生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ラミネート電池の検査方法
出願番号:2004337092
年次:2006
IPC分類:H01M 10/48,G01N 27/20


特許情報キャッシュ

安岡 和哉 松政 義高 JP 2006147393 公開特許公報(A) 20060608 2004337092 20041122 ラミネート電池の検査方法 松下電器産業株式会社 000005821 岩橋 文雄 100097445 坂口 智康 100103355 内藤 浩樹 100109667 安岡 和哉 松政 義高 H01M 10/48 20060101AFI20060512BHJP G01N 27/20 20060101ALI20060512BHJP JPH01M10/48 AG01N27/20 Z 2 1 OL 8 2G060 5H030 2G060AA09 2G060AE01 2G060AF01 2G060AF07 2G060AF15 2G060HE02 2G060KA15 5H030AA10 5H030AS20 5H030FF41 本発明は、ポリマーリチウムイオン二次電池などの金属箔を中間の一層とするラミネートフィルムを外装ケースとして用いた電池において、外装ケースの密閉性を検査する方法に関するものである。 電池の外装ケースは、溶媒とこれに溶解させた電解質からなる電解液が液状のため金属缶などの強固な材料での密封が必要であったが、電解質を固体化したものやゲル化したものなどが提案され、外装ケースとして金属缶などの強固な材料でないものも用いられるようになった。その一つとして、金属箔を中間の一層とするラミネートフィルムを電池の外装ケースとして用い、金属缶を用いた電池に比べ軽量化・薄型化が図れるようになった。 この金属箔を中間の一層とするラミネートフィルムを外装ケースとして用い、発電要素を密封する場合、発電要素より大きいラミネートフィルム2枚で発電要素を挟むように配置し、ラミネートフィルム同士が合わさる部分を加熱し、ラミネートフィルムの内層の熱溶着性樹脂同士を溶着させて封止するか、あるいは、袋状にしたラミネートフィルム中に発電要素を収納し、そのシール部を加熱してラミネートフィルムの内層の熱溶着性樹脂同士を溶着させて封止する方法が採用されている。 しかしながら、発電要素から外部端子としてリード部を引き出す場合、ラミネートフィルムの封止した部分からリード部を引き出すこととなる。ラミネートフィルムの端面は、金属箔がむき出しの状態になっており、この金属箔とリード部とが接触したり、あるいは、封止時の加熱によりラミネートフィルムの内層の熱溶着性樹脂が溶融し過ぎて金属箔がむき出しの状態になり、金属箔とリード部とが接触し、金属箔が正極リードもしくは負極リード、または正負極リードの両方と短絡するという問題があった。 また、電池を使用する機器内において、ラミネートフィルムの中間の一層を構成する金属箔が機器回路の一部と接触し、正極もしくは負極へ電気的に接続される場合もある。 一方、ラミネートフィルムの中間の一層を構成する金属箔は、発電要素とラミネートフィルムの内層の熱溶着性樹脂で発電要素と電気的に絶縁されているが、ラミネートフィルムを所定の形状に成型したりすることによって、ラミネートフィルムの内層の熱溶着性樹脂層に微小な亀裂が生じた場合、金属箔が露出し、この部分と電池内部の電解質とが接触する場合がある。金属箔と電池内部の電解質が接触した状態で、かつ、金属箔と正負極リード間との絶縁が保たれない場合、金属箔は短絡したリード側の電位となり、電池の充放電に伴って部分電池が形成され、金属箔が溶解・析出を繰り返し、金属箔が疎な状態となる現象が起きる。この現象が進展すると、金属箔に穴があき、金属箔は電池外部からの水分の浸入を防止するバリヤー層としての役目を果たすことが出来なくなり、電池外部から水分が浸入することとなり電池の耐湿性が損なわれることとなる。 したがって、ラミネートフィルムの中間の一層を構成する金属箔と発電要素の正極リードもしくは負極リードとの間で電気的絶縁状態とすることが不可欠である。このため、リード部に3層からなる樹脂層を封止材として用いたり(例えば、特許文献1参照)、ラミネートフィルム端部の金属箔が露出した部分を紫外線硬化性樹脂により絶縁被膜を形成することで絶縁性を保つ工夫が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特開2000−268789号公報特開2004−87422号公報 しかしながら、ラミネート電池のシール部を封止する工程において、リードが変形したり、内層の熱溶着性樹脂層が溶融しすぎてリードと金属箔とが短絡したり、内層の厚みが極端に薄くなり、正負極リードと金属箔との絶縁状態が保てない状態で電池を充放電し、かつ、ラミネートフィルム内層の熱溶着性樹脂に亀裂が入っていた場合、電池の充放電に連動して金属箔が溶解・析出することとなり、金属箔が部分的に疎面化し、電池外部からの水分の浸入を防ぐことができなくなり、水と電解質が反応してガスを発生させ、ラミネート電池が膨れると共に、電池として機能しなくなる。 ラミネートフィルム内層の熱溶着性樹脂に亀裂が入っているかは、金属箔と正負極リードとの絶縁検査を行っても判別できない問題である。 そこで本発明は、金属箔とリード部の電気的絶縁が損なわれ、かつ、ラミネートフィルム内層の熱溶着性樹脂に亀裂が入った場合においても、金属層の溶解・析出の進展により電池の耐湿性が損なわれないようにするために、金属箔の耐湿性を低下させる亀裂が、ラミネートフィルム内層の熱溶着性樹脂層に入っているかどうかを電気的に判定する検査方法を提供することを目的とする。 前記従来の課題を解決するために、本発明の検査方法は、正極板、電解質を保持するセパレータおよび負極板からなる極板群を金属箔を中間の一層とするラミネートフィルムからなる外装ケース内に収納すると共に、前記正極板及び負極板のそれぞれ一端が接続された正極リード及び負極リードが前記外装ケースのシール部より外部に引き出されている電池の検査方法において、前記リードと前記金属箔との間に電流を流し、電圧の変化量から外装ケースの密閉性を検査することを特徴とし、電流値としては、100kΩ〜1MΩの定抵抗による放電、もしくは1μA〜10μAの電流による放電であることが好ましい。 本発明によると、ラミネートフィルムの内層である熱溶着性樹脂層の微小な亀裂の有無を判定することにより、ラミネートフィルムの密閉性を容易に精度よく、検査する方法を提供することができる。 以下、本発明の検査方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。 図1に、本発明の一実施例であるポリマーリチウムイオン二次電池の縦断面概略図を示す。 正極集電体1に正極活物質層3を塗布して形成した正極板5と、負極集電体2に負極活物質層4を塗布して形成した負極板6とが、セパレータ11を介して絶縁した状態で配置され、これらを挟むように正極集電板7と負極集電板8が積層されている極板群12が、熱溶着性樹脂層、金属箔層、表面樹脂層の3層構造のラミネートフィルムからなる外装ケース13中に収納されており、電解質はポリマー化された状態でセパレータ11に保持されている(図示せず)。 なお、正極集電板7には正極リード9が、負極集電板8には負極リード10の一端がそれぞれ溶接されており、正極リード9と負極リード10を相対する方向になるように配置させており、外装ケース13の正極リード9を引き出したシール部及び負極リード10を引き出したもう一方のシール部は熱溶着により封止されている。 このようなラミネート電池の密閉性を検査する方法として、前記正極リードもしくは負極リードと前記金属箔との間に電流を流し、電圧の変化量から外装ケース内層の熱溶着性樹脂層の亀裂が入った部分の金属層と電解質との接触の有無を電気的に検査する。金属箔とリード部との間に流す電流の向きはどちらでもよいが、金属箔の溶解・析出が発生する向きに電流を流すのが好ましい。また、ラミネートフィルム内層の熱溶着性樹脂層に微小な亀裂により形成された部分電池に電流を流して充放電するために、外部電源を用いて強制的に電流を流してもよい。もしくは、金属箔とリード部との間に固定抵抗を接続し、電池から電流を供給するようにしてもよい。 電圧の測定は、電流を流し始めた直後、もしくは固定抵抗を接続した直後では、形成された部分電池によって定まった固有の電圧が発生しているので、一定時間後の電圧を測定するのが好ましい。金属箔が電池の発電要素と異なる材料の場合、僅かな電流であっても、急速に部分電池の電圧が低下する。また、熱溶着性樹脂の亀裂の面積が大きい場合、部分電池の容量が大きくなり、放電容量に対して電圧減衰が少なくなる。 電池系によって異なるが、発明者が検討した結果、ラミネートフィルム内層の熱溶着性樹脂層に微小な亀裂により形成された部分電池の放電反応が継続するためには、1μA〜10μAの電流による放電、もしくは、100kΩ〜1MΩの定抵抗による放電を50ms〜2000ms放電した後でも、部分電池電圧が0.8V以上あることが必要であることがわかった。熱溶着性樹脂層の亀裂により形成された部分電池において、部分電池が放電しても部分電池に電圧が残存している場合、充放電反応が継続的に起こる場合にのみ、ラミネートフィルムの中間の一層を構成する金属箔が充放電反応により疎面化し、外部からの水分が浸入する経路が形成されることとなる。逆に、部分電池の放電により電圧が残存しない場合、充放電反応は継続しないため、ラミネートフィルムの中間の一層を構成する金属箔が疎面化することは無く、外部からの水分が浸入する経路が形成されることはなくなる。その時の部分電池電圧の境界が0.8Vであることがわかった。このようにラミネートフィルム内層の熱溶着性樹脂層に微小な亀裂の有無を判定するためには、100kΩ〜1MΩの定抵抗による放電、もしくは1μA〜10μAの電流による放電を行い、50ms〜2000msの時間が経過した後の電圧を測定し、0.8V未満を良品、0.8V以上を不良品とすることが好ましい。 以下に、本発明の検査方法について詳細に説明する。ただし、本発明の検査方法はこれらの実施例のみに限定されるものではない。(実施例1) 図1において、まず、アルミニウム箔製の正極集電体1に正極活物質層3を塗布して形成した正極板5と、銅箔製の負極集電体2に負極活物質層4を塗布して形成した負極板6の間に、ポリプロピレン樹脂製の微多孔膜からなるセパレータ11を配置する。これらを挟むようにアルミニウム製の正極集電板7と銅製の負極集電板8を積層し、極板群12を構成する。アルミニウム製の正極集電板7には正極リード9が、銅製負極集電板8には負極リード10が溶接されている。また、正極板5、負極板6の活物質層塗布面はセパレータ11に対向させている。正極リード9と負極リード10が相対する方向になるように配置させ、極板群12をテープ(図示せず)で固定する。 さらに、内側からポリプロピレン(以下、PPと略す)樹脂層からなる熱溶着性樹脂層、アルミニウム箔からなる金属層、PP樹脂層からなる表面層の3層構造のラミネートフィルムで構成される外装ケース13中に、前記極板群12を収納する。 一方の正極リード9を引き出したラミネートフィルム13のシール部を正極リード9と共に熱溶着し、封止する。もう一方の負極リード10を引き出したラミネートフィルム13のシール部から、非水電解液を混合したポリマー前駆体を注入する。 封止前処理として、定電流0.7mAで8時間充電し、減圧脱気(−100MPa、10秒間)する。その後、電池を60℃で15分間加熱してポリマー前駆体をポリマーにする処理を行った。ラミネートフィルムのシール部を負極リード10と共に熱溶着し、封止する。 このようにして得られたポリマーリチウムイオン二次電池において、正極集電体1と同種の金属であるアルミニウム箔をラミネートフィルムの中間の一層を構成する金属箔として用いた場合は、アルミニウム箔と負極リード10との間を抵抗値1MΩの固定抵抗で接続し、接続後200ms経過した後の固定抵抗にかかる電圧を測定した。 負極リード10に対するアルミニウム箔の電位は、無負荷状態で1.7Vの起電力を有するが、固定抵抗を接続することで、固定抵抗にかかる電圧は急速に減衰する。200ms後の固定抵抗にかかる電圧が0.8V以上あるものを不良として判別した。固定抵抗にかかる電圧が0.8V以上あった電池を分解し、ラミネートフィルムの内層のPP樹脂製の熱溶着性樹脂層を顕微鏡で観察したところ、微小な亀裂が観察された。 また、固定抵抗接続後200ms経過した後の固定抵抗にかかる電圧が0.8V以上の不良の電池n=10(電圧の平均値1.3V)と0.8V未満の良品の電池n=10(電圧の平均値0.1V)について、ラミネートフィルムの中間の一層を構成するアルミニウム箔の穴あき加速試験として、負極リード10とラミネートフィルムの中間の一層を構成するアルミニウム箔間を短絡させ、60℃−90%RHの高温多湿槽中に放置した。2週間後高温多湿槽から電池を取り出し観察したところ、0.8V以上の電池はn=10とも1.0mm以上膨れていた。これは電池外部から水分が浸入し、非水電解液と反応し、ガスが発生したためと考えられる。0.8V未満の電池はn=10とも電池の膨れは観察されなかった。負極リード10とラミネートフィルムの中間の一層を構成するアルミニウム箔との間で絶縁が保たれなかったにもかかわらず、耐湿性が十分に確保できていることが確認できた。(実施例2) 実施例1と同様にして得られたポリマーリチウムイオン二次電池において、100kΩの固定抵抗を接続して、50ms経過後、1MΩの固定抵抗を接続して、2000ms経過後、1μAの定電流にて2000ms経過後、10μAの定電流にて50ms経過後の電圧を測定した。 その結果、いずれの場合でも、電圧が0.8V以上あった電池を分解し、ラミネートフィルムの内層のPP樹脂製の熱用着生樹脂層を顕微鏡で観察したところ、微小な亀裂が観察された。また、電圧が0.8V以上の不良電池n=10と0.8V未満の良品の電池n=10について、実施例1と同様のアルミニウム箔の穴あき加速試験を実施した結果、電圧が0.8V以上の電池はn=10とも1.0mm以上膨れていたが、0.8V未満の電池はn=10とも電池の膨れは観察されなかった。以上のことから、ラミネートフィルムの中間の一層を構成するアルミニウム箔と負極リードとの間に100kΩ〜1MΩの定抵抗による放電、もしくは1μA〜10μAの電流による放電を行い、50ms〜2000msの時間が経過した後の電圧を測定し、0.8V未満を良品、0.8V以上を不良品とすることにより、ラミネートフィルム内層の亀裂の有無を判定できることが明らかになった。 本発明の検査方法は、金属箔を中間の一層とするラミネートフィルムからなる外装ケースの密閉性を容易に検査でき、信頼性の高いラミネート電池を得ることができるので、携帯電子機器用などの小型機器の電源として有用である。本発明の一実施例であるポリマーリチウムイオン二次電池の縦断面概略図符号の説明 1 正極集電体 2 負極集電体 3 正極活物質層 4 負極活物質層 5 正極板 6 負極板 7 正極集電板 8 負極集電板 9 正極リード10 負極リード11 セパレータ12 極板群13 外装ケース正極板、電解質を保持するセパレータおよび負極板からなる極板群を金属箔を中間の一層とするラミネートフィルムからなる外装ケース内に収納すると共に、前記正極板及び負極板のそれぞれ一端が接続された正極リード及び負極リードが前記外装ケースのシール部より外部に引き出されている電池の検査方法において、前記リードと前記金属箔との間に電流を流し、電圧の変化量から外装ケースの密閉性を検査することを特徴とするラミネート電池の検査方法。前記電流値が100kΩ〜1MΩの定抵抗による放電、もしくは1μA〜10μAの電流による放電であることを特徴とする請求項1記載のラミネート電池の検査方法。 【課題】正極板、電解質を保持するセパレータおよび負極板からなる極板群を金属箔を中間の一層とするラミネートフィルムからなる外装ケース内に収納すると共に、前記正極板及び負極板のそれぞれ一端が接続された正極リード及び負極リードが前記外装ケースのシール部より外部に引き出されている電池の検査方法において、外装ケースの密閉性を検査する方法を提供する。【解決手段】前記リードと前記金属箔との間に電流を流し、電圧の変化量から外装ケースの密閉性を検査する。【選択図】図1


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特許公報(B2)_ラミネート電池の検査方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ラミネート電池の検査方法
出願番号:2004337092
年次:2011
IPC分類:H01M 10/48,G01N 27/20


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安岡 和哉 松政 義高 JP 4609046 特許公報(B2) 20101022 2004337092 20041122 ラミネート電池の検査方法 パナソニック株式会社 000005821 内藤 浩樹 100109667 永野 大介 100109151 藤井 兼太郎 100120156 安岡 和哉 松政 義高 20110112 H01M 10/48 20060101AFI20101216BHJP G01N 27/20 20060101ALI20101216BHJP JPH01M10/48 AG01N27/20 Z H01M 10/48 G01N 27/20 特開2002−324572(JP,A) 特開平03−067473(JP,A) 2 2006147393 20060608 7 20071010 長谷山 健 本発明は、ポリマーリチウムイオン二次電池などの金属箔を中間の一層とするラミネートフィルムを外装ケースとして用いた電池において、外装ケースの密閉性を検査する方法に関するものである。 電池の外装ケースは、溶媒とこれに溶解させた電解質からなる電解液が液状のため金属缶などの強固な材料での密封が必要であったが、電解質を固体化したものやゲル化したものなどが提案され、外装ケースとして金属缶などの強固な材料でないものも用いられるようになった。その一つとして、金属箔を中間の一層とするラミネートフィルムを電池の外装ケースとして用い、金属缶を用いた電池に比べ軽量化・薄型化が図れるようになった。 この金属箔を中間の一層とするラミネートフィルムを外装ケースとして用い、発電要素を密封する場合、発電要素より大きいラミネートフィルム2枚で発電要素を挟むように配置し、ラミネートフィルム同士が合わさる部分を加熱し、ラミネートフィルムの内層の熱溶着性樹脂同士を溶着させて封止するか、あるいは、袋状にしたラミネートフィルム中に発電要素を収納し、そのシール部を加熱してラミネートフィルムの内層の熱溶着性樹脂同士を溶着させて封止する方法が採用されている。 しかしながら、発電要素から外部端子としてリード部を引き出す場合、ラミネートフィルムの封止した部分からリード部を引き出すこととなる。ラミネートフィルムの端面は、金属箔がむき出しの状態になっており、この金属箔とリード部とが接触したり、あるいは、封止時の加熱によりラミネートフィルムの内層の熱溶着性樹脂が溶融し過ぎて金属箔がむき出しの状態になり、金属箔とリード部とが接触し、金属箔が正極リードもしくは負極リード、または正負極リードの両方と短絡するという問題があった。 また、電池を使用する機器内において、ラミネートフィルムの中間の一層を構成する金属箔が機器回路の一部と接触し、正極もしくは負極へ電気的に接続される場合もある。 一方、ラミネートフィルムの中間の一層を構成する金属箔は、発電要素とラミネートフィルムの内層の熱溶着性樹脂で発電要素と電気的に絶縁されているが、ラミネートフィルムを所定の形状に成型したりすることによって、ラミネートフィルムの内層の熱溶着性樹脂層に微小な亀裂が生じた場合、金属箔が露出し、この部分と電池内部の電解質とが接触する場合がある。金属箔と電池内部の電解質が接触した状態で、かつ、金属箔と正負極リード間との絶縁が保たれない場合、金属箔は短絡したリード側の電位となり、電池の充放電に伴って部分電池が形成され、金属箔が溶解・析出を繰り返し、金属箔が疎な状態となる現象が起きる。この現象が進展すると、金属箔に穴があき、金属箔は電池外部からの水分の浸入を防止するバリヤー層としての役目を果たすことが出来なくなり、電池外部から水分が浸入することとなり電池の耐湿性が損なわれることとなる。 したがって、ラミネートフィルムの中間の一層を構成する金属箔と発電要素の正極リードもしくは負極リードとの間で電気的絶縁状態とすることが不可欠である。このため、リード部に3層からなる樹脂層を封止材として用いたり(例えば、特許文献1参照)、ラミネートフィルム端部の金属箔が露出した部分を紫外線硬化性樹脂により絶縁被膜を形成することで絶縁性を保つ工夫が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特開2000−268789号公報特開2004−87422号公報 しかしながら、ラミネート電池のシール部を封止する工程において、リードが変形したり、内層の熱溶着性樹脂層が溶融しすぎてリードと金属箔とが短絡したり、内層の厚みが極端に薄くなり、正負極リードと金属箔との絶縁状態が保てない状態で電池を充放電し、かつ、ラミネートフィルム内層の熱溶着性樹脂に亀裂が入っていた場合、電池の充放電に連動して金属箔が溶解・析出することとなり、金属箔が部分的に疎面化し、電池外部からの水分の浸入を防ぐことができなくなり、水と電解質が反応してガスを発生させ、ラミネート電池が膨れると共に、電池として機能しなくなる。 ラミネートフィルム内層の熱溶着性樹脂に亀裂が入っているかは、金属箔と正負極リードとの絶縁検査を行っても判別できない問題である。 そこで本発明は、金属箔とリード部の電気的絶縁が損なわれ、かつ、ラミネートフィルム内層の熱溶着性樹脂に亀裂が入った場合においても、金属層の溶解・析出の進展により電池の耐湿性が損なわれないようにするために、金属箔の耐湿性を低下させる亀裂が、ラミネートフィルム内層の熱溶着性樹脂層に入っているかどうかを電気的に判定する検査方法を提供することを目的とする。 前記従来の課題を解決するために、本発明の検査方法は、正極板、電解質を保持するセパレータおよび負極板からなる極板群を金属箔を中間の一層とするラミネートフィルムからなる外装ケース内に収納すると共に、前記正極板及び負極板のそれぞれ一端が接続された正極リード及び負極リードが前記外装ケースのシール部より外部に引き出されている電池の検査方法において、前記ラミネートフィルム内層の熱溶着性樹脂層に亀裂が入り、前記金属箔と前記電解質が接触した状態で、かつ、前記金属箔と前記リード部の電気的絶縁が損なわれた場合に形成される部分電池の電圧を、前記リードと前記金属箔との間に電流を流して測定し、前記部分電池の電圧から前記金属箔の耐湿性を低下させる亀裂が前記ラミネートフィルム内層の熱溶着性樹脂層に入っているかどうかを検査することを特徴とし、電流値としては、100kΩ〜1MΩの定抵抗による放電、もしくは1μA〜10μAの電流による放電であることが好ましい。 本発明によると、金属箔の耐湿性を低下させる亀裂がラミネートフィルム内層の熱溶着性樹脂層に入っているかどうかを検査することができる。 以下、本発明の検査方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。 図1に、本発明の一実施例であるポリマーリチウムイオン二次電池の縦断面概略図を示す。 正極集電体1に正極活物質層3を塗布して形成した正極板5と、負極集電体2に負極活物質層4を塗布して形成した負極板6とが、セパレータ11を介して絶縁した状態で配置され、これらを挟むように正極集電板7と負極集電板8が積層されている極板群12が、熱溶着性樹脂層、金属箔層、表面樹脂層の3層構造のラミネートフィルムからなる外装ケース13中に収納されており、電解質はポリマー化された状態でセパレータ11に保持されている(図示せず)。 なお、正極集電板7には正極リード9が、負極集電板8には負極リード10の一端がそれぞれ溶接されており、正極リード9と負極リード10を相対する方向になるように配置させており、外装ケース13の正極リード9を引き出したシール部及び負極リード10を引き出したもう一方のシール部は熱溶着により封止されている。 このようなラミネート電池の密閉性を検査する方法として、前記正極リードもしくは負極リードと前記金属箔との間に電流を流し、電圧の変化量から外装ケース内層の熱溶着性樹脂層の亀裂が入った部分の金属層と電解質との接触の有無を電気的に検査する。金属箔とリード部との間に流す電流の向きはどちらでもよいが、金属箔の溶解・析出が発生する向きに電流を流すのが好ましい。また、ラミネートフィルム内層の熱溶着性樹脂層に微小な亀裂により形成された部分電池に電流を流して充放電するために、外部電源を用いて強制的に電流を流してもよい。もしくは、金属箔とリード部との間に固定抵抗を接続し、電池から電流を供給するようにしてもよい。 電圧の測定は、電流を流し始めた直後、もしくは固定抵抗を接続した直後では、形成された部分電池によって定まった固有の電圧が発生しているので、一定時間後の電圧を測定するのが好ましい。金属箔が電池の発電要素と異なる材料の場合、僅かな電流であっても、急速に部分電池の電圧が低下する。また、熱溶着性樹脂の亀裂の面積が大きい場合、部分電池の容量が大きくなり、放電容量に対して電圧減衰が少なくなる。 電池系によって異なるが、発明者が検討した結果、ラミネートフィルム内層の熱溶着性樹脂層に微小な亀裂により形成された部分電池の放電反応が継続するためには、1μA〜10μAの電流による放電、もしくは、100kΩ〜1MΩの定抵抗による放電を50ms〜2000ms放電した後でも、部分電池電圧が0.8V以上あることが必要であることがわかった。熱溶着性樹脂層の亀裂により形成された部分電池において、部分電池が放電しても部分電池に電圧が残存している場合、充放電反応が継続的に起こる場合にのみ、ラミネートフィルムの中間の一層を構成する金属箔が充放電反応により疎面化し、外部からの水分が浸入する経路が形成されることとなる。逆に、部分電池の放電により電圧が残存しない場合、充放電反応は継続しないため、ラミネートフィルムの中間の一層を構成する金属箔が疎面化することは無く、外部からの水分が浸入する経路が形成されることはなくなる。その時の部分電池電圧の境界が0.8Vであることがわかった。このようにラミネートフィルム内層の熱溶着性樹脂層に微小な亀裂の有無を判定するためには、100kΩ〜1MΩの定抵抗による放電、もしくは1μA〜10μAの電流による放電を行い、50ms〜2000msの時間が経過した後の電圧を測定し、0.8V未満を良品、0.8V以上を不良品とすることが好ましい。 以下に、本発明の検査方法について詳細に説明する。ただし、本発明の検査方法はこれらの実施例のみに限定されるものではない。(実施例1) 図1において、まず、アルミニウム箔製の正極集電体1に正極活物質層3を塗布して形成した正極板5と、銅箔製の負極集電体2に負極活物質層4を塗布して形成した負極板6の間に、ポリプロピレン樹脂製の微多孔膜からなるセパレータ11を配置する。これらを挟むようにアルミニウム製の正極集電板7と銅製の負極集電板8を積層し、極板群12を構成する。アルミニウム製の正極集電板7には正極リード9が、銅製負極集電板8には負極リード10が溶接されている。また、正極板5、負極板6の活物質層塗布面はセパレータ11に対向させている。正極リード9と負極リード10が相対する方向になるように配置させ、極板群12をテープ(図示せず)で固定する。 さらに、内側からポリプロピレン(以下、PPと略す)樹脂層からなる熱溶着性樹脂層、アルミニウム箔からなる金属層、PP樹脂層からなる表面層の3層構造のラミネートフィルムで構成される外装ケース13中に、前記極板群12を収納する。 一方の正極リード9を引き出したラミネートフィルム13のシール部を正極リード9と共に熱溶着し、封止する。もう一方の負極リード10を引き出したラミネートフィルム13のシール部から、非水電解液を混合したポリマー前駆体を注入する。 封止前処理として、定電流0.7mAで8時間充電し、減圧脱気(−100MPa、10秒間)する。その後、電池を60℃で15分間加熱してポリマー前駆体をポリマーにする処理を行った。ラミネートフィルムのシール部を負極リード10と共に熱溶着し、封止する。 このようにして得られたポリマーリチウムイオン二次電池において、正極集電体1と同種の金属であるアルミニウム箔をラミネートフィルムの中間の一層を構成する金属箔として用いた場合は、アルミニウム箔と負極リード10との間を抵抗値1MΩの固定抵抗で接続し、接続後200ms経過した後の固定抵抗にかかる電圧を測定した。 負極リード10に対するアルミニウム箔の電位は、無負荷状態で1.7Vの起電力を有するが、固定抵抗を接続することで、固定抵抗にかかる電圧は急速に減衰する。200ms後の固定抵抗にかかる電圧が0.8V以上あるものを不良として判別した。固定抵抗にかかる電圧が0.8V以上あった電池を分解し、ラミネートフィルムの内層のPP樹脂製の熱溶着性樹脂層を顕微鏡で観察したところ、微小な亀裂が観察された。 また、固定抵抗接続後200ms経過した後の固定抵抗にかかる電圧が0.8V以上の不良の電池n=10(電圧の平均値1.3V)と0.8V未満の良品の電池n=10(電圧の平均値0.1V)について、ラミネートフィルムの中間の一層を構成するアルミニウム箔の穴あき加速試験として、負極リード10とラミネートフィルムの中間の一層を構成するアルミニウム箔間を短絡させ、60℃−90%RHの高温多湿槽中に放置した。2週間後高温多湿槽から電池を取り出し観察したところ、0.8V以上の電池はn=10とも1.0mm以上膨れていた。これは電池外部から水分が浸入し、非水電解液と反応し、ガスが発生したためと考えられる。0.8V未満の電池はn=10とも電池の膨れは観察されなかった。負極リード10とラミネートフィルムの中間の一層を構成するアルミニウム箔との間で絶縁が保たれなかったにもかかわらず、耐湿性が十分に確保できていることが確認できた。(実施例2) 実施例1と同様にして得られたポリマーリチウムイオン二次電池において、100kΩの固定抵抗を接続して、50ms経過後、1MΩの固定抵抗を接続して、2000ms経過後、1μAの定電流にて2000ms経過後、10μAの定電流にて50ms経過後の電圧を測定した。 その結果、いずれの場合でも、電圧が0.8V以上あった電池を分解し、ラミネートフィルムの内層のPP樹脂製の熱用着生樹脂層を顕微鏡で観察したところ、微小な亀裂が観察された。また、電圧が0.8V以上の不良電池n=10と0.8V未満の良品の電池n=10について、実施例1と同様のアルミニウム箔の穴あき加速試験を実施した結果、電圧が0.8V以上の電池はn=10とも1.0mm以上膨れていたが、0.8V未満の電池はn=10とも電池の膨れは観察されなかった。以上のことから、ラミネートフィルムの中間の一層を構成するアルミニウム箔と負極リードとの間に100kΩ〜1MΩの定抵抗による放電、もしくは1μA〜10μAの電流による放電を行い、50ms〜2000msの時間が経過した後の電圧を測定し、0.8V未満を良品、0.8V以上を不良品とすることにより、ラミネートフィルム内層の亀裂の有無を判定できることが明らかになった。 本発明の検査方法は、金属箔を中間の一層とするラミネートフィルムからなる外装ケースの密閉性を容易に検査でき、信頼性の高いラミネート電池を得ることができるので、携帯電子機器用などの小型機器の電源として有用である。本発明の一実施例であるポリマーリチウムイオン二次電池の縦断面概略図 1 正極集電体 2 負極集電体 3 正極活物質層 4 負極活物質層 5 正極板 6 負極板 7 正極集電板 8 負極集電板 9 正極リード10 負極リード11 セパレータ12 極板群13 外装ケース正極板、電解質を保持するセパレータおよび負極板からなる極板群を、金属箔を中間の一層とするラミネートフィルムからなる外装ケース内に収納すると共に、前記正極板及び負極板のそれぞれ一端が接続された正極リード及び負極リードが前記外装ケースのシール部より外部に引き出されている電池の検査方法において、前記ラミネートフィルム内層の熱溶着性樹脂層に亀裂が入り、前記金属箔と前記電解質が接触した状態で、かつ、前記金属箔と前記リード部の電気的絶縁が損なわれた場合に形成される部分電池の電圧を、前記リードと前記金属箔との間に電流を流して測定し、前記部分電池の電圧から前記金属箔の耐湿性を低下させる亀裂が前記ラミネートフィルム内層の熱溶着性樹脂層に入っているかどうかを検査することを特徴とするラミネート電池の検査方法。前記電流値が100kΩ〜1MΩの定抵抗による放電、もしくは1μA〜10μAの電流による放電であることを特徴とする請求項1記載のラミネート電池の検査方法。


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