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タイトル:公開特許公報(A)_コーティング用粉末、その製造方法及び該コーティング用粉末含有製剤
出願番号:2005016789
年次:2006
IPC分類:A61K 9/32,A61K 47/02,A61K 47/32


特許情報キャッシュ

福森 義信 植村 俊信 市川 秀喜 星 登 JP 2006206449 公開特許公報(A) 20060810 2005016789 20050125 コーティング用粉末、その製造方法及び該コーティング用粉末含有製剤 有限会社ファーマポリテック 505030074 三枝 英二 100065215 掛樋 悠路 100076510 斎藤 健治 100099988 福森 義信 植村 俊信 市川 秀喜 星 登 A61K 9/32 20060101AFI20060714BHJP A61K 47/02 20060101ALI20060714BHJP A61K 47/32 20060101ALI20060714BHJP JPA61K9/32A61K47/02A61K47/32 9 OL 17 4C076 4C076AA44 4C076AA94 4C076AA95 4C076BB01 4C076DD23 4C076DD38 4C076DD41 4C076EE09 4C076EE10 4C076EE12 4C076EE31 4C076EE48 4C076FF31 4C076GG16 4C076GG17 4C076GG18 本発明は、製剤をコーティングするためのコーティング用粉末、特に乾式コーティングに適し、製剤に徐放性を付与するのに有用なコーティング用粉末に関する。また、該コーティング用粉末の製造方法及び該コーティング用粉末を含有するコーティング製剤に関する。 製剤に胃溶性、腸溶性、徐放性などの様々な機能性を付与するため、製剤にコーティングを施したコーティング製剤が利用されている。コーティング剤を製剤にコーティングする方法は湿式法と乾式法とに分類されるが、湿式法が一般的である。 湿式法ではコーティング剤を溶解又は懸濁させた液を製剤に噴霧した後、液体を蒸発させるコーティング方法が代表的である。しかし、コーティング剤の溶媒が水である場合には噴霧後の蒸発に多くのエネルギーが必要となることや、核中に水によって劣化する成分が含まれている場合にはこれが劣化するためそのような成分の使用が制限されるなどの問題があった。また、コーティング剤の溶媒に有機溶媒を使用する場合には、有機溶媒の除去を完全にしないと有機溶媒が残存するという問題があった。 一方、乾式法では、溶媒を使用しないためこれらの問題は発生しない。しかし、溶媒なしでコーティング剤を製剤にコーティングすることが困難であるため、乾式の結合剤などの添加剤の使用が試みられているが、依然としてコーティングの効率が悪かった。また、セルフィア粒子に、ラウリン酸をもちいて水溶性のモデル薬物の固定コーティングをおこない、エチルセルロース水懸濁液を凍結乾燥して得たコーティング用粉末を高速楕円ローター型混合機によりコーティングした例が公表されている(非特許文献1参照)。しかし、この方法により得られたコーティング製剤は薬物の溶出速度の制御が困難であり、コーティング製剤としての性能は十分ではなかった。Preparation of Controlled Release Microcapsules by a High-Speed Elliptical-Rotor Type Mixer(要旨集), Proceedings of the World Congress on Particle Technology 3, No. 121, Brighton, UK, July 7-9, 1988 (英国化学工学協会主催) 本発明は、乾式コーティング製剤の製造においてコーティングが容易なコーティング用の粉末、該コーティング用粉末の製造方法、薬物の溶出の制御が容易なコーティング製剤の提供を目的とする。 本発明者は、上記従来技術の問題点に鑑み鋭意検討を重ねた結果、コーティング基剤懸濁液に塩化ナトリウム等の電解質を混合して得られる凝集物から得られる粉末を乾式コーティングのコーティング剤として使用するとコーティングが容易で、また得られるコーティング製剤が薬物の溶出の制御が容易なものとなることを見出し、本発明を完成させた。 より詳細には、本発明者は、コーティング基剤懸濁液を粉末化のための凍結乾燥等の乾燥工程に供すると粒子間の融着が発生し、その結果得られる粉末を乾式コーティングに使用するとコーティングが困難でまた薬物溶出の制御も困難であったところ、該懸濁液に電解質を混合し、撹拌して得られる凝集物の粉末の粒子がナノ粒子となって表面積が増加し、この粉末で乾式コーティングを行うと、コーティングが容易でまた薬物溶出の制御も容易となることを見出した。 すなわち、本発明は、以下のコーティング用粉末、その製造方法及びコーティング製剤を提供するものである。項1.コーティング基剤懸濁液に電解質を混合して凝集物を採取するコーティング用粉末の製造方法。項2.電解質が塩化ナトリウムである項1に記載の製造方法。項3.コーティング基剤懸濁液中のコーティング基剤の固形分が10〜35w/v%であり、電解質の混合量が該固形分重量に対し2〜50重量%である項1又は2に記載の製造方法。項4.項1〜3のいずれかの製造方法により製造されるコーティング用粉末。項5.項4に記載のコーティング用粉末を含有するコーティング製剤。項6.乾式コーティング用バインダーを含有する項5に記載のコーティング製剤。項7.項4に記載のコーティング用粉末によりコーティングされたコーティング製剤。項8.項4に記載のコーティング剤により乾式コーティングされたコーティング製剤。項9.乾式コーティングが楕円型混合機によるコーティングである項8に記載のコーティング製剤。 本発明のコーティング用粉末の製造方法において、コーティング基剤としてはセルロース系高分子、アクリル系高分子、生体内分解性高分子などを1種単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。好ましいのはアクリル系高分子である。 セルロース系高分子としては、例えば、エチルセルロース(例えば、信越化学社製EC N-10F、旭化成社製アクアコートECD、日本カラコン社製Surerease)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースなどが使用できる。好ましくはエチルセルロースである。 アクリル系高分子としては、例えば、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE(オイドラギットE)、メタアクリル酸−メチルメタアクリレートコポリマー(オイドラギットL・S)、メタアクリル酸−エチルアクリレートコポリマー(オイドラギットL30D)、オイドラギットEPO、オイドラギットL30D−55、オイドラギットRL30D、オイドラギットRS30D、オイドラギットNE30D、オイドラギットFS30Dなどのオイドラギットシリーズ、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート(例えば三共社製AEA)、エチルアクリレート−メチルメタアクリレート−2-ヒドロキシエチルメタアクリレートコポリマー(以下、EA/MMA/HEMAと称することがある)などが使用できる。好ましくはオイドラギットL30D−55、オイドラギットRL30D、オイドラギットRS30D、オイドラギットNE30D、オイドラギットFS30Dなどのオイドラギットシリーズ、EA/MMA/HEMA(EA:MMA:HEMAが4〜9:8〜12:4〜12(モノマー組成比))である。 生体内分解性高分子としては、例えばL−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸、グリコール酸、ε−カプロラクトン、N−メチルピロリドンなどのホモポリマー、コポリマー又はこれらポリマーの混合物、ポリカプロラクタム、キチン、キトサンなどが使用できる。 コーティング基剤懸濁液は、コーティング基剤が懸濁しているものであれば特に制限されない。懸濁液の溶媒は水であるが、電解質の添加により所望の凝集物が生成する範囲であれば水に有機溶媒を混合することができる。コーティング基剤懸濁液中のコーティング基剤の量は、通常、コーティング基剤固形分濃度が5〜50w/v%、好ましくは10〜35w/v%である。 コーティング基剤懸濁液は、水にコーティング基剤を加え、必要に応じて界面活性剤等を添加して懸濁させたものでも良いし、水系でコーティング基剤を合成することによって得られる懸濁液でも良い。例えば、水系で2種類以上のモノマーを、乳化剤、重合開始剤とともに加温して乳化重合させて、必要に応じて透析などによって未反応原料、重合開始剤、乳化剤などを除去して得られる懸濁液も使用することができる。 次に、コーティング基剤懸濁液に電解質を混合して凝集物(沈殿)を生成させる。この電解質としては、例えば塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム等の金属塩、硝酸アルミニウム、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム等の有機酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等のリン酸塩、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム等の高分子アニオン、リジン塩酸塩、キトサン塩酸塩等の高分子カチオンなどが使用でき、好ましくは塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、より好ましくは塩化ナトリウムである。混合する電解質の量は、該懸濁液中のコーティング基剤固形分100に対し、通常2〜50重量%、好ましくは3〜35重量%である。 電解質の混合の方法は特に制限されないが、懸濁液に電解質を固体のまま1回で又は数回に分けて混合してもよいし、電解質を水に溶解した溶解液を1回で又は数回に分けて懸濁液に混合してもよい。 また、コーティング基剤懸濁液には、必要に応じて、電解質以外の他の成分を添加することもできる。このような成分としては、コーティング膜の可塑剤となりうるエチレングリコール、ポリエチレングリコールなど;界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム等);水可溶性の有機酸等の添加剤;水不溶性の有機酸(例えば微細化したもの);クエン酸トリエチル、トリアセチンなどのエステル;タルク、軽質無水ケイ酸等の静電気防止剤などが挙げられる。 懸濁液と電解質を混合した後、必要に応じて撹拌をする。電解質が混合されると、コーティング基剤が凝集し沈殿する。適当な固−液分離方法(例えばろ過、遠心分離)で混合物から沈殿を分離し、必要に応じて沈殿を1回又は数回水洗し、得られる沈殿を必要に応じて乾燥し、適当な方法で粉末化することによって本発明のコーティング用粉末が得られる。沈殿を乾燥して粉末化する方法としては凍結乾燥、噴霧乾燥法、超臨界液体などが挙げられ、好ましくは凍結乾燥である。なお、粉末を必要に応じて分級し、粒子径を整えることができる。 このようにして得られる本発明のコーティング用粉末はコーティング製剤のコーティングに湿式法、乾式法を問わず利用でき、コーティングの条件に応じて任意にその平均粒子径を設定できるが、乾式コーティングの場合、通常50nm〜500μm、好ましくは70nm〜63μmである。また、湿式コーティングの場合、通常50nm〜100μm、好ましくは70nm〜63μmである。好ましいコーティング用粉末は、アクリル系高分子、セルロース系高分子である。 本発明のコーティング製剤は本発明のコーティング用粉末を含有する。コーティング製剤全量に対するコーティング用粉末の含有量は特に制限されないが、通常5〜66重量%、好ましくは15〜40重量%である。 また、本発明のコーティング製剤は核粒子にコーティング用粉末をコーティングしたものも包含する。核粒子はコーティング操作によって劣化や型くずれを起こすものでなければとくに制限されず目的に応じて適宜選択可能である。核粒子の平均粒子径は特に制限されないが、通常30〜1000μm好ましくは50〜500μmである。 核粒子は薬物であっても、担体と薬物の混合物であっても良いし、担体表面を薬物で覆った粒子でも良い。核粒子は、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、トローチ剤などの固形製剤が挙げられる。該固形製剤は、速放性製剤および放出持続型製剤(徐放性製剤)などの放出制御型製剤であってもよい。また、該固形製剤は、製剤分野において慣用の添加剤を含有していてよく、また、公知の方法にしたがって製造することができる。該添加剤としては、例えば賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、pH調整剤、界面活性剤、徐放化剤、安定化剤、酸味料、香料、流動化剤などが挙げられる。これら添加剤は、製剤分野において慣用の量が用いられる。 賦形剤としては、例えばトウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギデンプン、コメデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、有孔デンプン等のデンプン類;乳糖、果糖、ブドウ糖、D−マンニトール、ソルビトール等の糖・糖アルコール類:無水リン酸カルシウム、結晶セルロース、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウムなどが挙げられる。 崩壊剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ等が用いられる。該崩壊剤の使用量は、固形製剤100重量部に対して、好ましくは0.5〜25重量部、さらに好ましくは1〜15重量部である。 結合剤としては、例えば結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム末などが挙げられる。該結合剤の使用量は、固形製剤100重量部に対して、好ましくは0.1〜50重量部、さらに好ましくは0.5〜40重量部である。 滑沢剤の好適な例としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、蔗糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウムなどが挙げられる。 着色剤としては、例えば食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号などの食用色素、食用レーキ色素、三二酸化鉄などが挙げられる。pH調整剤としては、クエン酸塩、リン酸塩、炭酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、酢酸塩、アミノ酸塩などが挙げられる。 界面活性剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールなどが挙げられる。 安定化剤としては、例えばトコフェロール、エデト酸四ナトリウム、ニコチン酸アミド、シクロデキストリン類などが挙げられる。 酸味料としては、例えばアスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などが挙げられる。 香料としては、例えばメントール、ハッカ油、レモン油、バニリンなどが挙げられる。 流動化剤としては、例えば軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素などが挙げられる。 上記した添加剤は、2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。 薬物としては、中枢神経系用薬(アスピリン、インドメタシン、イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナックナトリウム、塩酸メクロフェノキサート、クロルプロマジン、トルメチンナトリウム、塩酸ミルナシプラン、フェノバルビタール等)、末梢神経系用薬(エトミドリン、塩酸トルペリゾン、臭化エチルピペタナート、臭化メチルベナクチジウム、フロプロピオン等)、循環器官用薬(アミノフィリン、塩酸エチレフリン、塩酸ジルチアゼム、ジギトキシン、カプトプリル等)、呼吸器官用薬(塩酸エフェドリン、塩酸クロルプレナリン、クエン酸オキセラジン、クロペラスチン、クロモグリク酸ナトリウム等)、消化器官用薬(塩化ベルベリン、塩酸ロペラミド、シメチジン、塩酸ラニチジン、ファモチジン等)、冠血管拡張薬(ニフェジピン、ニカルジピン、ベラパミル等)、ビタミン剤(アスコルビン酸、塩酸チアミン、パントテン酸カルシウム、酪酸リボフラビン等)、代謝性製剤(メシル酸カモスタット、ミゾリビン、塩化リゾチーム等)、アレルギー用薬(塩酸シプロヘプタジン、塩酸ジフェンヒドラミン、酒石酸アリメマジン、トシル酸スプラタスト、マレイン酸ジフェンヒドラミン等)、化学療法剤(アシクロビル、エノキサシン、オフロキサシン、ピペミド酸三水和物、レボフロキサシン等)、抗生物質(エリスロマイシン、塩酸セフカペンピボキシル、セフテラムピボキシル、セフポドキシムプロキセチル、セファクロル、セファレキシン、クラリスロマイシン、ロキタマイシンなどが挙げられる。 乾式コーティング製剤を製造する場合、有機脂肪酸(ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸など)、有機脂肪酸のエステル誘導体、高級アルコール(セチルアルコール、ステアリルアルコールなど)、グリセリン脂肪酸エステル(グリセリルモノステアレートなど)、ポリエチレングリコール類(マクロゴール6000など)などのワックス様物質の少なくとも1種を使用することが好ましい。これらの物質は乾式コーティングにおいてバインダー(乾式バインダー)のような働きをし、コーティング用粉末によるコーティングをより容易にする。したがって、乾式コーティング製剤の核粒子としては賦形剤等の芯物質の表面にこれら物質の少なくとも1種から形成されたコーティング層を有する核粒子が好ましく。芯物質の表面に乾式バインダーの少なくとも1種から形成されたコーティング層を有し、該コーティング層の表面に薬物を含有するコーティング層を有する構造の粒子がより好ましい。このような乾式バインダーの使用量は芯物質に対し、通常5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。乾式バインダーの平均粒子径は通常2μm〜100μm、好ましくは2μm〜50μmである。 さらに、本発明のコーティング用粉末にタルク、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、軟質無水ケイ酸などの凝集防止剤を加えると 乾式コーティング時の静電気付着を防止しコーティング操作時間を短縮する効果がある。凝集防止剤の使用量はコーティング用粉末重量に対して通常5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%である。 本発明の乾式コーティング製剤は、例えば以下のようにして製造される。上記のような賦形剤等の芯物質及び乾式バインダーを、例えば図1に示す混合室を有する高速楕円ローター型混合機(例えばシータコンポーザ;徳寿工作所製)に投入すると、高速で回転する内側のローターと外側のベッスル(混合容器)との間隙(例えば約1mm)を芯物質が通過する際に瞬間的に高温となりこのとき乾式バインダーが溶融し芯物質表面がバインダーによりコーティングされる。コーティングされず残った物質を除去し、混合機内に薬物を投入し混合すると薬物が表面に存在する核粒子が製造される。コーティングされず残った物質を除去し、混合機内に本発明のコーティング用粉末を投入し混合すると、本発明の乾式コーティング製剤が製造される。なお、この例では乾式バインダーの次に薬物を投入しているが、両者同時に投入してもよい。また、コーティングは1回でも数回に分けてもよい。また、乾式コーティングは上記の高速楕円ローター型混合機以外にも遠心回転型混合機(メカノミル)、ハイブリダイザーなどによって可能である。なお、高速楕円ローター型混合機により得られる製剤に熱処理を加えることによって、より安定した製剤が得られる。この熱処理は通常20〜60℃で、好ましくは30〜50℃である。これは、乾式バインダーとコーティング用粉末との結合がより強化されると推測される。 なお、核粒子は湿式によって製造されたものであっても良い。例えば、薬物とヒドロキシプロピルセルロース(HPC;日曹社製)を含む溶液のスプレーコーティング、HPC水溶液をスプレーしながら微細化した薬物粉体を散布する方法で得られる粒子に乾式バインダーを乾式コーティングすることにより、本発明の乾式コーティング製剤が得られる。 次に、本発明のコーティング用粉末による湿式コーティング製剤の製造を説明する。コーティング法としては、それ自体公知の方法、例えばパンコーティング法、流動コーティング法等が用いられる。また、湿式コーティングに使用されるコーティング用粉末分散液の溶媒も公知のものが使用できる。コーティング用粉末の平均粒子径などの条件もコーティング方法に応じて適宜設定される。 上記のようにして得られた本発明のコーティング製剤は散剤、細剤、顆粒剤、錠剤、カプセル充填剤などとして使用することができる。コーティング製剤の平均粒子径は剤型等に応じて適宜設定できるが、通常50μm〜1100μm、好ましくは60μm〜500μmである。 本発明のコーティング用粉末は溶出特性に優れ、また水溶性物質のコーティングも可能である。さらに、該粉末は乾式コーティングにおけるコーティングにおいて優れたコーティング性を示すため、従来の乾式コーティング用ポリマーと比較して乾式コーティングが容易かつ効率的になる。 以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。 製造例1EA/MMA/HEMA(モル比6:12:9)懸濁液の製造EA/MMA/HEMA(エチルアクリレート−メチルメタアクリレート−2−ヒドロキシエチルメタアクリレートコポリマー)のラテックスを福本らの文献(Chem.Pharm.Bull., 36(8): 3070-3078(1988))に基づき乳化重合法により製造した。乳化剤として、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を、重合開始剤として、過硫酸アンモニウム(APS)を用いた。各モノマーの合計重量が433gとなるようにEA、MMA及びHEMA モノマー混合液(モノマー組成比は6EA:12MMA:9HEMA)を調製した。上記のごとく調製したモノマー混合液の150gを0.3w/v%SDS水溶液1300mLに加えホモミキサーをもちいて5分間乳化した。得られた乳化物を撹拌機、還流冷却器、モノマー滴下ビュレット、窒素導入管及び重合開始剤投入口を備えた内容量2Lの丸底5頸セパラブルフラスコ(恒温水槽(80℃))に投入し、乳化物を窒素気流下で泡立たない程度に撹拌した。ここに、重合開始剤水溶液(2g/30mL;6.7w/v%APS水溶液)を1mL添加して重合を開始しその30分後から残りのモノマー混合液を約3時間かけて滴下した。モノマー混合液を滴下終了した後、追加の重合開始剤水溶液(1mL)を30分毎に2時間添加して反応させ、次いで反応液を冷却し反応を停止させた。 得られたラテックス懸濁液を5日間、セルロースチューブによる透析に供し、反応液中の未反応物質及び水溶性物質を除去して精製した。得られたラテックス粒子の平均粒子径(Zetasizer3000HS(Malvern Instrument Ltd. Malvern,UK)にて測定)は94.7nmであった。 実施例1EA/MMA/HEMA(6:12:9)コーティング用粉末の製造 製造例1で得られたEA/MMA/HEMAのラテックス懸濁液50mL(固形分濃度;20w/v%)を室温下撹拌しながら、40mLの蒸留水を加えて希釈した。その後6w/v%NaCl水溶液1.5mLを添加した後、40mLの蒸留水を加えた。この操作を4回繰り返した後10分間撹拌しラテックスを二次凝集させた。 二次凝集させた沈降物を吸引濾過し、150mLの蒸留水を用いて濾過ケーキを10分間再分散洗浄する操作を2回実施して、脱塩を行った。得られた濃縮スラリーを300mLナス型コルベンに入れ凍結(−40℃)して凍結乾燥(20時間)をおこなった。以上のようにしてコーティング用粉末を得た(以下、P/FDと称することがある)。なお、以下の実施例におけるコーティング製剤の製造において、コーティング用粉末はこの乾燥粉末を目のあらさが63μmのふるいで分級したものを使用した。 この粉末の外観写真(SEM;キーエンス社製)を図2上段に示す。 比較例1 製造例1で得られたEA/MMA/HEMAのラテックス懸濁液50mL(固形分濃度;20w/v%)に蒸留水70mL加えて希釈した後、300mLナス型コルベンに入れ凍結(−40℃)して凍結乾燥(20時間)することにより凍結乾燥粉末(以下FDと称することがある)を得た。実施例1と同様に分級することにより塩化ナトリウム処理していないEA/MMA/HEMA粉末を得た。この粉末の外観写真を図2下段に示す。この写真から明らかなように、塩化ナトリウム処理した実施例1の粉末はラテックスの粒子形状を維持して乾燥粉末化しているのに対して、塩化ナトリウム処理を行わずに凍結乾燥した比較例1の粉末は、ラテックス粒子が強く凍結癒着していた。 実施例2アクリル系高分子コーティング用粉末の製造 オイドラギットL30 D-55(アクリル系腸溶性コーティング懸濁剤;固形分濃度30w/w%;デグサジャパン社製)50mLに50mLの蒸留水を加えて希釈し、この希釈液に6w/v%NaCl水溶液1.5mLの添加と蒸留水40mLの添加を10回繰り返して二次凝集物を生成させた。この液を後遠心分離(1000rpmで10分)して得られた凝集沈降物を実施例1と同様の条件で凍結乾燥、粉末化、分級することによりコーティング用粉末を得た。 比較例2 別にラテックスの二次凝集操作をせずに凍結乾燥、分級をしてアクリル系高分子粉末を得た。すなわち、30mLのオイドラギットL30D-55に蒸留水90mLを加えて希釈し、この希釈液を凍結乾燥して、分級を行いアクリル系高分子粉末を得た。 実施例3P/FDを用いた乾式コーティング製剤の製造 乾式コーティング製剤の製造は非特許文献1に記載の方法に準じて行った。結晶性セルロース粒子(セルフィア103;旭化成社製を分級して177−210μmの粒子径を有するもの)を核粒子とした。ラウリン酸(LA)は、ハンマーミル(不二パウダ社製)にて粉砕した後、63μm以下に分級したものを用いた。薬効成分として、水溶性薬物であるカルバゾクロムスルホン酸ナトリウム(CCSS)を遊星ボールミル(Pulverisette-7, Fritsch,ドイツ)にて90分粉砕後63μm以下に分級して用いた。平均粒子径(レーザー散乱式粒子径測定装置;LDSA-2400A、東日コンピュ−タアプリケーション)はLA;21.3μm、CCSS;5.4μmである。 核粒子にLAのコーティングを行った。コーティングには楕円式高速撹拌混合機(シータコンポーザ;徳寿工作所)を使用した。この混合機の装置混合部の概略図を図1に示す。核粒子25gとLA3gをローターと容器間の内容物投入部に仕込み、ベッスルの回転速度を20rpmに設定し、ローターの回転速度を500rpm(2分)、1000prm(3分)、2000rpm(5分)、3000rpm(5分)の順に操作し、せん断力を増加させた。次いで、ベッスルの回転速度を30rpmに上げて70分間コーティングを行った。その結果、LAのコーティング率86.3%で内容物回収率は98.9%、平均粒子径は207μmであった。 次に得られたLAをコーティングした粒子の25gと、3gのLAを混合機に投入し、先のコーティングと同様にして2次コーティングを行った。得られた造粒物(以下、LA造粒物と称することがある)のLA含量は18.4w/w%、平均粒子径は219μmであった。なお、LA含量は55℃のエタノールで造粒物中のLAを溶解させた後、冷却、遠心分離をしてエタノール溶液に溶解したLAを100℃で乾固し、その重量からLA含量を求めた。 次に、LA造粒物にCCSSのコーティングを行った。LA造粒物25gと3gのCCSSを上記混合機に仕込み、ベッスルの回転速度を20rpmに設定し、ローター回転速度を500rpm(2分)、1000rpm(3分)、1500rpm(5分)、2000rpm(75分)の順に操作し、造粒物(以下、CCSS造粒物と称することがある)を得た。CCSS造粒物のコーティング率は92.2%内容物回収率は99.7%、CCSS含量は9.87w/w%、平均粒子径は226μmであった。なおCCSS含量は55℃の蒸留でCCSSを抽出してフィルターろ過(0.45μm)後、吸光度(363nm)を測定して求めた。 次に、CCSS造粒物をコーティング用粉末でコートした。CCSS造粒物25gと実施例1で得た3gのP/FDを上記混合機に投入し、ベッスル回転速度を20rpmに設定し、ローター回転速度を500rpm(2分)、1000rpm(3分)、2000rpm(5分)、3000rpm(5分)の順に操作した後、ベッスル回転速度を30rpmに操作して15分間コーティングを行った。次に、得られた造粒物の3gをサンプリングし、3gのFDとともに上記混合機に投入し、2回目のコーティング操作を最後の15分間のコーティング時間を10分間とした以外は1回目と同様の条件で行い、造粒物を得た。2回目のコーティングと同様にして同様にして3回目、4回目のコーティングも行った。コーティング率を表1に示す。 比較例3FDを用いた乾式コーティング製剤の製造 実施例3と同様にしてCCSS造粒物を製造した。この造粒物に、P/FDの代わりにFDを使用し、混合機を下記条件で操作した以外は実施例3と同様にしてコーティングを行った。1回目のコーティングはベッスル回転速度を20rpmに設定し、ローター回転速度を500rpm(2分)、1000rpm(3分)、2000rpm(5分)、3000rpm(5分)の順に操作した後、ベッスル回転速度を30rpmに操作して90分間コーティングを行った。その結果FDポリマーのコーティング率は74.7%であった。 次に、得られた造粒物の3gをサンプリングし、3gのFDとともに上記混合機に投入し、2回目のコーティング操作を1回目と同様の条件で行い、造粒物を得た。このコーティング操作では、コーティング率は17.3%であった。さらに3gのサンプリングを行って2回目のコーティングと同様にして3回目のコーティングを行ったところ、コーティング率は13%であった。コーティング率を表2に示す。 製造例2モノマー組成比の異なるEA/MMA/HEMA懸濁液の製造 モノマー組成比が6EA:12MMA:9HEMAであるモノマー混合液に代えてモノマー組成比が6EA:12MMA:4HEMAであるモノマー混合液、6EA:12MMA:8HEMAであるモノマー混合液又は6EA:12MMA:12HEMAであるモノマー混合液を使用した以外は製造例1と同様にしてモノマー組成比(6:12:4、6:12:8、6:12:12)の異なる3種類のEA/MMA/HEMAラテックス懸濁液を製造した。 実施例4モノマー組成比の異なるEA/MMA/HEMAコーティング用粉末の製造 製造例1で得られたEA/MMA/HEMAのラテックス懸濁液の代わりに製造例2で得られた3種類のEA/MMA/HEMAのラテックス懸濁液を使用した以外は実施例1と同様にしてモノマー組成比(6:12:4、6:12:8、6:12:12)の異なる3種類のEA/MMA/HEMAコーティング用粉末を製造した。 実施例5P/FDを用いた乾式コーティング製剤の製造 結晶性セルロース核粒子(セルフィア103;旭化成社製を105−177μmに分級したものを核粒子とし、表3に示す条件でLA、CCSSのコーティングを行った以外は実施例3と同様にしてCCSS造粒物を得た。このCCSS造粒物に、実施例1及び4で得られたコーティング用粉末を表3に示す条件でコーティングした以外は実施例3と同様にしてコーティング製剤を製造した。なお、表3においてスラッシュ「/」を用いて示された数値は、左から順に、ベッスル回転速度(rpm)/ローター回転速度(rpm)/時間(分)を示す。 実施例6アクリル系高分子コーティング用粉末(P/FD)を用いた乾式コーティング製剤の製造 実施例3と同様の方法でCCSS造粒物を製造した。このCCSS造粒物12.5g、実施例2で得られたアクリル系高分子コーティング用粉末1.5g、タルク0.3gを上記混合機に投入し、ベッスル回転速度を20rpmに設定し、ローター回転速度を500rpm(2分)、1000rpm(3分)、2000rpm(5分)、3000rpm(5分)の順に操作した後、ベッスル回転速度を30rpmに操作して80分間コーティングを行った。得られた造粒物12.5gと、実施例2で得られたコーティング用粉末1.5g、タルク0.3gを上記混合機に投入し、1度目のコーティング時と同じ回転速度及び時間で2度目のコーティングを行った。2度目のコーティングと同様にして3度目のコーティングを行った。 比較例4アクリル系高分子粉末(FD用いた乾式コーティング製剤の製造 実施例2で得られたアクリル系高分子コーティング用粉末に代えて比較例2で得られたアクリル系高分子粉末を使用した以外は実施例7と同様にして乾式コーティング製剤の製造を試みたところ、混合機内壁面にアクリル系高分子粉末が付着し、コーティング製剤を製造することはできなかった。 実施例7マンニトールを核粒子とする乾式コーティング製剤の製造 マンニトール粒子(ノンパレル108;フロイント社製;平均粒子径200μm)を核粒子とした。実施例3と同様にしてCCSS造粒物を製造した。 次に、CCSS造粒物をコーティング用粉末でコートした。CCSS造粒物12.5gと実施例1で得た1.5gのP/FDを上記混合機に投入し、ベッスル回転速度を20rpmに設定し、ローター回転速度を500rpm(2分)、1000rpm(3分)、2000rpm(5分)、3000rpm(70分)に操作してコーティングを行った。 次に、得られた造粒物の12.5gをサンプリングし、実施例1のP/FDの1.5gとともに上記混合機に投入し、2回目のコーティング操作を1回目と同様の条件で行った。同様の操作をさらに3回行いコーティング粉末含有量38.4%の造粒物を得た。 実施例8パルミチン酸を用いた乾式コーティング製剤の製造 核粒子に粒子径177−210μmのセルフィアを使用し、LAに代えてパルミチン酸を使用し実施例3と同様にしてCCSS造粒物を製造した。このCCSS造粒物5.5g、実施例4で得られたコーティング用粉末(6EA/12MMA/4HEMA)の1.0g、タルクの0.15gを上記混合機に投入し、ベッスル回転速度を20rpmに設定し、ローター回転速度を500rpm(2分)、1000rpm(3分)、1500rpm(5分)、2000rpm(20分)に操作してコーティングを行った。次に、得られた造粒物の5.5gをサンプリングし、1回目と同じコーティング操作を行った。さらに、得られた造粒物の5.5gをサンプリングし1回目と同じコーティング操作を行った。得られたコーティング製剤は、CCSS造粒物重量を100としたときのコーティング粉末含有量(以下コーティング皮膜量とする)が29%であった。 実施例9セタノールを用いた乾式コーティング製剤の製造 核粒子に粒子径177−210μmのセルフィアを使用し、LAに代えてセタノールを使用し実施例3と同様にしてCCSS造粒物を製造した。このCCSS造粒物8g、実施例1で得られたコーティング用粉末(6EA/12MMA/9HEMA)1.2gを上記混合機に投入し、ベッスル回転速度を20rpmに設定し、ローター回転速度を500rpm(2分)、1000rpm(3分)、2000rpm(5分)、3000rpm(5分)の順に操作した後、ベッスル回転速度を30rpmに操作して50分間コーティングを行った。次に、得られた造粒物の8gをサンプリングし、1回目と同じコーティング操作を行った。得られたコーティング製剤は、CCSS造粒物重量を100としたときのコーティング粉末含有量が17.8重量%であった。 試験例1乾式コーティング製剤(6:12:9)の溶出特性 実施例3で製造した乾式コーティング製剤(6EA/12MMA/9HEMA)のうち、1回コーティング製剤(P1;コーティング皮膜量11%)、2回コーティング製剤(P2;コーティング皮膜量21%)、3回コーティング製剤(P3;コーティング皮膜量29%)、4回コーティング製剤(P4;コーティング皮膜量36%)を、各々、1重量%の軟質無水ケイ酸(Aerosil#200、日本アエロジル社製)を混合した後、60℃で12時間加熱しキャアリングした。すなわち、製剤をサンプル瓶にとり、アエロジルをくわえて、手で振り混ぜて混合した。装置はミニジェットオーブンで60℃に加温し、約5分間に5回サンプルを振り混ぜて製剤間の付着を防止しその後静置した、加熱終了後、サンプルを手で振りながら冷却(付着防止のため)した。その後、63μmの篩いを備えたエアージェット(Alpine 200LS)でエアーシーブして軽質無水ケイ酸を除いた。得られた製剤を、日本薬局方第2法(パドル法、100rpm)の溶出試験に供した。溶出試験液には蒸留水900mLを使用した。薬効成分であるCCSSの濃度は吸光度(363nm)から求めた。溶出試験結果を図3に示した。コーティング量が増加するに伴ってCCSSの溶出速度が減少した。このことから、コーティング量の変更によって溶出速度を制御可能であることが示された。 試験例2乾式コーティング製剤(6:12:4)の溶出特性 実施例5で製造した乾式コーティング製剤(6EA/12MMA/4HEMA)のうち、1回コーティング製剤(L4P1;コーティング皮膜量10%)、2回コーティング製剤(L4P2;コーティング皮膜量20%)、3回コーティング製剤(L4P2.5;コーティング皮膜量26%)、4回コーティング製剤(L4P3;コーティング皮膜量30%)を、各々、1重量%の軽質無水ケイ酸(Aerosil#200、日本アエロジル社製)を混合した後、試験例1と同様にして60℃で12時間加熱しキャアリングした。得られた製剤の溶出試験を試験例1と同様にして行い、溶出試験結果を図4に示した。コーティング量が増加するに伴ってCCSSの溶出速度が減少した。このことから、コーティング量の変更によって溶出速度を制御可能であることが示された。 試験例3乾式コーティング製剤(アクリル系高分子コーティング)の溶出特性 実施例6で製造したアクリル系高分子コーティング用粉末乾式コーティング製剤(;コーティング皮膜量36%)と1重量%の軽質無水ケイ酸(Aerosil#200、日本アエロジル社製)を混合した後、試験例1と同様にして60℃で12時間加熱しキャアリングした。得られた製剤を、日本薬局方第1液(pH1.2)、第2液(pH6.8)による溶出試験に供した。溶出試験結果を図5に示した。試験されたコーティング製剤は耐酸性を有し、第2液により速やかに溶出した。 試験例4核粒子がマンニトールである乾式コーティング製剤の溶出特性 実施例7で製造したマンニトールを核粒子とするコーティング製剤のうち、3回目コーティング製剤(MP3;コーティング皮膜量25%)、4回目コーティング製剤(MP4;コーティング皮膜量33%)、5回目コーティング製剤(MP5;コーティング皮膜量38%)を、各々、1重量%の軽質無水ケイ酸(Aerosil#200、日本アエロジル社製)を混合した後、試験例1と同様にして60℃で12時間加熱しキャアリングした。得られた製剤の溶出試験を試験例1と同様にして行い、溶出試験結果を図6に示した。核粒子に水溶性の強いマンニトールを使用しているため試験例1の場合に比較して溶出しやすいことが分かる。この場合にも皮膜量に伴ってCCSSの溶出速度が制御できることが示された。 本発明のコーティング用粉末はコーティング製剤の製造における湿式コーティング及び乾式コーティングに有用である。特に乾式コーティングにおいて本発明のコーティング用粉末を使用すると、核粒子に対する付着性が高く、コーティングが容易になり、コーティングに要する時間も短縮できる。楕円式高速撹拌混合機の装置原理を模式的に示す図である。実施例1にて製造されたEA/MMA/HEMA(6:12:9)コーティング用粉末のSEM写真(上段)及び比較例1にて製造されたEA/MMA/HEMA粉末のSEM写真(下段)である。試験例1(乾式コーティング製剤(6:12:9))の溶出試験結果を示すグラフである。縦軸はCCSS溶出量を表し、横軸は溶出時間を表す。試験例2(乾式コーティング製剤(6:12:4))の溶出試験結果を示すグラフである。縦軸はCCSS溶出量を表し、横軸は溶出時間を表す。試験例3(アクリル系高分子コーティング製剤)の溶出試験結果を表すグラフである。縦軸はCCSS溶出量を表し、横軸は溶出時間を表す。試験例4(核粒子がマンニトールである乾式コーティング製剤)の溶出試験結果を示すグラフである。縦軸はCCSS溶出量を表し、横軸は溶出時間を表す。コーティング基剤懸濁液に電解質を混合して凝集物を採取するコーティング用粉末の製造方法。電解質が塩化ナトリウムである請求項1に記載の製造方法。コーティング基剤懸濁液中のコーティング基剤の固形分が10〜35w/v%であり、電解質の混合量が該固形分重量に対し2〜50重量%である請求項1又は2に記載の製造方法。請求項1〜3のいずれかの製造方法により製造されるコーティング用粉末。請求項4に記載のコーティング用粉末を含有するコーティング製剤。乾式コーティング用バインダーを含有する請求項5に記載のコーティング製剤。請求項4に記載のコーティング用粉末によりコーティングされたコーティング製剤。請求項4に記載のコーティング剤により乾式コーティングされたコーティング製剤。乾式コーティングが楕円型混合機によるコーティングである請求項8に記載のコーティング製剤。 【課題】 乾式コーティング製剤の製造においてコーティングが容易なコーティング用の粉末、該コーティング用粉末の製造方法、薬物の溶出の制御が容易なコーティング製剤の提供。【解決手段】コーティング基剤懸濁液(例えばアクリル系コーティング基剤、HE/MMA/HEMAコポリマー)に電解質(例えばNaCl)を混合して凝集物を採取することにより得られるコーティング用粉末、該コーティング用粉末によりコーティング(例えば楕円型混合機によるコーティング)されたコーティング製剤。【選択図】なし


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