、St、PhNBおよびCPDの二量化により生成したジシクロペンタジエン(DCP)の量を差し引いた残りの成分の重量分率である。結果を表1に示す。実施例2,3,比較例1〜5 重合抑止剤を表1に示す化合物に代えた他は、実施例1と同様に反応を行った。結果を表1に示す。実施例4 ジシクロペンタジエン(DCP)及びStを、モル比で1:4となるように反応器に量り入れた。さらに、重合抑止剤としてN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのアルミニウム塩をDCPとStの合計量に対し10,000ppmを加えて原料混合物を得た。次に、原料混合物に窒素ガスを通すことによって、原料混合物および反応器内から酸素を除去した。次いで、上記原料混合物を180℃に加熱し、1時間反応させた後、室温まで冷却して反応を停止した。得られた反応液中のPhNBの収率と、重合体の生成量を実施例1と同様にして求めた。ここで、PhNBの収率は、原料混合物中のDCPが全て分解してCPDになったと仮定した場合のCPDの量に対する、生成したPhNBのモル分率である。結果を表1に示す。 以上のように本発明の製造方法によれば、ディールズ・アルダー付加体であるフェニルノルボルネンの収率が高く、かつ重合体の副生が抑止されている(実施例1〜4)。これに対し、重合抑止剤としてフェノール類を用いた場合(比較例1,2)、N−ニトロソアミンを用いた場合(比較例3)、4位に置換基を有しないか、またはケトンを置換基として有するピペリジン−1−オキシル化合物を用いた場合(比較例4,5)はいずれも重合体の副生量が多かった。N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩、または4位にヒドロキシル基もしくはそのエステルを有するピペリジン−1−オキシル化合物の存在下に、共役ジオレフィン化合物とオレフィン化合物を反応させる、ディールズ・アルダー付加体の製造方法。オレフィン化合物が芳香族ビニル化合物である、請求項1記載のディールズ・アルダー付加体の製造方法。共役ジオレフィン化合物がシクロペンタジエンである、請求項1または2記載のディールズ・アルダー付加体の製造方法。 【課題】 重合体の副生が少なく、高い収率でディールズ・アルダー付加体を得ることができる製造方法を提供する。【解決手段】 N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩、または4位にヒドロキシル基もしくはそのエステルを有するピペリジン−1−オキシル化合物の存在下に、共役ジオレフィン化合物とオレフィン化合物を反応させる、ディールズ・アルダー付加体の製造方法。前記オレフィン化合物は、芳香族ビニル化合物であることが好ましく、前記共役ジオレフィン化合物はシクロペンタジエンであることが好ましい。【選択図】 なし