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タイトル:特許公報(B2)_有機エレクトロルミネッセンス素子及びアントラセン誘導体
出願番号:2004530558
年次:2008
IPC分類:C07C 13/58,C09K 11/06,H01L 51/50


特許情報キャッシュ

池田 秀嗣 井戸 元久 舟橋 正和 JP 4041816 特許公報(B2) 20071116 2004530558 20030818 有機エレクトロルミネッセンス素子及びアントラセン誘導体 出光興産株式会社 000183646 大谷 保 100078732 東平 正道 100081765 池田 秀嗣 井戸 元久 舟橋 正和 JP 2002243545 20020823 20080206 C07C 13/58 20060101AFI20080121BHJP C09K 11/06 20060101ALI20080121BHJP H01L 51/50 20060101ALI20080121BHJP JPC07C13/58C09K11/06 610H05B33/14 B C09K 11/06 H01L 51/50 CA(STN) REGISTRY(STN) 特開2002−154993(JP,A) 特開2001−284050(JP,A) 特開2000−344691(JP,A) 特開2002−124385(JP,A) 特開2001−196179(JP,A) 特開2001−052870(JP,A) 特開2000−182776(JP,A) 特開2001−223082(JP,A) 特開2003−261472(JP,A) 特開2003−128651(JP,A) 特開2003−229273(JP,A) 特表2004−529937(JP,A) 特開2004−079421(JP,A) 特開2004−047447(JP,A) 特開2003−338377(JP,A) 特開2002−329580(JP,A) 特開2004−042485(JP,A) 特開2004−059535(JP,A) 特開2004−067528(JP,A) 特開2004−002297(JP,A) 7 JP2003010402 20030818 WO2004018587 20040304 25 20060331 井上 千弥子 本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子及びアントラセン誘導体に関し、さらに詳しくは、発光効率が高く長寿命な有機エレクトロルミネッセンス素子、それを実現するアントラセン誘導体に関するものである。 有機エレクトロルミネッセンス素子(以下エレクトロルミネッセンスをELと略記することがある)は、電界を印加することより、陽極より注入された正孔と陰極より注入された電子の再結合エネルギーにより蛍光性物質が発光する原理を利用した自発光素子である。イーストマン・コダック社のC.W.Tangらによる積層型素子による低電圧駆動有機EL素子の報告(C.W. Tang, S.A. Vanslyke, アプライドフィジックスレターズ(Applied Physics Letters),51巻、913頁、1987年等)がなされて以来、有機材料を構成材料とする有機EL素子に関する研究が盛んに行われている。Tangらは、トリス(8−ヒドロキシキノリノールアルミニウム)を発光層に、トリフェニルジアミン誘導体を正孔輸送層に用いている。積層構造の利点としては、発光層への正孔の注入効率を高めること、陰極より注入された電子をブロックして再結合により生成する励起子の生成効率を高めること、発光層内で生成した励起子を閉じ込めること等が挙げられる。この例のように有機EL素子の素子構造としては、正孔輸送(注入)層、電子輸送発光層の2層型、または正孔輸送(注入)層、発光層、電子輸送(注入)層の3層型等がよく知られている。こうした積層型構造素子では注入された正孔と電子の再結合効率を高めるため、素子構造や形成方法の工夫がなされている。 また、発光材料としてはトリス(8−キノリノラート)アルミニウム錯体等のキレート錯体、クマリン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ビススチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体等の発光材料が知られており、それらからは青色から赤色までの可視領域の発光が得られることが報告されており、カラー表示素子の実現が期待されている(例えば、特許文献1〜3等)。 また、発光材料としてフェニルアントラセン誘導体を用いた素子が特許文献4に開示されている。このようなアントラセン誘導体は青色発光材料として用いられるが、素子寿命を伸ばすことが望まれていた。また、アントラセンの9,10位にフルオランテン基を有する素子材料が特許文献5に開示されている。このようなアントラセン誘導体も青色発光材料として用いられるが、やはり素子寿命の改善が求められていた。さらに、特許文献6に種々のアントラセン誘導体を正孔輸送材料として用いることが開示されている。しかしながらその合成は実際にされておらず、発光材料としての評価は未だ成されていなかった。特開平8−239655号公報特開平7−138561号公報特開平3−200289号公報特開平8−012600号公報特開2001−257074号公報特開2000−182776号公報 本発明は、前記の課題を解決するためなされたもので、発光効率が高く、長寿命な有機EL素子及びそれを実現するアントラセン誘導体を提供することを目的とする。 本発明者らは、前記目的を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、下記一般式(2)で表される非対称型の特定構造を有するアントラセン構造を有する化合物を有機EL素子の発光材料として用いると、発光効率が高く、寿命が長い有機EL素子が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、陰極と陽極間に少なくとも発光層を含む一層又は複数層からなる有機薄膜層が挟持されている有機EL素子において、該有機薄膜層の少なくとも1層が、下記一般式(2)で表されるアントラセン誘導体を単独もしくは混合物の成分として含有する有機EL素子を提供するものである。 また、本発明は、下記一般式(2)で表されるアントラセン誘導体を提供するものである。{式中、Arは、置換もしくは無置換の1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基又は下記式である。 Ar’は置換もしくは無置換の核炭素数6〜50の芳香族基である。 nは1〜3の整数である。 ただし、一般式(2)は、9,9−ジフェニルフルオレン構造を含まない。} 本発明の有機EL素子及び本発明のアントラセン誘導体を用いた有機EL素子は、発光効率が高く、長寿命である。 本発明のアントラセン誘導体は上記一般式(2)で表される。 また、本発明の一般式(2)で表されるアントラセン誘導体は、有機EL素子用材料として用いられると好ましい。 本発明の有機EL素子は、陰極と陽極間に少なくとも発光層を含む一層又は複数層からなる有機薄膜層が挟持されている有機EL素子において、該有機薄膜層の少なくとも1層が、上記一般式(2)で表されるアントラセン誘導体を単独もしくは混合物の成分として含有する。 一般式(2)において、Arは置換もしくは無置換の1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基又は下記式である。 Arの縮合環芳香族基としては、下記の一般式(Ar1 は、置換もしくは無置換の核炭素数6〜50の芳香族基である。)から選ばれる基であると好ましい。 Ar1 としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−ビフェニルイル基、3−ビフェニルイル基、4−ビフェニルイル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−アントリル基、4’−メチルビフェニルイル基、4”−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル基等が挙げられる。 一般式(2)において、Ar’は、置換もしくは無置換の核炭素数6〜50の芳香族基である。この芳香族基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−ビフェニルイル基、3−ビフェニルイル基、4−ビフェニルイル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−アントリル基、4’−メチルビフェニルイル基、4”−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル基等が挙げられる。 これらのうち、特に、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−ビフェニルイル基、3−ビフェニルイル基、4−ビフェニルイル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基等の核炭素数10以上の置換もしくは無置換の芳香族基が好ましい。 nは1〜3の整数である。 前記Ar及びAr’が示す基における置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシ基、芳香族複素環基、アラルキル基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、又はカルボキシル基などが挙げられる。 本発明の一般式(2)で表されるアントラセン誘導体の具体例及び参考例を以下に示すが、これら例示化合物に限定されるものではない。なお、Meはメチル基、Buはブチル基を示す。 また、一般式(2)で表されるアントラセン誘導体において、Ar及びAr’が共にナフチル基であるものが最も好ましい。 本発明の一般式(2)で表されるアントラセン誘導体の具体例としては、前記具体例及び参考例のうち、(AN1)〜(AN4)、(AN7)〜(AN10)、(AN21)〜(AN24)、(AN27)〜(AN30)、(AN43)、(AN46)〜(AN52)及び(AN54)〜(AN60)が挙げられるが、それらの例示化合物に限定されるものではない。 本発明の有機EL素子に用いる一般式(2)のアントラセン誘導体は、市販のアリールボロン酸もしくは既知の方法により合成したアリールボロン酸又はその誘導体とハロゲン化アントラセン誘導体を出発原料として、鈴木カップリング反応・ハロゲン化反応・ホウ酸化反応を適宜組み合わせて、合成することができる。以下にその合成スキームを示す。 鈴木カップリング反応は、これまでに数多くの報告(Chem.Rev.,Vol.95,No.7,2457(1995)等)がなされており、これらに記載の反応条件で実施することができる。 反応は、通常、常圧下、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性雰囲気下で実施されるが、必要に応じて加圧条件下に実施することも出来る。反応温度は15〜300℃の範囲であるが、特に好ましくは30〜200℃である。 反応溶媒としては、水、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタンなどのハロゲン類、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類などを単一又は混合して使用することができる。これらの中で、好ましくは、トルエン、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン、水である。溶媒の使用量はアリールボロン酸又はその誘導体に対して、通常3〜50重量倍、好ましくは4〜20重量倍である。 反応に用いる塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、、炭酸リチウム、ふっ化カリウム、フッ化セシウム、塩化セシウム、臭化セシウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、メトキシナトリウム、t−ブトキシカリウム、t−ブトキシナトリウム、t−ブトキシリチウム等が挙げられ、好ましくは炭酸ナトリウムである。これらの塩基の使用量は、アリールボロン酸又はその誘導体に対して、通常0.7〜10モル当量、好ましくは0.9〜6モル当量である。 反応に用いる触媒としては、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ[ ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン] パラジウム、ジクロロ[ ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン] パラジウム、ジクロロ[ ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン] パラジウム、、ジクロロ[ ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン] パラジウム等のパラジウム触媒、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ジクロロ[ ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン] ニッケル、ジクロロ[ ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン] ニッケル、ジクロロ[ ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン] ニッケル、、ジクロロ[ ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン] ニッケル等のニッケル触媒等が挙げられ、好ましくはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムである。これらの触媒の使用量はハロゲン化アントラセン誘導体に対して、通常0.001〜1モル当量、好ましくは0.01〜0.1モル当量である。 ハロゲン化アントラセン誘導体のハロゲンとしては、例えば、ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子等が挙げられ、好ましくはヨウ素原子、臭素原子である。 ハロゲン化反応におけるハロゲン化剤は特に限定されるものではないが、例えば、N−ハロゲン化コハク酸イミドが好適に用いられる。ハロゲン化剤の使用量はアントラセン誘導体に対し、通常0.8〜10モル当量、好ましくは1〜5モル当量である。 反応は、通常、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性雰囲気下、不活性溶媒中で実施される。使用される不活性溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、四塩化炭素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン、キシレンメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、水等が挙げられ、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンである。溶媒の使用量はアントラセン誘導体に対し、通常3〜50重量倍、好ましくは5〜20重量倍である。反応温度は、通常0℃〜200℃で実施され、好ましくは20℃〜120℃である。 ホウ酸化反応は、既知の方法(日本化学会編・実験化学講座第4版24巻61〜90頁やJ.Org.Chem.,Vol.60,7508 (1995)等)により実施することが可能である。例えば、ハロゲン化アントラセン誘導体のリチオ化もしくはグリニャール反応を経由する反応の場合、通常、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性雰囲気下で実施され、反応溶媒としては不活性溶媒が用いられる。例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素類、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類を単一もしくは混合溶媒として用いることができ、好ましくはジエチルエーテル、トルエンである。溶媒の使用量は、ハロゲン化アントラセン誘導体に対し通常3〜50重量倍、好ましくは4〜20重量倍である。 リチオ化剤としては、例えば、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム、メチルリチウム等のアルキル金属試薬、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド等のアミド塩基を用いることができ、好ましくはn−ブチルリチウムである。また、グリニャール試薬は、ハロゲン化アントラセン誘導体と金属マグネシウムの反応により調製することができる。ホウ酸化剤であるホウ酸トリアルキルとしては、例えば、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリブチル等を使用することができ、好ましくはホウ酸トリメチル、ホウ酸トリイソプロピルである。 リチオ化剤及び金属マグネシウムの使用量は、それぞれハロゲン化アントラセン誘導体に対し、通常1〜10モル当量、好ましくは1〜2モル当量であり、ホウ酸トリアルキルの使用量は、ハロゲン化アントラセン誘導体に対し、通常1〜10モル当量、好ましくは1〜5モル当量である。反応温度は、通常−100〜50℃、好ましくは−75〜10℃である。 本発明の有機EL素子は、前記発光層が、一般式(2)で表されるアントラセン誘導体を主成分として含有すると好ましい。 また、本発明の有機EL素子は、前記発光層が、さらにアリールアミン化合物及び/又はスチリルアミン化合物を含有すると好ましい。 スチリルアミン化合物としては、下記一般式(A)で表されるものが好ましい。(式中、Ar2 は、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、スチルベン基、ジスチリルアリール基から選ばれる基であり、Ar3 及びAr4 は、それぞれ水素原子又は炭素数が6〜20の芳香族基であり、Ar2 、Ar3 及びAr4 は置換されいてもよい。pは1〜4の整数である。さらに好ましくはAr3 又はAr4 の少なくとも一方はスチリル基で置換されている。) ここで、炭素数が6〜20の芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナンスリル基、ターフェニル基等が挙げられる。 アリールアミン化合物としては、下記一般式(B)で表されるものが好ましい。(式中、Ar5 〜Ar7 は、置換もしくは無置換の核炭素数5〜40のアリール基である。qは1〜4の整数である。) ここで、核炭素数が5〜40のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナンスリル基、ピレニル基、コロニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ピローリル基、フラニル基、チオフェニル基、ベンゾチオフェニル基、オキサジアゾリル基、ジフェニルアントラニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ピリジル基、ベンゾキノリル基、フルオランテニル基、アセナフトフルオランテニル基、スチルベン基等が挙げられる。なお、このアリール基の好ましい置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基(エチル基、メチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、炭素数1〜6のアルコキシ基(エトキシ基、メトキシ基、i−プロポキシ基、n−プロポキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロペントキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、核原子数5〜40のアリール基、核原子数5〜40のアリール基で置換されたアミノ基、核原子数5〜40のアリール基を有するエステル基、炭素数1〜6のアルキル基を有するエステル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子等が挙げられる。 以下、本発明の有機EL素子の素子構成について説明する。 本発明の有機EL素子の代表的な素子構成としては、(1)陽極/発光層/陰極(2)陽極/正孔注入層/発光層/陰極(3)陽極/発光層/電子注入層/陰極(4)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極(5)陽極/有機半導体層/発光層/陰極(6)陽極/有機半導体層/電子障壁層/発光層/陰極(7)陽極/有機半導体層/発光層/付着改善層/陰極(8)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極(9)陽極/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極(10)陽極/無機半導体層/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極(11)陽極/有機半導体層/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極(12)陽極/絶縁層/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/絶縁層/陰極(13)陽極/絶縁層/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極などの構造を挙げることができる。 これらの中で通常(8)の構成が好ましく用いられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。 この有機EL素子は、通常透光性の基板上に作製する。この透光性基板は有機EL素子を支持する基板であり、その透光性については、400〜700nmの可視領域の光の透過率が50%以上であるものが望ましく、さらに平滑な基板を用いるのが好ましい。 このような透光性基板としては、例えば、ガラス板、合成樹脂板などが好適に用いられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英などで成形された板が挙げられる。また、合成樹脂 板としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルサルファイド樹脂、ポリサルフォン樹脂などの板か挙げられる。 次に、上記の陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物又はこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Auなどの金属,CuI,ITO(インジウムチンオキシド),SnO2 ,ZnO,In−Zn−Oなどの導電性材料が挙げられる。この陽極を形成するには、これらの電極物質を、蒸着法やスパッタリング法等の方法で薄膜を形成させることができる。この陽極は、上記発光層からの発光を陽極から取り出す場合、陽極の発光に対する透過率が10%より大きくなるような特性を有していることが望ましい。また、陽極のシート抵抗は、数百Ω/□以下のものが好ましい。さらに、陽極の膜厚は、材料にもよるが通常10nm〜1μm、好ましくは10〜200nmの範囲で選択される。 次に、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム,ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム,リチウム,マグネシウム・銀合金,アルミニウム/酸化アルミニウム,Al/Li2 O,Al/LiO2 ,Al/LiF,アルミニウム・リチウム合金,インジウム,希土類金属などが挙げられる。 この陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。 ここで、発光層からの発光を陰極から取り出す場合、陰極の発光に対する透過率は10%より大きくすることが好ましい。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、さらに、膜厚は通常10nm〜1μm、好ましくは50〜200nmである。 本発明の有機EL素子においては、このようにして作製された一対の電極の少なくとも一方の表面に、カルコゲナイド層,ハロゲン化金属層又は金属酸化物層(以下、これらを表面層ということがある。)を配置するのが好ましい。具体的には、発光層側の陽極表面にケイ素やアルミニウムなどの金属のカルコゲナイド(酸化物を含む)層を、また、発光層側の陰極表面にハロゲン化金属層又は金属酸化物層を配置するのがよい。これにより、駆動の安定化を図ることができる。 上記カルコゲナイドとしては、例えばSiOx(1≦X≦2),AlOx(1≦X≦1.5),SiON,SiAlONなどが好ましく挙げられ、ハロゲン化金属としては、例えばLiF,MgF2 ,CaF2 ,フッ化希土類金属などが好ましく挙げられ、金属酸化物としては、例えばCs2 O,Li2 O,MgO,SrO,BaO,CaOなどが好ましく挙げられる。 さらに、本発明の有機EL素子においては、このようにして作製された一対の電極の少なくとも一方の表面に電子伝達化合物と還元性ドーパントの混合領域又は正孔伝達化合物と酸化性ドーパントの混合領域を配置するのも好ましい。このようにすると、電子伝達化合物が還元され、アニオンとなり混合領域がより発光層に電子を注入、伝達しやすくなる。また、正孔伝達化合物は酸化され、カチオンとなり混合領域がより発光層に正孔を注入、伝達しやすくなる。好ましい酸化性ドーパントとしては、各種ルイス酸やアクセプター化合物がある。好ましい還元性ドーパントとしては、アルカリ金属,アルカリ金属化合物,アルカリ土類金属,希土類金属及びこれらの化合物がある。 本発明の有機EL素子においては、発光層は、(1) 注入機能;電界印加時に陽極又は正孔注入層より正孔を注入することができ、陰極又は電子注入層より電子を注入することができる機能(2) 輸送機能;注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる機能(3) 発光機能;電子と正孔の再結合の場を提供し、これを発光につなげる機能を有する。 この発光層を形成する方法としては、例えば蒸着法、スピンコート法、LB法等の公知の方法を適用することができる。発光層は、特に分子堆積膜であることが好ましい。ここで分子堆積膜とは、気相状態の材料化合物から沈着され形成された薄膜や、溶液状態または液相状態の材料化合物から固体化され形成された膜のことであり、通常この分子堆積膜は、LB法により形成された薄膜(分子累積膜)とは凝集構造、高次構造の相違や、それに起因する機能的な相違により区分することができる。 また特開昭57−51781号公報に開示されているように、樹脂等の結着剤と材料化合物とを溶剤に溶かして溶液とした後、これをスピンコート法等により薄膜化することによっても、発光層を形成することができる。 本発明においては、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、発光層に、本発明の発光材料以外の他の公知の発光材料を含有させてもよく、また、本発明の発光材料を含む発光層に、他の公知の発光材料を含む発光層を積層してもよい。 次に、正孔注入・輸送層は、発光層への正孔注入を助け、発光領域まで輸送する層であって、正孔移動度が大きく、イオン化エネルギーが通常5.5eV以下と小さい。このような正孔注入・輸送層としてはより低い電界強度で正孔を発光層に輸送する材料が好ましく、さらに正孔の移動度が、例えば104 〜106 V/cmの電界印加時に、少なくとも10-6cm2 /V・秒であるものが好ましい。このような材料としては、従来、光導伝材料において正孔の電荷輸送材料として慣用されているものや、有機EL素子の正孔注入層に使用されている公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。 そして、この正孔注入・輸送層を形成するには、正孔注入・輸送材料を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法等の公知の方法により薄膜化すればよい。この場合、正孔注入・輸送層としての膜厚は、特に制限はないが、通常は5nm〜5μmである。 次に、電子注入層・輸送層は、発光層への電子の注入を助け、発光領域まで輸送する層であって、電子移動度が大きく、また付着改善層は、この電子注入層の中で特に陰極との付着が良い材料からなる層である。電子注入層に用いられる材料としては、8−ヒドロキシキノリンまたはその誘導体の金属錯体が好適である。上記8−ヒドロキシキノリンまたはその誘導体の金属錯体の具体例としては、オキシン(一般に8−キノリノール又は8−ヒドロキシキノリン)のキレートを含む金属キレートオキシノイド化合物、例えばトリス(8−キノリノール)アルミニウムを電子注入材料として用いることができる。 また、一般に、超薄膜に電界を印可するために、リークやショートによる画素欠陥が生じやすい。これを防止するために、一対の電極間に絶縁性の薄膜層を挿入しても良い。 絶縁層に用いられる材料としては、例えば、酸化アルミニウム、弗化リチウム、酸化リチウム、弗化セシウム、酸化セシウム、酸化マグネシウム、弗化マグネシウム、酸化カルシウム、弗化カルシウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、酸化珪素、酸化ゲルマニウム、窒化珪素、窒化ホウ素、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化バナジウム等が挙げられる。これらの混合物や積層物を用いてもよい。 次に、本発明の有機EL素子を作製する方法については、例えば上記の材料及び方法により陽極、発光層、必要に応じて正孔注入層、及び必要に応じて電子注入層を形成し、最後に陰極を形成すればよい。また、陰極から陽極へ、前記と逆の順序で有機EL素子を作製することもできる。 以下、透光性基板上に、陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極が順次設けられた構成の有機EL素子の作製例について説明する。 まず、適当な透光性基板上に、陽極材料からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの範囲の膜厚になるように、蒸着法あるいはスパッタリング法により形成し、陽極とする。次に、この陽極上に正孔注入層を設ける。正孔注入層の形成は、前述したように真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法等の方法により行うことができるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが発生しにくい等の点から真空蒸着法により形成することが好ましい。真空蒸着法により正孔注入層を形成する場合、その蒸着条件は使用する化合物(正孔注入層の材料)、目的とする正孔注入層の結晶構造や再結合構造等により異なるが、一般に蒸着源温度50〜450℃、真空度10-7〜10-3torr、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、膜厚5nm〜5μmの範囲で適宜選択することが好ましい。 次に、この正孔注入層上に発光層を設ける。この発光層の形成も、本発明に係る発光材料を用いて真空蒸着法、スパッタリング、スピンコート法、キャスト法等の方法により、発光材料を薄膜化することにより形成できるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが発生しにくい等の点から真空蒸着法により形成することが好ましい。真空蒸着法により発光層を形成する場合、その蒸着条件は使用する化合物により異なるが、一般的に正孔注入層の形成と同様な条件範囲の中から選択することができる。膜厚は10〜40nmの範囲が好ましい。 次に、この発光層上に電子注入層を設ける。この場合にも正孔注入層、発光層と同様、均質な膜を得る必要から真空蒸着法により形成することが好ましい。蒸着条件は正孔注入層、発光層と同様の条件範囲から選択することができる。 そして、最後に陰極を積層して有機EL素子を得ることができる。陰極は金属から構成されるもので、蒸着法、スパッタリングを用いることができる。しかし、下地の有機物層を製膜時の損傷から守るためには真空蒸着法が好ましい。 以上の有機EL素子の作製は、一回の真空引きで、一貫して陽極から陰極まで作製することが好ましい。 この有機EL素子に直流電圧を印加する場合、陽極を+、陰極を−の極性にして、3〜40Vの電圧を印加すると、発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れず、発光は全く生じない。さらに、交流電圧を印加した場合には、陽極が+、陰極が−の極性になった時のみ均一な発光が観測される。この場合、印加する交流の波形は任意でよい。 次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。合成例1(10-(2-ナフチル) アントラセン-9- ボロン酸の合成) Ar雰囲気下、20リットルのフラスコに、2-ナフタレンボロン酸549g(東京化成社製)、9-ブロモアントラセン684g(東京化成社製)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)61.5g (東京化成社製)、トルエン 4.9リットル(広島和光社製)及び炭酸ナトリウム845.9g(広島和光社製)を水 4.9リットルに溶解したものを入れ、還流しながら24時間加熱攪拌を行った。反応後、室温まで冷却し、析出した結晶を濾取した。これをトルエンで再結晶し、751gの結晶を得た。 Ar雰囲気下、20リットルのフラスコに、この結晶750gと脱水処理したDMF(ジメチルホルムアミド)10リットル(広島和光社製)を入れ、80℃に加熱し、原料を溶解後、50℃でN-ブロモコハク酸イミド482.4g(広島和光社製)を加え、2 時間攪拌した。反応終了後、精製水20リットルの中に反応液を注入し、析出した結晶を濾取した。これをトルエンで再結晶し、689gの結晶を得た。 Ar雰囲気下、20リットルのフラスコに、この結晶588gと脱水処理したエーテル 4.5リットル(広島和光社製)及び脱水処理したトルエン 4.5リットル(広島和光社製)を加え、ドライアイスバスにて‐64℃にした。これに1.6Mブチルリチウム/ヘキサン溶液 1.2リットル(広島和光社製)を30分かけて滴下し、‐64℃にて2時間反応させた。これにボロン酸トリイソプロピルエステル866g(東京化成社製)を20分間かけて滴下した。滴下後室温に戻し、12時間攪拌した。これを氷冷し、10℃以下にて2Nの塩酸を4リットル添加し、トルエン1リットルを加えた。これを分液し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、ヘキサンを加え、析出した結晶を濾取した。これをTHF(テトラヒドロフラン)5リットルに溶解させ、濃塩酸 500ミリリットル、テトラブチルアンモニウムブロマイド5gを添加し、12時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、乾燥後、431gの結晶が得られた。 この化合物のFD-MS (フィールドディソープションマス分析)を測定したところ、 C24H17BO2=348 に対し、 m/z=348 が得られたことから、この化合物を10-(2-ナフチル) アントラセン-9- ボロン酸と同定した(収率47%)。合成例2(2-(4- ブロモフェニル) ナフタレンの合成) Ar雰囲気下、 300ミリリットルのフラスコに、2-ナフタレンボロン酸7.1g(東京化成社製)、4-ヨードブロモベンゼン 12.9g(東京化成社製)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.6g(東京化成社製)、炭酸ナトリウム 12.7g(広島和光社製)を水60ミリリットルに溶解したものを入れ、還流しながら24時間加熱攪拌を行った。反応後、室温まで冷却し、析出した結晶を濾取した。これをトルエンで再結晶し、9.0gの結晶を得た。 この化合物のFD-MS を測定したところ、C16H11Br=283 に対し、 m/z=284 、282 が得られたことから、この化合物を2-(4- ブロモフェニル) ナフタレンと同定した(収率77%)。合成例3(3-(4- ブロモフェニル) フルオランテンの合成) Ar雰囲気下、 500ミリリットルのフラスコにフルオランテン 62gと脱水処理したDMF250ミリリットル(広島和光社製)を入れ、80℃に加熱し、原料を溶解後、50℃でN-ブロモコハク酸イミド 60g(広島和光社製)を加え、2時間攪拌した。反応終了後、精製水 500ミリリットルの中に反応液を注入し、析出した結晶を濾取した。これをカラムクロマトグラフィーで精製し、10.5g の結晶を得た。 Ar雰囲気下、 500ミリリットルのフラスコにこの結晶 10.0gと脱水処理したエーテル 120ミリリットル(広島和光社製)及び脱水処理したトルエン 120ミリリットル(広島和光社製)を加え、ドライアイスバスにて‐64℃にした。1.6Mブチルリチウム/ヘキサン溶液25ミリリットル(広島和光社製)を30分かけて滴下し、‐64℃にて2時間反応させた。これにボロン酸トリイソプロピルエステル8g(東京化成社製)を20分間かけて滴下した。滴下後室温に戻し、12時間攪拌した。これを氷冷し、10℃以下にて2Nの塩酸を 100ミリリットル添加し、トルエン25ミリリットルを加えた。これを分液し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、ヘキサンを加え、析出した結晶を濾取した。これをTHF120ミリリットルに溶解させ、濃塩酸15ミリリットル、テトラブチルアンモニウムブロマイド 0.15gを添加し、12時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、乾燥後、7.0gの3-フルオランテンボロン酸の結晶が得られた。 Ar雰囲気下、 300ミリリットルのフラスコに、この結晶7.0g(東京化成社製)、4-ヨードブロモベンゼン9.0g(東京化成社製)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.6g(東京化成社製)、炭酸ナトリウム 12.7g(広島和光社製)を水60ミリリットルに溶解したものを入れ、還流しながら24時間加熱攪拌を行った。反応後、室温まで冷却し、析出した結晶を濾取した。これをトルエンで再結晶し、6.4gの結晶を得た。 この化合物のFD-MS を測定したところ、C22H15Br=357 に対し、 m/z=358 、356 が得られたことから、この化合物を3-(4- ブロモフェニル) フルオランテンと同定した(収率6%)。合成例4(10-(3-フルオランテニル) アントラセン-9- ボロン酸の合成) Ar雰囲気下、 300ミリリットルのフラスコに、3-フルオランテンボロン酸7.85g 、9-ブロモアントラセン6.84g (東京化成社製)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.6g(東京化成社製)、トルエン50ミリリットル(広島和光社製)及び炭酸ナトリウム8.5g(広島和光社製)を水50ミリリットルに溶解したものを入れ、還流しながら24時間加熱攪拌を行った。反応後、室温まで冷却し、析出した結晶を濾取した。これをトルエンで再結晶し、4.6gの結晶を得た。 Ar雰囲気下、 300ミリリットルのフラスコにこの結晶4.5gと脱水処理したDMF100ミリリットル(広島和光社製)を入れ、80℃に加熱し、原料を溶解後、50℃でN-ブロモコハク酸イミド2.3g(広島和光社製)を加え、2時間攪拌した。反応終了後、精製水 200ミリリットルの中に反応液を注入し、析出した結晶を濾取した。これをトルエンで再結晶し、4.5gの結晶を得た。 Ar雰囲気下、 300ミリリットルのフラスコにこの結晶4.5gと脱水処理したエーテル50ミリリットル(広島和光社製)及び脱水処理したトルエン50ミリリットル(広島和光社製)を加え、ドライアイスバスにて‐64℃にした。1.6Mブチルリチウム/ヘキサン溶液7ミリリットル(広島和光社製)を30分かけて滴下し、‐64℃にて2時間反応させた。これにボロン酸トリイソプロピルエステル5.6g(東京化成社製)を20分間かけて滴下した。滴下後室温に戻し、12時間攪拌した。これを氷冷し、10℃以下にて2Nの塩酸を40ミリリットル添加し、トルエン10ミリリットルを加えた。これを分液し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、ヘキサンを加え、析出した結晶を濾取した。これをTHF 50ミリリットルに溶解させ、濃塩酸5ミリリットル、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.1gを添加し、12時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、乾燥後、3.6gの結晶が得られた。 この化合物のFD-MS を測定したところ、 C30H19BO2=422 に対し、 m/z=422 が得られたことから、この化合物を10-(3-フルオランテニル) アントラセン-9- ボロン酸と同定した(収率32%)。合成例5(1-(4- ブロモフェニル)ナフタレンの合成) 合成例2において、2-ナフタレンボロン酸の代わりに1-ナフタレンボロン酸を用いた以外は同様に実施し、無色の油状物29.9g を得た。 この化合物のFD-MS を測定したところ、C16H11Br=283 に対し、 m/z=284 ,282 が得られたことから、この化合物を1-(4- ブロモフェニル)ナフタレンと同定した(収率88%)。合成例6(2-(3- ブロモフェニル)ナフタレンの合成) 合成例2において、4-ヨードブロモベンゼンの代わりに3-ヨードブロモベンゼンを用いた以外は同様に実施し、無色の油状物20.1g を得た。 この化合物のFD-MS を測定したところ、C16H11Br=283 に対し、 m/z=284 ,282 が得られたことから、この化合物を2-(3- ブロモフェニル)ナフタレンと同定した(収率75%)。実施例1(化合物(AN8)の合成) Ar雰囲気下、 300ミリリットルのフラスコに、合成例1で得られた10-(2-ナフチル) アントラセン-9- ボロン酸5.98g 、合成例2で得られた2-(4- ブロモフェニル) ナフタレン4.05g 、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.33g (東京化成社製)、1,2-ジメトキシエタン60ミリリットル(広島和光社製)及び炭酸ナトリウム 4.55g(広島和光社製)を水21ミリリットルに溶解したものを入れ、還流しながら24時間加熱攪拌を行った。反応後、室温まで冷却し、析出した結晶を濾取した。この化合物をカラムクロマトグラフィーにて精製し、3.4gの淡黄色固体を得た。 この化合物のFD-MS を測定したところ、C40H26=506 に対し、 m/z=506 が得られたことから、この化合物をAN8と同定した(収率47%)。実施例2(化合物(AN10)の合成) Ar雰囲気下、 300ミリリットルのフラスコに、合成例1で得られた10-(2-ナフチル) アントラセン-9- ボロン酸 5.98g、合成例3で得られた3-(4- ブロモフェニル) フルオランテン5.13g 、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.33g(東京化成社製)、1,2-ジメトキシエタン60ミリリットル(広島和光社製)及び炭酸ナトリウム 4.55g(広島和光社製)を水21ミリリットルに溶解したものを入れ、還流しながら24時間加熱攪拌を行った。反応後、室温まで冷却し、析出した結晶を濾取した。この化合物をカラムクロマトグラフィーにて精製し、3.3gの淡黄色固体を得た。 この化合物のFD-MS を測定したところ、C46H28=580 に対し、 m/z=580 が得られたことから、この化合物をAN10と同定した(収率40%)。実施例3(化合物(AN28)の合成) Ar雰囲気下、 300ミリリットルのフラスコに、合成例4で得られた10-(3-フルオランテニル) アントラセン-9- ボロン酸 7.24g、合成例2で得られた2-(4- ブロモフェニル) ナフタレン 4.05g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.33g(東京化成社製)、1,2-ジメトキシエタン60ミリリットル(広島和光社製)及び炭酸ナトリウム 4.55g(広島和光社製)を水21ミリリットルに溶解したものを入れ、還流しながら24時間加熱攪拌を行った。反応後、室温まで冷却し、析出した結晶を濾取した。この化合物をカラムクロマトグラフィーにて精製し、3.6gの淡黄色固体を得た。 この化合物のFD-MS はC46H28=580 に対し、 m/z=580 が得られたことから、この化合物をAN28と同定した(収率43%)。実施例4(化合物(AN30)の合成) Ar雰囲気下、 300ミリリットルのフラスコに、合成例4で得られた10-(3-フルオランテニル) アントラセン-9- ボロン酸 7.24g、合成例3で得られた3-(4- ブロモフェニル) フルオランテン 5.13g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 0.33g(東京化成社製)、1,2-ジメトキシエタン60ミリリットル(広島和光社製)及び炭酸ナトリウム 4.55g(広島和光社製)を水21ミリリットルに溶解したものを入れ、還流しながら24時間加熱攪拌を行った。反応後、室温まで冷却し、析出した結晶を濾取した。この化合物をカラムクロマトグラフィーにて精製し、3.1gの淡黄色固体を得た。 この化合物のFD-MS はC52H30=654 に対し、 m/z=654 が得られたことから、この化合物をAN30と同定した(収率33%)。実施例5(有機EL素子の製造) 25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極付きガラス基板(ジオマティック社製)をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行なった後、UVオゾン洗浄を30分間行なった。洗浄後の透明電極ライン付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極ラインが形成されている側の面上に前記透明電極を覆うようにして膜厚60nmの下記N,N’−ビス(N,N’−ジフェニル−4−アミノフェニル)−N,N−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−1,1’−ビフェニル膜(以下、TPD232膜)を成膜した。このTPD232膜は、正孔注入層として機能する。続いて、このTPD232膜上に膜厚20nmの下記N,N,N’,N’−テトラ(4−ビフェニル)−ジアミノビフェニレン膜(以下、TBDB膜)を成膜した。この膜は正孔輸送層として機能する。さらにTBDB膜上に、発光材料として膜厚40nmの化合物(AN8)を蒸着し成膜した。同時に発光分子として、下記のスチリル基を有する下記アミン化合物D1をAN8に対し、重量比でAN8:D1=40:2で蒸着した。この膜は、発光層として機能する。この膜上に膜厚1 0nmのAlq膜を成膜した。これは、電子注入層として機能する。この後、還元性ト゛ーパントであるLi(Li源:サエスゲッター社製)とAlqを二元蒸着させ、電子注入層(陰極)としてAlq:Li膜(膜厚10nm)を形成した。このAlq:Li膜上に金属Alを蒸着させ金属陰極を形成し有機EL素子を製造した。 得られた有機EL素子について、発光効率と、初期輝度を1000nit で通常の使用環境下での半減寿命を測定した。それらの結果を表1に示す。実施例6〜8(有機EL素子の製造) 実施例5において、発光材料として、AN8の代わりに表1に記載の化合物を用いたこと以外は同様にして有機EL素子を製造し、発光効率と、初期輝度を1000nit で通常の使用環境下での半減寿命を測定した。それらの結果を表1に示す。実施例9(有機EL素子の製造) 実施例5において、スチリル基を有するアミン化合物D1の代わりに、下記芳香族アミンD2を用いたこと以外は同様にして有機EL素子を製造し、発光効率と、初期輝度を1000nit で通常の使用環境下での半減寿命を測定した。それらの結果を表1に示す。実施例10(化合物(AN7)の合成) 実施例1において、2-(4- ブロモフェニル) ナフタレンの代わりに、1-(4- ブロモフェニル)ナフタレンを用いた以外は同様に実施し、7.8gの淡黄色固体を得た。 この化合物のFD-MS を測定したところ、C40H26Br=506 に対しm/z=506 が得られたことから、この化合物をAN7と同定した(収率54%)。実施例11(化合物(AN49)の合成) 実施例1において、2-(4- ブロモフェニル) ナフタレンの代わりに、2-(3- ブロモフェニル)ナフタレンを用いた以外は同様に実施し、6.9gの淡黄色固体を得た。 この化合物のFD-MS を測定したところ、C40H26Br=506 に対しm/z=506 が得られたことから、この化合物をAN49と同定した(収率52%)。実施例12〜13(有機EL素子の製造) 実施例5において、発光材料として、AN8の代わりに表1に記載の化合物を用いたこと以外は同様にして有機EL素子を製造し、発光効率と、初期輝度を1000nit で通常の使用環境下での半減寿命を測定した。それらの結果を表1に示す。比較例1(有機EL素子の製造) 実施例5において、発光材料として、AN8の代わりにan1を用いたこと以外は同様にして有機EL素子を製造し、発光効率と、初期輝度を1000nit で通常の使用環境下での半減寿命を測定した。それらの結果を表1に示す。比較例2(有機EL素子の製造) 実施例5において、発光材料として、AN8の代わりにan2を用いたこと以外は同様にして有機EL素子を製造し、発光効率と、初期輝度を1000nit で通常の使用環境下での半減寿命を測定した。それらの結果を表1に示す。 表1に示したように、実施例5〜9及び12〜13の有機EL素子は、発光効率が高く、極めて長寿命であった。これに対し、比較例1及び2の有機EL素子は、発光効率が低い上、寿命も短かった。 以上、詳細に説明したように、本発明の有機EL素子及び本発明のアントラセン誘導体を用いた有機EL素子は、発光効率が高く、長寿命である。このため、長期間の継続使用が想定される有機EL素子として有用である。 下記一般式(2)で表されるアントラセン誘導体。{式中、Arは、置換もしくは無置換の1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基又は下記式である。 Ar’は置換もしくは無置換の核炭素数6〜50の芳香族基である。 nは1〜3の整数である。 ただし、一般式(2)は、9,9−ジフェニルフルオレン構造を含まない。} 前記一般式(2)におけるArが、下記の一般式(Ar1 は、置換もしくは無置換の核炭素数6〜50の芳香族基である。)から選ばれる基である請求項1に記載のアントラセン誘導体。 有機エレクトロルミネッセンス素子用材料である請求項1又は2に記載のアントラセン誘導体。 陰極と陽極間に少なくとも発光層を含む一層又は複数層からなる有機薄膜層が挟持されている有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機薄膜層の少なくとも1層が、請求項1又は2に記載の一般式(2)で表されるアントラセン誘導体を単独もしくは混合物の成分として含有する有機エレクトロルミネッセンス素子。 前記発光層が、一般式(2)で表されるアントラセン誘導体を主成分として含有する請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。 前記発光層が、さらにアリールアミン化合物を含有する請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。 前記発光層が、さらにスチリルアミン化合物を含有する請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。


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