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タイトル:公開特許公報(A)_印刷面の摩耗試験方法及び光沢紙
出願番号:2004313399
年次:2006
IPC分類:G01N 3/56,B41M 5/00,B41M 5/50,B41M 5/52,B41J 2/01,G01N 33/34


特許情報キャッシュ

柴谷 正也 大西 弘幸 JP 2006125957 公開特許公報(A) 20060518 2004313399 20041028 印刷面の摩耗試験方法及び光沢紙 セイコーエプソン株式会社 000002369 上柳 雅誉 100095728 藤綱 英吉 100107076 須澤 修 100107261 柴谷 正也 大西 弘幸 G01N 3/56 20060101AFI20060414BHJP B41M 5/00 20060101ALI20060414BHJP B41M 5/50 20060101ALI20060414BHJP B41M 5/52 20060101ALI20060414BHJP B41J 2/01 20060101ALI20060414BHJP G01N 33/34 20060101ALN20060414BHJP JPG01N3/56 ZB41M5/00 BB41J3/04 101YG01N33/34 10 1 OL 17 2C056 2H086 2C056EA13 2C056FC06 2H086BA15 2H086BA21 2H086BA31 2H086BA33 2H086BA35 2H086BA41 本発明は、インクジェット方式やオフセット方式などの種々の記録方式により作製された印刷面の耐擦性を評価するための印刷面の摩耗試験方法、及び該摩耗試験方法により得られた測定データを活用して製造された光沢紙に関する。 印刷物の耐擦性(擦過性)は、印刷物の品質を左右する重要な性能項目の一つであり、この耐擦性が悪いと、印刷面が他の面と擦れてインクが転移し、これが汚れとなって印刷物全体の品位を低下させることになる。特に、近年、顔料インクを用いたインクジェット方式による印刷が普及し、写真画像の出力などに多用されるようになっているが、顔料インクを用いたインクジェット印刷物は耐擦性の悪さが指摘されており、その改善が急務となっている。印刷物の耐擦性の評価方法としては、印刷面を爪や消しゴムや印刷用紙などで擦ったり、あるいはJIS−K5701又はJIS−L0849で規定される方法に従って擦った後、該印刷面を目視で観察して、印刷画像の乱れの程度を官能的に評価する方法が一般的である(例えば、特許文献1〜5参照)。特開2004−175918号公報(段落番号〔0145〕,〔0146〕)特開2004−155867号公報(段落番号〔0071〕)特開2003−326840号公報(段落番号〔0038〕)特許第3217486号公報(段落番号〔0044〕)特許第3486434号公報(段落番号〔0044〕) 「印刷面を爪などで適当に擦った後、目視で観察する」という従来の印刷物の耐擦性評価法は、比較的簡単に耐擦性評価ができるというメリットはあるものの、試験条件や評価基準が曖昧で一定しておらず、測定データの客観性及び再現性に難がある。また、従来の印刷物の耐擦性評価法により得られた測定データは、印刷物の実使用時における印刷面の摩耗特性とはかけ離れたものとなる場合が少なくなく、信頼性に劣るため、その後のインクや記録用紙等の研究開発に有効活用し難い面がある。 従って、本発明の目的は、印刷面の耐擦性について、客観性、再現性及び信頼性の高い測定データを提供し得る印刷面の摩耗試験方法、及び該摩耗試験方法により得られた測定データを活用して製造された光沢紙を提供することにある。 上記目的を達成するために、本発明の印刷面の摩耗試験方法は、試験針を試験片の表面に接触させた状態で該試験針を移動させることにより該表面を摩耗する摩耗機構と、該試験針の該試験片に対する荷重を変動させる荷重変動機構と、該表面及び該試験針の間で発生する摩擦力を検出する検出機構とを備えた摩耗試験機を用いて、該試験片である印刷物の印刷面についての摩耗特性を評価することを特徴とする。 本発明の印刷面の摩耗試験方法によれば、摩擦力の測定が可能な荷重変動型摩耗試験機を用いることにより、インクジェット印刷物などの種々の印刷物の耐擦性について、客観性及び再現性に優れた測定データを得ることができる。また、この測定データは、印刷物の実使用時における印刷面の摩耗特性との相関性が高く、信頼性に優れるため、その後のインクや記録用紙等の研究開発に有効活用することができる。さらに、測定データの加工も容易に行うことができ、例えば、印刷面について、上記試験針による摩耗回数及び荷重と摩擦力又は摩擦係数との関係を示す3次元摩耗形態図を作成することが可能となる。 また本発明は、上記印刷面の摩耗試験方法において、上記試験針は上記試験片と面接触する平面部を有し、且つ該平面部に該試験片と同一物が固定されていることを特徴とする。この摩耗試験方法によれば、特に、印刷物同士の擦れによる印刷面の摩耗特性について、客観性、再現性及び信頼性の高い測定データが得られる。 また本発明は、上記印刷面の摩耗試験方法において、上記試験針の上記試験片と接触する部分が略半円球状に形成されたサファイアからなり、且つ該部分の曲率が1〜2mmの範囲にあること特徴とする。この摩耗試験方法によれば、特に、人の爪による印刷面の摩耗特性について、客観性、再現性及び信頼性の高い測定データが得られる。 また本発明は、上記印刷面の摩耗試験方法において、上記試験針の上記試験片と接触する部分が消しゴムからなることを特徴とする。この摩耗試験方法によれば、特に、印刷面を消しゴムで擦ったときの該印刷面の摩耗特性について、客観性、再現性及び信頼性の高い測定データが得られる。 また、本発明の光沢紙は、シート状の基材の少なくとも片面に光沢発現層を有する光沢紙において、上記光沢発現層の表面の下記〔測定方法〕により測定した摩擦力が、下記試験針A〜Cの何れを用いた測定でも2.5gf以下であることを特徴とする。〔測定方法〕(測定機器);試験針を試験片の表面に接触させた状態で該試験針を移動させることにより該表面を摩耗する摩耗機構と、該試験針の該試験片に対する荷重を変動させる荷重変動機構と、該表面及び該試験針の間で発生する摩擦力を検出する検出機構とを備えた摩耗試験機を用いる。試験針としては、(A)試験片と面接触する平面部を有する試験針A、(B)試験片と接触する部分が曲率2mmの略半円球状に形成されたサファイアからなる試験針B、及び(C)試験片と接触する部分が消しゴムからなる試験針Cを用いる。試験針Aを用いる場合は、該試験針Aの上記平面部に試験片と同一物を固定した状態で摩耗試験を行う。(測定条件);試験片の表面の任意の2箇所について、試験針の移動速度5mm/秒、試験針の移動距離20mm、試験針の往復移動回数100回、上記荷重の変動範囲0〜10gで摩擦力測定を行い、それらの平均値を上記摩擦力とする。 本発明の光沢紙は、表面(光沢面)の耐擦性に優れており、該表面に印刷された画像の剥がれが生じにくく、長期保存が可能である。特に、水性顔料インクを用いるインクジェット記録方式用の記録用紙として最適であり、銀塩写真調の高精細画像が得られる。 以下、先ず、本発明の印刷面の摩耗試験方法について、その一実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。 図1は、本実施形態の実施に使用する摩耗試験機の概略構成を示している。図1中、符号1は、試験片S(印刷物)の表面(印刷面)に接触させる試験針、符号2は、試験片Sが載置されるテーブル、符号3は、テーブル2を試験針1に対して相対的に移動させるための動力源となる駆動モータであり、いずれも該摩耗試験機の摩耗機構を構成する主要部材である。また、符号4は、駆動モータ3を介してテーブル2の移動距離及び移動速度を制御する移動制御手段、符号5は、試験片Sの摩耗回数(試験針1の往復移動回数)を検出する摩耗回数検出器である。尚、テーブル2上に載置された試験片Sは、テープ等により固定される。 また、図1中、符号6は、試験針1の試験片Sの表面に対する荷重を変動させる荷重制御手段(荷重変動機構)である。この荷重制御手段6は、試験片Sと対向する位置に配設された試験針1を上下動させることができ、この上下動により試験片Sに対する荷重を調整する。 符号7は、荷重検出器(検出機構)であり、歪み検出用素子(歪みゲージ)を具備しており、試験片Sの表面及び試験針1の間で発生する摩擦力を検出する。また、この荷重検出器7は、摩擦力と共に、試験片Sの摩耗量(摩耗痕の深さ)を検出することもできる。荷重検出器7の出力は、アンプ8で増幅されて計算処理手段9に送られる。 計算処理手段9は、摩耗回数検出器5により検出された摩耗回数(試験針1の往復移動回数)、並びに荷重検出器7により検出された摩擦力及び摩耗量を記録し、試験片の摩擦係数を算出すると共に、移動制御手段4を制御する。即ち、この計算処理手段9は、上記の摩耗機構、荷重変動機構及び検出機構等の摩耗試験機の各部を制御するコンピュータとして機能するものである。 以上のような構成の摩耗試験機を用いることにより、印刷物の実使用時における摩耗特性と相関性の高い測定データを、摩擦力や摩擦係数などの数値データとして捉えることが可能となり、従来の印刷物の耐擦性試験に比して客観性、再現性、信頼性に優れた分析を行うことが可能となる。 また本発明では、単に上記摩耗試験機を用いるだけでなく、さらに、上記試験針として適切なものを選択することで、実使用時における印刷面の摩耗条件に一層即した試験条件の設定が可能となる。印刷物の使用時において印刷面に傷が入る原因の主なものとしては、(A)印刷物同士の擦れ、(B)人の爪、(C)消しゴムの3つがあり、以下、これら3つの原因による印刷面の摩耗を摩耗試験で再現するのに適した試験針について説明する。(A)印刷物同士の擦れによる印刷面の摩耗 印刷物は、複数枚が重ねられた状態で保管されたり、あるいは複数枚が重ねられた状態のまま持ち歩かれたりすることが多く、この場合、重ねられた印刷物同士が擦れて、その印刷面同士又は印刷面と裏面との間に摩擦が生じる。この状況を摩耗試験で再現するためには、試験針として、試験片(印刷物)と面接触する平面部を有する試験針A(平面圧子)を用い、且つ該平面圧子の該平面部に該試験片と同一物を固定して摩耗試験を行うのが好ましい。この場合、該平面部の面積は30mm×30mm程度が好ましい。尚、ここでいう「試験片と同一物」は、試験片である印刷物と全く同一の印刷物のみならず、該印刷物のベースとなっている印刷用紙、即ち、該印刷物の印刷前の状態の物も含む。 本発明者らは、上記試験針A(平面圧子)を試験針として用いて、試験片である3種のインクジェット印刷物(サンプルX、Y、Z)について実際に摩耗試験を行った。具体的には、摩耗試験機として荷重変動型摩擦摩耗試験システム「TYPE:HHS2000」(新東科学株式会社製)を使用し、試験針はASTM D1894に準拠した「ASTM平面圧子」とし、この「ASTM平面圧子」の試験片と面接触する平面部に、インクジェット印刷用紙(セイコーエプソン製「写真用紙〈光沢〉」)を、その裏面が試験片と接触するように固定した状態で、試験針の移動速度5mm/秒、試験針の移動距離20mm、試験針の往復移動回数(摩耗回数)100回、荷重の変動範囲0〜10gで、サンプルX、Y、Zに対して摩耗試験を行い、摩擦力が2.5gf以上となったときの摩耗回数を記録した。その結果を下記〔表1〕に示す。試験片と試験針との間の摩擦力が2.5gf以上となるのは、試験片の表面(印刷面)に損傷が発生したとき(例えば、インクの付着部分が剥がれたとき)にほぼ一致し、該摩擦力が2.5gf以上を記録したときの磨耗回数の数値が大きいほど、印刷面の耐擦性に優れる。 尚、3種の上記サンプルX、Y、Zは、いずれもセイコーエプソン製インクジェットプリンタ「PM4000PX」を用いて作製したもので、インクジェット印刷用紙(セイコーエプソン製「写真用紙〈光沢〉」)の被印刷面に、マゼンタの水性顔料インクをデューティー100%でベタ印刷したものであるが、JIS−K5701で規定する耐擦性試験(サウザランド試験)による官能評価結果がそれぞれ異なっており、サンプルXは「×(悪い)」、サンプルYは「△(中間)」、サンプルZは「○(良い)」となっている。 下記〔表1〕から明らかなように、本発明の実施により得られた「2.5gf以上の摩擦力を記録したときの試験針(平面圧子)の摩耗回数」は、印刷物の耐擦性評価に従来から広く利用されているサウザランド試験の官能評価結果と高い相関性を示しており、上記試験針A(平面圧子)に試験片と同一物を固定したものを試験針として使用する本発明が、サウザランド試験の代替となり得、また、印刷物同士の擦れによる印刷面の摩耗特性を調べるのに有用であることがわかる。さらに本発明は、評価結果を、サウザランド試験のように客観性に難のある官能データで示すのではなく、客観性が高く明確な数値データとして示すことができるので、従来の評価法よりもデータの信頼性が高い。(B)人の爪による印刷面の摩耗 印刷物は手で扱われることが多く、爪によって印刷面に傷が入る機会は非常に多い。爪による印刷面の磨耗を摩耗試験で再現するためには、試験針として、試験片と接触する部分が略半円球状に形成されたサファイアからなり、且つ該部分の曲率が1〜2mmの範囲にある針状形状の試験針B(引掻針)を用いて摩耗試験を行うのが好ましい。 本発明者らは、上記試験針B(引掻針)を試験針として用いた以外は上記(A)と同様の条件で、上記サンプルX、Y、Zについて実際に摩耗試験を行った。その結果は下記〔表2〕に示す通りであり、上記試験針Bを試験針として使用する本発明が、人の爪による印刷面の摩耗特性を調べるのに有用であることがわかる。(C)消しゴムによる印刷面の摩耗 印刷物の印刷面に鉛筆などでメモ書きをした後、このメモ書きを消しゴムで消すという動作は日常頻繁に行われており、印刷面には、通常の消しゴムによる摩擦では損傷しないような優れた耐擦性が要求される。従って、消しゴムによる印刷面の磨耗を摩耗試験で再現することの意義は大きい。消しゴムによる印刷面の磨耗を摩耗試験で再現するためには、試験針として、少なくとも試験片と接触する部分が消しゴムからなる試験針C(消しゴム圧子)を用いて摩耗試験を行うのが好ましい。 本発明者らは、上記試験針C(消しゴム圧子、円筒形状のプラスチック製消しゴム)を試験針として用いた以外は上記(A)と同様の条件で、上記サンプルX、Y、Zについて実際に摩耗試験を行った。その結果は下記〔表3〕に示す通りであり、上記試験針Cを試験針として使用する本発明が、消しゴムによる印刷面の摩耗特性を調べるのに有用であることがわかる。 また、本発明によれば、例えば、図2に示すような、上記試験針による摩耗回数及び荷重と摩擦力又は摩擦係数との関係を示す3次元摩耗形態図を作成することも可能である。このような3次元摩耗形態図は、従来の印刷物の耐擦性試験では得られないものであり、印刷面の摩耗特性の評価に有効なものである。 図2の3次元摩耗形態図を作成するために行った摩擦試験の各種条件は次の通りである。摩耗試験機として荷重変動型摩擦摩耗試験システム「TYPE:HHS2000」(新東科学株式会社製)を使用し、試験針はサファイア製の引掻針(R=2mm)とし、試験針の移動速度10mm/秒、試験針の移動距離5mm、試験針の往復移動回数(摩耗回数)100回、荷重の変動範囲0〜10gとした。また、試験片は、セイコーエプソン製インクジェットプリンタ「PM4000PX」を用いて作製した顔料インクジェット印刷物であり、インクジェット印刷用紙(セイコーエプソン製「写真用紙〈光沢〉」)の被印刷面に、マゼンタの水性顔料インクをデューティー100%でベタ印刷したものである。 本発明の印刷面の摩耗試験方法は、印刷物全般に有効であり、インクジェット方式、オフセット方式、グラビア方式などの種々の印刷方式により作製された印刷物の耐擦性を評価するのに用いることができるが、特に、インクジェット方式により作製された印刷物の耐擦性(擦過性)の評価に最適である。インクジェット方式は、染料系あるいは顔料系の色材を水性媒体中に含有させた水性インクを、記録ヘッドのノズルから吐出させて記録用紙に付着させることにより画像形成を行う印刷方式である。 次に、本発明の光沢紙について詳細に説明する。本発明の光沢紙は、上述した本発明の摩耗試験方法を活用して設計されたもので、シート状の基材の片面又は両面に光沢発現層を有する。 上記光沢発現層の表面(光沢面)は、上述した本発明の摩耗試験方法、具体的には、下記〔測定方法〕により測定した摩擦力が、上記試験針A〜Cの何れを用いた測定でも2.5gf以下である。斯かる構成によれば、耐擦性に優れた光沢紙が得られる。〔測定方法〕(測定機器);試験針を試験片の表面に接触させた状態で該試験針を移動させることにより該表面を摩耗する摩耗機構と、該試験針の該試験片に対する荷重を変動させる荷重変動機構と、該表面及び該試験針の間で発生する摩擦力を検出する検出機構とを備えた摩耗試験機(荷重変動型摩耗試験機)を用いる。試験針としては、上述した3種類の試験針、即ち、試験片と面接触する平面部を有する試験針A(平面圧子)、試験片と接触する部分が曲率2mmの略半円球状に形成されたサファイアからなる試験針B(引掻針)、及び試験片と接触する部分が消しゴムからなる試験針C(消しゴム圧子)を用いる。試験針Aを用いる場合は、該試験針Aの上記平面部に試験片と同一物を固定した状態で摩耗試験を行う。(測定条件);試験片の表面の任意の2箇所について、試験針の移動速度5mm/秒、試験針の移動距離20mm、試験針の往復移動回数100回、上記荷重の変動範囲0〜10gで摩擦力測定を行い、それらの平均値を上記摩擦力とする。 上記〔測定方法〕で用いる測定機器としては、荷重変動型摩擦摩耗試験システム「TYPE:HHS2000」(新東科学株式会社製)が挙げられる。 上記試験針A(平面圧子)としては、具体的には、ASTM D1894に準拠した「ASTM平面圧子」(上記平面部の寸法30mm×30mm)が挙げられる。また、摩耗試験を行う際に該試験針Aの平面部に固定される上記「試験片と同一物」とは、試験片である印刷物と全く同一の印刷物、又は該印刷物の印刷前の状態である印刷用紙である。通常、「試験片と同一物」は、その裏面と試験片の表面とが対向するように試験針Aに固定されるが、これとは逆に固定してもよい。 上記試験針C(消しゴム圧子)としては、市販のプラスチック消しゴムを加工したものを用いることができる。具体例としては、幅20mm、奥行き10mm、長さ45mmの矩形形状のプラスチック消しゴム(コクヨ製ケシ−51)の長さ方向の一端部を、曲率10mmの略半円球状に成形したものが挙げられる。摩耗試験を行う際は、この略半円球状に成形された部分で試験片の表面を磨耗する。 以下に、本発明の光沢紙を構成する各部材(光沢発現層、基材)について説明する。 上記光沢発現層は、無機顔料及びバインダーを必須成分として含有する。 上記無機顔料としては、例えば、シリカ、アルミナ化合物(アルミナ水和物、酸化アルミニウム超微粒子)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、焼成クレー、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、珪藻土等が挙げられる。本発明においては、これらの1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、特に、気相法シリカ及びアルミナ化合物は、光沢発現層に良好なインク吸収性を付与し、特にインクジェット記録方式において高画質が得られるため、本発明で好ましく用いられる。気相法シリカ及び/又はアルミナ化合物は、光沢発現層中の無機顔料の50重量%以上を占めることが好ましい。 上記シリカについて説明すると、シリカは、乾量基準でSiO293%以上、Al2O3約5%以下、Na2O約5%以下から構成される微粒子であり、いわゆるホワイトカーボン、シリカゲルや微粉末シリカなどの非晶質シリカがある。非晶質シリカ微粒子の製造方法としては、液相法(湿式法)、粉砕固相法、晶析固相法および気相法がある。液相法とは、いわゆる液中に存在する珪酸化合物等を化学変化または物理変化によって固体状態に析出させる微粒子製造方法である。粉砕固相法とはシリカ固体を機械的に粉砕する方法であり、晶析固相法とは溶融や固体の相転移などを利用した微粒子製造方法である。気相法とは、揮発性金属化合物の蒸気の熱分解や、原材料の加熱、蒸発、生成した気相種の冷却、凝縮による微粒子製造方法である。市販の気相法シリカとしては、例えば、テグサ社製のアエロジル(商品名)が好ましく用いられる。 また、上記アルミナ水和物(アルミナ化合物)としては、例えば、カタロイドAS−1、カタロイドAS−2、カタロイドAS−3(以上、触媒化学工業製)アルミナゾル100、アルミナゾル200、アルミナゾル520(以上、日産化学工業製)、M−200(以上、水澤化学工業製)、アルミゾル10、アルミゾル20、アルミゾル132、アルミゾル132S、アルミゾルSH5、アルミゾルCSA55、アルミゾルSV102、アルミゾルSB52(以上、川研ファインケミカル製)などの市販品が好ましく用いられる。 また、上記酸化アルミニウム超微粒子(アルミナ化合物)としては、γ型結晶であるγ型酸化アルミニウム微粒子が好ましい。γ型結晶は結晶学的に分類すると、さらにγグループとδグループに分けることができる。δグループの結晶形態を有する微粒子の方がさらに好ましい。γ型アルミナ結晶微粒子は、市販品として、δグループに属する酸化アルミニウムC(日本アエロジル(株)製)、γグループに属するAKP−G015(住友化学(株)製)などが入手可能である。 上記無機顔料は、一次粒子径が100nm以下のものが好ましく、5〜50nmの範囲にあるものがさらに好ましい。無機顔料の一次粒子径が100nmを越える場合には、光沢発現層の透明性が低下するおそれがあり、その結果として十分な表面光沢が得難い。また、無機顔料の一次粒子径が5nm未満の場合には、光沢発現層中の細孔が小さくなり過ぎて、インク吸収速度が低下するおそれがある。 上記無機顔料の含有量は、光沢発現層の全固形分に対して30〜80重量%の範囲にあることが、インク吸収性と層強度とのバランスの点で好ましい。 上記バインダーとしては、ケン化度80モル%以下、好ましくは80〜70モル%のポリビニルアルコールを用いる。該ポリビニルアルコールは、完全ケン化物でも部分ケン化物でもよく、また、カチオン変性やシラノール変性等の各種変性物でもよい。ポリビニルアルコールは親水性であるため、光沢発現層中に含有させても、該光沢発現層の水性インク吸収性を阻害せず、また、比較的少量の添加で層強度を高めることができるため、本発明で用いられる。また、ケン化度80モル%超のポリビニルアルコールでは、光沢発現層の表面(光沢面)の上記摩擦力を2.5gf以下にすることが難しく、耐擦性に優れた光沢面が得られない。 上記ポリビニルアルコール(バインダー)の平均重合度は、好ましくは500〜3500である。該平均重合度が500未満では、光沢発現層の湿潤強度が低下するおそれがあり、逆に3500を越えると、塗工組成物の粘度上昇及び水溶性の低下、塗工適性の低下等の不都合を招くおそれがある。 上記バインダー(ケン化度80モル%以下のポリビニルアルコール)の含有量は、光沢発現層中に含有される上記無機顔料に対して、好ましくは10〜80重量%、更に好ましくは20〜60重量%である。バインダーの含有量が対無機顔料で10重量%未満では、光沢発現層表面の上記摩擦力を2.5gf以下にすることが難しくなり、また、層強度不足で無機顔料の脱落が起こるおそれがある。逆に、バインダーの含有量が対無機顔料で80重量%を超えると、光沢発現層のインク吸収性が阻害されるおそれがある。 本発明に係る光沢発現層には、上述した無機顔料及びバインダー(ケン化度80モル%以下のポリビニルアルコール)の他に、各種特性の向上又は付与等の目的で、以下の各種添加剤を含有させることができる。 上記光沢発現層には、その表面の上記摩擦力2.5gf以下を確実に達成する目的で、硬膜剤を含有させることができる。また、硬膜剤の添加により、耐水性やドット再現性の向上も期待できる。但し、光沢発現層の表面をキャスト法により光沢仕上げする場合は、硬膜剤は不要である。硬膜剤としては、例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、ほう酸及びほう酸塩の如き無機硬膜剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特にほう酸及びほう酸塩が好ましい。 上記硬膜剤の含有量は、光沢発現層中に含有される上記バインダー(ケン化度80モル%以下のポリビニルアルコール)に対して、好ましくは0.01〜40重量%、更に好ましくは0.1〜30重量%である。硬膜剤の含有量が対バインダーで0.01重量%未満では、硬膜剤を含有させる意義に乏しく、逆に40重量%超では、光沢発現層が脆く、割れやすくなるおそれがある。 また、上記光沢発現層の表面をキャスト法により光沢仕上げする場合には、キャスト処理時に鏡面からの剥離を容易にする目的で、光沢発現層に離型剤を含有させることができる。離型剤としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等の脂肪酸及びこれらのカルシウム、亜鉛、ナトリウム、アンモニウム等の塩類、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド及びメチレンビスステアリン酸アミド等のアミド類、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンエマルジョン等の炭化水素類、セチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール、ロート油やレシチン等の油脂類、含フッ素界面活性剤等の各種界面活性剤、四フッ化エチレンポリマーやエチレン−四フッ化エチレンポリマー等のフッ素系ポリマー等が挙げられる。これらの中でも、特にステアリン酸アミド誘導体が好ましく、その具体例としては、ステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、及び、エチレンビスステアリン酸アミド等を挙げることができる。 上記離型剤の含有量は、光沢発現層の全固形分に対して、好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%であることが、良好な印刷適性と高い連続操業性を両立させる点で好ましい。離型剤の含有量が0.1重量%未満では、離型性の向上効果に乏しく、逆に10重量%を超えると、インク吸収性インクが低下し、画質低下を招くおそれがある。 上記光沢発現層に添加可能なその他の添加剤としては、例えば、染料定着剤、顔料分散剤、消泡剤、抑泡剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等が挙げられる。 上記光沢発現層は、公知の塗工法を用いて常法通り形成することができる。具体的には、上述した各種成分を含有する塗工組成物を上記基材に塗工し、乾燥することにより形成することができる。塗工組成物の塗工は、エアーナイフコーター、カーテンコーター、スライドリップコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、ロールコーター、ビルブレードコーター、ショートドエルブレードコーター、サイズプレスなどの各種塗工装置を用いて、オンマシンあるいはオフマシンで常法通り行うことができる。塗工組成物を塗工・乾燥して得られた塗工層に対しては、必要に応じ、カレンダー処理を行うことができる。その際のカレンダー処理装置としては、グロスカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダーなどを用いることができる。 上記光沢発現層の表面は、キャスト法により光沢仕上げすることができる。キャスト法による該表面の光沢仕上げは、公知のキャスト法と同様に行うことができ、具体的には、上記基材上に上述した各種成分を含有する塗工組成物を塗工し、該塗工組成物が湿潤状態あるいは可塑性を有している状態で、該塗工組成物をキャストドラム(鏡面加工された円筒外面を有する金属製のドラム)の鏡面等の加熱された鏡面に圧接し、乾燥後、剥離することにより行うことができる。こうして、塗工組成物の表面に鏡面が写し取られることにより、光沢表面を有する光沢発現層が得られる。 キャスト法には直接法、再湿法、凝固法などがあるが、本発明ではいずれの方法でもよい。いずれの方法も、キャストドラム表面を写し取ることによって高光沢の塗工面を得ることでは共通しているが、基材に塗工された塗工組成物がキャストドラムに圧接されるまでの過程において、それぞれ次の特徴がある。 直接法の場合:基材に塗工された塗工組成物が全く乾燥していない状態でキャストドラムに圧接される。 再湿法の場合:基材に塗工された塗工組成物が一旦乾燥した状態又は半乾燥状態にされ、この状態から再湿液による処理で可塑性を有した状態にされた後、キャストドラムに圧接される。 凝固法の場合:基材に塗工された塗工組成物が凝固液による処理で流動性のないゲル状態にされた後、キャストドラムに圧接される。尚、凝固法には、赤外線を該組成物に照射して表面を凝固させる熱凝固法もある。 上記再湿法で使用する上記再湿液には、例えば、アンモニウム塩、ポリアミド樹脂、ヘキサメタリン酸等のリン化合物、アミド化合物、フッ化物、硫酸亜鉛、蟻酸カルシウム等を添加することができる。また、上記凝固法で使用する上記凝固液に添加可能な凝固剤としては、例えば、蟻酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、塩酸、硫酸等の、カルシウム、亜鉛、バリウム、鉛、マグネシウム、カドミウム、アルミニウム等との各種の塩や、硫酸カリウム、クエン酸カリウム、硼砂、硼酸等が挙げられる。 上記光沢発現層の塗工量は、固形分換算で好ましくは10〜40g/m2、さらに好ましくは20〜30g/m2である。塗工量が10g/m2未満では、特にインク吸収性の点で不充分となるおそれがあり、逆に塗工量を40g/m2超としても、インク吸収性の大きな改善効果は望めず、却ってカールや粉落ちなどの不都合が発生するおそれがある。 本発明に係る基材としては、この種の光沢紙において基材として通常用いられるものを特に制限無く用いることができ、例えば、上質紙、再生紙、サイズ処理紙等の紙;アート紙、コート紙、キャストコート紙、樹脂被覆紙、樹脂含浸紙、RC紙、銀塩写真用レジンコート紙;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等のフィルムやシート状プラスチック基材;これらを貼り合わせた複合基材等が挙げられる。 上記基材は、上記光沢発現層に応じて適切なものを選択することが望ましい。例えば、光沢発現層の表面を、上述したキャスト法により光沢仕上げする場合は、基材として、紙からなる基材(紙基材)を用いることが好ましい。紙基材は、フィルム等に比して通気性が高いので、キャスト処理時において、湿潤状態にある光沢発現層に加熱ロール等の発熱体を圧接させたときに発生する水蒸気の蒸発が効率よく行われ、キャスト処理の低速での操業、水蒸気の蒸発に起因する塗工面の損傷(いわゆるブリスター)といった不都合を回避することができる。 上記紙基材としては、セルロースパルプを主成分とするものが好ましい。セルロースパルプの原料としては、通常は針葉樹や広葉樹といった木材原料が用いられるが、これら以外にも、藁、エスパルト、バガス、ケナフ等の草類繊維や、麻、楮、雁皮、三椏等の靱皮繊維や、綿などを用いることができる。本発明においては、これらのパルプ原料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、パルプ化の方法は特に限定されず、クラフトパルプ、亜硫酸パルプ、砕木パルプ、セミケミカルパルプ、ケミグランドパルプ、リファイナーグランドパルプ等の公知のパルプ化法を用いることができる。オフィス古紙、古新聞、古雑誌などを原料とした再生パルプ(脱墨パルプ)も本発明で好ましく用いられる。また、ガラス繊維等の無機繊維、あるいはポリエステル繊維やアラミド繊維等の合成繊維を必要に応じて適宜使用することも可能である。 上記光沢発現層の表面に対してキャスト法による光沢仕上げを行わない場合は、上記基材として、上記光沢発現層が塗設される面のJIS−P8142で規定する光沢度が40%以上の光沢基材を用いることが好ましい。このような光沢基材の具体例としては、例えば、紙の両面を樹脂層で被覆してなる樹脂被覆紙が挙げられる。樹脂被覆紙を基材として用いると、光沢、質感、耐水性が良好で、印刷後の波打ち防止効果が高い光沢紙が得られるため好ましい。尚、キャスト法を使用する場合に樹脂被覆紙を用いないのは、樹脂被覆紙は通気性に乏しく、上述した水蒸気の蒸発が効率よく行われないため、低速キャスト処理を余儀なくされ、ブリスターを誘発しやすいからである。樹脂被覆紙を構成する紙としては、上記紙基材と同様のものを用いることができ、また樹脂層としては、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂を用いることができる。 本発明の光沢紙は、インクジェット方式、オフセット方式、グラビア方式など、種々の印刷方式において記録用紙として使用することができるが、中でも、インクジェット方式に適している。特に、本発明の光沢紙は、水性顔料インクを用いるインクジェット方式に最適であり、耐擦性に優れると共に、高画質、高精細のインクジェット画像を提供することができる。 以下に、本発明の実施例及び本発明の効果を示す試験例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、斯かる実施例により何等制限されるものではない。〈紙基材の製造〉 広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP、白色度90%)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP、白色度90%)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5重量%、紙力増強剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0重量%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0重量%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5重量%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。その後、紙料スラリーを長網抄紙機で紙匹を形成し、ウェットパートで3段のウェットプレスを行った後、スムージングロールで処理し、引き続く乾燥パートの途中で2段の緊度プレスを行った。その後、乾燥の途中でカルボキシ変性ポリビニルアルコール5重量%のサイズプレス液を10g/m2サイズプレスし、最終的に得られる原紙水分が絶乾水分で8重量%になるように乾燥し、マシンカレンダー処理して、坪量72g/m2(厚み80μm)になるように紙基材を製造した。〈樹脂被覆紙の製造〉 LBKP(50重量部)とLBSP(50重量部)のパルプ配合からなる170g/m2の原紙の表面に、低密度ポリエチレン(70重量部)と高密度ポリエチレン(20重量部)と酸化チタン(10重量部)とからなる樹脂組成物を25g/m2塗布し、裏面に高密度ポリエチレン(50重量部)と低密度ポリエチレン(50重量部)とからなる樹脂組成物を25g/m2塗布して、総厚が235μmの樹脂被覆紙を製造した。この樹脂被覆紙の両面それぞれのJIS−P8142で規定する光沢度は45%であった。〔実施例1〕 上記紙基材の一方の面に、下記組成の塗工組成物1を、コンマコーターを用いて、乾燥後の厚みが30μmとなるように塗工した後、これを凝固液で凝固処理し、この塗工層が湿潤状態にあるうちに、100℃に加熱した鏡面仕上げの金属面に圧着して乾燥することにより、表面(塗工面)がキャスト法により光沢仕上げされた光沢発現層を形成した。凝固液としては、調製凝固剤として蟻酸カルシウム5.0重量%、及び耐水化剤としてカチオン性高分子(ダイフィックスYK−50、大和化学株式会社製)1.0重量%を含有させたものを用いた。このようにして得られた光沢紙を実施例1のサンプルとした。〈塗工組成物1〉・気相法シリカ(平均一次粒子径7nm) 70重量部・ポリビニルアルコール(バインダー) 27重量部(PVA420、クラレ製、ケン化度79.5モル%、平均重合度2000)・カチオン化ポリマー 3重量部(PAS−J−81L、日東紡績製)〔実施例2〕 実施例1において、上記紙基材に代えて上記樹脂被覆紙を、上記塗工組成物1に代えて下記組成の塗工組成物2を用い、且つ該樹脂被覆紙の片面に該塗工組成物2を乾燥後の厚みが30μmとなるように塗工して、光沢発現層を形成した(キャスト法による光沢仕上げは行わない)以外は実施例1と同様にして光沢紙を製造し、これを実施例2のサンプルとした。〈塗工組成物2〉・気相法シリカ(平均一次粒子径7nm) 70重量部・ポリビニルアルコール(バインダー) 26重量部(PVA420、クラレ製、ケン化度79.5モル%、平均重合度2000)・カチオン化ポリマー 3重量部(PAS−J−81L、日東紡績製)・ほう酸(硬膜剤) 1重量部〔比較例1〕 実施例1において、上記塗工組成物1に代えて下記組成の塗工組成物3を用いた以外は実施例1と同様にしてキャスト法を用いて光沢紙を製造し、これを比較例1のサンプルとした。〈塗工組成物3〉・気相法シリカ(平均一次粒子径7nm) 70重量部・ポリビニルアルコール(バインダー) 27重量部(PVA120、クラレ製、ケン化度98.5モル%、平均重合度2000)・カチオン化ポリマー 3重量部(PAS−J−81L、日東紡績製)〔比較例2〕 実施例2において、上記塗工組成物2に代えて下記組成の塗工組成物4を用いた以外は実施例2と同様にして光沢紙を製造し、これを比較例2のサンプルとした。〈塗工組成物4〉・気相法シリカ(平均一次粒子径7nm) 70重量部・ポリビニルアルコール(バインダー) 26重量部(PVA120、クラレ製、ケン化度98.5モル%、平均重合度2000)・カチオン化ポリマー 3重量部(PAS−J−81L、日東紡績製)・ほう酸(硬膜剤) 1重量部〔摩擦力の評価〕 上記各サンプル(光沢紙)の光沢発現層表面に、顔料インクジェットプリンタ(PX−V600、セイコーエプソン製)を用いて、高精細カラーデジタル標準画像[(ISO/JIS-SCID)、画像名称「ポートレート」(サンプル番号1、画像の評価認識番号N1)]を「推奨きれいモード」で印刷した。こうして作製された印刷面の摩擦力を、上述の〔測定方法〕に従い、上記試験針A(平面圧子)、上記試験針B(引掻針)及び上記試験針C(消しゴム圧子)を用いて、印刷後24時間以内に測定した。その結果を下記〔表4〕に示す。〔表4〕に示すように、比較例1及び2は何れも表面の摩擦力が2.5gf超であるのに対し、実施例1及び2は何れも表面の摩擦力が2.5gf以下であり、実施例1及び2は、比較例1及び2に比して、表面の耐擦性に優れることがわかる。尚、この評価結果は、上述したように、サウザランド試験による評価結果と高い相関性を有しており、本評価法で良好な結果を示した実施例1及び2は、サウザランド試験においても良好な結果を示す(耐擦性に優れる)。本実施形態の実施に使用する摩耗試験機の概略構成である。試験針による摩耗回数及び荷重と摩擦力又は摩擦係数との関係を示す3次元摩耗形態図である。符号の説明1…試験針、2…テーブル、3…駆動モータ、4…移動制御手段、5…摩耗回数検出器、6…荷重制御手段、7…荷重検出器、8…アンプ、9…計算処理手段、S…試験片(印刷物) 試験針を試験片の表面に接触させた状態で該試験針を移動させることにより該表面を摩耗する摩耗機構と、該試験針の該試験片に対する荷重を変動させる荷重変動機構と、該表面及び該試験針の間で発生する摩擦力を検出する検出機構とを備えた摩耗試験機を用いて、該試験片である印刷物の印刷面についての摩耗特性を評価することを特徴とする印刷面の摩耗試験方法。 上記試験針は上記試験片と面接触する平面部を有し、且つ該平面部に該試験片と同一物が固定されていることを特徴とする請求項1記載の印刷面の摩耗試験方法。 上記試験針の上記試験片と接触する部分が略半円球状に形成されたサファイアからなり、且つ該部分の曲率が1〜2mmの範囲にあること特徴とする請求項1記載の印刷面の摩耗試験方法。 上記試験針の上記試験片と接触する部分が消しゴムからなることを特徴とする請求項1記載の印刷面の摩耗試験方法。 上記印刷面について、上記試験針による摩耗回数及び荷重と摩擦力又は摩擦係数との関係を示す3次元摩耗形態図を作成し、該3次元摩耗形態図に基づいて該印刷面の摩耗特性を評価することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の印刷面の摩耗試験方法。 上記印刷面はインクジェット方式により作製されたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の印刷面の摩耗試験方法。 シート状の基材の少なくとも片面に光沢発現層を有する光沢紙において、 上記光沢発現層の表面の下記〔測定方法〕により測定した摩擦力が、下記試験針A〜Cの何れを用いた測定でも2.5gf以下であることを特徴とする光沢紙。〔測定方法〕(測定機器);試験針を試験片の表面に接触させた状態で該試験針を移動させることにより該表面を摩耗する摩耗機構と、該試験針の該試験片に対する荷重を変動させる荷重変動機構と、該表面及び該試験針の間で発生する摩擦力を検出する検出機構とを備えた摩耗試験機を用いる。試験針としては、(A)試験片と面接触する平面部を有する試験針A、(B)試験片と接触する部分が曲率2mmの略半円球状に形成されたサファイアからなる試験針B、及び(C)試験片と接触する部分が消しゴムからなる試験針Cを用いる。試験針Aを用いる場合は、該試験針Aの上記平面部に試験片と同一物を固定した状態で摩耗試験を行う。(測定条件);試験片の表面の任意の2箇所について、試験針の移動速度5mm/秒、試験針の移動距離20mm、試験針の往復移動回数100回、上記荷重の変動範囲0〜10gで摩擦力測定を行い、それらの平均値を上記摩擦力とする。 上記光沢発現層は、無機顔料及びバインダーを含有し、該バインダーは、ケン化度80モル%以下のポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項7記載の光沢紙。 上記光沢発現層は、硬膜剤を含有し、上記基材は、該光沢発現層が塗設される面のJIS−P8142で規定する光沢度が40%以上の光沢基材からなることを特徴とする請求項8記載の光沢紙。 上記光沢発現層の表面は、キャスト法により光沢仕上げされており、上記基材は、紙からなることを特徴とする請求項8記載の光沢紙。 【課題】 印刷面の耐擦性について、客観性、再現性及び信頼性の高い測定データを提供し得る印刷面の摩耗試験方法、及び該摩耗試験方法により得られた測定データを活用して製造された光沢紙を提供すること。【解決手段】 試験針1を試験片Sの表面に接触させた状態で該試験針1を移動させることにより該表面を摩耗する摩耗機構と、該試験針1の該試験片に対する荷重を変動させる荷重変動機構と、該表面及び該試験針1の間で発生する摩擦力を検出する検出機構とを備えた摩耗試験機を用いて、印刷物の印刷面についての摩耗特性を評価する。また、本発明の光沢紙は、シート状の基材の少なくとも片面に光沢発現層を有する光沢紙において、該光沢発現層の表面の「上記摩耗試験機を用いて特定条件下で測定した摩擦力」が2.5gf以下である。【選択図】 図1


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