タイトル: | 再公表特許(A1)_アスコルビン酸2−グルコシドを有効成分とする褐変抑制剤とこれを利用する褐変抑制方法 |
出願番号: | 2005014994 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | A23L 3/3544,A23L 3/3562,A23L 2/44,A23L 2/38,A23L 2/00,A61K 8/60,A61K 47/26 |
久保田 倫夫 福嶋 英樹 三宅 俊雄 JP WO2006022174 20060302 JP2005014994 20050817 アスコルビン酸2−グルコシドを有効成分とする褐変抑制剤とこれを利用する褐変抑制方法 株式会社林原生物化学研究所 000155908 久保田 倫夫 福嶋 英樹 三宅 俊雄 JP 2004243850 20040824 A23L 3/3544 20060101AFI20080414BHJP A23L 3/3562 20060101ALI20080414BHJP A23L 2/44 20060101ALI20080414BHJP A23L 2/38 20060101ALI20080414BHJP A23L 2/00 20060101ALI20080414BHJP A61K 8/60 20060101ALI20080414BHJP A61K 47/26 20060101ALI20080414BHJP JPA23L3/3544 501A23L3/3562A23L2/00 PA23L2/38 PA23L2/38 ZA23L2/00 BA61K8/60A61K47/26 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW 再公表特許(A1) 20080508 2006531819 22 4B017 4B021 4C076 4C083 4B017LC01 4B017LK11 4B017LK18 4B021MC07 4B021MC08 4B021MK26 4B021MK28 4C076AA36 4C076BB01 4C076CC22 4C076DD69S 4C076FF36 4C076FF51 4C083AA122 4C083AC022 4C083AC072 4C083AC112 4C083AC122 4C083AC172 4C083AC242 4C083AC302 4C083AC352 4C083AC422 4C083AC842 4C083AD132 4C083AD392 4C083AD641 4C083AD642 4C083BB47 4C083CC05 4C083EE01 4C083EE03 本発明は、アスコルビン酸にグルコースがα−1,2結合で結合したα−D−グルコピラノシル−(1→2)−L−アスコルビン酸(以下、「アスコルビン酸2−グルコシド」という。)を有効成分とする褐変抑制剤、及び、当該褐変抑制剤を組成物に配合せしめ、アスコルビン酸2−グルコシドを低減させ、組成物の褐変を抑制することを特徴とする褐変抑制方法に関する。 アスコルビン酸は、ビタミンCとしての機能を有すると共に、その強い還元性、抗酸化性を利用して、他の酸化されやすい物質や組成物を酸化から保護し、褐変や分解を抑制する目的でも利用されている。しかしながら、アスコルビン酸は、吸湿した状態や水溶液状態では、それ自体の酸化や分解によって褐変することが知られている。また、アスコルビン酸は、アミノ酸、ペプチド、タンパク質などとメイラード性の反応を起こしやすく、このメイラード反応によって著しく褐変したり、場合によっては異臭が発生することも知られている。アスコルビン酸を含有した飲食品や、ドリンク剤は既に市販されているものの、それらは、他の抗酸化剤を併用して着色や異臭の発生を抑制したり、着色料などを添加して商品を着色したり、香料を添加するなどしてアスコルビン酸による褐変や異臭の発生が商品の品質に致命的な影響を与えないようにされている。また、タンパク質などメイラード反応を起こしやすい物質を含有する飲食品やドリンク剤などの場合には、アスコルビン酸を配合すると、その保存時などに褐変や異臭が発生し、商品としての価値が失われ易い。これを防ぐために、アスコルビン酸自体の褐変抑制方法も提案されている(たとえば、特許第3016835号公報及び特開平8−256744号公報参照)。また、これらとは別に、本出願人は、還元性を持たない安定な、ビタミンC誘導体のアスコルビン酸2−グルコシドとこれを含有する組成物を開示した(例えば、特許第2832848号公報参照)。 このような状況下、飲料やドリンク剤などをはじめとする水分を含有する食品などの組成物に、それ自身がビタミンC機能を有すると共に、着色料や着香料などを添加する必要がないか、若しくは、その添加量を低減することができる、褐変抑制剤の実現が期待される。 本発明の課題は、ビタミンCの生理機能を有すると共に、組成物の褐変抑制機能を有する褐変抑制剤の確立とこれを使用する組成物の褐変抑制方法を提供し、ひいては組成物の保存安定性を向上することにある。 本発明者等は、上記課題を解決するために、組成物の褐変抑制剤の確立をめざして、アスコルビン酸の誘導体に着目して鋭意研究してきた。その結果、意外にも、それ自体は、還元性を示さず、抗酸化力を有さないものの、分解すれば、アスコルビン酸と同様に褐変を生じると考えられてきたアスコルビン酸2−グルコシドは、アスコルビン酸の場合と異なり、水分を含有する組成物に配合せしめ、アスコルビン酸2−グルコシドを、漸次かつ持続的に低減せしめることにより、当該組成物の褐変を抑制する優れた機能を発揮すると共に、異臭を発生することもないことを見出して本発明を完成した。即ち、本発明は、アスコルビン酸2−グルコシドを有効成分とする褐変抑制剤、及び、これを、水分を含有する組成物に配合せしめる、組成物の褐変抑制方法を提供することによって上記課題を解決するものである。 本発明によれば、保存中に褐変や異臭の発生が抑制され、品質の保持された飲食品、化粧品、医薬部外品、医薬品、飼料、餌料、ペットフードなどの組成物を製造することができる。また、このアスコルビン酸2−グルコシドを配合した組成物は、経口的・非経口的に摂取したり、皮膚に塗布したり、注射などにより生体に投与すると、アスコルビン酸2−グルコシドが、生体内のα−グルコシダーゼで分解を受け、アスコルビン酸とグルコースに変換されるので、安全性の点でも優れた褐変抑制剤である。 本発明でいう水分を有する組成物とは、水分を含有する液状、半固状又は固状の組成物、例えば、飲食品、化粧品、医薬部外品、医薬品、飼料、餌料、ペットフード、雑貨、日用品などであって、ヒトや動物が、経口的又は非経口的に摂取するものや皮膚に直接使用するものをいい、注射などにより非経口的に投与されるものも含む。 本発明で使用する褐変抑制剤のアスコルビン酸2−グルコシドは、その由来や製法に制限はなく、発酵法、酵素法、有機合成法等により製造されたものでもよいし、市販されているアスコルビン酸2−グルコシドを購入して使用することも随意である。例えば、特許文献3に開示されているように、アスコルビン酸とデキストリン等の澱粉質との混合溶液に、サイクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ等のα−グリコシル糖転移酵素を作用させて、アスコルビン酸を配糖化したもの、これを部分精製して、或いは、これを、さらに、イオン交換樹脂などを使用して精製し、共存するアスコルビン酸やデキストリンを除去して、アスコルビン酸にグルコースが等モル以上結合したアスコルビン酸2−グルコシドを含むアスコルビン酸2−グリコシドの純度を上げたものを使用することも随意である。さらに、このアスコルビン酸2−グルコシドを含むアスコルビン酸2−グリコシドを含有する組成物にグルコアミラーゼ等を作用させて、共存するアスコルビン酸1分子に対してグルコースが2分子以上結合したアスコルビン酸2−グリコシドのグルコースを切断し、これを精製して、アスコルビン酸1分子にグルコースが1分子結合したアスコルビン酸2−グルコシドの含量をさらに高くしたものは、その分解物からの、褐変や異臭の原因物質の混在が少ないことから、特に望ましい。本発明の褐変抑制剤は、固形物換算で、アスコルビン酸2−グルコシドを、望ましくは90質量%(以下、本明細書では特に断らない限り、「質量%」を単に「%」と表記する。)以上含有しているものが使用され、95%以上のものがさら望ましく、97%以上のものが特に望ましい。また、化粧品、医薬部外品や医薬品のように、ビタミンをはじめとするアスコルビン酸との反応性の高い有効成分を高濃度に含有するものや、アミノ酸やタンパク質などのメイラード反応を起こしやすい成分を含有する飲食品の場合には、アスコルビン酸2−グルコシドの純度が98%以上の結晶品が特に望ましい。 本発明の褐変抑制剤の組成物への配合量については、褐変抑制効果を発揮できる量であれば、対象となる組成物のテクスチャー、味、香りなどに大きな変化を及ぼさない限り、特に制限はなく、通常は、組成物100質量部に対して、アスコルビン酸2−グルコシドをアスコルビン酸に換算して、通常、約0.0001質量部以上配合したものが適しており、望ましくは約0.001質量部乃至10質量部配合したものが適しており、さらに望ましくは、約0.04質量部乃至5質量部配合したものが好適である。組成物100質量部に対して10質量部以上配合しても、褐変抑制効果に差異はなく、逆に、アスコルビン酸2−グルコシドの酸味やアスコルビン酸2−グルコシドを中和する目的で配合するpH調整剤に由来する不快味等が組成物の風味等に影響を与える場合がある。なお、アスコルビン酸2−グルコシドの組成物への配合目的が、該組成物の褐変抑制に加えて、例えば、ビタミン剤などのようなビタミンC成分の強化のためや、アスコルビン酸2−グルコシドの持つ酸味を利用する場合などには、その配合量に上限はなく、それぞれの目的の量や味となるようにアスコルビン酸2−グルコシドの配合量を適宜選択することができる。 本発明で使用する褐変抑制剤の形態は、それの単剤であってもよく、また、必要ならば、分散性を高めたり、希釈するなど、その使用目的に応じて、さらに、グルコース、マルトースなどの還元性糖質、α,α−トレハロース、α−グルコシルα,α−トレハロースやα−マルトシルα,α−トレハロースをはじめとするα,α−トレハロースの糖質誘導体、環状四糖、サイクロデキストリンなどの非還元性糖質、キシリトール、マルチトールなどの糖アルコール、高甘味度甘味料、ガム類やムコ多糖類をはじめとする水溶性高分子類、無機酸、有機酸、塩類、乳化剤、ビタミンE、エリソルビン酸、カテキン類、クロロゲン酸、フラボノイドやこれらの誘導体、カルニチンを含むアミノ酸類、アデノシンやそのリン酸化物、α−リポ酸、コエンザイムQ10(CoQ10)から選ばれる1種又は2種以上と併用することも随意である。さらに必要であれば、公知の着色料、着香料、保存料、酸味料、旨味料、甘味料、安定剤、増量剤、アルコール類、水溶性高分子、キレート剤、酸化防止剤、褐変防止剤、異味・異臭の防止剤などの1種又は2種以上を適量併用することができる。なかでも、マルチトール、α,α−トレハロース及び/又はα,α−トレハロースの糖質誘導体は、アスコルビン酸2−グルコシドの酸味や刺激味を改善する作用を有しているので、特に有利に併用することができる。 本発明の褐変抑制剤は、アスコルビン酸2−グルコシドが分解しない状態でも強い褐変抑制作用を示し、この作用は、アスコルビン酸2−グルコシドを、漸次かつ持続的に低減せしめることにより、さらに増強される。また、本発明の褐変抑制剤は、ビタミンE、カテキン類、フラボノイド類やこれらの誘導体などの抗酸化作用の強い成分の1種又は2種以上と併用することにより、組成物の褐変や異臭の発生をより効果的に抑制することができる。中でも、ルチン、ヘスペリジン、ナリンジンやこれらの糖転移物の1種又は2種以上を組み合わせると、強い抗酸化作用による褐変や異臭の発生抑制効果に加えて、本発明の組成物に、ビタミンP機能を付加できることから、特に有利に利用することができる。 本発明において、組成物に含有せしめる褐変抑制剤は、その形状を問わず、例えば、シラップ、マスキット、ペースト、粉末、固状、顆粒、錠剤などの何れの形状であってもよく、そのままで、又は、必要に応じて、増量剤、賦形剤、結合剤などと混合して、顆粒、球状、短棒状、板状、立方体、錠剤など各種形状に成型して使用することも随意である。 本発明の褐変抑制剤は、目的の組成物が完成するまでの工程で、或いは、完成品に対して、含有せしめればよく、その具体的な方法としては、例えば、混和、混捏、溶解、融解、分散、懸濁、乳化、浸透、晶出、散布、塗布、付着、噴霧、被覆(コーティング)、注入、浸漬、固化、逆ミセル化などの1種又は2種以上の公知の方法の組み合わせが適宜に選ばれる。 また、本発明の褐変抑制方法は、褐変を抑制した高品質の、例えば、調味料類、甘味料類、和菓子類、洋菓子類、パン類、スナック類、農産品、畜産品、水産品やこれらの加工品、これらの冷凍品、冷蔵品、チルド品、レトルト品、乾燥品、凍結乾燥品、レンジ食品、更には、清涼飲料やアルコール飲料などの飲食品をはじめとする組成物の製造に有利に利用できる。特に、本発明は、水分を含有する組成物のpHが中性付近よりも低い、望ましくはpH7.5以下、さらに望ましくはpH6.5以下、とりわけpH5以下の条件にある組成物の製造に有利に利用できる。なお、本発明でいう組成物のpHとは、飲料のような溶液状の形態の場合のみでなく、水分を含有する固状、粉末などの形態の場合には、配合したアスコルビン酸2−グルコシドが低減しうる局所でのpHを意味する場合もある。また、本発明は、褐変を抑制した高品質の、例えば、飼料、餌料、ペットフード、さらには、嗜好品、基礎化粧品やメークアップ化粧品をはじめとする化粧品や医薬部外品、錠剤、液剤、シラップ、軟膏、栄養剤、注射液、点眼液、輸液、透析液、灌流液、臓器保存液をはじめとする医薬品などの製造にも有利に利用することができる。 さらに、本発明の褐変抑制剤は、上記組成物に配合することにより、その褐変を抑制することができるだけでなく、その冷凍・冷蔵耐性を増強するので、例えば、本発明の褐変抑制剤を配合した水産品や畜産品をはじめとする飲食品の冷凍・冷蔵する際の保存安定性を向上することできる。また、本発明の褐変抑制剤は、水産製品や畜肉製品などに配合すると、これらの褐変を抑制するだけでなく、これらに含まれるミオグロビンの酸化に伴う変色(メト化)や甲殻類の冷凍・解凍により発生する黒化などの変色を抑制し、さらには、これらの冷凍品を解凍する際に発生するドリップも抑制することができるので、これら水産品や畜肉品やこれらの加工品の鮮度を長期間保持することができる。 以下、実験により本発明を詳細に説明する。<実験1:アスコルビン酸2−グルコシド水溶液の安定性と非褐変性> アスコルビン酸2−グルコシド(試薬級、株式会社林原生物化学研究所販売)を、最終濃度2%になるように水に溶解し、それぞれのpHを3.0、4.0、4.5、5.0、又は、7.0になるように、1M水酸化ナトリウム水溶液で調整し、試料を調製した。対照として、アスコルビン酸(試薬特級)を、最終濃度2%になるように水に溶解し、それぞれのpHを3.0、4.0、4.5、5.0、又は、7.0になるように、1M水酸化ナトリウム水溶液で調整した。試験試料或いは対照のそれぞれの水溶液を別々にガラス製チューブに入れ、密栓し、それらを25℃で24ヶ月まで保存した。保存、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月及び24ヶ月の試験試料中のアスコルビン酸2−グルコシド量を高速液体クロマトグラフィー法(以下、「HPLC」と略記する。)で測定し、同様の方法で対照のアスコルビン酸量を測定した。また、試験試料及び対照の吸光度(波長420nm)を、光路1cmのガラス製セルを用いて測定して、褐変度とした。保存した各試験試料中のアスコルビン酸2−グルコシド量を、保存開始時のアスコルビン酸2−グルコシド量で除し、100倍して、アスコルビン酸2−グルコシドの残存率(%)を求めて表1に示した。同様に対照のアスコルビン酸の残存率(%)を求めて表1に示した。また、試験試料及び対照の褐変度を表2に示す。なお、HPLCは、カラムに『STR ODS−II』(信和化工株式会社製造)を用い、溶離液に0.02Mリン酸二水素ナトリウム水溶液(pH2.0)を用いて、カラム温度40℃、流速0.5ml/分の条件で行ない、検出は紫外・可視吸光度検出計SPD−10A VP(株式会社島津製作所製造)を用いて行なった。 表1から明らかなように、アスコルビン酸2−グルコシドは、アスコルビン酸と比較して、安定でありその低減の程度は少ないものの、保存期間の延長と共に、その残存量に低減傾向が認められる。とりわけ、pH5以下の条件では、アスコルビン酸2−グルコシドは、対照のアスコルビン酸のそれに近づいていくことがわかった。また、表2から明らかなように、pH7.0の条件では、対照のアスコルビン酸が保存1ヶ月目で既に褐変が起こっており、褐変度は経時的に増加することがわかり、その増加はアスコルビン酸の分解とともに起こることが判明した。一方、本発明のアスコルビン酸2−グルコシドは、保存24ヶ月目まで、pH3.0乃至7.0では褐変はほとんど認められず、pH5.0及び7.0の条件では、アスコルビン酸2−グルコシドが比較的安定で、その低減による褐変がないと推察され、pH5.0以下、望ましくはpH4.5以下の条件では、アスコルビン酸2−グルコシドは、アスコルビン酸と異なって、それ自体が漸次かつ持続的に低減することにより、褐変が抑制されることが判明した。なお、対照として使用したアスコルビン酸の含量の測定に使用した方法により、pH3.0で24ヶ月間保存したアスコルビン酸2−グルコシド水溶液中のアスコルビン酸濃度を測定したところ、遊離のアスコルビン酸は全く検出されなかった。<実験2:アスコルビン酸2−グルコシドを配合した炭酸飲料の褐変抑制> 水100g当り、アスコルビン酸2−グルコシド(試薬級、株式会社林原生物化学研究所販売)を0.192g(アスコルビン酸として0.1gに相当)、二酸化炭素を0.66g、果糖ブドウ糖液糖を13.8g、無水クエン酸を0.08g、及び、サイダーフレーバーを0.1g含有する溶液(pH2.7)をガラス製容器に詰め、密栓して、本発明の炭酸飲料を調製し、これを40℃で8週間保存した。対照として、アスコルビン酸2−グルコシドの代わりに、アスコルビン酸を0.1g含有すること以外、同じ組成の溶液(pH2.8)を同様にガラス製容器に詰め、密栓して、保存した。保存後、実験1と同様の測定方法及び計算方法により、本発明の炭酸飲料中のアスコルビン酸2−グルコシド量、及び、対照の炭酸飲料中のアスコルビン酸量を測定し、各々の炭酸飲料中のアスコルビン酸2−グルコシド或いはアスコルビン酸の残存率(%)を求めてその経時変化を表3に示した。また、本発明及び対照の炭酸飲料の褐変度を、実験1と同様の方法で測定してその経時変化を表4に示した。 表3から明らかなように、本発明の炭酸飲料中のアスコルビン酸2−グルコシド量は、対照の炭酸飲料中のアスコルビン酸とほぼ同様に、その残存率が低下することがわかった。また、表4から明らかなように、対照の炭酸飲料では保存2週目で既に褐変が起こっており、その後も、褐変度は経時的に増加し、その増加はアスコルビン酸の分解とともに起こることが判明した。一方、本発明の炭酸飲料の場合には、保存8週目まで褐変はほとんど認められず、アスコルビン酸2−グルコシドはアスコルビン酸と同様にその量が低減するものの、アスコルビン酸とは違って、アスコルビン酸2−グルコシドは、それ自体が、漸次かつ持続的に低減することにより、炭酸飲料の褐変を抑制し続けることが判明した。なお、対照の炭酸飲料中のアスコルビン酸量の測定に使用した方法により、8週間間保存した本発明の炭酸飲料中のアスコルビン酸量を測定したところ、遊離のアスコルビン酸は全く検出されなかった。<実験3:アスコルビン酸2−グルコシドを配合した乳性飲料の褐変抑制> 水100g当り、アスコルビン酸2−グルコシド(試薬級、株式会社林原生物化学研究所販売)を、0.0000192g、0.000192g、0.00192g、0.0768g又は0.192g(アスコルビン酸として0.00001g、0.0001g、0.001g、0.04g又は0.1gに相当)、スクロースを11g、脱脂粉乳を0.23g、無水クエン酸を0.15g、及び、ヨーグルトフレーバーを0.1g含有する溶液(pH3.2)をペットボトルに詰め、密栓して、本発明の乳性飲料を調製し、これを40℃で3ヶ月間保存した。対照として、アスコルビン酸2−グルコシドの代わりに、アスコルビン酸を0.04g又は0.1g含有すること以外、同じ組成の溶液(pH3.3)を同様にペットボトルに詰め、密栓して、保存した。また、アスコルビン酸2−グルコシド又はアスコルビン酸を含有しないこと以外、同じ組成の溶液(pH3.3)を無添加溶液として同様にペットボトルに詰め、密栓して、保存した。保存後、実験1と同様の測定方法及び計算方法により、本発明の乳性飲料中のアスコルビン酸2−グルコシドの残存率(%)、及び、対照の乳性飲料中のアスコルビン酸の残存率(%)を求めた。また、本発明の乳性飲料5mlに、1M水酸化ナトリウム溶液を加え、すばやく攪拌して濁性物質を溶解後、光路1cmのガラス製セルを用いて吸光度(波長420nm及び700nm)を測定し、その褐変度を次式:{(アスコルビン酸2−グルコシド又はアスコルビン酸を添加した乳性飲料の420nmの吸光度)−(アスコルビン酸2−グルコシド又はアスコルビン酸を添加した乳性飲料の700nmの吸光度)}−{(無添加溶液の420nmの吸光度)−(無添加溶液の700nmの吸光度)}により求めた。本発明の乳性飲料の場合と同様の測定方法及び計算方法により、対照の乳性飲料の褐変度を求めた。本発明の乳性飲料の調製時及び保存後1ヶ月、2ヶ月及び3ヶ月のアスコルビン酸2−グルコシドの残存率(%)、及び、対照の乳性飲料のアスコルビン酸の残存率(%)の経時変化を表5に、また、本発明のアスコルビン酸2−グルコシドを添加した乳性飲料及び対照のアスコルビン酸を添加した乳性飲料の褐変度の経時変化を表6に示す。 表5から明らかなように、本発明の乳性飲料中のアスコルビン酸2−グルコシドは、対照の乳性飲料中のアスコルビン酸とは異なり、調製時に於ける低減はほとんど無いことがわかった。また、対照のアスコルビン酸0.04g添加した乳性飲料の場合、保存1ヶ月で既にその含量が26%にまで著しく低下していた。また、表6から明らかなように、対照の乳性飲料中のアスコルビン酸が調製時において、乳性物質と反応して著しく褐変し、さらに、保存1ヶ月でその褐変が増加することが判明した。一方、アスコルビン酸2−グルコシドを0.0768又は0.192g(アスコルビン酸に換算して0.04g又は0.1gに相当)を添加した乳性飲料の場合は、調製時のみならず保存3ヶ月後も褐変はほとんど認められなかった。また、乳性飲料に、アスコルビン酸2−グルコシドを0.00192g(アスコルビン酸に換算して0.001gに相当)添加した場合には保存後3ヶ月目に、0.000192g(アスコルビン酸に換算して0.0001gに相当)添加した場合には保存後2ヶ月目から、それぞれ弱い褐変が観察され、0.0000192g(アスコルビン酸に換算して0.00001gに相当)添加した場合には、保存後1ヶ月目で褐変が観察され、褐変の抑制は認められなかった。アスコルビン酸2−グルコシドの場合は、アスコルビン酸の場合とは異なって、低減の程度が弱いものの、それ自体が、漸次かつ持続的に低減することにより、濃度依存的に乳性飲料の褐変を抑制することが判明した。なお、対照の乳性飲料中のアスコルビン酸量の測定に使用した方法により、本発明の乳性飲料中の遊離のアスコルビン酸量を測定したところ、アスコルビン酸は全く検出されなかった。<実験4:アスコルビン酸2−グルコシドを配合したパントテン酸カルシウムの褐変抑制> パントテン酸カルシウム(以下、「パントテン酸Ca」と略記する場合がある。)自体は安定であるものの、アスコルビン酸などの他のビタミンと配合すると著しくその分解が促進され、同時に、配合したアスコルビン酸などの他のビタミンもその分解が促進され、褐変や焦げ臭のような異臭が発生することが知られている。そこで、パントテン酸Caの分解に及ぼすアスコルビン酸2−グルコシドの影響を調べる実験を以下のように行った。即ち、表7に示す配合になるようにアスコルビン酸2−グルコシド(株式会社林原商事販売、商品名「アスコフレッシュ」)とパントテン酸Caとを含有する錠剤を調製した(配合1)。また、対照として、アスコルビン酸2−グルコシドに代えてアスコルビン酸を使用したもの(配合2)、アスコルビン酸2−グルコシド、アスコルビン酸或いはパントテン酸Caの何れか一種を配合したものを使用して錠剤を調製した(配合3〜配合5)。また、これらの配合1〜配合5の錠剤は、何れも、含水結晶α,α−トレハロース(株式会社林原商事販売、商品名「トレハ」)、ショ糖エステル(三菱化学フーヅ株式会社販売、商品名「リョートーシュガーエステルS−370F」)を配合した。なお、配合1及び配合3のアスコルビン酸2−グルコシドの配合量は、アスコルビン酸に換算して配合2及び配合4のアスコルビン酸量に相当する量となるようにした。各々の配合のものを乳鉢で均質にすりつぶし、これを打錠圧150kg/cm2で30秒間打錠して、1g/錠の錠剤を調製した。これらの錠剤を、55℃、相対湿度68%の条件で2週間保存し、試験開始時と比較した場合の、褐変(着色)の有無の目視による確認と、異臭の発生の有無の確認とを行い、その結果を表7にまとめた。 表7から明らかなよう、アスコルビン酸とパントテン酸Caを配合した錠剤(配合2)は、濃い褐変(着色)が認められ、異臭(焦げ臭)も発生したのに対して、アスコルビン酸2−グルコシドとパントテン酸Caとを配合した錠剤(配合1)では、薄い褐変が認められた程度で、異臭の発生はなかった。また、アスコルビン酸2−グルコシド(配合3)、アスコルビン酸(配合4)、或いはパントテン酸Ca(配合5)の何れかのみを配合した錠剤においては、褐変も異臭の発生も認められなかった。 このように、実験1乃至4の結果から、アスコルビン酸2−グルコシドを、飲食品をはじめとする組成物に、組成物100質量部に対して、アスコルビン酸2−グルコシドを、アスコルビン酸に換算して、0.0001質量部以上、好ましくは0.001質量部以上、さらに望ましくは約0.04質量部以上配合し、その一部を、漸次かつ持続的に低減せしめることにより、組成物の褐変や異臭の発生を抑制し、ひいてはその品質の低下の防止に有利に利用できると判断した。 以下、実施例を挙げて更に詳しく本発明について説明するが、本発明がこれら実施例に限定を受けないことはいうまでもない。<実施例1:褐変抑制剤> アスコルビン酸2−グルコシド(株式会社林原生物化学研究所販売、商品名「AA2G」)19質量部、炭酸ナトリウム5質量部、含水結晶α,α−トレハロース(株式会社林原商事販売、商品名「トレハ」)75質量部を均質に混合し、粉末状の褐変抑制剤を調製した。本品は、飲食品をはじめとする組成物の褐変抑制剤として有利に使用することができる。また、本品は、α,α−トレハロースを含有しているので、組成物に配合した場合には、アスコルビン酸2−グルコシドの酸味や刺激味が抑制されるので、アスコルビン酸2−グルコシドの添加による組成物本来の風味に与える影響を低減することができる。<実施例2:褐変抑制剤> アスコルビン酸2−グルコシド(株式会社林原生物化学研究所販売、商品名「AA2G」)19質量部、炭酸カリウム5質量部を水200質量部に溶解し、これにシラップ状のα,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質(株式会社林原商事販売、商品名「ハローデックス」)70質量部を溶解し、常法により噴霧乾燥して、粉末状の褐変抑制剤を調製した。本品は、飲食品等の組成物の褐変抑制剤として有利に使用することができる。また、本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、組成物に配合した場合には、アスコルビン酸2−グルコシドの酸味や刺激味が抑制されるので、アスコルビン酸2−グルコシドの添加による組成物本来の風味に与える影響を低減することができる。<実施例3:褐変抑制剤> アスコルビン酸2−グルコシド(株式会社林原生物化学研究所販売、商品名「AA2G」)19質量部、無水結晶マルチトール(株式会社林原商事販売、商品名「結晶マビット」)70質量部、糖転移ヘスペリジン(株式会社林原商事販売、商品名「αGヘスペリジン」)を均質に混合し、粉末状の褐変抑制剤を調製した。本品は、飲食品をはじめとする組成物の褐変抑制剤として有利に使用することができる。また、本品は、マルチトールを含有しているので、組成物に配合した場合には、アスコルビン酸2−グルコシドの酸味や刺激味が抑制されるので、アスコルビン酸2−グルコシドの添加による組成物本来の風味に与える影響を低減することができる。<実施例4:牛乳> 生鮮牛乳98.5質量部に対して実施例1の方法で得た褐変抑制剤1質量部、糖転移ルチン(株式会社林原商事販売、商品名「αGルチン」)0.5質量部を溶解して牛乳を調製した。本品は、加温して、褐変や異臭の発生も無く、ミルクの好ましい味や香りをよく保持しており、そのままで、或いは、乳飲料や乳性飲料の原料として有利に利用できる。<実施例5:乳含有酸性飲料> ショ糖45000質量部を水26500質量部に溶解した後、アスコルビン酸2−グルコシド(株式会社林原生物化学研究所販売、商品名「AA2G」)100質量部、0.5%コリカルシフェロール粉末0.5質量部、糖転移ルチン(株式会社林原商事販売、商品名「αGルチン」)5質量部を加え、これに、牛乳10000質量部、濃縮ミカン果汁(3倍濃縮品)17000質量部、クエン酸1500質量部、オレンジ香料100質量部を加え、80℃で5分間殺菌し、濃縮タイプの乳含有果汁飲料を調製した。本品は、長期間保存しても、褐変や異臭の発生もなく、また、瓶に詰めて日のあたる場所で保存しても、退色や日光臭の発生が抑制され、好ましい風味が保持される飲料である。<実施例6:豆乳> 日本産大豆を1.5倍量の水に5℃で20時間浸漬後、加水しつつグラインダーを用いて破砕し、呉を調製し、この3質量部に対してタンパク質分解酵素剤(ノボザイム・ジャパン株式会社販売、商品名「フレーバーザイム1000L」)0.018質量部を加え、40℃で6時間反応させた。反応後の呉を、pH8.8に調整し、直火にかけて90℃以上で3分間保持し、その後、スクリューデカンターを用いて、呉を搾った。この呉を搾った液95質量部に対して、実施例2の方法で得た褐変抑制剤6質量部を加えて、豆乳を調製した。本品は、長期間保存しても、褐変や異臭の発生が抑制され、豆乳本来の及び/又は豆乳をタンパク分解酵素処理する際に発生する生臭みや苦味が低減された、風味のよい豆乳である。本品は、そのままで飲料として、或いは、豆腐をはじめとする、加工品の原料として有利に利用できる。また、本品は、γ−アミノ酪酸(GABA)が豊富に含有されていることから、血圧降下などを目的とする、健康食品の原料としても好適である。<実施例7:野菜ジュース> ケール、ブロッコリー、パセリ、セロリ、ニンジンのスライスを混合したものを95℃で20分間ブランチングし、これに、クエン酸1%、実施例2の方法で得た褐変抑制剤を5%、アスコルビン酸を0.2%、糖転移ルチン(株式会社林原商事販売、商品名「αGルチン」)を0.5%となるように添加した後、破砕して野菜汁を得た。本品は、長期間保存しても、褐変、退色や異臭の発生もなく、野菜特有のえぐみや青臭さの抑制された、適度の酸味を有する飲みやすい野菜ジュースである。<実施例8:野菜ジュース入り錠剤> 実施例7の方法で得た野菜ジュースを3倍に濃縮し、常法により噴霧乾燥して野菜ジュース粉末を調製した。この粉末に、適量のビタミンB1、ビタミンB2、パントテン酸Caの粉末を撹拌混合し、これを打錠機にて打錠し、野菜ジュースの錠剤を調製した。本品は、褐変、退色や吸湿もなく、異臭の発生もない飲みやすい錠剤である。<実施例9:亜鉛補給剤> マルチトール121質量部、含水結晶α,α−トレハロース20質量部、亜鉛酵母2.4質量部(亜鉛として0.24質量部)、アスコルビン酸2−グルコシド(株式会社林原商事販売、商品名「アスコフレッシュ」)34質量部、ショ糖エステル10質量部、グレープフルーツ・ライムの香料4質量部、糖転移ルチン(林原商事販売、商品名「αGルチン」)2質量部、牡蠣殻カルシウム2質量部、糖転移ヘスペリジン(林原商事販売、商品名「αGヘスペリジン」)1質量部、クエン酸・リンゴ酸・酒石酸混合物1質量部を均質に混合し、常法により、600mg/錠となるように打錠して、亜鉛補給剤を製造した。本品は、長期間保存しても、褐変、退色や吸湿もなく、異臭の発生もない飲みやすい錠剤である。<実施例10:マンネンタケ加工食品> レイシ(ロッカクレイシ)末(株式会社林原生物化学研究所販売、商品名「林原鹿角霊芝草」)50質量部、ガラナ末(株式会社林原生物化学研究所製造)25質量部、含水結晶α,α−トレハロース150(株式会社林原商事、商品名「トレハ」)150質量部、アスコルビン酸2−グルコシド(株式会社林原生物化学研究所販売、商品名「AA2G」)17.5質量部、ショ糖脂肪酸エステル2質量部を均質に混合し、常法により、250mg/錠となるように打錠して、マンネンタケ加工食品を製造した。本品は、長期間保存しても、褐変、退色や吸湿もなく、異臭の発生もない飲みやすい錠剤である。<実施例11:ローヤルゼリー含有食品> レイシ(ロッカクレイシ)末(株式会社林原生物化学研究所販売、商品名「林原鹿角霊芝草」)50質量部、ローヤルゼリー粉末(株式会社林原生物化学研究所製造)25質量部、含水結晶α,α−トレハロース150(株式会社林原商事、商品名「トレハ」)150質量部、アスコルビン酸2−グルコシド(株式会社林原生物化学研究所販売、商品名「AA2G」)17.5質量部、ショ糖脂肪酸エステル2質量部を均質に混合し、常法により、250mg/錠となるように打錠して、ローヤルゼリー含有食品を製造した。本品は、長期間保存しても、褐変、退色や吸湿もなく、異臭の発生もない飲みやすい錠剤である。<実施例12:粉末ペプチド> 40%食用大豆ペプチド溶液(不二製油株式会社販売、商品名「ハイニュートS」)1質量部、実施例2の方法で得た褐変抑制剤2質量部を混合し、50℃で減圧乾燥し、粉砕して粉末ペプチドを得た。本品は、長期間保存しても、褐変、退色や吸湿もなく、異臭の発生もないペプチド粉末であり、プレミツクス、冷菓などの製菓用材料としてのみでなく、スポーツ飲料、健康食品、離乳食を始めとする飲食品や、治療用の栄養剤の材料としても有利に利用できる。<実施例13:粉末卵黄> 生卵から調製した卵黄を、プレート式加熱殺菌機を用いて60〜64℃で殺菌し、得られる液状卵黄100質量部と実施例1の方法で得た褐変抑制剤5質量部を混合して、噴霧乾燥した後、粉末化して粉末卵黄を得た。本品は、長期間保存しても、褐変、退色や吸湿もなく、異臭の発生もない粉末卵黄であり、プレミツクス、冷菓などの製菓用材料としてのみでなく、離乳食、治療用を始めとする栄養剤の材料としても有利に利用できる。<実施例14:果汁入り炭酸飲料> 水95質量部、果糖ブドウ糖液糖を10質量部、グレープフルーツ果汁4質量部、アスコルビン酸2−グルコシド(株式会社林原生物化学研究所販売、商品名「AA2G」)2質量部を混合し、二酸化炭素0.8質量部を吹き込み、炭酸飲料(pH2.7)を調製した。本品は、長期間保存しても、褐変や、異臭の発生もない美味しい炭酸飲料である。<実施例15:ミネラル含有飲料> 砂糖30質量部、キサンタンガム4.64質量部、ローカストビーンガム4.0質量部、タラガム3.4質量部、サイリュウムシードガム1.7質量部、アスコルビン酸2−グルコシド(株式会社林原商事販売、商品名「アスコフレッシュ」)50質量部、塩化ナトリウム1.2質量部、クエン酸(結晶)1.2質量部、クエン酸ナトリウム0.12質量部、塩化カリウム0.12質量部、乳酸カルシウム0.19質量部、硫酸マグネシウム0.01質量部、スクラロース0.05質量部、香料0.01質量部、及び、シラップ状のα,α−トレハロース含有糖質(株式会社林原商事販売、商品名「ハローデックス」)50質量部を均一に混合した。この混合物8質量部を水92質量部に溶解し、ゲル状のミネラル飲料を調製した。本品は、長期間保存しても、褐変や異臭の発生も無く、ミネラル自体が示す苦味が低減され、砂糖やスクラロースの後味も改善されているので、嗜好性が改善された、風味のよい飲料である。本品は、アルミラミネートのチュアブル容器などに入れて、スポーツ時のミネラルや水分補給剤として有利に利用できる。また、本品は、ゲル状であることから、水のように誤って気管に入ることも少なく、嚥下が困難な病者、老人、子供向けの水分補給、ミネラル補給剤としても好適である。<実施例16:ヨーグルト> 市販の無糖ヨーグルト95質量部に対して実施例2の方法で得た褐変抑制剤4質量部、糖転移ヘスペリジン(株式会社林原商事販売、商品名「αGヘスペリジン」)1質量部を添加して、ヨーグルトを調製した。本品は、長期間保存しても、褐変や異臭の発生もなく、風味もよい、美味しいヨーグルトである。<実施例17:梅果汁飲料> 混合エキス(梅果汁、松葉エキス、クマ笹エキスをそれぞれ、53%、3%、2.5%含有)115質量部、水飴266質量部、異性化糖100質量部、糖転移ステビア6質量部、アスコルビン酸2−グルコシド3質量部、糖転移ルチン(株式会社林原商事販売、商品名「αGルチン」)5質量部、ペクチン2質量部、カラメル色素0.35質量部、香料0.02質量部、水を混合して全量を1000質量部とし、これを膜でろ過して除菌し、500ml容のガラス瓶に充填して梅果汁飲料を調製した。本品は、長期間保存しても、過度の褐変もなく、濁りや異臭の発生もなく、風味もよい、美味しい梅果汁飲料である。<実施例18:栄養ドリンク> アミノ酸混合物として、イソロイシン4質量部、ロイシン6質量部、リジン8質量部、フェニルアラニン8質量部、チロシン1質量部、トリプトファン12質量部、バリン8質量部、アスパラギン酸1質量部、セリン1質量部、アミノ酢酸8質量部、アラニン8質量部、ヒスチジン2質量部、アルギニン8質量部、スレオニン2質量部、メチオニン1質量部の混合物を調製し、水に溶解して1%溶液を調製し、これにリンゴ果汁を2%と実施例1の方法で得た褐変抑制剤2質量部を添加した栄養ドリンクを調製した。本品は、長期間保存しても、褐変や異臭の発生もなく、アミノ酸自体が示す苦味が低減され、嗜好性が改善された、風味のよい栄養ドリンクである。<実施例19:緑茶飲料> 緑茶(煎茶)3質量部を熱水180質量部に浸出し、この浸出液に、アスコルビン酸2−グルコシド(株式会社林原商事販売、商品名「アスコフレッシュ」)、α−グルコシルルチン(株式会社林原商事販売、商品名「αGルチン」)、α,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質(株式会社林原商事販売、商品名「ハローデックス」)、カテキン、アミノ酸混合物(リジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン酸、プロリンを、8:5:5:1.5:0.5の割合で含有)を、各々、濃度0.005%(w/v)、0.01%(w/v)、0.7%(w/v)、0.06%(w/v)及び0.001%(w/v)となるように添加して溶解し、次いで、500ml容プラスチック製透明ボトルに充填し、殺菌して、ボトル入り茶飲料を調製した。本品は、長期間保存しても、褐変や異臭の発生もなく、また、α,α−トレハロースの糖質誘導体が、カテキンの渋味やアミノ酸の不快味を抑制することから、飲みやすい、風味の良い茶飲料である。<実施例20:錠菓> 含水結晶α,α−トレハロース49質量部、アスコルビン酸2−グルコシド0.9質量部、糖転移ヘスペリジン(東洋精糖株式会社販売、商品名「αグルコシルヘスペリジンPS」)0.1質量部を均一に混合し、0.5gずつ打錠して錠菓を調製した。本品は、長期間保存しても、褐変や異臭の発生のない錠菓である。<実施例21:マグロの赤身> 適量の水に、アスコルビン酸2−グルコシド(株式会社林原商事販売、商品名「アスコフレッシュ」)0.5質量部、食塩1.2質量部、粉末マルチトール1.5質量部、プルラン0.01質量部、グレープ種子抽出物(インディナ社製、商品名「ロイコシアニジン」)0.01質量部を加えて攪拌溶解し、炭酸水素ナトリウムでpH7.8に調整後、水を加えて100質量部とし、5℃に冷却した。これに、新鮮なマグロの赤身を短冊状に切ったものを浸漬し、そのまま16時間、5℃の状態に維持した後、これを取り出し、−30℃で急速冷凍した。本品は、冷凍保存での変性や解凍時のドリップも少なく、メト化も抑制されているので、赤身の色も鮮やかで、鮮度がよく保持されており、各種食品の製造原料として好適である。また、本品を、−20℃で2ヶ月間保存後、解凍し、刺身にして試食したところ、新鮮なマグロの赤身から調製した刺身と比較しても、味、色、食感共に遜色のないものであった。<実施例22:抗関節障害剤> 塩化カルシウム2水和物0.05質量部、α,α−トレハロース(株式会社林原商事販売、商品名「トレハ」)1質量部、N−アセチルグルコサミン(焼津水産化学工業株式会社販売、商品名「マリンスィート」)0.5質量部、コンドロイチン4−硫酸(焼津水産化学工業株式会社販売、商品名「ムコテイン」)0.05質量部、実施例2の方法で得た褐変抑制剤4質量を混合して抗関節障害剤を調製した。本品は、長期間保存しても、褐変や異臭の発生もなく、ミネラルが示す苦味が低減され、嗜好性が改善された、摂取しやすい抗関節障害剤である。<実施例23:マルチビタミン剤> パルミチン酸レチノール5質量部、エルゴカルシフェロール5質量部、塩酸フルスルチアミン10質量部、リボフラビン5質量部、塩酸ピリドキシン10質量部、酢酸トコフェロール10質量部、ニコチン酸アミド30質量部、シアノコバラミン0.01質量部、パントテン酸カルシウム40質量、アスコルビン酸2−グルコシド(株式会社林原生物化学研究所販売、商品名「AA2G」)60質量部を撹拌混合し、これの1質量部に対して、含水結晶α,α−トレハロース(株式会社林原商事販売、商品名「トレハ」)24質量部を混合して撹拌し、打錠機にて打錠して、マルチビタミンの錠剤を調製した。本品は、長期間保存後も、吸湿もなく、ビタミン類の酸化や分解も抑制された、褐変や異臭の発生も無いビタミン剤である。<実施例24:化粧用クリーム> モノステアリン酸デカグリセリル1.2質量部、モノミリスチン酸デカグリセリル1.8質量部、ステアリルアルコール0.5質量部、ベヘニルアルコール3質量部、バチルアルコール1質量部、パルミチン酸セチル1質量部、ステアリン酸グリセリル1.8質量部、脂肪酸(C10−30)(コレステリル/ラノステリル)2質量部、パルミチン酸イソプロピル4質量部、スクワラン5質量部、ミリスチン酸オクチルドデシル5質量部、マカデミアンナッツ油0.5質量部、トリオクタノイン1.8質量部、ジメチコン0.3質量部を混合し、これに、ブチレングリコール6質量部、ペンチレングリコール2.5質量部、濃グリセリン12質量部、ポリクオタニウム−51 0.25質量部、クエン酸(1%水溶液)1質量部、アスコルビン酸2−グルコシド(株式会社林原生物化学研究所販売、商品名「AA2G」)2質量部、無水結晶マルチトール3質量部、精製水43.5質量部を混合したものと、グリコシルヘスペリジン(株式会社林原生物化学研究所販売、商品名「アルファグルコシルヘスペリジン」)1質量部を精製水5質量部に溶解したものとを混合して、常法により、クリームを調製した。本品は、長期間保存後も、褐変や異臭の発生も無く、又、環状四糖が、グリコシルヘスペリジンに特有の不快臭を抑制するので、使用感に優れた化粧用のクリームである。<実施例25:外傷治療用軟膏> 実施例1の方法で得た褐変抑制剤200質量部及びマルトース300質量部を混合し、これに、ヨウ素3質量部を溶解したメタノール50質量部を加えて混合し、更に、プルランの10%(W/V)水溶液200質量部を加えて混合し、外傷治療用の軟膏を得た。本品は長期間保存後も、褐変や異臭の発生のない、適度の延びと付着性を有する、使用感に優れた軟膏である。<実施例26:水産養殖用飼料> 市販の配合飼料(日本配合飼料株式会社販売、商品名「せせらぎ」)半製品(水分含量10%)96質量部と実施例2で調製した褐変抑制剤4質量部を均質になるまで混合し、直径約2mm長さ約7mmのペレットを調製した。本品は、アスコルビン酸2−グルコシドが配合されているので、褐変や異臭の発生もなく、長期間品質の保持される水産養殖用の飼料であり、しかも、養殖中に問題となる、魚や甲殻類の黒色化を抑制するための飼料としても使用することができる。 以上説明したとおり、本発明は、組成物に有効成分として、アスコルビン酸2−グルコシドを配合せしめ、漸次かつ持続的に低減せしめて組成物の褐変を抑制する方法であり、併せて、異臭の発生をも抑制できる方法である。しかも、アスコルビン酸2−グルコシドは、経口或いは非経口的に摂取すると、生体内で、ビタミンCの機能を発揮しうる安全な物質あることから、本発明による褐変抑制剤及びこれを使用する褐変抑制方法の利用分野は、飲食品、化粧品、医薬部外品、医薬品、飼料、餌料、ペットフードなど多岐に渡る。本発明は、この様に顕著な作用効果を奏する発明であり、産業上の貢献は誠に大きく、意義のある発明である。 α−D−グルコピラノシル−(1→2)−L−アスコルビン酸を有効成分とする褐変抑制剤。 α−D−グルコピラノシル−(1→2)−L−アスコルビン酸と共に、α,α−トレハロース、マルチトール、α,α−トレハロースの糖質誘導体から選ばれる1種又は2種以上を含有する請求の範囲第1項記載の褐変抑制剤。 組成物にα−D−グルコピラノシル−(1→2)−L−アスコルビン酸を配合せしめ、α−D−グルコピラノシル−(1→2)−L−アスコルビン酸を漸次かつ持続的に低減させ、当該組成物の褐変を抑制することを特徴とする褐変抑制方法。 組成物が、水分を含有する液状、半固状又は固状の何れかであることを特徴とする請求の範囲第3項記載の組成物の褐変抑制方法。 α−D−グルコピラノシル−(1→2)−L−アスコルビン酸を、pH7.5以下の条件で、漸次かつ持続的に低減させることを特徴とする請求の範囲第3項又は第4項記載の組成物の褐変抑制方法。 組成物が、飲食品、化粧品、医薬部外品、医薬品、飼料、餌料又はペットフードの何れかである請求の範囲第3項乃至第5項の何れかに記載の褐変抑制方法。 飲食品が、乳飲料、乳性飲料、酸性飲料及び/又はα−D−グルコピラノシル−(1→2)−L−アスコルビン酸以外のビタミンの何れか1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求の範囲第6項記載の褐変抑制方法。 褐変抑制方法が、組成物の褐変抑制と共に、異臭発生を抑制する方法であることを特徴とする請求の範囲第3項乃至第7項の何れかに記載の褐変抑制方法。 本発明の課題は、組成物の褐変及び/又は異臭の発生を抑制し、その保存性を向上する方法を提供することにあり、組成物に、アスコルビン酸2−グルコシドを有効成分とする褐変抑制剤を配合し、漸次かつ持続的に低減せしめることにより、該組成物の着色及び/又は異臭発生を抑制する方法を提供することにより、上記課題を解決する。