生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_銅を触媒とするアジドとアセチレンのライゲーション
出願番号:2004509665
年次:2006
IPC分類:C07D 249/06,B01J 23/72,B01J 37/16,C07D 249/04,C07D 403/06,C07J 43/00,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

シャープレス,バリー・ケイ フォーキン,ヴァレリー ロストフセフ,フセヴォロド グリーン,ルーク ヒモ,ファーミ JP 2006502099 公表特許公報(A) 20060119 2004509665 20030530 銅を触媒とするアジドとアセチレンのライゲーション ザ スクリプス リサーチ インスティテュート 501244222 奥山 尚一 100099623 有原 幸一 100096769 松島 鉄男 100107319 シャープレス,バリー・ケイ フォーキン,ヴァレリー ロストフセフ,フセヴォロド グリーン,ルーク ヒモ,ファーミ US 60/385,041 20020530 C07D 249/06 20060101AFI20051216BHJP B01J 23/72 20060101ALI20051216BHJP B01J 37/16 20060101ALI20051216BHJP C07D 249/04 20060101ALI20051216BHJP C07D 403/06 20060101ALI20051216BHJP C07J 43/00 20060101ALI20051216BHJP C07B 61/00 20060101ALN20051216BHJP JPC07D249/06C07D249/06 501B01J23/72 ZB01J37/16C07D249/04 501C07D403/06C07J43/00C07B61/00 300 AP(GH,GM,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IT,LU,MC,NL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,OM,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW US2003017311 20030530 WO2003101972 20031211 20 20050131 4C063 4C091 4G169 4H039 4C063AA01 4C063BB03 4C063CC42 4C063DD07 4C063EE05 4C091AA01 4C091BB03 4C091BB04 4C091BB07 4C091CC01 4C091DD01 4C091EE04 4C091FF01 4C091GG01 4C091HH01 4C091JJ01 4C091KK01 4C091LL01 4C091MM03 4C091NN01 4C091PA03 4C091PA09 4C091PA13 4C091QQ01 4C091RR08 4G169AA06 4G169BA21C 4G169BA36A 4G169BC10C 4G169BC11C 4G169BC16C 4G169BC31A 4G169BC31B 4G169BC31C 4G169BC32A 4G169BC33A 4G169BC34A 4G169BC35C 4G169BC51A 4G169BC58C 4G169BC60A 4G169BC62C 4G169BC65A 4G169BC65C 4G169BC71A 4G169BC72A 4G169BC75A 4G169BE06C 4G169BE08C 4G169BE10C 4G169BE14C 4G169BE21C 4G169BE36C 4G169BE37C 4G169CB25 4G169CB38 4G169CB59 4G169FB43 4G169FB77 4G169FC04 4G169FC10 4H039CA42 4H039CH40 本発明は、銅(I)を触媒とする段階的Huisgen付加環化法に関する。より詳細には、本発明は、トリアゾールを生成するための、銅を触媒とするアジドと末端アルキンの位置選択的クリックケミストリーライゲーションに関する。 Huisgen 1,3−双極子付加環化は、二つの不飽和反応体を接合する発エルゴン融合反応である(R.Huisgen,in 1,3−Dipolar Cycloaddition Chemistry,(Ed.:A.Padwa),Wiley,New York,1984,pp.1−176;およびA.Padwa,in Comprehensive Organic Synthesis,(Ed.:B.M.Trost),Pergamon,Oxford,1991,Vol.4,pp1069−1109)。不斉1,3−双極子付加環化反応の総説については、K.V.Gothelf,et al.,Chem.Rev.1998,98,863−909を参照されたい。1,3−双極子付加環化の合成応用の総説については、J.Mulzer,Org.Synth.Highlights 1991,77−95を参照されたい。Huisgen1,3−双極子付加環化によって、実に様々な5員複素環を迅速に入手することができる。(a)W.−Q.Fan,et al.,in Comprehensive Heterocyclic Chemistry II,(Eds.:A.R.Katritzky,et al.),Pergamon,Oxford,1996,Vol.4,pp.101−126;b)R.N.Butler in Comprehensive Heterocyclic Chemistry II,(Eds.:A.R.Katritzky,et al.),Pergamon,Oxford,1996,Vol.4,pp.621−678;およびc)K.Banert,Chem.Ber.1989,122,911−918)。トリアゾールを得るためのアジドとアルキンの付加環化は、恐らくこの系列の最も有用な構成員といえるだろう(a)R.Huisgen,Pure Appl.Chem.1989,61,613−628;b)R.Huisgen,et al.,Chem.Ber.1967,100,2494−2507;c)W.Lwowski in 1,3−Dipolar Cycloaddition Chemistry,(Ed.:A.Padwa),Wiley,New York,1984;Vol.1,Chapter 5;d)J.Bastide,et al.,Bull.Soc.Chim.Fr.1973,2555−2579,2871−2887)。しかし、おそらく有機アジドを用いる作業の安全性についての懸念から、純粋な分野においても、応用分野においても、合成化学は、この転移に対して、それに値する特別な注意を払っていない。アジド以外の1,3−双極子のほうが実際の付加環化工程が速く、および/または位置選択的である場合もあるが、誘導するため、および多くの合成工程を通して隠し持つためには、アジドが断然、最高に便利である。実際、それは、副反応がほぼ無い、たった原子3個の双極子であるように見える。 アジドは、有機合成において瞬間的にしか登場しないが、窒素置換基を導入するための最も信頼できる手段の一つとしての役割を果たしているのが、−R−X → [R−N3] → R−NH2である。このようなアジド中間体は、一般に直ちにアミンに還元されるため、角括弧の中に示される。アジド基それ自体によってもたらされるユニークな反応性に影響を及ぼす応用法は、Aube、BanertおよびStoddart(a)の研究所からの以下の参考文献により開示されている:(a)P.Desai,et al.,J.Am Chem.Soc.2000,122,7226−7232;b)K.Banert,Targets in Heterocyclic Systems 1999,3,1−32;K.Banert,Liebigs Ann./Recl.1997,2005−18;c)J.Cao,et al.,J.Org.Chem.2000,65,1937−46、およびそれらの中に引用されている参考文献。アジドの化学は危険であり得るが、これらの試薬での作業の危険は、適切な安全対策を施すことによって最小にすることができる。アジドは、クリックケミストリーにとって非常に重要な官能基として化学的に重要である(H.C.Kolb,et al.,Angew.Chem.Int.Ed.2001,40,2004−2021)。クリックケミストリーにとってのアジドのユニークさは、H2O、O2、および大多数の有機合成条件に対するこれらの試薬の並外れた安定性に起因する。実際、有機アジド、特に、脂肪族系列のものは、酸素分子(ジオキシゲン)および水から生体細胞を構成する高官能化有機分子の水溶液に及ぶ一般的な反応性化学物質に対して非常に安定である(E.Saxon,et al.,Science 2000,287,2007−2010;およびK.L.Kiick,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2002,99,19−24)。アジド基の負荷スプリング形的性質は、良好な双極子試薬が都合よく与えられない限り、見えないままである。実際、それは、本発明者らの「インサイチュー・クリックケミストリー」という観念−今日までに知られているアセチルコリンエステラーゼの最も強力な非共有結合型阻害剤の発見をもたらしたアプローチ−を生んだこの付加環化法にとっての非常に鋭い反応性の手段であった(W.G.Lewis,et al.,Angew.Chem.Int.Ed.2002,41,1053−1057)。しかし、それでも、望ましいトリアゾール形成性付加環化は、高温を必要とする可能性があり、また、そのアセチレン成分がカルボニルまたは過フルオロアルキルなどの電子求引性基に結合していない限り、いかなる場合でも、通常は1,4−および1,5−位置異性体の混合物を生じる(図1A)(J.Bastide,et al.,Bull.Chim.Soc.Fr.1973,2294−2296;N.P.Stepanova,et al.,Zh.Org.Khim.1985,21,979−983;N.P.Stepanova,et al.,Zh.Org.Khim.1989,25,1613−1618;およびD.Clarke,et al.,J.Chem.Soc.Perkin Trans.1 1997,1799−1804)。 この1,4−対1,5−位置選択性の問題を調整するための努力は、様々な成功を遂げている(P.Zanirato,J.Chem.Soc.Perkin Trans./1991,2789−2796;D.J.Hlasta,et al.,J.Org.Chem.1994,59,6184−6189;C.A.Booth,et al.,Tet.Lett.1998,39,6987−6990;S.J.Howell,et al.,Tetrahedron 2001,57,4945−4954;W.L.Mock,et al.,J.Org.Chem.,1989,54,5302−5308;W.L.Mock Top.Curr.Chem.1995,175,1−24;J.Chen,et al.,Org.Lett.2002,4,327−329;J.W.Wijnen,et al.,Tet.Lett.1995,36,5389−5392;M.P.Repasky,et al.,Faraday Discuss.1998,110,379−389)。 一つの報告では、銅(I)を触媒とするペプチドトリアゾールの位置特異的合成が、遊離アジドと固体支持体に結合させた末端アセチレンを使用して、有機溶媒中で達成された(C.W.Tornoe,et al.,J.Org.Chem.2002,67,3057)。反応体は、等モルではなかった。より以前の報告により、アセチレン基を有する二官能性試薬とインサイチューで生成されたアジドからの、銅(I)の存在下での、低収率副生成物としての、トリアゾールの生成が開示されている(G.L’abbe,Bull.Soc.Chim.Belg.1984,93,579−592)。 本発明の一つの態様は、トリアゾール部分を有する生成物を生成するための末端アルキン部分を有する第一反応体とアジド部分を有する第二反応体とのクリックケミストリーライゲーション反応を触媒する方法に関する。より詳細には、前記クリックケミストリーライゲーション反応は、インサイチューで前記Cu(II)をCu(I)に還元するための還元剤の存在下で触媒量のCu(II)を添加することによって触媒される。好ましい還元剤には、アスコルビン酸塩、金属銅、キノン、ヒドロキノン、ビタミンK1、グルタチオン、システイン、Fe2+、Co2+、および印加電位が含まれる。さらに好ましい還元剤には、Al、Be、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、NiおよびZnから成る群より選択される金属が含まれる。 本発明の別の態様において、トリアゾール部分を有する生成物を生成するための末端アルキン部分を有する第一反応体とアジド部分を有する第二反応体とのクリックケミストリーライゲーション反応は、金属銅と接触している溶液中でそのクリックケミストリーライゲーション反応を行うことによって触媒される。前記金属銅は、そのクリックケミストリーライゲーション反応に対する触媒作用に直接的または間接的に寄与する。好ましい方式では、前記溶液は、水溶液である。前記第一および第二反応体は、そのクリックケミストリーライゲーション反応中、等モル量で存在しうる。また、このクリックケミストリーライゲーション反応は、少なくとも部分的に銅容器と接触している溶液中で行うことができる。 本発明のもう一つの態様において、トリアゾール部分を有する生成物を生成するための末端アルキン部分を有する第一反応体とアジド部分を有する第二反応体とのクリックケミストリーライゲーション反応は、Au、Ag、Hg、Cd、Zr、Ru、Fe、Co、Pt、Pd、Ni、RhおよびWから成る群より選択される金属イオンを有する触媒量の金属塩を添加することにより触媒される。本発明のこの態様の好ましい方式では、クリックケミストリーライゲーション反応は、前記金属イオンを触媒活性形に還元するための還元剤の存在下で行われる。好ましい還元剤には、アスコルビン酸塩、キノン、ヒドロキノン、ビタミンK1、グルタチオン、システイン、Fe2+、Co2+、印加電位、ならびにAl、Be、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、NiおよびZnから成る群より選択される金属が含まれる。 本発明のもう一つの態様において、トリアゾール部分を有する生成物を生成するための末端アルキン部分を有する第一反応体とアジド部分を有する第二反応体とのクリックケミストリーライゲーション反応は、水溶液中で行われ、触媒量の銅(I)によって触媒される。本発明のこの態様の好ましい方式では、前記第一および第二反応体は、等モル量で存在する。 本発明のもう一つの態様において、トリアゾール部分を有する生成物を生成するための末端アルキン部分を有する第一反応体とアジド部分を有する第二反応体とのクリックケミストリーライゲーション反応は、触媒量の銅(I)によって触媒され、一方、前記第一および第二反応体は、等モル量で存在する。本発明のこの態様の好ましい方式では、クリックケミストリーライゲーション反応は、水溶液中で行われる。 本発明のもう一つの態様において、トリアゾール部分を有する生成物を生成するための末端アルキン部分を有する第一反応体とアジド部分を有する第二反応体とのクリックケミストリーライゲーション反応は、触媒量の銅(I)を含有する溶液中で行われる。しかし、この場合、前記第一反応体または第二反応体のいずれか一方が毒性であるか、高価であり、残りの反応体がモル過剰で存在することを条件とする。 本発明のもう一つの態様において、トリアゾール部分を有する生成物を生成するための末端アルキン部分を有する第一反応体とアジド部分を有する第二反応体とのクリックケミストリーライゲーション反応は、細胞内で行われる。前記細胞は、クリックケミストリーライゲーション反応を触媒するために充分な触媒量の銅(I)を含有するタイプのものである。前記銅(I)は、前記クリックケミストリーライゲーション反応に対する触媒作用に寄与する。 本発明のもう一つの態様において、トリアゾール部分を有する生成物を生成するための末端アルキン部分を有する第一反応体とアジド部分を有する第二反応体とのクリックケミストリーライゲーション反応は、触媒量の金属イオンを含有する溶媒中で行われる。前記金属イオンは、Cu、Au、Ag、Hg、Cd、Zr、Ru、Fe、Co、Pt、Pd、Ni、RhおよびWから成る金属群より選択される。前記金属イオンは、前記クリックケミストリーライゲーション反応に対する触媒作用に直接的または間接的に寄与する。前記金属イオンは、リガンドと配位結合して、前記溶媒中のそうした金属イオンを可溶化し、そうした金属イオンの酸化を阻害し、および前記金属イオンによるクリックケミストリーライゲーション反応の触媒作用中にそうした金属イオンから全部または一部解離する。好ましいリガンドは、アセトニトリルである。もう一つの好ましいリガンドは、シアン化物、ニトリルまたはイソニトリルである。もう一つの好ましいリガンドは、水である。他の好ましいリガンドには、ニトリル、イソニトリル、第一、第二または第三アミン、窒素含有複素環、カルボン酸塩、ハロゲン化物、アルコール、チオール、硫化物、ホスフィンおよび亜リン酸塩が含まれる。他の好ましいリガンドは、多価であり、ニトリル、イソニトリル、第一、第二または第三アミン、窒素含有複素環、カルボン酸塩、ハロゲン化物、アルコール、チオール、硫化物、ホスフィンおよび亜リン酸塩から成る群より選択される一つ以上の官能基を含む。 本発明のもう一つの態様は、トリアゾール部分を有する生成物を生成するための反応性中間体に関する。前記反応性中間体は、下記6員環構造:によって表される。上記の構造において、R1は、4−トリアゾール置換基であり、R2は、1−トリアゾール置換基であり、Lは、Cuリガンドであり、および「n」は、1、2または3である。 本発明のもう一つの態様は、トリアゾールを生成するための反応性中間体に関する。前記反応性中間体は、下記6員環構造:によって表される。上記の構造において、R1は、4−トリアゾール置換基として用いることができ、R2は、1−トリアゾール置換基として用いることができ、Lは、Cuリガンドであり、および「n」は、1、2、3または4である。 本発明のも一つの態様は、トリアゾールを伴うアミン含有分子を誘導する二段法に関する。この方法の第一工程では、アミン含有分子を誘導して、末端アルキンを生成する。その後、触媒量のCuの存在下でアジド含有分子を添加することにより、第一工程の生成物をアジド含有分子とライゲートして、アミン含有分子のトリアゾール誘導体を生成する。 本発明のもう一つの態様は、多価トリアゾールを生成するための一段法に関する。この方法では、触媒量のCuの存在下で末端アルキンを有する分子を添加することにより、ポリアジド核を誘導する。 本発明のもう一つの態様は、多価トリアゾールを生成するための一段法に関する。この方法では、触媒量のCuの存在下でアジド含有分子を添加することにより、ポリアルキン核を誘導する。 (詳細な説明) 本方法は、実験が簡単であり、見たところ、非常に多くの範囲を有する。多数の銅(I)源を直接用いることができるが(下記参照)、CuI塩と比べて安価であり、多くの場合、純粋であるCuII塩(CuSO4・5H2Oがよく役立っている)の還元により、この触媒が、インサイチューでより良好に調製されることを開示する。還元剤としては、触媒ローディング0.25〜2mol%で、高収率、高純度の幅広いスペクトルの1,4−トリアゾール生成物の調製を可能にするため、アスコルビン酸および/またはアルコルビン酸ナトリウムが非常に優れていると判明した。L−アスコルビン酸と遷移金属の反応についての総説は、M.B.Davies Polyhedron 1992,11,285−321およびその中に引用されている参考文献を参照されたい。アスコルビン酸の酸化還元特性は、C.Creutz Inorg.Chem.1981,20,4449にまとめられている。この反応は、見たところ非常に寛容であり、特別な対策は一切必要としない。t−ブタノールまたはエタノールの水溶液、および非常に重要なものとしては有機系補助溶媒を含有しない水を含む様々な溶媒中、常温で、6時間から36時間で完了まで進む。出発原料が反応溶媒に溶解している必要はない。この反応は、適切な攪拌さえ維持されれば効率的に進行するようである。殆どの実験は、中性pH付近で行ったが、この触媒は、約4から12の範囲のpH値でよく進行するようである。この触媒法は、非常にしっかりしており、通常の反応パラメータには反応しない。 さらに、Cu0も触媒種の供給源として使用できることを開示する。これらの反応は、完了まで進むのにより長い時間がかかるが、実験手順は極めて簡単である。例えば、登録番号2に示されているビス−トリアゾール(図3A)は、対応するアジドおよびアセチレン成分を24時間、約2gの金属銅の削りくずとともに攪拌した後、定量的に得られた。その削りくずを反応終了時に除去し、単純な濾過によって純粋な白色生成物を回収した。 2:1の水/t−ブタノール混合物中、5mol%のアスコルビン酸ナトリウムおよび1mol%の硫酸銅(II)の存在下での、フェニルプロパルギルエーテルとベンジルアジドの反応は、蓋をしたシンチレーションバイアルの中で、8時間、室温で攪拌した後、別に酸素を排除する努力をすることなく、91%の収率で1,4−二置換トリアゾール生成物を生じた[反応式(2)]。その生成物の位置化学を、NOE実験によって証明し、X線結晶分析によって確認した。 比較のために、これらの基質間の熱反応(ニート、92℃、18時間)では、図1Aに示されているように、1,4−異性体を優先的に、1.6:1の比率で両方の位置異性体が得られた。 この銅を触媒とするトリアゾール合成の範囲の一部を、図3AおよびB中の例で示す。官能基の干渉がないことに、特にご注目いただきたい。これらのトリアゾールは、試薬を攪拌することおよび純粋な生成物を濾過することより多くのことを一般に殆ど含まない手順を用いて得られる。様々な置換第一、第二、第三および芳香族アジドが、この転移に直ちに関与する。アセチレン成分の変化に対する許容度も極めてよい。 銅(I)塩、例えば、CuI、CuOTf・C6H6および[Cu(NCCH3)4]PF6は、還元剤が不在の状態で直接使用するすることもできる。これらの反応は、補助触媒としてのアセトニトリルと一当量の窒素塩基(例えば、2,6−ルチジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、またはピリジン)を通常必要とする。しかし、望ましくない副生成物、主として、ジアセチレン、ビス−トリアゾールおよび5−ヒドロキシトリアゾールの生成がしばしば観察される。銅(I)錯体と酸素分子の反応に関する最近の概括については、S.Schindler Eur.J.Inorg.Chem.2000,2311−2326、およびA.G.Blackman,W.B.Tolman in Structure and Bonding,B.Meunier,Ed.,Springer−Verlag,Berlin,Heidelberg,2000,vol.97,p.179−211を参照されたい。CuI種の直接使用に伴うこの複雑さは、2,6−ルチジンを使用すると最小限に抑えられ、酸素を排除することにより、生成物の純度および収率がさらに改善された。例えば、エチルプロピオレートおよびアジ化ベンジルは、この手順を使用すると、対応する1,4−トリアゾールを収率55%で生じたが、1当量のトリエチルアミンを用い、酸素を排除しないと、わずかな量の生成物しか得られなかった。広範なアセチレン成分およびアジド成分が、両方とも容易にアセトニトリル系の中で反応するにもかかわらず、本発明者らは、それらよりいっそう信頼性があり、単純なCuII/アスコルビン酸塩水溶液系(補助溶媒およびアミンバッファ/添加剤を伴うまたは伴わない)を選んでいる。 触媒サイクルについてのメカニズムの提案を図2に示す。それは、例外なく、銅(I)アセチリドiの生成で始まる(G.van Koten,J.G.Noltes in Comprehensive Organometallic Chemistry,G. Wilkinson,Ed.,Vol.2,chap.14,Pergamon Press,1982,720)。予想通り、分子内アルキンとの反応は、観察されない。約12〜15kcalまで、当該[2+3]付加環化(B−ダイレクト)を強く嫌う、また、6員の銅含有中間体iiiを経由して進行する段階的なアニーリング順序(B1→B2→B3)(M.P.Doyle,et al.,in Modern Catalytic Methods for Organic Synthesis with Diazo Compounds Wiley(New York),1997,163−248)を指し示す、納得させる証拠が、大量の密度関数理論計算によってもたらされることを本明細書にて開示する。それ故、用語「ライゲーション」は、銅(I)によって触媒される段階的[2+3]付加環化を本明細書では示す。 本明細書に記載するCuIを触媒とする転移−熱および加水分解安定性トリアゾール結合を導く「融合」法を高収率、且つ、簡単に行える−は、クリック反応の系列への理想的な追加である。この方法は、広い範囲を示し、1,4−二置換[1,2,3]−トリアゾール生成物を優れた収率、且つ、ほぼ完璧な位置選択性で提供する。銅(I)アセチリドと有機アジドの反応性は、実際上、停止不能であることを本明細書にて開示する。 この新規触媒法は、多様な構成単位間の共有結合の生成に依存する有機合成目的に対する前例のないレベルの選択性、信頼性および範囲をもたらす。この方法の能力を際立たせる幾つかの応用計画を図6〜8に示す。 実験手順: 17−[1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−エストラジオールの合成を例とする一般手順。17−エチニルエストラジオール(888mg、3mmol)および(S)−3−アジドプロパン−1,2−ジオール(352mg、3mmol)を、12mLの1:1 水/t−ブタノール混合物に懸濁させた。アスコルビン酸ナトリウム(0.3mmol、調製したての水中1M溶液300μL)を添加し、続いて硫酸銅(II)・五水和物(7.5mg、0.03mmol、水100μL中のもの)を添加した。その不均一混合物を一晩激しく攪拌し、その時点で透明になり、TLC分析は、反応体の完全消費を示した。その反応混合物を50mLの水で希釈し、氷で冷却して、濾過により白色の沈殿を回収した。冷水(2×25mL)で洗浄した後、沈殿を真空下で乾燥させて、1.17g(94%)の純粋な生成物がオフホワイトの粉末として得られた。融点228〜230℃。元素分析計算値:C 64.02%、H 7.71%、N 9.74%;実測値:C 64.06%、H 7.36%、N 9.64%。 還元環境効果: Cu(I)は、非常に容易にCu(II)に酸化される−主として酸素によるが、もっと弱い酸化剤であってもこれを達成することができる。加えて、Cu(I)は、アセチレンと他の有機銅種の酸化カップリングを媒介し、それによって、還元収量と汚染生成物がもたらされる。これらすべての問題は、弱い還元剤の使用によって回避することができる。アスコルビン酸塩、ヒドロキノン、他のキノン(ビタミンK1など)、銅の削りくず/銅線、グルタチオン、システイン、Fe2+、Co2+などの様々な還元剤を使用することができる。実際には、Cu(II)をCu(0)に急速に還元するような強力なものでない、どんな還元剤でも利用することができる。 リガンド:アセトニトリル効果 金属は、溶液中に「裸の状態」では存在しない−溶媒分子または「デザイナー」リガンドであるリガンドが、常に、配位領域に存在する。リガンドは、金属中心の反応性、ならびにその金属の酸化還元特性に対して重大な影響を及ぼし、(a)それらは、ある一定の酸化状態の金属を安定させることができ(例えば、本発明者らの場合、Cu(I)が望ましい形である)、(b)まさに重要なこととしては、それらは、触媒種をその溶液中に保ち、それによってその触媒作用を常に利用できるようにする。金属/リガンドの組合せが、望ましい転移付加環化(すなわち、この場合、ライゲーション)に対する触媒作用に有用であるためには、これらの要件を両方とも満たさねばならない。 銅媒介有機転移は、70年以上にわたって研究されており、その主題に関する文献は、相当広範囲である。従来技術の重要な教訓は、シアン化物および/またはニトリルが、Cu(I)の最良のリガンドの一部であり、この場合、Cu(I)は、通常、四配位されて、四面体錯体を形成するということである。実際、アセトニトリルは、Cu(I)に非常に強力に配位結合するため、[Cu(CH3CN)4]+PF6-錯体は、市販の酸素不感受性Cu(I)製剤である(すなわち、このCu(I)は、非反応性である)。反応性が本発明者らの目標である場合、この「過安定性」は、明らかに不利である。下に示す反応は、その点を説明するものである。水/アルコール混合物を溶媒として利用すると(両方ともCu(I)に対する弱いリガンドであることに留意したい)、この反応は、6時間未満で完了する。しかし、アセトニトリルを溶媒として使用すると、それ以外は同じ条件下で、24時間後でさえ全く反応が観察されない。 この現象を説明するために、この反応のメカニズムを思い出していただきたい。ライゲーションが進行するようにするために、アジドは、銅に配位結合せねばならず(工程B1)、一方のリガンドは、その金属の配位領域から除去せねばならず、強く配位結合しているアセトニトリルの場合、この工程はうまくいかない。 従って、有用な活性窓口を有するために、本発明者らは、金属に比較的よく結合し、それを適正な酸化状態、および溶液中で保つ(すなわち、高分子量沈殿を生成するところまで凝集しない)が、同時に、その金属中心を取り除いて、中間体iiを生成することができる(これは、触媒作用順序に必要な工程である)ようなリガンドを選択するか、設計することにする。手持ちの例を使用するために、トリエチルアミンまたは2,6−ルチジンなどのアミンを上記のアセトニトリル系に添加することによって、反応性の問題は解決される−約8時間後に定量収率で生成物が生成される。 好ましいリガンドには、シアン化物、ニトリル、イソニトリル、第一または第二アミン、カルボン酸塩、ハロゲン化物、アルコールおよびチオールが挙げられる。塩化物は、好ましいハロゲン化物であり、1〜5Mで最も良好に用いられる。ニトリル、イソニトリル、第一または第二アミン、カルボン酸塩、アルコールおよびチオールから選択される一つ以上の官能基を含む多価リガンドを用いてもよい。 他の金属触媒: このタイプの付加環化を触媒することができる金属は、Cuだけではない。中間体iiを生成することができさえすれば(すなわち、その金属が、配位結合により不飽和になるか、なることができさえすれば)、安定なアセチリドを生成することが知られている他の金属も利用できる。安定なアセチリドを生成することができる金属の例には、Cu、Au、Ag、Hg、Cd、Zr、Ru、Fe、Co、Pt、Pd、Ni、RhおよびWが挙げられる。正しい金属とリガンドの組合せを見つけることが重要である。銅は、水性系中で非常によく支持され、その結果、極めて簡単な実験手順および驚くべき官能基許容度をもたらすため、他の金属の中でもユニークである。 金属容器によるライゲーション反応に対する触媒作用: 金属容器を触媒種の供給源として使用して、ライゲーション反応を触媒することもできる。例えば、銅容器(Cu0)を利用して、反応を触媒することができる。必要なイオンを供給するには、反応溶液をその容器の表面の銅と物理的に接触させねばならない。あるいは、反応を非金属容器内で実施し、銅線、銅の削りくずまたは他の構造のものと反応溶液を接触させることによって、触媒金属イオンを供給する。これらの反応は、完了まで進行するのに時間がかかることがあるが、実験手順は極めて簡単である。例えば、登録番号2に示されているビス−トリアゾール(図3A)は、対応するアジドとアセチレン成分を24時間、約2gの金属銅の削りくずすとともに攪拌した後、定量収率で得られた。その削りくずを反応終了時に除去し、単純な濾過によって純粋な白色生成物を回収した。 別の還元剤: 金属を還元剤として利用して、Cu(I)触媒または他の金属触媒の酸化状態を維持することができる。好ましい金属還元剤には、Cu、Al、Be、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、NiおよびZnが含まれる。あるいは、印加電位を利用して、触媒の酸化状態を維持することができる。 インビボ触媒作用: 本反応は、新鮮なヒト血漿(蛋白質ローディング 65〜85mg/mL、Cazide=Calkyne=5mM;CCu+=100mM)中および全血中で良好に進行した。これは、銅種が、血漿タンパク質に高度に結合しているにもかかわらず、触媒作用に利用できる状態を維持していたこと、ならびにそのライゲーション反応が、銅および/または他の金属イオンならびに鋳型による触媒作用を、細胞内を含むインビボで受けうることを示している。反応は、著しい触媒交換の損失および著しい蛋白質沈降を伴わずに、新鮮なヒト血漿中および細胞内的には全血中で進行する。 直接使用されるCu(I)塩: Cu(I)塩を直接使用する場合、還元剤は必要ないが、(Cu(I)からCu(II)への急速な酸化を防止するために)アセトニトリル、または上に示した他のリガンドのうちの一つを溶媒として使用すべきであり、且つ、(そうでなければ極めて遅い反応−上記参照−を加速するために)1当量のアミンを添加すべきである。この場合、より良い収率および生成物純度のために、酸素は排除すべきである。従って、多くの場合、アスコルビン酸塩(または他の還元剤)手順のほうが、非還元手順より好ましい。還元剤の使用は、手順的に簡単であり、卓越した収率および高純度でトリアゾール生成物を生じる。従来技術の、触媒を用いないアジドと末端アルキンのHuisgen付加環化を示す図である。銅を触媒とするアジドと末端アルキンの位置選択的ライゲーションを示す図である。銅を触媒とするアジドと末端アルキンの段階的ライゲーションについて提案するメカニズムを示すとともに、このメカニズムを直接付加環化と比較する図である。アスコルビン酸塩の存在下でCuIにより触媒される1,4−二置換[1,2,3]−トリアゾールの合成を示す表である。すべての反応は、補助溶媒としてt−ブタノールを含む水中で、反応体0.25〜0.5Mで、1モル%のCuSO4および10mol%のアスコルビン酸ナトリウムとともに行い、12〜24時間で完了した。アスコルビン酸塩の存在下でCuIにより触媒される1,4−二置換[1,2,3]−トリアゾールの合成を示す表である。すべての反応は、補助溶媒としてt−ブタノールを含む水中で、反応体0.25〜0.5Mで、1モル%のCuSO4および10mol%のアスコルビン酸ナトリウムとともに行い、12〜24時間で完了した。Cu(2)をCu(1)に還元するための還元剤としてCu(0)を用いる、銅を触媒とするアジドと末端アルキンの位置選択的ライゲーションを示す図である。反応のための溶媒としてのヒト血漿の使用を示す図である。アジド100mMおよびアセチレン200mMで、反応は12〜14時間で完了する。アジド2mMおよびアセチレン4mMでは、48時間後に反応が約80%完了する。反応は、血漿中で衰えるのではなく、単に遅速することに留意されたい。蛋白質の濃度が高く、蛋白質にCuが結合しているにもかかわらず、反応はよく進行する。トリアゾールを伴うアミン含有分子(例えば、エリスロマイシン)を誘導するための二段法の具体例を示す図である。この手順は、任意のアミン含有分子に応用可能である。Cu触媒作用を利用して、ポリアジド核を誘導し、多価トリアゾールを生成する一段法を示す図である。Cu触媒作用を利用して、ポリアルキン核を誘導し、多価トリアゾールを生成する一段法を示す図である。 トリアゾール部分を有する生成物を生成するための末端アルキン部分を有する第一反応体とアジド部分を有する第二反応体とのクリックケミストリーライゲーション反応を触媒する工程を備える方法であって、前記クリックケミストリーライゲーション反応は、インサイチューで前記Cu(II)をCu(I)に還元するための還元剤の存在下で触媒量のCu(II)を添加することによって触媒される方法。 前記還元剤は、アスコルビン酸塩、キノン、ヒドロキノン、ビタミンK1、金属銅、グルタチオン、システイン、Fe2+、Co2+、および印加電位から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。 前記還元剤は、Cu、Al、Be、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、NiおよびZnから成る群より選択される金属である、請求項1に記載の方法。 トリアゾール部分を有する生成物を生成するための末端アルキン部分を有する第一反応体とアジド部分を有する第二反応体とのクリックケミストリーライゲーション反応を触媒する工程を備える方法であって、前記クリックケミストリーライゲーション反応は、金属銅と接触している溶液中で行われ、前記金属銅は、前記クリックケミストリーライゲーション反応に対する触媒作用に直接的または間接的に寄与する方法。 前記溶液は、水溶液である、請求項4に記載の方法。 前記第一および第二反応体は、前記クリックケミストリーライゲーション反応中、等モル量で存在する、請求項4に記載の方法。 前記クリックケミストリーライゲーション反応は、少なくとも部分的に銅容器と接触している溶液中で行われる、請求項4に記載の方法。 トリアゾール部分を有する生成物を生成するための末端アルキン部分を有する第一反応体とアジド部分を有する第二反応体とのクリックケミストリーライゲーション反応を触媒する工程を備える方法であって、前記クリックケミストリーライゲーション反応は、Au、Ag、Hg、Cd、Zr、Ru、Fe、Co、Pt、Pd、Ni、RhおよびWから成る群より選択される金属イオンを有する触媒量の金属塩を添加することによって触媒される方法。 前記クリックケミストリーライゲーション反応は、前記金属イオンを触媒活性形に還元するための還元剤の存在下で行われる、請求項8に記載の方法。 前記還元剤は、アスコルビン酸塩、キノン、ヒドロキノン、ビタミンK1、グルタチオン、システイン、Fe2+、Co2+、印加電位、および金属(前記金属は、Al、Be、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、NiおよびZnから成る群より選択される)から成る群より選択される、請求項9に記載の方法。 トリアゾール部分を有する生成物を生成するための末端アルキン部分を有する第一反応体とアジド部分を有する第二反応体とのクリックケミストリーライゲーション反応を触媒する工程を備える方法であって、前記クリックケミストリーライゲーション反応は水溶液中で行われ、触媒量の銅(I)によって触媒される方法。 前記第一および第二反応体は、等モル量で存在する、請求項11に記載の方法。 トリアゾール部分を有する生成物を生成するための末端アルキン部分を有する第一反応体とアジド部分を有する第二反応体とのクリックケミストリーライゲーション反応を触媒する工程を備える方法であって、前記クリックケミストリーライゲーション反応は、触媒量の銅(I)によって触媒され、前記第一および第二反応体は、等モル量で存在する方法。 前記クリックケミストリーライゲーション反応は、水溶液中で行われる、請求項13に記載の方法。 トリアゾール部分を有する生成物を生成するための末端アルキン部分を有する第一反応体とアジド部分を有する第二反応体とのクリックケミストリーライゲーション反応を触媒する工程を備える方法であって、前記クリックケミストリーライゲーション反応は、触媒量の銅(I)を含有する溶液中で行われるが、但し、前記第一反応体または第二反応体のいずれか一方が毒性であるか、もしくは高価であり、残りの反応体がモル過剰で存在することを条件とする方法。 トリアゾール部分を有する生成物を生成するための末端アルキン部分を有する第一反応体とアジド部分を有する第二反応体とのクリックケミストリーライゲーション反応を触媒する工程を備える方法であって、前記クリックケミストリーライゲーション反応は、細胞内で行われ、前記細胞は、前記クリックケミストリーライゲーション反応を触媒するために充分な触媒量の銅(I)を含有し、前記銅(I)は、前記クリックケミストリーライゲーション反応に対する触媒作用に寄与する方法。 トリアゾール部分を有する生成物を生成するための末端アルキン部分を有する第一反応体とアジド部分を有する第二反応体とのクリックケミストリーライゲーション反応を触媒する工程を備える方法であって、前記クリックケミストリーライゲーション反応は、Cu、Au、Ag、Hg、Cd、Zr、Ru、Fe、Co、Pt、Pd、Ni、RhおよびWから成る金属群からのイオンより選択される触媒量の金属イオンを含有する溶媒中で行われ、前記金属イオンは、前記クリックケミストリーライゲーション反応に対する触媒作用に直接的または間接的に寄与し、前記金属イオンは、リガンドと配位結合して、前記溶媒中の前記金属イオンを可溶化し、前記金属イオンの酸化を阻害し、および前記金属イオンによるクリックケミストリーライゲーション反応に対する触媒作用中に前記金属イオンから全部または一部解離する方法。 前記リガンドは、アセトニトリルである、請求項17に記載の方法。 前記リガンドは、シアン化物、ニトリルまたはイソニトリルである、請求項17に記載の方法。 前記リガンドは、水である、請求項17に記載の方法。 前記リガンドは、ニトリル、イソニトリル、第一、第二または第三アミン、窒素含有複素環、カルボン酸塩、ハロゲン化物、アルコール、チオール、硫化物、ホスフィンおよび亜リン酸塩から成る群より選択される、請求項17に記載の方法。 前記リガンドは、多価であり、ニトリル、イソニトリル、第一、第二または第三アミン、窒素含有複素環、カルボン酸塩、ハロゲン化物、アルコール、チオール、硫化物、ホスフィンおよび亜リン酸塩から成る群より選択される一つ以上の官能基を含む、請求項17に記載の方法。 下記6員環構造:(式中、 R1は、4−トリアゾール置換基であり、 R2は、1−トリアゾール置換基であり、 Lは、Cuリガンドであり、および 「n」は、1、2または3である)によって表される、トリアゾール部分を有する生成物を生成するための反応性中間体。 下記構造:(式中、 R1は、4−トリアゾール置換基であり、 R2は、1−トリアゾール置換基であり、 Lは、Cuリガンドであり、および 「n」は、1、2、3または4である)によって表される、トリアゾールを生成するための反応性中間体。 工程A:アミン含有分子を誘導して、末端アルキンを生成する工程、その後、 工程B:触媒量のCuの存在下でアジド含有分子を添加することにより、前記工程Aの生成物をアジド含有分子とライゲートして、アミン含有分子のトリアゾール誘導体を生成する工程、 を含む、トリアゾールを伴うアミン含有分子を誘導する二段法。 触媒量のCuの存在下で末端アルキンを有する分子を添加することによりポリアジド核を誘導する工程を備える、多価トリアゾールを生成するための一段法。 触媒量のCuの存在下でアジド含有分子を添加することによりポリアルキン核を誘導する工程を備える、多価トリアゾールを生成するための一段法。 金属を触媒とするクリックケミストリーライゲーション法を用いて、アジドを末端アセチレンと結合させて、トリアゾールを得る。多くの場合、この反応順序により、アジドと末端アルキレンが位置特異的にライゲートされて、1,4−二基置換[1,2,3]−トリアゾールのみが得られる。


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特許公報(B2)_銅を触媒とするアジドとアセチレンのライゲーション

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_銅を触媒とするアジドとアセチレンのライゲーション
出願番号:2004509665
年次:2011
IPC分類:C07D 249/06,C07D 249/04,C07D 403/06,B01J 23/72,B01J 37/16,C07J 43/00,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

シャープレス,バリー・ケイ フォーキン,ヴァレリー ロストフセフ,フセヴォロド グリーン,ルーク ヒモ,ファーミ JP 4638225 特許公報(B2) 20101203 2004509665 20030530 銅を触媒とするアジドとアセチレンのライゲーション ザ スクリプス リサーチ インスティテュート 501244222 奥山 尚一 100099623 有原 幸一 100096769 松島 鉄男 100107319 シャープレス,バリー・ケイ フォーキン,ヴァレリー ロストフセフ,フセヴォロド グリーン,ルーク ヒモ,ファーミ US 60/385,041 20020530 20110223 C07D 249/06 20060101AFI20110203BHJP C07D 249/04 20060101ALI20110203BHJP C07D 403/06 20060101ALI20110203BHJP B01J 23/72 20060101ALN20110203BHJP B01J 37/16 20060101ALN20110203BHJP C07J 43/00 20060101ALN20110203BHJP C07B 61/00 20060101ALN20110203BHJP JPC07D249/06C07D249/06 501C07D249/04 501C07D403/06B01J23/72 ZB01J37/16C07J43/00C07B61/00 300 C07D 249/06 C07D 249/04 C07D 403/06 B01J 23/72 B01J 37/16 C07B 61/00 C07J 43/00 CAplus/REGISTRY(STN) 特開平04−356449(JP,A) Peptides: The Wave of the Future, Proceedings of the Second International and the Seventeenth American Peptide Symposium, San Diego, June 9-14, 2001,2002年12月20日,p.263-264 Angewandte Chemie,2002年 3月15日,Vol.41, No.6,p.1053-1057 Synthetic Communicatons,1999年,Vol.29, No.6,p.1057-1063 6 US2003017311 20030530 WO2003101972 20031211 2006502099 20060119 15 20060524 瀬下 浩一 本発明は、銅(I)を触媒とする段階的Huisgen付加環化法に関する。より詳細には、本発明は、トリアゾールを生成するための、銅を触媒とするアジドと末端アルキンの位置選択的クリックケミストリーライゲーションに関する。 Huisgen 1,3−双極子付加環化は、二つの不飽和反応体を接合する発エルゴン融合反応である(R.Huisgen,in 1,3−Dipolar Cycloaddition Chemistry,(Ed.:A.Padwa),Wiley,New York,1984,pp.1−176;およびA.Padwa,in Comprehensive Organic Synthesis,(Ed.:B.M.Trost),Pergamon,Oxford,1991,Vol.4,pp1069−1109)。不斉1,3−双極子付加環化反応の総説については、K.V.Gothelf,et al.,Chem.Rev.1998,98,863−909を参照されたい。1,3−双極子付加環化の合成応用の総説については、J.Mulzer,Org.Synth.Highlights 1991,77−95を参照されたい。Huisgen1,3−双極子付加環化によって、実に様々な5員複素環を迅速に入手することができる。(a)W.−Q.Fan,et al.,in Comprehensive Heterocyclic Chemistry II,(Eds.:A.R.Katritzky,et al.),Pergamon,Oxford,1996,Vol.4,pp.101−126;b)R.N.Butler in Comprehensive Heterocyclic Chemistry II,(Eds.:A.R.Katritzky,et al.),Pergamon,Oxford,1996,Vol.4,pp.621−678;およびc)K.Banert,Chem.Ber.1989,122,911−918)。トリアゾールを得るためのアジドとアルキンの付加環化は、恐らくこの系列の最も有用な構成員といえるだろう(a)R.Huisgen,Pure Appl.Chem.1989,61,613−628;b)R.Huisgen,et al.,Chem.Ber.1967,100,2494−2507;c)W.Lwowski in 1,3−Dipolar Cycloaddition Chemistry,(Ed.:A.Padwa),Wiley,New York,1984;Vol.1,Chapter 5;d)J.Bastide,et al.,Bull.Soc.Chim.Fr.1973,2555−2579,2871−2887)。しかし、おそらく有機アジドを用いる作業の安全性についての懸念から、純粋な分野においても、応用分野においても、合成化学は、この転移に対して、それに値する特別な注意を払っていない。アジド以外の1,3−双極子のほうが実際の付加環化工程が速く、および/または位置選択的である場合もあるが、誘導するため、および多くの合成工程を通して隠し持つためには、アジドが断然、最高に便利である。実際、それは、副反応がほぼ無い、たった原子3個の双極子であるように見える。 アジドは、有機合成において瞬間的にしか登場しないが、窒素置換基を導入するための最も信頼できる手段の一つとしての役割を果たしているのが、−R−X → [R−N3] → R−NH2である。このようなアジド中間体は、一般に直ちにアミンに還元されるため、角括弧の中に示される。アジド基それ自体によってもたらされるユニークな反応性に影響を及ぼす応用法は、Aube、BanertおよびStoddart(a)の研究所からの以下の参考文献により開示されている:(a)P.Desai,et al.,J.Am Chem.Soc.2000,122,7226−7232;b)K.Banert,Targets in Heterocyclic Systems 1999,3,1−32;K.Banert,Liebigs Ann./Recl.1997,2005−18;c)J.Cao,et al.,J.Org.Chem.2000,65,1937−46、およびそれらの中に引用されている参考文献。アジドの化学は危険であり得るが、これらの試薬での作業の危険は、適切な安全対策を施すことによって最小にすることができる。アジドは、クリックケミストリーにとって非常に重要な官能基として化学的に重要である(H.C.Kolb,et al.,Angew.Chem.Int.Ed.2001,40,2004−2021)。クリックケミストリーにとってのアジドのユニークさは、H2O、O2、および大多数の有機合成条件に対するこれらの試薬の並外れた安定性に起因する。実際、有機アジド、特に、脂肪族系列のものは、酸素分子(ジオキシゲン)および水から生体細胞を構成する高官能化有機分子の水溶液に及ぶ一般的な反応性化学物質に対して非常に安定である(E.Saxon,et al.,Science 2000,287,2007−2010;およびK.L.Kiick,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2002,99,19−24)。アジド基の負荷スプリング形的性質は、良好な双極子試薬が都合よく与えられない限り、見えないままである。実際、それは、本発明者らの「インサイチュー・クリックケミストリー」という観念−今日までに知られているアセチルコリンエステラーゼの最も強力な非共有結合型阻害剤の発見をもたらしたアプローチ−を生んだこの付加環化法にとっての非常に鋭い反応性の手段であった(W.G.Lewis,et al.,Angew.Chem.Int.Ed.2002,41,1053−1057)。しかし、それでも、望ましいトリアゾール形成性付加環化は、高温を必要とする可能性があり、また、そのアセチレン成分がカルボニルまたは過フルオロアルキルなどの電子求引性基に結合していない限り、いかなる場合でも、通常は1,4−および1,5−位置異性体の混合物を生じる(図1A)(J.Bastide,et al.,Bull.Chim.Soc.Fr.1973,2294−2296;N.P.Stepanova,et al.,Zh.Org.Khim.1985,21,979−983;N.P.Stepanova,et al.,Zh.Org.Khim.1989,25,1613−1618;およびD.Clarke,et al.,J.Chem.Soc.Perkin Trans.1 1997,1799−1804)。 この1,4−対1,5−位置選択性の問題を調整するための努力は、様々な成功を遂げている(P.Zanirato,J.Chem.Soc.Perkin Trans./1991,2789−2796;D.J.Hlasta,et al.,J.Org.Chem.1994,59,6184−6189;C.A.Booth,et al.,Tet.Lett.1998,39,6987−6990;S.J.Howell,et al.,Tetrahedron 2001,57,4945−4954;W.L.Mock,et al.,J.Org.Chem.,1989,54,5302−5308;W.L.Mock Top.Curr.Chem.1995,175,1−24;J.Chen,et al.,Org.Lett.2002,4,327−329;J.W.Wijnen,et al.,Tet.Lett.1995,36,5389−5392;M.P.Repasky,et al.,Faraday Discuss.1998,110,379−389)。 一つの報告では、銅(I)を触媒とするペプチドトリアゾールの位置特異的合成が、遊離アジドと固体支持体に結合させた末端アセチレンを使用して、有機溶媒中で達成された(C.W.Tornoe,et al.,J.Org.Chem.2002,67,3057)。反応体は、等モルではなかった。より以前の報告により、アセチレン基を有する二官能性試薬とインサイチューで生成されたアジドからの、銅(I)の存在下での、低収率副生成物としての、トリアゾールの生成が開示されている(G.L’abbe,Bull.Soc.Chim.Belg.1984,93,579−592)。 本発明の一つの態様は、トリアゾール部分を有する生成物を生成するための末端アルキン部分を有する第一反応体とアジド部分を有する第二反応体とのクリックケミストリーライゲーション反応を触媒する方法に関する。より詳細には、前記クリックケミストリーライゲーション反応は、インサイチューで前記Cu(II)をCu(I)に還元するための還元剤の存在下で触媒量のCu(II)を添加することによって触媒される。好ましい還元剤には、アスコルビン酸塩、金属銅、キノン、ヒドロキノン、ビタミンK1、グルタチオン、システイン、Fe2+、Co2+、および印加電位が含まれる。さらに好ましい還元剤には、Al、Be、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、NiおよびZnから成る群より選択される金属が含まれる。 本発明の別の態様において、トリアゾール部分を有する生成物を生成するための末端アルキン部分を有する第一反応体とアジド部分を有する第二反応体とのクリックケミストリーライゲーション反応は、金属銅と接触している溶液中でそのクリックケミストリーライゲーション反応を行うことによって触媒される。前記金属銅は、そのクリックケミストリーライゲーション反応に対する触媒作用に直接的または間接的に寄与する。好ましい方式では、前記溶液は、水溶液である。前記第一および第二反応体は、そのクリックケミストリーライゲーション反応中、等モル量で存在しうる。また、このクリックケミストリーライゲーション反応は、少なくとも部分的に銅容器と接触している溶液中で行うことができる。 本発明のもう一つの態様において、トリアゾール部分を有する生成物を生成するための末端アルキン部分を有する第一反応体とアジド部分を有する第二反応体とのクリックケミストリーライゲーション反応は、Au、Ag、Hg、Cd、Zr、Ru、Fe、Co、Pt、Pd、Ni、RhおよびWから成る群より選択される金属イオンを有する触媒量の金属塩を添加することにより触媒される。本発明のこの態様の好ましい方式では、クリックケミストリーライゲーション反応は、前記金属イオンを触媒活性形に還元するための還元剤の存在下で行われる。好ましい還元剤には、アスコルビン酸塩、キノン、ヒドロキノン、ビタミンK1、グルタチオン、システイン、Fe2+、Co2+、印加電位、ならびにAl、Be、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、NiおよびZnから成る群より選択される金属が含まれる。 本発明のもう一つの態様において、トリアゾール部分を有する生成物を生成するための末端アルキン部分を有する第一反応体とアジド部分を有する第二反応体とのクリックケミストリーライゲーション反応は、水溶液中で行われ、触媒量の銅(I)によって触媒される。本発明のこの態様の好ましい方式では、前記第一および第二反応体は、等モル量で存在する。 本発明のもう一つの態様において、トリアゾール部分を有する生成物を生成するための末端アルキン部分を有する第一反応体とアジド部分を有する第二反応体とのクリックケミストリーライゲーション反応は、触媒量の銅(I)によって触媒され、一方、前記第一および第二反応体は、等モル量で存在する。本発明のこの態様の好ましい方式では、クリックケミストリーライゲーション反応は、水溶液中で行われる。 本発明のもう一つの態様において、トリアゾール部分を有する生成物を生成するための末端アルキン部分を有する第一反応体とアジド部分を有する第二反応体とのクリックケミストリーライゲーション反応は、触媒量の銅(I)を含有する溶液中で行われる。しかし、この場合、前記第一反応体または第二反応体のいずれか一方が毒性であるか、高価であり、残りの反応体がモル過剰で存在することを条件とする。 本発明のもう一つの態様において、トリアゾール部分を有する生成物を生成するための末端アルキン部分を有する第一反応体とアジド部分を有する第二反応体とのクリックケミストリーライゲーション反応は、細胞内で行われる。前記細胞は、クリックケミストリーライゲーション反応を触媒するために充分な触媒量の銅(I)を含有するタイプのものである。前記銅(I)は、前記クリックケミストリーライゲーション反応に対する触媒作用に寄与する。 本発明のもう一つの態様において、トリアゾール部分を有する生成物を生成するための末端アルキン部分を有する第一反応体とアジド部分を有する第二反応体とのクリックケミストリーライゲーション反応は、触媒量の金属イオンを含有する溶媒中で行われる。前記金属イオンは、Cu、Au、Ag、Hg、Cd、Zr、Ru、Fe、Co、Pt、Pd、Ni、RhおよびWから成る金属群より選択される。前記金属イオンは、前記クリックケミストリーライゲーション反応に対する触媒作用に直接的または間接的に寄与する。前記金属イオンは、リガンドと配位結合して、前記溶媒中のそうした金属イオンを可溶化し、そうした金属イオンの酸化を阻害し、および前記金属イオンによるクリックケミストリーライゲーション反応の触媒作用中にそうした金属イオンから全部または一部解離する。好ましいリガンドは、アセトニトリルである。もう一つの好ましいリガンドは、シアン化物、ニトリルまたはイソニトリルである。もう一つの好ましいリガンドは、水である。他の好ましいリガンドには、ニトリル、イソニトリル、第一、第二または第三アミン、窒素含有複素環、カルボン酸塩、ハロゲン化物、アルコール、チオール、硫化物、ホスフィンおよび亜リン酸塩が含まれる。他の好ましいリガンドは、多価であり、ニトリル、イソニトリル、第一、第二または第三アミン、窒素含有複素環、カルボン酸塩、ハロゲン化物、アルコール、チオール、硫化物、ホスフィンおよび亜リン酸塩から成る群より選択される一つ以上の官能基を含む。 本発明のもう一つの態様は、トリアゾール部分を有する生成物を生成するための反応性中間体に関する。前記反応性中間体は、下記6員環構造:によって表される。上記の構造において、R1は、4−トリアゾール置換基であり、R2は、1−トリアゾール置換基であり、Lは、Cuリガンドであり、および「n」は、1、2または3である。 本発明のもう一つの態様は、トリアゾールを生成するための反応性中間体に関する。前記反応性中間体は、下記6員環構造:によって表される。上記の構造において、R1は、4−トリアゾール置換基として用いることができ、R2は、1−トリアゾール置換基として用いることができ、Lは、Cuリガンドであり、および「n」は、1、2、3または4である。 本発明のも一つの態様は、トリアゾールを伴うアミン含有分子を誘導する二段法に関する。この方法の第一工程では、アミン含有分子を誘導して、末端アルキンを生成する。その後、触媒量のCuの存在下でアジド含有分子を添加することにより、第一工程の生成物をアジド含有分子とライゲートして、アミン含有分子のトリアゾール誘導体を生成する。 本発明のもう一つの態様は、多価トリアゾールを生成するための一段法に関する。この方法では、触媒量のCuの存在下で末端アルキンを有する分子を添加することにより、ポリアジド核を誘導する。 本発明のもう一つの態様は、多価トリアゾールを生成するための一段法に関する。この方法では、触媒量のCuの存在下でアジド含有分子を添加することにより、ポリアルキン核を誘導する。 (詳細な説明) 本方法は、実験が簡単であり、見たところ、非常に多くの範囲を有する。多数の銅(I)源を直接用いることができるが(下記参照)、CuI塩と比べて安価であり、多くの場合、純粋であるCuII塩(CuSO4・5H2Oがよく役立っている)の還元により、この触媒が、インサイチューでより良好に調製されることを開示する。還元剤としては、触媒ローディング0.25〜2mol%で、高収率、高純度の幅広いスペクトルの1,4−トリアゾール生成物の調製を可能にするため、アスコルビン酸および/またはアルコルビン酸ナトリウムが非常に優れていると判明した。L−アスコルビン酸と遷移金属の反応についての総説は、M.B.Davies Polyhedron 1992,11,285−321およびその中に引用されている参考文献を参照されたい。アスコルビン酸の酸化還元特性は、C.Creutz Inorg.Chem.1981,20,4449にまとめられている。この反応は、見たところ非常に寛容であり、特別な対策は一切必要としない。t−ブタノールまたはエタノールの水溶液、および非常に重要なものとしては有機系補助溶媒を含有しない水を含む様々な溶媒中、常温で、6時間から36時間で完了まで進む。出発原料が反応溶媒に溶解している必要はない。この反応は、適切な攪拌さえ維持されれば効率的に進行するようである。殆どの実験は、中性pH付近で行ったが、この触媒は、約4から12の範囲のpH値でよく進行するようである。この触媒法は、非常にしっかりしており、通常の反応パラメータには反応しない。 さらに、Cu0も触媒種の供給源として使用できることを開示する。これらの反応は、完了まで進むのにより長い時間がかかるが、実験手順は極めて簡単である。例えば、登録番号2に示されているビス−トリアゾール(図3A)は、対応するアジドおよびアセチレン成分を24時間、約2gの金属銅の削りくずとともに攪拌した後、定量的に得られた。その削りくずを反応終了時に除去し、単純な濾過によって純粋な白色生成物を回収した。 2:1の水/t−ブタノール混合物中、5mol%のアスコルビン酸ナトリウムおよび1mol%の硫酸銅(II)の存在下での、フェニルプロパルギルエーテルとベンジルアジドの反応は、蓋をしたシンチレーションバイアルの中で、8時間、室温で攪拌した後、別に酸素を排除する努力をすることなく、91%の収率で1,4−二置換トリアゾール生成物を生じた[反応式(2)]。その生成物の位置化学を、NOE実験によって証明し、X線結晶分析によって確認した。 比較のために、これらの基質間の熱反応(ニート、92℃、18時間)では、図1Aに示されているように、1,4−異性体を優先的に、1.6:1の比率で両方の位置異性体が得られた。 この銅を触媒とするトリアゾール合成の範囲の一部を、図3AおよびB中の例で示す。官能基の干渉がないことに、特にご注目いただきたい。これらのトリアゾールは、試薬を攪拌することおよび純粋な生成物を濾過することより多くのことを一般に殆ど含まない手順を用いて得られる。様々な置換第一、第二、第三および芳香族アジドが、この転移に直ちに関与する。アセチレン成分の変化に対する許容度も極めてよい。 銅(I)塩、例えば、CuI、CuOTf・C6H6および[Cu(NCCH3)4]PF6は、還元剤が不在の状態で直接使用するすることもできる。これらの反応は、補助触媒としてのアセトニトリルと一当量の窒素塩基(例えば、2,6−ルチジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、またはピリジン)を通常必要とする。しかし、望ましくない副生成物、主として、ジアセチレン、ビス−トリアゾールおよび5−ヒドロキシトリアゾールの生成がしばしば観察される。銅(I)錯体と酸素分子の反応に関する最近の概括については、S.Schindler Eur.J.Inorg.Chem.2000,2311−2326、およびA.G.Blackman,W.B.Tolman in Structure and Bonding,B.Meunier,Ed.,Springer−Verlag,Berlin,Heidelberg,2000,vol.97,p.179−211を参照されたい。CuI種の直接使用に伴うこの複雑さは、2,6−ルチジンを使用すると最小限に抑えられ、酸素を排除することにより、生成物の純度および収率がさらに改善された。例えば、エチルプロピオレートおよびアジ化ベンジルは、この手順を使用すると、対応する1,4−トリアゾールを収率55%で生じたが、1当量のトリエチルアミンを用い、酸素を排除しないと、わずかな量の生成物しか得られなかった。広範なアセチレン成分およびアジド成分が、両方とも容易にアセトニトリル系の中で反応するにもかかわらず、本発明者らは、それらよりいっそう信頼性があり、単純なCuII/アスコルビン酸塩水溶液系(補助溶媒およびアミンバッファ/添加剤を伴うまたは伴わない)を選んでいる。 触媒サイクルについてのメカニズムの提案を図2に示す。それは、例外なく、銅(I)アセチリドiの生成で始まる(G.van Koten,J.G.Noltes in Comprehensive Organometallic Chemistry,G. Wilkinson,Ed.,Vol.2,chap.14,Pergamon Press,1982,720)。予想通り、分子内アルキンとの反応は、観察されない。約12〜15kcalまで、当該[2+3]付加環化(B−ダイレクト)を強く嫌う、また、6員の銅含有中間体iiiを経由して進行する段階的なアニーリング順序(B1→B2→B3)(M.P.Doyle,et al.,in Modern Catalytic Methods for Organic Synthesis with Diazo Compounds Wiley(New York),1997,163−248)を指し示す、納得させる証拠が、大量の密度関数理論計算によってもたらされることを本明細書にて開示する。それ故、用語「ライゲーション」は、銅(I)によって触媒される段階的[2+3]付加環化を本明細書では示す。 本明細書に記載するCuIを触媒とする転移−熱および加水分解安定性トリアゾール結合を導く「融合」法を高収率、且つ、簡単に行える−は、クリック反応の系列への理想的な追加である。この方法は、広い範囲を示し、1,4−二置換[1,2,3]−トリアゾール生成物を優れた収率、且つ、ほぼ完璧な位置選択性で提供する。銅(I)アセチリドと有機アジドの反応性は、実際上、停止不能であることを本明細書にて開示する。 この新規触媒法は、多様な構成単位間の共有結合の生成に依存する有機合成目的に対する前例のないレベルの選択性、信頼性および範囲をもたらす。この方法の能力を際立たせる幾つかの応用計画を図6〜8に示す。 実験手順: 17−[1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−エストラジオールの合成を例とする一般手順。17−エチニルエストラジオール(888mg、3mmol)および(S)−3−アジドプロパン−1,2−ジオール(352mg、3mmol)を、12mLの1:1 水/t−ブタノール混合物に懸濁させた。アスコルビン酸ナトリウム(0.3mmol、調製したての水中1M溶液300μL)を添加し、続いて硫酸銅(II)・五水和物(7.5mg、0.03mmol、水100μL中のもの)を添加した。その不均一混合物を一晩激しく攪拌し、その時点で透明になり、TLC分析は、反応体の完全消費を示した。その反応混合物を50mLの水で希釈し、氷で冷却して、濾過により白色の沈殿を回収した。冷水(2×25mL)で洗浄した後、沈殿を真空下で乾燥させて、1.17g(94%)の純粋な生成物がオフホワイトの粉末として得られた。融点228〜230℃。元素分析計算値:C 64.02%、H 7.71%、N 9.74%;実測値:C 64.06%、H 7.36%、N 9.64%。 還元環境効果: Cu(I)は、非常に容易にCu(II)に酸化される−主として酸素によるが、もっと弱い酸化剤であってもこれを達成することができる。加えて、Cu(I)は、アセチレンと他の有機銅種の酸化カップリングを媒介し、それによって、還元収量と汚染生成物がもたらされる。これらすべての問題は、弱い還元剤の使用によって回避することができる。アスコルビン酸塩、ヒドロキノン、他のキノン(ビタミンK1など)、銅の削りくず/銅線、グルタチオン、システイン、Fe2+、Co2+などの様々な還元剤を使用することができる。実際には、Cu(II)をCu(0)に急速に還元するような強力なものでない、どんな還元剤でも利用することができる。 リガンド:アセトニトリル効果 金属は、溶液中に「裸の状態」では存在しない−溶媒分子または「デザイナー」リガンドであるリガンドが、常に、配位領域に存在する。リガンドは、金属中心の反応性、ならびにその金属の酸化還元特性に対して重大な影響を及ぼし、(a)それらは、ある一定の酸化状態の金属を安定させることができ(例えば、本発明者らの場合、Cu(I)が望ましい形である)、(b)まさに重要なこととしては、それらは、触媒種をその溶液中に保ち、それによってその触媒作用を常に利用できるようにする。金属/リガンドの組合せが、望ましい転移付加環化(すなわち、この場合、ライゲーション)に対する触媒作用に有用であるためには、これらの要件を両方とも満たさねばならない。 銅媒介有機転移は、70年以上にわたって研究されており、その主題に関する文献は、相当広範囲である。従来技術の重要な教訓は、シアン化物および/またはニトリルが、Cu(I)の最良のリガンドの一部であり、この場合、Cu(I)は、通常、四配位されて、四面体錯体を形成するということである。実際、アセトニトリルは、Cu(I)に非常に強力に配位結合するため、[Cu(CH3CN)4]+PF6-錯体は、市販の酸素不感受性Cu(I)製剤である(すなわち、このCu(I)は、非反応性である)。反応性が本発明者らの目標である場合、この「過安定性」は、明らかに不利である。下に示す反応は、その点を説明するものである。水/アルコール混合物を溶媒として利用すると(両方ともCu(I)に対する弱いリガンドであることに留意したい)、この反応は、6時間未満で完了する。しかし、アセトニトリルを溶媒として使用すると、それ以外は同じ条件下で、24時間後でさえ全く反応が観察されない。 この現象を説明するために、この反応のメカニズムを思い出していただきたい。ライゲーションが進行するようにするために、アジドは、銅に配位結合せねばならず(工程B1)、一方のリガンドは、その金属の配位領域から除去せねばならず、強く配位結合しているアセトニトリルの場合、この工程はうまくいかない。 従って、有用な活性窓口を有するために、本発明者らは、金属に比較的よく結合し、それを適正な酸化状態、および溶液中で保つ(すなわち、高分子量沈殿を生成するところまで凝集しない)が、同時に、その金属中心を取り除いて、中間体iiを生成することができる(これは、触媒作用順序に必要な工程である)ようなリガンドを選択するか、設計することにする。手持ちの例を使用するために、トリエチルアミンまたは2,6−ルチジンなどのアミンを上記のアセトニトリル系に添加することによって、反応性の問題は解決される−約8時間後に定量収率で生成物が生成される。 好ましいリガンドには、シアン化物、ニトリル、イソニトリル、第一または第二アミン、カルボン酸塩、ハロゲン化物、アルコールおよびチオールが挙げられる。塩化物は、好ましいハロゲン化物であり、1〜5Mで最も良好に用いられる。ニトリル、イソニトリル、第一または第二アミン、カルボン酸塩、アルコールおよびチオールから選択される一つ以上の官能基を含む多価リガンドを用いてもよい。 他の金属触媒: このタイプの付加環化を触媒することができる金属は、Cuだけではない。中間体iiを生成することができさえすれば(すなわち、その金属が、配位結合により不飽和になるか、なることができさえすれば)、安定なアセチリドを生成することが知られている他の金属も利用できる。安定なアセチリドを生成することができる金属の例には、Cu、Au、Ag、Hg、Cd、Zr、Ru、Fe、Co、Pt、Pd、Ni、RhおよびWが挙げられる。正しい金属とリガンドの組合せを見つけることが重要である。銅は、水性系中で非常によく支持され、その結果、極めて簡単な実験手順および驚くべき官能基許容度をもたらすため、他の金属の中でもユニークである。 金属容器によるライゲーション反応に対する触媒作用: 金属容器を触媒種の供給源として使用して、ライゲーション反応を触媒することもできる。例えば、銅容器(Cu0)を利用して、反応を触媒することができる。必要なイオンを供給するには、反応溶液をその容器の表面の銅と物理的に接触させねばならない。あるいは、反応を非金属容器内で実施し、銅線、銅の削りくずまたは他の構造のものと反応溶液を接触させることによって、触媒金属イオンを供給する。これらの反応は、完了まで進行するのに時間がかかることがあるが、実験手順は極めて簡単である。例えば、登録番号2に示されているビス−トリアゾール(図3A)は、対応するアジドとアセチレン成分を24時間、約2gの金属銅の削りくずすとともに攪拌した後、定量収率で得られた。その削りくずを反応終了時に除去し、単純な濾過によって純粋な白色生成物を回収した。 別の還元剤: 金属を還元剤として利用して、Cu(I)触媒または他の金属触媒の酸化状態を維持することができる。好ましい金属還元剤には、Cu、Al、Be、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、NiおよびZnが含まれる。あるいは、印加電位を利用して、触媒の酸化状態を維持することができる。 インビボ触媒作用: 本反応は、新鮮なヒト血漿(蛋白質ローディング 65〜85mg/mL、Cazide=Calkyne=5mM;CCu+=100mM)中および全血中で良好に進行した。これは、銅種が、血漿タンパク質に高度に結合しているにもかかわらず、触媒作用に利用できる状態を維持していたこと、ならびにそのライゲーション反応が、銅および/または他の金属イオンならびに鋳型による触媒作用を、細胞内を含むインビボで受けうることを示している。反応は、著しい触媒交換の損失および著しい蛋白質沈降を伴わずに、新鮮なヒト血漿中および細胞内的には全血中で進行する。 直接使用されるCu(I)塩: Cu(I)塩を直接使用する場合、還元剤は必要ないが、(Cu(I)からCu(II)への急速な酸化を防止するために)アセトニトリル、または上に示した他のリガンドのうちの一つを溶媒として使用すべきであり、且つ、(そうでなければ極めて遅い反応−上記参照−を加速するために)1当量のアミンを添加すべきである。この場合、より良い収率および生成物純度のために、酸素は排除すべきである。従って、多くの場合、アスコルビン酸塩(または他の還元剤)手順のほうが、非還元手順より好ましい。還元剤の使用は、手順的に簡単であり、卓越した収率および高純度でトリアゾール生成物を生じる。従来技術の、触媒を用いないアジドと末端アルキンのHuisgen付加環化を示す図である。銅を触媒とするアジドと末端アルキンの位置選択的ライゲーションを示す図である。銅を触媒とするアジドと末端アルキンの段階的ライゲーションについて提案するメカニズムを示すとともに、このメカニズムを直接付加環化と比較する図である。アスコルビン酸塩の存在下でCuIにより触媒される1,4−二置換[1,2,3]−トリアゾールの合成を示す表である。すべての反応は、補助溶媒としてt−ブタノールを含む水中で、反応体0.25〜0.5Mで、1モル%のCuSO4および10mol%のアスコルビン酸ナトリウムとともに行い、12〜24時間で完了した。アスコルビン酸塩の存在下でCuIにより触媒される1,4−二置換[1,2,3]−トリアゾールの合成を示す表である。すべての反応は、補助溶媒としてt−ブタノールを含む水中で、反応体0.25〜0.5Mで、1モル%のCuSO4および10mol%のアスコルビン酸ナトリウムとともに行い、12〜24時間で完了した。Cu(2)をCu(1)に還元するための還元剤としてCu(0)を用いる、銅を触媒とするアジドと末端アルキンの位置選択的ライゲーションを示す図である。反応のための溶媒としてのヒト血漿の使用を示す図である。アジド100mMおよびアセチレン200mMで、反応は12〜14時間で完了する。アジド2mMおよびアセチレン4mMでは、48時間後に反応が約80%完了する。反応は、血漿中で衰えるのではなく、単に遅速することに留意されたい。蛋白質の濃度が高く、蛋白質にCuが結合しているにもかかわらず、反応はよく進行する。トリアゾールを伴うアミン含有分子(例えば、エリスロマイシン)を誘導するための二段法の具体例を示す図である。この手順は、任意のアミン含有分子に応用可能である。Cu触媒作用を利用して、ポリアジド核を誘導し、多価トリアゾールを生成する一段法を示す図である。Cu触媒作用を利用して、ポリアルキン核を誘導し、多価トリアゾールを生成する一段法を示す図である。 末端アルキン部分を有する第一反応体とアジド部分を有する第二反応体とを含む溶液と、CuII塩及び還元剤とを接触させるステップを含む、1,4−二置換[1,2,3]−トリアゾールの製造方法。 室温で行われる、請求項1に記載の製造方法。 前記溶液が、等モル量の前記第一反応体と前記第二反応体を含む、請求項1に記載の製造方法。 前記CuII塩が、CuSO4・5H2Oである、請求項1に記載の製造方法。 前記還元剤が、アスコルビン酸ナトリウムである、請求項1に記載の製造方法。 前記溶液が、水溶液である、請求項1に記載の製造方法。


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