生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_担子菌由来の線溶系増強活性をもつ薬理組成物
出願番号:2004322600
年次:2006
IPC分類:A61K 36/07,A23L 1/30,A23L 2/38,A61P 7/02,G01N 33/86,A23L 2/52


特許情報キャッシュ

加藤 優 小原 有晶 水谷 麻衣 高井 君子 JP 2006131550 公開特許公報(A) 20060525 2004322600 20041105 担子菌由来の線溶系増強活性をもつ薬理組成物 麒麟麦酒株式会社 000253503 平木 祐輔 100091096 石井 貞次 100096183 藤田 節 100118773 加藤 優 小原 有晶 水谷 麻衣 高井 君子 A61K 36/07 20060101AFI20060421BHJP A23L 1/30 20060101ALI20060421BHJP A23L 2/38 20060101ALI20060421BHJP A61P 7/02 20060101ALI20060421BHJP G01N 33/86 20060101ALI20060421BHJP A23L 2/52 20060101ALI20060421BHJP JPA61K35/84 AA23L1/30 BA23L2/38 HA61P7/02G01N33/86A23L2/00 F 10 1 OL 22 2G045 4B017 4B018 4C088 2G045AA10 2G045BA13 2G045BB01 2G045BB07 2G045BB10 2G045BB50 2G045BB51 2G045CA26 2G045FA18 4B017LC03 4B017LE10 4B017LG19 4B017LP01 4B018LB08 4B018LE05 4B018MD82 4B018ME14 4B018MF01 4C088AA02 4C088AC17 4C088BA07 4C088BA09 4C088CA01 4C088CA05 4C088MA17 4C088MA52 4C088NA09 4C088NA14 4C088ZA54 本発明は、ブナハリタケ子実体から得られるプラスミノーゲンアクチベーター活性を有する血栓溶解用薬理組成物に関する。具体的には、有効成分としてブナハリタケ子実体から得られるプラスミノーゲンアクチベーター活性を有し、血栓溶解作用を示す抽出液又は抽出物、等を含む血栓溶解用薬理組成物、かかる薬理組成物を含有する血栓症の予防及び/又は症状改善用の飲食品又は医薬品に関する。 プラスミノーゲンアクチベーターは血栓症の治療薬として現在臨床の場では点滴剤として多く用いられているが、ブナハリタケから得られる本発明組成物は本来、食用とされているものを材料にするだけに食べて安全、且つ予防に効果的である。 欧米はもとより、日本でも脳梗塞、心筋梗塞が癌を抜いて死因のトップを占める。近年、壮、老年層において、この種の疾病、例えば一過性脳虚血発作、脳梗塞(脳血栓、脳塞栓)、虚血性狭心症、心筋梗塞、動脈血栓症、静脈血栓症、深部静脈血栓症、末梢動脈閉塞症、末梢静脈閉塞症、肺血栓症、肺塞栓症などの血栓に起因する種々の疾病患者が多発し、問題となっている。 血栓の除去には、主としてプラスミノーゲンとプラスミン系を介する繊維素溶解系(線溶系)が関わっている。血栓が生じるとプラスミノーゲンはプラスミノーゲンアクチベーターと共に血栓の主成分であるフィブリンに結合し、血栓上でプラスミノーゲンアクチベーターに活性化されプラスミンになる。生じたプラスミンはフィブリンを分解して血栓を溶解する。活性化によって生じたプラスミンはさらに、他のプラスミノーゲン分子や、プロウロキナーゼ分子を活性化してそれぞれ、Lysプラスミノーゲン(元のプラスミノーゲンよりも速やかにプラスミノーゲンアクチベーターにより活性化される)、及びウロキナーゼ(これもプラスミノーゲンを活性化し、プラスミンに変える活性を持つ)を生じる。このように、ひとたびプラスミノーゲンが活性化されると、自己触媒的に血栓溶解系は活性化される事が知られる(野村武夫ら編、図解 血球-生理・病態・臨床 血小板、上血、凝固、線溶、中外医薬社、1994年)。 生体内での血栓溶解がこのような機構である事から、血栓を溶解するためにはプラスミノーゲンアクチベーターが効果的であると考えられる。実際、臨床において血栓を溶解して改善、治療する方法として、プラスミノーゲンアクチベーターによる血栓溶解療法がある。これまでプラスミノーゲンアクチベーターにはヒト尿から得られるウロキナーゼ、メラノーマ(癌)などの細胞培養で作られる組織プラスミノーゲンアクチベーター(t−PA)の2種類が知られていたが、いずれも極めて微量しか存在しないため、また静注薬であるため完全に純化することが必要なため1mg当たり1万円以上と極めて高価であった。その上、血中での半減期が3〜20分と非常に短いため持続的に点滴静注する事が必須であり、患者に多大な苦痛を与えるという欠点を有している。間接的にプラスミノーゲンを活性化するストレプトキナーゼはβ−溶血性連鎖球菌の培養で生産されるが、同様に点滴静注する事が必須であり、抗原性がある等の問題がある。 一方で、経口で摂取して血栓溶解効果のあるものとして、ルンブロキナーゼ(ミミズ抽出物)、ナットウキナーゼ(納豆抽出物)などが報告されている(日本特許第3037355号、化学と生物29:119−123,1991)。 ルンブロキナーゼは分子量24〜43kDaの6種類からなるセリンプロテアーゼであり、これらは生体内で血栓を溶解しているセリンプロテアーゼの一種であるプラスミンに相同性がある。これら酵素はフィブリン分解活性、プラスミノーゲンアクチベーター活性がある事がin vitroの試験で明らかにされている。ルンブロキナーゼ(混合物)をヒトが1日あたり300〜600mg食すると、有意な内因性のt-PA量の増大、有意なフィブリン分解産物の一過的増大、及び有意な血漿のフィブリン分解活性の上昇が確認されている。 ナットウキナーゼは分子量27kDaのプラスミンに相同性があるセリンプロテアーゼを含む。フィブリン分解活性、プロウロキナーゼ活性化能がある事がin vitroの試験で明らかにされている。ナットウキナーゼを人が1日あたり納豆2パック相当食すると、有意な内因性t-PA量の増大、有意なフィブリン分解産物の一過的増大、及び有意な血漿のフィブリン分解活性の上昇が確認されている。 その他、キノコ類の血栓凝固−線溶系に及ぼす影響についての報告(Fibrinolysis 8:supp1 1,74,1994、日本食工誌43:318−321,1996、J.Home Econ.Jpn.50:683−688,1999)や、特許出願(特開2003−116535公報)がある。その中で、ヒラタケの自己消化物に弱いながらプラスミノーゲンアクチベーター活性がある事が報告されている。それによると元のヒラタケに比較して自己消化物は標準フィブリンプレート法による溶解窓の面積が2〜3倍程度増大している事が報告されている。 その他、カツオ塩辛(酒盗)から抽出された血栓溶解酵素の報告(特開平6−46851号公報)、麹菌由来のセミアルカリプロテアーゼまたはそのポリエチレングリコール修飾体による血栓溶解酵素の報告(特開昭61−215331号公報)、オキアミ水性抽出物あるいは抽出したプロテアーゼである血栓溶解剤の報告(特開昭61−30527号公報)がある。 しかし、ミミズは漢方薬あるいは健康食品として中国や韓国での食経験があるものの、現代人にとってはそれを食するにはかなりの抵抗感がある問題がある。納豆は人によって好き嫌いがあるうえに、ビタミンKを多く含むため、血液凝固阻害剤であるワルファリンを服用している患者は効果が競合する恐れがあるので摂取できない問題がある。ヒラタケ(Pleurotus osteatus)はレクチンであるキノコトキシンにより、生で食すると摂食抑制の悪影響がある事が知られる(キノコの科学 菅原龍幸編 朝倉書店、Biochimica et Biophysica Acta 1474(2000)299−308)。その報告によると、ヒラタケ5%を添加した7日間の混餌試験を行なった結果、コントロール食に比較して、摂餌量は13.7%に有意に減少、体重も試験開始時より有意に減少している事が確認されている。このようにヒラタケを生で食する事は事実上できない問題がある。その他食用キノコにおいても種類によって生で食すると摂食抑制作用をもつものがある。カツオの塩辛は塩分を多く含み、効果を上げるほど多量に摂食すれば、塩分の過剰摂取となり、高血圧のリスクが高まる問題がある。 その他に、生体内ではなく、試験管内(in vitro)で人工血栓溶解効果があるものとして、Ganoderma lucidum(ガノデルマ・ルシダム)のメタルプロテアーゼが血栓を形成するトロンビンに対して阻害的に作用して血栓を形成させない効果を持つ報告(Mycologia,92(3),2000,pp.545−552)がある。また、キノコであるArmillariella mellea(アルミラリエラ・メレア)から抽出されたメタルプロテアーゼがフィブリノーゲンやフィブリンを分解する報告(Biosci.Biotechnol.Biochem.,63(12),2130−2136,1999)がある。しかしこれらのプロテアーゼは線溶系を活性化する上で最も効果的であるプラスミノーゲンアクチベーター活性を介した血栓溶解機構ではない上に、経口で摂取した際の効果は全く明らかにされていない。 このように、現代人が容易に入手調達、食する事が可能であるものの中で、特に、プロテアーゼ活性が高い食用キノコの中で、プラスミノーゲンアクチベーター活性を介して生体内の線溶系を活性化するもの、摂食抑制を引き起こすことなく、安心して食する事ができるキノコはいまだ知られておらず、血栓溶解食品として実用化する事ができない課題があった。本発明者は、各種キノコを広く調べた結果、思いがけない事に、ブナハリタケ(Mycoleptodonoides aitchisonii)の子実体そのもの、懸濁液、抽出液または抽出物等に、in vitroの試験において非常に強いプラスミノーゲンアクチベーター活性がある事を見出した。 また、ラット等の実験動物は飼育の容易性、投与サンプルの必要量が少なくて済む等の理由から医薬品や生体調節機能等を有する食品の評価・スクリーニングのための有効な手段として利用されている。しかしながら、ラットを始め、ウサギ等も含むげっ歯類は血漿中のプラスミノーゲン量がヒトに比較して非常に低く(Millstoneの報告 Journal of Immunology 42,109−116,1941によるとウサギ血漿中には「フィブリン分解のアクチベーター」がないとの記載がある。)、たとえある被検食品にプラスミノーゲンアクチベーター活性があるとしても、活性化によって生じるプラスミン量が非常に少ないため、被検食品のプラスミノーゲンアクチベーター活性はほとんど検出できない問題があった。実際に、Murataらの報告(J.Home.Econ.Jpn.50(7)689−694,1999)によると、ラットの血漿ユーグロブリン画分を調製して、標準フィブリンプレートにてフィブリン分解活性、すなわちEFAを測定しても活性は微弱であり、対象区と試験区の間で有意差を確認する事はできなかった。 以上の理由により、従来はプラスミノーゲンアクチベーター活性がある食品の効果や活性の評価は全てヒトに食させる以外方法がなかった。従って食経験が少ない素材の場合、リスクを持ったままヒトを用いて評価せざるを得ない問題があった。またその評価のために投与サンプルは大量に調製する必要があり、多数の被検食品を迅速かつ簡便に評価する事ができない問題があった。そこで本発明者らは鋭意検討の結果、今回ヒトの場合と同様の環境を作り出すことにより、ラットを用いた特異的な血漿のプラスミノーゲンアクチベーター活性評価方法を開発した。さらにこの評価方法を用いる事により、ブナハリタケの子実体の粉砕物(例えば、粉末)、懸濁液、抽出液または抽出物、等をラットに経口摂取させると摂食抑制の悪影響を及ぼす事なく、血漿のプラスミノーゲンアクチベーター活性を増大させる事を見出し、本発明を完成するに至った。日本特許第3037355号特開2003−116535公報特開平6−46851号公報特開昭61−215331号公報特開昭61−30527号公報化学と生物29,119−123,1991Fibrinolysis 8:supp1 1,74,1994日本食工誌43,318−321,1996J.Home Econ.Jpn.50,683−688,1999キノコの科学 菅原龍幸編 朝倉書店(1997年)Biochimica et Biophysica Acta 1474,299−308,2000Mycologia 92(3),545−552,2000Biosci.Biotechnol.Biochem.,63(12),2130−2136,1999Journal of Immunology 42,109−116,1941J.Home.Econ.Jpn.50(7),689−694,1999野村武夫ら編、図解 血球-生理・病態・臨床 血小板、上血、凝固、線溶、中外医薬社、1994年 本発明の目的は、多くの食用キノコの検索の結果、古来より食してきたブナハリタケから得られる、大量生産可能で、且つ、経口下で安全性の高いプラスミノーゲンアクチベーター活性を有する血栓溶解用薬理組成物を提供することである。 本発明の別の目的は、ラットを用いて被検試料のプラスミノーゲンアクチベーター活性を評価する方法を提供することである。 本発明は、担子菌の中でも、近年、通年人工栽培に成功し、市場に流通するようになったブナハリタケ中にプラスミノーゲンアクチベーター活性を認め、それを例えば水に懸濁あるいは水で抽出して利用するというものである。原料が安価で、長年口から摂取しており、且つ生で食してもヒラタケのような摂食抑制の悪影響がないため、経口下での安全性に優れている。 本発明は、以下のように要約される。 本発明は、第1の態様において、ブナハリタケの子実体から得られる且つ血栓溶解作用を有することを特徴とする血栓溶解用薬理組成物を提供する。 子実体とは、胞子を生じる生殖器官を含むキノコ全体を指す。血栓溶解作用とは、プラスミノーゲンアクチベーター依存性もしくは非依存性のフィブリン分解活性による血栓溶解を指す。 また、薬理組成物とは、ブナハリタケの子実体の処理物であって本発明の有効成分を含む処理物、或いは該処理物を含む組成物を指す。ここで、処理物とは、乾燥、粉砕、抽出などの人為的処理を施して得られる物質をいう。 本発明の実施形態において、前記薬理組成物は、有効成分としてブナハリタケの子実体から得られる血栓溶解作用を示す子実体の粉砕物、懸濁液、抽出液または抽出物を含有することができる。 別の実施形態において、前記抽出液または抽出物は、ブナハリタケ子実体の水抽出により得られる抽出液または抽出物である。 さらに別の実施形態において、前記子実体として、子実体の乾燥物を用いることができる。 別の実施形態において、前記血栓溶解作用は、少なくともその一部がプラスミノーゲンアクチベーター活性による血栓溶解作用である。 本発明は、第2の態様において、上記の薬理組成物を含有する血栓症の予防及び/又は症状改善用の飲食品を提供する。 この実施形態の1つとして、本発明の飲食品を含む容器には、血栓症の予防及び/又は症状改善のために用いられるものである旨の表示を付すことができる。 本発明は、第3の態様において、上記の薬理組成物を含有する血栓症の予防及び/又は症状改善用の医薬品を提供する。 本発明は、第4の態様において、プラスミノーゲンアクチベーター活性を含むと推定される被検試料のラット経口投与による活性評価方法において、該被検試料をラットに投与し、次いで該ラットから採取した血漿にプラスミノーゲンを添加し、フィブリン分解活性の測定を通してプラスミノーゲンアクチベータ―活性を評価することを含む方法を提供する。 本発明の実施形態において、血漿に対して添加するプラスミノーゲンの量は、0.001〜0.25U/検体であることができる。 本発明の別の実施形態において、前記被検試料は食品である。 上記のとおり、本発明は、ブナハリタケの子実体から得られる且つ血栓溶解作用を有する血栓溶解用薬理組成物を特徴とする。栽培可能なブナハリタケを原料とするため、安価であるし、また摂食抑制などの副作用がなく安全性が高いうえに、ヒラタケに匹敵する又はそれを凌ぐ血栓溶解作用を有するため、本発明の組成物は、食品として或いは医薬品として血栓症の予防及び/又は症状改善のために使用することができる。(ブナハリタケ) 本発明に使用されるブナハリタケ子実体としては、自然界に自生する天然の子実体あるいは人工栽培された子実体のいずれでもよいが、成分含量等の品質が安定した人工栽培されたブナハリタケ子実体の方が好ましい。自然界に自生する天然のブナハリタケ子実体では成分含量等が生息地域や気候等により変動する上に、周年安定的に収穫することができないが、人工栽培されたブナハリタケ子実体では成分含量等が生息地域や気候等により影響されない上に、周年安定的に収穫することができる。また、人工栽培方法としては特に限定されないが、成分含量等の品質が安定したブナハリタケを安価かつ周年安定的に収穫することができる菌床栽培の方が原木栽培よりも好ましい。ここで、菌床栽培とは、原木を用いることなく、保水体と栄養源からなる素材に種菌を接種し、温度、湿度、照度などを制御した環境下で栽培する方法をいう。 かかる菌床栽培の好ましい態様としては、保水体と、乾燥おから及びビール粕のうち少なくとも一方を含む栄養源を含有する栽培用培養源と、水とを混合した培地を滅菌する滅菌工程と、滅菌した培地にブナハリタケの種菌を接種する接種工程と、ブナハリタケの種菌が接種された培地を培養し、培地に菌糸が生育した菌床を得る前培養工程と、該菌床を培養し、子実体に成長しうる物理的空間に曝されていないブナハリタケ原基を得る中培養工程と、該子実体に成長しうる物理的空間に曝されていないブナハリタケ原基の中から選ばれた原基を、ブナハリタケ原基が子実体に成長しうる物理的空間に曝される条件下で培養し、ブナハリタケ子実体を得る後培養工程からなる人工栽培を具体的に例示することができる。ここで、子実体に成長しうる物理的空間とは、培養基から外に向かって子実体が成長する空間を意味し、例えば培養基をプラスチック製の袋等により密封した場合には密封容器の外部の空間を意味する。 本発明において用いられるブナハリタケ菌株としては、そのブナハリタケの子実体から血栓を溶解する作用を示す成分を含有するブナハリタケに属する菌株であれば市販菌株や自然界から得られる菌株をも含めどのような菌株でもよいが、菌糸生育能及び原基形成能が優れているブナハリタケBNH−3株を用いることが特に好ましい。ブナハリタケBNH−3株は、秋田県南秋田郡の山中で、枯れ木に自生していた子実体より、佐藤ら(特開2002−29995)が純粋分離したもので、ポテトデキストロース寒天斜面培地での培養物は、4℃程度の温度下で保存することができ、この保存菌株は3〜6ヶ月程度で植え継ぐことが望ましい。本菌株の子実体、菌糸及び胞子の形態学的特徴は次の通りである。子実体は群生、傘は扇形〜へら形で3〜8×3〜10cmのサイズである。表面は無毛平滑、白色〜少し黄色味を帯びる。肉は白色、厚さ2〜5mmである。縁は薄く多少歯牙状である。菌糸構成は幅4〜10μmの厚膜菌糸と、幅3.5〜5μmで、ふくらみとねじれをもつ薄膜菌糸の2菌糸型である。胞子は腸詰め形、無色、2〜2.5×5〜6.5μmである。 上記の形態学的特徴に基づいて、今関六也、本郷次雄共著「原色日本新菌類図鑑II」(保育社平成元年5月31日初版発行)により同定すると、本菌がブナハリタケに属することは明らかである。なお、本菌は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約下、平成11年4月7日に日本国茨城県つくば市東1丁目1番1号中央第6に所在する独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにFERM BP−6697として寄託されている。(ブナハリタケの栽培) ブナハリタケの菌床栽培において、培地に使用する保水体としては、スギ、ヒノキ、マツ等の針葉樹由来のオガクズや、ブナ、ナラ、クヌギ等の広葉樹由来のオガクズや、また、近年キノコ栽培においてオガクズ代用品として使用されるコーンコブ(トウモロコシ軸粉砕物)の他、市販されている菌床材料等を例示することができ、これらのものは単独で使用してもよいし、2種以上混合して用いることもできる。 また、ブナハリタケの菌床栽培において、培地に使用する栽培用栄養源としては、ビール粕又は乾燥オカラのいずれかの必須栄養源と、この選ばれた必須栄養源以外の他の栄養源とが組み合わされて用いられる。他の栄養源としては、通常キノコの栽培に用いられる米糠、一般フスマ、専管フスマ、コーンブラン等を例示することができる。ビール粕及び乾燥オカラを共に含まない栽培用栄養源を培地に使用すると、菌糸の成長が遅いばかりでなく、大きさや形に優れた子実体を得ることが困難となる。 上記保水体と栽培用栄養源との混合割合は、生重量比で10:0.7〜10:4の範囲が好ましく、10:2〜3の範囲が特に好ましい。また、水分含量は最終培地あたり60〜70%に調整すればよいが、65%程度にするのがより好ましい。さらに、培地成分として、通常キノコ栽培で用いられている大豆皮、乾燥酵母やpH調整剤等を培地成分として添加することもできる。 ブナハリタケの菌床栽培は、前述したように、前培養工程と中培養工程と後培養工程からなり、培地中にブナハリタケの菌糸を特定の培養条件下で充分に生育させ、子実体形成のための菌床を得る前培養工程と、該菌床に特定の培養条件下で培養し、ブナハリタケ原基を形成させる中培養工程と、形成したブナハリタケ原基を特定の培養条件下で培養し、子実体まで成長させる後培養工程の3つの培養工程を採用しており、これにより含量成分等の品質が安定したブナハリタケの子実体を得ることができる。 前培養工程は、保水体と栽培用栄養源と水とを含有する培地を加圧滅菌後、ブナハリタケの種菌を接種し、温度15〜35℃、好ましくは21〜27℃で、湿度40〜80%、好ましくは60〜70%付近で、暗条件下で培養し、培地中に菌糸を蔓延させ、子実体が発生するための栄養源を菌糸に蓄積させる工程である。培養熟成日数、すなわち培地全体に菌糸が蔓延するのに要する日数と栄養源を菌糸に蓄積させるのに必要な日数は、1.2kg用袋を用いた場合、25〜90日間が好ましく、通常25日間未満では子実体は発生しないか、後の中培養工程で著しく日数を要する。この際、用いる培養容器の大きさや種菌接種量により前培養工程に要する日数が変化することはいうまでもない。 中培養工程は、前記のように、前培養工程終了後の菌床にブナハリタケ原基を形成させるために行う工程であり、前培養工程で得られた菌床を、温度8〜22℃、好ましくは12〜16℃、湿度80〜100%、好ましくは85〜95%、照度50ルックス以上、好ましくは50〜500ルックスで25〜60日間培養を続けると、例えば、菌床と容器内面との間等の子実体に成長しうる物理的空間に曝されていないブナハリタケ原基が形成する。 後培養工程は、上記のように、中培養工程終了後の子実体に成長しうる物理的空間に曝されていないブナハリタケ原基を子実体へ成長させるために行う工程であり、中培養工程で得られた子実体に成長しうる物理的空間に曝されていないブナハリタケ原基が形成されている、例えば、容器の周辺箇所を取り除き、温度8〜22℃、好ましくは12〜16℃、湿度80〜100%、好ましくは85〜95%、照度50ルックス以上、好ましくは50〜500ルックスで、かつブナハリタケ原基が子実体に成長しうる物理的空間に曝される条件下で5〜20日間培養を続けるとブナハリタケ原基が子実体へと成長する。 ブナハリタケの栽培には、培地の滅菌の簡易さ等から、栽培容器が通常用いられ、また栽培容器には栽培袋等も含まれる。栽培容器としては、形成されたブナハリタケ原基を容器外側から肉眼で観察することができるように、透明又は半透明の材質からなる容器が好ましい。また、菌床と栽培容器内面との間に形成された、子実体に成長しうる物理的空間に曝されていないブナハリタケ原基の中から選ばれた直径3cm程度の1つのブナハリタケ原基を培養することが自然に発生するブナハリタケより大きな子実体を得る上で好ましい。さらに、横断面が矩形等の栽培容器を横に倒し、ブナハリタケ原基が上になるようにして、ブナハリタケ原基が形成された栽培容器の周辺箇所を切除し、ブナハリタケ原基が子実体に成長しうる物理的空間に曝される条件下でブナハリタケ原基を培養することが形の揃った大型の子実体を収穫する上で好ましい。(薬理組成物と製法) 本発明の薬理組成物としては、ブナハリタケ子実体から得られる血栓を溶解する作用を示す成分を含有する組成物であればどのようなものでもよく、例えば、ブナハリタケ子実体から得られる血栓を溶解する作用を示す抽出液若しくは抽出物又はかかる抽出液若しくは抽出物を有効成分として含有する組成物の他、ブナハリタケ子実体をそのまま又は風乾、熱風乾燥若しくは凍結乾燥後に粉砕した粉砕物や、該粉砕物を常法により顆粒化、カプセル化、錠剤化したもの、ペーストなどを挙げることができる。また、このように粉砕した粉砕物の懸濁液、懸濁物でも血栓を溶解する作用を含有していればどのような形態でもよい。 本発明における血栓を溶解する作用を示す抽出液や抽出物は、公知の方法によって得ることができる。例えば、ブナハリタケ子実体を0℃〜100℃、好ましくは0〜40℃、さらに好ましくは4℃〜室温の水、適当な緩衝液、適当な有機溶媒(例えばメタノール、エタノールなどのアルコール類)、若しくは適当な有機溶媒と水との混合液(例えばエタノール水)、好ましくは水にて、5分間以上、好ましくは60分間程度抽出し、次いで遠心分離またはろ過することによって血栓を溶解する活性を含有する抽出液を得ることができる。抽出に際しての抽出液量は特に制限されるものではないが、コスト面、抽出効率面等からして乾燥キノコ重量に対して10〜20倍量の水を用いることが好ましい。抽出溶媒として、エタノールなどの溶媒を適宜添加することもできるが、コスト面や製造現場での扱いやすさの点で、水のみで抽出したほうが望ましい。また、抽出時に回収率を向上させるためにセルラーゼやペプチダーゼの酵素類を使用することもできる。 子実体は生のまま抽出してもよいが、乾燥させて保存可能とした子実体から抽出した方が、品質の優れた抽出液若しくは抽出物が得られる点で好ましい。抽出物は、抽出液をさらに処理したものであり、例えば濃縮物、凍結乾燥物、部分精製物などの液体若しくは固体形態を含む。乾燥方法としては熱風乾燥方法、風乾、スプレードライ、真空(若しくは減圧)乾燥、凍結乾燥方法等公知の乾燥方法であれば特に制限されるものではないが、血栓を溶解する活性の低下を抑制する上では凍結乾燥法がより好ましい。また乾燥後、子実体を粉砕した後抽出した方が抽出率が向上するので好ましい。例えば、キノコ又はキノコ粉砕物を0℃〜室温、好ましくは0℃近くの水、適切な緩衝液、適切な有機溶媒(例えばメタノール、エタノールなどのアルコール類)、若しくは有機溶媒-水混合液(例えばエタノール水)、好ましくは水中に懸濁し、そのまま攪拌もしくは、超音波処理、磨砕、フレンチプレス等により菌体を破砕した後、遠心分離、濾過等の固液分離操作を単独又は複数組み合わせて固液分離し、その後必要に応じて前記濃縮、凍結乾燥、精製方法などの方法を用いて前記抽出液を濃縮、凍結乾燥、精製など処理することにより抽出物を調製することができる。また、上記抽出操作を複数回実施し、抽出効率の向上を図ることもできる。 冷水抽出等の抽出液に存在する血栓を溶解する活性物質をさらに精製してもよく、この場合、公知の分離、精製法を適当に組み合わせて行うことができる。ここで、活性物質(又は有効成分)は、少なくともその一部がプラスミノーゲンアクチベーター活性をもつために、おそらく酵素であろうと推定される。活性物質のさらなる精製のために使用できる方法として、例えば、塩沈澱及び有機溶媒沈澱のような溶解性を利用する方法、透析、限外ろ過、ゲルろ過のような分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーのような電荷の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィーのような特異的親和性を利用する方法、疎水クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーのような疎水性の差を利用する方法、更に等電点電気泳動のような等電点の差を利用する方法等が挙げられる。また、抽出、精製後の濃縮についても、公知の方法であればどのような方法でもよく、限外ろ過、減圧加熱濃縮などを具体的に例示することができる。さらに抽出、精製後の乾燥についても、公知の方法であればどのような方法でもよく、風乾法、加熱乾燥法、スプレードライ法、凍結乾燥法などを具体的に例示することができる。 このようにして得た血栓を溶解する作用を示す組成物のプラスミノーゲンアクチベーター活性は、実施例に詳細に示すように、プラスミノーゲンを添加して、標準フィブリンプレートを用いて測定する事ができる。 本発明の薬理組成物は、その少なくとも一部が、公知の担子菌のものと同等以上の強いプラスミノーゲンアクチベーター活性によりもたらされる線溶系の亢進による血栓溶解作用を有する。本発明の組成物は、ブナハリタケ由来の有効成分としてさらに、プラスミノーゲン非依存的フィブリン分解活性を含むことができる。すなわち、本発明の薬理組成物には、プラスミノーゲン依存的及び非依存的なフィブリン分解活性をもつ少なくとも2種類の活性物質が含まれてもよい。また、これらの活性物質は、上記精製法で分離され、組成物中に別々の成分として含まれてもよい。また、ヒラタケ等のキノコで報告のあるレクチンによる摂食抑制や体重低下等の悪影響が本発明のブナハリタケでは全く認められなかったこと、及び血漿のプラスミノーゲンアクチベーター活性が増強されていたことから、摂食抑制や体重低下等の悪影響を及ぼすことなく、ブナハリタケ由来のプラスミノーゲンアクチベーター等の有効成分を摂取する事ができ、血栓症の予防及び/又は症状改善にその効果を発揮することを十分に期待することができる。 したがって、本発明の薬理組成物は、血栓症の予防及び/又は症状改善剤として、また血栓症の予防及び/又は症状改善用の飲食品(例えば、健康食品、機能性食品など)又は医薬品の有効成分として用いることができる。 本発明の血栓を溶解する作用を示す成分を含む薬理組成物は、通常、乾燥子実体換算で約1mg〜約20g/kg体重・日の範囲内の有効量を摂取することにより血栓溶解作用をもたらすが、症状、性別、年齢等に応じて、摂取量は適宜調整することができる。そしてまた、血栓症の予防及び/又は症状改善用の医薬品として用いる場合は、例えば子実体の粉砕物(例えば、粉末)、懸濁液、抽出物、抽出液、もしくはその抽出物をさらに精製した物でもよく、或いは有効成分を含む混合物でもよいし、又は実質的に単一になるまで精製された物でもよく、製薬上一般的に用いられている賦形剤又は担体と混合して顆粒剤、軟質もしくは硬質カプセル剤、錠剤、溶液剤、散剤、懸濁剤、乳濁剤、ペースト剤などの通常経口投与薬の形態で用いることができる。 組成物には他の添加剤も含有させることができ、添加剤には、例えば、崩壊剤、着色剤、結合剤、pH調整剤、香味剤、安定剤、防腐剤、湿潤剤、滑沢剤などが適宜選択的に含まれ得る。 担体や賦形剤としては、例えば、乳糖、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、オリーブ油、ゴマ油、カカオバター、エチレングリコールなどが挙げられ、適宜、それらの1種又は複数を選択して含有し得るが、それらに限定されない。 添加剤としては、例えば、乳糖、マンニトール、ブドウ糖、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、微結晶性セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、繊維素グリコール酸カルシウム、グルタミン酸、アスパラギン酸、ショ糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、タルク、トラガカント、胃溶性又は腸溶性物質などが挙げられるが、これらに限定されない。 本発明の薬理組成物はまた、血栓症の予防及び/又は症状改善用の飲食品として使用することもできる。この場合、かかる組成物を飲食品原料の一部として用いたり、又は製造工程又は製造後に添加・配合することができる。或いは、上記のようにして得られた抽出物をそのまま飲料に添加することもできる。本発明の飲食品を含む容器には、血栓症の予防及び/又は症状改善のために用いられるものである旨の表示を付すことができる。 かかる飲食品としては、以下のものに限定されないが、例えば、ヨーグルト、ドリンクヨーグルト、ジュース、牛乳、豆乳、酒類(アルコール性飲料)、コーヒー、紅茶、煎茶、ウーロン茶、スポーツ飲料等の各種飲料や、クッキー、パン、ケーキ、煎餅などの焼き菓子、羊羹などの和菓子、プリン、ゼリー、アイスクリーム類などの冷菓、チューインガム、キャンディ等の菓子類や、クラッカー、チップス等のスナック類や、うどん、そば等の麺類や、かまぼこ、ハム、魚肉ソーセージ等の魚肉練り製品や、みそ、しょう油、つけもの、酢づけ、アルコールづけ、ドレッシング、マヨネーズ、甘味料等の調味類や、豆腐、こんにゃく、その他佃煮、餃子、コロッケ、サラダ、スープ、シチュー等の各種総菜などを具体的に例示することができる。有効成分の配合量は、上記医薬品の場合と同様である。 上記方法で得られた抽出物を原料として各種飲料を調製する際の抽出液の配合量は、優れた香味になるように適宜決定することができるが、ブナハリタケの血栓を溶解する作用を充分に期待するということからして、容器入り飲料当たり乾燥子実体換算重量で0.1g〜20g程度のブナハリタケからの抽出物を含有せしめるように設定することが好ましい。各種飲料の調製に際しては、通常の各種飲料の処方設計に用いられる糖類、香料、食品添加物類などどのようなものでも使用することができ、その他、オタネニンジンエキス、エゾウコギエキス、ユーカリエキス、杜仲茶エキスなど他の機能性素材と併用してもよい。また、各種飲料の製造法等については、既存の参考書、例えば「改訂新版、ソフトドリンクス」(株式会社光琳)等を参考にすることができる。以下、代表的な飲料について説明するが、本発明の飲料としては以下のものに限定されないものとする。(お茶系飲料) ブナハリタケ抽出物は、緑茶、半発酵茶(ウーロン茶)、発酵茶(紅茶)などいずれのお茶についても香味的に合いやすく、中でも中国茶、特に黄金桂やジャスミン茶の茶葉を用いると、キノコ特有の香味がマスキングされる。また、上記茶葉は単独で使用してもよく、また、杜仲茶、柿の葉、熊笹茶、ギャバロン茶、コーン茶、ハブ茶、菊花茶などの健康増進効果の期待できる茶葉などと併用してもよい。茶葉抽出液の製法としては特に制限されるものではないが、キノコ特有の香味をマスキングするには0.6重量%以上の茶葉を用いることが望ましい。そして、キノコの抽出工程と茶葉の抽出工程は、血栓を溶解する活性成分の効率的な抽出の点からして、別工程とすることが好ましく、例えば、茶葉抽出液に別途調製したブナハリタケ抽出物を添加・配合することが好ましい。(栄養ドリンク) 栄養ドリンクは、ブナハリタケ抽出物を、栄養ドリンクの製造に通常用いられる成分と同時又は前後して添加・配合することにより製造することができ、かかるブナハリタケ抽出物含有栄養ドリンクは、糖類によるボディ感と、ビタミンミックス及び健康ドリンクフレーバーによる特徴的な香味によって、キノコ香味がマスキングされたものとなる。(果物・野菜系飲料) 果物・野菜系飲料は、オレンジ、りんご、ぶどう、もも、いちご、バナナ、レモンなどの果汁や、トマト、ニンジン、キャベツ、セロリなどの野菜汁の中から1種ないし2種以上選択した上で、ブナハリタケ抽出物を添加・配合することにより製造することができ、かかるブナハリタケ抽出物含有果物・野菜系飲料は、キノコ香味が果汁あるいは野菜汁とうまくマッチングして非常に飲みやすいものとなる。(炭酸飲料) 炭酸飲料は、ブナハリタケ抽出物を、炭酸飲料の製造に通常用いられる成分と同時又は前後して添加・配合することにより製造することができ、炭酸は通常の炭酸飲料と同程度の炭酸圧(0.1〜0.4Mpa)になるようにすればよい。炭酸飲料は一般に後味がシャープであるという特徴を有しており、比較的後味が残る感じがするキノコの香味を炭酸入り飲料にすることによりキノコ香味をマスキングすることができる。(低カロリー飲料) 高糖濃度飲料は肥満を引き起こすというイメージがあり、そのイメージを払拭するためにステビア、アスパルテーム、スクラロースなどの高甘味度の甘味料や、エリスリトール、マルチトールを初めとする糖アルコールなどの低カロリー甘味料を用いて低カロリーとした低カロリー飲料を調製する。ブナハリタケ抽出物の添加・配合は任意の工程で行うことができ、また、フレーバーを選択することでキノコ臭をマスキングすることができる。かかるフレーバーとしては、ウメフレーバー、ライチフレーバーを好適に例示することができる。(アルコール性飲料) アルコール性飲料は、発泡酒やウイスキーやリキュール類等のアルコール性飲料製造の任意の工程にブナハリタケやブナハリタケ抽出物を添加・配合することにより製造することができるが、かかる発泡酒やウイスキーやリキュール類等のアルコール性飲料を醸造した後、ブナハリタケ抽出物を添加・配合することにより製造することが好ましい。かかるブナハリタケ抽出物含有アルコール性飲料はキノコ香味がマスキングされ、飲みやすいものとなる。(ラットを用いた血漿中のプラスミノーゲンアクチベーター活性測定) ラットを用いた血漿中のプラスミノーゲンアクチベーター活性の測定は、元来、ラットは血漿中のプラスミノーゲン量が非常に少ないため、そのままの状態では標準フィブリンプレートによるプラスミノーゲンアクチベーター活性がほとんど検出できない、或いは、測定できたとしても誤差が多く、比較評価がほとんど不可能であるが、本発明者らは、プラスミノーゲンアクチベーターの基質に相当するプラスミノーゲンを実質的に十分量を共に添加する事により、ラットの血漿のプラスミノーゲンアクチベーター活性を評価できることを今回見出した。この方法により、ラットに経口で摂取させた際に、血漿プラスミノーゲンアクチベーター活性を増強(亢進)する活性をもつ食品の探索が可能になる。 したがって、本発明はさらに別の態様において、プラスミノーゲンアクチベーター活性を含むと推定される被検試料のラット経口投与による活性評価方法において、該被検試料をラットに投与し、次いで該ラットから採取した血漿にプラスミノーゲンを添加し、フィブリン分解活性の測定を通してプラスミノーゲンアクチベーター活性を評価することを含む方法を提供する。 本発明の方法で用いることができるプラスミノーゲンとしては、例えばウシ、もしくはヒト由来等の試薬のプラスミノーゲンが利用できる。なお、このとき、プラスミノーゲンには微量のプラスミンが混入していてフィブリン分解活性があったとしても、それを差し引く事により、被検試料のプラスミノーゲンアクチベーター活性を調べる事が可能であるので、微量のプラスミン混入の有無には何ら制約を受けない。また、このとき添加するプラスミノーゲンの量は血漿のプラスミノーゲンアクチベーターの量差を検出できる量であれば、どの程度の量でも構わないが、好ましくは、0.001〜0.25U/検体、さらに好ましくは0.0025〜0.05U/検体がよい。ここで、1Uのプラスミノーゲンは、ウロキナーゼで活性型であるプラスミンに変換された後に、pH7.5、37℃にて20分間、α−カゼインとの反応液5mlに含まれる過塩素酸に可溶性の反応生成物の275nmにおける吸光度を1.0増加させる酵素量と定義される。 なお、ヒト血液中のプラスミノーゲン濃度は約2μM(=約180μg/ml、血栓形成と血栓溶解、松尾理、鈴木宏治、池田康夫編集、日本科学技術協会、平成3年2月発行)であり、ウシ由来プラスミノーゲン(シグマ社製)に換算すると0.026U/検体に相当し、ヒトの血中濃度をほぼ再現していることになると考えられる。 さらに、標準フィブリンプレートで血漿のフィブリン分解活性を測定する事により、被検血漿サンプル中に含まれるプラスミノーゲンアクチベーター活性を評価するが、その血漿から調製する血漿ユーグロブリン画分は、もとの血漿の濃度よりも濃い濃度となる様に調製すると、元々微弱でほとんど検出できない、もしくは測定できたとしても誤差が多く評価に向かないレベルであるラットのフィブリン分解活性を評価する上で好ましい。しかし、過度に濃度を濃くすると、逆に溶解窓の面積が大きくなりすぎ、プラスミノーゲンアクチベーター活性の強弱を判別するには誤差が大きくなるので好ましくない。従って、感度、判別のしやすさの点から、血漿ユーグロブリン画分の濃度はもとの血漿の2倍程度の濃い濃度で調製するのが望ましく、さらに好ましくは4倍程度の濃い濃度がよい。 また、フィブリン分解活性は標準フィブリンプレートを用いて、溶解窓の面積を指標として測定できるが、固体化されたフィブリンを用いる方法であれば、どのような方法でもよく、例えば試験管内に作られた人工血栓(凝固したフィブリン)を溶解するまでの時間を測定する方法(クロットリシスタイム)、ユーグロブリン画分を用いた際の人工血栓を溶解するまでの時間を測定する方法(ユーグロブリンリシスタイム)などが挙げられるが、簡便性の観点から、標準フィブリンプレートを用いた測定方法が好ましい。プラスミノーゲンアクチベーター活性は、同一濃度の試料について、プラスミノーゲン存在下で測定されたフィブリン溶解窓面積からコントロール(試料無添加MQ水)を減算した値から、プラスミノーゲン非存在下で測定された溶解窓面積の値を差し引いたときの差の値として表わされる。これは、使用したプラスミノーゲンにわずかに活性型のプラスミンが含有していたため、コントロールの試料無添加(MQ水)でも若干の溶解窓が生じているためである。また、プラスミノーゲン非存在下のフィブリン分解活性は、プラスミノーゲンアクチベーター非依存的であり、プラスミノーゲンアクチベーター活性と区別される。 フィブリンの濃度は0.1〜0.7%がよいが、あまり希薄であると固体化が不十分となり、逆にあまり濃い濃度であるとフィブリンが溶けるまでの時間が長くなり誤差が大きくなる。従ってフィブリンの濃度は0.2〜0.4%がより好ましい。 なお、標準フィブリンプレートは、使用するフィブリンにプラスミノーゲンが混入しているが、その程度のプラスミノーゲンの混入量では、血漿中のプラスミノーゲンアクチベーター活性を検出するには不十分であり、今回開発した方法のようにプラスミノーゲンを添加する必要がある。 次に、本発明を下記の実施例にてさらに詳細に説明する。なお、本発明は当該実施例によって何ら限定されるものではない。ブナハリタケ子実体からの抽出物の調製 独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにFERM BP−6697として寄託されているブナハリタケ子実体の凍結乾燥粉砕物1重量部(1.5g)を試験管に入れ、約4℃の蒸留水20重量部(30ml)を加え、攪拌し、懸濁液を調製した。この懸濁液を10000×g、4℃、10分間遠心分離を行い、黄褐色の上清として抽出液を得た。 比較として同様の方法にてヒラタケ子実体の凍結乾燥粉砕物についても抽出液を得た。さらにヒラタケ懸濁液を室温で24時間自己消化させたものからも同様に抽出液を得た。 ブナハリタケ抽出物のフィブリン分解活性及びプラスミノーゲンアクチベーター活性ウシフィブリン濃度が0.3%となるよう標準フィブリン平板を作製した(Astrup&Mullertzの方法;Arch.Biochem.Biophys.40,346−351,1952)。実施例1の各キノコ抽出物を表1に示す濃度となる様、MQ水(ミリポア製)で希釈した。なお、プラスミノーゲンアクチベーター活性のあるポジティブコントロールとして、市販のルンブロキナーゼ含有健康食品(製品名 ルンブレンゴールド、ワキ製薬社製、固形物あたり23.5%のミミズ抽出物を含む。)も同様に表に示した通り希釈した。ウシ由来プラスミノーゲン(シグマ社製)は135μg蛋白/ml(0.67U/ml)となるよう0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液pH7.4に溶解した。 このキノコ抽出液とプラスミノーゲン溶液を1:1に混合したもの30μl(この中のプラスミノーゲン量は0.01Uである。)、あるいはキノコ抽出液と0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液pH7.4を1:1に混合したもの30μlを調製したフィブリンプレートに滴下し、37℃にて18時間インキュベートした。 そのときフィブリンが溶解されてできたクリアゾーン(溶解窓)の面積(mm2)を計測した。結果を表1及び図1に示す。 この結果からもわかるように、ポジティブコントロールとして測定したルンブロキナーゼ含有健康食品はプラスミノーゲンを添加していないものに比較して、プラスミノーゲンを添加したものの溶解窓が増大していた。 ルンブロキナーゼ含有健康食品はフィブリンを直接分解する強い活性を持っているが、それとは別にプラスミノーゲンを活性化する事によりフィブリンを分解する活性をより増強できる、すなわちプラスミノーゲンアクチベーター活性がある事が確かめられた。すなわち、元々ルンブロキナーゼはフィブリン分解活性も持っているため、特に添加濃度が高いとそのフィブリン分解活性が強すぎて正味のプラスミノーゲンアクチベーター活性を判別しにくいが、例えば、添加濃度が0.1%のとき、プラスミノーゲンなし(38.5mm2)、及びプラスミノーゲンのみ(すなわちMQ水、56.7mm2)の溶解窓面積を、プラスミノーゲン添加(113mm2)の溶解窓面積から差し引いた値である17.8mm2が、0.1%添加時の正味のプラスミノーゲンアクチベーター活性によって生じた溶解窓面積である。 同様にブナハリタケはプラスミノーゲンを添加していないものに比較して、プラスミノーゲンを添加したものの溶解窓が増大している。ブナハリタケは弱いながらフィブリンを直接分解する活性を持っているが、プラスミノーゲンを活性化する事によりフィブリンを分解する活性がある、すなわちプラスミノーゲンアクチベーター活性がある事がわかった。例えば、添加濃度が0.5%のとき、ブナハリタケの正味のプラスミノーゲンアクチベーター活性によって生じた溶解窓面積は、29.8mm2であり、ルンブロキナーゼの値と比較しても高い値である事がわかった。なお、使用したプラスミノーゲンには僅かに活性型のプラスミンを含有していたため、プラスミノーゲン単独でも若干の溶解窓を生じたが、それを差し引いてもこれらのプラスミノーゲンアクチベーター活性がある事がわかる。 また、比較としてヒラタケ、及びヒラタケの室温24時間自己消化物について、同様にフィブリン分解活性、及びプラスミノーゲンアクチベーター活性の測定を行なった。これらの結果を表2及び図2に示す。 この様にヒラタケのプラスミノーゲンアクチベーター活性は非常に弱いこと、言い換えれば、添加濃度が1%のとき、ヒラタケの正味のプラスミノーゲンアクチベーター活性によって生じた溶解窓面積は、わずか2.2mm2であること、及びヒラタケを自己消化しても、さしてその活性は強くなっていないことがわかった。合成基質によるブナハリタケ抽出物の線溶酵素活性 ポジティブコントロールとして、市販のルンブロキナーゼ含有健康食品、及びin vitroで活性が確認された実施例1の方法で調製したブナハリタケの抽出液について、合成基質分解活性を測定した。 合成基質としては、ペプチド研究所から購入したウロキナーゼ用の基質であるPyr-Gly-Arg-MCA、シグマ社から購入したtPA用の基質であるH-D-Ile-Pro-Arg-pNA、及びシグマ社から購入したプラスミン用基質であるH-D-Val-Leu-Arg-pNA、H-D-Val-Leu-Lys-pNAを用いた。 各基質の最終濃度を0.25mMとして各サンプルと混合し、37℃、10分間反応を行い、反応終了後、1.5Mの酢酸を反応液の2倍量添加して攪拌し反応を停止後、そのうちの160μlをマイクロプレートに移し取り、405nm、及び蛍光(Ex370、Em440)を測定してそれぞれのルンブロキナーゼ含有健康食品に対する相対反応性を測定した。その結果を表3に示す。 このように、ルンブロキナーゼに比較して、ブナハリタケはプラスミン活性が非常に弱い事、ウロキナーゼ活性もほとんどない事、及びtPA活性があるが僅かである事がわかった。ブナハリタケは実施例2のフィブリンプレートアッセイではプラスミノーゲンアクチベーター活性が確認されていた事から、tPAもしくはウロキナーゼ用基質の分解活性があるはずであるが、そのいずれの合成基質でも活性がほとんど検出できなかったのは、ブナハリタケがプラスミノーゲンを限定分解して活性化する際の分解位置は、tPA、ウロキナーゼ及びルンブロキナーゼと異なっているためではないかと考えた。そこで実施例2で調製したウシ由来プラスミノーゲンを最終濃度0.04U/mlとなるよう添加して、プラスミン活性をH-D-Val-Leu-Arg-pNAを用いて測定したところ、表4に示す様にブナハリタケ単独、あるいはプラスミノーゲン単独に比較してブナハリタケにプラスミノーゲンを添加したものはプラスミン活性が増大している事が確認された。SD系ラット単回投与でのプラスミノーゲンアクチベーター亢進活性評価法の検討 コントロールとしてMQ水、及びポジティブコントロールとして市販のルンブロキナーゼ含有健康食品を2.5%となる様にMQ水に溶解した上清液を、それぞれ10ml/kg(250mg/kg)となる様SD系ラット(14週齢、オス、各1匹)に胃ゾンデにて経口投与した。投与2時間後にペントバルビツールにて麻酔し、ヘパリンナトリウムの入った採血用試験管にて腹部大動脈より採血した。これを3000×g、15分にて遠心を行い、血漿を得た。 この血漿より血漿ユーグロブリン画分を調製した(M.J.Gallimoreらの方法を改変、Thrombos.Diathes.Haemorrh.26,295−310,1971)。すなわち血漿を氷冷下、19倍量の氷冷水を添加し、0.25%酢酸を添加してpH5.70に調整し、10分後、3000×g、10分間遠心を行い、上清と沈殿を分けた。得られた沈殿を元の濃度の1倍、2倍、あるいは4倍相当になるよう、0.12M酢酸ナトリウム、0.34mMクエン酸緩衝液pH7.4を添加して溶解した。このように調製した血漿ユーグロブリン画分に対し、ウシ由来プラスミノーゲン(シグマ社製)を270μg蛋白/ml(1.34U/ml)となるよう0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液pH7.4に溶解した溶液を2:1となる様混合したもの45μl(この中のプラスミノーゲン量は0.02Uである。)を調製し、実施例2と同じ方法で調製した標準フィブリンプレートに滴下して同様にフィブリン分解活性を測定した。 比較としてプラスミノーゲン溶液の代わりに0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液pH7.4を同様に2:1となる様混合したものも測定を行なった。 その結果、図3に示す様に、緩衝液を添加したものに比較してプラスミノーゲンを添加したものはポジティブコントロールであるルンブロキナーゼ投与ラットとMQ投与ラットの差が明確になっていた。さらに、血漿ユーグロブリン画分を1倍濃度に溶解したものに比較して、2倍、4倍濃度としたものは、その差が拡大してより明確になっている事がわかった。このように、血漿ユーグロブリン画分の濃度を高め、プラスミノーゲンを添加してフィブリンプレートにてフィブリン分解活性を測定すると、元来血漿プラスミノーゲンが少なくプラスミノーゲンアクチベーター活性の測定が困難なラットにおいても、プラスミノーゲンアクチベーター活性が明確に測定できる事がわかった。SD系ラット混餌投与でのプラスミノーゲンアクチベーター亢進活性 コントロール食としてAIN−93G標準飼料、その標準飼料にブナハリタケの子実体凍結乾燥粉末を5%となる様に添加した飼料、及びポジティブコントロールとして市販のルンブロキナーゼ含有健康食品を2%となる様に添加した飼料を、それぞれSD系ラット(14週齢、オス、各群8匹)に毎日自由摂取させ、9日後にペントバルビツールにて麻酔し、ヘパリンナトリウムの入った採血用試験管にて腹部大動脈より採血した。これを3000×g、15分にて遠心を行い、血漿を得た。 この血漿より実施例3の方法に従って元の濃度の4倍相当になるよう、血漿ユーグロブリン画分を調製した。この血漿ユーグロブリン画分に対し、ウシ由来プラスミノーゲン(シグマ社製)を270μg蛋白/ml(1.34U/ml)となるよう0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液pH7.4に溶解した溶液を2:1となる様混合したもの45μl(この中のプラスミノーゲン量は0.02U)を調製し、実施例2と同じ方法で調製した標準フィブリンプレートに滴下して同様にフィブリン分解活性を測定した。 その結果、図4に示す様に、ポジティブコントロールであるルンブロキナーゼ混餌投与群、及び試験対象のブナハリタケ混餌投与群は、いずれもコントロールである標準食群に比べ、危険率2%以下で有意にプラスミノーゲンアクチベーター活性が亢進している事がわかった。その増強率はコントロールに比較して、ルンブロキナーゼが165%であったのに対し、ブナハリタケは196%とルンブロキナーゼに比較して高いものであった。この様にブナハリタケは血漿のプラスミノーゲンアクチベーター活性を有意に亢進する事がわかった。 また、この試験において摂餌量、摂水量、体重増加量を調べたところ、図5〜7に示すように、ブナハリタケ混餌投与群はコントロールである標準食群と比較して、摂餌量、摂水量においてほとんど差が見られず、統計的に有意差はなかった。一方、体重増加量はコントロール8匹のうち2匹が偶発的に2日目までの体重増加が低いため見かけ上コントロールの方が低く見えるが、その後の増加傾向はコントロールとブナハリタケ混餌投与群とで同じであり統計的な差は見られず、したがって摂餌抑制はない事が確認された。[比較例1]プラスミノーゲン無添加におけるフィブリン分解活性 実施例4の方法で元の1倍濃度、及び4倍濃度に調製した血漿ユーグロブリン画分(M.J.Gallimoreらの方法;Trombos.Diathes.Haemorrh.26,295−310,1971)に、それぞれプラスミノーゲンの代わりに0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液pH7.4を2:1となるように混合したもの45μl調製し、実施例2と同じ方法で調製した標準フィブリンプレートに滴下して同様にフィブリン分解活性を測定した。 その結果、図8に示すように、1倍濃度、及び4倍濃度のいずれも、プラスミノーゲンを添加せずにフィブリン分解活性を測定した場合は溶解窓が小さく、フィブリン分解活性が確認しにくい事、及びルンブロキナーゼ、及びブナハリタケ投与群は、コントロール群と比較して、統計上有意差がない事が確認された。すなわち、この方法ではプラスミノーゲンアクチベーター活性が亢進しているルンブロキナーゼ及びブナハリタケ投与の効果が検出できない事がわかった。[比較例2]各種キノコのプラスミノーゲンアクチベータ活性及びフィブリン分解活性 実施例2と同様の手順に従って、プラスミノーゲン(PG)の存在又は非存在下で、マイタケ、ヌメリスギタケ、ナメコ及びタモギタケのフィブリン分解活性について測定し、プラスミノーゲンアクチベータ活性を評価した。その結果を表5及び図9に示す。 これらの結果から明らかなように、試験したキノコのいずれもプラスミノーゲンアクチベータ活性を有していない。プラスミノーゲンの存在下又は非存在下での、ブナハリタケ、ルンブロキナーゼ及びヒラタケのフィブリン分解活性の比較を示す。プラスミノーゲンの存在下又は非存在下での、ヒラタケ及びヒラタケ自己消化液のフィブリン分解活性の比較を示す。ラットにおけるフィブリン分解活性の測定に与える血漿ユーグロブリン画分濃度の影響を示す。プラスミノーゲン存在下でのラットにおけるブナハリタケ又はルンブロキナーゼ混餌投与の際の血漿のフィブリン分解活性の測定結果を示す。エラーバーはSEを表す。ラットにおけるブナハリタケ又はルンブロキナーゼ混餌投与がラットの摂餌量に与える影響を示す。ラットにおけるブナハリタケ又はルンブロキナーゼ混餌投与がラットの摂水量に与える影響を示す。ラットにおけるブナハリタケ又はルンブロキナーゼ混餌投与がラットの体重増加量に与える影響を示す。プラスミノーゲン非存在下でのラットにおけるブナハリタケ又はルンブロキナーゼ混餌投与の際の血漿のフィブリン分解活性の測定結果を示す。エラーバーはSEを表す。プラスミノーゲンの存在下又は非存在下での、マイタケ、ヌメリスギタケ、ナメコ及びタモギタケのフィブリン分解活性の比較を示す。 ブナハリタケの子実体から得られる且つ血栓溶解作用を有することを特徴とする血栓溶解用薬理組成物。 前記薬理組成物が、有効成分としてブナハリタケの子実体から得られる血栓溶解作用を示す子実体の粉砕物、懸濁液、抽出液または抽出物を含有することを特徴とする請求項1記載の薬理組成物。 前記抽出液または抽出物が、ブナハリタケ子実体の水抽出により得られる抽出液または抽出物であることを特徴とする請求項2記載の薬理組成物。 前記子実体として、子実体の乾燥物を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬理組成物。 血栓溶解作用が、少なくともその一部がプラスミノーゲンアクチベーター活性による血栓溶解作用であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬理組成物。 請求項1〜5のいずれか1項に記載の薬理組成物を含有することを特徴とする血栓症の予防及び/又は症状改善用の飲食品。 請求項1〜5のいずれか1項に記載の薬理組成物を含有することを特徴とする血栓症の予防及び/又は症状改善用の医薬品。 プラスミノーゲンアクチベーター活性を含むと推定される被検試料のラット経口投与による活性評価方法において、該被検試料をラットに投与し、次いで該ラットから採取した血漿にプラスミノーゲンを添加し、フィブリン分解活性の測定を通してプラスミノーゲンアクチベータ―活性を評価することを含む、前記方法。 プラスミノーゲンアクチベーター活性評価方法において、血漿に対して添加するプラスミノーゲンの量が0.001〜0.25U/検体である請求項8に記載の方法。 前記被検試料が食品であることを特徴とする請求項8又は9記載の方法。 【課題】担子菌由来の血栓溶解作用を有する組成物を提供する。【解決手段】ブナハリタケの子実体から得られる且つ血栓溶解作用を有することを特徴とする血栓溶解用薬理組成物。【選択図】図1


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