生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_顔料の表面物性評価方法
出願番号:2004309453
年次:2006
IPC分類:G01N 7/04,G01N 33/32,G01N 33/44


特許情報キャッシュ

浅田 匡彦 関根 信博 JP 2006119077 公開特許公報(A) 20060511 2004309453 20041025 顔料の表面物性評価方法 大日本インキ化学工業株式会社 000002886 河野 通洋 100124970 浅田 匡彦 関根 信博 G01N 7/04 20060101AFI20060407BHJP G01N 33/32 20060101ALI20060407BHJP G01N 33/44 20060101ALI20060407BHJP JPG01N7/04 ZG01N33/32G01N33/44 2 OL 8 本発明は、顔料分散体設計のための顔料の表面物性の評価方法に関するものである。 塗料やインキといった顔料分散体は、着色剤としての顔料が塗工や印刷対象に固着化させるための樹脂を含む水や有機溶剤中に分散したものである。通常、顔料は樹脂溶液よりも比重が大きいため、分散安定性を保つために顔料をできる限り細かい状態に保つ必要がある。その手段として、細かく分散した顔料表面に分散剤や樹脂を吸着させ、顔料粒子間の凝集を防ぐ方法が一般的である。 このため顔料への樹脂吸着性を制御することが分散系設計の上で非常に重要であるが、この顔料への樹脂吸着性は、溶媒が水系か有機溶剤系かによって、その設計が変わってくる。分散用の樹脂や分散剤は、顔料表面に吸着すると同時に顔料間の凝集を防止するために溶剤への親和性を併せ持っていなければならず、その溶媒への親和性基が水系か有機溶剤系かによって異なるためである。 一方、有機顔料のように極性の低い顔料の場合には、顔料の表面を酸性化処理又は塩基性化処理を施すことにより、塩基性または酸性官能基を導入した樹脂との吸着性を上げることも知られている。 これらの方法を利用するためには、顔料の酸塩基性をあらかじめ把握しておけばよく、一般的な方法としては非水電位差滴定がよく知られている(例えば、非特許文献1参照)。 しかしながら、実際には必ずしも酸塩基性相互作用が応用できる系ばかりではなく、樹脂の硬化方式に酸触媒を使うケースなどでは、塩基性基の導入が硬化阻害を生じてしまうため、酸塩基性相互作用によらない樹脂と顔料の親和性を改めて探し出す必要がある。 一方、水系では樹脂の親水性基が水と親和するために、顔料と樹脂の相互作用は疎水性相互作用を活用せざるを得ない場合が多い。しかし、ひとくちに疎水性基といってもその構造はさまざまであり、その選択はやはり容易な作業ではない。 この様な場合、最適な組成は通常膨大な経験と実験から決定されている。顔料を固定し分散剤や樹脂の種類や組成比の最適化を行っていく場合もあれば、樹脂を固定して顔料の種類や表面処理、添加量、分散方法の最適化を行っていく場合もあるが、いずれの場合においてもその設計は容易な作業ではない。 そこで最適な組成を見出す方法として、顔料分散系の設計における溶解性パラメーターの概念を利用する方法が提案されている(例えば、非特許文献2、3参照)。 しかしながら、この方法においても、分散系設計のスクリーニングに用いるには、操作が極めて煩雑である。 また、顔料表面自由エネルギーを接触角測定で求める方法が知られており、樹脂溶液と顔料の表面自由エネルギーの各成分を求めることにより、両者の濡れ性(接触角)を知ることができるため、分散系の設計指針に利用しようとする提案もある(例えば、特許文献1参照)。 しかしながら、この方法においては、顔料の接触角を測定するために顔料を板状に加工しなければならず、その作業に大変手間がかかり、さらに、マクロに見ると平滑な面ができていてもミクロに見ると細かい凹凸が無視できず、平板加工の状態によってその測定値が大きく影響を受けやすいことから、必ずしも分散系設計方法として好適とは言えない。 一方、表面処理顔料の表面状態を、炭酸ガス吸着測定から求めた比表面積と窒素ガス吸着測定から求めた比表面積の比で表して、顔料の表面物性を評価する方法が提唱されている(例えば、特許文献2参照)。 しかしながら、この方法は顔料表面の極性を評価しているものであり、前述したような酸塩基性相互作用を積極的に利用できないような場合や、水系における有機顔料の分散といった、比較的弱い相互作用を利用するようなケースには利用できないものであった。小林敏勝、池田承治、日化、p145、1993C.M.Hansen、J. Paint Technol.、Vol.39、No.511、p505、1967C.M.Hansen、J. Paint Technol.、Vol.39、No.505、p104、1967特開2002−020662号公報(特許請求の範囲)特開平10−273605号公報(特許請求の範囲) 本発明は、顔料分散体設計に際して最適な顔料と樹脂を選択できるように、簡便に顔料の表面物性を評価する方法を提供するものである。 本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、顔料に対してガスの吸着量を測定することによって顔料の表面特性を簡便に数値化して分散系に適した顔料を選択したり、又は顔料に適した樹脂を設計する際に有効な評価方法となり、3種類以上のガスの吸着量の測定により、さらに詳細な顔料表面のキャラクタリゼーションが可能であることを見出した。 さらに、顔料に吸着させるガスが、使用する樹脂のもつ官能基構造に類似したモデル化合物であれば、それらの吸着量測定結果から樹脂の吸着性を推定することができ、また、その結果が顔料への吸着性の高い樹脂設計のための重要な情報となることを知見し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、顔料に3種類以上のガスを吸着させて、該ガスの飽和吸着量から該顔料に対する樹脂の親和性を評価することを特徴とする顔料の表面物性評価方法を提供するものである。 本方法によれば、従来、酸塩基性、親疎水性程度の評価方法しかなかった顔料表面に対して、新たな尺度で定量化する手段を提供できる。また目的の顔料分散系に使用される樹脂構造から、顔料への吸着に寄与するであろう官能基のモデル化合物を選び出し、そのガス吸着量を比較することで、簡便に、最適な樹脂設計や顔料選択のための重要な情報を得ることができる。 本発明の対象となる顔料は、塗料やインキに使われる顔料全般であり、公知慣用のものを挙げることができ、例えば、無機顔料であれば、酸化チタン、ベンガラ、群青、紺青、モリブデンレッド、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、カーボンブラックなどである。また、有機顔料であれば、ペリレン・ペリノン系顔料、アントラキノン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、メチン・アゾメチン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料など、また体質顔料であれば沈降性硫酸バリウムや炭酸カルシウムなどが挙げられる。 また、対象となるガスとしては常温常圧でガス状である窒素、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア等が挙げられるが、常温常圧で液体である水、エタノール、メタノール、イソプロパノール、イソブタノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルメチルケトン、アセトン、イソブチルメチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ヘキサン、ヘプタン、ピリジン、トリメチルアミン等のように、測定温度における溶剤蒸気を利用することもできる。その場合、測定の精度を考えると、溶剤の飽和蒸気圧が10mmHg以上である溶剤が好ましい。 3種類以上のガスはこれらの中から任意に選ぶことができるが、その際に選び方を工夫すると、顔料の物性評価の指標として望ましいものとなっていく。例えば、アクリル樹脂に対して親和性の高い顔料を選ぶ際に、アクリル樹脂の官能基をモデル化した化合物を吸着ガスとして選択すると良い。 具体的には、例えば、スチレンのモデル物質としてトルエンを、メタクリレートのモデル物質として酢酸メチルや酢酸エチルを、ヒドロキシエチルアクリレートのモデル物質としてエタノールを選び、それぞれの飽和吸着量を測定することによって、その顔料に対するアクリル樹脂の最適な組成を求めることができる。 選択したモデル物質のガス吸着測定は、一般的にその化合物(モデル物質)の飽和蒸気圧以下の圧力(測定圧力を飽和蒸気圧で割った値を相対圧という)で測定する。吸着量は相対圧0から1の間で吸着量測定を行うと相対圧の上昇とともに吸着量が上昇し、やがてその上昇率は緩やかになってくるが、相対圧0.2から0.5のあいだで再び上昇率が増し、逆S字カーブを描くのが一般的である。したがって、化合物ごとに飽和蒸気圧は異なることから、ガス吸着量を比較するためには同じ相対圧での吸着量で比較しなければならない。 また、この吸着量曲線をBETの式に近似して、ガス分子が表面に一層吸着する量(飽和吸着量)を求めることも一般的に行われている。 なお、BETの式はで表されることから、ある測定圧力pで求められた吸着量vについて、p/v(p0−p)を相対圧(p/p0)でプロットしたときに、その傾きと切片から飽和吸着量vmを求めることができる。 飽和吸着量は単位重量あたりのモル数やガスの容量(ml)などで表すのが一般的であるが、溶剤ガス一分子の吸着断面積がわかっているものについては、一層吸着表面積という表し方をする場合もある。 このようにして求められた顔料に対するガスの飽和吸着量から、顔料の親和性を簡便に把握することができ、特に、塗料やインキといった顔料分散体を設計する際に、吸着させたガスの構造を側鎖構造の一部に有する樹脂を選択する指標とすることができ、更に、このような樹脂の配合比率の指標とすることができる。(実施例1) 分子構造は同じであるが、製法が異なるために粒子径や形状が異なる2種類の銅フタロシアニン顔料Pigment Blue15:3(blue1、blue2)と、同様に2種類の縮合アゾ顔料Pigment Red48:3(red1、red2)、及び2種類の不溶性アゾ顔料Pigment Yellow14(yellow1、yellow2)を用意した。 これらの顔料に対して、メタノール、酢酸エチル、トルエンの飽和吸着量をそれぞれ測定した。なお、測定は日本ベル社製ガス吸着測定装置ベルソープ18を使用して、測定温度は25℃、顔料の仕込量は0.15gとした。 各溶剤ガスの顔料に対する飽和吸着量を表1及び図1に示す。 この結果より、顔料の構造が同じ場合、例えばblue1とblue2の顔料では、いずれも酢酸エチルのガスの飽和吸着量が最も多く、次いで、メタノール、トルエンの順となることが分かる。また、red1、red2の顔料では、いずれもメタノールのガスの飽和吸着量が最も多く、次いで、酢酸エチル、トルエンの順となることが分かる。また、yellow1とyellow2の顔料では、いずれも酢酸エチルのガスの飽和吸着量が最も多く、次いで、トルエン、メタノールの順となり、表2に示すような順序となることが分かる。 この結果から、これらの溶剤ガスの構造を側鎖構造の一部に有するような樹脂を使用して各顔料に対する親和性を考えると、好適に使用できる樹脂としては表3に示すような順番となり、顔料分散体の設計指標とすることができる。(実施例2) メタクリル酸(以下、MAAと略記)の60部、スチレン(以下、Stと略記)の30部、メタクリル酸メチル(以下、MMAと略記)の90部、βヒドロキシエチルメタクリレート(以下、HEMAと略記)の120部、n−ラウリルメルカプタン(以下、LSHと略記)の9部を混合し、ラジカル重合性単量体混合液(A)とした。 また、上記ラジカル重合性単量体混合液(A)のMMAを120部、HEMAを90部とした以外は(A)と同じ配合で混合しラジカル重合性単量体混合液(B)とした。 さらに、上記ラジカル重合性単量体混合液(A)のMMAを150部、HEMAを60部とした以外は(A)と同じ配合で混合しラジカル重合性単量体混合液(C)とした。 しかるのち、攪拌機、温度計、冷却器および滴下漏斗を取り付けた2リットル反応容器にイオン交換水の620部と、ニューコール707SF(日本乳化剤(株)社製、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸アンモニウム、有効成分=約30%)の9部を仕込み、窒素ガスを送り込みつつ攪拌しながら釜内温度を80℃に昇温した。 昇温後、重合開始剤としての過硫酸ナトリウムの1.5部を添加し(水溶液D)、次いでラジカル重合性単量体混合液(A)の滴下を開始した。2時間で滴下し、滴下終了後80℃で1時間攪拌した。 その後、25℃まで冷却し、アンモニア水によって中和することにより、目的とする水溶性樹脂組成物Aを得た。得られた水溶性樹脂組成物Aは、固形分28.0%、粘度31mPa・s、pH7.8であった。 上記水溶液Dにラジカル重合性単量体混合液(B)の滴下を開始した。2時間で滴下し、滴下終了後80℃で1時間攪拌した。 その後、25℃まで冷却し、アンモニア水によって中和することにより、目的とする水溶性樹脂組成物Bを得た。得られた水溶性樹脂組成物Bは、固形分28.0%、粘度25mPa・s、pH7.8であった。 上記水溶液Dにラジカル重合性単量体混合液(C)の滴下を開始した。2時間で滴下し、滴下終了後80℃で1時間攪拌した。 その後、25℃まで冷却し、アンモニア水によって中和することにより、目的とする水溶性樹脂組成物Cを得た。得られた水溶性樹脂組成物Cは、固形分28.0%、粘度53mPa・s、pH8.0であった。 実施例1のblue1の顔料とred1の顔料とyellow1の顔料を使用して、これらの樹脂の顔料に対する吸着量測定を行った。顔料0.2gに対し固形分で0.4gの樹脂を含む樹脂水溶液10gを加え、直径3mmのガラスビーズを用いて30分間ペイントコンディショナーで分散処理を行い、次いで15,000rpmで30分間、遠心分離をして上澄みと沈殿に分離し、樹脂吸着量を測定した。測定結果を表4に示す。 表3の結果から得られた指標より、blue1の顔料では、側鎖にエステル基を有する樹脂の吸着順位が[1]であり、次いで水酸基を有する樹脂の吸着順位が[2]であることが分かったが、表4の結果においても、この傾向と同様に、エステル基成分の含有量が増加するに従って樹脂吸着量も多くなることが分かる。 また、red1の顔料では、側鎖に水酸基を有する樹脂の吸着順位が[1]であり、次いでエステル基を有する樹脂の吸着順位が[2]で、この傾向と同様に、水酸基成分の含有量が減少するに従って樹脂吸着量も少なくなることが分かる。 さらに、yellow1の顔料では、側鎖にエステル基を有する樹脂の吸着順位が[1]であり、水酸基を有する樹脂の吸着順位が[3]で、この傾向と同様に、エステル基成分の含有量が増加するに従って樹脂吸着量も多くなることが分かる。 このように、表面処理の有無等の履歴が不明な顔料であっても、3種類以上のガスの飽和吸着量により各種樹脂を選択する際の指標とすることができ、顔料分散体設計に有効である。溶剤ガスの顔料に対する飽和吸着量を示すグラフ。顔料に3種類以上のガスを吸着させて、該ガスの飽和吸着量から該顔料に対する樹脂の親和性を評価することを特徴とする顔料の表面物性評価方法。該ガスの構造が、該樹脂の側鎖構造の一部を構成している請求項1記載の顔料の表面物性評価方法。 【課題】 顔料分散体設計に際して最適な顔料と樹脂を選択できるように、簡便に顔料の表面物性を評価する方法を提供する。【解決手段】 顔料に3種類以上のガスを吸着させて、これらのガスの飽和吸着量の吸着順位を求めることにより、これらの溶剤ガスの構造を側鎖構造の一部に有するような樹脂を使用して各顔料に対する親和性を考えると、好適に使用できる樹脂の順位を把握することができ、顔料分散体の設計指標とすることができる。【選択図】 なし


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