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タイトル:特許公報(B2)_治療用1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−2−オン組成物及びそれを用いた方法
出願番号:2004500881
年次:2010
IPC分類:A61K 31/513,A61K 9/14,A61K 9/72,A61J 1/03,A61M 35/00,A61P 17/04,A61P 29/00,A61P 11/02,C07D 239/22


特許情報キャッシュ

ウェイ エドワード ティー JP 4558479 特許公報(B2) 20100730 2004500881 20030428 治療用1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−2−オン組成物及びそれを用いた方法 クラグモント ファーマスーティカルズ エルエルシー 504405420 CRAGMONT PHARMACEUTICALS,LLC 中島 三千雄 100078190 中島 正博 100115174 ウェイ エドワード ティー US 10/139,193 20020502 US 10/191,481 20020708 US 10/232,798 20020829 US 10/233,126 20020829 US 10/267,896 20021008 20101006 A61K 31/513 20060101AFI20100916BHJP A61K 9/14 20060101ALI20100916BHJP A61K 9/72 20060101ALI20100916BHJP A61J 1/03 20060101ALI20100916BHJP A61M 35/00 20060101ALI20100916BHJP A61P 17/04 20060101ALI20100916BHJP A61P 29/00 20060101ALI20100916BHJP A61P 11/02 20060101ALI20100916BHJP C07D 239/22 20060101ALI20100916BHJP JPA61K31/513A61K9/14A61K9/72A61J1/00 370AA61M35/00A61P17/04A61P29/00A61P11/02C07D239/22 A61K 31/513 A61K 9/00-9/72 A61K 47/00-47/48 CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 国際公開第00/045815(WO,A1) 特開昭53−010597(JP,A) 特開昭63−165324(JP,A) 国際公開第00/010528(WO,A1) 特開平01−185267(JP,A) WEI, E.T. et al.,J. Pharm. Pharmacol.,1983年,Vol.35,p.110-112 MCKEMY, D.D. et al.,Nature,2002年 3月,Vol.416,p.52-58 PEIER. A.M. et al.,Cell,2002年 3月,Vol.108,p.705-715 15 GB2003001811 20030428 WO2003092697 20031113 2005526841 20050908 37 20060411 高橋 樹理 本発明は、一般に、コールド・レセプター(cold receptor)を特に活性化せしめる薬品類、及びかかる薬品の治療目的での用法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、炎症の起きた皮膚に、目や気道、肛門性器部 (anogenital area)の粘膜に、そして腸内粘膜に配達(delivery)等されて、痒みや痛みによる刺激を抑制する目的での配達のために投与された場合に、長時間効果のある、冷却及び鎮静作用を導き出す、治療用組成物に関するものである。特に好適な具体例の組成物には、"アイシリン(icilin)"、1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−2−オン化合物が含まれる。 外部環境についての人の認識は、視覚、嗅覚、聴覚、味覚、触覚及び圧力の為の、特定の器官によって伝達される。これらの知覚の様相に加えて、皮膚には、又、目、気道、肛門性器部、消化管の粘膜には、熱や冷感や痛みや痒みを感知する特定の神経終末が存在している。 コールド・レセプターの活動による抗炎症効果: 皮膚又は眼窩に適用した氷の、痛みや、火傷による膨れや、その他の形態の外傷に対する効果については、良く知られている。口の中に入れたアイスキューブは、歯痛も抑制する。冷却による痛みの軽減についての正確なメカニズムは明らかではないが、動物実験では、氷のような低温の固体の表面との接触によって、痛みの求心性線維の放電 (discharge) が軽減されることが、示されてきた。コールド・レセプターを活性させる薬品であるメントールは、激しい痛みの抑制はしないものの、それが皮膚及び粘膜上に誘発する冷却感は、清々しく、熱や刺激を中和する。そのため、メントールは、皮膚の局所適用のための広範囲な塗布薬やローションの構成物として、また、食料品、飲料、歯磨き粉、皮膚のマッサージ剤、及びマウスウォッシュの風味付け剤や清涼剤として、用いられる。メントールは、喫煙時に、口内及び上部気道に清涼感を生み出すための、タバコの添加物としても、用いられる。 アイシリンの背景: 1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−2−オン組成物については、米国特許第 3,821,221号 (発明者:C. Podesva及びJ.M. Do Nascimento., 1974年6月28日)に説明されている。これらの化合物は、中枢神経系に対する抑制及び/又は刺激効果があると考えられていた。1972年に、あるアブストラクトが、AG−3−5と呼ばれるこの系列の化合物を示している(1[2−ヒドロキシフェニル]−4−[3−ニトロフェニル]−1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−2−オン)。この試作品は、ラットやサルにおける、高熱、機能高進、及び下垂症を伴う、「濡れ犬の如き激しい震え」の症状を顕現した。ウェイ(Wei)(Chemical stimulants of shaking behavior. Journal of Pharmacy and Pharmacology 28: 722-724, 1976)は、動物におけるAG−3−5の作用についての、初めての詳細なレポートを提供し、犬の体が濡れた時と同様の震えの動作が、ラット、マウス、猫、犬、アレチネズミ、モルモット、ハムスター等の様々な実験動物において顕現できた、と記した。その後、ウェイ (Wei)(Pharmacological aspects of shaking behavior produced by AG−3−5,TRH,and morphine withdrawal. Federation Proceedings 40:1491-1496, 1981)は、舌端に適用した0.1mgのAG−3−5によって、冷たい穿痛感が引き起こされ、6mgを摂取した場合には、3例のうちの1例は、頬上や、腕や足の内面に冷却感が生まれたことを報告している。AG−3−5が冷感のためのレセプターの特定の作用を生み出したのであり、これらのレセプターが、実験室の動物が震えた様子を見せた原因なのではないかという仮説が立てられた。その後の出版物(E.T. Wei and D.A. Seid. AG−3−5: A chemical producing sensation of cold. Journal of Pharmacy and Pharmacology 35:110-112, 1983)には、ラットにおける震えの行動に対するAG−3−5の影響が、メントールの場合と比較されており、この行動評価項目においては、AG−3−5による場合の方が、メントールに比べて、質量基準で400倍強力であることが示された。AG−3−5は、ラットにおける、経口の半数致死量によって測定した場合、メントールよりも毒性が低かった。このAG−3−5は、冷感を生み出す特性から、アイシリン(icilin)と名付けられた。 近年、分子基準の温度感覚が、解明されてきた。2つのグループは、低温やメントールやアイシリンに反応するラットの三叉感覚ニューロンから、生物学上の高分子(レセプターと呼ばれる)をクローンとして発生させた。これらのレセプターは、イオンチャンネルの一過性の受容器電位(transient receptor potential, TRP)の族に属し、TRP−M8レセプターと名付けられている。ウェイによって提供されたサンプルにより、McKemy et al. (Identification of a cold receptor reveals a general role for TRP channels in thermosensation. Nature 416:52-58, 2002)は、クローンとして作成された、又は表現形質を変化させたTRP(M8)レセプター内にイオンチャンネルの電流の電荷を導き出すことにおいて、アイシリンが、メントールよりも、約200倍強力であることを示した。表現形態を変化させた細胞内に導き出されたイオン浸透性の電荷は、アイシリンによるものの方が、メントールによって導き出されたものよりも、より頑丈であり、その活動には、細胞外のカルシウムの存在が必要とされた。メントールの電流は、細胞外のカルシウムを必要としなかった。 アイシリンの化学構造は、メントールとの類似点を殆ど有しておらず、前者が2つのフェニル環に結びついたピリミジン−2−オンであるのに対し、後者はシクロヘキサノールの誘導体である。神経膜組織上のTRP−M8レセプターの活性化は、感覚神経終末の脱分極の原因となることがあり、結果的に冷たいという精神信号として認識される活動電位を脊髄と脳に送る。TRP−M8レセプターを活性化させる薬剤は、TRP−M8レセプター作用薬と呼ばれる。米国特許第 3,821,221号明細書「Journal of Pharmacy and Pharmacology」 28 : 722-724, 1976「Federation Proceedings」 40 : 1491-1496, 1981「Journal of Pharmacy and Pharmacology」 35 : 110-112, 1983「Nature」 416 : 52-58, 2002発明の概要 炎症に伴う痛みや痒みを軽減するため、炎症を起した皮膚や体の粘膜に対して有用な治療用組成物に対するニーズが、存在している。 本発明の態様の一つによれば、1−R1−フェニル、4−R2−フェニル置換の1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−2−オンからなるコールド・レセプター作用薬 (cold receptor agonist) を、治療に効果のある量にて含み、好ましくは、抗炎症性グルココルチコステロイド、交感神経様作用アミン血管収縮薬若しくは充血除去剤、抗ヒスタミン剤、局部麻酔薬、メントールもしくはメントール類似物、免疫抑制剤、又は駆風剤等の1種又はそれ以上の薬学的に活性な、薬品を更に含んだ治療用組成物が、提供される。このコールド・レセプター作用薬は、以下の一般式:1−[R1−フェニル]−4−[R2−フェニル]−1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−2−オン[但し、R1は、ヒドロキシ、クロロ、フルオロ、アルキル(炭素原子数が約2乃至約4)、アセトキシ、又はトリフルオロメチルであり、R2は、ニトロ、クロロ、フルオロ、アルキル、又はトリフルオロメチルである]にて、表わすことができる。 特に好適なコールド・レセプター作用薬の態様は、"アイシリン”と呼ばれ、特に好適な組成物は、痛み、痒み、及び皮膚並びに粘膜の炎症における不快感に対し、改善された治療効果を提供するため、ローション、クリーム、又は軟膏として、好ましくは、1種又はそれ以上の薬学的に活性な薬品と共に、処方及び投与される。 本発明の組成物の好適な用法は、経口投与又は吸入による皮膚又は粘膜に対する適用のためのものである。従って、本発明の別の態様によれば、アイシリン又はアイシリン類似物は、気道の不調を治療する為に、噴霧状にて気道に届けられるよう処方される。本発明の更に別の態様によれば、アイシリン又はアイシリン類似物は、過敏性腸炎の治療のため、結腸に局所的に届けられるように処方される。 本発明のその他の有利な点や態様については、以下の詳細な説明及び請求項を読むことによって、理解されることであろう。発明の詳細な記述 本発明に従う組成物及び治療方法は、1−R1−フェニル、4−R2−フェニル置換の1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−2−オン コールド・レセプター作用薬、好ましくは、以下の一般式:1−[R1−フェニル]−4−[R2−フェニル]−1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−2−オン[但し、R1は、好ましくは、ヒドロキシ、クロロ、フルオロ、アルキル(炭素原子数が約2乃至約4)、アセトキシ、又はトリフルオロメチルであり、R2は、好ましくは、ニトロ、クロロ、フルオロ、アルキル(炭素原子数が約2乃至約4)、又はトリフルオロメチルである]にて表わされるものを利用するものである。特に好適な化合物及びその類似物を、"アイシリン”と呼び、その類似物は、”アイシリン類似物”と呼ぶ。式1は、一般式を表わし、式2は、アイシリンを示す。 アイシリンは、レモンイエローの結晶性粉末であって、その分子量は311.3ダルトンで、融点は229乃至231℃である。この粉末には、においが無く、刺激性も無い。つまり、人体の表面に接触した際に、においや不快な感覚を引き起こすことがないことを意味している。この組成物は、室温で安定している。アイシリンは、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、ジメチルアセトアミド、及びプロパンジオール等の有機溶剤に直ちに溶解可能であり、エタノールやアセトンにはわずかに可溶であり、水には事実上不溶である。従って、アイシリンは、水系のものとは、簡単には混和性を示さない、脂肪親和性且つ疎水性の組成物であると考えられる。アイシリンの類似物、例えばアセトキシ、メトキシ、エトキシ、フルオロ、又はトリフルオロメチルとの置換が起きているものも、同様の化学的及び物理的な特性を有しており、本発明の範囲内に含まれるものである。 式1及び式2の組成物の調製に適した方法は、1974年6月28日に発行された米国特許第3,821,221号において、Podesva 及び Do Nascimento によって、記述されており、ここに参照することによって導入され、また後の実施例Aにて例示されている。 メントールは、これと異なり、白い結晶であり、分子量は156ダルトンで、融点は41乃至43℃であり、この温度は体温よりもわずかに高い温度である。メントールは、独特のペパーミント臭を有しており、また、高い濃度のものは、目を刺激し、舌及び中咽頭において味の刺激を引き起こす。メントールは、アイシリンよりも、親和性があり、エタノールに可溶であり、水にはわずかに可溶である。かかるアイシリンとメントールとの間の物理化学的な違いから、次に述べる通り、ある特定の治療状況において知覚神経の放電を操作するのに利点となる特質をアイシリンのみが備えているのである。第一の長所は、配達する場所である:メントールには、刺激、刺痛、及びヒリヒリする感じがあるため、まぶた並びにその周囲、鼻の細胞膜、又は肛門性器部の粘膜に、高い濃度にて用いることはできない。一方、アイシリンには、刺激が無いため、これらの箇所に投与することができる。アイシリンの第二の主な長所は、その作用の持続期間である。脂肪親和性の特徴があり、粉末として投与するか、又はエマルジョンとして(固体又は可溶化することにより)分散させることができることから、アイシリンの作用は、適用箇所において、より長い期間局所化することができる。これとは異なり、メントールは、揮発性があり、体内において急速に再分配され、新陳代謝されることから、その作用期間は、比較的短い。例えば、鼻の細胞膜に適用されたアイシリンは、最高8時間の間、清涼感を生み出すことができる。これとは異なり、皮膚又は粘膜に適用したメントールは、一般的に、その一回量の如何に関わらず、15〜30分よりも長い間、冷却感を生み出すことは無い。 本文で説明されているように、アイシリンは、皮膚上、並びに目及び肛門性器部の粘膜上での活性な止痒塗布薬として利用できることが示される。また、点眼薬として投与されたアイシリンは、目の刺激を軽減し、清涼感を与える。更に、アイシリンは、カプセル化して、腸粘膜の刺激を軽減するよう投与することもできる。本発明の実施における一つの重要な結論は、炎症した皮膚及び粘膜に適用したアイシリンは、痒み、刺激、及び痛みを軽減するということである。 アイシリンは、特に、抗炎症性グルココルチコステロイド、交感神経様作用アミン充血除去剤、抗ヒスタミン剤、局部麻酔薬、メントール並びにメントール類似物、免疫抑制剤、又はペパーミントオイル等の駆風剤等、その他の薬剤と組み合わせて(補助剤として)用いることが考えられる。このような薬剤と共に投与されたアイシリンは、アイシリンを含まない調剤に比べて、より大きな治療的効果を呈する。表1は、様々な炎症した組織における、痒み、刺激、痛みを軽減するためのアイシリン調剤の使用、及び、炎症に関する医療状況についてまとめたものである。コールド・レセプターへの配達を目的としたアイシリン化合物の一般的調剤 コールド・レセプターへの配達を目的としたアイシリン化合物の調剤(アイシリン及び/又はその類似物)は、様々な組織層に対する接近可能性、及び望まれる作用期間によって変化する。標準的なローション、クリーム、及び軟膏の調剤は、炎症のおきた皮膚、並びに、唇、目、及び肛門性器部の粘膜への配達を目的として用いることができる。従って、アイシリンは、患者の不快感や痒みを軽減し、炎症の何等かの様相を軽減するものであるから、本発明の特に好適な態様は、ローション、クリーム、又は軟膏の効果を高めるために、アイシリンを補助剤として用いるというものである。アイシリンの驚くべき長い作用時間は、治療の効果を大きく拡大する。 鼻腔に並んでいるコールド・レセプターへの配達を目的とした場合には、初めに、プロパンジオール等の不活性溶剤に溶解せしめられ、その後、食塩水に懸濁せしめられたアイシリンが、噴霧器を用いて配達されることとなり得る。このような装置は、スプレー式点鼻薬に入った充血除去剤を配達するために一般的に用いられるものであり、特定のノズルサイズを有する押出し式のプラスチック容器に、手動で圧力をかけることによって、下気道まで浸透しにくいサイズパターンの液滴が作り出される。この薬剤の効果は、こうして、鼻腔に局所化される。 上部気道(気管支及び細気管支)の粘膜中のコールド・レセプターへの配達を目的とした場合には、アイシリンは、標準的な計量による一回量を有する吸入器を用いて可溶形態にて、又は、乾燥粉末の吸入器を用いて結晶体として配達されるだろう。何れの配達手段も、一回量及び薬剤の配達点の正確なコントロールを許容する。 皮膚又は粘膜中のコールド・レセプターへの配達を目的とした場合には、標的に対するより高い到達可能性を与えるため、アイシリン分子の物理的特徴は、変更せしめることができる。例えば、薬剤を、再結晶化、又は、より小さい粒径、及び/又は表面積のより大きい微粉にせしめることによって、組織内での可溶性を高めることが可能である。皮膚の中のレセプターへの浸透を高めるため、界面活性剤等の標準的な皮膚の浸透性増強剤を用いてもよく、薬剤の配達を目的として、ワセリンやリポソーム等の標準的な薬剤キャリヤが用いられ得る。 更に、アイシリンは、塗布剤として適用されてもよいし、又は腸内組織内のコールド・レセプターに接近するために、腸管において選択的にはがれる化学結合によって樹脂剤に被包及び/又は、結合させてもよい。このような態様についての更なる説明は、以下に記される。掻痒の治療 皮膚は、3つの層:表皮、真皮、及び皮下脂肪組織から形成されている。表皮は、厚さが0.15mm〜0.80mmにわたり、その最も外側の部分は、角質層(stratum coreneum(horny layer))と呼ばれており、平らで、乾燥し、角質化した細胞の複数の層から形成されている。真皮は、厚さが3〜5mmであり、コラーゲン線維、血管及びリンパ管、毛嚢、脂腺及び汗腺、並びに本薬剤の標的−感覚神経終末を有している。 痒みは、掻きたいという衝動を伴う身近な感覚の状態である。痒み、及び掻くことは、人、及び動物にとって一般的な現象である。痒みを起す感覚神経は、正確に確認されてはいないが、表皮と真皮との間に存在し神経終末を有する髄鞘の無い毛細血管線維(C−fiber)であると考えられている。医療用語では、重度の痒みは、掻痒(pruritus)と呼ばれ、痒みを抑制する薬剤は、止痒塗布剤である。体の炎症及び刺激の多くの症状は、痛みを伴う痒みとして表現される。痒みは、主に、皮膚上、粘膜上、及び結膜で起こる。本発明の態様の一つは、止痒塗布剤を用いて痒みを軽減することである。 皮膚の掻痒は、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、脂漏性皮膚炎、自家感作性皮膚炎、皮脂欠乏症、老人性掻痒症、感光性皮膚炎、じんましん、痒疹、膿痂疹、湿疹、苔癬、日焼け、及び尋常性座瘡等の皮膚病によって起こり得る。このような皮膚病には、有毒オークによって起きる痒み、及び、オークやウルシ等の植物に対するアレルギーによって起きる痒みも含まれる。皮膚の掻痒は、ヘルペスウィルス(例えば、単純ヘルペスウィルスによる掻痒性ヘルペス)、虫、及び寄生虫等の病原体によっても起こり得る。例えば、疥癬は、小さなダニ(人体疥癬虫)によって起こる。このダニは、皮膚の中に埋伏し、痒みを起す。このダニは、ペルメトリン等の薬剤によって除去され得るが、残留するダニの断片は、重度の痒みの原因となるアレルギー状態を起し得る。シラミ症は、体の毛で覆われた部分や衣類に、シラミの卵、幼虫、又は成虫が侵入するものである。この虫は、這う状態の時に人の血を餌とし、これは重度の痒みを起す結果となり得る。アタマジラミは通常は頭皮に存在し、ケジラミは陰部に存在し、ヒトジラミは衣類の縫い目に沿って存在する。シラミの侵入に伴う問題は、数百万人のアメリカ人、特に学徒を悩ませている。蟯虫症(ギョウ虫)は、ヒトギョウチュウと呼ばれる小さな白い腸内寄生虫によって起される。ギョウ虫は、ステープルくらいの長さで、人の直腸で生息する。感染した人の就寝中に、メスのギョウ虫は肛門を通じて腸から抜け出し、付近の皮膚に卵を産み付ける。肛門周りの痒み、睡眠妨害、及び被刺激性が主な症状である。皮膚の真菌性の感染症、例えば、水虫や、肛門性器部における感染症、例えば、女性のイースト菌感染症も、掻痒を起す状況である。 眼瞼炎や結膜炎は、眼窩や眼球の粘膜の炎症によって起こり、重度の痒みの原因となり得る。掻痒によって悪化され、特殊な問題となっている内臓疾患の例には、悪性腫瘍、糖尿病、肝疾患(特に肝汁うっ滞)、腎不全、血液透析、及び妊娠が含まれる。 肛門直腸部分は、炎症及び痒みが頻繁に起きる部位である。痔、会陰の炎症、及びおむつかぶれは、過敏性腸症等によって起こり得る下痢による皮膚の汚れと同様に、痒みの原因である。蟯虫症も、前記の通り、この部位の痒みの原因の一つである。 驚くべきことに、病理学的痒みを対象とした強力な局所用抗掻痒剤については、現在、薬理学文献には記されていない。痒みを軽減するための薬物療法には、グルココルチコステロイド、鎮静作用を有する抗ヒスタミン剤、及び、塩酸ドキセピン等の三環系化合物等の薬物が含まれるが、これらは、重度の痒みに対する効果が無いか、又は、継続使用に際して、望ましくない副作用を有する。局所用抗炎症性グルココルチコイドは、皮膚病に対して幅広く用いられており、炎症の軽減に対する短期的な効果を有する。しかし、長期使用すると、皮膚が薄くなり、重複感染の可能性がある。ビタミンDの組成物が、抗掻痒性の特性を有するものとして、解説されてきた。 治療状況における痒みの顕著なものは、アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis)として知られている(アトピー性の湿疹(atopic eczema)としても知られている)状況によって、説明される。アトピー性皮膚炎は、掻痒に対して低下した皮膚の閾値の遺伝的素因を有する個人に現れる、慢性の炎症性皮膚障害であり、しばしば、鼻炎、花粉症、及び喘息を伴う。極度の痒みによって、特徴付けられる、この状態は、掻いたり擦ったりすることにより、典型的な湿疹の病巣ができる結果となる。幼児(幼児湿疹)の場合は、頬上に痒みが起きる傾向が強く、これは体の他の部分に拡大することもある。それより年長の子供、青年、及び大人の場合は、主に屈曲部、特に、肘前部(ひじ)及び膝窩(ひざ)の部分、首、瞼、手首、及び耳介後部にみられる。 これに冒された子供は、就寝中でさえも、8時間の睡眠時間のうち、最高2時間(通常の子供は数分)掻き、表皮剥離は、出血や感染を起し得る。アトピー性皮膚炎及び湿疹は、それが重度である場合には、死に繋がり得る。重度は劣るが、不快な、しばしば痛みを伴うアトピー性皮膚炎の症状には、膨れ、発赤、疱疹、痂皮、潰瘍形成、疼痛、うろこ状乾燥、皮膚のひび割れ、脱毛、傷、又は、皮膚、目、若しくは粘膜からの体液の漏れが含まれる。現在の治療の下では、局所用グルココルチコステロイドは、この状況の一部にのみ、効果的である。Elidel(商標) や Protopic(商標) 等の、より新しい免疫抑制剤は、アトピー性皮膚炎を有する個人の皮膚の炎症を抑制するが、これらの薬剤の適用は、皮膚に刺激を起す。 アイシリン及び/又はアイシリン類似物を含む本発明の組成物は、好ましくは、アイシリン及び/又はアイシリン類似物を分散せしめた皮膚科学的に許容し得る媒体とともに塗布薬として処方され、また、さらには、単独の薬剤若しくは複数の薬剤を組み合わせたものを含む。単独又は組み合わせて用いることのできる薬剤には、抗炎症性鎮痛薬、抗炎症性ステロイド剤、抗ヒスタミン剤、交感神経様作用アミン血管収縮薬、メントール及びメントール類似物、局部麻酔薬、免疫抑制剤、抗真菌剤、抗生物質、並びに角質溶剤が含まれる。 抗炎症性鎮痛薬の例には、サリチル酸メチル、サリチル酸モノグリコール、アスピリン、インドメタシン、ジクロフェナク、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、プラノプロフェン、フェノプロフェン、スリンダク、フェンクロフェナク、クリダナク、フルルビプロフェン、フェンチアザク、ブフェキサマク、ピロキシカン、ペンタゾシン、及びその他同種類のものが含まれる。 ステロイド性の抗炎症剤の例には、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酢酸プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、酢酸デキサメタゾン、ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、フルメタゾン、フルチカゾン、フルオロメトロン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、及びその他同種類のものが含まれる。 抗ヒスタミン剤の例には、塩酸ジフェンヒドラミン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェラミン、塩酸プロメタジン、Patanol(商標)、及びその他同種類のものが含まれる。 交感神経様作用アミン血管収縮薬の例には、塩酸フェニレフリン、ナプトキシメタゾリン(napthoxymetazoline)、オキシメタゾリン、及びその他同種類のものが含まれる。 メントールの類似物の例には、WS−23、WS158、及びその他のホスフィンオキシドメントール類似物、メントキシプロパン−1,2−ジオール、及び、4−メチル−3−(1−ピロリジニル)−2−[5H]−フラノン等の環状アルファケトエナミンが含まれる。 局部麻酔薬の例には、塩酸ジブカイン、ジブカイン、塩酸リドカイン、リドカイン、ベンゾカイン、酢酸プラモキシン、テトラカイン、テトラカイン塩酸塩、オキシプロカイン塩酸塩、メピバカイン、塩酸ピペロカイン、及びその他同種類のものが含まれる。 抗生物質の例には、ネオマイシン並びに抗ウィルス薬であるドコサノール(Abreva(商標))が含まれ、角質溶解剤の例には、アルファヒドロキシ酸、グリコール酸、及びサリチル酸等の物質が含まれる。 平滑筋弛緩薬の例には、ミノキシジル、硝酸イソソルビド等の一酸化窒素供給体、及びアミノフィリン等のホスホジエステラーゼ阻害薬が含まれる。裂肛内の内肛門括約筋の弛緩を得るためにアイシリンと組み合わせて投与して良い、その他の平滑筋弛緩剤の例は、米国特許第 6,391,869号に記載されている。 メントール類似物の例には、規制当局から概して安全であるとの認識を受けているWS−3並びにWS−23、WS−158並びにその他のホスフィンオキシドメントール類似物、メントングリセロールケタール、乳酸メンチル、メントキシプロパン−1,2−ジオール並びに4−メチル−3−(1−ピロリジニル)−2−[5H]−フラノン等の環状アルファケトエナミンが含まれる。好適なメントール類似物は、WS−158、即ちWilkinson Sword Companyによって合成されたホスフィンオキシドメントール類似物である[Watson, H.R., Hems, D.G. Roswell & D.J. Spring, New compounds with the menthol cooling effect, J. Society Cosmetic Chemists. 29, 185-200(1978)]。この組み合わせによる冷却効果(cold effect)の持続時間は、4時間を超えるのに対して、一般的なメントール類似物のみでは、1時間を超えて作用することはめったに無かった。このような薬物療法は、獣医の用法の他、ヒトの治療にも役に立つ。 免疫抑制剤の例には、ミコフェノール酸モフェチル(Cellcept(商標))として知られるその塩を含めたミコフェノール酸、アトピー性皮膚炎及び湿疹の治療に用いられる局所免疫抑制剤であるタクロリムス(Protopic(商標))及びピメクロリムス(Elidel(商標))がある。皮膚及び粘膜の、痛み及び炎症の治療 唇及び肛門性器部の皮膚、およびそれを取り巻く組織には、神経線維が高密度で供与されており、それらの、求心神経(A delta 及びC)線維は、痛み及び温度信号のための暗号を指定している。唇、肛門、生殖器、又はそれらを取り巻く組織が負傷すると、その後に起きる炎症が、感覚神経終末を刺激し、その結果、痛み、時には痒みとなる。小陰唇、口、及び直腸の粘膜もまた、痛みの信号を伝達する神経終末を有しているが、これらの信号は、離散しにくく、伸縮に対して敏感である。例えば、直腸神経終末の過度の刺激は、膨満感、排便衝動、鼓腸、及び、その刺激が過度にある場合には、直腸に、痛み並びに不快感を生む。 唇及び口の炎症状況: 唇の皮膚及び粘膜は、唇紅によって、区別されている。顔を見ている時に見える粘膜は、角質化して乾燥しており、唇の内相の粘膜は、角質化しておらず、湿っている。第5脳神経(三叉神経)の支脈は、これらの組織に神経を分布させている。非特異的な障害は、口及び唇の周りに炎症を起し得る。これらには、天疱瘡、類天疱瘡、扁平苔癬等の免疫障害、性交感染性ゆうぜい及び単純ヘルペス等の感染症、異常角化症等の化生、並びに、唇や口の手術、日光並びに風等の物理的原因が含まれる。口及び唇の表面に影響を及ぼす一般的な状況のいくつかを、以下に述べる。 口角びらん症 (angular cheilitis)−口唇炎 (cheilitis)は、唇の炎症を表す専門用語である。口角びらん症は、唇の角に起きる。この病巣は、乾燥した、うろこの、赤い皮膚として見られ、粘膜皮膚移行部には、割れ目や切れ目があり、口が大きく開けられると、重度の痛みが起きる。口角びらん症は、乾燥した気候、過度の日光、アレルギー反応、又は過度の唾液分泌によって起こり得る。口唇炎は、免疫機能が衰えた人、ウィルス感染者、又は慢性のイースト菌感染症者に、より頻繁に見られる。唇の炎症のその他の形態は、亀裂の入った剥脱性口唇炎、腺性口唇炎、及び肉芽腫性口唇炎である。 「口辺ヘルペス」又は口唇ヘルペスは、単純ヘルペスとして知られる一般的なウィルスの感染の結果として、なるものである。この傷は、膨れた小さい赤い隆起の集合として始まる。この部分の痒み及び熱傷は、前駆症状を生じる(傷の開始時期)。この膨れは、数日後に乾燥し、黄色い外皮を形成する。この外皮は、その後、剥がれ落ち、赤みは少しずつ引いていく。これら全体の過程に、約10〜14日かかる。この傷は、唇紅及び唇の角にて起きる。感染は、免疫不全の個人に、より多くみられ、膨れの部分自体に感染性がある。 口内炎、又は口内の炎症は、感染後、又はがんの化学療法薬が投与された時(この状況は、粘膜炎とも呼ばれる)、又はがん治療のために頭や首に放射線治療を行なう際に発生することがある。 肛門直腸部分における炎症状況: 肛門と生殖器の間の部位は、会陰と呼ばれる。肛門は、腸管の末端部の穴である。肛門の真後ろには、肛門管があり、そこには外部括約筋と内部括約筋が位置している。括約筋は、収縮及び弛緩をする環状の筋肉である。肛門括約筋は、便を保持するために収縮し、排便時に、それと腸内ガスとを通すため拡張する。肛門管は、肛門の後ろの、始めの2インチの皮膚であり、休息時には閉じられており、排便時に開く。これは、直腸、つまり結腸の末端から肛門管まで垂直に走る空洞に、通じている。直腸は、およそ5インチの長さで、幅が1.5インチである。それは、排便前に、便を蓄える。「肛門直腸部分」という語は、本文では、人の会陰、肛門、及び直腸を含むものとして定義される。更に厳密には、この語には、肛門外部、肛門内部、及び直腸下部も含まれる。 肛門直腸部の神経供給は、その感覚及び運動機能を制御する。陰部神経の支脈である下方直腸神経は、肛門管の下部及び外部括約筋に神経を分布させる。これらの組織は、痛み、触感、及び温度に感応する体性感覚神経終末を有する。一方、下腹神経(自律神経系の一部であるため内臓神経である)は、肛門管の上部、内部括約筋、及び直腸に神経を分布させる。下腹神経の感覚神経終末は、膨満に感応して、圧迫、痛み、及び体温を含めた内臓の求心性信号を脊髄に伝達するが、個々の離散の感覚は局在化されてはいない。その代わりに、内臓感覚神経終末を刺激しすぎることによって、鼓腸、膨張、痙攣、及び排便衝動が起きる。 多くの作用因(agent)及び状況が、肛門直腸部の組織への損傷の原因となり得、又、痛みや炎症を引き起し得る。第一の症状は、痛み及び痒みであるが、炎症が腸の下部粘膜(直腸、結腸、回腸)、及びその神経終末に拡張した場合には、内臓の不快感による苦痛感もある。こうした病的状態のうち幾つかが、下記に記される。 会陰の皮膚炎: 会陰の皮膚の炎症は、失禁による尿又は便が、皮膚を刺激することによって起きる。パッド(例えば、おしめ)又はその他の失禁保持具は、発汗を募らせ、刺激物と組織との接触が長期化することにより、炎症を悪化させる。皮膚炎は、その結果として、痒み、痛み、感染の原因となり、皮膚の潰瘍形成の起因ともなる。洗浄剤、加湿剤、保湿剤−軟膏、クリーム、粉末、ペースト、脂質保護フィルムを含む−を用いた治療法については、本文に参考文献として含まれている、Gray et al. (Perineal Skin Care for the Incontinent Patient. Advances in Skin and Woundcare 15:170-177, 2002)に記載されている。アイシリンを含む軟膏、粉末、噴霧質又はペーストは、年配者や幼児(例えばおむつかぶれ)の、このような状況における痛みや痒みを軽減し、治療技術を促進させる。 裂肛: 裂(fissure)は、通常、皮膚及び粘膜の連結(粘膜皮膚連結)に見られる、組織の亀裂又は切れ目である。口の角に裂が起きた場合、それは口角びらん症と呼ばれ、口を開けることによって痛みを発生し得る。裂肛は、肛門の皮膚の小さな裂け目のことである。この裂は、出血、痒みを起し得、排便中及びその後に非常に痛むため、排便、着席、及び性交を苦痛にする。潤滑剤を用いない肛門性交、硬い排便、及び肛門組織の炎症は、裂を起し得る。特に、治療用クリーム、温浴、及び便通軟化剤を用いた場合には、2週間以内に癒えるものもある。その他のものは、裂け目を外科的に修正することを必要とするが、これはその後の失禁の恐れを伴う。裂肛治療用の軟膏については、本文に参考文献として含まれている、Cellegy の米国特許第6,391,869号に記載されている。これらの軟膏は、活性成分として、一酸化窒素を放出し、内部肛門括約筋の平滑筋細胞の環状AMPを増やす物質を含んでいる。一酸化窒素は、この括約筋の平滑筋を弛緩し、張力の低下が、裂からの痛みの信号を減らす。 痔: 痔は、肛門外部に突き出たり、肛門管の内部に存在したりする、腫上がった血管のことである。これらの血管は、炎症、ブロック、又は裂けた状態になることがあり、周囲の皮膚の糞便汚染の原因になることがある。そのため、痔は、出血することがあり、痛みを起し、失禁や過度の拭き取りのために痒みの原因となることがある(肛門掻痒)。痔の危険要因には、腸内圧を高め、静脈の戻りを妨害する、困難又は頻繁な排便が含まれる。痔を進行させる関連の危険要因は、出産時外傷及び重いものを持ち上げることである。 性感染症: 多数の性感染症(STD)は、痛み、痒み、発赤、及び膨れを発生させて、肛門直腸部及び生殖器部分の組織に局所的な影響を与え得る。これらのSTDには、以下のものが含まれる:単純ヘルペスウィルス(HSV)、ひりひりする痛み(sore)並びに痛み(pain)が繰り返し発生する原因となる、皮膚並びに生殖器の粘膜(粘膜組織)の感染症、淋病、感染性並びに排せつ痛のある生殖器粘膜の炎症、及び、生殖器並びに肛門にゆうぜいを発生させるヒト乳頭腫ウィルス(HPV)。 直腸炎は、直腸の内膜の炎症である。直腸炎は、短期的(急性)又は長期的(慢性)になり得る。直腸炎には、多くの原因がある。それは、例えば潰瘍性大腸炎及びクローン病等の、腸下部の自己免疫疾患の副作用である場合もある。性感染症が、直腸炎を起すこともある。直腸炎は、前立腺がん又は女性器官のがんを治療するために用いられる、放射線の副作用であることがよくある。直腸は、男性の前立腺、及び、女性の膣並びに子宮、のすぐ後ろに存在するため、これらの器官が照射されると、腸壁が損傷するのである。照射直腸炎は、直腸の上皮上に、多くの小さな血管の新しい腫瘍として現れる。これらの血管は、もろく、最小限の外傷によって出血し、便に血液が入る結果となる。出血がひどい場合には、貧血、又は赤血球数の低下が起き得る。直腸炎の、その他の原因には、直腸外傷、アレルギー、及び直腸内の神経の機能不全が含まれる。肛門直腸部に炎症を起こす原因となり得る病原性の生物又は有機体は、サルモネラ、シガエラ、カンピロバクター、赤痢アメーバ、ジアルディアランブルべん毛虫、細胞内トリ結核菌、クリプトスポリジウム、ミクロスポリジウム、サイトメガロウィルスである。ヒト免疫不全ウィルスに感染した、又は、免疫抑制剤を受給している患者は、特に、腸下部の及びその周辺の組織を攻撃する病原体に影響されやすい。 直腸炎の、最も一般的な徴候は、頻繁又は連続的な、排便衝動の感覚である。この、直腸を空にしたいという、苦痛ではあるが効果の無い衝動は、テネスムスと呼ばれる。その他の症状には、便秘、直腸充満感、腹部左側の痛み、直腸を通じた粘液の通路、直腸の出血、及び肛門直腸の痛みがある。直腸炎は、出血、いくらかの失禁、及び炎症を引き起こすため、肛門直腸部分に自覚できる不快感、痛み及び痒みを生む。 生殖器の炎症状況: 男性及び女性の生殖器は、痛み、痒み、及び温度感覚のための感覚神経が高密度に分布せしめられた、皮膚及び粘膜で覆われている。これらの組織は、過度の摩擦等の物理的作用因、局所作用薬等の化学的作用因、及び伝染性真菌等の生物学的作用因によって、炎症が起きることがある。外陰膣炎による診療所への訪問は、年間に1千万回を超える数になる。最も一般的な感染性細菌は、カンジダ・アルビカンスで、店頭販売による抗真菌性治療薬の売上は、年間、2億5千万ドルを越える。女性の生殖器で、その他の頻発する問題は、膣前庭炎、ヴァギナル・アロイダイニア(vaginal alloydynia)、性交疼痛症、及び刺激性皮膚炎である。外陰膣炎によって起きる痒み、痛み、及び刺激を軽減する局所作用薬には、相当の有用性があると考えられる。 性的機能不全の治療 性的機能不全は、性的反応のサイクル(欲望、性的興奮、オーガスム、及び解決)の何れかの段階中において、個人又はカップルが、性行為の結果として満足感を得るのを妨げる障害として、定義されてきた。女性に関しては、この定義には、性交に対して無関心である者、性的進行若しくは刺激に対して無反応である者、性交中にオーガスムを得られない者、又は、性交中に痛み又は不快感を有する者(性交疼痛症)が含まれてきた。男性に関しては、治療の焦点が、十分な性的関係を得る又は維持することが常に不能である状況を定義するのに用いられる語である、「勃起障害」に、当てられるのである。この語は、曖昧かつ軽蔑的でありうる語である、「インポテンス」よりも、より的確である。概算によれば、勃起障害のあるアメリカ人男性は、約1千万乃至2千万人であるとされる。閉経期後の膣の乾燥、及び性的興奮の閾値の減少により、性交中の不快感が起きることがあるため、年配の女性も、一部、勃起障害に悩んでいる。 感覚神経終末及び性的機能の生理学: 陰茎及び陰核の頭部及び表面は、感覚ニューロンとリンクした神経終末が、高密度に分布せしめられている。典型的な自由神経終末は、直径1乃至3μmの薄い有髄の軸策、又は、髄鞘の無い毛細血管線維から得られたものである。これらの神経終末は、活性化せしめられると、性的反応を、喚起、増長、及び保持する感覚を、伝達する。自由神経終末上又は小体内に位置するレセプターは、一部は軸策を有しており、本発明にて開示されている薬剤の標的となりやすいと考えられる。 男性及び女性の生殖器の、血管充血及び勃起性の腫れは、精神的な興奮及び、関連の自律神経系の反射作用が、その誘因となる。性的興奮時、及びその後の勃起時の、陰茎頭部への刺激によるポジティブな感覚は、男性が経験する事実であり、それ以上の記載は不要である。女性においては、陰核への刺激により、陰核の長さ及び直径が増加し、陰唇等の関連の構造体が肥大する結果となる。膣の分泌物及び潤滑も増加し、膣壁が充血し、膣内腔の径も大きくなる。従って、性的興奮を起す作用因は、膣痙、膣乾燥、及び性交疼痛症(困難又は苦痛な性交)等の、収縮した膣の状況の緩和もする。結局、陰茎又は陰核の神経終末からの感覚の入力情報と、その他の刺激との適切な統合により、オーガスム、満足、及び性交の終結に到達する。 コールド・レセプターを活性化させるメントール、及び、関連のメントール類似物は、陰茎又は陰核に適用せしめられた時に、強力な冷却感を呼び起こす。しかし、呼び起こされた感覚は、強度のものであり、性的興奮や興味は、さほど起さない。主成分としての1%のアルプロスタジル(Topiglan(商標))を伴う薬剤の局所適用については、Samour et al. 米国特許第 5,942,545号 "Composition and method for treating erectile dysfunction" に記載されている。この調剤には、存在するその他の薬剤による刺激を取消すことを意図して、その局所麻酔特性のために、メントールが添加される。 軟膏又はクリームとして調剤され、局所的に適用されるアイシリンは、性的障害の治療のため、改善された治療効果を呈する。そのため、例えば、人における性的障害の治療、又は性的快感の増強のための、特に好ましい方法は、1−[2−ヒドロキシフェニル]−4−[3−ニトロフェニル]−1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−2−オン又はその類似物を含む組成物を、生殖器又は肛門直腸部に局所的に適用することであり、1−[2−ヒドロキシフェニル]−4−[3−ニトロフェニル]−1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−2−オン又はその類似物の量は、好ましくは、該組成物に対して、少なくとも約0.1wt.%以上、更に好ましくは、該組成物に対して、約0.1wt.%〜約20wt.%である。 従って、本発明は、男性及び女性の両方の、生殖器及び肛門直腸部に配置された感覚神経終末を、特に活性化せしめる、特定の化合物について説明する。陰茎の頭部又は陰核又は肛門の、これらの神経終末の活性化は、性的興奮を起すか、又は、性的反応を増強する催淫薬として機能し得る。本文では、以下の特性を有する1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−2−オン化合物の局所的適用のための組成物及び方法について、記載する:1)陰茎及び陰核から快適な感覚を呼び起こす、2)適切な環境の下、興奮状態となるための閾値を下げる、3)対象者の、性交に対する心的傾向を高める、4)性交の時間を延長する。これらの治療用組成物の使用は、性的機能不全の治療のための、新規な方法である。 瞼及び目の表面の治療 皮膚内で、痒み、鼻腔内で、くしゃみ、及び、上部気道で、せきを起す刺激物は、瞼や目の表面をも刺激する。眼球は、液体分泌及び感覚神経終末の動態体系である。軽い刺激は、瞬き及び流涙を起こす。特定の患者が、目、及び/又は、眼瞼の、痒み、もしくは掻痒の感覚、及び、目、及び瞼の周りの異感覚に悩むことは、当該技術分野において、良く知られていることである。これらの、掻痒又は異感覚は、アレルギーによる場合、感染による場合、又は組織の損傷による場合がある。「異感覚」という語によって、ひりひりする感覚(burning)もしくは熱感(heating)、刺すような痛み、うずき、緊張、不快感、及び窮屈感の感覚が意図されている。これらの感覚は、発赤を伴う場合がある。これらの状況をまとめて、「伝染性結膜炎(pink eye)」又は結膜炎(conjenctive)とも呼ばれる。目又は眼瞼の掻痒又は異感覚による苦痛を引き起こす要因として、急激な温度変化、熱、中でも特に、紫外線又は赤外線への露呈、相対湿度の低さ、激しい風もしくは気流(噴射機もしくは調整された空気)への露呈、界面活性剤の適用、毒性あるいは刺激性の気体もしくは埃への露呈、刺激のある皮膚科学的もしくは化粧用の眼瞼用の局所適用品、又は、とりわけ刺激性があるとして知られていない場合をも含む特定の化粧品の使用。目又は眼瞼の掻痒又は異感覚による苦痛の誘因となり、ここに含まれるべきその他の要因は、特に花粉、獣毛、ダニ目の節足動物、菌類等のアレルゲン、及び、角膜剥離中もしくは角膜移植中等に発生する機械的な損傷、及び、遺伝的疾患又は免疫不全による目の炎症状況である。これらの兆候の病的メカニズムは、十分に理解されておらず、目及び/又は眼瞼の異感覚は、コルチコステロイド、及び、眼用軟膏又は点眼薬としての局所消毒薬を用いて治療される。コルチコステロイドは、上記の症状を軽減する点においては、比較的効果的ではあるものの、これには、萎縮及び重複感染等の、重度であることが多い副作用がある。 従って、前述の、目及び眼瞼の、異感覚、痛み、及び掻痒に対する、先行技術による治療には、重大な障害及び不利な点があるが、それは、本発明によって克服される。 痛み、痒み、刺激を軽減し、目の感覚に「爽やかさ」を与える、アイシリン点眼薬の調製には、0.1〜5mg/ml(%)アイシリンに相当する1,2−プロパンジオール等の、許容された非刺激性の溶媒に溶解せしめたアイシリン、及び不活性成分:クレアチニン、クエン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、ポリソルベート80、エデト酸2ナトリウム、6.6〜7.2に調整されたpH値、及び水を含む、適切な眼用ディスペンサーに入った緩衝化された点眼液の、1ミリリットルずつから、構成することができる。保存料として、0.02%の塩化ベンザルコニウム及び0.1%の二硫化物ナトリウムが添加される。この溶液には、水溶性ステロイド(例えば、デキサメタゾンリン酸ナトリウム)及び抗生物質(例えば、ネオマイシン)等の補助剤を含めてもよい。瞼や目の表面上にて、長時間活性させるため、アイシリンを、不活性キャリヤ、又はアルギン酸塩等の不活性の結合剤と混合せしめ、溶液中に懸濁せしめた微粉末として投与してもよい。アイシリンを添加せしめるところの眼用溶液の例には、Neodecadron(商標) がある。OCUMETER眼用ディスペンサー中の、緩衝化された点眼剤、NEODECADRONの、各1ミリリットルには、以下のものが含まれる:1mg(0.1%)のリン酸デキサメタゾンに相当するデキサメタゾンリン酸ナトリウム、3.5mgのネオマイシン基に相当する硫化ネオマイシン。不活性成分:クレアチニン、クエン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、ポリソルベート80、エデト酸2ナトリウム、pHを6.6〜7.2に調整するための塩酸、及び注入のための水。保存料として、0.02%の塩化ベンザルコニウム、及び0.1%の二硫化物ナトリウムが添加される。鼻の刺激、鼻詰まり、及び充血の治療 鼻は、呼吸管の入口である。これは、吸入された、及び吐き出された空気の導管として機能する。鼻の片方又は両方が閉塞すると、それが鼻の機能を害し、不快な状況として知覚される。副鼻腔を含めた、鼻腔の骨ばった表面全体は、粘膜と呼ばれる組織によって、内面が覆われている。この粘膜は、血管、神経、及び流体を鼻腔に分泌する小さな腺を有している。鼻には、三叉神経の支脈から、痛み、温度、及び圧力を感知し得る神経が、供給せしめられている。この鼻粘膜は、湿度に対して作用し、吸い込まれた空気を温め、それによって、多量の血流を受け入れ、該細胞は高度な新陳代謝の活動を維持する。アレルギー、刺激物、又は感染による鼻粘膜の炎症は、粘膜の膨れを起す。粘膜が膨れると、空気が通過可能な部分は減少するため、鼻の閉塞感を感じる。鼻は、「粘液が分泌されている」(鼻炎)状態になる場合もあり、この流体の排出は、閉塞感を高める。鼻の片方又は両方が閉塞すると、気流の左右非対称性が、不快な状況として認識される。 スプレー又は粉末として鼻腔に投与されたアイシリンは、においや刺激感無しに、気流が増加した感覚や、爽やかさ並びに清涼感の感覚を生む。この効果のメカニズムは、鼻粘膜が、バニロイド(カプサイシンレセプター1、VR1)、及びコールド・レセプターによって、覆われているからであろう。このバニロイドレセプターは、痛みの刺激によって活性化せしめられる感覚神経の求心神経とリンクしている。これらの神経線維の刺激は、血管拡張物質、及び、ヒスタミン、P物質、及び、カルシトニン遺伝子と同類のペプチド等の炎症緩和剤が、逆行的に開放されるよう導き、このプロセスは、神経性の炎症と呼ばれる(neurogenic inflammation)。Babes et al. [Cooling inhibits capsaicin-induced currents in cultured rat dorsal root ganglion neurons. Neurosci Lett 317:131-134, 2002]は、後根のガングリオンニューロンの温度の低下が、バニロイドレセプターの放電を妨げることを示している。アイシリンの、鎮静及び充血緩和作用は、コールド及びバニロイドレセプターの相互作用に対する、このような結果によって、説明されるであろう。レセプターへの、アイシリンの刺激は、バニロイドレセプターの作用である冷感抑制を擬態することができるため、上部気道内で発生する炎症を軽減するのである。 鼻詰まり及び充血には、多くの原因があり、最も一般的なものは、鼻を覆う粘膜の炎症状況を意味する専門用語である、「鼻炎」である。鼻炎は、鼻の充血、鼻漏(「鼻みず」)、くしゃみ、鼻の痒み、及び/又は後鼻部の排液によって、特徴付けられる。鼻炎の一般的な形態は、免疫グロブリンE(IgE)が媒介する季節的なエアロアレルゲンに対する反応によって起きる、季節的なアレルギー性鼻炎である。季節的なエアロアレルゲンの典型例として、アレルゲンは、花粉及び菌類があげられる。こうしたアレルゲンに対する、季節的な露出の長さは、地理的な位置によって変化する。通年性のアレルギー性鼻炎は、通年性の環境にあるエアロアレルゲンに対してIgEが媒介する反応によって起こされる。これらには、花粉が一年中横行する地域においての花粉と同様に、チリダニ、菌類、動物性アレルゲン、又は特定の職業性アレルゲンを含めてよい。アレルギー性鼻炎は、(目の)アレルギー性結膜炎と共に存在することが頻繁にあり、そして、喘息を有する個人に存在することがしばしばある。鼻炎はまた食物アレルギーによっても起こることがある。アレルギー感作が顕性でなくとも、冷たくて乾燥した空気、香水、塗料の煙霧、及びたばこの煙などの不特定の刺激に反応して鼻炎になる者もある。このような状態を、血管運動神経性鼻炎と呼ぶ。重症の鼻炎は、煙の吸引、副鼻腔炎、又は鼻の手術後などの、鼻粘膜の損傷に帰因することがある。 誰にとっても最も身近な鼻炎は、風邪ウィルスなどのウィルスによって起きる感染性の鼻炎である。当初、ウィルス性の鼻炎は、くしゃみや鼻の閉塞に伴う透明で水分の多い鼻漏によって特徴付けられる。鼻粘膜の水腫は、結果として顔面痛を伴う副鼻腔口の閉塞、又は結果として耳の膨張を伴うエウスタキー管の閉塞を起す。鼻漏は、微生物及び細胞残屑の存在によって濁る場合がある。原因となるウィルスには、ライノウィルス、呼吸性シンシチウムウィルス、パラインフルエンザ、インフルエンザ、及びアデノウィルスがある。ウィルス性の鼻炎で、特に連結球菌の細菌によるバクテリアの重複感染がある場合には、発熱を伴うことがある。 鼻の粘膜と共に副鼻腔の粘膜の炎症が起きる鼻副鼻腔炎は、長期に渡る粘液濃性の鼻漏、顔面痛並びに圧迫、嗅覚障害、及びせきを伴う副鼻腔漏を伴うため、特に重いものである。鼻炎を構成要素として含む、上部気道の状況については、M.S. Dykewicz et al. (Diagnosis and management of rhinitis: Complete guidelines of the Joint Task Force on practice parameters in allergy, asthma and immunology. Annals Allergy Asthma Immunology 81:478-518, 1998)に詳しく説明されている。 刺激物に対する、鼻の反応の時間的経過については、特に、実験室において、時間毎に記録することができる。刺激に敏感な患者に、アレルゲンの誘発を行なうと、重度のくしゃみ、痒み、分泌過多、及び中程度の閉塞という反応が急速に起きる結果となる。これらの事象は、誘発後、30分でピークとなり、約90分続く。急速な反応の後、重度の鼻の充血及び閉塞感を第一次的症状とする遅発反応(late response)及び/又は遅効性の反応(delayed response)が起きる。一度の投与に対する遅発反応は、誘発の4時間後に始まり、8時間でピークとなり、12時間で衰える。遅効性の反応は、誘発の24時間後に始まり、36時間でピークとなり、56時間で衰える。遅発性の鼻の閉塞がピークの時に、鼻孔から鼻咽頭への圧力の勾配は、鼻気圧計によって測定された時に、水比で20乃至24cm上昇し、鼻炎による気流の抵抗の増加を示している。 鼻詰まりは、M.B. Scharf and A.P. Cohen (Diagnostic and treatment implications of nasal obstruction in snoring and obstructive sleep apnea. Annals Allergy Asthma Immunology 81:279-290, 1998)によって検討されているように、いびきや睡眠時無呼吸などの、上部気道における、その他の呼吸障害に影響する重要な要素である。前述のように、鼻の気道を通じた気流は、呼吸抵抗の50%に寄与する。気流が妨害されると、それを補うために呼吸力が増大されているはずであり、口呼吸が始まる。鼻が充血している人は、起きている間は鼻を通じて呼吸することができるが、就寝中は、因頭部の筋肉が弛緩しており、この弛緩によって口の奥の気道が狭くなるため、鼻の気道を通じて空気を吸引するためには、より多くの労力をかけなければならない。呼吸のための更なる労力によって、喉の中に、より大きい真空部分ができ、それが、舌を含めた喉の組織を、因頭部に向けて押し、更に気流のための空間を減らす。口呼吸も、因頭部の空間を減らし、いびき及び閉塞性睡眠障害として知られる関連の症状に寄与する。 いびき及び閉塞性睡眠障害(閉塞性睡眠時低呼吸/無呼吸とも呼ばれる)は、上部気道の呼吸障害である。これらの障害の、病理学的基盤については、多くの研究論文にて説明されている。簡単に言うと、いびきは、喉の筋肉の振動によって就寝中に作り出される、耳で聞こえる音から成る。喉の筋肉は、就寝中に弛緩している時、及び、空気の速度が速い時に、より難なく振動する。肥大したアデノイド(扁桃腺)又は肥満による咽頭閉塞も、過度のいびきの原因となり得る。J.M. Truelsonは、eMedicine articleで、その根底にあるメカニズムについて、以下のような、洗練された説明を行なっている。 「気道の狭量による影響に対する幾つかの追加的洞察を与えるため、流体の流れについての2つの基本原理を適用することができる−それは、ベルヌーイの原理と、ベンチュリの効果である。 ベルヌーイの原理は、円柱内の流体の流れについて説明している。移動する流体の円柱の外側端部に、真空部分が存在し、流れが速いほど、真空部分は大きくなる。柱が小さくなると、流れは速くなる。これの日常的な例は、紙のストローである。ストローを、強く吸いすぎると、それは潰れる。弱めの強さで吸うか、又はストローがそれよりも丈夫であれば、潰れない。 ベンチュリの効果は、空気の流れが狭い通路に入った時に、気流が加速することについて扱っている。ビルの間に吹く風、又は、一部を親指で遮ったホースから出てくる水が、この効果の例である。本題の膨張性を有し、可動の壁であり、空気に対する円柱状の器官−つまり咽頭も、これらの効果に加えられる。 睡眠時無呼吸の人と通常の人では、アナトミー及び咽頭の壁部の柔軟性により、閉鎖圧及び気道の抵抗が異なる。いびきをかかない成人における、上部気道を閉鎖するのに必要な負の圧力は、−25cm水未満(更にマイナス)である。いびきをかく大人は、更に柔軟性のある気道を有し、就寝中の閉鎖は、−2〜−10cm水である。 これら全ての要素の累積効果は、結果として悪循環になり、結局、気道の膨張及び弛緩が許容しうる限度いっぱいに、気道は閉鎖することとなるのである。この循環は、睡眠を妨害する覚醒によってのみ断ち切ることができる。」 いびきは、ある程度の気道の閉塞を示しているため、慢性のいびき症状のある個人は、「正常」であるとはみなされない。いびき及び睡眠障害は、自己修正されない場合、睡眠障害が、疲労、日中の眠気、短期記憶喪失、仕事の効率の低下、及び、自動車事故の危険性の増加の原因となり得る。個人は、それほどには警戒していない。そのような個人には、心臓発作、卒中、高血圧、気分の変容、及び性機能不全の危険の増加の徴候も現れる。 結局、何等かの理由により、呼吸力によって気道が維持されない場合、その個人は、呼吸障害を進行させることになり、尚、呼吸が困難であることを示す専門用語は「呼吸困難(dyspnea)」である。呼吸困難の症状は、息詰まり(choking)及び窒息(suffocation)の感覚として表現される。兆候としては、難呼吸、及びプラズマ二酸化炭素分圧の上昇を伴う不適切な換気として表現される。呼吸困難は、肺炎、充血性心臓障害、喘息、慢性の閉塞性の呼吸器系統の病気、気腫、嚢胞性線維症、筋まひ、あるいは、筋ジストロフィー、パーキンソン病、肺がん、消耗性疾患による衰弱、及びその他同種のもの等の深刻な疾患を引き起こす。呼吸困難によってもたらされる窒息の感覚は、人生の末期における恐ろしい体験である。 メントール、樟脳、及びユーカリオイルは、鼻の刺激に対する医薬品として、また鼻の感覚を爽やかにするために、古代から用いられてきている。しかし、これらの組成物は、鼻炎には効果が無く、実際は、鼻炎の遅発期又は遅効期においては特に、鼻のうっ血や閉塞を悪化させることがある。交感神経興奮作用の血管収縮薬(充血除去剤)は、鼻の血流を減らすが、反発性の充血を含めた幾つかの不利な副作用を有している(薬物性鼻炎)。ジソジウムクロモグリケイトは、アレルギー性鼻炎に効果的であるが、効果の開始は遅い。季節的、通年、及びアレルギー性では無い鼻炎に対して、はるかに、且つ最も効果のある薬剤は、手動のポンプ式の目盛り付きアトマイザー(例:Flonase(商標)、Rhinocort(商標)、Nasonex(商標)、Nasocort(商標))に入った鼻用スプレー、口、若しくは鼻用の吸入器、又は点鼻薬として投与される、強力なグルココルチコステロイドである。これらの薬剤は、鼻粘膜の炎症、並びにアレルギー性鼻炎の症状及び兆候を減らす。しかし、これらの組成物は、鼻詰まりに対する急速な感覚の軽減は与えず、感染性の鼻炎及び鼻副鼻腔炎による不快感の緩和に対しては、限られた効果しかない。コルチコステロイドは、好酸球優性の炎症に関連した鼻炎(例えばアレルギー性鼻炎)には効果があるが、好中球優性の炎症に関連した鼻炎(例えば、風邪、感染性鼻炎、副鼻腔炎)には効果が無い。 ペパーミントオイルを含めたハーブオイルの混合物を含む、スプレー式噴霧及び点鼻薬は、FDAによって規定されていない、いびき用の製品として入手可能であるが、これらの調剤の効果についての臨床的な根拠については、医療文献にて出版されたことが無い。重度のいびき、閉塞性の睡眠障害、及び呼吸障害による呼吸困難には、呼吸を補助する持続的気道陽圧法(CPAP)用の医療装置を利用することが可能である。これらの装置は、高価であり、且つ患者の協力が必要である。 その他に考慮されるべき治療の中でのアイシリンの用法は、温度及び刺激物が増加した厳しい環境に対処するためのものである。例えば、ベトナム戦争においては、周囲の温度にて水が、「熱すぎて飲むことができない」ものであったため、戦場の兵士は、熱中症に苦しんだ。大量の調味料(クールエイド)を用いて水のおいしさを向上させるという試みは、わずかに成功を修めた。別の軍事状況である、ペルシア湾での戦争では、周囲の温度が40℃を超える中、気密服を用いて、皮膚の表面全体を化学的薬剤から保護することを必要とした。体熱の管理は、このような状況下では、耐えられないものとなり得る。点眼薬、噴霧器で投与される霧、吸入物、シロップ、トローチ剤、チューイングガム又はカプセル中に投与されたアイシリン等の冷却剤により、個人が、熱く有害な環境に対処することが可能となるのである。同様に、火災中の消防士は、熱及び煙からの症状の改善による利益を被ることができ、都市生活者は、このような薬剤が、過度の熱及び汚染の状況において、気分を爽やかにするものであることを見出すであろう。メントールは、高濃度の場合の、きつい味、臭い、風味、及び限られた作用期間のため、アイシリンほど効果的であるとは言えないだろう。 皮膚の表面及び粘膜上の対象物に対する配達 アイシリン及びここで提示された組合せの、局所的投与に適した薬剤キャリア又は媒体は、当該の技術を有する者に、特定の投与の様式に適しているものとして知られている如何なるキャリアをも含む。それに加えて、化合物は、組成物において単一の薬学的に活性な材料として調製されることもあるし、又は、他の活性な材料と組み合わせて、調剤されることもある。効果的な濃度は、in vitro やin vivo で用いられる化合物を試験することによって、実験的に決定され得る。従って、好適なキャリアは、当該の分野でよく知られた、皮膚科学的に許容可能な媒体である。本発明のコールド・レセプター作用薬は、エマルジョンとして、固体又は溶解した状態にて、また水相又は油相として、媒体中に分散せしめることができる。 皮膚の表面を通じた薬剤の吸収率は、調剤中の薬剤の濃度、水溶性、及び、角質層と調剤との間の、油/水の仕切りの共同作用に基づく。皮膚のレセプターに配達されるアイシリンの物理的形状は、浸透力及び十分な作用期間を意図することによって、最適化される。アイシリンは、1,2−プロパンジオール等の溶媒に溶解されたものとして投与されてよいが、更に好適には、軟膏又はクリーム等の塗布薬(エマルジョン)に、固体として懸濁されたものとして、又は、その他の固体と共に混合された乾燥した粉末として、投与される。固体形状においては、アイシリンは、当該の分野で現在知られているように、再結晶化によって、最大限の表面積を有する粒子に変更せしめられてよく、又は、当業界で公知の方法に従って、ナノ球面(nanospheres)上に合体されるか、ナノ粒子(nanoparticle)若しくはリポソーム内に導入されても良い。アイシリンは、真皮内の対象物に到達するためには、細胞内(細胞を通じて)又は細胞間(細胞の間)のルートによって、皮膚を交差しなければならない。皮膚の水和作用の程度を高め、薬剤と皮膚との接触を長期化する、閉塞性の包帯は、無傷の皮膚を通じた皮膚からの薬剤の吸収を高めるものであり、本発明を実施するために、考慮される。 皮膚の浸透性増強剤は、有効に、本発明の実施例に含まれ、特定の界面活性剤、適切な分子量のアゾン (azone)、アルコール、アセトン、プロピレングリコール、及びポリエチレングリコール等の薬剤を含む。一般的なアニオン系合成界面活性剤を含む適切な界面活性剤は、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム又はカリウムで、アルキル基が、約9〜約15の炭素原子を有するものである。皮膚上での保持力を高め、吸収を促進することができる非イオン系界面活性剤は、ポリオキシエチレンポリマーである。そのような物質を代表するものは、例えば、オクタン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、ミリスチン酸、及びオレイン酸の如き6〜22の炭素原子を有する脂肪酸と、脂肪族多価アルコール又はその環状無水物、例えば、エチレングリコール、グリセロール、エリスリトール、アラビトール、マンニトール、ソルビトール等とのエステル又は部分エステルであり、そしてそれらのエステルのポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレン誘導体である。 当該の技術において、正確な服用量及び治療期間は、治療される組織の機能と相関関係にあり、公知の試験プロトコルを用いて、又は、試験管内若しくは生体内試験のデータからの外挿法によって、実験的に決定されてよいことが、当該の技術において、良く理解されている。濃度及び服用量の値は、治療される個人の年齢に合わせて変更してよいものであることも、注目される。何れかの特定の対象に対して、特定の用量が、個人のニーズ、及び、調剤の投与を実施又は監督する専門家の判断によって、時間が経過するにつれて調整されるべきであり、又、本文に記載の濃度範囲は、例示のみのものであり、クレームされている調剤の範囲や実施を制限する目的のものでは無いことが、更に理解されるべきである。 式1の化合物(アイシリン及びアイシリン類似物)は、一般的には、0.1%w/w〜50%w/w、又はそれ以上の濃度にて含まれる。好ましい濃度は、0.5w/w〜25%w/wで、更に好ましくは、1%w/w〜25%で、更に好ましくは、約1%w/wを超え且つ約10%w/wまでで、最も好ましくは、1%w/wを超え、且つ約5%w/wまでである。水性の懸濁液及び調剤は、1%w/wまたはそれより多くを含む。 広く言えば、好適な治療用組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、又はその他同種類のものとして調剤されて良く、クリーム、ゲル、軟膏、エマルジョン、溶液、エリキシル剤、ローション、懸濁液、チンキ剤、ペースト、泡、噴霧質、洗浄剤、スプレー、座薬、包帯、又はその他の、局所投与に適した調剤として調剤されてよい。 本発明の組成物は、少なくとも1つの、非水溶性の、薬理学的に許容された、アルキルセルロース又はヒドロキシアルキルセルロースを含む、閉塞性の包帯に、合体されていてもよい。本発明で用いるためのアルキルセルロース又はヒドロキシアルキルセルロースポリマーには、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ブチルセルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロシキブチルセルロース、及びエチルヒドロキシセルロースが、単独、又は組み合わせて、含まれる。エチルセルロースポリマーに対する好ましい特性には、エトキシル基の含有量が42〜52%の間であり、更に好ましくは、44〜50%の間であり、80/20トルエン/エタノール溶液における重量比5%のポリマーに対しては、粘性が2〜500cpsであり、更に好ましくは、4〜400cpsであることが含まれる。それに加えて、該ポリマーの特性を変更するために、可塑剤又は架橋剤を用いてもよい。例えば、ジブチル若しくはジエチルフタレート等のエステル、ジエチルジフェニル尿素等のアミド、植物性油脂、酸性オレインやミリスチル等の脂肪酸やアルコールを、セルロース誘導体と組み合わせて用いてよい。 アイシリンを溶解せしめるために用いられる溶媒は、浸透性の良い、薬理学的に許容された、非水溶性の溶媒としてよい。溶媒又は、溶媒系の一部として利用可能な好適な有機物質は、次の通りである:プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(M.W. 200-600)、ポリプロピレングリコール(M.W. 425-2025)、グリセリン、ソルビトールエステル、1,2,6−ヘキサントリオールエタノール、イソプロパノール、酒石酸ジエチル、ブタンジオール、及びそれらの混合物。このような溶媒系には、水も含めることができる。いくつかの例では、エトキシジグリコール、1メチル−2 ピロリドン、及びプロパンジオールを、単独で又は組み合わせて、含んでいる。本発明で用いるのに好適な溶媒は、アイシリンを重量で0.2〜5%含有するプロパンジオールである。 1つの例では、アイシリンを重量比で0.02〜5%含有する軟膏は、乳化ろう、白色ワセリン並びにプロピレングリコール、ブチル化ヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、クエン酸及び乳酸にて構成されてよい。アイシリンを、重量比で0.1%乃至5%含有するローションは、保存料としてのベンジルアルコールを2%(wt/wt)、乳化ろう、グリセリン、パルミチン酸イソプロピル若しくはミリスチン酸イソプロピル、乳酸、浄水、及びポリエチレングリコール400から構成される、滑らかで、均一な、不透明なエマルジョンにて構成されてよい。 別の例では、痒み止め軟膏は、以下の材料を含むことができる:50.0%のサリチル酸メチル、25.0%の白ろう、25.0%の無水ラノリンからなる均一な溶融物であって、これに、重量で2%のアイシリン並びに重量で1%の0.5%のジ−sec−ブチル−n−オクチル ホスフィンオキシドが添加される。この混合物は、温められ、その後、固体化が許容される。冷却効果を伴う皮膚の鎮静効果を有する、軟らかい軟膏が、製造される。 局所投与用の溶液及び懸濁液は、ある量の抗掻痒剤を配達するのに有効な1つ又はそれ以上の化合物の或る量を含むように、通常は、ここに記載の化合物の1つ又はそれ以上を、約0.1〜50%w/wの間の濃度にて、好ましくは、少なくとも1%w/wよりも多い量にて、更に好ましくは、2%w/wよりも多い量にて、含むように、調剤せしめられる。残りは、水、適当な有機溶剤若しくはその他の溶剤、又は緩衝剤である。 局所に適用するための溶液又は懸濁液には、以下の構成要素の内の何れをも含めることができる:浄水、生食液、ポリエチレングリコールグリセリン、プロピレングリコール、又はその他の合成溶媒等の無菌の希釈剤;ベンジルアルコールやメチルパラベン等の抗菌剤;アスコルビン酸や亜硫酸水素ナトリウム等の酸化防止剤;エチレンジアミン4酢酸(EDTA)等のキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩や、リン酸塩等の緩衝剤;及び、塩化ナトリウム若しくはデキストロース等の、張性を調節するための物質。 液体の調合剤は、アンプル、使い捨ての注射器、又は、ガラス、プラスチック若しくはその他の適切な素材でできた複数回量の水薬瓶に、封入せしめることができる。好適なキャリヤには、生理的食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含めてよく、懸濁液及び溶液には、グルコース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール並びにそれらの混合物等の、濃化剤若しくは可溶化剤を含めてよい。好適に調製せしめられた溶液及び懸濁液は、目及び粘膜に、局所的に適用してもよい。溶液で、特に眼用に意図されたものは、0.01%〜10%w/wの等張液で、pHが約5乃至7で、適切な塩を含み、好ましくは、本文に記載の組成物の1つ又は複数を、約0.1%w/wの濃度にて、更に好ましくは、1%w/wよりも多く、50%w/w以上までの量において含めて、調剤せしめることができる。好適な眼用溶液は、公知である(例えば、典型的な眼用洗浄液及び局所適用用の溶液について記載する、米国特許第 5,116,868号を参照)。このような溶液で、例えばpHが約7.4に調整されたものは、90〜100mMの塩化ナトリウム、4〜6mMのリン酸水素二カリウム、4〜6AMのリン酸水素二ナトリウム、8〜12mMのクエン酸ナトリウム、0.5〜1.5mMの塩化マグネシウム、1.5〜2.5mMの塩化カルシウム、15〜25mMの酢酸ナトリウム、10〜20mMのD.L.−ナトリウム−ベータ−ヒドロキシ酪酸、及び5〜5.5mMのグルコースを含む。鼻腔内のコールド・レセプターへの配達 鼻への配達を目的とした場合、本発明の治療用組成物は、該活性材料を、局所的活性の為に、粘膜質の表面に配達するべく鼻用噴霧器によって投与せしめてよい。このような組成物は、当該の薬剤調剤分野の技術における公知の技術に従って調製され、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、若しくはその他の好適な保存料、接触期間の延長のために生物学的利用能 (bioavailability) 並びに生物学的粘着性を高める吸収促進剤、及び/又は、当該の分野で公知のその他の可溶化剤若しくは分散剤を用いた塩水に含まれる溶液として、調製することができる。従って、鼻腔内又は頬内の表面への投与のための、薬理学的に許容可能な希釈剤(キャリヤ)に、溶解又は分散せしめたアイシリン溶液を含有する組成物について、特に検討される。この溶媒は、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、及び、様々な水性キャリヤ、例えば、緩衝化された水、0.9%の食塩水、緩衝化された水性エタノール溶液、及びその他同種のものであってよい。これらの組成物は、従来からの公知の殺菌技術によって、殺菌せしめ得、又は、滅菌フィルターで濾過せしめられ得る。結果的に得られる溶液は、そのままの使用を目的として梱包されることもあるし、又は補助剤として別の薬物と混合されることもある。組成物には、例えばpH調整並びに緩衝剤、等張化剤、湿潤剤、並びにその他同種の物、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミン等の、生理学的条件に近づけるために必要とされる、薬理学的に許容しうる補助物質を、含めることができる。 アイシリンを添加してよい鼻用噴霧剤の例は、Ayr(商標) Saline Nasal Mistであり、これは、リン酸ナトリウムで緩衝化せしめ、二ナトリウムEDTA及び塩化ベンザルコニウムを用いて保存せしめられた等張化塩水(塩化ナトリウム)溶液である。鼻用スプレー充血除去剤の例は、Schering-Plough, Inc.製の、Afrin(商標)Severe Congestion Nasal Spray with Mentholである。これは、次のように用いられる:「日常的な風邪、花粉症、又はその他の上部気道のアレルギー又は鼻炎に伴う鼻の充血の一時的な緩和用。膨れた鼻粘膜を収縮させるため、自由に呼吸できる」。ここでの活性材料は、塩酸オキシメタゾン(0.05%)、交感神経様作用アミン血管収縮充血除去剤で、不活性材料としては、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、樟脳、エデト酸2ナトリウム、オイカリプトール、メントール、ポリソルベート80、プロピレングリコール、第二リン酸ナトリウム、リン酸第一ナトリウム、及び水がリストされている。日常的な風邪、せき、及び気管支炎を含めた上部呼吸器の病気のための同様のアイテムには、Proctor and Gamble社 の一事業部である Vicks Corporation の製品がある。これらの製品は、Vapor Inhaler(商標)(鼻の充血除去剤としてレバムフェタミン (levamphetamine)を含む)、メントール及び樟脳を含む VapoRub(商標)、及び、メントールに類似した化学品と樟脳を含む VapoStream(商標) を含んでいる。アイシリンは、単独で、又は類似の製品の添加物として、鼻の粘膜の炎症の治療のために、より良い治療ができないとしても、同等の結果は得ることができる。 使用されるアイシリンの濃度は、通常は、重量比にして、丁度、又は少なくとも約0.10パーセントから、最高約2パーセントまでであり、選択された特定の投与の形態に従って、流体の体積に基づいて、主として選択される。そのため、配達のための典型的な薬剤組成物は、0.25mg/ml乃至約150mg/mlのアイシリンを含むように構成することができる。化合物を調製するための、実際の方法は、当該の技術を有する者にとって、公知又は明白である。メントール類似物と組み合わせた使用を目的とした場合、メントール類似物に対するアイシリンの、望ましいモル比は、約1対1であり、1対0.5、2対1、及び3対1の範囲を有する。 アイシリンを鼻のコールド・レセプターに配達する第二の形態は、アイシリンを、それのみ、又は、炭酸カルシウム若しくはラクトース等の不活性キャリアに混合せしめて、又は、かぎたばこ等の鼻用香味料と共に、粉末形態にて投与するものである。アイシリンは、粒状化、乾燥、及び、特定の粒子サイズにサイジング若しくは製粉し、それによってコールド・レセプターと相互作用を行う為広い表面積を形成するように、微粒子化せしめた形態にて、調製せしめてよい。均一な濃度(consistency)及び均一な薬剤の充填を得るために、ラクトース等の賦形剤(活性成分のための媒体を形成する不活性物質)を用いても良い。気管支のコールド・レセプターへの配達 鼻腔、及び気管支並びに細気管支の表面は、くしゃみやせきを誘因する感覚を生み出す神経終末を有している。コールド・レセプターの、非刺激性で、無臭の興奮を生み出すことによって、くしゃみ及びせきをする欲求は、減少せしめられる。上部呼吸管の一部に、噴霧の投与を目的とした場合、アイシリンは、好ましくは、界面活性剤及び推進剤を含んだ水性プロピレングリコール溶液等の溶液によって、供給せしめられる。アイシリンの、一般的な割合は、重量比にして、約0.05%〜約2%であり、好ましくは、約0.05%〜約0.5%である。この界面活性剤は、当然、毒性の無い物でなければならず、好ましくは、推進剤に可溶なものである。このような物質を代表するものは、例えば、オクタン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、及びオレイン酸の如き6〜22の炭素数の脂肪酸と、例えば、エチレングリコール、グリセロール、エリスリトール、アラビトール、マンニトール、ソルビトール等の脂肪族多価アルコール又はその環状無水物とのエステル又は一部がエステルであるもの、及び、それらエステルのポリオキシエチレン並びにポリオキシプロピレン誘導体等である。混合エステル、例えば、混合された、又は天然のグリセリド等が使用され得る。界面活性剤は、重量比にして、組成物の約0.1〜約20%、好ましくは、約0.25〜約5%を構成することができる。組成物の残りは、一般に推進剤である。液化せしめられた推進剤は、周囲の条件において、通常は気体であり、圧力下にて、濃縮せしめられる。好適な液化せしめられた推進剤には、ブタン並びにプロパン等の、最高5個までの炭素原子を有する低アルカン、又は、好適にはフッ化アルカンが含まれる。噴霧質(エアロゾル)を製造する際は、好適なバルブを備えた容器を、微細に分割せしめた化合物及び界面活性剤を含んだ適切な推進剤で満たす。材料は、バルブの動きによって開放されるまでの間、このようにして、加圧下にて保持せしめられる。空気を推進剤として用いるポンプ式のスプレー(アトマイザー又は噴霧器)についても、考慮される。 アイシリンを配達するための、その他の方法は、それを、例えばポビドン、ラクトース等の親水性の賦形剤と共に、スプレー乾燥にて調製し、乾燥粉末吸入器を用いて配達するというものである。吸入のための、このような薬剤の調製方法は、Gordon et al. (米国特許第 6,365,190号)によって、説明されている。アイシリンのための、この方法の利点は、溶液の形態に比べて、乾燥した粉末として投与された時に、より長い活性時間を有することができるというものである。胃腸の機能不全の治療 胃腸管は、唇から始まり、肛門の縁にて終結する。腸は、運動性、感覚、消化及び分泌を調節するために機能する、神経系の多くの内在性の構成要素を伴う複雑な器官である。消化管の壁は、粘膜、粘膜下組織、筋層外部、及び漿膜の、4つの主な層に組織化されている。粘膜は、基底膜(固有層と呼ばれる)、ゆるい結合組織、血管、及びリンパ組織を伴う皮膚組織から成っている。粘膜下組織は、ゆるい結合組織、腺、神経、及び血管を有している。粘膜下組織の神経線維は、ネットワーク又はマイスネル神経叢と呼ばれる叢を形成する。筋層外部は、平滑筋細胞の2つの帯から成っており、内側の層は、環状平滑筋、外側の層は縦の線維にて形成されている。筋線維の間に散在しているのは、アウエルバッハ叢と呼ばれる神経叢である。 腸のルーメンの粘膜質の内壁は、単一の上皮細胞の層にて形成されている。小腸(回腸)及び大腸(結腸)の上皮は、高度の新陳代謝の活動、及び、約5日の回転率を有する。つまり、5日間の間に、内壁全体が剥がれ落ち、新しくされるのである。これは、1日あたり、約1/4ポンドの細胞の回転率である。多くの胃腸管の機能不全は、環境的作用因への露呈、炎症性の反応、及び自己免疫疾患又は同種の理由が原因の、腸の粘膜の消耗又は損傷、感染、身体の負傷によって、特徴付けられる。腸、特に粘膜に損傷が起きた後、炎症は腸神経系を混乱させ、過敏性腸症等の機能不全に寄与する。機能不全の中心的要素は、通常は、粘膜、及び内在の神経系である。胃腸の機能不全の第一の顕現は、痛み、膨張、腸動の増加又は減少、管腔内の出血、及び鼓腸である。 腸は、単純化された「脳」を有している。腸管筋及び粘膜下組織叢の、複雑な神経のネットワークは、約1億のニューロン(腸神経系)を有する。粘膜下組織のマイスネル叢内の遠心性神経は、腸腺からの分泌物を調整する。腸管筋のアウエルバッハ叢内の遠心性神経は、環状及び縦長の筋肉の、蠕動と呼ばれるリズミカルな収縮を制御する。内臓感覚神経終末は、粘膜下組織及びマイスネル叢全体に配置せしめられている。腸の粘膜が、熱及び侵害の信号を指定する知覚求心神経(A delta 及び C)線維を有していることが、知られている。求心神経の細胞体は、自律神経節又は後根神経節に配置せしめられている。腸からの感覚の情報の多くは、副交感神経系の脳神経、主に迷走神経を経由して、脳に伝達される。しかし、痛みについての内臓感覚は、交感神経の求心神経を通じて、脊髄にも伝達される。 腸の炎症、内臓神経、及び、内臓不快感の治療:食道、胃、回腸、結腸、及び直腸を含む腸管の様々な部分は、自律神経の不全、感染、心因性の不全、及び、化学的並びに物理的作用因によって、損傷することがある。機能上の嚥下障害(消化不良)、逆流性食道炎(GERD−胸焼けとしても知られている)、胃炎(例えば、アルコールの暴飲による)、又は消化性潰瘍(胃又は十二指腸内層の侵食)による不快感及び痛みは、食道、胃、及び十二指腸の粘膜内に存在する、内臓の痛みの神経終末の刺激によって起きる。腸下部における、主な機能不全は、過敏性腸症である。腸下部における、2つの重要な器官障害は、潰瘍性大腸炎及び限局性腸炎(クローン病)である。これらの2つの器官障害は、集合的に、炎症性腸症として、言及される。その他の、腸下部の炎症状況は、憩室炎、セリアック病、乳糖不耐症、慢性膵炎、及び限局性回腸炎である。これらの機能不全の、第一の臨床上の顕現は、痛み、膨張感、腸動の頻度の減少又は増加、管腔内の出血、及び鼓腸である。 炎症性腸症の、現行の治療には、酸中和剤、ヒスタミン−R2−遮断薬、ヘリコバクターピロリに対する抗生物質、グルココルチコステロイド並びにNSAIDS等の抗炎症性薬剤、鎮痙薬、下痢止め薬、及び、潰瘍性大腸炎の場合は影響を受けた組織を除去するための手術が含まれる。論評においては、Sheikh 及び Wright (Irritable Bowel Syndrome: Current Concepts and Future Prospects. Hospital Practice, March 1999, pg.31-38)が、求心性の神経レセプターを遮断することによって腸の知覚を減らすことを意図した、新しいカテゴリーの「非求心性」の作用因について説明している。 ある患者においては、特定の芳香油が、平滑筋を弛緩し、痙攣及びガスによる痛みを軽減し得る。ペパーミントオイルは、この類において、最も一般的に用いられる物質である。ペパーミントオイルを含有する、腸溶性のものでコートされたカプセルは、過敏性腸症の患者に対して、有益な効果を有する。ペパーミントオイルは、30乃至50%がメントールであり、メントールは、活性の構成成分であると考えられている。二重盲検プラセボ対照試験においては、腹痛の頻度、腹部膨張による不快感、腸動、腹鳴、及び鼓腸が、カプセル化されたペパーミントオイル(Colpermin(商標))によって減少せしめられた。Colpermin(商標)は、ヨーロッパ及び英国での販売が許可されているが、おそらくは、例えばプレゴン等、該オイルの構成成分のうちの幾つかが肝臓に有毒であるかもしれないことにより、アメリカでは許可されていない。ペパーミントオイルのメントール成分は、腸粘膜内の感覚神経終末の、求心性の放電を減少すると共に、平滑筋の収縮性を局所的に減少させることがあると考えられた。しかし、メントールは、さほど強力ではなく、局所的な刺激を起し得、組織内に急速に再分配され、新陳代謝されるため、約5乃至15分という比較的短期間の活動期間を有する。 内臓の不快感及び腸の炎症の治療におけるアイシリン化合物のメカニズムについての仮説: 胃腸管の内層の神経終末は、皮膚及び気道や目の粘膜の神経終末と同様に、温度及び痛みを暗号化した信号を認識するレセプターを有する。アイシリン及び関連の類似物が、唇に適用されるか、チューインガムに含んで、又はタブレット、腸溶性のコートがされた丸薬若しくはカプセルとして配達されると、冷感の信号を引き起こし、胃腸管からの痛み並びに刺激の信号を中和する。これらの、「反求心性の」作用は、口唇炎、口内炎、粘膜炎、食道炎、腸炎、大腸炎、及び直腸炎による不快感を軽減するための、治療上の用法であると主張する。このように、アイシリン化合物は、唇の炎症、口の炎症、食道の機能不全、過敏性腸症、過敏性腸症候群、及び、その他の形態での胃腸の機能不全に対して有効である。 コールド・レセプターは、唇、口、食道、回腸及び結腸の、求心性内臓神経上に存在しており、また、これらのレセプターは、アイシリン化合物によって、活性化せしめられる。理論に限定されることなく、アイシリン及び関連の類似物によるコールド・レセプターの刺激は、腸の炎症の痛み及び不快感に対抗する感覚を生み出すと考える。アイシリン及び関連の類似物を用いる主な利点は、その非刺激性と、作用期間が長いという特性にある。例えば、軟膏又は粉末として唇に適用されたアイシリンは、数時間に渡る冷却感を作りだすことができ、ひりひりする感覚や、きつい味などは経験されない。腸の神経終末に対するその効果に加えて、アイシリンは、平滑筋の陽イオンチャンネルに対する直接的な作用を有する。ここでの理論に縛られたくは無いが、それは、陽イオンの動きの抑制物として機能し、筋肉の収縮を防ぎ、炎症状態の時に発生する平滑筋の刺激を減らす。アイシリン化合物の知覚効果、並びに、神経終末及び平滑筋に対する麻酔作用は、内臓の不快感及び腸の内層の炎症の治療における、アイシリンの用法にかかるメカニズムであると、信じられている。 ペパーミントオイルを含有する、腸溶性のコートがなされたカプセルが、過敏性腸症候群の患者に対して有益な効果を有することは、すでに説明済みである。ペパーミントオイルは、30〜55%がメントールであり、メントールは、活性成分であると考えられている。二重盲検プラセボ対照試験においては、腹痛の頻度、腹部膨張による不快感、腸動、腹鳴、及び鼓腸が、カプセル化されたペパーミントオイル(Colpermin(商標))によって減少せしめられた。ペパーミントオイルのメントール成分は、腸粘膜において刺激を引き起こす、感覚神経終末の求心性の放電を局所的に減少させる場合があると仮定された。これが、作用の「反求心性」のメカニズムである。しかし、ペパーミントオイルには、毒性があり、人体への使用の安全性については、疑問視されてきた。ペパーミントオイルは、構成物質の複雑な混合物であり、プレゴン、容認されたヘパトトキシンを含有している。[Nair, B., Final report on the safety assessment of Mentha Piperita (Peppermint) Oil, Mentha Piperita (Peppermint) Leaf Extract, Mentha Piperita (Peppermint) Leaf, and Mentha Piperita (Peppermint) Leaf Water. Int. J. Toxicol. 20 suppl 3:61-73;2001] 上部胃腸の吸収を防ぐ、発明の実施例は、アイシリンの結腸への局所的な配達を許容し、それゆえ、この組織の神経の刺激感を減らす。理想的には、胃並びに小腸の酸や消化液に耐えるように意図された、アイシリンを含む腸溶性のコートがなされたカプセルが、過敏性腸症の治療を目的として、単独又はその他の薬剤と組み合わせて用いられる。 実施例の項では、食道の不快感(胸焼け)が、アイシリンの摂取によって緩和された一例を、提示している。機能上の嚥下障害(消化不良)、逆流性食道炎(GERD)、消化性潰瘍、及び様々な食道炎の特徴的な前兆及び症状は、胸骨後及び上腹部の痛み、膨張感、胃の不快感、酸若しくは胆汁質の逆流、げっぷ並びに随時の過流涎である。これらの影響は、アイシリンが上部胃腸管に配達された時に、減少せしめられる。下部胃腸管に対しては、過敏性腸症候群(IBS)及び過敏性腸症(IBD)の治療のためのアイシリン調剤の使用も、考慮される。 胃腸管内の対象に対するアイシリン化合物の調剤及び配達: 下記の実施例において、infra、アイシリンの粉末は、唾液と混合して飲み込まれ、胸焼けを軽減させた。しかし、腸炎、大腸炎、及び重症の直腸炎に対し有効であるためには、アイシリン化合物は、好ましくは、腸管内の対象上で開放することが意図された化学薬品の形態にて、経口にて服用されるべきである。もし、対象までの管において、該薬剤の全身性の吸収が過度にあった場合には、アイシリンが体内の内因性のコールド・レセプターを刺激し、震え( shivering 並びに shaking )及び過度の冷却感を起すことがあるため、アイシリン分子の、炎症を起した腸粘膜上での局所的な開放が、好ましい。 上部消化管の不全の治療を意図したアイシリンの経口用の調剤は、アイシリンを、チューインガム、薬用ドロップ、棒付きキャンデー、キャンデー、シロップ、粘膜吸着性ポリマー、粘膜吸着性調剤、又は急速に分散する粉末又はタブレットに合体させたものである。目標は、アイシリン分子を、口腔内及び食道内の神経レセプターに、できる限り早急に、取り付けることである。胃腸管の薬剤の標準的な調剤は、"Remington, the science and practice of pharmacy", Alfonso R. Gennaro, Chairman of the editorial board and editor. 20th ed. Baltimore, Md. Lippincott Williams & Wilkins, 2000, Chpt. 45 Rudnic and Schwarts, Oral Solid Dosage Forms, pg. 858-893, Chpt. 46 Porter, Coating of Pharmaceutical Dosage Forms, pg. 894-902. amd Chpt. 47 Lee and Robinson, Controlled-release drug-delivery systems., pg. 903-929で、全て、本文中に参照文献として含まれている。アイシリンの、経口又は食道部分への適用を目的とした場合、アイシリンは、ポリビニルピロリドン、ポリカルボフィル、又はアルギン酸ナトリウムなどの粘膜吸着性ポリマーに混合せしめてよい。懸濁液、シロップ、又はゲルは、室温にて流体として飲み込まれ、口腔、食道、及び胃の内層の粘膜に付着する。 口腔、食道、及び胃の内層に適用せしめる粘膜付着性のペーストとして、Orabase(商標) を用いてよい。化学的には、Orabase(商標)は、可塑化した炭化水素ゲル、グアールガム、カルボキシメチルセルロース、トラガカントガム、およびペクチンから成っている。Orabase (商標)は、粘着性の媒体の調剤で、口腔の粘膜に適用された薬剤を保持する目的で構成されたものである。この調剤を用いた研究は、服用後、これが、2時間、又はそれ以上、粘膜に付着することを示している。その他の、経口の粘膜付着性化合物は、本文に参考文献として含まれている、米国特許第6,319,513号に、説明されており、二酸化チタン、二酸化珪素、及びクレイ等の、粘膜付着性の補助剤を含む。Remington の Chpt.45 は、以下のものから成るチュアブル・タブレットの製法について説明している:三ケイ酸マグネシウム500mg、水酸化アルミニウム、乾燥ゲル250mg、マンニトール300mg、サッカリンナトリウム2mg、ペパーミントオイル1mg、ステアリン酸マグネシウム10mg、及び、コーンスターチ10mgに、アイシリンを合体させて、噛み砕いてよい。薬剤をチューインガムに入れて調剤するための方法も、Medichew(商標) の技術を用いる Fertin Pharma (デンマーク)によって、市販にて入手可能である。この方法を用いて、ガムに入れた活性剤は、可溶化せしめられ、様々な程度の開放及び配達が、例えば頬の粘膜、喉、又は食道等の上部胃腸管の種々の部位で、達成され得る。 効果的な量のアイシリンは、下部胃腸管内、例えば患者の回腸の末端内や結腸内にて、一回量の形態から開放されるように、腸溶性のものでコートされた、効果的な量のアイシリンを含む丸薬、タブレット又はカプセルの、一回量の経口の摂取により、患者の結腸に、局所的に投与せしめ得る。好適な一回量の形態は、丸薬、タブレット、又はカプセルの一錠あたり、アイシリンが、約10mg〜約30mgの量にて存在するものである。腸溶性のコーティングは、胃の中では、そのままの状態を保つが、ひとたびそれが、使用されているコーティングの溶解にとってpHが最適である区域に到達すると、溶解し、該一回量の形態から、含有物を放出する。腸溶性のコーティングを用いる目的は、それが、回腸又は結腸内の目的の場所に到達するまで、実質的に、アイシリンの放出を遅らせるためである。水溶性のフィルムのコーティング技術が、薬剤の一回量の形態の、腸溶性のコーティングのために、用いられる。遅れて開放される、経口のアイシリンの一回量の形態は、簡単に投与される形態にて、ほぼ全てのアイシリンを、回腸又は結腸に配達するという、潜在的な利点を有している。 従って、有効な腸溶性のコーティングは、胃の、低いpHの環境内では、そのままであるが、特定のコーティングにとって最適な溶解pHに到達した時に、たやすく溶解するものである。これは、腸溶性コーティングの化学的組成物によって、pH3〜7.5の間で変化し得るが、好ましくは、約pH6.8〜pH7.2の間である。コーティングの厚さは、コーティング材の溶解特性、及び、治療される場所によって、変化する。腸溶性コーティングのために最も広く用いられているポリマーは、酢酸フタル酸セルロース(CAP)である。しかし、CAPは、最適溶解pHが6よりも大きく、それ故、早期に薬剤の開放が起きることがある。別の有効なポリマーは、ポリ酢酸ビニルフタレート(PVAP)であり、これは、水分及び胃液に対する浸透性がより低く、加水分解に対してより安定しており、より低いpHにて溶解可能であり、十二指腸内において、アイシリンが早期に開放される結果にもなる。その他の入手可能なポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートである。これは、PVAPに類似した安定性を有し、同じpHの範囲内にて溶解する。現在用いられているポリマーの、更なる例は、例えば、酸性のイオン化可能な基を有する、メタクリル酸エステル共重合体等の、メタクリル酸系のものである。メタクリル酸ポリマーでコートされた一回量は、回腸内で、約pH6.8にて溶解し、回腸の末端及び盲腸では、約pH7.2にて溶解する。一般的なコーティング厚である、約25〜200ミクロン、特に75〜150ミクロンの場合、タブレット又はカプセルの表面積の1平方センチメートルあたり、約3〜25mg、好ましくは8〜15mgの酸性コーティング材を用いることが好ましい。しかし、正確なコーティング厚は、使用される材料の溶解特性、及び、治療される部分によって、変化する。 カプセル化及び薬剤の配達に適した技術は、本文に参考文献として含まれている、Sandborn et al. (米国特許第 6,166,044号)に説明されている。下部消化管の機能不全、及び/又は、その兆候、及び/又は、その症状の治療が意図されたアイシリンの経口調剤には、懸濁せしめられた開放調剤、腸溶性のコートがなされたアイシリンタブレット若しくはカプセル、グリコシドに付着したアイシリン、又はアイシリン−樹脂の複合体が含まれる。これらの調剤は、上部胃腸管の吸収を避け、腸下部の粘膜レセプターへの、より多くのアイシリンの配達を許容する。アイシリンの、懸濁された−開放タブレットは、例えば、HPMC 2208(USP)500mg、カルナウバろう60mg、及び、HPMC 2910(USP)30mg(HPMCは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースに言及している)と共に圧縮せしめたアイシリンを含んでいる。腸溶性のコートがなされた、アイシリンを含むカプセルは、胃及び小腸の、酸及び消化液に耐えるものであるように意図されており、過敏性腸症を治療するため、単独、又は、メントール若しくはメントール類似物と共に用いてよい。本文に参考文献として含まれている、米国特許第5,849,327号、米国特許第5,866,619号、米国特許第6,140,308号、及び米国特許第6,166,044号にて説明されている、幾つかの方法は、かかる技術がいかにして達成され得るのかについての手順を提示している。カプセル化及び薬剤の配達のために適した技術は、参考文献として含まれている Sandborn et al. (米国特許第6,166,044号)にて説明されている。 好ましい実施の形態の一つにおいては、腸溶性のコーティング内のアイシリンは、経口摂取を通じて投与される。下部消化管、例えば、患者の回腸末端内、及び、結腸内において、一回量の形態から開放されるように、腸溶性のものでコートされたアイシリンを含有する丸薬、タブレット、又はカプセル等の、一回量の形態の経口摂取によって、効果的な量のアイシリンが、患者の結腸に、配達せしめられ得る。好適な一回量は、丸薬、タブレット、又はカプセル一錠あたり、アイシリンが、約10mg〜約100mg存在するものである。腸溶性のコーティングは、胃の中ではそのままの状態を保つが、ひとたびそれが、使用されているコーティングの溶解にとってpHが最適である区域に到達すると、溶解し、該一回量の形態から、含有物を放出する。腸溶性のコーティングを用いる目的は、それが、回腸又は結腸内の目的の場所に到達するまで、実質的に、アイシリンの放出を遅らせるためである。水溶性のフィルムのコーティング技術が、薬剤の一回量の形態の、腸溶性のコーティングのために、用いられる。遅れて開放される経口のアイシリンの一回量の形態は、簡単に投与される形態にて、ほぼ全てのアイシリンを回腸又は結腸に配達するという、潜在的な利点を有している。 糖に結合したフェノール基を調製する方法は、本文に参考文献として含まれている、Brattsand et al. 米国特許第6,140,308号によって説明されている。前述のように、アイシリン化合物は、一般式:1−R1−フェニル、4−R2−フェニル置換の1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−2−オンにて説明される。R1は、ヒドロキシル官能基としてよく、このフェノール基は、糖に結合(誘導)せしめ得、一般式:アイシリン−R1−糖を有する。アイシリン−R1−糖は、遊離ヒドロキシル基がレセプターの刺激に不可欠であるため、感覚神経終末上に位置するコールド・レセプターにおいて不活性である。しかし、結腸においては、グリコシダーゼと呼ばれる細菌性の糖加水分解酵素が、局所的にアイシリンが放出されるように、アイシリン−R1−糖に働きかけることができる。薬剤のD−グリコシド共役の合成方法は、参考文献として先に含まれている、Brattsand et al.によって詳細に説明されている。アイシリン−R1−糖分子の合成は、経口摂取の後、腸下部への局所的な配達を許容する。このようなアイシリン−R1−糖共役は、上部胃腸管を通じた完全な移送を更に確実なものにするために、腸溶性のコートがなされたタブレット、カプセル、又は丸薬として調剤されてよい。 結腸にて分離(離散)する薬剤の配達のための、別の方法は、本文に参考文献として先に含まれている、米国特許第5,886,619号に説明されている。ここでは、米国特許第6,140,308号に説明されているものと同様の、化学的合成方法を用いて、アイシリン化合物上の遊離ヒドロキシル基が、糖類を含有するポリマーに付着しうる。化学的マトリックスの複合体は、胃及び小腸内での分解に対しては抵抗力があるが、水酸基−糖結合の加水分解による細菌性の酵素の作用が、結腸内で薬剤を開放する。最後に、Berliner 及び Nacht が、本文に参考文献として含まれている米国特許第5,849,327号にて、活性剤又はプロドラッグと共に付着せしめられ、結腸特有の細菌によって化学的にのみ分解可能な多糖類と共に接続せしめられる多孔性の微細なビードの使用について説明している。この微細なビードは、更に、一回量の形態が結腸に到達するまでは、元のままの状態でいる、腸溶性の材料のコーティングを含有している。この調剤は、生体に作用するアイシリンが、炎症した結腸粘膜上で局所的にのみ作用するように、アイシリンの開放を制限することができる。 正確な用量及び治療期間は、治療される組織の機能と相関関係にあり、公知の試験プロトコルを用いて、又は、試験管内若しくは生体内試験のデータからの外挿法によって、実験的に決定されてよいことが、当該の分野において、良く理解されている。濃度及び用量の値は、治療される個人の年齢に合わせて変更してよいものであることも、注目されるべきである。何れかの特定の対象に対して、特定の一回量の編成が、時間の経過により、個人のニーズ、及び、調剤の投与を監督し又は実際に行う者の専門家の判断によって、調整されるべきであり、又、本文に記載の濃度範囲は、例示のみのものであり、クレームされている調剤の範囲や実施について制限する目的のものでは無いことが、更に理解されるべきである。 以下の実施例の項では、実施例Aは、アイシリン及び類似物の調製について説明しており、実施例1〜26は、本発明の、人である被験者への様々な治療上の用法及び様相について説明している。特に、実施例1〜4は、アイシリンを、鋭い刺激無く、瞼の粘膜に適用せしめ得、冷却の感覚がたやすく得られることについて示している。これとは異なり、メントールは、その刺激作用により、点眼薬に用いられることはできない。実施例5は、アイシリン及びその類似物が、1)臭い又は刺激を伴わない、鼻表面上への長期に渡る冷却及び爽快感の作用、2)鼻の粘膜上への、充血除去作用、及び、3)抗掻痒性の効果、を有することを示している。実施例6は、アイシリンが、抗炎症性ステロイド調剤の補助剤として用いられ得ることを示している。実施例7は、アイシリンとメントールとの間の、重要な、薬物動態学的な違いについて、示している。メントールを施したガムの効果は、即効であり、且つ、口及び喉に局所化される。これとは異なり、唾液に混ざった粉末として配達されたアイシリンは、食道下部に到達するまで、作用しない。アイシリンを、標準的なカプセル化技術によって更に保護することが、回腸下部及び結腸等の胃腸管の末端部分に到達することを許容し、そこで、コールド・レセプター作用薬としての薬理学的効果を発揮することができる。実施例10は、感覚レセプターが、口の内層内に存在することを示しており、口内炎及び口内びらんの治療における、アイシリンの使用の効用を示している。実施例11〜13は、人の唇、口、及び、肛門直腸部分の皮膚並びに粘膜への、アイシリンの局所的適用には、刺激が無く、口唇炎及び肛門直腸部分の炎症の症状を緩和する冷却及び麻酔的な感覚を呼び起こすことについて、示している。従って、これらの、皮膚と粘膜との結合部及びその付近の組織に対する、適切な媒体に入った、1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−2−オンの誘導体の局所的な適用は、痛み、痒み、及び不快感を緩和し、それ故、これらの薬剤の処方は、体のこれらの部位における、炎症性の機能不全の治療に有効である。実施例14〜17は、人の生殖器及び肛門への、アイシリンの局所適用が、刺激の無いものであり、性行為を喚起すると思われる感覚を呼び起こすものであることを示している。適切な環境の設定及び適切な心的傾向の下の、これらの性感部分への、好適な、皮膚科学的媒体に入った、1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−2−オンの誘導体(つまり、アイシリン及びその類似体)の局所適用は、リビドーを高め、性交から正の強化を増大し、従って、これらの薬剤の処方は、性機能不全の治療に有効であるとの結論を出した。実施例18は、鼻の入口に配達されたアイシリンが、冷却作用を有することを示している。更に、作用の期間は、吸入された粉末の粒子サイズによって変化する。実施例21は、喉の奥に、経口スプレー経由による薬剤の配達によって活性化せしめ得るアイシリンタイプのレセプターが有ることを、示している。実施例18〜22は、粉末、又は鼻/口用スプレーとして適用された、アイシリン及びその類似物が、1)鼻及び喉の表面に対する、臭い又は刺激を伴わない、長期に渡る冷却及び爽快感の作用、2)閉塞感を緩和する鼻粘膜への作用、3)いびきの抑制、睡眠促進、及び、息詰まりや窒息の感覚の抑制の効能、を有することを示している。 要約すると、本願が人に対するアイシリンの研究につき議論し、説明した初めての科学文献であると考える。治療目的の適用における、アイシリンの独特の特性について、指摘、例証し、メントールとの様々な差異を記し、治療目的での使用方法に対する好適な実施例について、説明する。−実験−実施例A アイシリン及び類似物の化学的合成: 化学的合成方法については、Podesva 及び Do Nascimento によって、米国特許第3,821,221号に説明されている。簡潔に言うと、Sigma-Aldrich Co.,等の、商業的な供給源より、たやすく入手することが可能な、置換アセトフェノン、例えば、3−ニトロアセトフェノン又は3−トリフルオロメチルアセトフェノンが、ホルムアミド中の、ジエチルアミン若しくはジメチルアミンと混合され、酸性溶液中で、還流される。第二の置換基を追加した後、マンニッヒ反応が、孤立されたβ−アミノ−ケトン化合物を作り出す。この試薬は、その後、1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−2−オン環の、1位置及び4位置上の適切な基と共に、テトラヒドロピリミジン−2−オン環に環化されて、不安定なウレア中間物を作り出すよう、シアン酸カリウム又はシアン酸ナトリウムと反応せしめられる。沈殿された製品は、濾過によって直ちに回収され、酢酸エチル等の溶剤(溶媒)を用いて再結晶させるか、又は、シリカゲルコラム上で浄化させる。最終的な製品は、室温にて安定した固体である。 花粉症及びアトピー性皮膚炎を有する女性の被験者が、ウールのタートルネックのセーターを、10分間着用した。30〜45分の間に、首の表面に、痒み及びピンク色の発疹が発現された。20mg/mlのアイシリン、及び、20mg/mlのWS−3、メントール類似物を含有する、1,2−プロパンジオール溶液の四分の一ミリリットルが、赤くて掻痒性のある首の部位に適用された。薬剤を適用したサイトで、冷却感が感じられ、掻きたいという気持ちは軽減された。これらの効果は、約1.5時間続いた。 炎症性の痔を有する男性の被験者は、市販の、25mgのヒドロコルチゾンを含有する、1.5インチの、弾丸型の座薬を自己投与した。この座薬は、5mgのアイシリン、5mgのWS−23、メントール類似物により覆われている。陰のうに向けて延びる肛門直腸部分に、5分以内に冷却感が感じられた。肛門直腸部分の不快感及び痒みの緩和は、3時間よりも長く続いた。同様の実験では、プロピレングリコールに、20mg/mlで溶解したアイシリンが、等張の塩化ナトリウム溶液の軟下薬(リン酸第一ナトリウム及び第二リン酸ナトリウムを含む)と混合せしめられ、2mlのエマルジョンが、直腸内に滴下された。ここでも、痒み及び不快感の感化を伴う冷却感が、2時間の間得られた。 指に、約1平方センチメートルの擦り傷(摩擦によるもの)を有する男性被験者が、綿棒によって直接傷部分に適用することで、0.8mgのアイシリンを受容した。それまで傷部分に存在した鈍痛が、冷感を感じ始め、痛みは軽減された。傷部分での冷却感は、長くは続かず、それより広い感覚分野まで広がることは無かった。これらの結果は、アイシリンが、損傷した組織に氷を適用することによって得られる効果と同様の、非侵害受容作用を得るために、擦り傷のある、又は炎症した皮膚に、浸透し得ることを示している。同じ部分に適用された結晶性のメントールは、冷却又は痛みの軽減の感覚を呼び起こすことは無かった。 プロピレングリコールに溶解せしめた、10mg/mlの少量のアイシリン溶液を、男性被験者の下瞼に、綿棒で適用した。10分以内に、下瞼の上で、冷たい刺すような感覚が経験され、瞼は、爽やかな感覚を得た。この効果は、約45分間続いた。同じ被験者の下瞼に適用されたメントールの結晶は、初め、強い不快感を呼び起こした。瞼は、メントールによるきつい刺激の作用により、ひりひり痛んだ。この人は、瞬きをし、少量の流涙を伴って、直ちに目が閉じられた。しかし、一分後、この不快感は、解消され、メントールの冷却感が瞼で感じられた。この感覚は、爽やかで、約15分間続き、ミント臭を伴った。 花粉症(この場合、草花粉に対する季節的なアレルギー)に苦しむ男性被験者が、抗ヒスタミン剤の適用を24時間停止し、鼻から、0.5mg又は2mgの粉末形状のアイシリンを(2回の別の状況下において)吸引した。臭いは感知されなかった。薬剤の投与の後、鼻腔内において、自由且つ閉塞されない気流の感覚が、約3時間の間、経験された。アイシリン投与後の、戸外の、周囲温度が18℃の丘の上での呼吸の感覚は、爽やかな潮風を吸入した時のそれのようであった。鼻からの放出(アレルギー性鼻炎)の存在、くしゃみの誘発(掻痒)、及び瞼の痒みの存在は、アイシリンによって減ぜられ、終結されたが、3時間後に冷感が減少した時に、復帰した。同様の結果が、アセトキシ、フルオロ、及びトリメチルフルオロ形態のアイシリン0.8mgの吸入によって引き出されたが、冷却の程度、及び作用の期間は、アイシリンのそれよりも劣った。同一の環境の下、メントールの結晶の吸入も、冷却及び爽快感を生み出したが、それには、ミント味、及び、初期のひりひりする感覚が伴った。0.8mgのメントールによって達せられるメントールの冷却効果の長さは、25乃至30分であった。鼻からの放出、又は、くしゃみの誘発に対する、明白な、有利な効果は観察されなかった。また、メントールの刺激感により、目は流涙した。 アイシリン約10mg/mlの濃度の溶液を得るため、プロピレングリコールに溶解したアイシリンを、市販の、フルチカゾンを含有する抗アレルギー用点鼻スプレーの調剤に添加した。鼻腔にスプレーされた時、実施例5にて説明されているようなアイシリンの感覚の特性が得られた。従って、抗炎症性グルココルチコイドの存在は、アイシリンの活性を妨げなかった。 2mgのアイシリンが、フルーツ風味のチューインガムの2つの薄片の間に塗られ、男性被験者によって、5分間、噛まれた。口又は喉の中で、冷却感は感知されなかった。しかし、12分後、通常の冷却の感覚が、胸骨の裏の、胸部内部構造、上腹部内にて感じられた。これらの冷却効果は、約45分間続いた。これとは異なり、メントールを添加したガム、又は、メントールを添加したキャンデーを咀嚼した場合、最初にきつい味がした後、口及び喉で、強力な冷却感を生み出し、それは約10分しか続かなかった。 ある男性被験者は、季節的なアレルギー及び乾燥した気候による口唇炎を有していた。歯磨き時や、臼歯の掃除のためのデンタルフロスの使用時などに、口を大きな角度で開けることによって、痛みが経験された。被験者は、実施例Aのように調製された、2%のアイシリン軟膏を、先端が綿の拭き取り棒を使用して、0.3乃至0.5cc、口の角、及び口唇の粘膜皮膚境界線に適用した。数分の間に、唇部分で、冷却及び鎮静が感じられ、口角の痛みは減ぜられた。冷点の点状の放出もあり、その効果は、「スパークしている(sparkling)」と感じられた。追加的な実験では、3人の健常の被験者が試験されたが、唇部分の上の、アイシリン軟膏のこれらの効果が、即座に現れ、経験された。 65歳の男性被験者には、口辺ヘルペスの症状の発現が、繰り返しあった。おそらくは過度のアルコール摂取量及び喫煙による、呼吸器の病気の発症に伴い、口辺ヘルペスの形成を早めていた。この被験者は、感染が「前駆症状」である間に、先端が綿の拭き取り棒を用いて、2%のアイシリン軟膏を、0.2乃至0.4cc、唇の上部に適用し、痒みが軽減されたと報告した。しかし、2日後、上部口唇の粘膜皮膚境界線上に、赤い丘疹、及び、小さい膨れが、特徴的な痛みや痒みと共に現れた。唇への2%のアイシリン軟膏の適用は、2乃至3分以内に、唇の上に、ひりひりする冷却感の後、無感覚となり、それに主観的な不快感の緩和が伴なう結果となった。被験者は、口辺ヘルペスが、発症の10日後に消滅するまでの間、同様の緩和を伴うアイシリンの適用を、繰り返した。 ある男性被験者は、綿棒を用いて、3mgの粉末のアイシリンを頬の粘膜に適用した。口内の、適用を行なった箇所、及び、その周辺の組織で、冷却の感覚が感じられた。この効果は、約30分間続いた。その後、プロピレングリコールに溶解した4%のアイシリンを用いて、アイシリン溶液を調製し、それを2%の濃度とするため、無菌の水と1対1の割合で混合した。この溶液は、デジタルプランジャー、及び、ノズル弁を有する、空の10mlの瓶(Migra Spray(商標)ボトル)に入れられた。この、アイシリンのエアロゾルのスプレーは、口の中に数回適用されると、同様の冷却の感覚の特性を生み出し、刺激反応を減らした。 ある成人男性被験者は、鼠蹊部及び会陰部に、周期的に、重い皮膚の炎症を引き起こしていた。その原因は、洗濯洗剤、又は、下着の弾性ゴムに用いられた接着剤に対する、アレルギー反応であったと思われる。炎症が発症するたびに、皮膚の赤い変色と、激しい痒みが伴って起こっていた。この被験者は、実施例Aのように調製された2%のアイシリン軟膏を、炎症を起した皮膚に、0.5乃至0.8cc適用し、痒みが、即座に消滅したことを、報告した。この被験者は、変色が減少し、前月中に再発することが無かったことも認めた。この被験者は、この軟膏の使用に対する満足感を表明した。 炎症を起した痔を有する男性被験者が、2%のアイシリン軟膏(Aquaphor(商標)軟膏にて、実施例Aに説明されているように調製した)を、肛門直腸部に適用した。推測される軟膏の量は、約0.3乃至0.5ccであった。適用後、5分以内に、陰のうまで拡大した効果と共に、冷却感が感じられた。肛門直腸部における、痛み及び痒みの緩和は、2乃至3時間を越えて続いた。同様の実験において、2%のアイシリン軟膏が、市販の、25mgのヒドロコルチゾンを含有する、1.5インチの弾丸型の座薬内に塗られた。この座薬に用いられた、該軟膏の概算の量は、約0.3乃至0.6ccであった。この座薬は、肛門直腸部に挿入された。ここでも、痛み、痒み、及び不快感の緩和を伴う冷却感が得られ、2乃至3時間続いた。痔の障害のない6人に対する、2%のアイシリンの、0.3乃至0.6ccの適用は、肛門直腸部に、少なくとも2時間の間、確実に、冷却及び鎮静の感覚を生み出した。 急性の裂肛により、腸動に連動して直腸部に痛みを感じる成人男性の被験者が、先端が綿の拭き取り棒を用いて、2%のアイシリン軟膏を、0.5乃至0.8cc、肛門直腸部に適用し、即座に、手洗いに行った。通常は排便に伴っていた痛みが減少し、この被験者は、この軟膏の使用によって安堵と満足感を示した。 加齢により性的エネルギーの低下が著しい中年の男性被験者が、先端が綿の拭き取り棒を用いて、実施例Aで説明されている、2%のアイシリン軟膏の、約0.15〜0.25ccを、陰茎の頭部に適用した。これらの試験は、3年に渡り、5回の別の機会に行なわれた。適用一回の使用量は、約3〜5mgのアイシリンであった。アルビノのラットの腹膜内に投与した際の、半数致死量のアイシリンは、体重に対して1500mg/kgより多かったため、この一回量は、比較的、危険性の無いものであると考えられた(前記の、Wei 及び Seid、1983)。この軟膏を、陰茎に適用した後、2分以内に、冠及び腺にて、腫れを伴う、ひりひりする、及び、刺すような感覚が感じられた。陰茎上、特に包皮内部で、冷却感も感じられた。この器官の上で、多少の「湿る」感覚もあった。全体的な感覚は、心地よく、性的な喚起、及び、リビドーの増加状態が、各適用の後、約2乃至3時間維持され、この被験者は、次の実験に進むことを強く望んだ。アイシリン無しでの、Aquaphor(商標)軟膏の適用は、同様の感覚を呼び起こさなかった。この個人は、これらの経験により、その後、元気付けられ、性的な活動に強くなり、自己についてのイメージも、改善した。 仕事に関連したストレスによる、周期的な勃起不全症状のある若い成人男性の被験者が、先端が綿の拭き取り棒を用いて、2%のアイシリン軟膏を、0.2〜0.5cc、陰茎の頭部に適用し、その直後に、パートナーと性行為を持った。陰茎が、より硬くなったことを感じ、性的なリズムに対するより良い制御を得たことが、報告された。性交の長さも、通常の2倍に延長され、この被験者は、この経験に更に満足し、パートナーと次に会うことを、心待ちにした。 2人の男性被験者が、別の状況下において、先端が綿の拭き取り棒を用いて、2%のアイシリン軟膏を、0.5〜0.8cc、肛門直腸部に適用した。数分の間に、陰のうまで延びる肛門の括約筋の周りに、強い冷却感が感じられた。冷点の点状の放出もあったため、その効果は、「スパークするもの」、及び、「挑発的なもの (provocative)」として感じられた。この2人の被験者は、この部分へのアイシリンの効果を、性的な刺激として解釈する者もあるだろう、と結論付けた。 女性被験者が、先端が綿の拭き取り棒を用いて、2%のアイシリン軟膏の、0.2〜0.4ccを、陰唇及び陰核表面に適用した。2〜3分以内に、陰核部において、腫れを伴う、ひりひりする、及び、刺すような感覚が感じられた。この被験者は、その後、自慰に至り、アイシリンの適用後、オーガスムが、より早く、少ない労力によって達成され得ることを報告した。 3人の健常の被験者が、志願し、鼻経由にて、粉末形状の5mgのアイシリンを吸入した。この粉末は、凝集されていて(Phoenix Pharmaceuticals, Belmont, California, USAより入手可能)、直径が50μmより大きい粒子サイズ分布を有するものであった。臭いは感知されなかった。薬剤の投与後、鼻内の別の場所での点状の冷却の感覚を伴い、自由且つ閉塞されない気流の感覚が、鼻腔にて、約5時間の間、経験された。この感覚は、鎮静、冷却、及び爽快な感覚として、表現された。同一の試験状況下において、ある被験者は、Tocris Cookson, Inc. (Ellisville, MO 63021)から入手されたアイシリンの粉末を、8mg、吸入した。この粉末は、ふわふわしており、簡単に空気中に浮遊し、直径が50μm未満の分布の粒子サイズを有するものであった。吸入後、冷却感が感じられたが、鼻孔の内部よりも、上唇から、より多く感じられた。鼻前庭からの、かかる冷却及び鎮静の感覚は、Tocrisのアイシリン投与後、短期間のものであり、30分より短い期間、続いた。 季節的なアレルギー性鼻炎に苦しむ男性被験者は、重度の鼻の充血及び閉塞を有し、これは、2錠の抗ヒスタミン Allegra(商標) 剤の服用でも、緩和されることは無かった。この被験者は、常習的にいびきをかく人で、早朝の時間に、突然目覚めるという症状の発現を有した。この人は、粉末形状のアイシリンを、20mg(10mgずつの、2回量の投与)吸入した。このアイシリンの粉末は、手の甲に置かれ、勢いよく鼻から吸入された。臭いは感知されなかった。薬剤の投与の後、15分以内に、鼻腔内において、自由且つ閉塞されない気流の感覚が生まれ、この効果は、約8時間よりも長い間続いた。この個人は、5日後に、同じ経験を繰り返した。彼の妻は、彼が、アイシリンの投与後、3日間の間、就寝中にいびきをかくこと、及び、鼻を鳴らすことをやめたことに気付いた。更に、この期間中の平穏な眠りにより、被験者は、元気を取り戻し爽快な気分となった。前記のように、この人は、窒息、及び、彼の妻を起すこともあるゴロゴロいう音を出す感覚によって、早朝の時間に突然目覚めるという症状の発現を有していた。これらの症状の発現は、アイシリンの吸入後、3日間の間は、起きなかった。 ある男性被験者は、彼の娘の犬が来て、彼のベッドに居座って眠る時に悪化する、通年性の鼻炎に苦しんでいた。この人の鼻の粘膜は、詰まって、刺激があり、ひりひりする感覚を感じ、息ができないように感じるため、眠りに付くことが困難であった。口呼吸は心地よく無く、この人は、眠るために、ベンゾジアゼピン鎮静剤を服用し始めた。しかし、鎮静作用と、休まらない眠りが、翌日、被験者に疲労をもたらし、仕事において、集中力を維持することができなかった。その後、この人は、小さなプラスチックのチューブに入れられた5mgの一回量のアイシリンが与えられ、就寝前に、この粉末を吸入するように指導された。彼は、アイシリンの吸入後の鼻の中の気流は、スムースで涼しく、彼が感じる鼻が詰まった感じが、著しく軽減されたことを報告した。彼は、夜に良い睡眠を得、次の日爽やかに感じた。 プロピレングリコールに溶解された10%のアイシリンを用いてアイシリン溶液を調製し、2%のアイシリン濃度とするため、それを無菌の水と1対5の割合で混合した。この溶液は、デジタルプランジャー、及び、ノズル弁を有する、空の10mlの瓶(Migra Spray(商標)ボトル)に入れられた。この、アイシリンの噴霧器のスプレーは、喉の奥に数回適用されると、特徴的な冷却の感覚を引き起こした。 プロピレングリコールに溶解された10%のアイシリンを用いてアイシリン溶液を調製し、2%のアイシリン濃度とするため、それをAyr(商標) Saline Nasal Mistと1対5の割合で混合し、アイシリン溶液を調製せしめた。Ayr(商標)Saline Nasal Mistは、生理的食塩(塩化ナトリウム)水であり、リン酸ナトリウムと共に緩衝化されており、二ナトリウムEDTA及び塩化ベンザルコニウムを用いて保存せしめられる。Ayr(商標)Saline Nasal Mistのボトルは、50mlの容量を有し、鼻用の霧を投与するためのノズルを有している。この、アイシリン−塩水スプレーの霧は、季節的なアレルギー性鼻炎による鼻の充血を有する被験者の鼻腔内に適用せしめられた。冷却の感覚が経験され、鼻の閉塞感は、緩和された。 男性被験者が、綿棒を用いて、10mgのアイシリンを、フルーツ風味のチューインガムの2つの薄片の間に塗り、そのガムを、10分間、噛んだ。口又は喉の中で、冷却感は感知されなかった。しかし、10分後、一般的な冷却の感覚が、胸骨後、及び、上腹部にて感じられた。これらの冷却効果は、約1時間続いた。これとは異なり、メントールを添加したガム、又は、メントールを添加したキャンデーをかんだ場合は、最初にきつい味がした後、口及び喉で、強力な冷却感を生み出し、それは約10分しか続かなかった。その翌日、この被験者は、Lサイズのペパロニソーセージピザをコカコーラで流し込んだものからなる短時間の食事を取った。この被験者は、飽満、鼓腸、及び、上腹部の重度の不快感の感覚を報告した。メントールを添加したキャンデー(Mentos)を5粒消費したが、これらの症状には作用しなかった。しかし、アイシリンのチューインガムを用いた場合には、全ての症状が軽減された。 逆流性食道炎(GERD)の診断基準を満たす女性被験者は、多量の食事を摂取した場合に、夜中に、上腹部の重度の不快感、おくび、口の中の酸味、及び吐き気や痛みの感覚を伴って目覚めることがあった。Tagamet(商標)の 摂取は、ある程度の痛みの緩和を与えたが、その他の症状は、持続した。この被験者に、別々の2日間の夕方に、アイシリン−チューインガムの薄片が与えられ、その用法について指導された。彼女は、別々の2日間の夕方の、アイシリン−チューインガムの使用により、不快感が軽減され、無事に眠りに着くことができた、と報告した。 13年前に、十二指腸の平滑筋肉腫のためのホイップル手術を受けた60歳の女性被験者は、食後、頻繁に、Phazyme(商標)(シメチコン)によっては緩和されない鼓腸及び腹部の痙攣を経験していた。このような症状の発現中に、彼女は、攪拌して大麦湯に懸濁し混合せしめた10mgのアイシリンの粉末を含有する、コップに半分の大麦湯を飲んだ。彼女は、25分以内に腹部の痙攣の感覚が減り気分がずっと良くなった、と報告した。 体を刺激した(field-stimulated)モルモットの回腸は、腸の平滑筋の収縮について研究するための、標準的な薬理学的生物検定法である。1匹のモルモットに、ペントバルビタールナトリウムを用いて麻酔をかけ、回腸の一部を切り取り、筋肉に電極を通した。この筋肉を、酸素で処理した器官浴槽に入れ、刺激及び記録のため、筋肉片を、Grass実験装置に接続した。トランスデューサー−ポリグラフを用いて、筋肉の、リズミカルな収縮が記録された。一般的に、30分間の安定期間の後、一定の振幅及び振幅数の、筋肉の収縮が、観察された。この浴槽の混合物へ、プロピレングリコールに溶解せしめたアイシリンを添加した場合に、収縮力がその投与量に依存して減少する。溶液であるプロピレングリコールは、単独では、目覚しい収縮は起さない。 皮膚若しくは粘膜の掻痒症、又は皮膚若しくは粘膜の炎症による痛み或いは不快感の治療に用いるための組成物にして、 下記式1[但し、R1は、ヒドロキシ、クロロ、フルオロ、炭素原子数が2乃至4のアルキル、アセトキシ、又はトリフルオロメチルであり、R2は、ニトロ、クロロ、フルオロ、炭素原子数が2乃至4のアルキル、又はトリフルオロメチルである]にて表わされるコールド・レセプター作用薬を含む局所的治療用組成物。 前記コールド・レセプター作用薬が、1−[2−ヒドロキシフェニル]−4−[3−ニトロフェニル]−1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−2−オンである請求項1に記載の組成物。 前記局所的治療用組成物が、皮膚若しくは粘膜の掻痒症、又は皮膚若しくは粘膜の炎症による痛み或いは不快感の治療に用いられ、且つ該痛み或いは不快感が、アレルギー、皮膚炎、鼻炎、副鼻腔炎、粘膜炎、痔疾、肛門裂、皮膚の剥離、口唇炎、顔面ヘルペス、又は呼吸閉塞に関連したものである請求項1又は請求項2に記載の組成物。 前記治療が、皮膚若しくは粘膜への治療用組成物の適用を含む請求項1、請求項2又は請求項3に記載の組成物。 粉末形態にある請求項1、請求項2又は請求項3に記載の組成物。 前記粉末が、吸入用である請求項5に記載の組成物。 鼻の粘膜の刺激、充血及び不快感の治療に用いられる請求項6に記載の組成物。 前記治療が、0.5mg乃至10mgのコールド・レセプター作用薬の吸入を含む請求項7に記載の組成物。 前記コールド・レセプター作用薬が、皮膚科学的に許容し得る媒体中に分散せしめられている請求項4に記載の組成物。 薬剤を含有している請求項1乃至請求項9の何れか一つに記載の組成物。 前記コールド・レセプター作用薬の量が、0.005wt.%乃至5wt.%であり、且つ、界面活性剤及びステロイドのうちの一つ又はそれ以上が、更に含まれている請求項2に記載の組成物。 請求項5乃至請求項7の何れか一つに記載の組成物と、該組成物の少なくとも一回量を上部気道に届けるように調整されたディスペンサーとを含み、且つ、該組成物は、一回量あたり、少なくとも0.1mgの量にてディスペンサー内に存在するようになっている、気道に組成物を届けるための装置。 前記ディスペンサーが、粒子又は液滴として前記治療に効果的な組成物を届けるよう調整されている請求項12に記載の装置。 前記ディスペンサーが、粉末として前記治療に効果的な組成物を届けるよう調整されている請求項12に記載の装置。 前記粉末が、吸入可能であり、且つ鼻前庭に貯留せしめられるように調整された請求項14に記載の装置。


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