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タイトル:特許公報(B2)_酸化セリウムを使用した抵抗型酸素センサの出力安定化方法
出願番号:2004304795
年次:2010
IPC分類:G01N 27/12


特許情報キャッシュ

伊豆 典哉 村山 宣光 申 ウソク 松原 一郎 JP 4431680 特許公報(B2) 20100108 2004304795 20041019 酸化セリウムを使用した抵抗型酸素センサの出力安定化方法 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 須藤 政彦 100102004 伊豆 典哉 村山 宣光 申 ウソク 松原 一郎 JP 2004082566 20040322 20100317 G01N 27/12 20060101AFI20100225BHJP JPG01N27/12 C G01N 27/12 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開2004−203655(JP,A) 特開2004−093547(JP,A) 特開2004−085549(JP,A) 特開2003−149189(JP,A) Noriya Izu(外3名),INFLUENCE OF SO2 GAS ON OUTPUT OF RESISTIVE OXYGEN SENSOR USING CeO2 OR Ce0.8Zr0.2O2,Chemical Sensors VI: Chemical and Biological Sensors and Analytical Methods,2004年,p. 73-79 伊豆典哉(外3名),ZrイオンドープCeO2系化合物を使った抵抗型酸素センサ,Chemical Sensors vol. 19 Supplement B,2003年 9月11日,vol. 19,p. 160-162 4 2005308711 20051104 9 20061101 大竹 秀紀 本発明は、雰囲気ガスの酸素分圧に応じて抵抗値が変化する酸化物半導体からなるガス検出部分を有している抵抗型酸素センサの出力安定化方法に関するものであり、更に詳しくは、排ガスの浄化率向上や燃費向上のための、自動車排ガスの空燃比を制御するための空燃比フィードバック制御システムに使用される、酸素分圧を測定する抵抗型酸素センサの出力安定化方法に関するものである。本発明は、酸化物半導体の抵抗率あるいは電気伝導度の変化を利用して雰囲気の酸素分圧を測定することを基本原理とする抵抗型酸素センサの技術分野において、従来のセンサでは、センサの出力が、例えば、500ppmや1ppmの濃度を有する二酸化硫黄(SO2 )ガスに対して変動するという問題点があったことを踏まえ、そのような問題点を抜本的に解決することを可能とする新しいセンサ出力安定化技術を提供するものである。本発明は、例えば、自動車排ガス浄化用触媒の劣化を検知するための自動車排ガス触媒劣化検知システム、ボイラーなどの燃焼効率最適化のための空燃比フィードバック制御システム等に使用される抵抗型酸素センサ等の出力安定化技術として好適に適用されるものとして有用である。尚、二酸化硫黄に対するセンサ出力の変動を抑制して、センサ出力を安定化させた抵抗型酸素センサ自体については、別に特許出願している。 従来、自動車用の酸素ガスセンサとして、例えば、先行技術文献に記載されているように、主として、固体電解質のものが用いられてきた(特許文献1参照)。このタイプのセンサは、基準極と測定極の酸素分圧の違いを起電力として測定するものであり、必ず基準極が必要である。そのため、この種のセンサは、構造が複雑であり、小型化が困難であるという問題点を有していた。この問題点を克服するために、例えば、先行技術文献に記載されているような、基準極を必要としない抵抗型酸素ガスセンサが開発されている(特許文献2参照)。この抵抗型酸素ガスセンサの測定原理を簡単に説明すると、まず、雰囲気の酸素分圧が変化したときに、酸化物半導体の酸素空孔濃度が変化する。酸化物半導体の抵抗率あるいは電気伝導度は、酸素空孔濃度と1対1の対応関係があり、酸素空孔濃度の変化に伴い、酸化物半導体の抵抗率が変化する。その抵抗率を測定することにより、雰囲気の酸素分圧を知ることができる。 本発明者らは、これまで、酸化物半導体として酸化セリウムを用いた抵抗型酸素センサの研究開発を行ってきたが、それというのも、酸化セリウムは酸素の拡散係数が酸化チタンより大きく、応答速度の速いことが期待されるためである。酸化セリウムを用いた抵抗型酸素センサにおいて、酸化セリウムの粒径を200nmまで小さくすることにより、応答速度が改善されることが分かった(特許文献3参照)。しかしながら、酸化セリウムを使った抵抗型酸素センサの出力は、500ppmや1ppmの濃度を有する二酸化硫黄(SO2 )ガスに対して変動するという問題があり(図1を参照)、当技術分野では、その解決が求められていた。特開昭55−137334号公報特開昭62−174644号公報特開2003−149189号公報 このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、酸化セリウムを使った抵抗型酸素センサの出力安定化を目標として鋭意研究を進める過程で、酸化物半導体である酸化セリウムに抵抗を下げるための4価金属イオンを有する酸化物を添加することにより所期の目的を達成しうることを見出し、更に研究を重ねて、本発明を完成するに至った。本発明は、二酸化硫黄ガスに対する、酸化セリウムを使った抵抗型酸素センサの出力の変動を抑制する方法を提供することを目的とするものである。 上記課題を解決するための本発明は、酸化物半導体として酸化セリウムを主成分として使用した抵抗型酸素センサにおいて、当該酸化物半導体に、抵抗を下げるための4価金属イオンを有する酸化物を添加することにより、二酸化硫黄に対するセンサ出力の変動を抑制して、センサ出力を安定化させることを特徴とする抵抗型酸素センサの出力安定化方法、である。本方法は、(1)4価金属イオンを有する酸化物が、ジルコニウムイオン又はハフニウムイオンを有する酸化物であること、(2)抵抗型酸素センサが、自動車又はボイラーの空燃比フィードバック制御システムに使われる抵抗型酸素センサであること、(3)抵抗型酸素センサが、自動車排ガス触媒劣化システムに使われる抵抗型酸素センサであること、を好ましい態様としている。 次に、本発明について、更に詳細に説明する。 本発明は、酸化物半導体として酸化セリウムを主成分として使用した抵抗型酸素センサにおいて、当該酸化物半導体に、抵抗を下げるための4価金属イオンを有する酸化物を添加することにより、二酸化硫黄に対するセンサ出力の変動を抑制して、センサ出力を安定化させることを特徴とするものである。本発明において、酸化物半導体である酸化セリウムに、抵抗を下げるための4価金属イオンを有する酸化物を添加する方法は任意であり、例えば、固相焼結法、沈殿法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ただし、抵抗を下げるための4価金属イオンを有する酸化物を酸化セリウムに単に機械的に混合するのではなく、当該4価金属イオンを有する酸化物と酸化セリウムが固溶する必要がある。また、酸化物半導体の構造も任意であり、薄膜、厚膜、バルク、緻密体、多孔質体などが例示される。ただし、できるだけ単位重量に対する表面積は小さい方が好ましい。それというのも、二酸化硫黄の影響は最表面での影響であると考えられるから、単位重量に対する表面積が小さければ表面の影響が小さくなるためである。酸化物半導体に添加する、酸化セリウムに抵抗を下げるための4価金属イオンを有する酸化物として、好適には、例えば、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらと同等あるいは類似のもので同様の機能を有するものであれば同様に使用することができる。 酸化物半導体に添加する、酸化セリウムに抵抗を下げるための4価金属イオンを有する酸化物の濃度について、次に示す。4価金属イオンを有する酸化物は、一般に、MO2 の化学組成を有する。ここで、Mは4価金属元素である。MO2 の濃度をXmol%とすると、Xの上限は50mol%である。それというのも、50mol%を超えると、酸化セリウムよりもMO2 の特性が顕著になると考えられ、もはや酸化セリウムの特長を失うためである。下限は特に数値的に限定されない。MO2 を添加していない酸化セリウムに比べて、抵抗率を半分以下に下げることが可能な濃度であればよい。MO2 を添加した酸化セリウムは、単相、2相共存、いずれでも可能である。抵抗型酸素センサの構造や形態は任意であり、また、温度補償材を有する抵抗型酸素センサにも本発明は適用可能である。(作用) SO2 を導入すると酸化物半導体表面にSO2 が吸着し、それと同時に雰囲気中のH2 Oも吸着し、H+ が生じ、それが電荷担体となると考えられる。この導電率は、何も添加していない酸化セリウムの導電率より大きいと考えられ、電流は表面を流れるため、全体の抵抗は下がってしまうと考えられる。しかし、抵抗を下げるための4価金属イオンを有する酸化物を添加することにより、酸化物半導体の導電率は、SO2 導入により表面に生じる生成物のそれよりも大きいため、全体の抵抗は変動せず、SO2 による出力変動は抑制できるものと考えられる。本発明の方法により、500ppm以下、より効果的には1ppm以下の二酸化硫黄に対する出力変動を抑制できる。本発明の方法により、酸化物半導体として酸化セリウムを主成分として使用した抵抗型酸素センサにおいて、二酸化硫黄に対するセンサ出力を安定化させることが可能となる。本発明の方法は、例えば、自動車又はボイラーの空燃比フィードバック制御システムに使われる抵抗型酸素センサ、自動車排ガス触媒劣化システムに使われる抵抗型酸素センサの出力安定化技術として好適に使用することができる。 本発明によれば、1)酸化物半導体である酸化セリウムに抵抗を下げるための4価金属イオンを有する酸化物を添加することにより、二酸化硫黄ガスに対する、酸化セリウムを使った抵抗型酸素センサの出力の変動を抑制することが可能となる、2)数百ppm以下の二酸化硫黄に対する出力変動がなくなる、3)二酸化硫黄が酸化物半導体の表面に付着しないようにするためのフィルターが不必要となる、4)小型で構造が簡単な酸素センサを提供できる、5)本発明の方法は、自動車又はボイラーの空燃比フィードバック制御システム又は自動車排ガス触媒劣化システムに使われる抵抗型酸素センサに適用できる、という格別の効果が奏される。 次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。 以下に、まず、本発明に至った経緯について、参考例1から4に基づいて説明する。参考例1 濃度0.010 mol/dm3 である硝酸セリウム水溶液を噴霧させ、973Kに加熱した電気炉に導入し、熱分解させ、回収し、酸化セリウムの粉末を得た。得られた粉末の粒径は、約200から300nmであった。得られた微粒子粉末と有機溶媒のビヒクル(エチルセルロースとテルピネオールの混合物)とを混合したペーストを、酸化アルミニウム基板上にスクリーン印刷により印刷した。次に、印刷物を空気中773Kで加熱し、引き続き、空気中1473Kで加熱し、厚膜を得た。得られた厚膜は多孔質体であり、粒径は200から300nmであった。酸素ガス検出部分の抵抗率を測定するために、電極が必要であり、スクリーン印刷法により櫛型の白金電極を設けた。以上の方法により、酸化セリウムを用いた抵抗型酸素センサ(Ce100)を作製した。 酸素分圧P(O2 )、SO2 分圧P(SO2 )及び温度Tを変えることのできる測定室に、センサを置き、直流二端子法により上記白金電極間の電気抵抗をセンサ出力として測定した。図1に、Ce100の酸素センサの出力変化(抵抗)をそれぞれ示す。873又は1073Kにおいて、ガスをA,B,C又はC’,B,Aと切り換えた。ここで、Aは100%O2 (P(O2 )=105 Pa)、Bは10%O2 +N2 (P(O2 )=104 Pa)、Cは1ppmSO2 +10%O2 +N2 (P(O2 )=104 Pa、P(SO2 )=0.1Pa)、C’は500ppm SO2 +10%O2 +N2 (P(O2 )=104 Pa、P(SO2 )=50Pa)である。 ガスをAからBに切り換えた場合、酸素分圧が1桁変わったため、酸素センサの出力が変化した。これは、正常な応答である。次に、BからC又はC’へガスを切り換えた。このとき、SO2 ガスの影響が無ければ、酸素分圧が変化していないため、抵抗は変化しないはずであるが、結果は異なり、C又はC’へ切り換えた後、抵抗は変化した。すなわち、Ce100は、873又は1073Kにおいて、1ppmSO2 及び500ppmSO2 の影響があり、特に、1073K、1ppmSO2 以外の条件では、SO2 の影響が大きかった。このため、排ガスに1ppm程度以上のSO2 が含まれている場合、出力の変動が生じることが分かった。参考例2 SO2 とCeO2 の反応生成物を調べるため、CeO2 微粉末を500ppmSO2 +10%O2 +N2 中でアニールさせ、反応生成物をXRDにより評価した。この試験で用いたCeO2 粉末は、沈殿法で作製されたものであり、1次粒子径が20nm以下であった。また、比較のため、市販試薬であるCe2 (SO4 )3 ・8H2 Oを、773K空気中でアニールさせた。 図2の(a)及び(b)に、CeO2微粉末をそれぞれ1073及び873Kで500ppmSO2 +10%O2 +N2 中24hでアニールさせ得た試料のXRDパターンを示す。1073Kでアニール後の試料では、表面の変色及び反応相は全く観察されなかった。CeO2 粉末は淡い黄色であるが、873Kでアニール後の試料では、ガスの流れにさらされている表面のほんのわずかな部分が白く変色した。それを多く含むところを取り出し、XRDで調べたところ、☆印で示された反応相があった。白く変色したものを含まない試料では、☆印の反応相は観察されなかった。 より低温の823Kでアニールすると、もう少し反応相は増加した。反応相は、表面のほんの一部であり、これを多く含むように粉末を取り出し、XRD分析すると、反応相は、Ce2 (SO4 )3 ・4H2 OやCeOSO4 、Ce(SO4 )・4H2 Oなどの混合物であることが分かった。これは、Ce2(SO4 )3 ・8H2 Oを、空気中773Kでアニールしたものと同じであった。 1ppmSO2 +10%O2 +N2 中では、873K,1073Kいずれの温度においても、反応相は観察されなかった。すなわち、1ppm以下のSO2 を含む排ガス中では、反応相は生じないことが確認できた。また、1ppmSO2 中では、酸化セリウムに反応相が生じないにもかかわらず、参考例1で示したSO2 ガスによる酸化セリウム(Ce100)の出力変動が生じることから、出力変動と反応相生成とは、無関係であることが示された。参考例3 Ce2 (SO4 )3 ・8H2 Oの成型体(9.9mmφ、11.66mmL)を873K,10hで焼鈍し、873 Kにおけるその抵抗を測定し、導電率を求めたところ、1.4x10-6S/mであった。この温度におけるCeO2 の導電率は1x10-4−5x10-4S/mであるので、Ce2 (SO4 )3 などの反応物の抵抗率は非常に大きい。このことからも、873Kにおける抵抗低下がCe2 (SO4 )3 などの反応物の生成とは無関係であることが確認された。 以上の参考例2及び3から、SO2 ガスによる酸化セリウムの抵抗低下は、反応相の生成とは無関係であることが確認された。参考例4 酸化アルミニウム基板に電極をつけ、室温で抵抗を測ると、電圧測定器の検出限界(120MΩ)以上であったが、873K中500ppmSO2 +10%O2 +N2 ガス中でアニールさせ、室温中で電極間の抵抗を測定すると、70MΩを示した。エタノールで基板表面上を拭くと、再び検出限界(120MΩ)以上であった。このことから、500ppmSO2 +10%O2 +N2 ガス中でアニールすることにより、導電性の物質が付着することが分かった。導電性の物質については、その詳細はわからないが、酸化物半導体表面に吸着したSO2 とそれと同時に雰囲気から吸着したH2 Oとの複合吸着物であると予想している。電荷担体は、この吸着物のH+ であるかもしれない。Ce100において、SO2 の影響が出たのは、この導電性物質の抵抗率はCe100よりは小さいためと考えられた。したがって、酸化物半導体の抵抗率を下げることができれば、SO2 の影響が抑制できることを見出すに至り、本発明に到達した。 セリウムイオンとジルコニウムイオンを含む酸化物の粉末を、次の手順で作製した。硝酸セリウム水溶液とオキシ硝酸ジルコニウム水溶液を所定の濃度(xZr/(xZr+xCe):20mol%)で混合し、セリウムイオンとジルコニウムイオンの和の濃度が0.010mol/dm3 である混合水溶液を得た。次に、その混合水溶液を噴霧させ、973Kに加熱した電気炉に導入し、熱分解させ、回収し、セリウムイオンとジルコニウムイオンを含む酸化物の微粉末を得た。ここで、酸化物粉末のZrO2濃度は、混合水溶液でのZrイオン濃度と同じであった。得られた粉末の粒径は、約200から300nmであった。 得られた微粒子粉末と有機溶媒のビヒクル(エチルセルロースとテルピネオールの混合物)とを混合したペーストを、酸化アルミニウム基板上にスクリーン印刷により印刷した。次に、印刷物を空気中773Kで加熱し、引き続き、空気中1473Kで加熱し、厚膜を得た。得られた厚膜は、多孔質体であり、粒径は、200から300nmであった。酸素ガス検出部分の抵抗率を測定するために、電極が必要であり、スクリーン印刷法により櫛型の白金電極を設けた。以上の方法により、酸化ジルコニウムを20mol%添加した酸化セリウムを用いた抵抗型酸素センサ(Z20)を作製した。酸化ジルコニウムと酸化セリウムは完全に固溶し、単相の立方晶であった。 参考例1と同様の装置を用いて実験を行った。ガスの条件も参考例1と同じである。その実験結果を図3に示す。同じ温度のCe100の抵抗と比べると、Z20の抵抗は1桁以上小さかった。Ce100とZ20の厚膜形状は同じであり、電極形状も同じであるので、Z20の抵抗率はCe100のそれと比べて1桁以上小さいと結論できた。Z20では873K、500ppmSO2 以外ほとんど影響が無かった。873K、500ppmSO2 でもCe100の873K、500ppmSO2 より影響が小さかった。排ガスのSO2 濃度は1ppm以下であることが知られている〔F.Hashimoto,T.Tanaka,O.Asami,Development of continuous high−sensitivity exhaust SO2 analyzer,R&D Review of Toyota CRDL,34〔3〕,(1999),9−16.〕。したがって、Z20では、実環境の873K、1073Kのいずれの温度においても影響が無いことが確認でき、本発明の効果が実証された。 酸化セリウムの粉末と酸化ハフニウムの粉末をセリウムイオンとハフニウムイオンの比が9:1になるように測りとり、メノウ乳鉢を使って、エタノールを分散媒として湿式で混合した。混合後、乾燥させた粉末をプレス成型し、成型体を得た。成型体を1400℃空気中で10時間焼成し、固相焼結させた。室温に冷却後、焼結体を粉砕し、粉末を得た。得られた粉末と有機溶媒のビヒクルとを混合したペーストを、予め、白金のくし型の電極が形成された酸化アルミニウム基板上にスクリーン印刷により印刷した。次に、空気中500℃で加熱し、引き続き、空気中1300℃で加熱し、厚膜を得た。 1300℃で焼成後の厚膜の組織を走査電子顕微鏡により観察したところ、粒径が1から2μmである多孔質体であった。また、膜厚は、20μmであった。焼成後の厚膜のX線回折分析を行ったところ、ハフニウムイオンが固溶していることが確認できた。実施例1と同様の装置を用いて実験を行った。ガスの条件も実施例1と同じである。1073Kにおける実験結果を図4に示す。比較例として、無添加酸化セリウムの抵抗変化も併せて示す。 ハフニウムイオン濃度が10mol%であるハフニウム添加酸化セリウムを用いた抵抗型酸素センサ(Hf10)の抵抗は、無添加酸化セリウムを用いた抵抗型酸素センサ(Ce100)の抵抗より30分の1であり、ハフニウム酸化物添加により抵抗が減少することが確認された。Ce100の抵抗は、500ppmSO2 のガスが導入されるとすぐに小さくなり、上記参考例1と同様に、SO2 の影響が認められた。一方、ハフニウム添加酸素センサの抵抗は500ppmSO2 を導入してもほとんど抵抗は変化せず、SO2 の影響が無いことが確認でき、本発明の効果が実証された。 本発明は、酸化セリウムを使用した抵抗型酸素センサの出力安定化方法に係るものであり、本発明により、酸化物半導体である酸化セリウムに抵抗を下げるための4価金属イオンを有する酸化物を添加することにより、二酸化硫黄ガスに対する、酸化セリウムを使った抵抗型酸素センサの出力の変動を抑制することが可能となる。数百ppm以下の二酸化硫黄に対する出力変動がなくなる。二酸化硫黄が酸化物半導体の表面に付着しないようにするためのフィルターが不必要となる。小型で構造が簡単な酸素センサを提供できる。本発明の方法は、自動車又はボイラーの空燃比フィードバック制御システム又は自動車排ガス触媒劣化システムに使われる抵抗型酸素センサに適用できる。従来技術における酸素センサのSO2ガスに対する出力変化を示す。酸化セリウム微粉末を873又は1073Kで500ppmSO2 +10%O2 +N2 のガス中24hでアニールさせて得た試料のXRDパターンを示す。(a)は873K、(b)は1073Kにおける結果である。本発明の方法で安定化させた酸素センサのSO2 ガスに対する出力変化を示す。この場合、抵抗を下げるため、酸化ジルコニウムを20mol%添加した。これをZ20と記載した。本発明の方法で安定化させた酸素センサの1073KにおけるSO2 ガスに対する出力変化を示す。この場合、抵抗を下げるため、酸化ハフニウムを10mol%添加した。これをHf10と記載した。 酸化物半導体として酸化セリウムを主成分として使用した抵抗型酸素センサにおいて、当該酸化物半導体に、抵抗を下げるための4価金属イオンを有する酸化物を添加することにより、二酸化硫黄に対するセンサ出力の変動を抑制して、センサ出力を安定化させることを特徴とする抵抗型酸素センサの出力安定化方法。 4価金属イオンを有する酸化物が、ジルコニウムイオン又はハフニウムイオンを有する酸化物である請求項1に記載の抵抗型酸素センサの出力安定化方法。 抵抗型酸素センサが、自動車又はボイラーの空燃比フィードバック制御システムに使われる抵抗型酸素センサである請求項1又は2に記載の抵抗型酸素センサの出力安定化方法。 抵抗型酸素センサが、自動車排ガス触媒劣化システムに使われる抵抗型酸素センサである請求項1又は2に記載の抵抗型酸素センサの出力安定化方法。


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