生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_新規な微生物BS−UE5株、ポリウレタンの微生物分解方法
出願番号:2004379349
年次:2010
IPC分類:C12N 1/16,C08J 11/10,C12R 1/645


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石野 裕一 JP 4603878 特許公報(B2) 20101008 2004379349 20041228 新規な微生物BS−UE5株、ポリウレタンの微生物分解方法 株式会社ブリヂストン 000005278 杉村 興作 100072051 徳永 博 100101096 岩佐 義幸 100086645 藤谷 史朗 100107227 来間 清志 100114292 冨田 和幸 100119530 石野 裕一 20101222 C12N 1/16 20060101AFI20101202BHJP C08J 11/10 20060101ALI20101202BHJP C12R 1/645 20060101ALN20101202BHJP JPC12N1/16 GC08J11/10C12N1/16 GC12R1:645 C12N 1/00−7/08 CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) CiNii Science Direct 4 FERM P-20243 2006180811 20060713 6 20071127 六笠 紀子 本発明は、ポリウレタンを分解する作用を有する、シュードザイマ属(Pseudozyma sp.)に属する酵母であるBS−UE5株(FERM P−20243)に関する。更に本発明は、ポリウレタンを、シュードザイマ属(Pseudozyma sp.)に属する酵母であるBS−UE5株(FERM P−20243)で微生物分解する方法に関する。従来技術 ポリウレタンは分子中にウレタン結合(−NHCOO−)を有する高分子化合物の総称であり、ポリオールとイソシアネートの重付加反応により合成される。ウレタンフォームはポリウレタンと二酸化炭素から成る多泡性であり、冷蔵庫、自動車、建材などに断熱材やクッション材などとして広く使用されている。しかしウレタンフォームは、三次元の網目構造を持つ熱硬化性樹脂であるため、熱可塑性樹脂のように加熱して再利用できず、焼却や埋め立てによる処理しか方法がないのが現状である。 一方、ウレタンフォームのリサイクルは従来から研究されており、現在では、加水分解法、グリコール分解法やアミノ分解法などによって、再架橋可能な原料に戻す方式でのリサイクルが技術的には可能であることがわかっている。しかし、ウレタンフォームの多くは断熱材やクッション材として使用されるため、比重が軽く、熱伝導率も極めて小さい。そのため、ウレタンフォームの分解効率は悪くて経済的採算が取れず、実用化されていない。よって、コンポストのように低温でウレタンフォームを分解する省エネルギー型の方法が求められている。 このような省エネルギー型の方法として、すなわち低温でウレタンフォームを分解する方法として、微生物による分解処理が考えられる。微生物分解は低温での処理なので、エネルギー消費は最も少ない処理法といえる。また、ウレタンフォームを微生物分解した後、分解物を再利用することも考えられる。例えば、分解されたポリオールやアミンをイソシアネートと反応させ再利用することも考えられる。ウレタンフォームの微生物分解については、従来様々な微生物がスクリーニングされている。しかし、ウレタンフォームの微生物分解は検討されているものの、その分解効率が低いために、いまだに実用化されてはいない。金原ら 自動車技術会論文集 29 (4) 135, 1998 そこで、ポリウレタンの微生物分解を実用化するのに利用することができる、新規な微生物を得ることが本発明の課題である。 上記の問題を解決するために発明者らはポリウレタン分解菌について鋭意換討した結果、ウレタンフォームを高い分解率で分解できる微生物であるBS−UE5株を見いだし、本発明を完成させるに至った。BS−UE5株によればウレタンフォームを分解することが可能であるので、本発明により上記課題を解決することが可能である。本発明はポリウレタンフォームの廃棄及び再利用に有用である。 本発明は次(1)〜(4)からなる。(1)ポリウレタンを分解する作用を有する、シュードザイマ属に属する酵母であるBS−UE5株(FERM P−20243)。(2)ポリウレタンをシュードザイマ属に属する酵母であるBS−UE5株(FERM P−20243)で微生物分解する方法。(3)前記ポリウレタンがエステル系のポリウレタンであることを特徴とする(2)に記載の方法。(4)前記ポリウレタンがポリウレタンフォームであることを特徴とする(2)又は(3)に記載の方法。 本発明により、新規な微生物であるシュードザイマ属の酵母であるBS−UE5株(FERM P−20243)が与えられた。酵母BS−UE5株はポリウレタンを分解する活性を有する。よって本発明により、ポリウレタンを分解する新たな方法が与えられた。 以下、発明の実頑の形態を具体的に説明する。 本発明は新規微生物であるシュードザイマ属の酵母BS−UE5株である。また本発明はポリウレタンを上記微生物で分解する方法である。従来ポリウレタンの微生物による分解は知られており、カビや細菌の例は報告されているが、酵母による分解の報告は知られていなかった。また、従来の微生物分解ではポリウレタン以外に酵母抽出物などの炭素源を加えた例が多く、ポリウレタンを唯一の炭素源とする微生物分解の例は少ない。 本発明者は多くの土壌からポリウレタンの分解菌を鋭意スクリーニングした結果、非常に高効率でポリウレタンを分解できるBS−UE5株を見出した。BS−UE5株は独立行政法人 産美技術捻合研究所 特許生物寄託センターにFERM P−20243株として2004年10月8日に寄託されている。本発明においてBS−UE5株は、無機塩の液体培養地中でポリウレタンを資化しなから増殖する。無機塩としては窒素、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどを含むものがあげられる。 菌株の同定はBS−UE5株が酵母のため、28SrDNA D1/D2 領域の遺伝子の比較に基づいて行った。以下方法の詳細に述べる。菌株をPotato Dextrose Agar(PDA)培地(Becton Dickinson MD,USA) に植菌し、25℃で7日間培養し、Fast prep FP120(Qbiogene Illkirch Cedex,France) Fast DNA kit(Qbiogene Illkirch Cedex,France)を用いてゲノム分離を行った。このゲノムをテンプレートとして、282 rDNAフラグメントのPCR増幅を行った。PCR増幅は下記のNL1及びNL4(O’Donnell,1993)を用いて行った。PCRプライマー 方向性 塩基配列NLI Forward 5' -GCATATCAATAAGCGGAGGAAAAG-3'NL4 Reverse 5’ -GGTCCGTGTTTCAAGACGG-3’ 得られたDNAフラグメントをQIAquick PCR Purification KiL(QIAGEN Hilden,Germany)を用いて精製し、サイクルシーケンス反応に供した。サイクルシーケンス反応はABI PRISM Big Dye Terminator Kit(Applied Biosystems,CA,USA)と下記のNL1、NL2、NL3、NL4(O’Donnell,1993)を用いておこなった。シーケンスプライマー 方向性 塩基配列NL1 Forward 5'−GCATATCAATAAGCGGAGGAAAAG-3'NL2 Forward 5'−CTCTCTTTTCAAAGTTCTTTTCATCT-3'NL3 Reverse 5'−AGATGAAAAGAACTTTGAAAAGAGAG-3'NL4 Reverse 5’−GGTCCGTGTTTCAAGACGG-3’ 反応生成物 DyeEx2.0 Spin Kit(QIAGEN,Hilden,Germany)を用いて精製し、塩基配列の解読を行い、Auto Asseembler(Applied Biosystems,CA,USA)を用いて各シーケンス断片を結合し、目的塩基配列を得た。類似の塩基配列を国際DNAデータベースから解析するため、BLASTによる相同性検索を行い、BS−UE5株をPseudozyma sp.と同定した。 ポリウレタンとしてエステル系及びエーテル系のものがあるが、本発明の微生物分解法ではエステル系のポリウレタンの分解効率が優れている。エステル系のポリウレタンの具体例としては、TDI、MDI、NDI、HDI、XDI、H6XDI、IPDI、H12MDI、TMXDI、DDI、TMDI、NBDIなどのイソシアネートとポリジエチレンアジベートなどのアジペート系ポリオールの付加重合物が例示される。しかし、本発明の対象となるエステル系のポリウレタンはその範囲内に限定されるものではない。 実用上、本発明で分解の対象となるポリウレタンの多くはポリウレタンフォームである。本発明で分解の対象となるポリウレタンフォームの製品中には、発泡剤、整泡列などの通常に使用される配合剤が配合されていてもよい。しかし配合剤の中にBS−UE5株の増殖を阻害する配合剤が配合されている場合は、ポリウレタンフォームを溶剤抽出し、これを除去する必要がある。以下実施例で本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。 シリコーン栓付ガラス容器に準備した表1の組成の培地に、5mm角に切ったTDIとポリジエチレンアジペートの付加重合物からなるエステル系ポリウレタンニフォーム片10g/Lを入れ、オートクレーブ中で90℃の滅菌処理をした。これに同様のポリウレタンフォームを唯一の炭素源として前培養したBS−UE5株の薗液を加え、30日間30℃、50rpmで振とう培養し、121℃でオートクレーブ滅菌し、ポリウレタンフォーム片を取り出した。取り出したポリウレタンフォーム片をアセトンで数回洗浄後、純水で数回洗浄し、十分に乾燥したことを確認後、重量測定を行った。(比較例) 実施例と同様の実験をBS−UE5株の代わりに土壌から分離した細菌を用いて行った。 その結果、実施例のBS−UE5株では重量減少は21%であったが、比較例では重量減少は0%であった。よって表2のように、実施例のBS−UE5株では比較例より顕著な重量減少が観察され、BS−UE5株がウレタンフォームを唯一の炭素源として分解することか確認された。 本発明の新規の微生物であるシュードザイマ属に属する酵母BS−UE5株(FERM P−20243)は、ポリウレタンを分解する作用を有する。よって本発明によりポリウレタンを微生物分解する新たな手段が提供された。よって本発明の微生物を用いた微生物分解方法は、ポリウレタンの廃棄及び再利用に有用である。 ポリウレタンを分解する作用を有する、シュードザイマ属(Pseudozyma sp.)に属する酵母であるBS−UE5株(FERM P−20243)。 ポリウレタンをシュードザイマ属(Pseudozyma sp.)に属する酵母であるBS−UE5株(FERM P−20243)で微生物分解する方法。 前記ポリウレタンがエステル系のポリウレタンであることを特徴とする請求項2に記載の方法。 前記ポリウレタンがポリウレタンフォームであることを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。配列表


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