タイトル: | 公開特許公報(A)_超音波式酸素濃度計の計測方法 |
出願番号: | 2005012369 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | G01N 29/02,G01K 11/24,G01N 29/44 |
中川 雅由 上田 敏夫 JP 2006201009 公開特許公報(A) 20060803 2005012369 20050120 超音波式酸素濃度計の計測方法 第一熱研株式会社 593146039 中川 雅由 上田 敏夫 G01N 29/02 20060101AFI20060707BHJP G01K 11/24 20060101ALI20060707BHJP G01N 29/44 20060101ALI20060707BHJP JPG01N29/02G01K11/24G01N29/22 501 3 OL 4 2F056 2G047 2F056VS10 2G047AA01 2G047BC02 2G047BC15 2G047EA10 2G047GG27本発明は、工業用もしくは民生用に用いられる窒素吸着材を用いた酸素濃縮器の製品ガスの酸素濃度測定に用いられるものである。ガス中の超音波伝播速度Vは、[式1]で表されるごとくガスの分子量M、比熱比γ及び絶対温度Tによって決まる。音速及び温度を測定すれば平均分子量が求まる。ガス成分が既知のときは、ガス温度T及び伝播速度Vを測定して平均分子量Mを求め、平均分子量からガス濃度を演算できる。濃度演算式はa,bからなる2種混合気体の場合[式2]のごとくなる。ma及びmbはそれぞれaガス及びbガスの分子量を表す。特開2002−257801解決しようとする問題点は、前記酸素濃縮器出口ガスの窒素不含状態における酸素濃度測定誤差の解消にある。前記酸素濃縮器においては空気を原料とし、窒素を吸着除去するため製品ガスには酸素とアルゴンが共存する。窒素吸着が不十分であれば3成分計のガスになり、アルゴンが酸素に対し一定比率0.0444/1で存在することから演算式は[式3]が適用される。ここでMは平均分子量、mNは窒素の分子量=28、mOは酸素の分子量=32、mAはアルゴンの分子量=40である。また、空気の主たる組成は窒素約78.1%、酸素約21%アルゴン約0.93%であるが、前記酸素濃縮器においては流量低下とともに窒素吸着率が増加して、空気中の全窒素を理想的に吸着した時には、酸素濃度が約95.7%に達する。実用されている装置では、最高酸素濃度到達値は94.0乃至94.5%である。さらに流量を低下させるに従い窒素と体積が近い酸素の吸着が始まり、酸素濃度が低下する現象が現れる。この時平均分子量が増加するので、[式3]ではあたかも酸素濃度が上昇したような結果となり、測定エラーが生じる。本発明は、酸素濃度が最高到達点約94.5%を超えたとき、別の演算式を適用することにより解決する方法を考案した。[式4]は発明者らが理論的に導きだしたものである。酸素濃度94.5%を演算式の切換点とする理由は、窒素の吸着が終わり酸素の吸着が始まったとき、酸素濃縮器出口ガスの組成は、酸素とアルゴンのみとなり、このときの組成は窒素残量が極少量となるため酸素94.5%残りアルゴンとみなすことができ、実用上十分な精度を得ることができるからである。酸素及びアルゴンの2成分系ガスの演算式は[式4]となる。[式3]及び[式4]を超音波式酸素濃度計に適用して酸素濃縮器出口ガスを測定した結果、別のジルコニア式酸素濃度計による測定結果と非常によく一致した。本発明の測定方法により、測定誤差が解消したので従来品に比べ安価な超音波酸素濃度計が酸素濃縮器向けに適用可能となった。酸素濃縮器出口ガス酸素濃度は流量により変化する。また該濃縮器毎に吸着能力に差があるので、流量との酸素濃度の関係に器差がある。そのため濃縮器毎に酸素濃度を測定する必要がある。濃縮器出口ガス流量は使用目的によって異なり、大流量のときは酸素濃度が低くなり、酸素濃度が最も高くなる適正流量があって、さらに流量が下がると再度酸素濃度が低くなる。ガス温度25℃では、超音波の音速は窒素中352m/sec、酸素中で329.3m/sec、アルゴン中では320.9m/secとなる。前記のとおり消費流量が低くなるほど窒素が減少するので、音速が低下することが判る。酸素濃縮器では通常[式3]が用いられるが、[式3]は音速が低下するに従い酸素濃度が高くなることを前提としている。しかし実際は酸素濃度が94.5%に達すると、酸素の吸着が始まり酸素濃度が低下してアルゴン濃度が上昇しはじめ、[式3]では流量低下とともに酸素濃度が94.5%を超え100%以上を示すことになる。この状態の時[式4]で演算を行うことにより、正常な酸素濃度が得られる。設定された流量において補正テーブルにより補正する方法がすでに提案されているが、濃縮器には吸着剤、構造、処理容量、周囲温度等による器差があるので、各濃縮器毎に設定流量を変える必要がある。本発明の方法では、流量如何にかかわらず、もしくは濃縮器容量如何にかかわらず、音速が酸素濃度94.5%に該当する値に達したとき、それ以上の音速に対しては[式3]をそれ以下の音速に対しては[式4]を適用することにより、精度よく酸素濃度を測定できる。本発明の実施例として、酸素94.5%残りアルゴンの標準ガスを用意して、前記超音波式酸素濃度計に導入し、そのときの音速に対応する信号を[式3]で計器搭載マイコンにより演算処理し、94.5%と表示させ演算式切換点としてセットする。次に純窒素ガスを導入して、0%と表示させセットする。上記操作により校正された計器及び校正されたジルコニア式酸素濃度計を用いて、酸素濃縮器出口ガスの流量を変化させ酸素濃度変化を記録した。[表1]、[表2]はその結果を示す。[表1]及び[表2]から本発明の測定方法を用いた超音波酸素濃度計は、機種に関係なく酸素濃縮器出口ガスの酸素濃度測定に適合していることが検証された。尚、前記切換点94.5%は、許容誤差範囲をフルスケールの±1%とすれば、93.5%から95.5%にまで拡大しても十分実用性があり、本特許の請求範囲に含まれるものである。超音波発信子と受信子を対向して配置し、超音波の伝播速度を演算処理することによりガス温度を測定する手段を有した超音波式酸素濃度計において、窒素吸着材を用い、且つ空気を原料とする酸素濃縮器の製品ガス中の酸素濃度を、2個の演算式を用いて精度よく測定することを特徴とする超音波式ガス濃度計の計測方法前記伝播速度を演算処理するにあたり、高伝播速度側及び低伝播速度側に対応するそれぞれ別個の演算式を用い、伝播速度が一定値に達したときに、演算式を切換える手段を有することを特徴とする請求項1記載の超音波式酸素濃度計の計測方法前記2個の演算式が明細書記載の[式3]及び[式4]で示されるものであって、酸素濃度94.5%に該当する伝播速度のとき上記[式3]及び[式4]が切換わることを特徴とする請求項1および2記載の超音波式酸素濃度計の計測方法 【課題】超音波素子を利用した酸素濃度計により、窒素吸着材を用いた酸素濃縮器出口ガスの酸素濃度分析を行うに際し、流量が減少したとき、該濃度計が真値より高い酸素濃度を示す現象を防止する手段を提供する。【解決手段】前記酸素濃縮器は、使用流量が低下して、窒素の吸着が完結すると酸素の吸着が始まるので、酸素濃度が上昇から下降に変化する。この変化点は酸素濃度94.5%に該当する。このときの超音波伝播速度を境にして、2つの異なった演算式を用いることにより、精度良く酸素濃度を分析することを特徴とする超音波式酸素濃度計による酸素濃度測定手段。【選択図】 なし