タイトル: | 公表特許公報(A)_大量失血を被っている患者の処置方法 |
出願番号: | 2004546786 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | A61K 38/16,A61P 1/00,A61P 1/18,A61P 9/00,A61P 13/12 |
グールド、スティーブン、エイ. デウォスキン、リチャード、イー. ダブルデイ、マーク、ディ. ハイデス、ジョージ、エイ. JP 2006502231 公表特許公報(A) 20060119 2004546786 20031003 大量失血を被っている患者の処置方法 ノースフィールド ラボラトリーズ、インコーポレイテッド 505121246 浅村 皓 100066692 浅村 肇 100072040 長沼 暉夫 100088926 池田 幸弘 100102897 グールド、スティーブン、エイ. デウォスキン、リチャード、イー. ダブルデイ、マーク、ディ. ハイデス、ジョージ、エイ. US 60/415,935 20021003 A61K 38/16 20060101AFI20051216BHJP A61P 1/00 20060101ALI20051216BHJP A61P 1/18 20060101ALI20051216BHJP A61P 9/00 20060101ALI20051216BHJP A61P 13/12 20060101ALI20051216BHJP JPA61K37/14A61P1/00A61P1/18A61P9/00A61P13/12 AP(GH,GM,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IT,LU,MC,NL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW US2003031377 20031003 WO2004037279 20040506 28 20050526 4C084 4C084AA02 4C084DC50 4C084MA17 4C084NA14 4C084ZA36 4C084ZA66 4C084ZA81 (関連出願) 本出願は、2002年10月3日付けで出願された米国仮出願出願番号第60/415,935号に優先権を主張するものである。 (発明の背景) (発明の分野) 本発明は、血液または別種の酸素運搬体を必要とする患者の処置にヘモグロビン溶液を使用することに関する。さらに特に、本発明は大量失血を被っている患者にヘモグロビン溶液を投与することに関する。 (関連技術の説明) 下記説明は、カッコ内に数字によって示されている多くの刊行物に関するものである。これらの刊行物の完全な内容は、特許請求の範囲の直前の「引用刊行物」の題名の項に見出すことができる。 損傷および手術において急性の失血からの救命における臨床的事象は総血液容積の回復および組織に対する充分な酸素運搬能力の管理による不適当な酸素供給の回避にある(1,2,3,4)。不適当な容積の置換は、血圧の低下および事故的循環血液量減少ショックを導く。不充分な赤血球置換は臨床レベルの貧血、不可逆性虚血および死を導くことがある(5,6)。 潜在する貧血の生理学的問題点は、充分に理解されている。別段では健康な手術を受ける患者の出血では、赤血球(RBC)ヘモグロビン濃度が5g/dL以下に低下するまで、心臓血管系補償が適当でなければならない(26)。失血が継続し、RBC濃度がさらに低下すると、補償応答が失敗を始める(7,8,29,31)。RBCヘモグロビン濃度が3.5g/dL以下に低下すると、心臓の補償は不適当になり(32,33,34,35)、RBCヘモグロビン濃度が3g/dL以下に低下すると、50〜95%の範囲の死亡率が報告されている(9,10,11,12,13,14,29)。 現在の救命方法は、初期血液量を血液ではない(非血)塩類溶液で置き換え、次いで適合する血液が利用でき、また適当に供給できる場合、赤血球輸注(transfusions)を行うことを包含する(1,2)。現在の処置方法の最終目標は、充分な血液容積を回復させ、60mmHg以上の平均動脈圧を維持し、また米国麻酔学会(American Society of Anesthesiologist)(ASA)に従う充分な赤血球を置換し、6g/dL以上の循環ヘモグロビンレベルを維持するか(7)、またはNational Institutes of Health(NIH)Consensus Conferenceに従い7−10g/dLの循環ヘモグロビンを維持する(8)ことにある。しかしながら、赤血球を一時的に利用できない場合、供給が不適当である場合、または不適合性または宗教上の問題から使用できない場合が存在する。これは緊急の生命を脅かす状況を導くことがあり、≦3g/dLのヘモグロビンレベルについて50〜95%の死亡率が報告されている(9,10,1,12,13,14)。これらの状況で必要とされることは、全血、例えば容積および酸素運搬能力を回復させる溶液の置換である。さらにまた、血液置換に随伴する感染の危険または別の毒性を考慮して、全血を利用できる場合でも、患者は血液容積および酸素運搬能力を回復するための溶液を選択することができる。 本発明以前において、大量出血の患者に対する処置として重合ヘモグロビン溶液を使用する利点は研究されていなかった。米国特許第6,498,141号は5Lまでのヘモグロビン溶液を患者に投与することができることを教示しているが、7g/dLよりも少ない総Hbを有する患者を包含する大量出血を被っている患者に対し重合ヘモグロビン溶液を使用することは示唆していない。輸血を断る人々の場合、5g/dLよりも少ないHbを有するほとんど全部の患者は、極端な手段、例えば血圧低下性麻酔、体温低下および鎮静などを使用しないと死亡するものと報告されている(29)。しかしながら、大量出血に対し非血治療が必要とされているにもかかわらず、血液代用物、例えば酸素運搬性重合ヘモグロビンなどの使用は、このような処置に提案されたことはなかった。 大量で投与することができ、適当な赤血球ヘモグロビンレベル(RBCヘモグロビン濃度)を回復することができるまで、早急の救命治療を提供する別の酸素運搬手段が必要とされている。 (発明の要旨) 一態様において、本発明は失血の結果として赤血球ヘモグロビン(RBC Hb)が失命レベルに損傷している哺乳動物の処置方法を提供する。この方法は、重合ヘモグロビン溶液を哺乳動物に投与することを包含する。 もう一つの態様において、本発明は貧血、不可逆性虚血、または大量失血を被っている患者における循環血液量減少性ショックの予防方法を提供する。この方法は、5.0g/dL以上の総Hbおよび60mmHg以上の動脈圧を維持するのに充分な量の重合ヘモグロビン溶液を患者に投与することを包含する。 さらにもう一つの態様において、本発明は、大量失血を被っている患者において5.0g/dL以上の平均循環Hbレベルを維持する方法を提供する。この方法は、重合ヘモグロビン溶液を患者の血液量の少なくとも1倍量で患者に投与することを包含する。 さらにもう一つの態様において、本発明は、大量失血の結果として、約7g/dL以下のヘモグロビン濃度を有するヒトの処置方法を提供する。この方法は、当該ヒトに重合ヘモグロビン溶液を投与することを包含する。 さらにもう一つの態様において、本発明は大量失血を被っているヒトの救命方法を提供することにある。この方法は重合ヘモグロビン溶液をヒトに投与することによって循環血液量減少性ショックおよびさらに血圧低下を防止することを包含する。 種々の本発明の態様において、本発明のヘモグロビン溶液は、基本的に支質およびその他の夾雑成分を実質的に含有しておらず、テトラマーを含有していない架橋重合ヘモグロビン溶液を包含する非細胞性溶液であることができる。このヘモグロビン溶液は、少なくとも5Lの量で、または患者の血液量の少なくとも1倍量で投与することができる。このヘモグロビン溶液の投与は、5.0g/dLよりも高い平均循環ヘモグロビンレベルおよび60mmHg以上の動脈圧を維持することができる。ヘモグロビン溶液は、少なくとも2単位/分の速度で投与することができ、また血管収縮、ならびに腎臓、膵臓、胃腸器官および心臓の機能不全に関連する毒性を回避することができる。 さらに、この重合ヘモグロビンは、下記の分子量分布を有することができる: (a)約128KDaの分子量を有するポリマーである重合ヘモグロビン約5〜30重量%、 (b)約192KDaの分子量を有するポリマーである重合ヘモグロビン約15〜35重量%、および (c)約256KDaの分子量を有するポリマーである重合ヘモグロビン約35〜75重量%。 (図面の簡単な説明) 本発明の特定の態様は添付図面を引用して説明されている。 (詳細な説明) 本発明をさらに説明する前に、多くの用語について説明する。本明細書で使用されているものとして、不定冠詞(“a”、“an”)および定冠詞(“the”)は、別段の明確な指図がないかぎり、複数を表わす。 本明細書で使用されているものとして、「架橋」(cross-linked)の用語は、分子の形状、大きさ、官能性または物理的特徴を変更するための分子上または分子中に対する、または分子間の分子の化学的配置を意味する。架橋した分子は、重合分子または非重合分子であることができる、すなわち架橋した分子は互変性であることができる。 本明細書で使用されているものとして、「テトラマー」の用語は、約64KDsの分子量を有するヘモグロビンを表わす。すなわち、この用語は天然および分子内架橋したヘモグロビン分子の両方を表わす。 本明細書で使用されているものとして、「基本的にテトラマーを含有していない」の用語は、哺乳動物中に投与されたテトラマーに対する或る種の生物学的応答がもはや存在しないテトラマー濃度にかかわる純度レベルを表わす。主要臨界点は、医薬として有効な量が注入された場合、すなわち約99%またはそれ以上良好な(約1%よりも少ないテトラマーが存在する)レベルで腎臓機能の変更をもたらさないことにある。本発明方法により製造される好適生成物は、総ヘモグロビン(THb)の重量に基づき約0.8%よりも多くないテトラマーを含有する。換言すれば、本発明による基本的にテトラマーを含有していない生成物は、生理学的に許容される量の非重合ヘモグロビンテトラマーをもはや含有していない。本発明による特に好適な生成物は、約0.5%よりも少ないテトラマーを含有し、本発明によるさらに特に好適な生成物は、約0.3〜0.4%のテトラマーを含有する。このようなテトラマー量は、生理学的に許容される生成物に見出される。 本明細書で使用されているものとして、「超精製生成物」または「精製生成物」の用語は、「基本的にテトラマーを含有していない」用語と同一の意味を有する。 本明細書で使用されているものとして、総ヘモグロビン(THb)%は、ヘモグロビンのグラム数/溶液の100mlであると定義される。 本明細書で使用されているものとして、「重合性溶液」の用語は、生物化学的溶液担体中に「架橋」剤または重合剤、例えばグルタルアルデヒド、イミドエステル、ジアスピリンなどを含有する溶液を意味する。 本明細書で使用されているものとして、「重合」の用語は、分子またはテトラマーサブユニット間の分子架橋の配置を意味し、この場合、生成する重合された分子の大きさおよび重量は天然またはテトラマー状ヘモグロビンに比較して増加している。重合ヘモグロビンは、テトラマー状ヘモグロビンではない。 大量失血を被っている患者は、血液または別様の酸素運搬体を直ちに必要としている。重合ヘモグロビン溶液は、血液ではない溶液の付与、引続くRBC注入の代わりとして、このような患者の処置に使用することができる。本発明による方法において、彼等の初期酸素運搬置換体として、重合ヘモグロビン溶液を赤血球の代わりに、少なくとも20単位(10L)または患者の血液量の約2倍量までの量で大量出血した患者に投与することができることが見出された。この方法は赤血球を受けていない生命を脅かすRBCヘモグロビン濃度を有する患者の生命を大量出血期間中、支えることができる。別法として、重合ヘモグロビンは、赤血球と組み合わせて本発明に従い投与することができる。重合ヘモグロビンの投与は、赤血球の投与とほぼ同時に、赤血球投与の実質的前に、または赤血球投与後であることができる。 大量失血の患者の処置に有用であるためには、重合ヘモグロビン溶液は好ましくは、酸素−運搬支持性流体であって、普遍的に適合性であり、直ちに利用することができ、また病気をもっていないものである。この溶液は好ましくは、迅速に、また大量で注入することができ、およびこの溶液は未修飾ヘモグロビンおよび修飾ヘモグロビンによる最近の実験で歴史的に見出されている毒性を回避するものでなければならない。これらの毒性には、血管収縮、ならびに腎臓、膵臓、胃腸器官および心臓の機能不全が包含される。小さい分子量のテトラマー状ヘモグロビンはこれらの許容できない有害な作用を随伴する。 本発明の一態様において、重合ヘモグロビン溶液は、下記表1に示されている一般的特徴を有する。 1 分光光度分析法により測定した。 2 浸透圧により測定した。 3 イオン特異性電極により測定した。 4 原子吸着により測定した。 5 サイズ排除−HPLCにより測定した、重合ヘモグロビンの重量%による。 6 HPTLCにより測定した。 本発明で有用なヘモグロビン溶液の一例は、ポリヘム(PolyHeme)(登録商品名)(Northfield Laboratories,Inc.,Evanston,Illinois)である。ポリヘム(登録商品名)は無菌の発熱性物質を含有していない等張の等膨張性ヘモグロビン溶液である。この溶液は全ての酸素運搬体にかかわる基本的要件である赤血球に類似する酸素積載能力および積載酸素荷おろし能力を有する(15,24,36,37)。このヘモグロビン溶液の数種の性質を表2にまとめて示す。P50=50%ヘモグロビン溶液の酸素テンション ポリヘム(登録商品名)の調製は、ヘモグロビン溶液が共通して随伴する毒性が回避されるようにデザインされており、また全部の未重合テトラマーを除去するためのグルタルアルデヒドとの重合および引続く精製を包含する。初期実験は、緊急の失血における6単位(300g、3L)までのポリヘム(登録商品名)の注入は良好な寛容性を有しており、またヘモグロビン溶液が随伴する毒性を回避させることを証明した(24,25)。適当なヘモグロビン溶液、例えばポリヘム(登録商品名)の調製は、例8に示されているとおりに調製することができる。 ポリヘム(登録商品名)1単位は、500mL中にヘモグロビン50gを含有する溶液である(10g/dL)。これは、1単位の赤血球輸注で機能的に供給されるヘモグロビン容積に等しい。ポリヘム(登録商品名)は2〜8℃において1年以上の貯蔵寿命を有する。 別のヘモグロビン溶液も当業者に知られており、非ヒト血液に由来するヘモグロビン溶液を包含する。これらの溶液は、これらが迅速に、また大量で注入可能であり、またヘモグロビン溶液が通常的に随伴する毒性が回避される溶液であるかぎり、本発明の方法に有用であることができる。さらに、このような溶液は赤血球に類似する酸素積載および積載酸素荷おろしを果たさなければならない。 生命を脅かす大量失血を被っている患者は一般に、1血液容積(one blood volume)の少なくとも約60%を失ったか、または代表的に約1完全血液容積(one full blood volume)(1完全血液容積は、70kgの男性で約5Lである)を失った患者であると認識されている。この容積は大きさおよびその他の因子に応じて変化する。この量の失血は代表的に、外傷、出血または手術の結果である。大量失血を被っている患者は、初期酸素運搬代用物として赤血球の代わりにヘモグロビン溶液を受容することができる。ヘモグロビン溶液の迅速な投与は、注入/輸注治療にすぐに用いられる方法によって達成することができる。大量失血を被っている患者は2単位または3単位以上/分の速度による重合ヘモグロビン溶液注入に対し寛容性を有する。 赤血球が一時的に利用できないか、または使用できない場合、ポリヘム(登録商品名)などのヘモグロビン溶液の注入は、注入前は約5g/dL以下のRBCヘモグロビン濃度を有する患者における生存率を改善することが示された。本発明の種々の態様において、患者は20単位(1000g、10L)までのヘモグロビン溶液、例えばポリヘム(登録商品名)を受容することができる。正常なヒトの平均血液容積はほぼ10単位または5単位であることから、これは約2総血液容積交換の大量輸注を表わす。 本発明に従う場合、重合ヘモグロビン溶液の注入は、患者が≦3g/dLのRBCヘモグロビン濃度を有していても、治療的に適当な範囲(>5.0g/dL)の総ヘモグロビン濃度を維持する。図3は、臨床的に低いRBCヘモグロビン濃度レベルを有する種々の個体のそれぞれにおけるポリヘム(登録商品名)により提供される実質的なヘモグロビン濃度保留を示している。 図4は、ポリヘム(登録商品名)を摂取した患者の死亡率と処置を受けていない患者の死亡率との比較を示している。両グループにおいてRBCヘモグロビン濃度が低下するほど死亡率は増加するが、これらの曲線はヘモグロビン濃度が約7g/dL以下に低下すると分離が始まり、ポリヘム(登録商品名)を受けた患者において、死亡率が改善される5g/dLのヘモグロビン濃度以下で有意の差違となる。この発見は、5g/dLのヘモグロビン濃度までの適当な心臓血管系補償を実証する生理学的観察と一致する(26)。 ヘモグロビン溶液は、赤血球輸注を伴うことなく、ヘモグロビン置換、および即時的で、迅速な、また同時的容積膨張を可能にすることによって緊急の失血の初期処置を簡単にし、また促進することができる。このような溶液は、生命を脅かす貧血の発現を回避する能力を有し、また重大な出血を手術により制御することができ、また引続いて赤血球輸注を利用できるようになるまで死亡を回避させることができる。緊急の出血中における総ヘモグロビン濃度を適当に維持することによって生命支持治療を提供するヘモグロビン溶液の使用は、後続の期間中に赤血球の輸注を必要とする場合でも、適当である。ヘモグロビン溶液の使用が有するRBCに優る追加の利点は、延長された保存能力、投与中の安全性、およびこのような進行する大量出血期間中の誤りが回避されることにある。 (例)例1−試験対象集団 ポリヘム(登録商品名)を受けた患者の30日間死亡率を、宗教上の理由で輸血を拒否している患者の古典的対照グループと比較した。少なくとも18才の男性および女性の患者は、下記包含条件に基づき適格であった:外傷および/または手術による緊急の失血、低ヘモグロビン濃度が予想されることから緊急の輸血が必要であるとの臨床的決定、および/または失血による<100mmHgの収縮期血圧。排除条件は下記条件を包含する:重篤な頭部損傷[グラスゴー コマ スケール(Glasgow Coma Scale)計数≦8]、急性失血がないこと、重篤な臓器機能不全の徴候または症候、または妊娠。この試験は、American College of Surgeons certified Level I trauma centers(確認レベルI損傷センター)および第三の医療委託期間(care referral institutions)で行った。 宗教上の異議によって輸血を拒絶する出血している患者において集められた結果を記載する刊行物中には多くの報告が存在する。データが単一の調査者からのものであり、従ってこのデータの収集に用いられた方法および分析法が標準化されていることから、単一の試験を比較の基礎として選択した(29)。≦8のヘモグロビン濃度を有する多数の一連の患者(n=30)に加えて、別の報告書中の集められた分類とは異なり、実際の各患者それぞれのヘモグロビン濃度測定値を使用する。当該処置および古典的対照グループにおける通常の人口統計学的および医療的特徴は、年齢、ASA肉体的状態のスコア、心臓血管系の危険性および病歴、自認の日時、性別、人種および病院の場所であった。2グループはこれらのパラメーターの全部で相違していたが、これらのパラメーターの中で、オリジナルの分析結果を変更するパラメーターはないことで、支持的モデル(supportive modeling)を決定した。重要な類似点は赤血球置換を伴わない設定の手術における進行的失血である。近年では臨床医療が進歩しているが、進行性貧血、特に≦3のヘモグロビン濃度レベルに随伴する高い死亡率は残されている。例2−方法 全部のポリヘム(登録商品名)患者は、液体および輸注治療において、Advanced Trauma LifeSupport and American Associatin of Blood Banks指針に従い同一の処置を受けたが、酸素運搬治療で輸注を指示するという臨床上の決定がなされた場合、赤血球の代わりにポリヘム(登録商品名)が注入された。全部の患者が、彼等の初期血液量置換としてクリスタロイド(crystalloid)1〜2リッターの注入を受けた。ポリヘム(登録商品名)の注入にかかわる指示および速度は、患者の臨床上の状態に依存した。患者は許容される用量増量方式に従いポリヘム(登録商品名)1単位、3単位、6単位、10単位、および最後に20単位までを受ける資格を有していた。ポリヘム(登録商品名)が最高用量に達した後、患者が追加の酸素運搬治療を必要とした場合、赤血球を指示とおりに輸注した。大量失血後、指示された場合、凝固因子および血小板を投与した。ポリヘム(登録商品名)は手術前に、手術中に、および手術後に、救急室、手術室および集中治療室内の覚醒している患者および麻酔されている患者に注入された。例3−ヘモグロビン測定 下記方程式に示されているとおりに、ポリヘム(登録商品名)注入後、総ヘモグロビンは赤血球によっておよびポリヘム(登録商品名)によって血漿中に運搬されたヘモグロビンの合計に等しい。 総ヘモグロビン濃度=RBCヘモグロビン濃度+ポリヘモグロビン濃度 血漿と赤血球とを分離し、これら各成分により運搬されたヘモグロビンを定量した。総ヘモグロビン濃度および血漿ヘモグロビン濃度は、自動式細胞算定法を用い、全血および血漿試料のそれぞれについて測定した。RBCヘモグロビン濃度は、細胞算定法によって測定されたヘマトクリットからHct/3として誘導された。従って、RBCヘモグロビン濃度の進行する低下は、赤血球置換処置を受けていないと失血の進行が生じることを証明することができ、および総ヘモグロビン濃度の維持に対する血漿中のポリヘム(登録商品名)の衝撃を看取することができる。例4−統計学的分析 平均および標準偏差値は、連続的可変数について報告され、また頻度およびパーセントは名目上の可変数について報告される。 死亡率の分析には、理論的回帰法(logistic regression)を使用した。処置グループ(ポリヘム(登録商品名)または古典的対照)、最下(nadir)RBCヘモグロビン濃度、およびそれらの相互関係にかかわる用語を使用した。充分に高いヘモグロビン濃度において、患者は貧血による死亡の危険性を有しておらず、またヘモグロビン濃度が減少するほど死亡の危険性が増加することが予測されることから、RBCヘモグロビン濃度と処置グループとの相互関係は、死亡率の分析に適当であると考えられる。RBCヘモグロビン濃度が>8g/dLであった患者は、彼等が貧血による死亡の危険性を有していないことから、包含しなかった。 見出されたいずれかの差違が人口統計学的/医学的特徴パラメーターによるものであることができる場合、試験に支持的分析(supportive analysis)を行った。処置グループおよび古典的対照グループに利用できるパラメーターは、年齢、ASA肉体的状態スコア、心臓血管系危険性、性別、病院、人種、および手術の年であった。初期モデルにおいて、これらのパラメーターのそれぞれをRBCヘモグロビン濃度と処置とのそれらの相互関係によって、別々に試験した。引続いて、全部の重要な人口統計学的パラメーターを完全理論的回帰分析に包含させた。例5−結果 171人の患者は17才から85才の範囲にあった。これらの患者における失血の原因は、太く短い(blunt)傷(n=86)、穿孔性傷(n=41)および非外傷性起源(n=44)を包含していた。171人の患者が受けたポリヘム(登録商品名)の投与量を表3に示す。最高注入速度は、未制御出血においてほぼ2単位(100g、1L)/分であった。 ヘモグロビン関係は、図1、図2および図3に示されている。ポリヘム(登録商品名)投与量の増加に伴う血漿ヘモグロビン濃度の増加は、図1に示されている。最高血漿ヘモグロビン濃度は、ポリヘム(登録商品名)8単位(400g、4L)を受けた一人の患者において8.0g/dLであった。最高平均血漿ヘモグロビン濃度は、ポリヘム(登録商品名)20単位(1000g、10L)を受けた患者のグループにおいて、5.9±1.1g/dLであった。これは失血の進行と置換との間の平衡を反映している。 総ヘモグロビン濃度とRBCヘモグロビン濃度との間の関係は、全部の患者について、図2に示されている。この図面は、RBCヘモグロビン濃度が赤血球輸注を伴わない進行性出血によって低下する場合、ポリヘム(登録商品名)の注入によって総ヘモグロビン濃度が7〜10g/dLの範囲に維持されることを例示している。6単位(300g、3L)よりも多くのポリヘム(登録商品名)を必要とする出血の場合、RBCヘモグロビン濃度は、3g/dLの生命を脅かすレベル以下に低下する。 ≦3g/dLのRBCヘモグロビン濃度を有する40人の患者が存在した。図3は、各患者それぞれにかかわる総ヘモグロビン濃度をRBCヘモグロビン濃度と血漿ヘモグロビン濃度との合計として示している。右側から最も離れている患者は0.2g/dLのRBCヘモグロビン濃度および7.5g/dLの総ヘモグロビン濃度を有していた。29人の患者は≧6g/dLの総ヘモグロビン濃度を有していた。<6g/dLの総ヘモグロビン濃度を有する11人の患者の中で、2人の患者のみが完全20単位用量(1000g、10L)を摂取していた。全部の患者が3g/dLの臨界レベルよりも格別に多い総ヘモグロビン濃度を有していた。 死亡率データは表4に示されている。171人の患者全体中で18人の死亡が見られ、これは10.5%の死亡率に相当する。死亡率はRBCヘモグロビン濃度が減少するのに従い増加するが、RBCヘモグロビン濃度が3g/dL以下に低下しても、さらには増加しない。≦1g/dLのRBCヘモグロビン濃度を有する12人の患者中の9人は生き残った。CI=信頼隔たり(confidence interval) 死亡は初期段階(0日目〜1日目)で発生し、これら全部が失血によるものであり、止血を危うくする未知の潜在的肝臓病の結果である1人を包含している。3人の死亡は中間段階(1日目〜7日目)で発生した。1人は失血によるものであり、他の2人は存在する損傷によるものであった。5人の死亡は最終段階(7日目またはその後)で発生した。4人は多臓器不全によるものであり、また1人は潜在的肺線維症によるものであった。ポリヘム(登録商品名)によるものと考えられる死亡はなかった。例6−古典的対照 表5は、300人の古典的対照患者にかかわる死亡率データを示している。総合して、16.0%の死亡率に相当する48人の死亡が見出された。RBCヘモグロビン濃度が低下するほど死亡率は格別に増加し、≦2g/dLのRBCヘモグロビン濃度における生き残りは存在しない。例7−死亡率比較 統計学的回帰は2種の相違する曲線を形成し(図4)、この曲線は各処置グループの一方をそれぞれ示す。両グループにおいて、RBCヘモグロビン濃度が減少するのに従い死亡率は増加するが、7.3g/dL以下の総合RBCヘモグロビン濃度において、ポリヘム(登録商品名)グループにおける死亡率は古典的対照よりも低かった。この減少は5.3g/dL以下の総合RBCヘモグロビン濃度レベルにおいて有意に達した(p<0.05)。 これら2グループは、下記の統計学的/医学的特徴の点で相違していた:年齢、ASA肉体的状態スコア、処置グループ、最下RBCヘモグロビン濃度、およびそれらの相互関係(p<0.05)。しかしながら、これらのパラメーターの中で、オリジナルの分析結果を変更するパラメーターはないことで、支持的モデルを決定した。例8−ヘモグロビン溶液の調製 ポリヘム(登録商品名)は、下記の方法で製造することができる。この方法に対する種々の修正は米国特許第6,498,141号に記載されており、その全体を引用してここに組入れる。1.細胞吸引および濾過 献血者の期限切れ血液袋に穴をあけ、この袋中に1%(重量/容量)水性塩化ナトリウム溶液150mlを導入する。この袋を減圧または真空下に吸引する。吸引された血液を3個の白血球吸着性完全フィルター(depth filters)に通す。代表的に、期限切れ全血約225単位を吸引により採取し、濾過し、次いでタンク1に移す。これらのフィルターを次いで、1%(重量/容量)水性塩化ナトリウム溶液約75リッターで洗浄する。2.細胞洗浄および溶解 タンク1中に血液を導入する前に、タンク1に1%水性塩化ナトリウム溶液約40〜50Lを充填する。全部で225単位の期限切れ全血を吸引採取し、濾過し、次いで移動させ、次いでフィルターを洗浄した後、このタンクおよび付随の管系は4%総ヘモグロビン溶液約365〜390リッターを含有する。吸引および濾過工程中、タンク1は減圧、すなわち20〜28’’Hgの減圧下に保持する。期限切れ血液の全部をタンク1に移した時点で、減圧を解除し、タンクが大気圧の一酸化炭素を含有するように一酸化炭素をタンク中に導入する。 タンク1と0.65μ接線流動(tangential flow)フィルターとを組み合わせる。4%ヘモグロビン溶液の初期供給量365〜390リッターは、接線流動フィルターを通る微小濾過によって7%総ヘモグロビン溶液約215〜225Lに濃縮される。この時点で、このヘモグロビン溶液のpHは約6〜6.5である。7%総ヘモグロビンへの濃縮に引続いて、この溶液を1%(重量/容量)水性塩化ナトリウム溶液の添加、ダイアフィルトレーション(diafiltering)、および濾過液の分離により洗浄し、次いで塩化ナトリウム溶液を同速度で添加する。ヘモグロビン溶液215〜225Lは代表的に、約8倍量(約1,800L)の1%塩化ナトリウム溶液により洗浄する。洗浄に引続き、この溶液を約90〜95Lにまで、すなわち約16%ヘモグロビンにまで濃縮し、次いで「注射用水」(WFI)を添加し、溶液の容積を約220Lまでにする。WFIを添加すると、細胞は膨潤し、次いで破裂し、ヘモグロビンを溶液中に放出する。生成するヘモグロビン溶液の濃度は、約7%総ヘモグロビン(THb)である。 生成する溶液をタンク1中で浄化する。この溶液を先ず、約90Lまで濃縮し、次いで濾過液をタンク2に移す。溶液を強制的にフィルターに通すと、赤血球細胞支質夾雑物および細胞壁物質が保留され、これらを次いで、濾過により分離する。タンク1中に残留する溶液90LをWFI約280Lにより洗浄する(ダイアフィルトレーション)。この洗浄溶液をタンク2に添加する。タンク2中に生成する溶液量は3.3%総ヘモグロビン溶液約405〜415Lである。3.加熱処理 生成する支質を含有していないヘモグロビン溶液を次いで、タンク2内で約60〜62℃の温度において約10時間の時間をかけて加熱処理する。この期間中、溶液を穏やかに撹拌する。溶液を加熱し、約55℃の温度に通すと、沈殿が生成する。4.浄化およびウィルス減少 生成する3.3%THb(重量/容量)の支質を含有していない熱処理されたヘモグロビン溶液を次いで、0.2μ予備フィルターに通し、次いで0.1μ予備フィルターに通し、次いで100KDaウィルス減少性限外フィルターに強制的に通し、タンク3に導入する。5.限外濾過濃縮 濾過されたヘモグロビン溶液を次いで、85〜105リッターにまで濃縮し(約14%THb)、次いで4倍量のEFI(350L)により洗浄し、次いでダイアフィルトレーションに付す。この濃縮およびダイアフィルトレーションは、10キロダルトン(KDa)分子量限外フィルターを用いて達成される。排出液は限外フィルターを備えた排出口から濾液を採取する。この時点で、ヘモグロビン溶液は約6〜6.5のpHにおいて、ヘモグロビン1グラムあたり50ngよりも少ないリン脂質およびヘモグロビン1グラムあたり2ngよりも少ない糖脂質(TLCにより測定)、1%よりも少ないメテモグロビン(コ−オキシメトリイ(co-oxymetry)により測定)、および1mlあたり約0.03エンドトキシン単位よりも少ないエンドトキシンを含有する。この溶液中のヘモグロビンは初期には、カルボキシヘモグロビンである。6.脱気 生成するカルボキシヘモグロビン溶液を次いで、175L容器(タンク4)に移す。この溶液に、10℃において18時間かけて66L/分で酸素を散布する。生成する溶液は、総ヘモグロビンの重量に基づき5%よりも少ないカルボキシヘモグロビンを含有する。 酸素化後、総ヘモグロビンの重量に基づき10%よりも少ない量でオキシヘモグロビンが溶液中に残留するまで、10℃において約3〜3.5時間かけて、この溶液に同様の窒素流を散布する。7.化学的修飾 このデオキシヘモグロビン溶液を、化学的修飾用タンク5に移す。このデオキシヘモグロビン溶液を含有するタンク5に、約4℃において、ピリドキシル−5−ホスフェート(PSP)(93.75g/L)を1:1〜3:1のヘモグロビン対PSPのモル比で添加する。2:1のヘモグロビン対PSPのモル比は好適である。このピリドキシル化は、約4℃の温度で行う。このPSP溶液は代表的に、約1分かけて添加し、次いで約15分間にわたり混合した後、このヘモグロビン溶液にホウ水素化ナトリウム/水酸化ナトリウム溶液を約20:1のホウ水素化ナトリウム対ヘモグロビンのモル比で添加する。適当な水性ホウ水素化ナトリウム/水酸化ナトリウム溶液は、2リッターあたり水酸化ナトリウム0.8gおよび2リッターあたりホウ水素化ナトリウム90.8gを含有する。ホウ水素化ナトリウム溶液は、できるだけ迅速に約1分間かけて添加し、次いで1時間にわたり撹拌する。8.反応剤の除去 生成するピリドキシル化ヘモグロビンの150L溶液を次いで、10Kダルトン限外フィルターを用いてダイアフィルトレーションに付し、4倍量(600L)のWFIを用いて反応剤を除去する。限外フィルターに備えられている排出管によりフィルターから濾過液を採取する。9.UP重縮合 ピリドキシル化ヘモグロビンを含有するタンク5に、4.5%総ヘモグロビン溶液(ヘモグロビン溶液約265L)を生成するのに充分なWFIを添加する。このピリドキシル化ヘモグロビン溶液にグルタルアルデヒド溶液を、約24:1のヘモグロビン対グルタルアルデヒドのモル比で添加する。グルタルアルデヒド溶液は代表的に、計量ポンプにより約2.5時間かけてヘモグロビン溶液に添加する。重合反応は約15〜18時間にわたり進行させることができる。目標分子量分布は、ポリマー約75%およびテトラマー25%である。標的ポリマーは約600,000よりも小さい分子量を有し、分子量の主要フラクションは100,000〜350,000範囲にある。 重合反応が目標の分子量分布に到達した時点で(約15〜18時間後)、水性グリシン(約166g/L)を、140:1のヘモグロビン対グリシンモル比でヘモグロビン溶液に添加する(冷却しながら)。この時点における溶液のpHは、8.9である。生成する溶液を次いで、約30〜40分にわたり混合し、次いでこのヘモグロビン溶液に、28:1のヘモグロビン対ホウ水素化ナトリウムのモル比で、ホウ水素化ナトリウム/水酸化ナトリウム溶液(上記濃度を有する)を添加する。この生成する混合物を約1時間にわたり撹拌する。この溶液を次いで、限外濾過により約150Lまで濃縮し、次いで4倍量(600L)のWFIにより洗浄する。この濃縮溶液に、追加の適量のホウ水素化ナトリウムを上記と同一のモル比で添加し、次いで1時間にわたりさらに混合する。生成する溶液を4倍量(600L)のWFIにより洗浄し、加熱処理されている重合され、ピリドキシル化された支質を含有していないヘモグロビンを生成する。 生成する溶液を酸素雰囲気下に放置することによって、この溶液を酸素化し、次いで濾過再循環容器(タンク10)に移す。ヘモグロビンを次いで、約4%THbに稀釈する。この4%THb溶液を次いで、10mM NaCl/20μM NaOHおよびMillipore Corp.から市販されている300,000分子量フィルターを用い、ダイアフィルトレーションに付す。この濾過は、ヘモグロビン物質の約97%がフィルターを通過し、タンク11に導入されるまで継続する。タンク11において、70KDa限外フィルターを用い4〜8%THbにまで連続的に濃縮する。(ヘモグロビン物質の約3%、すなわち高分子量ポリマーはタンク10に保留される)。ヘモグロビンの量は、コオキシメーターを用い分光光度測定により測定する。 タンク11内の生成物は、約4〜8%THbであり、THbに基づき約2.5%のテトラマーを含有する。このヘモグロビン溶液をタンク12に移し、次いで、10mM NaCl/20μM NaOHおよびPall−Filtron.から市販されている100,000分子量フィルターを用い、ダイアフィルトレーションに付す。この濾過は、TOSO BioSep TSKG−3000 SWXL300x7.8mmカラムを用いるサイズ排除クロマトグラフイによって測定して、テトラマーのレベルがヘモグロビン容積の1.0%(重量による)よりも少なくなるまで継続する。生成する精製へモグロビン溶液は初期には、タンク11に残され、次いで脱酸素化用の気体交換タンク8に移す。10.脱酸素化 気体交換タンク8は、気体交換タンク4と基本的に同一の様相で据付けられている。脱酸素化は、約10℃および約8.8の溶液pHにおける窒素散布により約2.5時間で達成される。窒素散布は、総ヘモグロビンの重量に基づき約16%よりも少ないオキシヘモグロビンが溶液中に残るまで継続する。生成するデオキシヘモグロビン溶液を次いで、調合用のタンク9に移す。11.調合(formulation) 調合タンク9において、溶液を先ず、約7%総ヘモグロビンに濃縮する。このヘモグロビン溶液に電解質溶液を添加する。グルコースおよびグリシンを、それぞれ約1g/Lおよび3.5g/Lの最終濃度に達するまで添加する。この溶液に、塩化カリウムを添加し、約3.5〜4.5mMのカリウム濃度を得る。3M塩化ナトリウムを次いで添加し、85〜110mMクロライド濃度を得る。乳酸ナトリウムを次いで添加し、135〜155mMのナトリウムイオン濃度を得る。0.45モルアスコルビン酸溶液を添加し、アスコルビン酸濃度を約1000mg/Lまで高める。アスコルビン酸は貯蔵用の保存剤/酸化防止剤として添加する。0.22M NaOHを用い、pHを8.7〜9.1に調整する(10〜15℃)。生成するヘモグロビン溶液は約280〜360mmol/kgの最終浸透圧を有する。 調合されたヘモグロビン溶液を次いで、トラップを備えたフィルターを用い約10%総ヘモグロビンに濃縮する。この10%ヘモグロビン溶液を次いで、濾過により殺菌し、次いで殺菌済袋中に吸引充填する。 本発明の原則を適用することができる広く種々の態様の観点から、例示されている態様は例であるのみであると理解されるべきであり、また本発明の範囲を制限するもの理解されるべきではない。特許請求の範囲は、その効果にかかわり記述されていないかぎり、記載の順序または要素に制限されるものとして読まれるべきではない。従って、下記特許請求の範囲の範囲および精神、ならびにその対等事象内に入る全部の態様は本発明として特許請求されるものとする。引用刊行物図1は、重合ヘモグロビン溶液の投与量に対する平均(±SD)血漿ヘモグロビン濃度を描いたグラフである。重合ヘモグロビン溶液1単位は、0.5L中に重合ヘモグロビン50gを含有する。図2は、重合ヘモグロビン溶液の投与量に対する平均(±SD)総ヘモグロビン濃度(実線)およびRBCヘモグロビン濃度(点線)を描いたグラフである。斜線領域は、NIH合意報告書(Consensus Statement)に従う7〜10g/dLの指針を表わす。1単位の重合ヘモグロビン溶液は、0.5L中に重合ヘモグロビン50gを含有する。図3は、≦3g/dLの最下(nadir)ヘモグロビン溶液を用いる40人の患者にかかわる各患者のデータを描いたグラフであり、RBCヘモグロビン濃度および血漿ヘモグロビン濃度の合計としての総ヘモグロビン濃度を示している。線は3g/dLの生命を脅かすレベルを表わす。図4は、ポリヘム(PolyHeme)(登録商品名)を摂取した患者および古典的対照における死亡率を示す論理学的回帰を示す。死亡率は、両グループにおいて、RBDヘモグロビン濃度が低下するのに従い増加する。曲線は約7.0g/dLのRBCヘモグロビン濃度で分離を始め、約5.0g/dL以下のRBCヘモグロビン濃度で有意の差違(p<0.05)になる。 失血の結果として赤血球ヘモグロビン(RBC Hb)が生命を脅かすレベルに損傷されている哺乳動物の処置方法であって、当該哺乳動物に重合ヘモグロビン溶液を投与することを包含する、上記方法。 ヘモグロビン溶液が、支質およびその他の夾雑物を実質的に含有していない基本的にテトラマーを含んでいない架橋重合ヘモグロビン溶液を包含する無細胞性溶液である、請求項1に記載の方法。 失血が大量失血である、請求項1に記載の方法。 ヘモグロビン溶液を少なくとも5Lの量で投与する、請求項1に記載の方法。 ヘモグロビン溶液を哺乳動物の血液量の少なくとも1倍量で投与する、請求項1に記載の方法。 ヘモグロビン溶液の投与が5.0g/dLよりも多い平均循環ヘモグロビンレベルを維持する、請求項1に記載の方法。 ヘモグロビン溶液の投与が60mmHg以上の動脈圧を維持する、請求項1に記載の方法。 ヘモグロビン溶液を少なくとも約2単位/分の速度で投与する、請求項1に記載の方法。 当該溶液が血管収縮、ならびに腎臓、膵臓、胃腸器官および心臓の機能障害に関連する毒性を回避する、請求項1に記載の方法。 重合ヘモグロビンが、 (a)約128KDaの分子量を有するポリマーである重合ヘモグロビン約5〜30重量%から; (b)約192KDaの分子量を有するポリマーである重合ヘモグロビン約15〜35重量%から;および (c)約256KDaの分子量を有するポリマーである重合ヘモグロビン約35〜75重量%から、の分子量分布を有する、請求項1に記載の方法。 RBC Hbの生命を脅かすレベルが3.0g/dLよりも低い、請求項1に記載の方法。 大量失血を被っている患者における貧血、不可逆性虚血、または循環血液量減少性ショックの防止方法であって、5.0g/dL以上の総Hbおよび60mmHg以上の動脈圧を維持するのに充分な量の重合ヘモグロビン溶液を患者に投与することを包含する、上記方法。 ヘモグロビン溶液が、支質およびその他の夾雑物を実質的に含有していない基本的にテトラマーを含んでいない架橋重合ヘモグロビン溶液を包含する無細胞性溶液である、請求項12に記載の方法。 処置前の患者のRBC Hbレベルが5.0g/dLよりも低い、請求項12に記載の方法。 処置前の患者のRBC Hbレベルが3.0g/dLよりも低い、請求項12に記載の方法。 ヘモグロビン溶液を少なくとも5Lの量で投与する、請求項12に記載の方法。 ヘモグロビン溶液を哺乳動物の血液量の少なくとも1倍量で投与する、請求項12に記載の方法。 ヘモグロビン溶液の投与が60mmHg以上の動脈圧を維持する、請求項12に記載の方法。 ヘモグロビン溶液を少なくとも約2単位/分の速度で投与する、請求項12に記載の方法。 当該溶液が血管収縮、ならびに腎臓、膵臓、胃腸器官および心臓の機能障害に関連する毒性を回避する、請求項12に記載の方法。 重合ヘモグロビンが、 (a)約128KDaの分子量を有するポリマーである重合ヘモグロビン約5〜30重量%から、 (b)約192KDaの分子量を有するポリマーである重合ヘモグロビン約15〜35重量%から、および (c)約256KDaの分子量を有するポリマーである重合ヘモグロビン約35〜75重量%から、の分子量分布を有する、請求項12に記載の方法。 大量失血を被っている患者における平均循環Hbレベルを5.0g/dL以上に維持する方法であって、重合ヘモグロビン溶液を患者の血液量の少なくとも1倍量で患者に投与することを包含する、上記方法。 ヘモグロビン溶液が、支質およびその他の夾雑物を実質的に含有していない基本的にテトラマーを含んでいない架橋重合ヘモグロビン溶液を包含する無細胞性溶液である、請求項22に記載の方法。 重合ヘモグロビンが、 (a)約128KDaの分子量を有するポリマーである重合ヘモグロビン約5〜30重量%から、 (b)約192KDaの分子量を有するポリマーである重合ヘモグロビン約15〜35重量%から、および (c)約256KDaの分子量を有するポリマーである重合ヘモグロビン約35〜75重量%から、の分子量分布を有する、請求項23に記載の方法。 ヘモグロビン溶液を少なくとも5Lの量で投与する、請求項22に記載の方法。 ヘモグロビン溶液を哺乳動物の血液量の少なくとも1倍量で投与する、請求項22に記載の方法。 ヘモグロビン溶液の投与が60mmHg以上の動脈圧を維持する、請求項22に記載の方法。 ヘモグロビン溶液を少なくとも約2単位/分の速度で投与する、請求項22に記載の方法。 当該溶液が血管収縮、ならびに腎臓、膵臓、胃腸器官および心臓の機能障害に関連する毒性を回避する、請求項23に記載の方法。 失血の結果として赤血球ヘモグロビン(RBC Hb)が生命を脅かすレベルに損傷されているヒトの処置方法であって、当該ヒトに重合ヘモグロビン溶液を投与することを包含する、上記方法。 ヘモグロビン溶液が、支質およびその他の夾雑物を実質的に含有していない基本的にテトラマーを含んでいない架橋重合ヘモグロビン溶液を包含する無細胞性溶液である、請求項30に記載の方法。 ヘモグロビン溶液を少なくとも5Lの量で投与する、請求項30に記載の方法。 ヘモグロビン溶液を哺乳動物の血液量の少なくとも1倍量で投与する、請求項30に記載の方法。 ヘモグロビン溶液の投与が5.0g/dLよりも高い平均循環ヘモグロビンレベルを維持する、請求項30に記載の方法。 ヘモグロビン溶液の投与が60mmHg以上の動脈圧を維持する、請求項30に記載の方法。 ヘモグロビン溶液を少なくとも約2単位/分の速度で投与する、請求項30に記載の方法。 溶液が血管収縮、ならびに腎臓、膵臓、胃腸器官および心臓の機能障害に関連する毒性を回避する、請求項30に記載の方法。 重合ヘモグロビンが、 (a)約128KDaの分子量を有するポリマーである重合ヘモグロビン約5〜30重量%から、 (b)約192KDaの分子量を有するポリマーである重合ヘモグロビン約15〜35重量%から、および (c)約256KDaの分子量を有するポリマーである重合ヘモグロビン約35〜75重量%から、の分子量分布を有する、請求項30に記載の方法。 大量失血を被っているヒトの生命を維持する方法であって、当該ヒトに重合ヘモグロビン溶液を投与することによって循環血液量減少性ショックおよびさらに血圧低下を防止することを包含する、上記方法。 場合およびヒトが約7g/dL以下のヘモグロビン濃度を有する、請求項39に記載の方法。 ヘモグロビン溶液が、支質およびその他の夾雑物を実質的に含有していない基本的にテトラマーを含んでいない架橋重合ヘモグロビン溶液を包含する無細胞性溶液である、請求項39に記載の方法。 ヘモグロビン溶液を少なくとも5Lの量で投与する、請求項39に記載の方法。 ヘモグロビン溶液を哺乳動物の血液量の少なくとも1倍量で投与する、請求項39に記載の方法。 ヘモグロビン溶液の投与が60mmHg以上の動脈圧を維持する、請求項39に記載の方法。 ヘモグロビン溶液を少なくとも約2単位/分の速度で投与する、請求項39に記載の方法。 溶液が血管収縮、ならびに腎臓、膵臓、胃腸器官および心臓の機能障害に関連毒性を回避する、請求項39に記載の方法。 重合ヘモグロビンが、 (a)約128KDaの分子量を有するポリマーである重合ヘモグロビン約5〜30重量%から、 (b)約192KDaの分子量を有するポリマーである重合ヘモグロビン約15〜35重量%から、および (c)約256KDaの分子量を有するポリマーである重合ヘモグロビン約35〜75重量%から、の分子量分布を有する、請求項39に記載の方法。 本発明は、大量失血を被っている哺乳動物の処置方法に関し、この方法は重合ヘモグロビン溶液を哺乳動物に投与することを包含する。