タイトル: | 公開特許公報(A)_歯磨組成物及びデキストラナーゼと塩化リゾチームとの同時安定化方法 |
出願番号: | 2004312066 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | A61K 8/66,A61Q 11/00 |
平野 正徳 清水 裕之 JP 2006124292 公開特許公報(A) 20060518 2004312066 20041027 歯磨組成物及びデキストラナーゼと塩化リゾチームとの同時安定化方法 ライオン株式会社 000006769 小島 隆司 100079304 重松 沙織 100114513 小林 克成 100120721 石川 武史 100124590 平野 正徳 清水 裕之 A61K 8/66 20060101AFI20060414BHJP A61Q 11/00 20060101ALI20060414BHJP JPA61K7/28 2 OL 12 4C083 4C083AB172 4C083AB222 4C083AB242 4C083AB282 4C083AB472 4C083AC111 4C083AC122 4C083AC182 4C083AC422 4C083AC582 4C083AC862 4C083AD042 4C083AD272 4C083AD352 4C083AD471 4C083AD472 4C083BB44 4C083CC41 4C083EE32 4C083EE33 本発明は、デキストラナーゼと塩化リゾチームを同時に安定配合でき、使用感にも優れた歯磨組成物及びデキストラナーゼと塩化リゾチームとの同時安定化方法に関するものである。 デキストラナーゼは歯垢を分解することで、う蝕予防効果を示す有効成分として、また、塩化リゾチームは、抗炎症作用により歯周病予防効果を示す有効成分としてよく知られている酵素である。従って、両酵素を同時に安定配合できれば、う蝕予防効果と歯周病予防効果を併せ持つ歯磨を提供することが可能となる。 これまで、デキストラナーゼもしくは塩化リゾチームを単独で安定配合する技術については多くの報告がなされている。例えばデキストラナーゼ安定配合技術では、特許文献1:特開昭48−56836号公報(特許第1046001号公報)、特許文献2:特開昭50−82242号公報(特許第924229号公報)、特許文献3:特開昭56−110609号公報(特許第1487907号公報)などが挙げられる。 また、塩化リゾチーム安定配合技術では、特許文献4:特開昭52−54037号公報(特許第1094635号公報)、特許文献5:特開平02−264711号公報(特許第1816722号公報)、特許文献6:特開平06−329523号公報(特許第3353950号公報)が挙げられる。 しかしながら、デキストラナーゼ及び塩化リゾチームの両酵素は、水分に対して不安定であるばかりでなく、歯磨組成物中において、デキストラナーゼは酸性領域で不安定であるのに対し、塩化リゾチームはアルカリ領域で不安定であるため、両酵素を同時に安定配合するには高度な技術が必要であり、歯磨組成物に両酵素を同時に安定化配合することは困難であった。特開昭48−56836号公報(特許第1046001号公報)特開昭50−82242号公報(特許第924229号公報)特開昭56−110609号公報(特許第1487907号公報)特開昭52−54037号公報(特許第1094635号公報)特開平02−264711号公報(特許第1816722号公報)特開平06−329523号公報(特許第3353950号公報) 本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、デキストラナーゼと塩化リゾチームを同時に安定配合でき、かつ使用感にも優れた歯磨組成物及びデキストラナーゼと塩化リゾチームとの同時安定化方法を提供することを目的とする。 本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、デキストラナーゼと塩化リゾチームとを含有する歯磨組成物において、多価アルコール量と総水分量の質量比を0.7〜1.3(多価アルコール量/総水分量)とし、多価アルコール量と総水分量との合量を組成物全体の40〜80質量%とし、かつ、必要に応じてpH調整剤を添加して25℃におけるpHを6.5〜7.5の範囲とすることにより、デキストラナーゼと塩化リゾチームとが同時に安定配合でき、これら両酵素由来の効果が満足に発揮され、しかも、優れた使用感を有する歯磨組成物を得ることができることを見出し、本発明をなすに至った。 従って、本発明は、デキストラナーゼと塩化リゾチームと必要によりpH調整剤とを含有する歯磨組成物であって、多価アルコール量と総水分量との質量比(多価アルコール量/総水分量)が0.7〜1.3で、多価アルコール量と総水分量との合計が組成物全体の40〜80質量%であり、かつ25℃における組成物のpHが6.5〜7.5の範囲であることを特徴とする歯磨組成物、及び、デキストラナーゼと塩化リゾチームとを含有する歯磨剤組成物において、多価アルコール量と総水分量との質量比(多価アルコール量/総水分量)を0.7〜1.3にすると共に、多価アルコール量と総水分量との合計量を組成物全体の40〜80質量%とし、かつ、必要によりpH調整剤を配合して、25℃における組成物のpHを6.5〜7.5の範囲に調整することを特徴とする歯磨組成物中におけるデキストラナーゼと塩化リゾチームとの同時安定化方法を提供する。 本発明の歯磨組成物は、デキストラナーゼと塩化リゾチームとを同時に安定配合でき、両酵素由来の効果が十分に発揮され、かつ使用感(口中での分散性:以下同様)にも優れたもので、練歯磨等の歯磨剤型に調製して幅広く使用することができる。また、本発明方法によれば、デキストラナーゼと塩化リゾチームとを同時に安定化することができる。 以下、本発明について更に詳細に説明すると、本発明の歯磨組成物は、練歯磨、液状歯磨、液体歯磨等として調製され、デキストラナーゼ、塩化リゾチームを含有し、多価アルコール量と総水分量の質量比が0.7〜1.3(多価アルコール量/総水分量)、多価アルコール量と総水分量との合計が組成物全体の40〜80質量%であり、25℃におけるpHが6.5〜7.5の範囲であることを特徴とする。 ここで、デキストラナーゼとしてはケトミウム属に属する公知のデキストラナーゼ生産菌より公知の方法により得られるデキストラナーゼを使用することができ、市販品としては三共(株)製のものなどを用いることができる。デキストラナーゼの配合量は、12,000単位品を基準とした場合、歯磨組成物1g当たり0.016〜1.6質量%が好ましく、特に0.032〜0.8質量%が好ましい。0.016質量%より少ないと、歯垢除去効果が満足に得られない場合があり、1.6質量%を超えると、変色などの為害作用が出る可能性がある。なお、デキストラナーゼ1単位とは、デキストランを基質として反応を行った場合に、1分間当たりにグルコース1μmolに相当する遊離還元糖を生じるデキストラナーゼの量である。 塩化リゾチームとしては、鶏卵より公知の方法により得られる日局(日本薬局方)又は粧原基(化粧品原料基準)記載の塩化リゾチームを使用することができる。塩化リゾチームの配合量は、1.0mg(力価)/mg品を基準とした場合、歯磨組成物1g当たり0.05〜4.0質量%が好ましく、特に0.05〜1.0質量%が好ましい。配合量が0.05質量%より少ないと、歯周病予防効果が得られない場合があり、4.0質量%を超えると、変色やアレルギーなどの為害作用が出る可能性がある。なお、塩化リゾチーム1単位とは、日局記載の試験法に従って、ミクロコッカス・ルテウスの乾燥菌体を基質として反応を行った場合に、標準リゾチーム(日本公定書協会)1単位品と同等の菌体濁度の減少を生じさせる塩化リゾチーム量である。 本発明の上記デキストラナーゼ及び塩化リゾチームを含有する歯磨組成物は、多価アルコール、更には、通常歯磨組成物に配合される後述するような各種成分を配合して調製されるものである。 ここで、多価アルコールとしては、例えばソルビット、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール,1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キシリトール、マルチトールなどの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて配合できる。これらの中でも、特にソルビット、プロピレングリコール、キシリトール並びに化粧品原料基準第2版注解記載の平均分子量が2,600〜3,800のポリエチレングリコール(PEG4000)を配合することが、優れた酵素安定性及び使用感とするのに好適である。 多価アルコールの配合量は、組成物全体の15〜50質量%が好ましく、特に20〜40質量%が好ましい。配合量が15質量%より少ないと、保湿性が保てず、肌荒れし、練歯磨としての外観性状が損なわれる場合があり、50質量%を超えると、粘稠性が高くなり、歯磨としての使用感が悪くなる場合がある。 また、組成物中の水分量は、多価アルコールやその他の成分に含まれる水分も含めた総水分含有量であり、組成物全体の15〜50質量%が好ましく、特に20〜40質量%が好ましい。水分量が15質量%より少ないと、分散性が損なわれ、歯磨の使用感が悪くなる場合があり、50質量%を超えると、成形性が保てなくなり、練歯磨としての外観性状が損なわれる場合がある。 本発明では、組成物中の多価アルコール量と総水分量の質量比(多価アルコール量/総水分量)を0.7〜1.3、好ましくは0.8〜1.2の範囲とする。上記比が0.7未満であると、酵素(デキストラナーゼ及び塩化リゾチーム)の安定性が確保できず、また、1.3を超えると、歯磨の分散性が低下し、使用感が悪くなり、いずれも本発明の目的を達成することができない。 更に、組成物中の多価アルコール量と総水分量との合計は、組成物全体の40〜80質量%、好ましくは45〜75質量%とするもので、40質量%に満たないと、歯磨の分散性が低下し、使用感が悪くなり、80質量%を超えると、成形性が保てなくなり、練歯磨としての外観性状が損なわれる。 更に、本発明組成物は、25℃におけるpHが6.5〜7.5、好ましくは6.7〜7.3である必要がある。歯磨組成物の25℃におけるpHが6.5より酸性領域であるか、7.5よりアルカリ領域である場合は、デキストラナーゼ及び塩化リゾチームの両酵素を同時に安定配合することができない。なお、pHの調整は、組成の成り行きによるほか、必要に応じてpH調整剤を使用して調整することができる。pH調整剤としては、例えばリン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及びクエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、酢酸、リン酸、ピロリン酸、グリセロリン酸やこれらの各種塩などを挙げることができる。 本発明の歯磨組成物は、上述したようにデキストラナーゼ及び塩化リゾチーム、更には多価アルコールに加え、本発明の効果を著しく阻害しない限り、歯磨組成物に通常配合する成分を任意成分として適宜配合することができる。例えば練歯磨では、研磨剤、粘結剤、界面活性剤、甘味料、香料、着色料、防腐剤、保存安定化剤、薬効成分等、適宜の成分を配合しうる。 研磨剤としては、無水ケイ酸、非晶質無水ケイ酸、歯磨用リン酸水素カルシウム、水酸化アルミニウムを配合し得るほか、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、不溶性メタリン酸カリウム、酸化チタン等の無機系研磨剤、ポリメタクリル酸メチル、結晶性セルロース等の有機系研磨剤が挙げられる。研磨剤の配合量は、組成物全体の5〜60質量%が好適であり、より好ましくは10〜50質量%である。 粘結剤としては、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、キサンタンガム、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム等のガム類、ポリビニルアルコール、架橋型ポリアクリル酸ナトリウム、非架橋型ポリアクリル酸ナトリウム等のカルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドンなどの有機系粘結剤、シリカゲル、アルミニウムシリカゲル、ビーガム、ラポナイトなどの無機系粘結剤が挙げられる。粘結剤の配合量は、組成物全体の0.1〜5質量%、特に0.5〜3質量%が好適である。 界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤を配合し得る。アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、N−ミリストイルサルコシン酸ナトリウム等のN−アシルサルコシン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N−パルミトイルグルタミン酸ナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリンナトリウム、N−メチル−N−アシルアラニンナトリウム、α−オレフィンスルフォン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤を使用することができる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム、アルキルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステルなどの糖脂肪酸エステル、マルチトール脂肪酸エステル、ラクチトール脂肪酸エステルなどの糖アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ラウリン酸モノ又はジエタノールアミド、ミリスチン酸モノ又はジエタノールアミドなどの脂肪酸ジエタノールアミド、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステル等が用いられる。両性界面活性剤としては、酢酸ベタイン、イミダゾリニウムベタイン、レシチン等が挙げられる。界面活性剤の配合量は、組成物全体の0〜8質量%、特に0.1〜5質量%とすることができる。 甘味料としては、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、アスパルテーム、キシリトールなどが配合できる。 香料としては、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、グレープフルーツ油、スウィーティー油、柚油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料、及び、これら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分溜、液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、及び、メントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N−置換−パラメンタン−3−カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等、口腔用組成物に用いられる公知の香料素材を組み合わせて使用することができる。 また、配合量は特に限定されないが、上記香料素材を使用した賦香用香料としては、製剤組成中に0.1〜2.0質量%使用するのが好ましい。 着色剤としては、赤色2号、赤色3号、赤色225号、赤色226号、黄色4号、黄色5号、黄色205号、青色1号、青色2号、青色201号、青色204号、緑色3号、雲母チタン、酸化チタン等を挙げることができる。 更に、有効成分としては、上記デキストラナーゼ及び塩化リゾチーム以外に、ムタナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、溶菌酵素、スーパーオキシドディスムターゼなどの酵素、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化ナトリウムなどのフッ化物、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、アラントイン、ジヒドロコレステロール、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、イプシロンアミノカプロン酸、トラネキサム酸、トリクロサン、クロルヘキシジン塩類、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、アスコルビン酸及びその塩類、トコフェロール、オウゴン、オオバク、ローズマリー、チョウジ、タイムなどの生薬抽出物等を挙げることができる。なお、上記有効成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量とすることができる。 本発明の歯磨組成物を収容する容器の材質は特に制限されず、通常歯磨組成物に使用される容器を使用できる。具体的にはアルミニウムチューブ、アルミニウムの両面をプラスチック等でラミネートしたラミネートチューブ、プラスチックチューブ、あるいはボトル状容器、エアゾール容器等の容器が使用できる。 以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、下記例において、配合%はいずれも質量%である。〔実施例、比較例〕 下記表1,2に示す組成の練歯磨組成物を下記製造法により調製し、下記方法にてデキストラナーゼ及び塩化リゾチームの安定性、使用感を評価した。結果を表1,2に示す。<製造法>(1)精製水中に水溶性成分(粘結剤、プロピレングリコール、非イオン界面活性剤を除く)を常温で混合溶解させたA相を調製する。必要があれば、A相にpH調整剤を添加する。(2)プロピレングリコール中に粘結剤を常温で分散させたB相を調製する。(3)撹拌中のA相の中にB相を添加混合し、更に非イオン界面活性剤混合物を70℃で加温融解して添加混合し、C相を調製する。(4)C相中に、香料、研磨剤等の水溶性成分以外の成分を、1.5Lニーダー(石山工作所製)を用い、常温で混合し、減圧による脱泡を行い、練歯磨組成物1.2kgを得た。<使用成分>・デキストラナーゼ:別紙規格適合12,000単位/g品(三共(株)製)・塩化リゾチーム:日局適合1.0mg単位/mg品(キユーピー(株)製)・リン酸水素二ナトリウム:日局適合品(太平化学産業(株)製)・リン酸二水素ナトリウム:日局適合品(太平化学産業(株)製)・水酸化ナトリウム:日局適合品(小堺製薬(株)製)・クエン酸:日局適合品(磐田化学工業(株)製)・プロピレングリコール:粧原基適合品(ダウ・ケミカル社製)・ソルビット液:粧原基適合70%ソルビット液(STBCソリニ社製)・ポリエチレングリコール:粧原基適合PEG4000(第一工業製薬(株)製)・キシリトール:粧原基適合XYLSORB700(ロケット・フルーレ社製)・無水ケイ酸:粧原基適合品(ローディア社製)・水酸化アルミニウム:粧原基適合品(昭和電工(株)製)・リン酸カルシウム:粧原基適合品(東ソー(株)製)・その他任意成分:全て日局もしくは粧原基適合品を使用<保存法> 調製した歯磨はその90gを最外層よりLDPE80/LDPE25/PET12/LDPE25/白LDPE100/SiOX−PET12/EMAA25/LLDPE80、厚さ359μmの層構成を有する直径37mmのチューブ(大日本印刷(株)製)に充填した。充填後のサンプルはpH測定、もしくは使用感評価に使用した。またデキストラナーゼ安定性並びに塩化リゾチーム安定性は40℃で1ヶ月保存したサンプルを用いて評価した。 なお、略号の示すところは以下の通りである。LDPE:低密度ポリエチレン白LDPE:白色低密度ポリエチレンLLDPE:直鎖状低密度ポリエチレンPET:ポリエチレンテレフタレートSiOX−PET:ガラス蒸着ポリエチレンテレフタレートEMAA:エチレン・メタクリル酸の共重合体樹脂<pHの測定法> 予め25℃に恒温にした歯磨サンプルをプラスチック容器に入れ、校正の終了したpH電極を歯磨に直接挿入し、3分後の読み値を本サンプルのpHとした。なお、pH測定には以下の装置を使用した。pHメーター:MP220(メトラートレド社製)pH電極 :Type InLab410<使用感評価法> 専門パネルを用い、歯磨使用時の分散性を指標に、使用感評価を行った。サンプル1gをハブラシに取り、3分間磨いたときの口中での歯磨分散性を比較例1と比較して下記の3段階で評価し、専門パネル10名の平均点を算出した。(評点基準)3点:比較例1と比較して良好な分散性が認められた。2点:比較例1と比較してやや良好な分散性が認められた。1点:比較例1と比較して同等以下の分散性しか認められなかった。(評点)○:2.5点以上3点以下△:1.5点以上2.5点未満×:1.5点未満<デキストラナーゼ安定性の評価法> 歯磨製剤0.6gをpH7.0リン酸塩緩衝液15mLで懸濁し、その遠心上清を試料溶液とした。この被検液1mLを1質量%デキストラン溶液2mLに加え、40℃の恒温槽で反応させた。正確に10分後1mol/L硫酸溶液0.5mLを素早く加え、反応を停止した。次に、生じた還元糖量を衛生試験法・注解2000年版に記載のソモギ法に従い測定した。即ち、酵素反応の終了した被検液を水酸化ナトリウム試液で中和し、銅溶液5mLを加え、次いで水浴中で15分間加熱した後、直ちに流水中で冷却した。その後、ヨウ化カリウム溶液2mLを静かに加え、直ちに1.0mol硫酸溶液1.5mLを素早く加えた後、0.005mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定した。なお、デキストラナーゼ1単位は、1分間当たりにグルコース1μmolに相当する遊離還元糖を生じるデキストラナーゼの量とした。(評点基準)○:デキストラナーゼ残存率80%以上△:デキストラナーゼ残存率60%以上80%未満×:デキストラナーゼ残存率60%未満<塩化リゾチーム活性の評価法> 歯磨製剤0.2gをpH6.2リン酸緩衝液20mLで懸濁し、その遠心上清を被検液とした。この被検液を日局第14版追補1に記載の試験法に従いリゾチーム力価を測定した。即ち、被検液0.1mLを、OD640nmの吸光度が0.65となるようにミクロコッカス・ルテウスの乾燥菌体を懸濁した基質溶液4mLに加え、35℃の恒温槽で正確に10分間反応させ、吸光度の減少を、標準塩化リゾチーム(日本公定書協会)の減少度と比較した。なお、塩化リゾチーム1単位とは、日局第14版追補1に記載の試験法に従って、ミクロコッカス・ルテウスの乾燥菌体を基質として反応を行った場合に、標準リゾチーム(日本公定書協会)1単位品と同等の菌体濁度の減少を生じさせる塩化リゾチーム量とした。使用機器:分光光度計UV160((株)島津製作所製)1cm角セル(ガラス)(評点基準)○:塩化リゾチーム残存率80%以上△:塩化リゾチーム残存率60%以上80%未満×:塩化リゾチーム残存率60%未満 表1より、25℃におけるpHが6.5〜7.5の範囲であり、多価アルコール量と総水分量の質量比が0.7〜1.3(多価アルコール量/総水分量)に調製した練歯磨(実施例1〜8)においては、デキストラナーゼ、塩化リゾチームとも十分な残存活性を示し、かつ良好な使用感を示した。 一方、表2より、25℃におけるpHもしくは多価アルコール量と総水分量の質量比が所定の範囲を外れた比較例1〜8においては、デキストラナーゼ安定性、塩化リゾチーム安定性もしくは使用感のいずれかの点で十分な効果が発揮されないことがわかった。 デキストラナーゼと塩化リゾチームと必要によりpH調整剤とを含有する歯磨組成物であって、多価アルコール量と総水分量との質量比(多価アルコール量/総水分量)が0.7〜1.3で、多価アルコール量と総水分量との合計が組成物全体の40〜80質量%であり、かつ25℃における組成物のpHが6.5〜7.5の範囲であることを特徴とする歯磨組成物。 デキストラナーゼと塩化リゾチームとを含有する歯磨剤組成物において、多価アルコール量と総水分量との質量比(多価アルコール量/総水分量)を0.7〜1.3にすると共に、多価アルコール量と総水分量との合計量を組成物全体の40〜80質量%とし、かつ、必要によりpH調整剤を配合して、25℃における組成物のpHを6.5〜7.5の範囲に調整することを特徴とする歯磨組成物中におけるデキストラナーゼと塩化リゾチームとの同時安定化方法。 【解決手段】 デキストラナーゼと塩化リゾチームと必要によりpH調整剤とを含有する歯磨組成物であって、多価アルコール量と総水分量との質量比(多価アルコール量/総水分量)が0.7〜1.3で、多価アルコール量と総水分量との合計が組成物全体の40〜80質量%であり、かつ25℃における組成物のpHが6.5〜7.5の範囲である歯磨組成物。 多価アルコール量と総水分量との質量比を0.7〜1.3にし、多価アルコール量と総水分量との合計量を40〜80質量%とし、必要によりpH調整剤を配合して、組成物のpHを6.5〜7.5の範囲に調整する歯磨組成物中におけるデキストラナーゼと塩化リゾチームとの同時安定化方法。【効果】 本発明の歯磨組成物は、デキストラナーゼと塩化リゾチームとを同時に安定配合でき、両酵素由来の効果が十分に発揮され、かつ使用感にも優れる。【選択図】 なし20051025A16333全文3 デキストラナーゼと塩化リゾチームとを含有する歯磨組成物であって、多価アルコール量と総水分量との質量比(多価アルコール量/総水分量)が0.7〜1.3で、多価アルコール量と総水分量との合計が組成物全体の40〜80質量%であり、かつ25℃における組成物のpHが6.5〜7.5の範囲であることを特徴とする歯磨組成物。 デキストラナーゼと塩化リゾチームとを含有する歯磨剤組成物において、多価アルコール量と総水分量との質量比(多価アルコール量/総水分量)を0.7〜1.3にすると共に、多価アルコール量と総水分量との合計量を組成物全体の40〜80質量%とし、25℃における組成物のpHを6.5〜7.5の範囲に調整することを特徴とする歯磨組成物中におけるデキストラナーゼと塩化リゾチームとの同時安定化方法。A1633000093 従って、本発明は、デキストラナーゼと塩化リゾチームとを含有する歯磨組成物であって、多価アルコール量と総水分量との質量比(多価アルコール量/総水分量)が0.7〜1.3で、多価アルコール量と総水分量との合計が組成物全体の40〜80質量%であり、かつ25℃における組成物のpHが6.5〜7.5の範囲であることを特徴とする歯磨組成物、及び、デキストラナーゼと塩化リゾチームとを含有する歯磨剤組成物において、多価アルコール量と総水分量との質量比(多価アルコール量/総水分量)を0.7〜1.3にすると共に、多価アルコール量と総水分量との合計量を組成物全体の40〜80質量%とし、25℃における組成物のpHを6.5〜7.5の範囲に調整することを特徴とする歯磨組成物中におけるデキストラナーゼと塩化リゾチームとの同時安定化方法を提供する。