タイトル: | 特許公報(B2)_難水溶性薬剤用可溶化剤組成物 |
出願番号: | 2004357147 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | A61K 47/34,A61K 9/08,A61K 47/14 |
大川 祐介 坂口 浩二 JP 4734910 特許公報(B2) 20110513 2004357147 20041209 難水溶性薬剤用可溶化剤組成物 日油株式会社 000004341 大川 祐介 坂口 浩二 20110727 A61K 47/34 20060101AFI20110707BHJP A61K 9/08 20060101ALI20110707BHJP A61K 47/14 20060101ALI20110707BHJP JPA61K47/34A61K9/08A61K47/14 A61K9/00−9/72,47/00−47/48, A61P1/00−43/00 国際公開第01/001960(WO,A1) 特開昭52−018811(JP,A) 2 2006160696 20060622 10 20071206 澤田 浩平 本発明は、難水溶性薬剤を可溶化するための組成物およびそれを用いた可溶化液の調製法に関するものである。 難水溶性の薬剤は、注射剤として用いると、多量の可溶化剤、溶解補助剤を必要とするため粘稠な溶液となり、希薄溶液にすると薬剤析出の要因となる。また、錠剤、カプセル剤等の経口用製剤として用いると、腸管吸収性の低さからバイオアベイラビリティーが低くなる、等の問題がある。また、新薬開発においても、難水溶性である場合極めて深刻な問題になることが多い。特に、抗悪性腫瘍薬、免疫抑制剤、抗生物質、抗真菌剤、抗高脂血症剤、抗炎症剤等の新薬候補物質はそのほとんどが難水溶性であり、十分な薬理活性を有しつつも、可溶化できないため、毒性試験等各種の試験を行うことができず、開発途中でペンディングあるいはドロップアウトしてしまうことも少なくない。 従来から、難水溶性薬剤の医薬品への適用には、親水性界面活性剤やシクロデキストリンのような包接化合物による可溶化、植物油とレシチンを用いた乳化といったような方法が用いられてきた。しかし、前者は可溶化剤を多量に用いるため粘性が高くなること、また可溶化状態の安定性が低いこと等の理由から注射剤等の液剤としての使用性は良好とは言えない。また、後者の乳化物は熱力学的に不安定であり、しばしば相分離等が認められる点など、種々の欠点を抱えていた。 そこで、最近では、熱力学的に安定なミクロエマルジョンを用いた可溶化が検討されてきた。 前述の各種薬剤は注射薬の形態で用いられるものも多く、難水溶性薬剤を可溶化することはもちろん、可溶化状態の安定性、さらには主薬に対する酸化安定性も重要な課題とされてきた。 例えば、特許文献1では、難水溶性の三環式化合物に対し、グリセリンモノ脂肪酸エステルおよび/またはプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル並びに界面活性剤を用いてミクロエマルションまたはその濃縮物を調製している。具体例として、トウモロコシ油、モノオレイン酸グリセリル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ポリソルベート80を用いて三環式化合物を含有するミクロエマルションを調製している。 しかし、これらの特許文献に記載の組成物による可溶化効果は、ある特定の薬剤に対してのみのものであり、その他の難水溶性薬剤に対する可溶化力は十分とは言えない。 また、特許文献2では、オメガ−3脂肪酸油を用いてミクロエマルションまたはその濃縮物を調製している。具体例として、オメガ−3脂肪酸エチルエステル、ポリソルベート80、PEG-8 カプリル酸/カプリン酸グリセリド(商品名Labrasol)を用いてミクロエマルション前濃縮物およびミクロエマルションを調製している。しかし、当該組成物は親水性界面活性剤を多く含む組成の場合は比較的ミクロエマルションを形成しやすいが、難水溶性薬剤を保持する油相が酸化劣化しやすく、過酸化物により主薬が劣化してしまうという問題がある。 さらに、特許文献3では、トリグリセリドおよび少なくとも2つの界面活性剤を含み、そのうちの少なくとも1つが親水性であるキャリアを含む組成物を用いることにより、種々の難水溶性薬剤の可溶化を行っている。具体例として、トウモロコシ油、モノオレイン酸ポリエチレングリコール400、ポリソルベート80を用いて、可溶化を行っている。 しかし、当該組成物は親水性界面活性剤の比率が高いにも関わらず、水溶液とした際に不安定な乳化状態となり短時間で分相する傾向が強く、安定性は十分とは言えない。 すなわち、主薬の活性を低下させることなく、種々の難水溶性薬剤を可溶化でき、その安定性も高い組成物はこれまでに得られていなかった。WO01/076582特表2001−525363号公報特表2003−503440号公報 本発明の可溶化剤組成物は難水溶性薬剤の構造に関係なく高い可溶化力を有し、また本組成物を用いることにより安定性の高い可溶化液を得ることができ、さらに酸化劣化による主薬の活性低下を抑えた可溶化液を得ることができる。 すなわち、本発明は以下に示されるものである。(1)(a)炭素数6〜12の脂肪酸のトリグリセリド、(b)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、(c)平均分子量150〜650のポリエチレングリコールを、(a)〜(c)3成分の合計量を100重量%としてそれぞれ、(a)2〜22重量%、(b)40〜85重量%、(c)5〜50重量%含有し、(b)/(a)≧7/3(重量比)を満たす難水溶性薬剤用可溶化剤組成物と難水溶性薬剤の有機溶媒溶液を混合した後、有機溶媒を除去し、水を加える難水溶性薬剤水溶液の調製法。(2)(b)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが、炭素数16〜18の脂肪酸からなるエステルであり、オキシエチレン基の平均付加モル数が20である前記の難水溶性薬剤水溶液の調製法。 本発明の可溶化剤組成物は、種々の難水溶性薬剤に対し高い可溶化力を有し、その可溶化液の安定性も高く、さらに主薬の酸化劣化による活性低下を抑えた組成物を得ることができる。 以下、本発明につき更に詳しく説明する。本発明において、難水溶性薬剤とは、20℃のイオン交換水への溶解度が10mg/mL以下のものである。その中でも特に1mg/mL以下、さらには0.1mg/mL以下の薬剤について本可溶化剤組成物を用いると効果が発揮され好ましい。 難水溶性薬剤としては、例えば、アセメタシン、インドメタシン、ジフルニサル、イブプロフェン、ケトプロフェン、メフェナム酸、ナプロキセン、ピロキシカム、アスピリン、等の抗炎症および/または解熱・鎮痛剤(NSAIDs)、フルオロメトロン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、ベタメタゾン、等のステロイド系抗炎症剤、酢酸メドロキシプロゲステロン、メトトレキサート、パクリタキセル、メルカプトプリン、マイトマイシンC、クエン酸タモキシフェン、シスプラチン、ドセタキセル水和物、等の抗悪性腫瘍薬、シクロスポリンA、タクロリムス水和物、等の免疫抑制剤、エノキサシン、ノルフロキサシン、等の抗生物質、イトラコナゾール、グリセオフルビン、等の抗真菌剤、アシクロビル等の抗ウイルス剤、クロフィブラート、プロブコール、シンバスタチン、等の高脂血症治療薬、ジピリダモール、ニフェジピン、ピンドロール、塩酸プラゾシン、レセルピン、塩酸ベラパミル、アテノロール、等の高血圧および/または狭心症治療薬、ジギトキシン、ジゴキシン、等の心疾患治療薬、ジアゼパム、ニトラゼパム、ハロペリドール、ドロペリドール、スルピリド、トリアゾラム、等の抗精神病または催眠・鎮静薬、フェニトイン、フェノバルビタール、等の抗てんかん薬、フマル酸クレマスチン、テルフェナジン、塩酸シプロヘプタジン、等の抗ヒスタミン剤、シメチジン、ファモチジン、オメプラゾール、ランソプラゾール、オキセサゼイン、スクラルファート、ゲファルナート、レバミピド、メトクロプラミド、等の胃・十二指腸潰瘍治療薬、パルミチン酸レチノール、酪酸リボフラビン、リン酸ピリドキサール、メコバラミン、葉酸、酢酸トコフェロール、フィトナジオン、メナテトレノン、等のビタミン類、フロセミド、インダパミド、スピロノラクトン、等の利尿剤、テオフィリン、トラニラスト、等の気管支喘息治療薬、塩酸ブロムヘキシン等の鎮咳・去痰薬、酢酸クロルマジノン、ダナゾール、メチルプレドニゾロン、等のホルモン作用薬、ベンズブロマロン、アロプリノール、等の痛風治療薬、トルブタミド等の糖尿病治療薬、レボドパ等のパーキンソン病治療薬、等が挙げられる。 本発明における成分(a)は、炭素数6〜12の脂肪酸のトリグリセリドである。これらのものの具体的な化合物としては、グリセリルトリカプロエート、グリセリルトリカプリレート、グリセリルトリカプレート、グリセリルトリ(2−エチルヘキサノエート)、グリセリルトリウンデカノエート、グリセリルトリラウレート等が挙げられる。トリグリセリドのアシル基は1種または2種以上の混合物であっても良い。好ましくは、過酸化物価が1.0meq/kg以下である、炭素数8〜10の脂肪酸のトリグリセリドが挙げられる。 本発明における成分(b)はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルであり、具体的な化合物としては、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20)、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノラウレート(ポリソルベート21)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート(ポリソルベート40)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(ポリソルベート60)、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノステアレート(ポリソルベート61)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート(ポリソルベート65)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80)、ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレエート(ポリソルベート81)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート(ポリソルベート85)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノイソステアレート(ポリソルベート120)等が挙げられるが、好ましくは脂肪酸炭素数が16〜18の脂肪酸からなるエステルであり、エチレンオキシドの平均付加モル数が20であるポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80が挙げられ、さらに好ましくはポリソルベート80が挙げられる。 本発明における成分(c)は、平均分子量150〜650のポリエチレングリコールである。 成分(c)の具体的な化合物としては、マクロゴール200(平均分子量200のポリエチレングリコール)、マクロゴール300(平均分子量300のポリエチレングリコール)、マクロゴール400(平均分子量400のポリエチレングリコール)、マクロゴール600(平均分子量600のポリエチレングリコール)、等が挙げられるが、好ましくはエチレングリコールおよびジエチレングリコールを併せた含有量が、下記の数式を満足するマクロゴール200、300、400、600が挙げられ、さらに好ましくは、エチレングリコールおよびジエチレングリコールを併せた含有量が200ppm以下のマクロゴール200、エチレングリコールおよびジエチレングリコールを併せた含有量が150ppm以下のマクロゴール300、エチレングリコールおよびジエチレングリコールを併せた含有量が100ppm以下のマクロゴール400が挙げられる。市販されている商品としては、日本油脂(株)製、SUNBRIGHT DKH−02HB、SUNBRIGHT DKH−03HB、SUNBRIGHT DKH−04HBが挙げられる。(c)成分として、エチレングリコールおよびジエチレングリコールの含量が低いポリエチレングリコールを用いることにより、可溶化力、安定性に加え、安全性がより高くなり、例えば静脈注射等の注射剤としても最適な製剤となる。 式中、Xはポリエチレングリコールの平均分子量である。 本発明の組成物は(a)炭素数6〜12の脂肪酸のトリグリセリド、(b)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、(c)平均分子量150〜650のポリエチレングリコールを、(a)〜(c)3成分の合計量を100重量%としてそれぞれ、(a)2〜22重量%、(b)40〜85重量%、(c)5〜50重量%、好ましくは(a)3〜21重量%、(b)45〜80重量%、(c)8〜45重量%、さらに好ましくは(a)5〜20重量%、(b)50〜75重量%、(c)10〜40重量%含有し、、(b)/(a)≧7/3(重量比)を満たす難水溶性薬剤用可溶化剤組成物である。 本発明による可溶化剤組成物の組成について、(b)成分および(c)成分が本発明の範囲内であっても、(a)成分を含有しないか、あるいは2重量%より低い場合は、薬剤を保持するミセル中心核(油相)が小さいため、可溶化量が小さくなるか、可溶化できても短期間で薬剤が析出する場合が多い。逆に(a)成分が22重量%より高い場合、(a)成分に対する(b)成分の比率が小さくなるため形成されるミセルの粒子径が大きくなり、熱力学的に不安定な乳化状態となる。 また、(a)成分および(c)成分が本発明の範囲内であっても、(b)成分が40重量%より低くなると可溶化剤が相対的に不足し、85重量%より高いと親水性界面活性剤単体での可溶化とほぼ同様になるので、可溶化に必要な界面活性剤の絶対量が増え、可溶化液の粘性が高くなるため、注射剤等の液剤としての使用性が悪くなる。 本発明の可溶化剤組成物は、上記のような重量比で(a)、(b)、(c)成分を含有すればよく、この重量比を満足すれば本発明の効果を妨げない範囲で他の成分を含んでも良い。本発明の可溶化剤組成物は(a)、(b)、(c)成分のみからなる場合が好ましい。 また、(a)油性成分として炭素数6〜12の脂肪酸のトリグリセリドを用いることにより、主薬の難水溶性薬剤の活性低下の原因となる過酸化物を低減させることができる。すなわち、難水溶性薬剤を含有した状態での可溶化剤組成物について長期保存が可能となる。 また、本発明による可溶化剤組成物を用いることにより、安定性の高い可溶化液を得ることができる。最も効率の良い可溶化液調製法としては、(i)当該可溶化剤組成物に(ii)難水溶性薬剤の有機溶媒溶解液を(i):(ii)=2:1〜1:10(w/w)の割合で加え、十分に混合して均一にした後、エバポレート等の方法で有機溶媒を除去し、残存した(iii)薬剤−可溶化剤組成物複合体に対し、(iv)水を、(iii):(iv)=1:3〜1:20(w/w)加えることにより可溶化する方法が挙げられる。調製に用いる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、アセトン、クロロホルム、ジクロロメタン、等の揮発性有機溶媒が好ましく、溶解に用いる水としては注射用水が好ましい。また、得られた可溶化液は必要に応じてさらに水で希釈してもよい。また、エバポレートの温度、時間は薬剤の物性に応じて設定してよい。 また、本発明に記載の組成物に適した難水溶性薬剤の濃度範囲は、最終濃度として、各薬剤の20℃のイオン交換水への溶解度の5〜10000倍、好ましくは10〜5000倍、さらに好ましくは20〜2000倍である。 以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明する。 表1に実施例および比較例に記載の組成物の製造に使用した化合物の製品名および化学名を示す。※1 SUNBRIGHT DKH−04HB(日本油脂(株)製)のエチレングリコールおよびジエチレングリコールを併せた含有量:13[ppm]※2 Labrasolはヨーロッパ薬局方収載のCaprylocaproyl macrogolglyceridesの中の1種であるcaprylocaproyl macrogol-8 glyceride の商品名。 表2に実施例および比較例に記載の難水溶性薬剤の名称と略号を示す。 以下に実施例に関して、可溶化剤組成物の組成を表3に示す。〔実施例1〜4〕 実施例1の組成物は、成分(a)〜(c)を正確に量り取り、50℃に加温しながら、十分に攪拌、混合することにより調製した。実施例2〜4の組成物も同様の方法で調製した。また、油性成分については、基準油脂試験法2.4.12-86に従い、過酸化物価を測定した。 以下に比較例に関して、製剤の組成を表4に示す。〔比較例1〜7〕 比較例1の組成物は、各組成成分を正確に量り取り、約50℃に加温しながら、十分に攪拌、混合することにより調製した。比較例2〜7の組成物も同様の方法で調製した。また、各油性成分について、基準油脂試験法2.4.12-86に従い、過酸化物価を測定した。 実施例1〜4の組成物に関して、難水溶性薬剤の可溶化液を調製し、可溶化能および可溶化液の安定性について評価した結果を表6に示す。最終可溶化液の薬物濃度については、2.5mg/mL IND、7.5mg/mL CLF、2.5mg/mL NFD、5.0mg/mL PRB、1.0mg/mL PTX、とした。これらは、各薬物の20℃のイオン交換水への溶解度に対し、5〜1000倍以上の濃度であり、一般的に静脈注射としての臨床での使用濃度を十分に上回るものである。<調製法> エタノール、アセトニトリル等の揮発性有機溶媒を用いて、10mg/mL IND、30mg/mL CLF、10mg/mL NFD、20mg/mL PRB、4mg/mL PTX溶液を調製した。実施例1の組成物100mgに対し、各薬液250μLを加え十分に混合し、60℃、1時間、減圧乾固を行った。得られた組成物に注射用水900μLを攪拌しながら徐々に加え均一にすることにより可溶化液を得た。実施例2〜3の組成物も同様の方法で調製した。<評価法> 外観評価により各サンプルの可溶化度をスコア化した。各組成物毎に、調製直後および室温7日後の可溶化スコアを平均し、可溶化度の変化率を算出した。 比較例1〜7の組成物に関して、実施例と同様に可溶化度の評価を行った。結果を表7に示す。 また、実施例1および比較例1について、調製直後および40℃、1週間保存後の過酸化物価(POV;meq/kg)を測定し、製剤の酸化安定性の比較を行った。結果を表8に示す。<試験法> 調製後の実施例1の組成物3gを用いて、基準油脂試験法2.4.12-86に従い、過酸化物価を測定した。また、同組成物3.5gを4ccのガラス製容器に量り取り、密閉後、40℃の恒温槽に保存し、1週間後、試料3gを用いて同様に過酸化物価を測定した。比較例1の組成物についても同様に試験を行った。 これらの結果から明らかなように、実施例に記載の組成物は化学構造の全く異なる5種類の難水溶性薬剤全てを可溶化でき、その可溶化液は室温保存で調製7日後も全く変化は認められなかった。一方、比較例に記載の組成物は、場合によっては一時的に可溶化できるものもあったが、少なくとも室温7日後までには、大部分の溶液に対して薬剤の析出あるいは乳化相の分相が認められた。また、実施例に記載の組成物は、40℃、1週間の保存条件下においても低POVを保っていたが、比較例に記載の組成物は、初期のPOVは実施例に記載の組成物とほぼ同等であったにも関わらず、40℃、1週間の保存条件で10倍以上のPOVを示した。この結果は、実施例に記載の組成物が如何に酸化安定性が高く、薬剤の酸化劣化を防止するかを示すものである。つまり、本発明による可溶化剤組成物は、可溶化力、可溶化状態の安定性、酸化安定性の全てに優れているという特徴を有するものである。 (a)炭素数6〜12の脂肪酸のトリグリセリド、(b)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、(c)平均分子量150〜650のポリエチレングリコールを、(a)〜(c)3成分の合計量を100重量%としてそれぞれ、(a)2〜22重量%、(b)40〜85重量%、(c)5〜50重量%を含有し、(b)/(a)≧7/3(重量比)を満たす難水溶性薬剤用可溶化剤組成物と難水溶性薬剤の有機溶媒溶液を混合した後、有機溶媒を除去し、水を加える難水溶性薬剤水溶液の調製法。 (b)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが、炭素数16〜18の脂肪酸からなるエステルであり、オキシエチレン基の平均付加モル数が20である請求項1に記載の難水溶性薬剤水溶液の調製法。