タイトル: | 特許公報(B2)_ベンゾニトリルおよびベンズイミデートの合成 |
出願番号: | 2004505315 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | C07C 253/00,C07C 255/53,C07C 255/54,C07D 277/12 |
コルゲーデ,ムクンド,エス. グルジャー,ムクンド,ケイ. シェリアン,ジョゼフ JP 4414331 特許公報(B2) 20091127 2004505315 20030515 ベンゾニトリルおよびベンズイミデートの合成 ジェンザイム、コーポレーション 501475594 GENZYME CORPORATION 細田 芳徳 100095832 コルゲーデ,ムクンド,エス. グルジャー,ムクンド,ケイ. シェリアン,ジョゼフ US 60/381,013 20020515 US 60/380,878 20020515 US 60/380,909 20020515 US 60/381,012 20020515 US 60/381,021 20020515 US 60/380,894 20020515 US 60/380,910 20020515 US 60/380,880 20020515 US 60/381,017 20020515 US 60/380,895 20020515 US 60/380,903 20020515 US 60/392,833 20020627 20100210 C07C 253/00 20060101AFI20100121BHJP C07C 255/53 20060101ALI20100121BHJP C07C 255/54 20060101ALI20100121BHJP C07D 277/12 20060101ALI20100121BHJP JPC07C253/00C07C255/53C07C255/54C07D277/12 C07C 253/00 C07C 255/53-255/54 C07D 277/12 CA/REGISTRY(STN) 特表2002−523500(JP,A) 12 US2003015339 20030515 WO2003097582 20031127 2005525427 20050825 25 20060509 藤森 知郎発明の詳細な説明関連出願 本出願は、米国特許仮出願第60/381,012号、第60/381,021号、第60/380,894号、第60/380,910号、第60/380,880号、第60/381,017号、第60/380,895号、第60/380,903号、第60/381,013号、第60/380,878号および第60/380,909号(すべて2002年5月15日に出願)の恩典を主張する。本出願はまた、米国特許仮出願第60/392,833号(2002年6月27日に出願)の恩典を主張する。上記の出願の全教示は参照により本明細書に取り込まれる。発明の背景 ニトリル含有化合物は、チアゾール、キラル2-オキサゾリン、テトラゾール、1,2-ジアリールイミダゾール、トリアゾロ[1,5-c]ピリミジンおよびベンズアミジンの調製におけるこの化合物の適用に例示されるように、ニトリル部分が有機合成用の多目的の試薬であるため、非常に需要が高い。ニトリルから調製される化合物は、超酸化物阻害、強誘電(ferrielectric)液晶ドーパント、抗ピコルナウイルス剤、抗炎症剤、抗喘息剤およびフィブリノーゲン拮抗薬などの性質を有する。 イミデート部分は、非常に求電子性であり、したがって、有機合成における重要な官能基となる。イミデート部分は、多数の求核試薬と反応を行なうことから、多様な生成物に変換され得る。また、イミデート部分は、フリーラジカルスカベンジャーとして機能し得る。例えば、エチル3,4,5-トリヒドロキシベンズイミデートは、NADPHオキシダーゼからのフリーラジカルの生成を阻止する。このフリーラジカル除去活性は、梗塞または他の虚血性症状の発現後の心臓の損傷を押さえるなど、組織損傷の量を減少させる。 チアゾールの調製、または還元されたチアゾリンおよびチアゾリジンの調製におけるニトリルおよびアリールイミデートの使用は、特に重要である。デスフェリチオシンなどの化合物および構造類似体はチアゾリン環を含み、これらの化合物は、鉄過負荷疾患を患う患者の鉄キレート療法における進出を示す(represent)。デスフェロキサミンなどの現在の治療剤は、非経口で投与する必要があり、体内において非常に短い半減期を有するので、患者のコンプライアンスおよび治療コストは、長期キレート療法を受ける被験体には深刻な問題である。デスフェリチオシンおよび関連化合物は、経口投与した場合、有効であり、それにより患者のコンプライアンスの問題が低減される。 残念ながら、4'-ヒドロキシデスアザデスフェリチオシンとして知られるデスフェリチオシンの効能のある低毒性形態の前駆体である2,4-ジヒドロキシベンゾニトリルは、合成が困難な状態である。現時点では、2,4-ジヒドロキシベンゾニトリルおよびアルキル2,4-ジヒドロキシベンズイミデートは市販品として入手可能ではなく、関連する2,4-ジメトキシベンゾニトリルは高価である。したがって、2,4-ジヒドロキシベンゾニトリルおよびアルキル2,4-ジヒドロキシベンズイミデートを妥当なコストで作製する新規な方法の必要性がある。発明の要旨 本発明は、構造式(I):式中、R1およびR2は各々、独立して、-H、置換もしくは非置換のアルキル基または置換もしくは非置換のアリール基である、により表される置換ベンゾニトリルの調製方法であって、a.)構造式(II):式中、R1およびR2は先に定義した通りである、により表される置換安息香酸を、該置換安息香酸を活性化剤および構造式(III):式中、R3、R4、R5およびR6は各々-Hまたは置換もしくは非置換のアルキル基である、により表されるα,β-アミノアルコールと反応させることによりアミド化し、それにより構造式(IV):により表される置換2-フェニルオキサゾリンを形成する工程、およびb.)置換2-フェニルオキサゾリンをオキシ塩化リンと反応させ、それにより構造式(I)により表される置換ベンゾニトリルを形成する工程を含む、置換ベンゾニトリルの調製方法を含む。 また、本発明は、構造式(V):式中、R7およびR8は各々、-Hまたは置換もしくは非置換のアリール基である、により表される置換ベンゾニトリルの調製方法であって、a.)2,4-ジヒドロキシ安息香酸のヒドロキシル基を、1種以上の置換または非置換アリールアルキル保護基で保護し、それにより保護された2,4-ジヒドロキシ安息香酸を形成する工程、b.)保護された2,4-ジヒドロキシ安息香酸を、該保護された2,4-ジヒドロキシ安息香酸を、活性化剤および構造式(VI):式中、R9、R10、R11およびR12は各々-Hまたは置換もしくは非置換のアルキル基である、により表されるα,β-アミノアルコールと反応させることによりアミド化し、それにより構造式(VII):により表される置換2-フェニルオキサゾリンを形成する工程、およびc.)置換2-フェニルオキサゾリンをオキシ塩化リンと反応させ、それにより構造式(V)により表される置換ベンゾニトリルを形成する工程を含む、置換ベンゾニトリルの調製方法を含む。 別の態様において、本発明は、構造式(VIII):により表される化合物の調製方法であって、a.)構造式(II):式中、R1およびR2は各々、独立して、-H、置換もしくは非置換のアルキル基または置換もしくは非置換のアリール基である、により表される置換安息香酸を、該置換安息香酸を活性化剤および構造式(III):式中、R3、R4、R5およびR6は各々-Hまたは置換もしくは非置換のアルキル基である、により表されるα,β-アミノアルコールと反応させることによりアミド化し、それにより構造式(IV):により表される置換2-フェニルオキサゾリンを形成する工程、およびb.)置換2-フェニルオキサゾリンをオキシ塩化リンと反応させ、それにより置換ベンゾニトリルを形成する工程、c.)R1およびR2が各々-Hでない場合、工程(b.)の生成物中のエーテル基を切断し、それにより2,4-ジヒドロキシベンゾニトリルを形成する工程、およびd.)(S)-2-メチルシステインを2,4-ジヒドロキシベンゾニトリルと結合させ、それにより構造式(VIII)により表される化合物を形成する工程を含む、該化合物の調製方法を提供する。 本発明は、構造式(IX):式中、R1およびR2は各々、独立して、-H、置換もしくは非置換のアルキル基または置換もしくは非置換のアリール基である、により表される置換ベンゾニトリルの調製方法であって、a.)ヒドロキシルアミンまたはその保護された誘導体もしくは塩および構造式(X):式中、R1およびR2は先に定義した通りである、により表される二置換ベンズアルデヒドを反応させ、それにより構造式(XI):により表される置換ベンズアルドキシムを形成する工程、およびb.)置換ベンズアルドキシムを五酸化二リンと反応させ、それにより構造式(IX)により表される置換ベンゾニトリルを形成する工程を含む、置換ベンゾニトリルの調製方法を含む。 別の態様において、本発明は、構造式(XII):により表される化合物の調製方法であって、a.)ヒドロキシルアミンまたはその保護された誘導体もしくは塩および構造式(X):式中、R1およびR2は各々、独立して、-H、置換もしくは非置換のアルキル基または置換もしくは非置換のアリール基である、により表される二置換ベンズアルデヒドを反応させ、それにより構造式(III):により表される置換ベンズアルドキシムを形成する工程、およびb.)置換ベンズアルドキシムを五酸化二リンと反応させ、それにより構造式(I):により表される置換ベンゾニトリルを形成する工程、c.)R1およびR2が各々-Hでない場合、工程(b.)の生成物を脱保護剤と反応させ、それにより2,4-ジヒドロキシベンゾニトリルを形成する工程、およびd.)(S)-2-メチルシステインを2,4-ジヒドロキシベンゾニトリルと結合させ、それにより構造式(VII)により表される化合物を得る工程を含む、該化合物の調製方法である。 一態様において、本発明は、構造式(XIII):式中、R1およびR2は各々、独立して、-H、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基または置換もしくは非置換のアリールアルキル基であり、R3は、置換または非置換のアルキル基である、により表される置換ベンズイミデートの調製方法であって、a.)塩素化剤および構造式(XIV):式中、R1およびR2は先に定義した通りである、により表される二置換安息香酸を反応させ、それにより構造式(XV):により表される置換塩化ベンゾイルを形成する工程、b.)置換塩化ベンゾイルをアンモニアまたはその塩と反応させ、それにより構造式(XVI):により表される置換ベンズアミドを形成する工程、およびc.)置換ベンズアミドを、式(R3)3OPF6(式中、R3は上記のものを表す)のヘキサフルオロリン酸トリアルキルオキソニウムと反応させ、それにより構造式(XIII)により表される置換ベンズイミデートを形成する工程を含む、置換ベンズイミデートの調製方法を含む。 別の態様において、本発明は、構造式(XVII):式中、R3は、置換または非置換のアルキル基である、により表される2,4-ジヒドロキシベンズイミデートの調製方法であって、a.)2,4-ジヒドロキシ安息香酸を保護基で保護し、それにより構造式(XIV):式中、R1およびR2は各々、独立して、-H、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基または置換もしくは非置換のアリールアルキル基である、により表される保護された安息香酸を形成する工程、b.)塩素化剤および式中、R1およびR2は先に定義した通りである保護された安息香酸を反応させ、それにより構造式(XV):により表される保護された塩化ベンゾイルを形成する工程、c.)保護された塩化ベンゾイルをアンモニアまたはその塩と反応させ、それにより構造式(XVI):により表される保護されたベンズアミドを形成する工程、d.)保護されたベンズアミドを、式(R3)3OPF6(式中、R3は上記のものを表す)のヘキサフルオロリン酸トリアルキルオキソニウムと反応させ、それにより構造式(XVIII):により表される保護されたベンズイミデートを形成する工程、およびe.)保護されたベンズイミデートを脱保護し、それにより2,4-ジヒドロキシベンズイミデートを形成する工程を含む、置換ベンゾニトリルの調製方法である。 別の態様において、本発明は、(S)-2-メチルシステインを2,4-ジヒドロキシベンズイミドと結合させることにより調製される、構造式(XIX):により表される化合物の調製方法であって、その調製は、上記のとおりである。 本発明の利点としては、安価で容易に入手可能な原料からの2,4-ジヒドロキシベンゾニトリルまたはそのエーテルもしくはジエーテルおよびアルキル2,4-ジヒドロキシベンズイミデートの容易な合成が挙げられる。本発明の方法により調製される2,4-ジヒドロキシベンゾニトリルおよびアルキル2,4-ジヒドロキシベンズイミデートは、(S)-2-メチルシステインと結合して、鉄キレート化剤である4'-ヒドロキシデスアザデスフェリチオシン(4,5-ジヒドロ-2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-メチルチアゾール-4(S)-カルボン酸ともいう)を形成し得る。発明の詳細な説明 2,4-ジヒドロキシベンゾニトリルまたはそのエーテルもしくはジエーテルを調製する第1の有用で効率的な方法は、2,4-ジヒドロキシ安息香酸(またはそのエーテルもしくはジエーテル)をα,β-アミノアルコールと反応させ、2-(2',4'-ジヒドロキシフェニル)-オキサゾリン(またはそのエーテルもしくはジエーテル)を形成することを含む。続いて2-(2',4'-ジヒドロキシフェニル)-オキサゾリンをオキシ塩化リンと反応させ、2,4-ジヒドロキシベンゾニトリルまたは関連化合物を得る。2,4-ジヒドロキシベンゾニトリルのエーテルまたはジエーテルの場合は、エーテル部分を切断し、2,4-ジヒドロキシベンゾニトリルを得るためのさらなる工程があることが望ましかろう。 一例において、2,4-ジヒドロキシベンゾニトリルへの変換を行なう前に、2,4-ジヒドロキシ安息香酸のヒドロキシル基の一方、好ましくは両方を保護することが望ましい。好ましい保護基は、ベンジル基などの置換または非置換のアリールアルキル基である。保護基は、例えば、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、塩基、および脱離基(例えば、ベンジルトシレート、塩化ベンジルまたは臭化ベンジルなどのハロゲン化ベンジル)を有するベンジル化合物を、極性溶媒中で反応させ、この混合物を数時間、典型的には1時間以上、1〜12時間、2〜8時間、3〜6時間還流することにより付加することができる。ベンジル化合物の量は、保護されるヒドロキシル基の数にある程度依存し、一般的に、1当量以上(例えば、1つのヒドロキシル基を保護するため)または2当量以上、例えば、約1〜約10当量、約2〜約8当量または約3〜約5当量である。反応温度は、典型的には溶媒に依存し、反応混合物が、選択された温度(通常、室温以上である)で還流されるように選択される。本反応において好適な溶媒は、典型的には、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、酢酸エチル、エチルエーテル、ジオキサンおよびヘキサメチルホスホルアミドなどの極性非プロトン性溶媒である。本反応に好適な塩基としては、典型的には、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、炭酸セシウム、炭酸カルシウム、および炭酸カリウムなどのアルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物、アルコキシドおよび炭酸塩が挙げられる。 2,4-ジヒドロキシ安息香酸のヒドロキシル基の両方およびカルボン酸を保護することが有利であり得、カルボン酸は、ヒドロキシル基の前、同時または後に保護することができる。完全に保護されたプロドラッグは、一般に固体であり、適当な方法により濾過および濃縮することができる。 カルボン酸部分を脱保護するため、固体を、例えば室温以上(例えば、20〜100℃、25〜80℃、30〜60℃、35〜50℃)で、上記のものなどの塩基と、極性プロトン性溶媒(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、水、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、N-エチルアセトアミド、ホルムアルデヒドジエチルアセタール)中で、数時間(例えば、1時間以上、1〜12時間、2〜10時間、3〜8時間、4〜6時間)反応させることができる。塩基の量は、触媒量または化学量論量であり得るが、好ましくは、塩基の1当量以上(例えば、約1〜約10当量、約2〜約8当量、約3〜約6当量)であるような化学量論量である。脱保護されたカルボン酸(カルボキシレート)部分は、塩酸、臭素酸、硝酸または硫酸などの過剰量の希酸により中和することができる。中和された酸は、しばしば、固体を形成し、この場合、2,4-ジヒドロキシ安息香酸のヒドロキシル基のみが保護された状態である。この固体を濾過し、任意に、メタノール/クロロホルム混合物などの混合溶媒から再結晶させる。 反応の次の工程では、2,4-ジヒドロキシ安息香酸または上記の保護された種の一方を、塩素化剤などの活性化剤、例えば、塩化オキサリル、三塩化リンまたは、好ましくは塩化チオニルと、ペンタン、ヘプタン、オクタン、ヘキサン、シクロヘキサン、四塩化炭素、トルエン、キシレンまたは、ベンゼンなどの極性溶媒中で反応させ、酸塩化物を形成することができる。酸塩化物は、上記のものなどの極性非プロトン性溶媒に溶解し、任意で、室温未満(例えば、約15℃〜約-35℃、約10℃〜約-20℃、約5℃〜約-5℃)に冷却し得る。次いで、α,β-アミノアルコールを添加した後、塩基を添加することができる。あるいはまた、2,4-ジヒドロキシ安息香酸または上記の保護された種を、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、イミダゾールまたは1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)およびα,β-アミノアルコールなどの活性化剤と反応させ、N-ヒドロキシルエチルアミンを得る。α,β-アミノアルコールは、典型的には、構造式(III)または構造式(VI):により表される。好ましくは、R3、R4、R9およびR10は各々、独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルまたはt-ブチルなどの非置換のアルキル基であり、R5、R6、R11およびR12は各々、-Hである。より好ましくは、R3、R4、R9およびR10は各々、メチルである。好適な塩基としては、ジアルキルアミンおよびトリアルキルアミン、好ましくは、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トリメチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン(DBN)、またはトリエチルアミンが挙げられる。酸塩化物およびα,β-アミノアルコールの混合物は、典型的には、例えば室温以上で、少なくとも約15分攪拌する。典型的には、反応は、15分〜6時間、30分〜3時間、45分〜2時間または60分〜90分継続する。所望時間後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウムなどの塩基性塩溶液で混合物を洗浄し、続いて、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、硫酸カリウムまたは硫酸ナトリウムなどの吸湿性物質上で乾燥し、濃縮し得る。この工程の生成物は、N-ヒドロキシエチルアミンである。 N-ヒドロキシエチルアミンと、1当量以上(約1〜約10当量、約2〜約8当量または約3〜約6当量)の塩化チオニルなどの活性化剤を、通常、少なくとも10分間(例えば、10分〜200分、20分〜100分、30分〜50分間)、例えば、約0℃〜90℃、約10℃〜60℃、約15℃〜40℃または約20℃〜30℃で攪拌する。N-ヒドロキシエチルアミンおよび塩化チオニルの混合物を、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウムまたは炭酸水素ナトリウムなどの塩基水溶液で中和する。次いで、混合物を、上記したものなどの極性非プロトン性溶媒で抽出し、水で洗浄し得る。混合物を吸湿性物質上で乾燥し、濃縮して2-アリールオキサゾリンを得る。 2-アリールオキサゾリン、有機塩基およびオキシ塩化リンを、典型的には一緒に加熱する。好適な有機塩基としては、ピペリジン、ピロリドン、および好ましくはピリジンが挙げられ、これらは、化学量論量または触媒量で存在する。上記化合物を加熱する場合、温度は、一般的に、60℃以上、例えば、約60℃〜150℃、約70℃〜130℃、約80℃〜120℃または約90℃〜110℃である。好ましくは、上記混合物は、少なくとも約30分間、例えば、約30分〜6時間、約1時間〜約4時間または約2時間〜約3時間加熱する。混合物を、約室温(例えば、約20〜約40℃または約20〜約30℃)まで冷却することができ、その後、氷冷水を添加することができる。混合物を、極性非プロトン性溶媒、好ましくは酢酸エチルで抽出することができる。抽出された混合物を、塩基性塩水溶液、好ましくは炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウムで洗浄することができ、その後、水を蒸発させると、2,4-ジヒドロキシベンゾニトリル、または保護された形態である2,4-ジベンジルオキシベンゾニトリルのいずれかが得られる。 一態様において、2,4-ジヒドロキシベンゾニトリルの保護基が切断される。保護基は典型的にはエーテル結合を介して2,4-ジヒドロキシベンゾニトリルに結合される(例えば2,4-ジベンジルオキシベンゾニトリル)。例えば、エーテル結合は「Advanced Organic Chemistry第4版」(Jerry March, Wiley-Interscience, 1992)の433〜434頁および1012〜1014頁ならびにその参考文献中(それら全てが参考として援用される)に記述された方法によって切断され得る。典型的には、エーテル結合は無機酸(例えばHBr, HI)またはルイス酸との反応によって切断される。適切なルイス酸としてはBF3、BCl3、(CH3)2BBr、BBr3、AlCl3、(CH3)3SiI、SiCl4/NaI、SiH2I2、LiI、NaI/BF3、および(CH3)3SiCl/NaIが挙げられる。 別の態様において、本発明は2,4-ジヒドロキシベンゾニトリルまたはそのエーテルもしくはそのジエーテルを調製する方法を含み、この方法は、ヒドロキシルアミン、またはその保護誘導体、もしくはその塩と2,4-ジヒドロキシベンズアルデヒドまたは2,4-ジメトキシベンズアルデヒドのようなジエーテルを反応させてオキシムを形成する工程を含む。オキシムは典型的には五酸化ニリンを用いて脱水されて2,4-ジヒドロキシベンゾニトリルまたはそのエーテルもしくはそのジエーテルを形成する。2,4-ジヒドロキシベンゾニトリルのエーテルおよびジエーテルに対しては、エーテル部を切断して2,4-ジヒドロキシベンゾニトリルを得るためにはさらなる工程が所望され得る。 R1およびR2がそれぞれ-Hである例において、アルデヒド部分の反応に先立ってR1およびR2は保護基によって保護され得る。好ましい保護基は、置換アルキル基またはメチル基のような非置換アルキル基である。例えば、保護基は、極性、非プロトン性溶媒中で2,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド、塩基およびCH3-Z(式中、Zが脱離基(例えばトシラート、塩化物もしくは臭化物のようなハロゲン化合物)である)を反応させることで付加され得る。適切な塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、メトキシドナトリウム、メトキシドカリウム、エトキシドナトリウム、エトキシドカリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム、および炭酸カリウムが挙げられる。極性、非プロトン性溶媒としては、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、酢酸エチル、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、およびヘキサメチルホスホアミドが挙げられる。他の適切な保護基は「Protective Groups in Organic Synthesis」(Peter G.M.Wuts およびTheodora W.Greene, Wiley-Interscience 1990)(その教示はその全体が本明細書中において参考として援用される)中に見出され得る。 反応の第一段階は、オキシムを形成するため、構造式(X):で表される化合物とヒドロキシルアミンまたはその保護誘導体またはその塩(例えば硫酸ヒドロキシルアンモニウム)とを反応させる工程を含む。ヒドロキシルアミンの水酸基部分は、ベンジルエーテル、t-ブチルエーテル、2,6-ジクロロベンジルエーテル、2-ブロモベンジルエーテル、および3,5-ジブロモベンジルエーテルとして保護され得る。好ましい態様において、R1およびR2はそれぞれ独立して置換もしくは非置換アルキル基または置換もしくは非置換アリール基である。より好ましい態様において、R1およびR2はそれぞれメチルである。典型的には、構造式(X)で表される化合物は、1以上の当量(例えば、約1〜約10当量、約2〜約8当量、約3〜約6当量)のヒドロキシルアミンと反応する。アルデヒドおよびヒドロキシルアミンの反応に対しての適切な条件は、例えば、「Advanced Organic Chemistry第4版」(Jerry March, Wiley-Interscience, 1992)の906-907頁およびその参考文献(それら全てが参考として援用される)中に見出され得る。アルデヒドおよびヒドロキシルアミンの反応において、溶媒(例えば水または水および水混和性有機溶媒の混合物)のpHは、好ましくは約4、または約3.5〜約4.5、約3〜約5もしくは約2〜約6の範囲内である。 本反応の第二段階は五酸化ニリンとオキシムを反応させる工程を含む。典型的には、P2O5はオキシムと共に1時間以上(例えば約1〜約12時間、約2〜約8時間、約3〜約6時間)室温以上(例えば約20℃〜約200℃、約40℃〜約150℃、約60℃〜約100℃)で加熱される。約1〜約6当量、約1.5〜約5当量または約2〜約4当量のような1当量以上のP2O5が反応には通常必要とされる。 第二段階に続いて、R1およびR2がそれぞれ-Hでない場合、R1およびR2を除去すること、さもなければニトリル生成物のエーテル基を脱保護することがしばしば有利である。典型的には、第二段階の生成物は脱保護を伴う処理の前に単離される。エーテル基の脱保護は、保護されたエーテルを脱保護剤と共に反応させることで達成され得る。好ましい脱保護剤としては、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素および三臭化ホウ素のような三ハロゲン化ホウ素が挙げられる。さらなる脱保護の方法は「Protective Groups in Organic Synthesis」(先に参考として援用された)中に見出され得る。 五酸化ニリンは脱水剤である。他の脱水剤としては、無水酢酸、酸性溶液中のオルト蟻酸エチル、四塩化炭素中のトリフェニルフォスフィン、トリクロロメチルクロロ蟻酸、シアノ蟻酸メチル、シアノ蟻酸エチル、無水スルホン酸トリフルオロメタン、P2I4、SeO2、トリエチルアミン中のトリクロロホルミルクロライド、およびクロロメチレンジメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。 さらに別の態様において、本発明は、エチル2,4-ジヒドロキシベンズイミデート、またはそのエーテルもしくはそのジエーテルを調製する方法を含み、2,4-ジベンジルオキシベンズアルデヒドのような2,4-ジヒドロキシ安息香酸またはそのジエーテルをアミド化する工程を含む。アミドは、典型的にはトリアルキルオキソニウム塩と反応してイミデートを形成する。例えば、ベンジル基のような水酸基を保護する官能基は、水素化により除去され得る。 構造式(XIII)のR1およびR2がそれぞれ-Hである例において、R1およびR2は保護基によって保護され得る。好ましい保護基は、ベンジル基のような置換または非置換アリールアルキル基である。例えば、保護基は、極性、非プロトン溶媒(例えば、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、酢酸エチル、エチルエーテル、ヘキサメチルホスホアミド、テトラヒドロフラン)中で2,4-ジヒドロキシ安息香酸、塩基、および脱離基で置換されたベンジル化合物(例えばベンジルトシラート、塩化ベンジルまたは臭化ベンジルのようなハロゲン化ベンジル)を反応させることで付加され得る。適切な塩基としては、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムアミド、カリウムアミド、およびリチウムジイソプロピルアミドが挙げられる。1例において、2,4-ジヒドロキシ安息香酸は、ジメチルホルムアミド中で水酸化ナトリウムおよび臭化ベンジルと反応させて、保護された水酸基およびカルボン酸を含む化合物を生じる。カルボン酸は、塩基性のジオキサン溶液中で化合物を還流することにより脱保護され得る。適切な塩基としては水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが挙げられる。還流後、溶液は酸性化される。例えば、さらなる保護基は、「Protective Groups in Organic Synthesis第3版」(Peter G.M.Wuts およびTheodora W.Greene, Wiley-Interscience 1999)中に見出され得る。 反応の第一段階は、酸塩化物を生成するために、極性、非プロトン性溶媒(上記に定義した通り)または極性、非プロトン性溶媒および無極性溶媒の混合物中で塩素化剤と構造式(XIV):で表される化合物を反応させる工程を含む。適切な塩素化剤としては、チオニル塩化物、三塩化燐、または、好ましくはオキサリル塩化物が挙げられる。適切な無極性溶媒としては、ペンタン、ヘプタン、オクタン、ヘキサン、シクロヘキサン、四塩化炭素、トルエン、キシレン、およびベンゼンが挙げられる。典型的には、反応は約-50℃〜約30℃、約-30℃〜約25℃、または約0℃〜約25℃のような30℃以下で行われる。カルボン酸が保護されている(例えば、水酸基の保護の結果として)場合、好ましくは、酸は塩素化剤との反応に先立って脱保護される。 酸塩化物は、アンモニアまたはその塩(例えばNH4OH)と反応させてアミド(例えばベンズアミド)を生成し得る。例えば、酸塩化物は、塩化メチレンまたは上記に列挙した別の溶媒のような極性、非プロトン性溶媒中でアンモニア水溶液と反応させてアミドを生成し得る。 アミドは、典型的には、式(R3)3OPF6である三アルキルオキソニウム六フルオロホスフェートと反応させて、ベンズイミデートを生成する。好ましいR3基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、およびt-ブチルのようなC1-C4アルキル基である。エチルは特に好ましいR3である。1例において、上記で生成されたアミドは、塩化メチレンのような極性、非プロトン性溶媒中で三エチルオキシニウム六フルオロホスフェートと反応させて、エチルベンズイミデートを生成する。 上記で生成されたベンズイミデート中のR1およびR2がそれぞれ-Hではない例において、水酸基を脱保護するためには、R1およびR2を切断することが望ましいかもしれない。水酸基を脱保護する適切な方法は、保護されたベンズイミデートを水素と反応させることを含む。例えば、メタノールまたはエタノールのような極性、プロトン性溶媒中において、パラジウム−カーボン触媒の存在下で水素1気圧とベンズイミデートを反応させることにより、保護されたベンズイミデートは水素化され得る。水素化はエチル2,4-ジヒドロキシベンズイミデートを生成する。 ベンズアミドは、好ましくは三アルキルオキシニウム六フルオロホスフェートと反応させるけれども、ベンズアミドは三アルキルオキシニウム四フルオロホウ酸塩と反応させることもできる。一般定義および技術 これらの定義および技術が、上述した本発明の様々な方法および態様に一般的に適用され得るように、下記の節は全体として本発明に適用される。上記の個別の節中の議論が、この節中の議論と重複する状況下においては、個別の節中の議論はその方法の好ましい態様としてみなされるべきである。他に示されない限り、これらの一般定義および技術は発明の全体に適用され得る。 システインまたは(S)-2-メチルシステインのような2-アルキルシステインは、2,4-ジヒドロキシベンゾニトリルまたはそのエーテルもしくはそのジエーテルと結合され得る。システインおよび関連化合物は他の置換および非置換アリールニトリルとも結合され得る。好ましい態様において、(S)-2-メチルシステインは、2,4-ジヒドロキシベンゾニトリルと結合されて、4,5-ジヒドロ-2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-メチルチアゾール-4(S)-カルボン酸(4'-ヒドロキシデサザデスフェリチオシン(4'-Hydroxydesazadesferrithiocin)としても知られる)を生成する。 システインまたは(S)-2-メチルシステインのような2-アルキルシステインは、2,4-ジヒドロキシベンズイミデートまたはそのエーテルもしくはジエーテルと結合され得る。好ましい態様において、(S)-2-メチルシステインは、2,4-ジヒドロキシベンズイミデートと結合されて、4,5-ジヒドロ-2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-メチルチアゾール-4(S)-カルボン酸(4'-ヒドロキシデサザデスフェリチオシン(4'-Hydroxydesazadesferrithiocin)としても公知)を生成する。 システインおよび結合に適切なシステイン誘導体の合成は、2002年5月15日に出願された米国出願第60/381,012号、60/381,021号、60/380,894号、60/380,910号、60/380,880号、60/381,017号、60/380,895号および60/380,903号、および2002年6月27日に出願された米国出願第60/392,833号中に見出され得る(その教示全体が本明細書中において参考として援用される)。 典型的には、システインまたは2-アルキルシステインと置換ベンゾニトリルとの結合は、ベンゾニトリルをベンズイミデートに変換することを含む。例えば、ベンズイミデートは、塩酸のような酸存在下で、メタノール、エタノール、n-プロパノール、またはイソプロパノールのようなアルコールとベンゾニトリルとを反応させることで、生成され得る。ベンズイミデート(ベンゾニトリルから、または本明細書中で開示された方法から得られた)は、さらに塩基性条件下でシステイン(または関連化合物)と反応させる。許容できる塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリフェニルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、ジフェニルアミン、DABCO、DBN等が挙げられる。ベンズイミデートおよびシステイン間の反応は、生成物を含むチアゾライン(または4,5-ジヒドロチアゾール)を生じる。水酸化されたベンゾニトリル(例えば2,4-ジヒドロキシベンゾニトリル)からベンズイミデートを生成する場合、水酸基は有利に保護される(例えば、ベンジル基のような置換もしくは非置換アルキル基またはアリールアルキル基により)。典型的には、保護基はその後、触媒水素化によって切断される。 上記方法の生成物は、エマルジョン結晶化のような当該分野で公知の方法によって精製され得る。 特許請求の範囲に記載された発明の方法は、他の関連するデスフェリチオシンアナログおよび誘導体の製造にも使用され得る。かかるアナログの例としては、Raymond J.Bergeron, Jr.の米国特許第5,840,739号、6,083,966号、6,159,983号、6,521,652号、および6,525,080号(その内容は本明細書中において参考として援用される)に記述されたものが挙げられる。さらなる例は、PCT/US93/10936, PCT/US97/04666、およびPCT/US99/19691(その内容は参考として援用される)中に見出され得る。 アルキル基は、その炭素原子の一つからの単一の共有結合を介して分子中の他の基と結合される分子中の炭化水素である。アルキル基は、環状または非環状、分枝状または非分枝状、および飽和状または不飽和状であり得る。典型的には、1つのアルキル基は、1〜約24個の炭素原子または1〜約12個の炭素原子を有する。低級アルキル基は、1〜4個の炭素原子を有し、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、およびtert-ブチルが挙げられる。 芳香族(またはアリール)基としては、フェニル、p-トリル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントラシル、および2-アントラシルのような炭素環式芳香族基が挙げられる。芳香族基としてはN-イミダゾリル、2-イミダゾール、2-チエニル、3-チエニル、2-フラニル、3-フラニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、2-ピラニル、3-ピラニル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル、5-ピラゾリル、2-ピラジニル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、および5-オキサゾリルのようなヘテロ芳香族基も挙げられる。 芳香族基としては、炭素環式、脂環式、もしくは芳香環またはヘテロアリール環が1以上の他のヘテロアリール環またはアリール環と融合されている多環式芳香環系も挙げられる。例としては、2-ベンゾチエニル、3-ベンゾチエニル、2-ベンゾフラニル、3-ベンゾフラニル、2-インドリル、3-インドリル、2-キノリニル、3-キノリニル、2-ベンゾチアゾール、2-ベンゾオキサゾール、2-ベンズイミダゾール、2-キノリニル、3-キノリニル、1-イソキノリニル、3-キノリニル、1-イソインドリル、および3-イソインドリルが挙げられる。 アルキル基に対して適切な置換基としては、-OH、ハロゲン(-Br、-Cl、-I、および-F)、-O(R')、-O-CO-(R')、-CN、-NO2、-COOH、=O、-NH2、-NH(R')、-N(R')2、-COO(R')、-CONH2、-CONH(R')、-CON(R')2、-SH、-S(R')、およびグアニジンが挙げられる。各R'は独立してアルキル基またはアリール基である。さらに、アルキル基は、アリール基によって置換され得る(例えばアルキル基は、芳香族基と置換されてアリールアルキル基を生成し得る)。置換アルキル基は1以上の置換基を有し得る。 アリール基に対して適切な置換基としては、-OH、ハロゲン(-Br、-Cl、-I、および-F)、-O(R')、-O-CO-(R')、-CN、-NO2、-COOH、=O、-NH2、-NH(R')、-N(R')2、-COO(R')、-CONH2、-CONH(R')、-CON(R')2、-SH、-S(R')、およびグアニジンが挙げられる。各R'は独立してアルキル基またはアリール基である。さらに、アリール基は、アルキル基または脂環基によって置換され得る(例えば、アリール基は、アルキル基と置換されてトリルのようなアルキルアリールを生成し得る)。置換アリール基は1以上の置換基を有し得る。 三ハロゲン化ホウ素は、本発明において使用する脱保護剤(すなわち、エーテルの加水分解)として許容できる。他の脱保護剤としては、(CH3)2BBr、AlCl3、(CH3)3SiI、SiCl4/NaI、SiH2I2、LiI,NaI/BF3、および(CH3)3SiCl/NaIが挙げられる。実施例12,4-ベンジルオキシベンゾニトリルの合成A.2,4-ジベンジルオキシ安息香酸 2,4-ジヒドロキシ安息香酸(5g)、無水K2CO3(40g)、および臭化ベンジル(16mL)のアセトン溶液(100mL)を4時間還流した。固体をろ過後、ろ液を濃縮した。残留物をKOH(6g)およびメタノール(20mL)とともに室温で4時間撹拌し、希釈HCl(pH2)で中和した。このようにして形成された固体をろ過し、メタノール−クロロホルム混合液(3:1)から再結晶化し、3.5gの生成物を得た。母液の濃縮により、さらに1gの生成物を得た。B.オキサゾリンの調製 無水ベンゼン中のパートAで得られた酸(3.2g)およびSOCl2(2mL)懸濁液を還流状態で8時間過熱し、濃縮し、ベンゼンで共蒸留した。生じた酸塩化物をCH2Cl2(8mL)に溶解し、氷水中で冷却した。つぎに、2-アミノ-2-メチルプロパノール(2.2g)を添加し、続いてトリエチルアミン(1.4mL)を加えた。生じた混合物を室温で1時間撹拌し、炭酸水素ナトリウム溶液と水で洗浄した後、K2CO3上で乾燥させ、濃縮し、固体としてアミド(3.3g)を得た。 上記アミド(1g)およびSOCl2(1mL)を室温で0.5時間撹拌し、20%NaOH水溶液で中和した。反応混合物をCHCl3で抽出し、水で洗浄し、K2CO3上で乾燥させて濃縮し、固体としてオキサゾリン(0.88g)を得た。C.2,4-ジベンジルオキシベンゾニトリルの調製 オキサゾリン(0.75g)、ピリジン(2mL)、およびPOCl3(1mL)を90℃で2時間加熱し、室温まで冷却し、氷水で分解し、酢酸エチルで抽出した。有機溶媒層を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、水分を蒸発させて、固体として2,4-ジベンジルオキシベンゾニトリル(0.45g)を得た。実施例2 35mgのR-およびS-4,5-ジヒドロ-2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-メチルチアゾール-4-カルボン酸を、5ml容ガラス容器中で50℃まで加熱することにより、9%N-メチル-ピロリドン、9%v/v2-ヘキサノール、10%v/v Rhodafac RE610、5%v/v Soprophor FLおよび68%v/v水の混合液1ml中に溶解した。生成物が完全に溶解した後、マイクロエマルジョンを室温まで冷却し、振盪機で撹拌した(350rpm)。2時間は、自然発生的な結晶化が観察されなかった。次いで、混合物に、類似条件下で生成したS-生成物の純粋結晶の微細粉末希釈懸濁液を2滴播種した。2時間振盪後、生じた結晶をろ過し、水で洗浄し、穏やかな窒素流中で乾燥させた。この操作により、S鏡像体が90%以上の純度である無色の結晶が5.4mg(15.4%)生成した。実施例3 4.00gの(S)-2-メチルシステイン塩酸(23.3mmol、1.0ミリ等量)および3.14gの2,4-ジヒドロキシベンゾニトリル(23.3mmol、1.0ミリ等量)を40mLのエタノール中に懸濁させた。この混合物を窒素で脱気(30分)した後、4.95gのトリエチルアミン(6.8mL、48.9mmol、2.05ミリ等量)を添加した。得られた懸濁物質を、窒素雰囲気下で20時間、還流状態で加熱してから室温に冷却した。この懸濁物質から、オイル(初期容量の20%)が得られるまで、減圧下でエタノールを蒸発させた。このオイルを50mLの水中に溶解した。溶液を1.20mlの20%KOHでpH7.5に調整した後、それぞれ20mLのメチルt-ブチルエーテル(MTBE)で2回抽出した。水層を分離し、20%KOHでpH11に調整し、再度それぞれ20mLのMTBEで2回抽出した。水層を分離後、濃縮HClでpH7.5に調整し、残留MTBEを蒸留した。続いて、水溶液を1.50mLの濃縮HClでpH1.5に酸性化した。生成物は沈殿した。この懸濁物質を4℃で1時間撹拌した。続いて、沈殿物質をろ過し、それぞれ10mLの水(5℃)で2回洗浄した後、45℃の減圧下で乾燥させた。反応により、5.17g(87.6%)の粗製の4,5-ジヒドロ-2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-メチルチアゾール-4(S)-カルボン酸生成物が生じた。1H-NMRにおいて、有意な不純物は見られなかった。実施例4 2,4-ジメトキシ安息香酸をヒドロキシルアミンと反応させて、2,4-ジメトキシベンズアルドキシムを生成させる。2,4-ジメトキシベンズアルドキシムを五酸化ニリンと反応させて、2,4-ジメトキシベンゾニトリルを生成させる。2,4-ジメトキシベンゾニトリルを三塩化ホウ素と反応させて、2,4-ジヒドロキシベンゾニトリルを生成させる。実施例52,4-ジヒドロキシベンゾニトリルの合成 二重壁の反応器中において、50.0g(0.362mol、1.0ミリ当量)の2,4-ジヒドロキシ-ベンズアルデヒドを180mLの蟻酸に添加し、室温で褐色の懸濁物質を生じさせた。次いで、45.8g(0.673mol、1.8ミリ当量)の蟻酸ナトリウムを2分にわたって添加し、温度は33℃に上昇した。温度が30℃に低下した後、35.6g(0.217mol、1.2ミリ当量)の水酸化硫酸アンモニウムを3分間かけて添加し、濃褐色の懸濁液(30〜32℃で10分間撹拌後は褐色の溶液になる)を得た。混合物を100℃に加熱する間に、38℃で結晶化が起こり、撹拌を中断した。70℃では、反応混合物は、容易に撹拌できる薄い懸濁液になった。この反応混合液を100℃で2時間撹拌した。色は黒褐色になった。TLC(シリカゲル60 F254、アセトン:n-ヘキサン:水=20:20:1)により、ほぼ完全な反応であることが分かった。蟻酸(170mL)は減圧下(60℃、10ミリバール)で蒸発させた。黒褐色の固形残渣を400mLのMTBE中で、40℃で1時間撹拌した(不完全な溶解)。不溶解残渣(62.5g)をろ過し、それぞれ50mLのMTBEで2回洗浄した。母液に10gの活性炭(Norit CA 5)を添加し、この混合物を1時間還流し、Celite Super Hyflowで40℃でろ過した(2×50mL部のMTBEで洗浄することにより)。MTBE-母液を、それぞれ100mLの水で3回洗浄した。共沸蒸留法(水分離機)で、このMTBE溶液から水分を除去した後、初期容量の20%に減圧下で濃縮し、500mLのトルエンを添加した。次いで、減圧下でMTBEを蒸留した。この操作の間に、褐色残渣が沈殿を生じ、それらをろ過した。トルエン母液を150mLに濃縮すると、2,4-ジヒドロキシベンゾニトリルが沈殿し、それらをろ過し、それぞれ30mLのトルエンで2回洗浄した。薄黄褐色の生成物を減圧下(45℃、20ミリバール)で乾燥させた。反応により、34.5gの2,4-ジヒドロキシベンゾニトリル(70.5%、純度97%(HPLC))が生じた。実施例6 2,4-ジヒドロキシ安息香酸を、水素化ナトリウムおよび臭化ベンジルとジメチルホルムアミド(DMF)中で反応させて、水酸基およびカルボン酸部分をベンジル基で保護された化合物を収率91%で得た。ジオキサン中で2N水酸化ナトリウムとともに還流し、続いてその混合物を酸性化することで、ベンジル基をカルボン酸部分から除去し、2,4-ジベンジルオキシ安息香酸を収率83%で得た。 2,4-ジベンジルオキシ安息香酸をトルエンおよびDMF中で、0〜25℃で塩化オキサリルと反応させて、酸塩化物を得た。酸塩化物を、塩化メチレン中でアンモニア水と反応させて、収率87%(2段階以上)の2,4-ジベンジルオキシベンズアミドを得た。2,4-ジベンジルオキシベンズアミドを、塩化メチレン中で、三エチルオキソニウム六フルオロホスフェートと反応させて、収率69%でエチル2,4-ジベンジルオキシベンズイミデートを得た。エチル2,4-ジベンジルオキシベンズイミデートを、エタノール中で、パラジウム/カーボン触媒上で1気圧の水素ガスとともに水素化し、収率75%でエチル2,4-ジヒドロキシベンズイミデートを得た。一連の反応の全体収率は6段階に対して34%であった。実施例7 二重壁の反応器中において、2,4-ジベンジルオキシベンゾニトリル(0.121mol)を5.85g(0.127mol)のエタノールおよび19.4mlの1,2-ジメトキシエタンに溶解した。この溶液を-5℃に冷却し、撹拌し、0〜3℃で5時間以上、無水HClガスで飽和させた。反応混合物を、窒素下において2〜4℃で一晩撹拌した。この間に生成物が結晶化した。白色結晶をろ過し、1,2-ジメトキシエタンで洗浄(5℃、各回13mlを用いて3回)し、乾燥させた。全部で30の保護されたエチルベンズイミデートを単離した(収率88.4%、純度98.9%)。 上記の保護されたエチルベンズイミデートをメタノールに溶解して10%溶液を生成し、触媒として5%Pd/Cを用いて室温で触媒反応的に水素化した。反応は8時間で完了した。溶液をろ過し、溶媒を蒸発させて、オレンジ〜黄色の固体として脱保護された生成物を得た。反応によって19.6g(94%)の生成物が生じた。 対照的に、2,4ジヒドロキシベンゾニトリルを用いるイミデートの生成は低収率な方法であり、所望の生成物が、たった20%の収率で、所望されるよりも低い純度で得られた。 本発明は、その好ましい態様を参照して詳細に示され、説明されているが、形式や詳細部分における様々な変化が、添付した特許請求の範囲により包含される本発明の範囲を逸脱することなくなされ得ることが、当業者よって理解されよう。 構造式(I):(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して-H、置換もしくは非置換アルキル基、または置換もしくは非置換アリール基である)で表される置換ベンゾニトリルを調製する方法であって、a.)構造式(II):(式中、R1およびR2は上で規定したとおりである)で表される置換安息香酸を、該置換安息香酸と活性化剤および構造式(III):(式中、R3、R4、R5、およびR6はそれぞれ-Hまたは置換もしくは非置換アルキル基である)で表されるα,β-アミノアルコールとを反応させることによりアミド化し、それにより構造式(IV):で表される置換2-フェニルオキサゾリンを形成する工程;ならびにb.)置換2-フェニルオキサゾリンとオキシ塩化リンとを反応させ、それにより構造式(I)で表される置換ベンゾニトリルを形成する工程を含む、方法。 R3およびR4がそれぞれ独立して非置換アルキル基であり、R5およびR6がそれぞれ-Hである、請求項1記載の方法。 R1およびR2がそれぞれベンジルである、請求項2記載の方法。 R3およびR4がそれぞれメチルである、請求項3記載の方法。 2,4-ジヒドロキシ安息香酸およびハロゲン化ベンジルまたはトシル酸ベンジルから置換安息香酸を調製する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。 R1およびR2がそれぞれ-Hである、請求項2記載の方法。 R3およびR4がそれぞれメチルである、請求項6記載の方法。 構造式(V):(式中、R7およびR8はそれぞれ-Hである)で表されるベンゾニトリルを調製する方法であって、a.)2,4-ジヒドロキシ安息香酸のヒドロキシル基を1つ以上の置換もしくは非置換アリールアルキル保護基で保護し、それにより保護2,4-ジヒドロキシ安息香酸を形成する工程;b.)保護2,4-ジヒドロキシ安息香酸を、該保護2,4-ジヒドロキシ安息香酸と活性化剤および構造式(VI):(式中、R9、R10、R11、およびR12はそれぞれ-Hまたは置換もしくは非置換アルキル基である)で表されるα,β-アミノアルコールとを反応させることによりアミド化し、それにより置換2-フェニルオキサゾリンを形成する工程;c.)置換2-フェニルオキサゾリンとオキシ塩化リンとを反応させ、それにより置換ベンゾニトリルを形成する工程;ならびにd.)工程(c.)の産物から保護基を切断し、それにより構造式(V)で表されるベンゾニトリルを形成する工程を含む、方法。 R9およびR10がそれぞれ独立して非置換アルキル基であり、R11およびR12がそれぞれ-Hである、請求項8記載の方法。 R9およびR10がそれぞれメチルである、請求項9記載の方法。 保護基がベンジル基である、請求項10記載の方法。 構造式(VIII):で表される化合物を調製する方法であって、a.)構造式(II):(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して-H、置換もしくは非置換アルキル基、または置換もしくは非置換アリール基である)で表される置換安息香酸を、該置換安息香酸と活性化剤および構造式(III):(式中、R3、R4、R5、およびR6はそれぞれ-Hまたは置換もしくは非置換アルキル基である)で表されるα,β-アミノアルコールとを反応させることによりアミド化し、それにより構造式(IV):で表される置換2-フェニルオキサゾリンを形成する工程;b.)置換2-フェニルオキサゾリンとオキシ塩化リンとを反応させ、それにより置換ベンゾニトリルを形成する工程;c.)R1およびR2がいずれも-Hでない場合、工程(b.)の産物中のエーテル基を切断し、それにより2,4-ジヒドロキシベンゾニトリルを形成する工程;ならびにd.)(S)-2-メチルシステインと2,4-ジヒドロキシベンゾニトリルとをカップリングし、それにより構造式(VIII)で表される化合物を形成する工程を含む、方法。